(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138954
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】合成装置
(51)【国際特許分類】
B01J 4/02 20060101AFI20241002BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
B01J4/02 B
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049690
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 清人
【テーマコード(参考)】
4B029
4G068
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB15
4B029BB20
4G068AA02
4G068AA06
4G068AB15
4G068AC20
4G068AD40
4G068AE05
4G068AF02
4G068AF09
4G068AF36
(57)【要約】
【課題】反応容器へ送るべき溶液の計量を可能とする。
【解決手段】合成装置10は、溶液を収容する一つ又は複数の収容容器7が載る複数の載置部材15と、複数の載置部材15に載る複数の収容容器7から選択的に前記溶液を搬送するための送液手段13と、送液手段13により搬送された溶液を溜め前記溶液を用いた反応が行われる反応容器11と、載置部材15に載る収容容器7の重さを計測する計量機構12とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液を収容する一つ又は複数の収容容器が載る複数の載置部材と、
前記複数の載置部材に載る複数の前記収容容器から選択的に前記溶液を搬送するための送液手段と、
前記送液手段により搬送された溶液を溜め前記溶液を用いた反応が行われる反応容器と、
前記載置部材に載る前記収容容器の重さを計測する計量機構と、
を有する、合成装置。
【請求項2】
前記計量機構として、複数の台秤を有し、
前記載置部材は、計測対象となる前記一つ又は複数の収容容器を載せる前記台秤用の台である、
請求項1に記載の合成装置。
【請求項3】
前記反応容器を搭載する筐体を有し、
前記複数の載置部材及び前記複数の台秤は、前記筐体が有する一つの側面に隣接する一つのスペースに集約して設置されている、
請求項2に記載の合成装置。
【請求項4】
前記反応容器を搭載する筐体を有し、
前記複数の載置部材及び前記複数の台秤は、前記筐体が有する複数の側面それぞれに隣接する複数のスペースに分散して設置されている、
請求項2に記載の合成装置。
【請求項5】
前記反応容器を搭載する筐体を有し、
前記載置部材は、前記筐体が有する側面に沿って前記筐体の外側に配置されていて、
前記計量機構は、前記筐体の内側に設置されている計量器と、前記計量器と前記載置部材とを繋ぐアームと、を有する、
請求項1に記載の合成装置。
【請求項6】
前記複数の載置部材は、前記筐体が有する複数の側面それぞれに沿って分散して設置されている、
請求項5に記載の合成装置。
【請求項7】
前記送液手段は、前記複数の収容容器それぞれと接続される複数の導出管と、前記複数の導出管が合流する合流部と、前記合流部と前記反応容器とを繋ぐ下流側配管と、を有する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の合成装置。
【請求項8】
前記合流部は、前記複数の導出管と接続されている複数の入力ポート、及び、前記下流側配管と接続されている出力ポート、を有し、前記複数の入力ポートのうちの一つを択一的に前記出力ポートと繋げるバルブを有する、
請求項7に記載の合成装置。
【請求項9】
前記下流側配管は、前記バルブと前記反応容器との間に、所定タイミングで閉じる電動バルブを有する、
請求項8に記載の合成装置。
【請求項10】
前記合流部は、前記複数の導出管と前記下流側配管とを接続するジョイント部であり、
前記導出管それぞれは、所定タイミングで閉じる電動バルブを有する、
