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  • 特開-スプリンクラ消火設備 図1
  • 特開-スプリンクラ消火設備 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138943
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】スプリンクラ消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/64 20060101AFI20241002BHJP
   G01M 3/20 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A62C35/64
G01M3/20 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049676
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】飯野 浩輔
【テーマコード(参考)】
2E189
2G067
【Fターム(参考)】
2E189CA10
2E189CG01
2E189HA13
2G067AA11
2G067BB02
2G067BB03
2G067CC04
2G067DD27
(57)【要約】
【課題】二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定することができるスプリンクラ消火設備を得る。
【解決手段】予作動弁の二次側配管内に空気または窒素ガス等の不活性ガスが充填されるスプリンクラ消火設備であって、二次側配管の耐圧試験を行う際に、ニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を外部から二次側配管内に充填するための試験用接続部を備え、ニオイセンサを用いた場合には、二次側配管から芳香剤のニオイが漏洩している箇所を定量的に迅速に特定することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予作動弁の二次側配管内に空気または窒素ガス等の不活性ガスが充填されるスプリンクラ消火設備であって、
前記二次側配管の耐圧試験を行う際に、ニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を外部から前記二次側配管内に充填するための試験用接続部
を備えるスプリンクラ消火設備。
【請求項2】
前記試験用接続部は、前記芳香剤が入った芳香剤充填部を含み、前記芳香剤充填部は、常時は閉じたバルブを介して前記二次側配管と接続される 請求項1に記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項3】
前記二次側配管から前記芳香剤のニオイが漏洩したことを検出するニオイセンサ
をさらに備える請求項1または2に記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項4】
前記二次側配管の耐圧試験は、建物竣工前の天井材が張っていない、二次側配管が露出された状態で行われる
請求項3に記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項5】
前記ニオイセンサは、前記二次側配管での漏れが発生しやすい継手あるいはスプリンクラヘッドの近傍に設置されるか、または、天井に設置され、前記ニオイセンサが配管漏れで前記芳香剤のニオイを検知したときには、制御盤にニオイ漏れ信号を送出する
請求項3記載のスプリンクラ消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次側配管内に圧縮空気が充填される乾式の予作動式のスプリンクラ消火設備であり、特に、二次側配管の耐圧試験に適したスプリンクラ消火設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
火災感知器が作動したときに二次側配管の基端側に設けた予作動弁を開放させる設備として、予作動式スプリンクラ消火設備がある(例えば、特許文献1参照)。予作動式スプリンクラ消火設備においては、予作動弁の二次側に接続される二次側配管には、平常時には、圧縮空気が充填されており、水が入っていない。
【0003】
従って、予作動式スプリンクラ消火設備は、スプリンクラヘッドが放水を行うには、感知器が作動しないと放水を行えない構成となっており、スプリンクラヘッドの破損あるいは誤作動による水損に対して信頼性の高い設備を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-219187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
予作動式スプリンクラ消火設備の二次側配管や、エア配管等には、錆の原因になるため水を入れることができない。なお、エア配管は、基端側にコンプレッサを有し、二次側配管に圧縮空気を供給する配管である。
【0006】
