特開 2024-138961 火災感知器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024138961

(43)【公開日】2024-10-09

(54)【発明の名称】火災感知器

(51)【国際特許分類】

   G08B 17/06 20060101AFI20241002BHJP

   G08B 17/00 20060101ALI20241002BHJP

【ＦＩ】

G08B17/06 K

G08B17/00 G

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023049699

(22)【出願日】2023-03-27

(71)【出願人】

【識別番号】000233826

【氏名又は名称】能美防災株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100110423

【弁理士】

【氏名又は名称】曾我 道治

(74)【代理人】

【識別番号】100111648

【弁理士】

【氏名又は名称】梶並 順

(74)【代理人】

【識別番号】100147566

【弁理士】

【氏名又は名称】上田 俊一

(74)【代理人】

【識別番号】100188514

【弁理士】

【氏名又は名称】松岡 隆裕

(72)【発明者】

【氏名】吉井 裕二

【テーマコード（参考）】

5C085

5G405

【Ｆターム（参考）】

5C085FA11

5C085FA13

5C085FA21

5G405AA01

5G405CA52

5G405CA53

5G405CA60

5G405FA06

5G405FA07

5G405FA08

(57)【要約】      （修正有）

【課題】感知器本体の点検又は交換を容易に行うことができる火災感知器を提供する。
【解決手段】火災感知器は、感知器ベース１０と、感知器ベース１０に着脱可能に取り付けられた感知器本体２０とを備える。感知器本体２０は、本体部２１と本体部２１の上部に設けられたレール２２とを有し、感知器ベース１０は一対の支持部１１ａ、１１ｂを有し、支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれはレール２２の延伸方向に沿って延伸し、レール２２の延伸方向に沿う方向においては支持部１１ａ、１１ｂに対するレール２２の移動が許容され、支持部１１ａ、１１ｂの上面及びレール２２のそれぞれに形成された凹凸が嵌まり合うことにより、感知器本体２０の脱落が防止される。また、感知器ベース１０は通信部１２を有し、感知器本体２０の通信部２１ｂとの間において非接触通信が可能である。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

感知器ベースと、
前記感知器ベースに着脱可能に取り付けられた感知器本体と、
を備え、
前記感知器ベースと前記感知器本体との間において非接触通信が可能である火災感知器。

【請求項2】

前記感知器本体は、本体部と、前記本体部の上部に設けられたレールと、を有しており、
前記レールは、水平な一方向に沿って直線状に延伸しており、
前記感知器ベースは、前記レールの下面に接触して前記レールを支持する支持部を有している請求項１に記載の火災感知器。

【請求項3】

前記レールの延伸方向及び鉛直上下方向の双方と平行な断面において、前記レールの下面及び前記支持部には、互いに嵌まり合った凹凸が形成されている請求項２に記載の火災感知器。

【請求項4】

前記感知器ベースから前記感知器本体に対して非接触給電が可能である請求項１～請求項３のいずれか一項に記載の火災感知器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、火災感知器に関するものである。

【背景技術】

【0002】

特許文献１には、火災感知器が開示されている。この火災感知器は、ベースと、ベースに取り付けられる感知器本体と、を有している。ベースには、嵌合端子が設けられている。感知器本体には、ベースの嵌合端子に嵌め込まれる嵌合端子が設けられている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開平７－１８２５７６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

火災感知器は、工場などの天井の高い建物にも設置される。建物の建設時には、高所作業車を用いて、火災感知器を高所に設置することができる。しかしながら、建物内に機械などが設置されてしまうと、高所作業車が建物内に進入するのが困難になる。このため、感知器本体の点検又は交換を行うのが困難になる場合があるという課題があった。

【0005】

本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、感知器本体の点検又は交換を容易に行うことができる火災感知器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示に係る火災感知器は、感知器ベースと、前記感知器ベースに着脱可能に取り付けられた感知器本体と、を備え、前記感知器ベースと前記感知器本体との間において非接触通信が可能である。

【発明の効果】

【0007】

本開示によれば、感知器本体の点検又は交換を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【0008】

【図1】実施の形態１に係る火災感知器の構成を示す正面図である。

【図2】実施の形態１に係る火災感知器の構成を示す側面図である。

【図3】実施の形態１に係る火災感知器における感知器本体の取付け方法を示す図である。

【図4】実施の形態１に係る火災感知器における感知器本体の取付け方法を示す図である。

【図5】実施の形態１に係る火災感知器における感知器本体の取付け方法を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0009】