請求項7に記載の合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の発明は、タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成するための合成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成する方法として、反応容器に複数種類の溶液(試薬)を順に供給し、その反応容器内において反応を進める方法がある。例えば、核酸を合成する場合、反応容器内に粒状の担体(ビーズ)を多数設け、その反応容器に、溶液を順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングの処理を繰り返し行い、担体に塩基を結合させる。
【0003】
前記のような化学合成に用いられる溶液は、数十種類とされることもある。溶液は、種類毎に分けて収容容器(ボトル)に収容される。収容容器と接続される配管を通じて、溶液を選択的に反応容器へ送り、溶液に含まれる分子材料により目的物(核酸)が生成される。このような化学合成を行うための装置として、例えば特許文献1に開示の合成装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の合成装置は、収容容器から送られた溶液を溜める計量容器(中間容器)を、反応容器と別で有する。計量容器に溜まる溶液が、その計量容器と繋がるロードセルによって計量される。これにより正確な量の溶液を、反応容器へ送ることが可能となる。
特許文献1の場合、計量容器を収容する密閉容器(チャンバ)を更に有する。これは、計量容器は上部で開口していることから、計量容器に送られた溶液が外気に触れないようにすること、計量容器の溶液を反応容器に送る手段をガスによる圧送方式としていること、等による。
【0006】
前記のような合成装置において、溶液の無駄を削減するため、反応容器へ送るべき溶液を計量することは必要であり、その手段の開発が求められている。
そこで、本発明は、従来のような反応容器と別である計量容器及びその計量容器を収容する密閉容器を有しなくても、反応容器へ送るべき溶液の計量が可能となる新たな技術的手段を有する合成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の合成装置は、溶液を収容する一つ又は複数の収容容器が載る複数の載置部材と、前記複数の載置部材に載る複数の前記収容容器から選択的に前記溶液を搬送するための送液手段と、前記送液手段により搬送された溶液を溜め前記溶液を用いた反応が行われる反応容器と、前記載置部材に載る前記収容容器の重さを計測する計量機構と、を有する。
【0008】
前記合成装置によれば、収容容器の溶液が送液手段により送られると、その収容容器の重さは減る。計量機構は、収容容器の重さを計測することで、反応容器へ送る溶液の量の調整が可能となる。従来のような計量容器及びその計量容器を収容する密閉容器を有しなくても、反応容器に送るべき溶液の計量が可能となる。
複数の収容容器を載せることが可能である載置部材が存在し、収容容器のためのスペースの効率化が可能となる。
【0009】
(2)好ましくは、前記合成装置は、更に、前記計量機構として、複数の台秤を有し、前記載置部材は、計測対象となる前記一つ又は複数の収容容器を載せる前記台秤用の台である。
この場合、汎用性のある台秤を用いれば、装置コストの低減が可能となる。
【0010】
(3)好ましくは、前記(2)の合成装置は、前記反応容器を搭載する筐体を有し、前記複数の載置部材及び前記複数の台秤は、前記筐体が有する一つの側面に隣接する一つのスペースに集約して設置されている。
前記構成の場合、収容容器を載せる載置部材及び台秤が集約されたエリアと、筐体とが、隣接する。複数の収容容器が一つのエリアに集まることから、複数の載置部材へ収容容器を設置することが容易となる。
【0011】
(4)又は、好ましくは、前記(2)の合成装置は、前記反応容器を搭載する筐体を有し、前記複数の載置部材及び前記複数の台秤は、前記筐体が有する複数の側面それぞれに隣接する複数のスペースに分散して設置されている。
前記構成の場合、筐体の周囲に、載置部材及び台秤のセットを効率よく配置することが可能となる。
【0012】
(5)好ましくは、前記(1)の合成装置は、前記反応容器を搭載する筐体を有し、前記載置部材は、前記筐体が有する側面に沿って前記筐体の外側に配置されていて、前記計量機構は、前記筐体の内側に設置されている計量器と、前記計量器と前記載置部材とを繋ぐアームと、を有する。
前記構成の場合、筐体の側面に沿う部分が、載置部材が位置するエリアとなる。合成装置を一体化した構成が容易に得られる。
【0013】
