(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138939
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】摺動シール用ゴム組成物および摺動シール
(51)【国際特許分類】
C08L 23/16 20060101AFI20241002BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20241002BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20241002BHJP
C08L 83/07 20060101ALI20241002BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20241002BHJP
C08F 210/16 20060101ALI20241002BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
C08L23/16
C08K3/04
C08L23/08
C08L83/07
C08K5/14
C08F210/16
C09K3/10 C
C09K3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049671
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 慎介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 和輝
(72)【発明者】
【氏名】杉江 太一
【テーマコード(参考)】
4H017
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4H017AA03
4H017AB07
4H017AD06
4H017AE03
4H017AE05
4J002AE03Y
4J002AE05Y
4J002AF02Y
4J002BA01Y
4J002BB05W
4J002BB15W
4J002BB15Y
4J002CP12X
4J002DA036
4J002EJ018
4J002EK037
4J002EK047
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4J002EK087
4J002EN078
4J002EV148
4J002FD016
4J002FD02Y
4J002FD038
4J002FD147
4J002GJ02
4J100AA02P
4J100AA03Q
4J100AS15R
4J100CA05
4J100DA09
4J100FA03
4J100FA10
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA29
4J100FA30
4J100GA06
4J100GC07
4J100JA28
(57)【要約】
【課題】低摩擦性の維持に優れた摺動シールを形成することが可能な摺動シール用ゴム組成物および該組成物を含む摺動シールを提供すること。
【解決手段】本発明の摺動シール用ゴム組成物は、(A)エチレン(a1)に由来する構成単位と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、(B)カーボンブラック10~300質量部、および(C)不飽和炭素-炭素結合を含む変性シリコーンオイル0.1~40質量部を含み、かつ、前記共重合体(A)が特定の要件を満たす。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン(a1)に由来する構成単位と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、
(B)カーボンブラック10~300質量部、および
(C)不飽和炭素-炭素結合を含む変性シリコーンオイル0.1~40質量部
を含み、かつ、前記共重合体(A)が下記要件(i)~(v)を満たす、摺動シール用ゴム組成物:
(i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である;
(ii)非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率が、共重合体(A)100質量%中、0.07質量%~10質量%である;
(iii)共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たす;
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/(a3)の分子量≦80 …(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*
(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*
(ω=0.1)/η*
(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす;
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 …(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
【請求項2】
さらに有機過酸化物系架橋剤(D)0.1~20質量部を含む、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項3】
前記変性シリコーンオイル(C)がメタクリル変性シリコーンオイルである、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項4】
前記変性シリコーンオイル(C)の25℃における動粘度が、30~500mm2/sである、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項5】
前記非共役ポリエン(a3)が、下記一般式(I)および(II)からなる群より選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【化1】
【請求項6】
前記非共役ポリエン(a3)が5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を含む、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項7】
前記α-オレフィン(a2)がプロピレンである、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項8】
さらに軟化剤(E)1~100質量部を含む、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項9】
さらに老化防止剤(F)0.1~20質量部を含む、請求項1に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物の架橋体。
【請求項11】
請求項10に記載の架橋体を含む摺動シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摺動シール用ゴム組成物および摺動シールに関する。
【背景技術】
【0002】
エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合体(EPDM)などのエチレン系共重合体は、主鎖に不飽和結合を持たないため、汎用のジエン系のゴムと比較して耐候性、耐熱性、耐オゾン性に優れ、自動車工業部品、工業用ゴム製品、電気絶縁材、土木建材用品、ゴム引布等のゴム製品等に広く用いられている。
