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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138937
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/17 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
F16K7/17 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049669
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100183380
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 裕司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 修宏
(57)【要約】
【課題】シート、ダイヤフラム、およびインナーディスク等の交換を容易に行うことが可能なバルブを提供する。
【解決手段】バルブ1の接液部30は、ボディ本体11に当接するガスケット32と、ガスケット32上に配置されたインナーディスク33と、インナーディスク33に保持され、ダイヤフラム35が当接および離間するシート34と、ダイヤフラム35の外周縁部を押圧する押えアダプタ36と、ガスケット32、インナーディスク33、シート34、ダイヤフラム35、および押えアダプタ36を保持した状態で、ボンネット12に対し連結リング13により着脱可能に連結されるリテーナ31とを備える。接液部30をボンネット12に連結した状態において、連結リング13は、縮径した状態で、リテーナ31の内周面に形成された結合溝31bに嵌まりかつボンネット12の外周面に形成されたリング溝12bに位置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入路および流出路が形成されたボディ本体と、
前記流入路および前記流出路を開閉するダイヤフラムを有する接液部と、
前記ボディ本体に連結されたボンネットと、
前記接液部を前記ボンネットに着脱可能に連結する連結リングと、
前記ボンネットに移動可能に支持され、前記ダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押えと、
前記ダイヤフラム押えを上下動させるアクチュエータと、を備え、
前記接液部は、
前記流入路に連通する第1中心孔と前記流出路に連通する複数の第1貫通孔とが形成され、前記ボディ本体に当接するガスケットと、
前記第1中心孔に連通する第2中心孔と前記複数の第1貫通孔に連通する複数の第2貫通孔とが形成され、前記ガスケット上に配置されたインナーディスクと、
前記インナーディスクに形成され、前記ダイヤフラムが当接および離間するシートと、
前記ダイヤフラムの外周縁部を前記インナーディスクの外周縁部に向かって押圧する押えアダプタと、
前記ガスケット、前記インナーディスク、前記シート、前記ダイヤフラム、および前記押えアダプタを保持した状態で、前記ボンネットに対し前記連結リングにより着脱可能に連結されるリテーナと、を備え、
前記接液部を前記ボンネットに連結した状態において、前記連結リングは、縮径した状態で、前記リテーナの内周面に形成された結合溝に嵌まりかつ前記ボンネットの外周面に形成されたリング溝に位置している、バルブ。
【請求項2】
前記リング溝の上下方向の幅は、前記連結リングの上下方向の幅よりも大きく構成されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記リテーナの結合溝は、径方向外側に窪む横向きV字形状をなしている、請求項1または請求項2に記載のバルブ。
【請求項4】
前記ボディ本体および前記インナーディスクには、前記ガスケットに向かって突出し、前記ガスケットに対して当接する部分を押しつぶす凸部が設けられている、請求項1に記載のバルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造装置等に用いるダイヤフラムバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