(6)好ましくは、前記(5)の合成装置において、前記複数の載置部材は、前記筐体が有する複数の側面それぞれに沿って分散して設置されている。
前記構成の場合、筐体の周囲に複数の載置部材を効率よく配置することが可能となる。
【0014】
(7)好ましくは、前記(1)から(6)の前記合成装置は、前記送液手段は、前記複数の収容容器それぞれと接続される複数の導出管と、前記複数の導出管が合流する合流部と、前記合流部と前記反応容器とを繋ぐ下流側配管と、を有する。
この構成により、収容容器それぞれに収容されている溶液を、選択的に反応容器に送るための流路が得られる。
【0015】
(8)前記(7)の合成装置において、前記合流部は、前記複数の導出管と接続されている複数の入力ポート、及び、前記下流側配管と接続されている出力ポート、を有し、前記複数の入力ポートのうちの一つを択一的に前記出力ポートと繋げるバルブを有する。
前記構成により、複数の収容容器それぞれに収容される溶液が、バルブによって択一的に選択されて反応容器に送られる。
【0016】
(9)前記(8)の合成装置において、前記下流側配管は、前記バルブと前記反応容器との間に、所定タイミングで閉じる電動バルブを有する。
前記構成により、前記バルブによって、一つの収容容器と接続されている導出管と、下流側配管とが繋がった状態で、その一つの収容容器から所望の量の溶液が反応容器に送られると、電動バルブは閉じる。つまり、前記所定タイミングは、反応容器に所望の量(設定量)の溶液が供給されたタイミングである。合成装置は、前記バルブを一つ有していれば、複数の収容容器(複数種類の溶液)から溶液が択一的に選択されて反応容器に送られる。
【0017】
(10)前記(7)の合成装置において、前記合流部は、前記複数の導出管と前記下流側配管とを接続するジョイント部であり、前記導出管それぞれは、所定タイミングで閉じる電動バルブを有する。
前記構成の場合、一つの収容容器と接続されている導出管の電動バルブは開いた状態にあって、残りの収容容器と接続されている導出管の電動バルブは閉じた状態にあることで、前記一つの収容容器の溶液が反応容器へ送られる。
前記一つの収容容器から所望の量の溶液が反応容器に送られると、開いた状態にあった電動バルブは閉じる。つまり、前記所定タイミングは、反応容器に所望の量(設定量)の溶液が供給されたタイミングである。合流部に流路を選択するバルブが無くても、複数の収容容器(複数種類の溶液)から溶液が選択的に(択一的に選択されて)反応容器に送られる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来のような計量容器及びその計量容器を収容する密閉容器を有しなくても、反応容器に送るべき溶液の計量が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の合成装置の流路構成の一例を示す構成図である。
【
図2】
図1に示す流路構成の変形例を示す構成図である。
【
図6】
図3から
図5と別である合成装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示す合成装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔合成装置について〕
図1は、本発明の合成装置の流路構成の一例を示す構成図である。
図1に示す合成装置10は、タンパク質、ペプチド、核酸等を化学合成するための装置である。合成装置10は、反応容器11を有する。反応容器11に複数種類の溶液(試薬)Lが順に供給され、その反応容器11内において化学合成が進められる。核酸を合成する場合、反応容器11内に粒状である担体が多数設けられる。担体はビーズとも呼ばれ、例えば、ガラス製やポリマー製である。
【0021】
反応容器11に溶液Lを順次供給しながら、脱トリチル化、カップリング、酸化、及びキャッピングの処理が繰り返し行われ、前記担体から塩基(分子材料)が次々と結合される。化学合成のために用いられる溶液Lは数十種類とされる場合がある。溶液Lは、種類毎に分けられて、収容容器(試薬瓶)7に溜められている。複数の収容容器7の溶液Lが選択的(択一的)に反応容器11へ送られ、溶液Lに含まれる分子材料により目的物(核酸)が生成される。
図1では、四つの収容容器7のみが示されていて、その他の収容容器7については図示省略している。
【0022】
合成装置10は、収容容器7から溶液Lを搬送するための送液手段13を有する。送液手段13は、タンク21、上流側配管22、複数の導入管23、複数の導出管24、合流部25、下流側配管26を有する。
