(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138959
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】安否確認システム及びサービス提供サーバ
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20241002BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241002BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G08B25/04 K
G08B21/02
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049697
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】青木 優佳
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5K201
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086DA08
5C086DA14
5C086DA40
5C087AA25
5C087BB20
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE07
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF23
5C087GG08
5C087GG19
5C087GG66
5C087GG67
5C087GG83
5K201AA10
5K201BA02
5K201BA19
5K201CB06
5K201CB07
5K201CB13
5K201CB16
5K201CC01
5K201CC03
5K201CC10
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED05
5K201ED07
5K201EE08
5K201EF10
5K201FA05
5K201FB01
(57)【要約】
【課題】見守り対象者のプライバシーに配慮した上で、その安否確認を行う安否確認システム及びサービス提供サーバを提供する。
【解決手段】
安否確認システム1は、見守り対象者によって選択されたインターネット101上の一または複数のサービスを監視対象サービスとして特定するサービス特定部と、その監視対象サービスへの前記見守り対象者によるアクセス履歴を収集する収集部と、収集された前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断する判断部と、その安否の判断結果を示す安否情報を、前記見守り対象者を見守る見守り者に提供する提供部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
見守り対象者によって選択されたインターネット上の一または複数のサービスを監視対象サービスとして特定するサービス特定部と、
前記監視対象サービスへの前記見守り対象者によるアクセス履歴を収集する収集部と、
収集された前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断する判断部と、
前記安否の判断結果を示す安否情報を、前記見守り対象者を見守る見守り者に提供する提供部と
を備える、安否確認システム。
【請求項2】
前記アクセス履歴に基づいて、前記監視対象サービスへのアクセス傾向を特定する傾向特定部
をさらに備え、
前記判断部は、特定された前記アクセス傾向及び前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断する、
請求項1に記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記判断部は、互いに異なる前記アクセス傾向を示す前記監視対象サービスを特定し、特定した前記監視対象サービスの前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断する、
請求項2に記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記監視対象サービスのアクセス頻度が所定値以下となった場合に、前記監視対象サービス以外のサービスを監視対象とすることを前記見守り対象者に推奨する推奨部
をさらに備える、請求項1乃至3の何れかに記載の安否確認システム。
【請求項5】
前記推奨部は、複数の前記監視対象サービスのうちの一部のアクセス頻度が所定値以下となった場合に、他の前記監視対象サービスのアクセス履歴に基づいて、監視対象とすることを推奨するサービスを特定する、
請求項4に記載の安否確認システム。
【請求項6】