【0003】
例えば、EPDMを用いてシール用ゴム成形体を得ることが知られている(特許文献1参照)。シール用ゴム成形体であるシールパッキンは、自動車、産業機械、電子部品等様々な用途で用いられている。中でも動的環境で使用されるシール部品では、耐摩耗性に優れたゴム製品が求められることから、カーボンブラックを配合し、補強性を高めることが、広く知られている(特許文献2、3参照)。
【0004】
また、摩耗係数低減効果のある添加剤を配合し、耐摩耗性を向上することも広く行われ、特に、シリコーンオイルやシリコーンポリマーのほか、有機系・無機系の各種滑材が使用されている。シリコーンオイルは、配合することによって接触体との滑り性を大きく向上させることができるが、表面にブリードアウトし易く、接触体が数回ないし数十回上下すると表面のシリコーン分は接触体表面に移行して取られ、その結果、動摩擦係数が上昇し、接触体の摺動不良の問題を引き起こす恐れがある。ほかの滑材に関しても、ブリードアウトし易く、摺動不良や外観不良が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2000/59962号
【特許文献2】特開2000-191863号公報
【特許文献3】特開2012-031342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来知られている、EPDM等を含む摺動シールは、長時間使用した場合に低摩擦性の維持が充分ではないといった問題があった。
本発明の課題は、低摩擦性の維持に優れた摺動シールを形成することが可能な摺動シール用ゴム組成物および該組成物を含む摺動シールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、カーボンブラックおよび特定の変性シリコーンオイルを含む組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の態様の例を以下に示す。
【0008】
[1](A)エチレン(a1)に由来する構成単位と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体100質量部、
(B)カーボンブラック10~300質量部、および
(C)不飽和炭素-炭素結合を含む変性シリコーンオイル0.1~40質量部
を含み、かつ、前記共重合体(A)が下記要件(i)~(v)を満たす、摺動シール用ゴム組成物:
(i)エチレン/α-オレフィンのモル比が40/60~99.9/0.1である;
(ii)非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率が、共重合体(A)100質量%中、0.07質量%~10質量%である;
(iii)共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たす;
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/(a3)の分子量≦80 …(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*
(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*
(ω=0.1)/η*
(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす;
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 …(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
【0009】
[2] さらに有機過酸化物系架橋剤(D)0.1~20質量部を含む、項[1]に記載の摺動シール用ゴム組成物。
[3] 前記変性シリコーンオイル(C)がメタクリル変性シリコーンオイルである、項[1]または[2]に記載の摺動シール用ゴム組成物。
[4] 前記変性シリコーンオイル(C)の25℃における動粘度が、30~500mm2/sである、項[1]~[3]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【0010】
[5] 前記非共役ポリエン(a3)が、下記一般式(I)および(II)からなる群より選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む、項[1]~[4]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【0011】
【0012】
[6] 前記非共役ポリエン(a3)が5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を含む、項[1]~[5]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物。
[7] 前記α-オレフィン(a2)がプロピレンである、項[1]~[6]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【0013】
[8] さらに軟化剤(E)1~100質量部を含む、項[1]~[7]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物。
[9] さらに老化防止剤(F)0.1~20質量部を含む、項[1]~[8]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物。
【0014】
[10] 項[1]~[9]のいずれか1項に記載の摺動シール用ゴム組成物の架橋体。
[11] 項[10]に記載の架橋体を含む摺動シール。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低摩擦性の維持に優れた摺動シールを形成することが可能な摺動シール用ゴム組成物および該組成物を含む摺動シールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
[摺動シール用ゴム組成物]
本発明の摺動シール用ゴム組成物(以下「本発明のゴム組成物」または「本発明の組成物」等と称することがある。)は、エチレン(a1)に由来する構成単位と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位とを有するエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)、カーボンブラック(B)、および不飽和炭素-炭素結合を含む変性シリコーンオイル(C)を含み、必要に応じて、有機過酸化物架橋剤(D)、軟化剤(E)、老化防止剤(F)およびその他の成分を含んでもよい。
【0017】
<エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)>
本発明で用いられる共重合体(A)は、エチレン(a1)に由来する構成単位と、炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位に由来する構成単位とを有する。
【0018】
上記α-オレフィン(a2)としては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらのうち、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどの炭素原子数3~8のα-オレフィンが好ましく、特にプロピレンが好ましい。このようなα-オレフィンは、原料コストが比較的安価であり、得られる共重合体(A)が優れた機械的性質を示し、さらにゴム弾性を持った成形体を得ることができるため好ましい。