合成装置10は、用いられる溶液Lと同数の収容容器7を設けるエリアQを有する。複数の収容容器7は、エリアQにおいて、複数の載置部材15に分かれて載った状態にある。エリアQの具体的構成、及び、載置部材15については、後に説明する。
合成装置10は、送液手段13が有するバルブ等の動作を制御する制御装置16を有する。制御装置16は、コンピュータにより構成される。
【0023】
送液手段13の具体的構成を説明する。
タンク21に、大気よりも高圧のガス(不活性ガス)が充填されている。前記ガスは、収容容器7の溶液Lを反応容器11へ搬送するために用いられる。前記ガスは、図示しない配管を通じて反応容器11へ供給され、反応容器11で溶液Lを撹拌するためにも用いられる。
【0024】
上流側配管22は、タンク21に接続される配管である。上流側配管22は、レギュレータ31及びバルブ32を有する。
複数の導入管23それぞれは、上流側配管22から分岐した配管であり、複数の収容容器7それぞれに接続される。収容容器7と導入管23とは同数となる。
【0025】
タンク21のガスが、上流側配管22及び導入管23を通じて、収容容器7に供給される。レギュレータ31は、収容容器7の内圧を調整する。バルブ32は、閉じることで、収容容器7へのガスの供給を停止する。
各収容容器7は、密閉容器であり、1本の導入管23及び1本の導出管24と繋がっている。
【0026】
収容容器7と導出管24とは同数となる。導出管24は、収容容器7それぞれと接続される配管である。導出管24は、各収容容器7から溶液Lを導出する。
合流部25は、複数の導出管24が合流する部分である。
図1に示す形態の場合、合流部25は、バルブ40を有する。
【0027】
バルブ40は、複数の導出管24と接続されている複数の入力ポート41と、一つの出力ポート42とを有する。出力ポート42に、一つの下流側配管26が接続されている。バルブ40は、例えばロータリバルブである。バルブ40は、複数の入力ポート41のうちの一つを択一的に出力ポート42と繋げる。バルブ40の動作は、制御装置16によって制御される。
【0028】
下流側配管26は、合流部25と反応容器11とを繋ぐ配管である。
図1に示す形態の場合、下流側配管26は、バルブ40の出力ポート42と反応容器11とを繋ぐ配管である。下流側配管26は、バルブ40と反応容器11との間に、所定タイミングで閉じる電動バルブ35を有する。電動バルブ35の動作は、制御装置16により制御される。
【0029】
タンク21のガスにより収容容器7の内圧が高まり、収容容器7の溶液Lは、導出管24から送り出される。収容容器7の溶液Lは、その収容容器7と反応容器11との差圧で、導出管24、合流部25、及び、下流側配管26を通じて、反応容器11へ圧送される。
図1に示す形態の場合、複数の収容容器7それぞれに収容される溶液Lが、バルブ40によって、択一的に選択されて反応容器11に送られる。
【0030】
バルブ40において、一つの収容容器7と接続されている導出管24と、下流側配管26とが繋がった状態で、その一つの収容容器7から所望の量の溶液Lが反応容器11に送られると、電動バルブ35は閉じる。つまり、電動バルブ35が閉じるタイミング(前記所定タイミング)は、反応容器11に所望の量(設定量)の溶液Lが供給されたタイミングである。制御装置16は、反応容器11への溶液Lの供給量を前記所望の量とする制御を、後述の計量機構12による溶液Lの計量に基づいて行う。
【0031】
以上のように、
図1に示す形態の場合、送液手段13は、複数の収容容器7それぞれと一対一で接続される複数の導出管24と、複数の導出管24が合流する合流部25と、合流部25と一つの反応容器11とを繋ぐ一つの下流側配管26とを有する。送液手段13は、複数の載置部材15に載る複数の収容容器7から選択的(択一的)に溶液Lを搬送する。
【0032】
図1に示す合成装置10は、バルブ40を一つ有していることで、複数の収容容器7(複数種類の溶液L)から溶液Lが、択一的に選択されて反応容器11に送られる。反応容器11は、送液手段13により搬送された溶液Lを溜め、反応容器11において、溶液Lを用いた反応が行われる。反応容器11を通過した溶液Lは、廃液部(廃液タンク)29へ流れる。
【0033】
図2は、
図1に示す流路構成の変形例を示す構成図である。
図2に示す第二の形態は、