前記判断部は、前記監視対象サービスの更新頻度に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断する、
請求項1乃至3の何れかに記載の安否確認システム。
【請求項7】
前記提供部は、前記アクセス履歴に関する情報を含み、前記サービスの内容に関する情報を含まない前記安否情報を、前記見守り者に提供する、
請求項1乃至3の何れかに記載の安否確認システム。
【請求項8】
請求項1に記載の安否確認システムと通信可能に接続され、インターネット上のサービスを提供するサービス提供サーバであって、
前記安否確認システムは、監視対象として特定したサービスを提供するサービス提供サーバに、前記見守り対象者の識別子を通知する通知部を備えており、
前記安否確認システムから前記見守り対象者の識別子の通知を受けた場合、その識別子を記憶する記憶部と、
前記識別子によって識別される者のアクセス履歴を、前記安否確認システムに対して所定のタイミングで繰り返し送信する送信部と
を備える、サービス提供サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、見守り対象者の安否確認を行う安否確認システム、及びその安否確認システムと通信するサービス提供サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テレビ受像機、冷蔵庫、及び扇風機などに内蔵される安否確認装置が開示されている。この安否確認装置は、測位衛星から受信した電波に基づいて生成された位置情報及び日時情報を出力するGPS部と、家庭用電化製品の状態を示す状態信号に基づいて状態種別情報を生成する制御部と、状態種別情報および日時情報を見守り者として登録された登録者に通知する安否通知装置に、状態種別情報、位置情報および日時情報を安否情報として送信する通信部とを備えている。この安否確認装置の場合、GPSを用いることによって、見守り対象者がいつどこで行動していたのかを正確に把握することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の安否確認装置の場合、安否確認専用の装置を設けることになるため、導入が困難なこともあり得る。また、見守り対象者の行動履歴が把握されることになるため、見守り対象者のプライバシー侵害のおそれがある。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、専用の装置を必要とせず、しかも見守り対象者のプライバシーに配慮した安否確認システム及びサービス提供サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様の安否確認システムは、見守り対象者によって選択されたインターネット上の一または複数のサービスを監視対象サービスとして特定するサービス特定部と、前記監視対象サービスへの前記見守り対象者によるアクセス履歴を収集する収集部と、収集された前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断する判断部と、前記安否の判断結果を示す安否情報を、前記見守り対象者を見守る見守り者に提供する提供部とを備える。
【0007】
前記態様において、前記アクセス履歴に基づいて、前記監視対象サービスへのアクセス傾向を特定する傾向特定部をさらに備え、前記判断部は、特定された前記アクセス傾向及び前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断してもよい。
【0008】
また、前記態様において、前記判断部は、互いに異なる前記アクセス傾向を示す前記監視対象サービスを特定し、特定した前記監視対象サービスの前記アクセス履歴に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断してもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記監視対象サービスのアクセス頻度が所定値以下となった場合に、前記監視対象サービス以外のサービスを監視対象とすることを前記見守り対象者に推奨する推奨部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記推奨部は、複数の前記監視対象サービスのうちの一部のアクセス頻度が所定値以下となった場合に、他の前記監視対象サービスのアクセス履歴に基づいて、監視対象とすることを推奨するサービスを特定してもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記判断部は、前記監視対象サービスの更新頻度に基づいて、前記見守り対象者の安否を判断してもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記提供部は、前記アクセス履歴に関する情報を含み、前記サービスの内容に関する情報を含まない前記安否情報を、前記見守り者に提供してもよい。
【0013】