実施の形態１．
実施の形態１に係る火災感知器について説明する。図１は、本実施の形態に係る火災感知器の構成を示す正面図である。図２は、本実施の形態に係る火災感知器の構成を示す側面図である。図１及び図２の上下方向は、鉛直上下方向を表している。図１の左右方向、及び図２の紙面に直交する方向は、後述するレール２２の延伸方向を表している。本実施の形態では、火災感知器として、煙感知器が例示されている。

【0010】

図１及び図２に示すように、火災感知器は、感知器ベース１０と、感知器ベース１０に着脱可能に取り付けられている感知器本体２０と、を有している。

【0011】

感知器本体２０は、本体部２１と、本体部２１の上部に設けられたレール２２と、を有している。本体部２１は、煙導入部２１ａを有している。煙導入部２１ａは、本体部２１の中心軸に沿って本体部２１から下方に突出している。本体部２１は、非接触通信が可能な通信部２１ｂを有している。本体部２１には、必要に応じてバッテリーが内蔵されている。

【0012】

レール２２は、水平な一方向に沿って直線状に延伸している。レール２２は、レール２２の延伸方向と垂直な断面において、Ｔ字状の一様な断面形状を有している。

【0013】

感知器ベース１０は、天井３０に固定して取り付けられている。感知器ベース１０は、一対の支持部１１ａ、１１ｂを有している。支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれは、レール２２の延伸方向に沿って延伸している。レール２２の延伸方向と垂直な断面において、支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれは、Ｌ字状の一様な断面形状を有している。レール２２の延伸方向における支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれの長さは、レール２２の長さと同程度である。

【0014】

支持部１１ａは、レール２２の一方の下面２２ａに接触している。支持部１１ｂは、レール２２の他方の下面２２ｂに接触している。これにより、レール２２は、支持部１１ａ、１１ｂによって下方から支持されている。レール２２の延伸方向に沿う方向においては、支持部１１ａ、１１ｂに対するレール２２の移動が許容されている。

【0015】

レール２２の延伸方向及び鉛直上下方向の双方と平行な断面において、レール２２の下面２２ａ、２２ｂのそれぞれには、波状の凹凸が形成されている。同断面において、支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれの上面には、レール２２に形成された凹凸と嵌まり合う波状の凹凸が形成されている。これにより、振動等による感知器本体２０の脱落が防止されている。

【0016】

感知器ベース１０は、通信部１２を有している。通信部１２は、例えば、レール２２の上方に配置されており、隙間１３を挟んでレール２２と対向している。感知器ベース１０の通信部１２と、感知器本体２０の通信部２１ｂと、の間では、非接触通信が可能になっている。通信部１２は、火災感知器の外部に設けられた火災受信機に配線を介して接続されている。これにより、感知器本体２０は、通信部２１ｂ、通信部１２、及び通信部１２と火災受信機との間の配線を介して、火災受信機と通信可能になっている。

【0017】

通信部１２は、感知器本体２０に対して非接触給電が可能になっている。これにより、感知器ベース１０から感知器本体２０に電力を供給することができる。非接触給電には、例えば、マイクロ波方式の無線給電技術が用いられる。

【0018】

次に、本実施の形態に係る火災感知器における感知器本体２０の取付け方法について説明する。本実施の形態では、ドローンを用いて感知器本体２０が感知器ベース１０に取り付けられる。ドローンとは、遠隔操作が可能なマルチコプター型の無人航空機のことである。ここで、感知器ベース１０は、既に天井３０に取り付けられているものとする。

【0019】

図３～図５は、本実施の形態に係る火災感知器における感知器本体の取付け方法を示す図である。まず、図３に示すように、ドローン４０の上部に、上下方向に延びた支持棒４１を取り付ける。そして、支持棒４１の上端部によって、感知器本体２０の煙導入部２１ａを着脱自在に下方から支持する。この状態でドローン４０を天井３０付近まで上昇させ、レール２２と支持部１１ａ、１１ｂとが概ね一直線上に配置するようにドローン４０の位置を調整する。

【0020】

次に、図４に示すように、ドローン４０を水平方向に移動させ、レール２２を支持部１１ａ、１１ｂの間に挿入する。レール２２は、支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれの上面に形成された凹凸を乗り越えながら、支持部１１ａ、１１ｂの延伸方向に沿って移動する。レール２２は、支持部１１ａ、１１ｂのそれぞれの上面と接触しない高さまで持ち上げられていてもよい。

【0021】

図５に示すように、レール２２の全体が支持部１１ａ、１１ｂの間に挿入されたら、ドローン４０を下降させる。レール２２が支持部１１ａ、１１ｂによって下方から支持されているため、支持棒４１は感知器本体２０から離れる。以上の手順を経て、感知器本体２０が感知器ベース１０に取り付けられる。