図1に示す第一の形態と比較して、送液手段13が有する導出管24及び合流部25が異なる。その他の構成は、第一の形態と第二の形態とで同じである。同じ構成については、同じ符号を付しており、ここではその説明を省略する。
【0034】
第二の形態の場合、合流部25は、複数の導出管24と下流側配管26とを接続するジョイント部45である。具体的に説明すると、ジョイント部45は、複数の配管を合流させる合流管を有して構成される。
図2に示す形態の場合、ジョイント部45は、2本の導出管24を合流させる上流側の合流管46と、合流管46それぞれから下流側に延びる複数の配管48と、複数の配管48を更に合流させる下流側の合流管47とを有する。
【0035】
導出管24それぞれは、所定タイミングで閉じる電動バルブ49を有する。電動バルブ49の動作は、制御装置16により制御される。
図2に示す合成装置10の場合、一つの収容容器7と接続されている導出管24の電動バルブ49は開いた状態にあって、残りの収容容器7と接続されている導出管24の電動バルブ49は閉じた状態にある。これにより、前記一つの収容容器7の溶液Lが、タンク21のガスの圧力により、反応容器11へ送られる。
【0036】
前記一つの収容容器7から所望の量の溶液Lが反応容器11に送られると、開いた状態にあった電動バルブ49は閉じる。つまり、電動バルブ49を閉じるタイミング(前記所定タイミング)は、反応容器11に所望の量(設定量)の溶液が供給されたタイミングである。制御装置16は、反応容器11への溶液Lの供給量を前記所望の量とする制御を、後述の計量機構12による溶液Lの計量に基づいて行う。
【0037】
図2に示す形態の場合、合流部25に流路を選択するバルブが無くても、複数の収容容器7(複数種類の溶液L)から溶液Lを択一的に選択して、反応容器11に送ることが可能である。
反応容器11は、送液手段13により搬送された溶液Lを溜め、反応容器11において、溶液Lを用いた反応が行われる。反応容器11を通過した溶液Lは、廃液部(廃液タンク)29へ流れる。
【0038】
〔計量機構12及び収容容器7のエリアQについて(その1)〕
図3は、合成装置10の概略構成を示す斜視図である。合成装置10は、装置本体として筐体14を有する。
図3に示す筐体14は、直方体形状を有するが、部分的に凹凸を有していてもよく、その形状は限定されない。筐体14は、反応容器11を搭載する。反応容器11は、筐体14が有する第一の側面17aに取り付けられている。
図3に示す形態の場合、筐体14の周囲が、収容容器7を設けるエリアQとなる。
【0039】
合成装置10は、収容容器7が載る複数の載置部材15と、載置部材15に載る収容容器7の重さを計測する計量機構12とを有する。
載置部材15は、収容容器7を載せるトレーである。一つの載置部材15に、溶液Lを収容する一つ又は複数の収容容器7が載る。載置部材15は、筐体14が有する側面17に沿って筐体14の外側に配置されている。
図4及び
図5は、計量機構12を説明するための図である。
図4は、側面から見た図であり、
図5は上から見た図である。
図4及び
図5では、筐体14を二点鎖線で示しており、各配管のバルブ等の記載を省略している。
【0040】
計量機構12は、筐体14の内側に設置されている計量器51と、計量器51と載置部材15とを繋ぐアーム52とを有する。計量器51は、例えばロードセルを有する構成であり、載置部材15に載る収容容器7の重さを計測する。計量器51の計量結果の情報は、制御装置16(
図1又は
図2参照)に送信される。アーム52は、筐体14の側面17(側壁)の内側と外側とを貫通する部材である。
【0041】
一つの載置部材15に、一つのアーム52が接続され、その一つの載置部材15に載る収容容器7が、一つの計量器51によって計量される。
一つの載置部材15は、一つ又は二つ以上の収容容器7を載せることが可能である。
本実施形態の場合、合成装置10は、小さい収容容器7用の狭い載置部材15と、大きい収容容器7用の広い載置部材15とを有し、広さが異なる複数種類の載置部材15を有する。
【0042】
合成装置10は、小さい収容容器7用の計量レンジを有する計量器51と、大きい収容容器7用の計量レンジを有する計量器51とを有し、計量レンジの異なる計量器51を有するのが好ましい。これにより、収容容器7の大きさに応じて計量レンジの異なる計量器51を使い分けることが可能になり、その結果、計量精度を向上させることができる。
【0043】
複数の載置部材15は、筐体14が有する複数の異なる側面17それぞれに沿って、分散して設置されている。