本発明の一の態様のサービス提供サーバは、上記態様の安否確認システムと通信可能に接続され、インターネット上のサービスを提供するサービス提供サーバであって、前記安否確認システムは、監視対象として特定したサービスを提供するサービス提供サーバに、前記見守り対象者の識別子を通知する通知部を備えており、前記安否確認システムから前記見守り対象者の識別子の通知を受けた場合、その識別子を記憶する記憶部と、前記識別子によって識別される者のアクセス履歴を、前記安否確認システムに対して所定のタイミングで繰り返し送信する送信部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、見守り対象者のプライバシーに配慮した上で、その安否確認を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】安否確認システム及びサービス提供サーバの構成を示すブロック図。
【
図2】登録者データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図3】サービスデータベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図4】監視対象データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図6】安否確認処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図8】監視対象推奨処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
本実施の形態の安否確認システムは、見守り対象者によるインターネット上のサービスへのアクセス状況に基づいて、見守り対象者の安否を判断し、その結果を見守り者に報告する。ここで、見守り対象者の安否とは、見守り対象者が無事であるか否かに限らず、見守り対象者が健康に過ごしているか否かを含む広い概念である。なお、見守り対象者の典型的な例は高齢者であり、その場合の見守り者の例はその高齢者の子供等の親族である。
【0018】
(システムの構成)
図1は、本実施の形態の安否確認システム及びサービス提供サーバの構成を示すブロック図である。本実施の形態の安否確認システム1は、見守り対象者の安否確認を行うコンピュータシステムである。安否確認システム1は、インターネット101を介して、ウェブサーバ2,2…及びユーザ端末3,3…と通信する。
【0019】
ウェブサーバ2は、インターネット101上の各種サービスを提供するサービス提供サーバの一例である。ウェブサーバ2は、見守り対象者が操作するユーザ端末3からのリクエストに応じて、特定のサービスを見守り対象者に提供する。また、ウェブサーバ2は、後述するように、見守り対象者によるアクセス履歴を安否確認システム1に対して提供する。
【0020】
ユーザ端末3は、見守り対象者及びその見守り対象者を見守る見守り者を含む各ユーザによって用いられる情報端末であり、その例として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、及びスマートウォッチ等を挙げることができる。ユーザ端末3は、インターネットブラウザ又は専用のアプリケーションなどを用いて、ウェブサーバ2から提供された情報を取得し、表示部に表示する。
【0021】
安否確認システム1は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部並びに記憶部を備えるコンピュータで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。安否確認システム1の記憶部には、登録者データベース(DB)11、サービスデータベース(DB)12、監視対象データベース(DB)13、及びアクセス履歴データベース(DB)の各データベースが設けられている。以下、これらのデータベースの詳細について説明する。
【0022】
(A)登録者DB11
登録者DB11は、安否確認の対象として安否確認システム1に登録される見守り対象者に関する情報を格納するデータベースである。
図2は、この登録者DB11のレイアウトの一例を示す図である。
図2に示すとおり、登録者DB11には、各登録者を識別するための登録者ID、その登録者である見守り対象者の氏名及び連絡先、並びにその見守り対象者を見守る見守り者の氏名及び連絡先が格納されている。
図2に示す例では、連絡先として電子メールアドレスが示されているが、電話番号等の他の連絡先であってもよい。
【0023】
(B)サービスDB12
サービスDB12は、各ウェブサーバ2によって提供されるサービスに関する情報を格納するデータベースである。
図3は、そのサービスDB12のレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すとおり、サービスDB12には、各サービスを識別するためのサービスID、そのサービスのアクセス先、種別、及び更新頻度を示す情報、並びにそのサービスを提供するウェブサーバ2からアクセス履歴を取得するタイミングを示す情報が格納されている。