そのため、配管施工後は、圧縮空気による耐圧試験を行う。圧縮空気で耐圧試験を行って配管に漏れがある場合は、漏れ箇所の特定には石けん水を配管に塗って泡が発生するか否かを見て、配管の漏れチェックを行っていた。石けん水での漏れ箇所特定には労力がかかるという課題がある。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定することができるスプリンクラ消火設備を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るスプリンクラ消火設備は、予作動弁の二次側配管内に空気または窒素ガス等の不活性ガスが充填されるスプリンクラ消火設備であって、二次側配管の耐圧試験を行う際に、ニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を外部から二次側配管内に充填するための試験用接続部を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定することができるスプリンクラ消火設備を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備の全体構成図である。
図2】本開示の実施の形態1に係るニオイセンサにより検知されるニオイのパターンを例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示のスプリンクラ消火設備の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係るスプリンクラ消火設備は、二次側配管の耐圧試験を行う際に、芳香剤を含む圧縮空気を二次側配管内に充填できる構成を備えていることを技術的特徴とするものである。このような構成を備えることで、ニオイが漏洩している箇所を見つけ出すことによって、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定することができる。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備の全体構成図である。本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、火災受信機10、制御盤20、ポンプ30、予作動弁40、スプリンクラヘッド50、火災感知器60を備えており、予作動式スプリンクラ消火設備として構成されている。
【0013】
また、種々の配管経路には、継手70、および流路の開閉状態を切り換えるバルブV81、V82が設けられている。図1において、白抜きの記号で表示されたバルブV81は、常時開(ノーマルオープン)のバルブを意味し、黒で塗りつぶされた記号で表示されたバルブV82は、常時閉(ノーマルクローズ)のバルブを意味している。
【0014】
また、本実施の形態1に係るスプリンクラ消火設備は、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定するための構成として、試験用接続部100、芳香剤充填部111、およびコンプレッサ112をさらに備えている。
【0015】
なお、二次側配管内には、図示しないエア配管を介してコンプレッサにより圧縮空気が充填される。この圧縮空気に代えて、窒素ガス等の不活性ガスを二次側配管に充填してもよい。つまり、二次側配管内は、水でなく気体が充填された乾式の予作動式消火設備を構成している。
【0016】
なお、図1では、複数の監視区画のうち、1つの監視区画について、内部構成を具体的に示している。また、それぞれの監視区画内における各機器のレイアウトは、実際の監視対象に応じて、所望の構成を採用することができる。
【0017】
スプリンクラヘッド50は、閉鎖型スプリンクラヘッドからなり、火災の熱によりスプリンクラヘッドが開放すると、二次側配管に充填されていた圧縮空気が排出される。その後、予作動弁40が開放されると、ポンプ30によって消火水が送水され、スプリンクラヘッド50から放水が行われ、消火作業に利用される。
【0018】
図1では、地下に水源31がある場合を例示しており、ポンプ30が稼働され、水源31の水が一次側配管および二次側配管を経由して、スプリンクラヘッド50に供給されることで、散水されることとなる。
【0019】
まず初めに、予作動式スプリンクラ消火設備としての機能について説明する。予作動式スプリンクラ設備は、スプリンクラヘッドの破損などによる水損を特に避けたい監視区画に用いられる設備である。
【0020】
このような予作動式スプリンクラ消火設備では、スプリンクラヘッド50とは別に、監視区画において熱、煙あるいは炎を検出する火災感知器60が設けられている。
【0021】
なお、図1では、便宜上、スプリンクラヘッド50と火災感知器60とが1対1で配置されている場合を例示しているが、このような配置には限定されない。実際には、1台の火災感知器60に対して複数のスプリンクラヘッド50を配置する構成となっている。
【0022】
予作動弁40から末端の各スプリンクラヘッド50までの二次側配管内は、平常時には低圧の空気または窒素などの不活性ガスにより加圧されている。
【0023】
一方、火災時において火災感知器60が作動すると、その信号が火災受信機10に送信され、制御盤20を介して開信号が出力されることで、予作動弁40が開状態となる。この結果、二次側配管内に通水される。
【0024】
引き続き、火災の熱によりスプリンクラヘッド50が作動すると、スプリンクラヘッド50より放水され、消火作業が行われる。このように、予作動式スプリンクラ消火設備では、非火災時においてスプリンクラヘッド50が誤作動した場合にも、予作動弁40が閉状態であり、かつ、二次側配管内が充水されていないため、水損を防止することができる。
【0025】
次に、本実施の形態1に係る特徴的な構成である試験用接続部100、芳香剤充填部111、およびコンプレッサ112について説明する。この特徴的な構成を採用することで、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を、ニオイに基づいて容易に特定することができる。