図3から
図5に示す形態の場合、第一の側面17aに反応容器11が設置されていて、第二の側面17bに4つの載置部材15が設置されていて、第三の側面17cに4つの載置部材15が設置されている。図示しないが、第四の側面17dにも複数(例えば4つ)の載置部材15が設置されていてもよい。
【0044】
このように、複数の載置部材15は、筐体14が有する複数の側面17それぞれに沿って分散して設置されている。このため、載置部材15に載る複数の収容容器7は、複数の側面17それぞれに沿って分散して設置される。
図4及び
図5に示すように、各載置部材15に載る収容容器7と、反応容器11との間に設けられる導出管24の長さを、できるだけ短く、できるだけ均等にすることが可能となる。
【0045】
〔計量機構12及び収容容器7のエリアQについて(その2)〕
図6は、
図3から
図5と別である合成装置10の概略構成を示す斜視図である。合成装置10は、装置本体として筐体14を有する。
図6に示す筐体14は、直方体形状を有するが、部分的に凹凸を有していてもよく、その形状は限定されない。筐体14は、反応容器11を搭載する。反応容器11は、筐体14の第一の側面17aに取り付けられている。
図6に示す形態の場合、筐体14の隣の一つのエリアが、収容容器7を設けるエリアQとなる。
【0046】
合成装置10は、収容容器7が載る複数の載置部材15と、載置部材15に載る収容容器7の重さを計測する計量機構12とを有する。
図6に示す合成装置10は、計量機構12として、複数の台秤61を有する。載置部材15は、その台秤61用の台(天板)62である。載置部材15である台62は、計測対象となる一つ又は複数の収容容器7を載せる。少なくとも一つの載置部材15に、複数の収容容器7が載ることから、台秤61の数は、収容容器7の全数よりも少ない。なお、複数の載置部材15に、収容容器7が一つのみ載る載置部材が含まれていてもよい。
図6に示すように、複数の台秤61が、筐体14の隣に、並べて設置されている。複数の台秤61は、筐体14が有する共通のベース部材(図示せず)の上に設置されていてもよい。
【0047】
台秤61として、汎用性のある秤(デジタル秤)が用いられる。一つの台62(一つの載置部材15)に載る収容容器7が、一つの台秤61によって計量される。台秤61の計量結果の情報は、制御装置16に送信される。
【0048】
合成装置10は、小さい収容容器7用の計量レンジを有する台秤61と、大きい収容容器7用の計量レンジを有する台秤61とを有し、計量レンジの異なる台秤61を有するのが好ましい。これにより、収容容器7の大きさに応じて計量レンジの異なる台秤61を使い分けることが可能になり、その結果、計量精度を向上させることができる。
【0049】
一つの台62に載せられる収容容器7は、一つの収容容器7であってもよいが、一つの台62は、複数の収容容器7を載せることが可能である。
本実施形態の場合、合成装置10は、小さい収容容器7用の狭い台62と、大きい収容容器7用の広い台62とを有し、広さが異なる複数種類の台62を有する。
【0050】
図7は、
図6に示す合成装置10の変形例を示す斜視図である。
図7に示す合成装置10の場合、複数の台62(載置部材15)及び複数の台秤61のセットSは、筐体14の周囲に分散して設置されている。つまり、台62及び台秤61のセットSは、筐体14が有する複数の側面17それぞれに隣接する複数のスペースQに分散して設置されている。
【0051】
図7に示す形態の場合、第一の側面17aに反応容器11が設置されている。第二の側面17bに隣接するスペースQに、台62及び台秤61のセットSが複数(3つ)設置されている。第三の側面17cに、台62及び台秤61のセットSが複数(3つ)設置されている。なお、図示しないが、第四の側面17dにも、台62及び台秤61のセットSが一つ又は複数設置されていてもよい。
【0052】
図6及び
図7に示す合成装置10の場合、汎用性のある台秤61を用いることで、装置コストの低減が可能となる。
複数の収容容器7が一つの台62に載っていても、本実施形態の場合、択一的に溶液Lが反応容器11へ送られるため、その台62用の一つの台秤61により、反応のために用いられる一種類の溶液Lの計量が可能となる。
図6に示す合成装置10及び
図7に示す合成装置10それぞれは、
図1に示す送液手段13を有していてもよく、
図2に示す送液手段13を有していてもよい。
【0053】