バルブの流量を増加させるため、インナーディスクを備えるタイプの大流量バルブがある。このようなバルブを高温下で使用した場合、経年劣化によりシートが下がり流量が変化し、さらにシートが下がるとシートリークが発生してしまう。このような時には、シートを交換する必要がある。特許文献1に開示されたバルブでは、リテーナを備えるバルブを使用することで、シートを交換することが記載されている。特許文献1のバルブでは、シート、シートホルダ、ダイヤフラム、ダイヤフラム保持リングがリテーナに一体的に保持され、リテーナはダイヤフラム保持リングとガイド筒の外側に直接嵌め合わされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-117269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバルブにおいて、ボンネットをボディから取り外した後、リテーナをガイド筒から取り外すことで、シート、シートホルダ、ダイヤフラム、ダイヤフラム保持リングがリテーナと一体となって外れるように構成されている。このように嵌め合わされたリテーナを外すのは、力を要するためシート交換の作業性が悪い。
【0005】
そこで本開示は、シート、ダイヤフラム、およびインナーディスク等の交換を容易に行うことが可能なバルブを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を解決するために、本開示の一態様であるバルブは、流入路および流出路が形成されたボディ本体と、前記流入路および前記流出路を開閉するダイヤフラムを有する接液部と、前記ボディ本体に連結されたボンネットと、前記接液部を前記ボンネットに着脱可能に連結する連結リングと、前記ボンネットに移動可能に支持され、前記ダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押えと、前記ダイヤフラム押えを上下動させるアクチュエータと、を備え、前記接液部は、前記流入路に連通する第1中心孔と前記流出路に連通する複数の第1貫通孔とが形成され、前記ボディ本体に当接するガスケットと、前記第1中心孔に連通する第2中心孔と前記複数の第1貫通孔に連通する複数の第2貫通孔とが形成され、前記ガスケット上に配置されたインナーディスクと、前記インナーディスクに保持され、前記ダイヤフラムが当接および離間するシートと、前記ダイヤフラムの外周縁部を前記インナーディスクの外周縁部に向かって押圧する押えアダプタと、前記ガスケット、前記インナーディスク、前記シート、前記ダイヤフラム、および前記押えアダプタを保持した状態で、前記ボンネットに対し前記連結リングにより着脱可能に連結されるリテーナと、を備え、前記接液部を前記ボンネットに連結した状態において、前記連結リングは、縮径した状態で、前記リテーナの内周面に形成された結合溝に嵌まりかつ前記ボンネットの外周面に形成されたリング溝に位置している。
【0007】
前記リング溝の上下方向の幅は、前記連結リングの上下方向の幅よりも大きく構成されてもよい。
【0008】
前記リテーナの結合溝は、径方向外側に窪む横向きV字形状をなしてもよい。
【0009】
前記ボディ本体および前記インナーディスクには、前記ガスケットに向かって突出し、前記ガスケットに対して当接する部分を押しつぶす凸部が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、シート、ダイヤフラム、およびインナーディスク等の交換を容易に行うことが可能なバルブを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る開状態にあるバルブの断面図である。
図2】バルブの接液部近傍の拡大断面図である。
図3】(a)は、ガスケットの平面図であり、(b)は、ガスケットの断面図である。
図4】(a)は、インナーディスクの平面図であり、(b)は、インナーディスクの断面図である。
図5】バルブの組立方法の説明図である
図6】バルブの組立方法の説明図である
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一実施形態に係るバルブ1について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る開状態にあるバルブ1の断面図である。
図2は、バルブ1の接液部30近傍の拡大断面図である。
【0014】
図1に示すように、バルブ1は、ボディ10と、アクチュエータ20とを備える。本実施形態に係るバルブ1は、いわゆる二方弁である。なお、以下の説明において、バルブ1の、アクチュエータ20側を上側、ボディ10側を下側として説明する。