【0024】
サービスの種別は、サービスの内容の分類を示す情報である。予め複数の分類が用意されており、そこから当該サービスの内容に適合するものが自動的または手動で選択され、サービスDB12に格納される。
【0025】
サービスの更新頻度は、ウェブサーバ2が、ユーザからのリクエストとは関係なくサービスの内容を更新する場合のその頻度を示す情報である。
図3に示すように、例えば5分毎に更新されるサービスについては「5分」を示す情報が格納される。この更新頻度は、ウェブサーバ2側から申告された頻度であってもよく、例えばサービスの種別に応じて予め定められている頻度などであってもよい。
【0026】
(C)監視対象DB13
監視対象DB13は、見守り対象者によって監視対象に設定されたサービスに関する情報を格納するデータベースである。後述するように、見守り対象者は、自らが日常的にアクセスするサービスを監視対象として特定し、それを安否確認システム1側に通知する。安否確認システム1は、そのようにして監視対象に設定されたサービスに関する情報を、監視対象DB13に格納する。
【0027】
図4は、監視対象DB13のレイアウトの一例を示す図である。
図4に示すとおり、監視対象DB13には、監視対象を設定した見守り対象者の登録者ID、監視対象として設定されたサービスのサービスID、監視対象として設定された日、及びそのサービスに対する当該見守り対象者によるアクセスの傾向を示す情報が格納されている。アクセスの傾向は、後述するように、アクセス履歴に基づいて安否確認システム1によって特定される。
【0028】
(C)アクセス履歴DB14
アクセス履歴DB14は、安否確認システム1が後述するようにして各ウェブサーバ2から収集した見守り対象者のアクセス履歴を格納するデータベースである。なお、このアクセス履歴は、安否確認システム1がウェブサーバ2から直接取得してもよく、他の装置等を介してウェブサーバ2から間接的に取得してもよい。また、ウェブサーバ2からではなく、ユーザ端末3から安否確認システム1がアクセス履歴を取得し、それをアクセス履歴DB14に格納するようにしてもよい。
【0029】
(システムの動作)
安否確認システム1は、下記の各処理を実行する。
(1)監視対象のサービスを登録する監視対象登録処理
(2)アクセス履歴の提供をウェブサーバ2に依頼するアクセス履歴提供依頼処理
(3)アクセス履歴をウェブサーバ2から収集するアクセス履歴収集処理
(4)アクセス履歴に基づいてアクセス傾向を特定するアクセス傾向特定処理
(5)見守り対象者の安否確認を行う安否確認処理
(6)特定のサービスを監視対象にすることを見守り対象者に推奨する監視対象推奨処理
これらの各処理について以下詳述する。
【0030】
(1)監視対象登録処理
見守り対象者は、ユーザ端末3を用いて安否確認システム1にアクセスし、インターネット上の特定のサービスを監視対象に設定する。この場合、ユーザ端末3の表示部には、
図5に例示するような監視対象登録画面が表示される。
図5に示すとおり、ユーザ端末3の表示部31に表示される監視対象登録画面には、監視対象として設定するサービスのアクセス先(URL)を入力するための入力欄311、特定のサービス名が複数表示される表示欄312、及び登録を指示するための登録ボタン313が含まれている。なお、表示欄312に表示されているサービス名は、例えば多くの見守り対象者によって監視対象に設定されているサービスの名称などである。
【0031】
見守り対象者は、日常的にアクセスしているサービス等、監視対象として適当と思われるサービスのアクセス先を入力欄311に入力するか、または、表示欄312に表示されているサービス名の中から特定のものを選んでその表示領域を選択し、登録ボタン313を押下する。この場合、ユーザ端末3は、見守り対象者によって選択されたサービスを示す情報を安否確認システム1に対して送信する。
【0032】
安否確認システム1は、ユーザ端末3から上記の情報を受信すると、その情報に示されるサービスに関する情報を監視対象DB13に登録する。この場合、その登録日が監視対象DB13における設定日として格納される。なお、当該サービスに関する情報がサービスDB12に格納されていない場合、安否確認システム1は、サービスDB12にも新規に情報を登録する。
【0033】
このように、本実施の形態では、見守り対象者の自らの意思によって監視対象となるサービスが設定される。そのため、見守り対象者の意に反して情報が収集されるような事態は発生しないため、プライバシー侵害のおそれはない。
【0034】
(2)アクセス履歴提供依頼処理
安否確認システム1は、上記のようにして監視対象として設定されたサービスを提供するウェブサーバ2に対して、見守り対象者のアクセス履歴の提供を依頼する。この場合、安否確認システム1はまず、監視対象DB13を参照して依頼先となるウェブサーバ2を特定し、そのウェブサーバ2に対して、見守り対象者の登録者IDを含む依頼情報を送信する。