【0026】
試験用接続部100は、常時閉のバルブV101、V102と、継手103、104とを備えて構成されている。また、図示しないが、コンプレッサ112にて配管内の圧力を高める際、所定の圧力値を維持し、圧力が低下しないことを監視するための圧力計が試験用接続部100内に設けられる。
【0027】
なお、試験用接続部100は、二次側配管の末端側に設けているが、この設置場所は特に限定されない。例えば、二次側配管の基端側、つまり予作動弁の上方あたりに試験用接続部100が接続可能な耐圧試験の試験治具(継手103、バルブV82、バルブV101)を設けて、そこに芳香剤充填部111およびコンプレッサ112を接続するようにしてもよい。
【0028】
一般的な予作動式スプリンクラ消火設備における二次側配管の端末部分には、常時閉のバルブV82が設けられている。このバルブV82は、末端試験弁と呼ばれ、試験時に手動で開放させることで、スプリンクラヘッド50が動作したと同じ状態を二次側配管に作って、図示しない流水検知装置の動作を確認する。なお、制御盤20は、必要に応じて、開指令を出力することによりバルブV82を自動で開状態にできるようにしてもよい。
【0029】
本開示に係るスプリンクラ消火設備では、排水経路に設けられたバルブV82の前段に、継手103を設け、二次側配管の端末部分における経路を2つに分岐している。そして、継手103によって分岐された後段には、図1に示すように、バルブV101、継手104、およびバルブV102からなる分岐経路が構成されている。
【0030】
継手104により分岐された配管経路の一端には、匂いの元となる芳香剤が入った芳香剤充填部111が接続されている。また、継手104により分岐された配管経路の他端には、バルブV102を介してコンプレッサ112が接続されている。
【0031】
従って、制御盤20は、二次側配管の耐圧試験を行う際に、開指令を出力することによりバルブV101およびバルブV102を開状態とすることで、ニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を外部から二次側配管内に充填することができる。
【0032】
ところで、芳香剤充填部111は、常時は閉じたバルブV101を介して二次側配管と接続されている。このため、耐圧試験時以外で芳香剤充填部111に充填された芳香剤が二次側配管側に流入することはなく、芳香剤によって配管が腐食する等の影響を受けにくくしてある。
【0033】
二次側配管内で漏れ、スプリンクラヘッドの破損などが発生していた場合には、その発生箇所から芳香剤を含む圧縮空気が漏洩することとなる。従って、二次側配管の耐圧試験を行う試験員は、芳香剤のニオイ(匂い)の発生源を見つけ出すことで、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定することができる。
【0034】
なお、芳香剤のニオイの発生源を見つけ出すために、ニオイセンサを用いることも可能である。ニオイセンサとしては、一例として、トランスデューサおよび複数種類の感応膜を備えた水晶振動子式のセンサを用いることができる。
【0035】
ここで、感応膜とは、ニオイ成分を吸着すると感応するセンサである。感応膜は、水晶基板の面上に、電極とともに設けられており、電極に電圧が加えられることにより振動する。この感応膜の振動周波数は、ニオイ成分が吸着すると、吸着したニオイ成分の重量に応じて変化する。
【0036】
トランスデューサは、感応膜に生ずる振動周波数の変化を検知し、この変化量を、デジタル処理可能な形式のデータに変換する。
【0037】
ニオイセンサは、各感応膜に応じたニオイの検出値を、規定の周期によって取得することにより、検出値の時間的な変化をあらわす波形を生成する。一例として、本実施の形態1におけるニオイセンサでは、16種類の異なる感応膜を用いることができる。
【0038】
従って、ニオイセンサは、感応膜の種類に対応して16チャネルの波形を生成し、ニオイ検知信号として出力することができる。この16チャネルの波形を組み合わせたパターンを、ニオイのパターンまたは単にパターンと称する。
【0039】
ニオイセンサを用いて、芳香剤充填部111に充填されている芳香剤に対応するニオイ検知信号が検出されたか否かを測定することで、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を定量的に容易に特定することができる。
【0040】
なお、ニオイセンサに関しては、試験員等が持ち運び可能なハンディタイプの構成を採用することが可能である。ところで、二次側配管の耐圧試験を行うのは、建物竣工前の、天井材が張ってなく、配管が露出された状態で行うのが望ましい。これは、天井材が張られてしまうと、配管から僅かに漏れる芳香剤のニオイを検知するのが難しいからである。
【0041】
この配管が露出された状況で耐圧試験を行う場合には、天井(配管)付近まで届く長さを有する点検棒にニオイセンサを取り付け、このニオイセンサを配管付近に沿わせながら、配管からのニオイ漏れがないかを確認する。
【0042】
なお、建物において、天井材が張られた後に耐圧試験を行っても構わない。この場合には、二次側配管での漏れが発生しやすい継手70あるいはスプリンクラヘッド50の近傍にニオイセンサを設置しておくことも可能である。あるいは、ニオイセンサを天井に設置するか、または火災感知器にニオイセンサを内蔵させ、ニオイセンサが配管漏れで芳香剤充填部111の芳香剤のニオイを検知したときには、火災受信機10または別の制御盤にニオイ漏れ信号を送出するようにしてもよい。
【0043】