【0022】

次に、本実施の形態に係る火災感知器における感知器本体２０の取外し方法について説明する。感知器本体２０を感知器ベース１０から取り外す際には、感知器本体２０を感知器ベース１０に取り付ける手順とは逆の手順が実行される。

【0023】

すなわち、図５に示した感知器本体２０を感知器ベース１０から取り外す際には、ドローン４０を上昇させ、支持棒４１によって感知器本体２０を下方から支持する。次に、ドローン４０を水平方向に移動させる。これにより、レール２２を支持部１１ａ、１１ｂの延伸方向に沿って移動させ、レール２２を支持部１１ａ、１１ｂの間から抜く。以上の手順を経て、感知器本体２０が感知器ベース１０から取り外される。

【0024】

一般的な火災感知器の場合、感知器本体を感知器ベースに取り付ける際には、感知器本体に回転トルクを加える必要がある。また、感知器本体を感知器ベースから取り外す際には、感知器本体に逆向きの回転トルクを加える必要がある。ドローンを用いて感知器本体に回転トルクを加えるのは困難であるため、感知器本体の取付け及び取外しをドローンによって行うのは困難であった。

【0025】

これに対し、本実施の形態の火災感知器では、感知器本体２０に必要以上の回転トルクを加えずに、感知器ベース１０に対する感知器本体２０の取付け及び取外しを行うことができる。したがって、本実施の形態によれば、感知器ベース１０に対する感知器本体２０の取付け及び取外しを、ドローン４０を用いて行うことができる。

【0026】

ただし、ドローン４０を用いて感知器本体２０の取付けを行う場合、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線接続作業が困難になる可能性がある。また、ドローン４０を用いて感知器本体２０の取外しを行う場合、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線接続を解除する作業が困難になる可能性がある。

【0027】

これに対し、本実施の形態の火災感知器では、感知器ベース１０と感知器本体２０との間において非接触通信が可能であるため、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線が不要になる。したがって、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線接続作業、及び、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線接続を解除する作業を省略することができる。したがって、本実施の形態によれば、ドローン４０を用いた感知器本体２０の取付け及び取外しを容易に行うことができる。

【0028】

以上説明したように、本実施の形態に係る火災感知器は、感知器ベース１０と、感知器ベース１０に着脱可能に取り付けられた感知器本体２０と、を備えている。感知器ベース１０と感知器本体２０との間において、非接触通信が可能である。

【0029】

この構成によれば、感知器ベース１０に対する感知器本体２０の取付け及び取外しを、ドローン４０を用いて行うことができる。したがって、火災感知器が高所に設置されている場合であっても、感知器本体２０の点検又は交換を容易に行うことができる。

【0030】

また、この構成によれば、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線接続作業、及び、感知器ベース１０と感知器本体２０との間の配線接続を解除する作業を省略することができる。したがって、ドローン４０を用いた感知器本体２０の取付け及び取外しを容易に行うことができる。

【0031】

本実施の形態に係る火災感知器では、感知器本体２０は、本体部２１と、本体部２１の上部に設けられたレール２２と、を有している。レール２２は、水平な一方向に沿って直線状に延伸している。感知器ベース１０は、レール２２の下面に接触してレール２２を支持する支持部１１ａ、１１ｂを有している。

【0032】

この構成によれば、感知器本体２０を回転させずに一方向に移動させることにより、感知器ベース１０に対する感知器本体２０の取付け及び取外しを行うことができる。したがって、ドローン４０を用いた感知器本体２０の取付け及び取外しを容易に行うことができる。

【0033】

本実施の形態に係る火災感知器では、レール２２の延伸方向及び鉛直上下方向の双方と平行な断面において、レール２２の下面及び支持部１１ａ、１１ｂには、互いに嵌まり合った凹凸が形成されている。

【0034】

この構成によれば、振動等により感知器本体２０が感知器ベース１０から脱落してしまうのを防ぐことができる。

【0035】

本実施の形態に係る火災感知器では、感知器ベース１０から感知器本体２０に対して非接触給電が可能である。

【0036】

この構成によれば、感知器ベース１０から感知器本体２０に電力を供給できるため、感知器本体２０の内蔵バッテリーを小容量化又は省略することができる。

【0037】

上記実施の形態では、火災感知器として煙感知器を例に挙げたが、火災感知器は炎感知器、熱感知器などであってもよい。

【符号の説明】

【0038】

１０ 感知器ベース、１１ａ、１１ｂ 支持部、１２ 通信部、１３ 隙間、２０ 感知器本体、２１ 本体部、２１ａ 煙導入部、２１ｂ 通信部、２２ レール、２２ａ、２２ｂ 下面、３０ 天井、４０ ドローン、４１ 支持棒。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】