【0035】
ウェブサーバ2は、安否確認システム1から依頼情報を受信すると、その依頼情報に含まれる登録者IDに基づいて見守り対象者を特定するとともに、その見守り対象者のアクセス履歴を提供するタイミングを安否確認システム1に通知する。安否確認システム1は、その通知にしたがって、ウェブサーバ2からアクセス履歴を取得するタイミングをサービスDB12に格納する。
【0036】
なお、安否確認システム1及びウェブサーバ2を運営する組織が同一の企業である場合、または当該組織が同じグループに属する企業である場合、各ユーザを共通のIDで管理していることがある。その場合、その共通のIDを登録者IDとして用いることにより、見守り対象者の特定を容易に行うことができる。
【0037】
上記のとおり、本実施の形態では、ウェブサーバ2に対するアクセス履歴の提供依頼を安否確認システム1が行っているが、同様の依頼をユーザ端末3が行うようにしてもよい。その場合、ユーザ端末3は、見守り対象者からの指示にしたがって、自己のアクセス履歴を安否確認システム1に定期的に提供するよう依頼することになる。
【0038】
(3)アクセス履歴収集処理
安否確認システム1は、サービスDB12に登録されているタイミングで、見守り対象者のアクセス履歴をウェブサーバ2から繰り返し取得することにより、アクセス履歴を収集する。なお、上述したように、安否確認システム1がユーザ端末3からアクセス履歴を収集するようにしてもよい。また、安否確認システム1は、ウェブサーバ2及びユーザ端末3の両方からアクセス履歴を収集してもよく、その他の装置から収集しても構わない。このようにして収集されたアクセス履歴は、見守り対象者毎にアクセス履歴DB14に格納される。
【0039】
(4)アクセス傾向特定処理
安否確認システム1は、アクセス履歴DB14に格納されているアクセス履歴に基づいて、見守り対象者毎に、監視対象となっているサービスへのアクセス傾向を特定する。この場合に特定されるアクセス傾向には、
図4に例示される「午前中に多い」及び「19時以降に多い」などのように特定の時間帯にアクセスが多いことを示す傾向や、同じく「土日に多い」のように特定の曜日にアクセスが多いこと示す傾向が含まれる。その他にも、特定の天候の場合にアクセスが多いことを示す傾向など、アクセス履歴から導くことができる種々の傾向が想定される。
【0040】
安否確認システム1は、上記のようにして特定したアクセス傾向を、監視対象DB13に格納する。後述するように、このアクセス傾向は、安否確認の判断の際にアクセス履歴と併せて用いられる。
【0041】
なお、このアクセス傾向特定処理は、所定の時間間隔(例えば1か月毎など)で繰り返し実行され、少なくとも最新のものが監視対象DB13に格納される。安否確認システム1は、過去のアクセス傾向も最新のものと併せて格納しておき、それらの複数のアクセス傾向に基づいて見守り対象者の安否を判断してもよい。例えば、安否確認システム1は、アクセス傾向に変動がない場合は異常なしと判断したり、変動が認められる場合は何らかの変化があったものとして要注意と判断したりする。
【0042】
(5)安否確認処理
安否確認システム1は、所定の時間間隔(例えば1か月毎など)で下記の安否確認処理を繰り返し実行する。それ以外にも、安否確認システム1は、見守り者からのリクエストを受ける都度、安否確認処理を実行するようにしてもよい。
【0043】
図6は、安否確認処理の手順を示すフローチャートである。安否確認システム1はまず、登録者DB11を参照して今回の処理対象となる見守り対象者を特定し(S101)、さらに、監視対象DB13を参照してその見守り対象者について監視対象となっているサービス(以下「監視対象サービス」という)を特定する(S102)。
【0044】
次に、安否確認システム1は、処理対象の見守り対象者について、監視対象サービスのアクセス履歴をアクセス履歴DB14から取得し(S103)、また、その監視対象サービスに係るアクセス傾向を監視対象DB13から取得する(S104)。さらに、安否確認システム1は、その監視対象サービスの更新頻度をサービスDB12から取得する(S105)。
【0045】
次に、安否確認システム1は、上記のとおり取得したアクセス履歴、アクセス傾向、及び更新頻度の少なくとも1つに基づいて、見守り対象者の安否を判断する(S106)。例えば、安否確認システム1は、アクセス履歴に基づいて、見守り対象者による直近のアクセスが所定期間以上前であること、すなわち所定期間にわたって見守り対象者のアクセスが認められないことが確認できた場合、見守り対象者において異常が生じているものと判断する。
【0046】
また、安否確認システム1は、直近のアクセス履歴がアクセス傾向と異なることを検出した場合(例えば、アクセス傾向が「午前中にアクセスが多い」である場合に、午前中ではなく夜間のアクセスが多く認められる場合など)、見守り対象者において変化が生じているため要注意と判断する。