【0019】
上記α-オレフィン(a2)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。すなわち、上記共重合体(A)は、少なくとも1種の炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位を含んでおり、2種以上の炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)に由来する構成単位を含んでいてもよい。
【0020】
上記非共役ポリエン(a3)としては、非共役不飽和結合を2個以上有する化合物であれば特に制限されないが、例えば下記一般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を合計で分子中に2つ以上含む化合物が挙げられる。
【0021】
【0022】
上記非共役ポリエン(a3)としては、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ノルボルナジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に過酸化物との反応性が良好で、重合体組成物の耐熱性が向上しやすいことから、非共役ポリエン(a3)がVNBを含むことが好ましく、非共役ポリエン(a3)がVNBであることがより好ましい。非共役ポリエン(a3)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
【0023】
上記共重合体(A)は、上記(a1)、(a2)、(a3)に由来する構造単位に加えて、さらに上記般式(I)および(II)からなる群から選ばれる部分構造を分子中に1つのみ含む非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位を有していてもよい。
【0024】
上記非共役ポリエン(a4)としては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-(2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-2-プロペニル)-2-ノルボルネン、5-(4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1-メチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(2,3-ジメチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-エチル-3-ブテニル)-2-ノルボルネン、5-(6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-メチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(3,4-ジメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(3-エチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネン、5-(7-オクテニル)-2-ノルボルネン、5-(2-メチル-6-ヘプテニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2-ジメチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(5-エチル-5-ヘキセニル)-2-ノルボルネン、5-(1,2,3-トリメチル-4-ペンテニル)-2-ノルボルネンなどが挙げられる。これらのうちでは、入手容易性が高く、重合後の架橋反応時に硫黄や加硫促進剤との反応性が高く、架橋速度を制御しやすく、良好な機械物性が得られやすいことからENBが好ましい。非共役ポリエン(a4)は一種単独で用いても、二種以上を用いてもよい。
【0025】
上記共重合体(A)が、上記非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位を含む場合、その割合は本発明の目的を損なわない範囲において特に限定されるものではないが、通常、0~20質量%、好ましくは0~8質量%、より好ましくは0.01~8質量%程度の質量分率で含む(ただし、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の質量分率の合計を100質量%とする)。
【0026】
上記共重合体(A)は、前述したエチレン(a1)、炭素原子数3~20のα-オレフィン(a2)、非共役ポリエン(a3)、および非共役ポリエン(a4)から選ばれる少なくとも1種のモノマーとして、バイオマス由来のモノマーを含んでいてもよい。
【0027】
上記共重合体(A)は、下記要件(i)~(v)を満たす。
(i)エチレン(a1)に由来する構造単位と、α-オレフィン(a2)に由来する構造単位とのモル比[(a1)/(a2)]が、40/60~99.9/0.1である。
(ii)非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率が、共重合体(A)100質量%中、0.07質量%~10質量%である。
(iii)共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、下記式(1)を満たす。
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/(a3)の分子量≦80 …(1)
(iv)レオメーターを用いて線形粘弾性測定(190℃)により得られた、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*
(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*
(ω=0.1)/η*
(ω=100))と、極限粘度[η]と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率)とが、下記式(2)を満たす。
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×6 …(2)
(v)3D-GPCを用いて得られた、1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが下記式(3)を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) ‥ 式(3)
【0028】
≪要件(i)≫
要件(i)は、上記共重合体(A)中のエチレン(a1)/α-オレフィン(a2)のモル比が40/60~99.9/0.1を満たすことを特定するものであり、このモル比は、好ましくは50/50~90/10、より好ましくは55/45~85/15、さらに好ましくは55/45~78/22である。
【0029】
要件(i)を満たす共重合体(A)を用いることにより、ゴム弾性、機械的強度および柔軟性に優れたエチレン系共重合体組成物を得ることができる。なお、共重合体(A)中のエチレン量(エチレン(a1)に由来する構成単位の含量)およびα-オレフィン量(α-オレフィン(a2)に由来する構成単位の含量)は、13C-NMRにより求めることができる。
【0030】
≪要件(ii)≫
要件(ii)は、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率が、上記共重合体(A)100質量%中(すなわち全構成単位の質量分率の合計100質量%中)、0.07質量%~10質量%の範囲であることを特定するものである。この非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率は、好ましくは0.1質量%~8.0質量%、より好ましくは0.5質量%~5.0質量%である。