【0015】
[ボディ10]
ボディ10は、ボディ本体11と、ボンネット12と、連結リング13と、接液部30と、ダイヤフラム押え15と、ホルダ16と、圧縮コイルスプリング17とを備える。
【0016】
ボディ本体11は、全体として略円筒状をなしている。ボディ本体11の上側部分には、接液部30を収容する収容凹部11aが形成されている。ボディ本体11の下側部分には、流入路11b、流出路11c、および環状溝11dが形成されている。流入路11bは、上下方向に沿って形成され、上端が収容凹部11aの底面11Eに開口している。環状溝11dは、上端が底面11Eに開口し、流入路11bの周囲に形成されている。流出路11cは、上端が環状溝11dに開口し、下端がボディ本体11の下面に開口している。
【0017】
図2に示すように、収容凹部11aの底面11Eであって、流入路11bの上端の周囲には、環状をなす第1凸部11Fが設けられている。収容凹部11aの底面11Eであって、環状溝11dの上端の周囲には、環状をなす第2凸部11Gが設けられている。
【0018】
図1、2に示すように、ボンネット12は、有蓋の略円筒状をなし、その下側部をボディ本体11に螺合させることにより、収容凹部11aを覆うようにボディ本体11に固定されている。ボンネット12の下端部12Aの外周面には、一周連続して環状をなすリング溝12b(図5も参照)が形成されている。リング溝12bの縦断面形状は、略矩形状である。
【0019】
連結リング13は、例えば断面円形のCリングであり、バルブ1の組立時にボンネット12と接液部30とを連結する部材である。連結リング13は、バルブ1が組み立てられた状態では、リング溝12b内に設けられ、後述のリテーナ31の結合溝31b(図5参照)に係合している。リング溝12bの上下方向(ボンネット12の軸方向)の幅は、連結リング13の径(線径、上下方向の幅)よりも大きく構成されている。連結リング13の外径は、外力が作用しない状態で、ボンネット12の下端部12Aの外径およびリテーナ31の内径よりも大きく構成されている。
【0020】
図2に示すように、接液部30は、リテーナ31と、ガスケット32と、インナーディスク33と、シート34と、ダイヤフラム35と、押えアダプタ36とを備える。
【0021】
リテーナ31は、円筒状をなし、その外径は収容凹部11aの内径よりもわずかに小さく、その内径はボンネット12の下端部の外径よりもわずかに大きく構成されている。リテーナ31の内周面31aの上端には、一周連続して環状をなす結合溝31b(図5参照)が形成されている。結合溝31bは、径方向外側に窪む横向きV字形状をなしている。リテーナ31の内周面31aの下端には、内方に突出する支持部31Cが設けられている。
【0022】
図3(a)は、ガスケット32の平面図であり、図3(b)は、ガスケット32の断面図である。
ガスケット32は、金属製であり、円板状をなしている。ガスケット32の中央部には、第1中心孔32aが形成されている。ガスケット32は、内周縁部32Bと、中間環状部32Cと、外周縁部32Dとを有する。中間環状部32Cには、第1中心孔32aを囲むように複数の第1貫通孔32eが形成されている。第1中心孔32aは、上下方向において流入路11bに連通する。複数の第1貫通孔32eは、上下方向において環状溝11dに連通する。ガスケット32の外周縁部32Dは、リテーナ31の支持部31Cに下側から支持されている。これにより、ガスケット32が、リテーナ31から抜け落ちるのが防止される。
【0023】
図4(a)は、インナーディスク33の平面図であり、図4(b)は、インナーディスク33の断面図である。
インナーディスク33は、金属製であり、略円筒状をなしている。インナーディスク33の中央部には、第2中心孔33aが形成されている。インナーディスク33は、内周縁部33Bと、中間環状部33Cと、外周縁部33Dとを有する。内周縁部33Bおよび外周縁部33Dの上下方向の幅は、中間環状部33Cの上下方向の幅よりも厚く構成されている。内周縁部33Bの上端部の環状凹部には、環状のシート34が形成されている。シート34は、インナーディスク33と別体であり、例えば樹脂により構成されている。
【0024】
中間環状部33Cには、第2中心孔33aを囲むように複数の第2貫通孔33eが形成されている。第2中心孔33aは、上下方向において第1中心孔32aに連通する。複数の第2貫通孔33eは、上下方向において複数の第1貫通孔32eに連通する。
【0025】