図2は、本開示の実施の形態1に係るニオイセンサにより検知されるニオイのパターンを例示した説明図である。図2では、ニオイのパターンとして、以下のパターンA、パターンB、パターンCの3種に関する検知結果を示している。
【0044】
パターンA:監視エリアにおいて、サーバー、生産設備障害による発煙が発生したときの16チャネルのニオイ検知信号によるパターン。
パターンB:監視エリアにおいて、空調機障害による発煙が発生したときの16チャネルのニオイ検知信号によるパターン。
パターンC:監視エリアにおいて、芳香剤の漏洩が発生したときの16チャネルのニオイ検知信号によるパターン。
【0045】
図2において、ニオイセンサは、パターンAおよびパターンBによる発煙が発生したときのニオイに関しては、16チャネルのうち1番、2番のチャネルが大きく反応し、その他のチャネルについては中程度、もしくは小さく反応するパターンを得ることができている。
【0046】
また、ニオイセンサは、パターンCによる芳香剤の漏洩が発生したときのニオイに関しては、パターンAおよびパターンBと比較すると、16チャネルのうち1番、2番のチャネルが小さく反応し、その一方で、5番、15番、16番のチャネルが大きく反応するパターンを得ることができている。
【0047】
従って、パターンCを、パターンAおよびパターンBと明確に識別でき、発煙と芳香剤の漏洩とを識別することができる。従って、二次側配管での漏れが発生しやすい継手70あるいはスプリンクラヘッド50の近傍にニオイセンサを設置しておく場合には、二次側配管の耐圧試験時における芳香剤のニオイ検出ばかりでなく、火災監視時における発煙を検知するためにもニオイセンサを活用することが可能となる。
【0048】
また、ニオイセンサとしては、複数種類の感応膜を備えており、各感応膜によって検知されたニオイのパターンをニオイ検知信号として出力する水晶振動子式のセンサを採用する代わりに、例えば、以下のような半導体式センサを用いることも可能である。
【0049】
半導体式センサとは、半導体表面におけるニオイ分子の吸着と表面反応によって半導体の抵抗値が変化することを利用する方式を採用するものである。センサ部の上面には、感ガス材料である酸化物半導体SnO(酸化錫)がアルミナ基板上に形成される。一方、センサ部の下面には、加熱用のヒータが取り付けられる。
【0050】
清浄な空気中に置かれた場合、感ガス素子の表面上に酸素が吸着する。酸素は、電子親和力があるため、感ガス素子中の電子をとらえる。このとき、電子の流れが妨げられることから、感ガス素子内部の電気抵抗が増大する。
【0051】
一方、匂いの元となる芳香剤が含まれている臭気ガス中に置いた場合、感ガス素子の表面で臭気ガスと吸着酸素との酸化反応が起こり、吸着酸素が取り去られる。そのため、電子は動きやすくなり、電気抵抗が低下する。
【0052】
ニオイ分子の多くは、還元性のガス体であり、ガスが感ガス素子に接触することで電気抵抗が低下する。従って、大気中に含まれるニオイ分子に応じて電気抵抗が変化するので、電気抵抗の変化を電圧に変換した値をニオイ検知信号として用いることで、芳香剤のニオイを電気的に識別して検出できる。
【0053】
なお、図1に示した具体例では、試験用接続部100に対して芳香剤充填部111およびコンプレッサ112を個々に接続する構成を示したが、芳香剤が含まれた圧縮ボンベを接続する構成など、その他の構成を採用することも可能である。また、芳香剤を二次側配管内に供給できる機構を、試験用接続部100の内部に設けることも可能である。
【0054】
以上のように、実施の形態1によれば、予作動式のスプリンクラ消火設備において二次側配管の耐圧試験を行う際に、ニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を二次側配管内に充填するための機構が設けられている。この結果、芳香剤のニオイが漏洩している場所を見つけ出すことで、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を容易に特定することが可能となる。
【0055】
また、ニオイセンサを用いることで、二次側配管内での漏れ、スプリンクラヘッドの破損などの発生箇所を定量的に特定することが可能となる。この結果、二次側配管の耐圧試験を、定量的に、より迅速に実行することができる。
【0056】
なお、本実施の形態1では、図1に示すように二次側配管にスプリンクラヘッドが取り付けられた状態において、耐圧試験を行う場合について説明したが、二次側配管の耐圧試験を行うにあたって、スプリンクラヘッド取付前の状態であっても構わない。
【0057】
この場合には、二次側配管から立ち上げられた立ち下げ管の先端には、常時は閉じた仕切弁が設けられ、その状態でニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を二次側配管に充填して試験を行う。
【0058】
また、本実施の形態1では、配管内に気体が充填された乾式のスプリンクラ消火設備を例に説明したが、配管内が充水される湿式のスプリンクラ消火設備であっても、その配管の施工完了時に、ニオイの元となる芳香剤を含む圧縮空気を二次側配管に充填して耐圧試験を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 火災受信機、20 制御盤、30 ポンプ、31 水源、40 予作動弁、50 スプリンクラヘッド、60 火災感知器、70 継手、100 試験用接続部、103、104 継手、111 芳香剤充填部、112 コンプレッサ、V81、V82、V101、V102 バルブ。
図1
図2