【0031】
要件(ii)を満たす共重合体(A)は、充分な硬度を有し、機械特性に優れたものとなり、また、過酸化物を用いて架橋した場合、早い架橋速度を示すものとなる。なお、共重合体(A)中の非共役ポリエン(a3)量(非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の含量)は、13C-NMRにより求めることができる。
【0032】
≪要件(iii)≫
要件(iii)は、上記共重合体(A)において、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、共重合体(A)中における非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率:質量%)と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)とが、上記式(1)を満たすことを特定するものである。要件(iii)の上記式(1)は、下記式(1')であることが好ましい。
4.5≦Mw×(a3)の質量分率/100/(a3)の分子量≦75 …(1')
【0033】
上記共重合体(A)が、要件(iii)を満たすことにより、非共役ポリエン(a3)に由来する構造単位の含有量が適切であり、十分な架橋性能を示し、架橋速度に優れるとともに、優れた機械特性を示すエチレン系共重合体組成物を製造することができる。なお、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、3D-GPCで測定される数値を意味する。
【0034】
上記共重合体(A)において、「Mw×(a3)の質量分率/100/(a3)の分子量」が上記式(1)又は(1')を満たす場合、架橋程度が適切となり、機械的物性と耐熱老化性とがバランスよく優れたエチレン系共重合体組成物を製造することができる。「Mw×(a3)の質量分率/100/(a3)の分子量」の値が低すぎると、架橋性が不足して架橋速度が遅くなることなることがあり、また該値が高すぎると、過度に架橋が生じて機械的物性が悪化することがある。
【0035】
≪要件(iv)≫
要件(iv)は、上記共重合体(A)の、レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.1)(Pa・sec)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*
(ω=100)(Pa・sec)との比P(η*
(ω=0.1)/η*
(ω=100))と、極限粘度[η]と、上記非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率:質量%)とが、上記式(2)を満たすことを特定するものである。要件(iv)の上記式(2)は、下記式(2')であることが好ましい。
P/([η]2.9)≦(a3)の質量分率×5.7 …(2')
【0036】
ここで、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.1)と、周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*
(ω=100)との比P(η*
(ω=0.1)/η*
(ω=100))は、粘度の周波数依存性を表すものであって、式(2)の左辺にあたるP/([η]2.9)は、短鎖分岐や分子量などの影響はあるものの、長鎖分岐が多い場合に高い値を示す傾向がある。一般に、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体では、非共役ポリエンに由来する構成単位を多く含むほど、長鎖分岐を多く含む傾向があるが、本発明の共重合体(A)は、従来公知のエチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体よりも長鎖分岐が少ないことにより、上記式(2)を満たすことができると考えられる。
【0037】
本発明において、P値は、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%、周波数を変えた条件で測定を行って求めた、0.1rad/sでの複素粘度と、100rad/sでの複素粘度とから、比(η*比)を求めたものである。なお、極限粘度[η]は、135℃のデカリン中で測定された値を意味する。
【0038】
≪要件(v)≫
上記共重合体(A)は、3D-GPCを用いて得られた1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)と、重量平均分子量(Mw)の自然対数[Ln(Mw)]とが、下記式(3)を満たし、好ましくは下記式(3')を満たす。
LCB1000C≦1-0.07×Ln(Mw) …(3)
LCB1000C≦1-0.071×Ln(Mw) …(3')
上記式(3)又は(3')により、上記共重合体(A)の単位炭素数当たりの長鎖分岐含量の上限値が特定される。
【0039】
このような共重合体(A)は、含まれる長鎖分岐の割合が少なく、過酸化物を用いて架橋を行う場合の硬化特性に優れるとともに、耐熱老化性に優れたエチレン系共重合体組成物を得ることができる。
【0040】
ここで、重量平均分子量(Mw)と1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000C)は、3D-GPCを用いた構造解析法により求めることができる。具体的には、以下の通りである。
【0041】
3D-高温GPC装置PL-GPC220型(Polymer Laboratories社製)を用い、重量平均分子量(Mw)および絶対分子量分布を求め、同時に粘度計で極限粘度を求める。主な測定条件は以下の通り。
検出器:示差屈折率計/GPC装置内蔵
2角度光散乱光度計PD2040型(Precison Detectors社製)
ブリッジ型粘度計PL-BV400型(Polymer Laboratories社製)
カラム:TSKgel GMHHR-H(S)HT×2本+TSKgel GMHHR-M(S)×1本
(いずれも1本当たり内径7.8mmφ×長さ300mm)
温度:140℃
移動相:1,2,4-トリクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
注入量:0.5mL
試料濃度:ca 1.5mg/mL
試料濾過:孔径1.0μm焼結フィルターにて濾過
【0042】
上記において、絶対分子量の決定に必要なdn/dc値は、標準ポリスチレン(分子量190000)のdn/dc値0.053と単位注入質量あたりの示差屈折率計の応答強度より、試料ごとに決定する。
【0043】
粘度計より得られた極限粘度と光散乱光度計より得られた絶対分子量の関係より、溶出成分毎の長鎖分岐パラメーターg'iを下記式(v-1)から算出する。
【0044】
【数1】
ここで、[η]=KM
v;v=0.725の関係式を適用する。Mは3D-GPCから求められる絶対分子量の値であり、Kは粘度係数である。
【0045】
また、g'として各平均値を下記式(v-2)、(v-3)、(v-4)から算出する。なお、短鎖分岐のみを有すると仮定したTrendlineは試料ごとに決定する。
【0046】
【0047】