インナーディスク33の下面33Fであって、内周縁部33Bに相当する部分には、環状をなす第3凸部33Gが設けられている。インナーディスク33の下面33Fであって、外周縁部33Dに相当する部分には、環状をなす第4凸部33Hが設けられている。
【0026】
図2に示すように、弁体であるダイヤフラム35は、ボンネット12の下側に配置された押えアダプタ36とインナーディスク33の外周縁部33Dの上端とにより、その外周縁部が挟圧され保持されている。ダイヤフラム35がシート34に対し離間および当接(圧接)することによって、流体通路の開閉が行われる。ダイヤフラム35は、例えば、複数枚の金属の薄板により構成され、円形に切り抜き、中央部を上方へ膨出させた球殻状に形成される。
【0027】
ダイヤフラム押え15は、ダイヤフラム35の上側に設けられ、ダイヤフラム35の中央部を押圧可能に構成されている。ダイヤフラム押え15はホルダ16に嵌合されている。
【0028】
ホルダ16は、略円柱状をなし、ボンネット12内に上下移動可能に配置されている。後述のステム25は、ホルダ16の上部に対し螺合されている。
【0029】
圧縮コイルスプリング17は、ボンネット12内に設けられ、ホルダ16を常に下側に付勢している。バルブ1は、圧縮コイルスプリング17によって、通常時(アクチュエータ20の非作動時)は閉状態に保たれる。
【0030】
[アクチュエータ20]
図1に示すように、アクチュエータ20は、エア駆動式であり、全体で略円柱形状をなし、ケーシング21と、仕切ディスク22と、第1ピストン23と、第2ピストン24と、ステム25を備える。
【0031】
ケーシング21は、下ケーシング21Aと、下端部が下ケーシング21Aの上端部に螺合された上ケーシング21Bとを有する。下ケーシング21Aは、略段付き円筒状をなしている。下ケーシング21Aの下端部の外周が、ボンネット12の貫通孔の内周に螺合されている。上ケーシング21Bは、有蓋の略円筒状をなしている。上ケーシング21Bの上端部には、流体導入路21cが形成されている。下ケーシング21Aの下端部の外周には、ナット26が螺合されている。
【0032】
仕切ディスク22は、略円盤状をなし、ケーシング21内に移動不能に設けられ、中央部をステム25が貫通している。第1ピストン23は、略円盤状をなし、中央部をステム25が貫通している。第1ピストン23および下ケーシング21Aにより、第1圧力室P1が形成される。第2ピストン24は、略円盤状をなし、中央部をステム25が貫通している。第2ピストン24、仕切ディスク22、および上ケーシング21Bにより、第2圧力室P2が形成される。
【0033】
ステム25は、略円柱状をなし、上下方向に移動可能に設けられ、ボンネット12から、 下ケーシング21Aを通って、上ケーシング21Bまで延びている。ステム25の下端部は、ホルダ16に螺合されている。ステム25には、その上半分部分に、上下方向に延びるエア流路25aが形成され、さらにエア流路25aを横切る第1,2エア流出孔25b,25cが形成されている。第1エア流出孔25bは、第1圧力室P1に連通している。第2エア流出孔25cは、第2圧力室P2に連通している。
【0034】
[バルブ1の開閉動作]
次に、本実施形態に係るバルブ1の開閉動作について説明する。
【0035】
本実施形態のバルブ1では、第1、2圧力室P1、P2に駆動流体であるエアが流入していない状態では、ホルダ16およびステム25は圧縮コイルスプリング17の付勢力によって下死点にあり(ボディ本体11に近接し)、ダイヤフラム押え15によりダイヤフラム35が押され、ダイヤフラム35の下面がシート34に圧接されてバルブ1は閉状態となっている。つまり、バルブ1は、通常状態(駆動流体が供給されていない状態)では閉状態である。
【0036】
そして、図示せぬ駆動流体供給源からバルブ1へエアが流れる状態にする。これにより、バルブ1へエアが供給される。駆動流体は、図示せぬエアチューブおよび管継手を介して、流体導入路21c、エア流路25a、および第1,2エア流出孔25b,25cを通過して、第1、2圧力室P1、P2に流入する。これにより、第1、2ピストン23、24が、圧縮コイルスプリング17の付勢力に抗して上昇する。ホルダ16およびステム25は上死点に移動してボディ本体11から離間し、ダイヤフラム35の弾性力および流体(ガス)の圧力によってダイヤフラム押え15が上側に移動する。この結果、流入路11bと流出路11cとが、第1中心孔32a、第2中心孔33a、第2貫通孔33e、第1貫通孔32e、および、環状溝11dを介して連通し、バルブ1は開状態となる。
