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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138974
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/20 20170101AFI20241002BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241002BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G06T7/20 300A
G06T7/60 180
H04N7/18 D
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049715
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宗片 匠
(72)【発明者】
【氏名】永橋 知行
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054EA07
5C054FC01
5C054FC12
5C054FC13
5C054FC14
5C054FE12
5C054GB01
5C054HA19
5L096BA02
5L096FA67
5L096FA69
5L096FA76
(57)【要約】
【課題】監視領域内の人物の数が多い場合に、監視領域内の人物を追跡及び解析する処理を容易にする。
【解決手段】監視装置10は、監視領域1内に存在する所定人物2を特定する所定人物特定部32と、所定人物2が所定行為を行ったか否かを判定する行為判定部34と、監視領域1に存在する人物の行動解析のための処理を行う行動解析部(36、39)と、所定人物が所定行為を行ったときの監視領域内に存在する他の人物と所定人物との間の相対位置関係に基づいて、他の人物を上記の処理の対象とする対象人物として選択する対象人物選択部35と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域内に存在する所定人物を特定する所定人物特定部と、
前記所定人物が所定行為を行ったか否かを判定する行為判定部と、
前記監視領域内に存在する人物の行動解析のための処理を行う行動解析部と、
前記所定人物が所定行為を行ったときの監視領域内に存在する他の人物と前記所定人物との間の相対位置関係に基づいて、前記他の人物を前記処理の対象とする対象人物として選択する対象人物選択部と、
を備えることを特徴とする監視装置。
【請求項2】
前記所定人物の基準方向を推定する基準方向推定部を更に備え、
前記対象人物選択部は、前記所定人物が所定行為を行ったときに前記所定人物から前記基準方向に存在する前記他の人物を前記対象人物として選択する、
ことを特徴とする請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記基準方向推定部は、前記所定人物の視野を推定し、
前記対象人物選択部は、前記所定人物が所定行為を行ったときに前記所定人物の視野範囲内に存在する前記他の人物を前記対象人物として選択する、
ことを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記対象人物選択部は、前記所定人物が所定行為を行ったときに前記所定人物の視野範囲内に存在する前記他の人物の向きを推定し、当該他の人物のうち前記所定人物側を向いていない人物を前記対象人物として選択することを特徴とする請求項2又は3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記行動解析部は、前記監視領域内に存在する複数の人物の各々に対して不審者か否かを判定するよう行動解析し、当該複数の人物のうち前記対象人物を優先して不審者か否かを判定することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
前記行動解析部は、前記監視領域内に存在する複数の人物の各々に対して不審者か否かを判定するよう行動解析し、当該複数の人物のうち前記対象人物以外の人物に比べて、前記対象人物が不審者であると判定され易くすることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、センサで検出した人物の詳細な行動(例えば、姿勢、動作、行動履歴など)を追跡することにより、その人物が不審者であるかどうかを判定するシステムが提案されている。
例えば下記特許文献1には、顔認証した人物が、予め登録された登録人物と一致しない場合に当該人物を追跡し、当該人物の行動パターンが所定パターンと一致した場合に不審者として判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-211514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視領域内に存在する人物の数が多い場合、これらの人物の全てを対象として不審者検知のための解析を行うと、負荷が過大になるために解析が困難になる。また、解析の対象となる人数が多いほど誤報要因となりうる。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、監視領域内の人物の数が多い場合に、監視領域内の人物を追跡及び解析する処理を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態による監視装置は、監視領域内に存在する所定人物を特定する所定人物特定部と、所定人物が所定行為を行ったか否かを判定する行為判定部と、監視領域内に存在する人物の行動解析のための処理を行う行動解析部と、所定人物が所定行為を行ったときの監視領域内に存在する他の人物と所定人物との間の相対位置関係に基づいて、他の人物を上記の処理の対象とする対象人物として選択する対象人物選択部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、監視領域内の人物の数が多い場合に、監視領域内の人物を追跡及び解析する処理を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の監視システムの全体構成の一例の概略図である。