【0047】
その他にも、安否確認システム1は、更新頻度が比較的高い監視対象サービスについてアクセス頻度が低い場合は見守り対象者に異常が発生していると判断する一方で、更新頻度が比較的低い監視対象サービスについては、アクセス頻度が低くても特に異常は生じていないと判断する。更新頻度が高いサービスについてはアクセス頻度も高くなり、更新頻度が低いサービスについてはアクセス頻度も低くなるのが一般的であるためである。
【0048】
なお、安否確認システム1は、上記のアクセス履歴、アクセス傾向、及び更新頻度のみではなく、サービスの内容にも基づいた上で見守り対象者の安否を判断してもよい。例えば、安否確認システム1は、監視対象サービスがスポーツニュースを提供するサービスである場合(サービスDB12における種別が「スポーツ」である場合など)において、スポーツ関連で大きなニュースが発生したにもかかわらずその監視対象サービスに対するアクセスが認められなかったとき、見守り対象者において異常が生じていると判断することもできる。
【0049】
次に、安否確認システム1は、ステップS106における判断結果を示す安否情報を生成する(S107)。この安否情報の詳細については、
図7に示すその表示例を参照しながら後述する。
【0050】
次に、安否確認システム1は、登録者DB11を参照して見守り者を特定し、その見守り者に対して安否情報を提供する(S108)。例えば、安否情報を取得可能なアクセス先を電子メールによって見守り者に通知した後、その見守り者がユーザ端末3を用いてそのアクセス先にアクセスすることによって、安否情報の提供が行われる。
【0051】
図7は、安否情報の内容を示す安否確認画面の一例を示す図である。
図7に示すとおり、ユーザ端末3の表示部31に表示される安否確認画面には、見守り対象者の氏名、特定の期間における見守り対象者の監視対象サービスに対するアクセス状況、及び安否に関する判定結果が表示される。これらの表示されている情報が安否情報に相当する。つまり、安否情報には、判定結果のみではなく、その判定の根拠となる情報(この例ではアクセス状況)も含まれている。ただし、安否情報が判定結果のみを含むものであってもよい。
【0052】
図7に示す例では、見守り対象者のアクセス状況として、アクセスされたサイト(サービス)数が1日毎にグラフで示されている。これにより、見守り対象者によってどの程度のアクセスがなされたのかを見守り者が容易に把握することが可能になる。但し、アクセスされたサービスの内容については安否確認画面に表示されていないため、見守り者は、見守り対象者がどのような内容のサービスにアクセスしているのかまでは把握できない。そのため、見守り対象者のプライバシー侵害のおそれはない。
【0053】
また、上記のとおり、本実施形態では見守り対象者の位置情報などを安否確認システム1に知らせる必要がないため、その点でも見守り対象者のプライバシー侵害が発生するおそれがないといえる。
【0054】
(6)監視対象推奨処理
上記のとおり、本実施の形態では、監視対象サービスに対する見守り対象者によるアクセス状況に応じて安否が判断される。そのため、見守り対象者によって日常的にアクセスされるサービスが監視対象となっていることが望ましい。そのようなサービスを監視対象として新たに設定することを推奨するために実行されるのが監視対象推奨処理である。この監視対象推奨処理は、所定の時間間隔(例えば1カ月毎など)で繰り返し実行される。
【0055】
図8は、監視対象推奨処理の手順を示すフローチャートである。安否確認システム1はまず、登録者DB11を参照して今回の処理対象となる見守り対象者を特定し(S201)、さらに、監視対象DB13を参照してその見守り対象者に係る監視対象サービスを特定する(S202)。
【0056】
次に、安否確認システム1は、処理対象の見守り対象者について、監視対象サービスのアクセス履歴をアクセス履歴DB14から取得し(S203)、そのアクセス履歴に基づいて、アクセス頻度が所定値以下に低下している監視対象サービスの有無を判定する(204)。そのような監視対象サービスが存在しない場合(S204でNO)、安否確認システム1は処理を終了する。
【0057】
他方、アクセス頻度が所定値以下に低下している監視対象サービスが存在する場合(S204でYES)、安否確認システム1は、その他の監視対象サービス、すなわちアクセス頻度が所定値以下に低下していない監視対象サービスを特定する(S205)。
【0058】
次に、安否確認システム1は、監視対象となっていないサービス(以下「監視対象外サービス」という)に対して見守り対象者がアクセスしたことを示すアクセス情報を取得する(S206)。例えば、見守り対象者が監視対象とはしないもののアクセス履歴の提供を許可したサービスがある場合、安否確認システム1は、そのサービスを提供するウェブサーバ2などからそのアクセス履歴を定期的に取得して記憶しておく。ステップS206では、安否確認システム1が、そのようにして記憶されているアクセス履歴をアクセス情報として取得する。