更にg'wを用いて、分子鎖あたりの分岐点数BrNo、炭素1000個あたりの長鎖分岐数LCB1000C、単位分子量あたりの分岐度λを算出する。BrNo算出はZimm-Stockmayerの下記式(v-5)、また、LCB1000Cとλの算出は下記式(v-6)、(v-7)を用いる。gは慣性半径Rgから求められる長鎖分岐パラメーターであり、極限粘度から求められるg'との間に次の単純な相関付けが行われている。式中のεは分子の形に応じて種々の値が提案されている。ここではε=1(すなわちg'=g)と仮定して計算する。
【0048】
【数3】
λ=BrNo/M …(V-6)
LCB
1000C=λ×14000 …(V-7)
式(V-7)中、「14000」はメチレン(CH
2)単位で1000個分の分子量を表す。
【0049】
上記共重合体(A)の極限粘度[η]は、好ましくは0.1~5dL/g、より好ましくは0.5~5.0dL/g、さらに好ましくは0.9~4.0dL/gである。
【0050】
また、上記共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000~700,000、より好ましくは30,000~600,000、さらに好ましくは50,000~500,000である。
【0051】
上記共重合体(A)は、上記の極限粘度[η]および重量平均分子量(Mw)を兼ね備えて満たすことが好ましい。
【0052】
上記共重合体(A)では、上述したように、非共役ポリエン(a3)がVNBを含むことが好ましく、VNBであることがより好ましい。すなわち、上述した式(1)、式(2)および後述する式(4)等において、「(a3)の質量分率」が「VNBの質量分率」(質量%)であることが好ましい。
【0053】
上記共重合体(A)は、上述したように、上記(a1)、(a2)および(a3)に由来する構造単位に加えて、さらに、上記非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位を、0質量%~20質量%の質量分率(ただし、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)の質量分率の合計を100質量%とする)で含むことも好ましい。この場合には、下記(vi)の要件を満たすことが好ましい。
【0054】
≪要件(vi)≫
上記共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)と、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位の質量分率((a4)の質量分率(質量%))と、非共役ポリエン(a3)の分子量((a3)の分子量)と、非共役ポリエン(a4)の分子量((a4)の分子量)とが、下記式(4)を満たす。
4.5≦Mw×{((a3)の質量分率/100/(a3)の分子量)+((a4)の質量分率/100/(a4)の分子量)}≦85 …(4)
式(4)では、共重合体1分子中の非共役ジエン((a3)と(a4)の合計)の含量を特定している。
【0055】
上記(a4)に由来する構造単位を含む共重合体(A)が式(4)を満たすことにより、機械物性および耐熱老化性に優れたエチレン系共重合体組成物を得ることができる。
要件(vi)を満たさず、式(4)中の「Mw×{((a3)の質量分率/100/(a3)の分子量)+((a4)の質量分率/100/(a4)の分子量)}」の値が低すぎると、すなわち非共役ジエンの含量が少なすぎると、十分な架橋がなされず適切な機械物性が得られないことがあり、該値が高すぎると、すなわち非共役ジエンの含量が多すぎると、架橋が過剰となり機械物性が悪化することがあり、さらに耐熱老化性が悪化することもある。
【0056】
≪要件(vii)≫
上記共重合体(A)は、特に限定されるものではないが、レオメーターを用いた線形粘弾性測定(190℃)により得られる、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.01)(Pa・sec)と、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*
(ω=10)(Pa・sec)と、非共役ポリエン(a3)に由来する見かけのヨウ素価とが、下記式(5)を満たすことが好ましい。
Log{η*
(ω=0.01)}/Log{η*
(ω=10)}≦0.0753×{非共役ポリエン(a3)に由来する見かけのヨウ素価}+1.42 …(5)
【0057】
ここで、複素粘度η*
(ω=0.01)および複素粘度η*
(ω=10)は、要件(iv)における複素粘度η*
(ω=0.1)および複素粘度η*
(ω=100)と測定周波数以外は同様にして求められる。また、非共役ポリエン(a3)に由来する見かけのヨウ素価は、次式により求められる。
(a3)に由来する見かけのヨウ素価=(a3)の質量分率×253.81/(a3)の分子量
【0058】
上記式(5)において、左辺は長鎖分岐量の指標となる剪断速度依存性を表し、右辺は重合時に長鎖分岐として消費されていない非共役ポリエン(a3)の含有量の指標を表す。上記共重合体(A)が上記式(5)を満たすと、長鎖分岐の程度が高すぎないため好ましい。一方、上記式(5)を満たさない場合、共重合した非共役ポリエン(a3)のうち、長鎖分岐の形成に消費された割合が多いこと分かる。
【0059】
さらに、上記共重合体(A)は、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位を十分な量で含有することが好ましく、共重合体中における非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の質量分率((a3)の質量分率(質量%))と、共重合体の重量平均分子量(Mw)とが、下記式(6)を満たすことがより好ましい。
6-0.45×Ln(Mw)≦(a3)の質量分率≦10 …(6)
【0060】
また、上記共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の数(na3)が、好ましくは6個以上、より好ましくは6個以上80個以下、さらに好ましくは7個以上79個以下、特に好ましくは10個以上78個以下である。
【0061】
このような共重合体(A)は、VNBなどの非共役ポリエン(a3)から導かれる構成単位を十分な量で含有し、かつ、長鎖分岐含有量が少なく、過酸化物を用いて架橋を行う場合の硬化特性に優れ、成形性がよく、機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、特に耐熱老化性に優れる。
【0062】
また、上記共重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位の数(na4)が、好ましくは29個以下、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは1個未満である。
【0063】
このような共重合体(A)は、ENBなどの非共役ポリエン(a4)から導かれる構成単位の含有量が本発明の目的を損なわない範囲に抑制されており、後架橋を生じにくく、十分な耐熱老化性を有する。
【0064】
ここで、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a3)に由来する構成単位の数(na3)または非共役ポリエン(a4)に由来する構成単位の数(na4)は、非共役ポリエン(a3)または(a4)の分子量と、共重合体中における非共役ポリエン(a3)または(a4)に由来する構成単位の質量分率((a3)または(a4)の質量分率(質量%))と、共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)とから、下記式により求めることができる。
【0065】
(na3)=(Mw)×{(a3)の質量分率/100}/非共役ポリエン(a3)の分子量
(na4)=(Mw)×{(a4)の質量分率/100}/非共役ポリエン(a4)の分子量