図2】第1実施形態の監視装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】所定人物の基準方向の第1例の模式図である。
図4】対象人物の基準方向の第2例の模式図である。
図5】対象人物の選択方法の他の例の模式図である。
図6】対象人物の画像領域が抽出された監視画像の一例の模式図である。
図7】第1実施形態の監視方法の一例のフローチャートである。
図8】第2実施形態の監視装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図9】第2実施形態の監視方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、実施形態の監視システムの全体構成の一例の概略図である。実施形態の監視システムは、監視領域1内に存在する人物を監視するシステムであり、監視領域1やその近傍に設置される監視装置10と、構内LAN又はインターネット等の通信ネットワークを介して監視装置10と接続されるセンタ装置20とを有する。
【0010】
例えば監視領域1は、コンビニエンスストア及びスーパーマーケット等の小売店舗や、レンタルビデオ店などの店舗であってよく、監視対象となる人物は、これらの店舗を利用するユーザであってよい。
例として、監視領域1には、所定人物2と、所定人物2以外の人物3a~3cと、構造物4a~4cが存在している場合を想定する。以下の説明において人物3a~3cを総称して「人物3」と表記することがある。
【0011】
所定人物2は、監視領域1における監視業務に協力する人物である。所定人物2は、例えば監視領域1で働く従業員(例えば店舗の従業員)であってもよく、監視領域1における監視業務に携わる監視員(ガードマン)であってもよい。
人物3は、監視領域1における監視の対象となる人物であり、例えば監視領域1を利用する不特定人物である。
【0012】
構造物4a及び4bは、所定人物2やカメラ11から人物3を観察する視界の遮蔽物となりうる物体であり、例えば所定人物2やカメラ11の視界を妨げる高さを有する備品(例えば商品棚など)や、監視領域1の建築物の構成要素(例えば柱)である。構造物4cは、所定人物2やカメラ11から人物3を観察する視界の遮蔽物となりにくい物体(例えばレジカウンターなど)である。
【0013】
監視装置10には、監視領域1内を撮影する1つ以上のカメラ11a~11dが接続される。以下の説明においてカメラ11a~11dを総称して「カメラ11」と表記することがある。
監視装置10は、入力部12、通信部13、記憶部14、制御部15及び出力部16を備える。これらのうちの記憶部14及び制御部15はいわゆるコンピュータで実現でき、入力部12、通信部13及び出力部16は、当該コンピュータの周辺機器として実現できる。
【0014】
入力部12は、利用者に操作されてデータの入力等に用いられるキーボード、マウス等のユーザーインターフェースを含む。入力部12は、制御部15に接続され、利用者の操作を操作信号に変換して制御部15に出力する。
また、入力部12はDVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、USB(Universal Serial Bus)インターフェースを含んでもよい。入力部12は、データをファイルとして制御部15に入力し、およびデータをファイルとして制御部15から出力する。
【0015】
通信部13は、有線通信又は無線通信により監視装置10とセンタ装置20との間でデータの送受信を行うネットワークインターフェース等を含む。また、通信部13は、無線通信により監視装置10と所定人物2が所持するスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末装置との間でデータの送受信を行うネットワークインターフェース等を含んでもよい。
記憶部14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、各種プログラムや各種データを記憶する。例えば記憶部14には、カメラ11で監視領域1内を撮影して生成された撮像画像(以下の説明において「監視画像」と表記することがある)が記録される。記憶部14は、特許請求の範囲に記載の「記録媒体」の一例である。
【0016】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MCU(Micro Control Unit)等の演算装置(プロセッサ)で構成される。制御部15は、記憶部14と接続され、記憶部14からコンピュータプログラムを読み出して実行することにより各種処理部として動作し、各種データを記憶部14に記憶したり、これらデータを読み出す。以下に説明する監視装置10の機能は、記憶部14に記憶されたコンピュータプログラムを制御部15が実行することにより実現される。