【0059】
次に、安否確認システム1は、ステップS205で特定した監視対象のアクセス履歴と、ステップS206で取得したアクセス情報とを用いて、監視対象に設定することを推奨するサービス(以下「推奨サービス」という)を特定する(S207)。例えば、安否確認システム1は、当該アクセス情報に基づいて見守り対象者が所定数以上のアクセスを行った監視対象外サービスを特定し、これを推奨サービスとする。また、安否確認システム1は、当該アクセス履歴に基づいて見守り対象者が所定数以上のアクセスを行った監視対象サービスを特定した上で、その監視対象サービスと種別が共通する他のサービスを特定し、これを推奨サービスとする。
【0060】
次に、安否確認システム1は、上記のようにして特定された推奨サービスを示す推奨情報を見守り対象者に対して提供する(S208)。例えば、推奨情報を取得可能なアクセス先を電子メールによって見守り対象者に通知した後、その見守り対象者がユーザ端末3を用いてそのアクセス先にアクセスすることによって、推奨情報の提供が行われる。
【0061】
図9は、推奨情報の内容を示す監視対象推奨画面の一例を示す図である。
図9に示すとおり、ユーザ端末3の表示部31に表示される監視対象推奨画面の上段には、上記のアクセス情報に基づいて特定された複数の推奨サービスが表示されており、その下には、上記のアクセス情報に基づいて特定された複数の推奨サービスが表示されている。また、各推奨サービスに対してチェックボックスが設けられており、さらに、そのチェックボックスにチェックされた推奨サービスを監視対象サービスとして登録するための登録ボタン314が設けられている。
【0062】
見守り対象者は、監視対象推奨画面に表示されている推奨サービスの中から監視対象にすべきものを特定し、そのサービスに対して設けられているチェックボックスをチェックした上で、登録ボタン314を押下する。この場合、ユーザ端末3は、見守り対象者によって選択された推奨サービスを示す情報を安否確認システム1に対して送信する。この情報を受信した安否確認システム1は、その選択された推奨サービスを監視対象とするために、当該推奨サービスに関する情報をサービスDB12及び監視対象DB13に登録する。これにより、見守り対象者の安否確認をより精度高く行うことが可能になる。なお、アクセス頻度が所定値以下に低下している監視対象サービスについては、監視対象から外すようにしてもよく、引き続き監視対象としても構わない。
【0063】
なお、監視対象として設定されるサービスは、見守り対象者によって選択されるものであればどんなものでも構わないが、一例として、銀行、クレジットカード会社及び証券会社などによって提供される金融に関するサービスを挙げることができる。近年、キャッシュレス決済や少額投資なども認知度が高まり利用者も増加傾向にある。今や金融に関するサービスの場合、見守り対象者からすると生活に直結するものであり日常的にアクセスすべきであるため、監視対象とすることが望ましい情報になってきているといえる。しかも、銀行、クレジットカード会社及び証券会社などは同一の金融グループに属することが多く、見守り対象者は、そのグループに属する複数の金融系企業が提供するサービスのコンテンツを、監視対象のサービスとして設定することができる。その場合は上述したように当該金融グループに属する各企業が各ユーザを共通のIDで管理していることがあるため、見守り対象者の特定を容易に行うことができるという利点もある。
【0064】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、
図7に例示するように、見守り対象者がアクセスしたサービスの内容までは見守り者に伝えられないが、その内容も見守り者に伝えるようにしてもよい。その場合であっても、見守り対象者によって監視対象に設定されたサービスの内容だけが通知されることになるため、特段の問題は生じない。
【0065】
また、上記の実施の形態では、安否情報が見守り者のみに提供され見守り対象者には提供されないが、見守り対象者にも同様にして安否情報が提供されても構わない。これにより、見守り対象者は、見守り者にどのような情報が提供されているのかを知ることができるため、今後どの程度の頻度で監視対象サービスにアクセスすべきかなどを検討する場合の参考情報として活用することができる。
【0066】
また、安否情報の内容そのものではなく、安否情報が見守り者に提供されたことを示す情報のみが見守り対象者に提供されるようにしてもよい。これにより、見守り対象者は、自身に異常が発生していないことなどが見守り者に通知されていることを確認することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 安否確認システム
11 登録者データベース
12 サービスデータベース
13 監視対象データベース
14 アクセス履歴データベース
2 ウェブサーバ(サービス提供サーバ)
3 ユーザ端末
31 表示部
101 インターネット