【0066】
上記共重合体(A)において、重量平均分子量(Mw)あたりの、非共役ポリエン(a3)および(a4)に由来するそれぞれの構成単位の数(na3)および(na4)が、いずれも上記の範囲を満たす場合、共重合体(A)は、長鎖分岐含有量が少なく、かつ、過酸化物を用いて架橋を行う場合の硬化特性に優れ、成形性がよく、機械的特性などの物性バランスに優れるとともに、後架橋を生じにくく特に耐熱老化性に優れたものとなるため好ましい。
【0067】
<共重合体(A)の製造>
上記共重合体(A)は、エチレン(a1)と、α-オレフィン(a2)と、非共役ポリエン(a3)と、必要に応じて非共役ポリエン(a4)とからなるモノマーを共重合してなる共重合体である。
【0068】
上記共重合体(A)は、上記要件(i)~(v)を満たす限りにおいて、どのような製法で調製されてもよいが、メタロセン化合物の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることが好ましく、メタロセン化合物を含む触媒系の存在下にモノマーを共重合して得られたものであることがより好ましく、特定のメタロセン化合物を含有する重合触媒の存在下で共重合を行う工程(1)と、触媒失活剤としてアルコールを添加して前記重合触媒の失活を行う工程(2)とを含む方法により得られたものであることがさらに好ましい。
【0069】
上記共重合体(A)の具体的な製造方法としては、例えば、国際公開第2015/122495号、国際公開第2019/180802号に記載のメタロセン触媒を用いた製造方法を採用することにより製造することができる。
【0070】
<カーボンブラック(B)>
本発明で用いられるカーボンブラック(B)は、ゴム組成物に配合される公知のゴム補強剤の一種であり通常、カーボンブラックと呼称されている無機物である。
【0071】
カーボンブラック(B)としては、例えば、旭#55G、旭#60G(以上、旭カーボン(株)製)、シースト(SRF、GPF、FEF、MAF、HAF、ISAF、SAF、FT、MT、G-SO等)(以上、東海カーボン(株)製)などの公知のものを使用することができる。これらは、単独で使用することもできるし、併用することもできる。また、シランカップリング剤などで表面処理したものを使用することもできる。
【0072】
本発明の組成物中のカーボンブラック(B)の配合量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、10~300質量部、好ましくは15~200質量部、より好ましくは20~150質量部、さらに好ましくは25~120質量部である。
【0073】
カーボンブラック(B)の配合量が前記範囲内であることにより、引張強度および耐摩耗性などの機械的性質が向上された架橋成形体を得ることができ、架橋成形体の他の物性を損なうことなくその硬度を高くすることができ、さらに架橋成形体の製造コストを引下げることができる。
【0074】
<変性シリコーンオイル(C)>
本発明で用いられる変性シリコーンオイル(C)は、不飽和炭素-炭素結合を含む。前記不飽和炭素-炭素結合としては、炭素-炭素二重結合および炭素-炭素三重結合が挙げられる。
【0075】
前記変性シリコーンオイル(C)としては、例えば、メタクリル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイルなどが挙げられる。これらの中では、低摩擦性の維持に優れた架橋体を形成できることから、メタクリル変性シリコーンオイルが好ましい。なお、変性シリコーンオイル(C)は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0076】
前記変性シリコーンオイル(C)の25℃における動粘度は、好ましくは30~500mm2/s、より好ましくは50~400mm2/s、さらに好ましくは100~300mm2/sである。前記動粘度が前記範囲内であることにより、低摩擦性の維持に優れた架橋体を得ることができる。
【0077】
本発明の組成物中の変性シリコーンオイル(C)の配合量は、前記共重合体(A)100質量部に対して、0.1~40質量部、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは1~10質量部である。変性シリコーンオイル(C)の配合量が前記範囲内であることにより、低摩擦性の維持に優れた架橋体を得ることができる。
【0078】
<有機過酸化物架橋剤(D)>
本発明の組成物に配合してもよい有機過酸化物系架橋剤(D)は、架橋剤の一種であり、具体的には、ジクミルペルオキシド(DCP)、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド等が挙げられる。
【0079】
このうちでは、ジクミルペルオキシド(DCP)、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルペルオキシ)バレレート等の2官能性の有機過酸化物が好ましく、中でも、2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサンが最も好ましい。
【0080】
有機過酸化物系架橋剤(D)を用いる場合、その配合量は、上記共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.2~15質量部、さらに好ましくは0.5~10質量部である。有機過酸化物の配合量が上記範囲内であると、共重合体組成物が優れた架橋特性を示すので好適である。
【0081】
また、有機過酸化物系架橋剤(D)を用いる場合、架橋助剤を併用することが好ましい。架橋助剤として、例えば、イオウ;p-キノンジオキシム等のキノンジオキシム系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のアクリル系架橋助剤;ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系架橋助剤;マレイミド系架橋助剤;ジビニルベンゼン;酸化亜鉛(例えば、ZnO#1・酸化亜鉛2種(JIS規格(K-1410))、ハクスイテック(株)社製)、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名:井上石灰工業(株)製)などの酸化亜鉛)等の金属酸化物などが挙げられる。架橋助剤の配合量は、有機過酸化物系架橋剤(D)1モルに対して、通常0.5~10モル、好ましくは0.5~7モル、より好ましくは1~5モルである。
【0082】
<軟化剤(E)>
本発明の組成物に配合してもよい軟化剤(E)としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤;コールタール等のコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ等のロウ類;ナフテン酸、パイン油、ロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、炭化水素系合成潤滑油、トール油、サブ(ファクチス)などが挙げられ、これらのうちでは、石油系軟化剤、炭化水素系合成潤滑油が好ましく、プロセスオイル、液状エチレン・プロピレン共重合体が特に好ましい。
【0083】
軟化剤(E)の配合量は、上記共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1~100質量部、より好ましくは5~90質量部である。軟化剤(E)の配合量が前記範囲内にあれば、加工性、耐熱老化性、機械的性質等に優れたゴム組成物を得ることができる。
【0084】
<老化防止剤(F)>