【0037】
バルブ1を開状態から閉状態にするには、図示せぬ三方弁を、エアがバルブ1のアクチュエータ20(第1、2圧力室P1、P2)から外部へ排出する流れに切り替える。これにより、第1、2圧力室P1、P2内のエアが、第1、2エア流出孔25b,25c、エア流路25a、および流体導入路21cを介して、外部へ排出される。これにより、ホルダ16およびステム25は圧縮コイルスプリング17の付勢力によって下死点に移動し、バルブ1は閉状態となる。
【0038】
[バルブ1の組立方法]
次に、バルブ1の組立方法について説明する。
図5、6は、バルブ1の組立方法の説明図である。当該組立方法の説明では、ボンネット12、連結リング13、ダイヤフラム押え15、ホルダ16、圧縮コイルスプリング17、およびアクチュエータ20を組み合わせて一体化した組立品を上部組立品40とする。なお、図5、6に示す上部組立品40には、アクチュエータ20を図示していない。
【0039】
図5(a)~(c)は、上部組立品40を接液部30に組み付ける工程を示し、図5(e)~(g)は、図5(a)~(c)の工程に対応するリテーナ31と、ボンネット12と、連結リング13との位置関係を示している。図5(d)は、接液部30および上部組立品40をボディ本体11に組み付ける工程を示し、図5(h)は、図5(d)の工程に対応するリテーナ31と、ボンネット12と、連結リング13との位置関係を示している。
【0040】
図5(a)に示すように、接液部30に対し、上部組立品40を上方から近づける。この時、図5(e)に示すように、ボンネット12は、リテーナ31の上方に位置し、連結リング13は、その自重で、ボンネット12のリング溝12bの底面12C(最下端)に位置している。図5(b)に示すように、上部組立品40(ボンネット12)の下端部をリテーナ31に嵌め込む。この時、図5(f)に示すように、連結リング13は、リング溝12bの上面12Dに押され、リテーナ31の上端の傾斜面およびリテーナ31の内周面31aに沿って縮径しながら下方へ進む。
【0041】
図5(c)、(g)に示すように、連結リング13が、リテーナ31の結合溝31bに嵌まると、連結リング13は、その復元力によりわずかに拡径する。連結リング13は、縮径した状態で、結合溝31bに嵌まりかつリング溝12bに位置している。これにより、リテーナ31が、ボンネット12に連結され、上部組立品40と接液部30とが結合する。この状態において、上部組立品40および接液部30を持ち上げた場合、連結リング13および接液部30は自重により上部組立品40に対して下方へ移動し、図5(g)に示すように、連結リング13は、リング溝12bの底面12C(最下端)に位置する。図5(d)に示すように、上部組立品40および接液部30を、ボディ本体11を収容凹部11aに挿入させ、下方へ移動させる。図5(h)に示すように、リテーナ31と、ボンネット12と、連結リング13との位置関係は、図5(g)に示したそれらの位置関係と同じである。
【0042】
図6(a)~(c)は、上部組立品40および接液部30をボディ本体11に組み付ける工程を示し、図6(d)~(f)は、図6(a)~(c)の工程に対応するガスケット32のシール状態を示し、図6(g)~(i)は、図6(a)~(c)の工程に対応するリテーナ31と、ボンネット12と、連結リング13と、押えアダプタ36との位置関係を示している。
【0043】
図6(a)、(d)に示すように、ボンネット12がボディ本体11に螺合するようにボンネット12を回転させながら、ガスケット32の下面がボディ本体11の第1凸部11F(図2)および第2凸部11Gに当接するまで、上部組立品40および接液部30を下降させる。図6(g)に示すように、リテーナ31と、ボンネット12と、連結リング13との位置関係は、図5(h)に示したそれらの位置関係と同じであり、ボンネット12の下端面は押えアダプタ36に当接していない。なお、図6(d)に示すように、ガスケット32の下面は、リテーナ31の下面よりも下側に位置するように構成されている。
【0044】
図6(b)、(h)に示すように、さらにボンネット12を締め付けると、ボンネット12の下端面が押えアダプタ36に当接する。ボンネット12が少し下がるので、連結リング13および結合溝31bは、リング溝12b内を相対的に少し上側に移動する。この時、図6(e)に示すように、ガスケット32の上下面の第1~4凸部11F(図2)、11G、33G(図2)、33Hに当接する部分は、まだ押しつぶれていない。図6(c)、(f)に示すように、さらにボンネット12を締め付けると、ガスケット32の上下面の第1~4凸部11F、11G、33G、33Hに当接する部分が、第1~4凸部11F、11G、33G、33Hにより押しつぶされて、ガスケット32により、流入路11bと環状溝11dとの間および環状溝11dと外部との間がシールされる。ボンネット12が少し下がるので、連結リング13および結合溝31bは、リング溝12b内を相対的に少し上側に移動する。