〔前記各形態の合成装置10について〕
前記各形態の合成装置10によれば、収容容器7の溶液Lが送液手段13により送られると、その収容容器7の重さは減る。計量機構12は、収容容器7の重さを計測することで、反応容器11へ送る溶液Lの量の管理及び調整が可能となる。
つまり、載置部材15に、複数の収容容器7が載せられるが、反応容器11に供給される溶液Lは、複数の収容容器7から選択された一つである。このため、反応容器11に供給するために収容容器7から送られた溶液Lが、計量機構12により計量される。計量機構12による計量の結果は、刻々と、制御装置16に送信される。
【0054】
図1に示す送液手段13の場合、計量機構12による計量の結果、送られた溶液Lが所望の量に達すると、制御装置16は、バルブ40の下流側に位置する電動バルブ35を閉じる。
図2に示す送液手段13の場合、計量機構12による計量の結果、送られた溶液Lが所望の量に達すると、制御装置16は、溶液Lを供給している収容容器7の導出管24の電動バルブ49を閉じる。
【0055】
以上より、前記各形態の合成装置10によれば、従来のような計量容器及びその計量容器を収容する密閉容器を有しなくても、反応容器11に送るべき溶液Lの計量が可能となる。計量容器が存在しないため、溶液の計量毎に、計量容器の洗浄は不要である。また、密閉容器が存在しないため、その内面に、溶液の揮発成分が付着することがない。密閉容器の洗浄は不要であり、揮発成分が、後で供給される溶液と混ざることもない。
【0056】
前記各形態の送液手段13は、複数の導出管24が合流する合流部25と、合流部25と反応容器11とを繋ぐ下流側配管26とを有する。反応容器11と繋がる配管が、下流側配管26の1つにまとめられる。つまり、複数の収容容器7から延びる導出管24それぞれが、反応容器11と繋がる構成ではない。このため、送液手段13において、溶液Lの変更毎に洗浄が必要となる部分が存在するが、前記送液手段13の構成によれば、配管がまとめられているので、洗浄作業が容易となり、また、洗浄液の消費量を抑えることが可能となる。
【0057】
前記各形態の合成装置10によれば、1つのみではなく複数の収容容器7を載せることが可能である載置部材15が存在し、収容容器7のためのスペースQの効率化が可能となる。
図3に示す合成装置10の場合、筐体14の側面17に沿う部分が、載置部材15が位置するエリアQとなる。複数の載置部材15は、複数の側面17それぞれに沿って分散して設置されている。このため、筐体14の周囲に複数の載置部材15を効率よく配置することが可能となる。合成装置10を一体化した構成が容易に得られる。
【0058】
図4及び
図5に示すように、計量器51(ロードセル)は、筐体14内に格納される。この構成により、合成装置10の見た目がよく、小型化が可能となる。更に、収容容器7の容液Lがこぼれたとしても、筐体14の壁により、計量器51は保護される。
【0059】
図6に示す合成装置10の場合、複数の載置部材15及び複数の台秤61は、筐体14が有する一つの側面17に隣接する一つのスペースQに集約して設置されている。つまり、収容容器7を載せる台62(載置部材15)及び台秤61が集約されたエリアQと、筐体14とが、隣接する。複数の収容容器7が一つのエリアQに集まることから、複数の台62(載置部材15)へ収容容器7を設置することが容易となる。
【0060】
図7に示す合成装置10の場合、筐体14の側面17に沿う部分が、載置部材15及び台秤61が位置するエリアQとなる。複数の載置部材15及び複数の台秤61は、複数の側面17それぞれに隣接する複数のスペースQに分散して設置されている。筐体14の周囲に複数の載置部材15及び複数の台秤61を効率よく配置することが可能となる。
【0061】
〔その他〕
合成装置10の構成は、各図に示す形態以外であってもよい。例えば、送液手段13は、複数種類の溶液Lを選択的(択一的)に搬送する機能を有していれば、図示する形態以外であってもよい。
【0062】
今回開示した実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
7 収容容器
10 合成装置
11 反応容器
12 計量機構
13 送液手段
14 筐体
15 載置部材
17 側面
24 導出管
25 合流部
26 下流側配管
35 電動バルブ
40 バルブ
41 入力ポート
42 出力ポート
49 電動バルブ
51 計量器
52 アーム
61 台秤
62 台
L 溶液
Q スペース