本発明の組成物に配合してもよい老化防止剤(F)としては、従来公知の老化防止剤、例えば、アミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤などが挙げられる。
【0085】
さらに、老化防止剤として、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p―フェニレンジアミン等の芳香族第2アミン系老化防止剤;ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等が挙げられる。
【0086】
これらの老化防止剤(F)は、1種単独で、あるいは2種以上の組み合わせで用いることができ、その配合量は、上記共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~20質量部、より好ましくは0.5~15質量部、さらに好ましくは1.0~10質量部である。
【0087】
<その他の成分>
本発明の組成物は、上記成分(A)~(F)以外の他の添加剤、例えば、加工助剤、活性剤、無機充填剤、吸湿剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤等を配合してもよい。
【0088】
〈加工助剤〉
加工助剤としては、一般に加工助剤としてゴムに配合されるものを広く使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛またはエステル類等が挙げられる。これらのうち、ステアリン酸が好ましい。
【0089】
〈活性剤〉
活性剤としては、例えば、ジ-n-ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエラノールアミン等のアミン類;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、レシチン、トリアリルートメリレート、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸の亜鉛化合物等の活性剤;過酸化亜鉛調整物;クタデシルトリメチルアンモニウムブロミド、合成ハイドロタルサイト、特殊四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0090】
〈無機充填剤〉
無機充填剤の具体例としては、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどの1種類または2種類以上が使用され、これらのうちでは、「ホワイトンSB」(商品名:白石カルシウム株式会社)等の重質炭酸カルシウムが好ましい。
【0091】
〈吸湿剤〉
吸湿剤の具体例としては、酸化カルシウム、シリカゲル、硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
【0092】
<ゴム組成物の調製方法>
本発明のゴム組成物は、たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー(密閉式混合機)類により、上記成分(A)~(C)、および必要に応じて、軟化剤(E)、老化防止剤(F)、加工助剤等の他の成分を、80~190℃の温度で1~20分間混練する。次いで、得られたブレンド物に、架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤等の添加剤をオープンロールのようなロール類またはニーダーを使用して、必要に応じて加硫促進剤、架橋助剤を追加混合し、ロール温度40~80℃で5~30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。
【0093】
また、インターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、上記成分(A)~(C)、および必要に応じて、軟化剤(E)、老化防止剤(F)、加工助剤等とともに上記有機過酸化物系架橋剤(D)および各種添加剤を同時に混練してもよい。
【0094】
[架橋体]
本発明の架橋体は、本発明のゴム組成物を架橋して得られる。
前記ゴム組成物から架橋体を製造するには、一般のゴムを加硫するときと同様に、未加硫のゴム組成物を上述したような方法で調製し、次に、このゴム組成物を意図する形状に成形した後に加硫を行えばよい。
【0095】
前記のようにして調製された未加硫のゴム組成物は、種々の成形法により成形、加硫することができるが、圧縮成形、射出成形、注入成形などの型成形により成形、加硫する場合に最もその特性を発揮することができる。
【0096】
圧縮成形の場合、たとえば、予め秤量した未加硫のゴム組成物を型に入れ、型を閉じた後120~270℃の温度で、30秒~120分加熱することにより、目的とする架橋体が得られる。
【0097】
射出成形の場合、たとえば、リボン状あるいはペレット状のゴム組成物をスクリューにより予め設定した量だけポットに供給する。引き続き予備加熱されたゴム組成物をプランジャーにより金型内に1~20秒で送り込む。ゴム組成物を射出した後120~270℃の温度で、30秒~120分加熱することにより、目的とする架橋体が得られる。
【0098】
注入成形の場合、たとえば、予め秤量したゴム組成物をポットに入れピストンにより金型内に1~20秒で注入する。ゴム組成物を注入した後120~270℃の温度で、30秒~120分加熱することにより、目的とする架橋体が得られる。
【0099】
<架橋体の用途>
本発明のゴム組成物から得られた架橋体を所望の形状に成形することにより様々な製品を得ることができる。本発明の架橋体は、低摩擦性の維持に優れるので、摺動シールとして好適に使用することができる。
【実施例0100】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に言及しない限り、「部」は「質量部」を示す。
【0101】
[測定・評価方法]
以下の実施例および比較例において、各物性および特性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
【0102】
(1)エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)の物性
<共重合体(A)の組成>
共重合体(A)の、各構造単位のモル比、および質量分率(質量%)は、13C-NMRによる測定値により求めた。測定値は、ECX400P型核磁気共鳴装置(日本電子製)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13C-NMRのスペクトルを測定して得た。
【0103】
<極限粘度>
極限粘度[η]は、(株)離合社製 全自動極限粘度計を用いて、温度:135℃、測定溶媒:デカリンにて測定した。
【0104】
<複素粘度η*>
レオメーターとして、粘弾性測定装置Ares(Rheometric Scientific社製)を用い、190℃、歪み1.0%の条件で、周波数ω=0.01rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.01)、周波数ω=0.1rad/sでの複素粘度η*
(ω=0.1)、周波数ω=10rad/sでの複素粘度η*
(ω=10)および周波数ω=100rad/sでの複素粘度η*
(ω=100)(いずれも単位はPa・sec)を測定した。また、得られた結果よりη*
(ω=0.1)とη*
(ω=100)との複素粘度の比(η*比)であるP値(η*
(ω=0.1)/η*
(ω=100))を算出した。
【0105】
<重量平均分子量(Mw)および1000炭素原子あたりの長鎖分岐数(LCB1000c)>
上述した3D-GPCを用いた構造解析法により求めた。
【0106】
(2)ゴム組成物の物性(未加硫ゴム物性)
<ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)>
100℃におけるムーニー粘度(ML(1+4)100℃)は、JIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計((株)島津製作所製SMV202型)を用いて、100℃の条件下で測定した。
【0107】
(3)架橋体の物性(加硫ゴム物性)
<モジュラス(MPa)、引張破断点応力(MPa)、引張破断点伸び(%)>
シートを打抜いてJIS K 6251(1993年)に記載されている3号形ダンベル試験片を調製し、この試験片を用いてJIS K6251第3項に規定される方法に従い、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張り試験を行ない、100%伸張時のモジュラス(M100)、200%伸張時のモジュラス(M200)引張破断点応力(TB)および引張破断点伸び(EB)を測定した。
【0108】
<デュロメーターA硬度>
JIS K 6253に従い、シートの硬度(タイプAデュロメータ、HA)の測定は、平滑な表面をもっている厚み2mmの架橋シート6枚を用いて、平らな部分を積み重ねて厚み約12mmとして行った。ただし、試験片に異物の混入したもの、気泡のあるもの、およびキズのあるものは用いなかった。また、試験片の測定面の寸法は、押針先端が試験片の端から12mm以上離れた位置で測定できる大きさとした。
【0109】
<静摩擦係数および動摩擦係数>
静摩擦係数および動摩擦係数の測定は、往復摩耗試験(新東科学社製 30S)により、平滑な表面をもっている厚み2mmの架橋シートを用いて、温度:23±2℃、湿度:50±5RH、試験速度:300mm/min、試験荷重:200gf、ストローク:30mm、相手材:SUS403、12.7mmφ球状の条件下で測定した。
【0110】
<表面拭き取り後の静摩擦係数および動摩擦係数>
表面拭き取り後の静摩擦係数および動摩擦係数は、試験片の測定面をエタノール(特級エタノール、富士フィルム和光純薬(株)製)を十分に浸した紙ワイパー(キムワイプ、日本製紙クラシア製)にて、3往復拭き取り、拭き取った面を使用して、静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。
【0111】
[製造例1]エチレン・プロピレン・VNB共重合体(A-1)の製造
容積300リットルの重合反応器に、ライン1より脱水精製したヘキサン溶媒を58.3L/hr、ライン2よりトリイソブチルアルミニウム(TiBA)を4.5mmol/hr、(C6H5)3CB(C6F5)4を0.150mmol/hr、ジ(p-トリル)メチレン(シクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.030mmol/hrで連続的に供給した。同時に前記重合反応器内に、エチレンを6.6kg/hr、プロピレンを9.3kg/hr、水素を18リットル/hr、VNBを340g/hrで、各々別ラインより連続供給し、重合温度87℃、全圧1.6MPaG、滞留時間1.0時間の条件下で共重合を行なった。
【0112】
前記重合反応器で生成したエチレン・プロピレン・VNB共重合体の溶液を、流量88.0リットル/hrで連続的に排出して温度170℃に昇温(圧力は4.1MPaGに上昇)して相分離器に供給した。このとき、排出ラインには重合禁止剤であるエタノールを、前記重合反応器から抜き出した液体成分中のTiBAに対して0.1mol倍の量で連続的に導入した。
【0113】
前記相分離器において、エチレン・プロピレン・VNB共重合体の溶液を、大部分のエチレン・プロピレン・VNB共重合体を含む濃厚相(下相部)と少量のポリマーを含む希薄相(上相部)とに分離した。
【0114】
分離された濃厚相を85.4リットル/hrで熱交換器に導き、さらにホッパー内に導いて、ここで溶媒を蒸発分離し、エチレン・プロピレン・VNB共重合体(A-1)を7.8kg/hrの量で得た。
【0115】
得られたエチレン・プロピレン・VNB共重合体(A-1)の物性を上記の通り評価した。結果を表1に示す。
【0116】
【0117】
[実施例1]
第一段階として、BB-4型バンバリーミキサー(神戸製鋼所製)を用いて、製造例1で得たエチレン・プロピレン・VNB共重合体(A-1)100質量部を1分間素練りし、次いでこれに、亜鉛華(ZnO#1、ハクスイテック(株)製)5質量部、カーボンブラック(B-1)(旭#60UG、旭カーボン(株)製)80質量部、メタクリル変性シリコーンオイル(C-1)(KF-2012、信越化学工業(株)製、25℃動粘度:60mm2/s)5質量部、軟化剤(E)としてパラフィン系プロセスオイル(E-1)(ダイアナプロセスPW-380、出光興産(株)製)50質量部および液状エチレン・プロピレン共重合体(E-2)(100℃動粘度:2000mm2/s)15質量部、老化防止剤(F)としてフェノール系老化防止剤(F-1)(イルガノックス1010、BASF製)2質量部およびイミダゾール系老化防止剤(F-2)(サンダントMB、三新化学工業(株)製)4質量部、ステアリン酸1質量部を加え、140℃で2分間混練した。その後、ラムを上昇させ掃除を行ない、さらに、1分間混練を行ない、約150℃で混練物を排出し、第一段階の配合物を得た。
【0118】
次に、第二段階として、第一段階で得られた配合物を、6インチロ-ル(日本ロール(株)社製、前ロールの表面温度50℃、後ロールの表面温度50℃、前ロールの回転数16rpm、後ロールの回転数18rpm)に巻き付けて、これに、有機過酸化物系架橋剤(D-1)として2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B、日油(株)製)5.3質量部、共架橋剤としてメタクリル酸亜鉛と酸化亜鉛の混合物(ACTOR ZMA、川口化学工業(株)製)2質量部の配合量で添加して10分間混練することにより未架橋のゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて、その物性を評価した。
【0119】
この未架橋のゴム組成物をシート状に押出成形した後、100トンプレス成形機を用いて180℃で20分間プレスし、厚み2mmの架橋シートを得た。これを用いて、架橋シートの物性を測定した。結果を表2に示す。
【0120】
[実施例2]
実施例1で用いたメタクリル変性シリコーンオイル(C-1)の代わりにメタクリル変性シリコーンオイル(C-2)(X-22-2456、信越化学工業(株)製、25℃動粘度:200mm2/s)5質量部を用い、有機過酸化物(D-1)の量を4.6質量部としたこと以外は実施例1と同様に行い、未架橋のゴム組成物および厚み2mmの架橋シートを得て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1で用いたメタクリル変性シリコーンオイル(C-1)を用いず、有機過酸化物(D-1)の量を4.5質量部としたこと以外は実施例1と同様に行い、未架橋のゴム組成物および厚み2mmの架橋シートを得て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0121】
[比較例2]
実施例1で用いたメタクリル変性シリコーンオイル(C-1)の代わりに未変性のシリコーンオイル(KF-968、信越化学工業(株)製、25℃動粘度:100mm2/s)5質量部を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、未架橋のゴム組成物および厚み2mmの架橋シートを得て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0122】