【0045】
リング溝12bの上面12Dは、連結リング13に当接せず、リング溝12bの上面12Dと連結リング13との間には、隙間が形成される。このため、ボンネット12の締め付け時に、連結リング13を介してリテーナ31の上端部にボンネット12による締結力が分散しない。このようにして、本実施形態のバルブ1は組み立てられる。
【0046】
シート34の交換時には、ボンネット12を緩めて、上部組立品40および接液部30をボディ本体11から外し、上部組立品40を接液部30のリテーナ31から、連結リング13の復元力に抗して抜き出す。すなわち、図5、6に示した工程の逆の工程を行う。そして、接液部30を分解すれば、シート34、ダイヤフラム35、およびインナーディスク33等を交換することができる。
【0047】
以上説明した本実施形態のバルブ1によれば、接液部30は、ガスケット32、インナーディスク33、シート34、ダイヤフラム35、および押えアダプタ36を保持した状態で、ボンネット12に対し連結リング13により着脱可能に連結されるリテーナ31を備える。接液部30をボンネット12に連結した状態において、連結リング13は、縮径した状態で、リテーナ31の結合溝31bに嵌まりかつボンネット12のリング溝12bに位置している。これにより、ガスケット32に対する接液部30の着脱が、連結リング13の拡径と縮径により行われるので、シート34、ダイヤフラム35、およびインナーディスク33等の交換作業が容易となる。
【0048】
リング溝12bの上下方向(ボンネット12の軸方向)の幅は、連結リング13の径(線径、上下方向の幅)よりも大きく構成されている。このため、ボンネット12の締め付け時に、連結リング13を介してリテーナ31の上端部にボンネット12による締結力が分散することがない。この結果、リテーナ31の下端部にも力が作用せず、ボンネット12による締結力をガスケット32およびインナーディスク33に確実に伝えることができる。よって、ガスケット32の上下面を、第1~4凸部11F、11G、33G、33Hにより確実につぶすことができるので、ガスケット32により確実にシールすることができる。
【0049】
結合溝31bは、径方向外側に窪む横向きV字形状をなしている。これにより、接液部30がボンネット12に連結され、連結リング13が結合溝31bに嵌まった状態において、ボンネット12を持ち上げた際に、接液部30がボンネット12から落下しない所望の保持力を確保することができる。
【0050】
ボディ本体11およびインナーディスク33には、ガスケット32に向かって突出し、ガスケット32に対して当接する部分を押しつぶす第1~4凸部11F、11G、33G、33Hが設けられている。これにより、ガスケット32のシール性を向上させることができる。
【0051】
なお、本開示は、上述した実施例に限定されない。当業者であれば、本開示の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。
【0052】
結合溝31bは、径方向外側に窪む横向きV字形状であったが、結合溝31bの形状は、これに限られず、他の形状であってもよい。連結リング13は、断面円形のCリングであったが、断面形状は円形でなくてもよいし、Cリング以外の他のリングであってもよい。シート34は、インナーディスク33と別体であり、シート34は弾性体シールであったが、シート34とインナーディスク33を金属により一体形成し、シート34をメタルシールとしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:バルブ
11:ボディ本体
11F:第1凸部
11G:第2凸部
12:ボンネット
12b:リング溝
13:連結リング
15:ダイヤフラム押え
20:アクチュエータ
30:接液部
31:リテーナ
31b:結合溝
32:ガスケット
32a:第1中心孔
32e:第1貫通孔
33:インナーディスク
33a:第2中心孔
33e:第2貫通孔
33G:第3凸部
33H:第4凸部
34:シート
36:押えアダプタ

図1
図2
図3
図4
図5
図6