【0017】
また制御部15は、入力部12および出力部16と接続され、利用者による入力部12の操作に応じて、監視装置10による監視領域1の監視処理を開始又は終了させる。また制御部15は、カメラ11によって撮影された監視画像を出力部16に出力する。後述の第2実施形態では、制御部15は、監視領域1内に存在する人物3が不審者であるか否かを判定する不審者判定処理を実行し、判定結果を出力部16に出力する。
制御部15は、通信部13とも接続され、通信部13を経由して監視画像や不審者判定処理の判定結果をセンタ装置20へ送信する。
【0018】
出力部16は、液晶ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等のディスプレイ装置を含んでよい。出力部16は、制御部15と接続され、監視画像や制御部15による不審者判定処理の判定結果を表示してよい。出力部16は、スピーカ又はブザー等の音声信号出力装置を備えてもよい。出力部16は、制御部15による不審者判定処理の判定結果の音声情報を出力してもよい。
【0019】
センタ装置20は、例えばサーバ等であり、入力部22と、通信部23と、記憶部24と、制御部25と、出力部26を備える。
入力部22は、例えばタッチパネル、マウス、キーボード等であり、センタ装置20が設けられた監視装置の監視員による操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を制御部25に送る。
【0020】
通信部23は、有線通信又は無線通信によりセンタ装置20と監視装置10との間でデータの送受信を行うネットワークインターフェース等を含む。
記憶部24は、ROM、RAM等のメモリ装置であり、各種プログラムや各種データを記憶する。例えば記憶部24には、センタ装置20から受信した監視画像が記録される。
制御部25は、監視装置10の制御部15と同様の演算装置を有し、センタ装置20の各種信号処理を実行する。
【0021】
例えば制御部25は、監視装置10から送信された監視画像や不審者判定処理の判定結果を、通信部23を経由して受信する。また例えば制御部25は、監視装置10から受信した監視画像や不審者判定処理の判定結果を出力部26に出力する。
出力部26は、液晶ディスプレイ又はCRTディスプレイ等のディスプレイ装置を含んでよい。出力部26は、監視画像や不審者判定処理の判定結果を表示してよい。出力部26は、不審者判定処理の判定結果の音声情報を出力するためのスピーカ又はブザー等の音声信号出力装置を備えてもよい。
【0022】
図2、第1実施形態の監視装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。監視装置10は、画像記憶手段30と、人物検出手段31と、所定人物特定手段32と、基準方向推定手段33と、行為判定手段34と、対象人物選択手段35と、画像抽出手段36と、画像出力手段37と、画像送信手段38を備える。
図1の制御部15は、人物検出手段31と、所定人物特定手段32と、基準方向推定手段33と、行為判定手段34と、対象人物選択手段35及び画像抽出手段36として機能する。記憶部14は、画像記憶手段30として機能する。出力部16は、画像出力手段37として機能する。通信部13は、画像送信手段38として機能する。
【0023】
画像記憶手段30は、カメラ11が生成する監視画像を記憶する。
人物検出手段31は、カメラ11が生成する監視画像に基づいて、監視領域1内に存在する人物を検出し、当該人物の位置を推定する。
所定人物特定手段32は、人物検出手段31が検出した人物の中から所定人物2を特定する。
【0024】
例えば所定人物特定手段32は、人物検出手段31が検出した人物の顔画像の画像認識処理を行うことにより、予め監視装置10に顔画像が登録された所定人物2を検出してもよい。また例えば人物検出手段31が検出した人物の全身画像の画像認識処理を行うことにより、所定の衣装(例えば店舗のユニフォーム)を着用している者や、所定の装身具(例えば身分証や記章、バッジなど)を付けている者を所定人物2として検出してもよい。また例えば所定の挙動やジェスチャを行った者を所定人物2として検出してもよい。
【0025】
基準方向推定手段33は、監視画像に含まれる所定人物2の画像に基づいて、所定人物2の視線や頭部、身体等によって指定される方向である基準方向を推定する。
図3は、所定人物2の基準方向の第1例の模式図である。例えば、基準方向推定手段33は、所定人物2の視線方向を基準方向Dとして推定してよい。例えば基準方向推定手段33は、所定人物2の頭部の向きを監視画像から検出して所定人物2の頭部の前方方向を所定人物2の視線方向として検出してよい。また例えば、所定人物2の顔画像の瞳孔を認識して所定人物2の視線方向を検出してもよい。
【0026】
また例えば基準方向推定手段33は、所定人物2の頭部の側方や後方を基準方向Dとして推定してもよい。基準方向推定手段33は、所定人物2の身体(胴体)の前方、側方又は後方を基準方向Dとして推定してもよい。
基準方向推定手段33は、所定人物2の挙動に基づいて基準方向Dを推定してもよい。例えば所定人物2が指で指す、あごで指すなどのジェスチャによって指定された方向を基準方向Dとして推定してもよい。
基準方向推定手段33は、所定人物2が所持する携帯端末装置の向き(例えば携帯端末装置の縦方向)を基準方向Dとして推定してもよい。例えば基準方向推定手段33は、通信部13を介して、携帯端末装置の電子コンパスやジャイロセンサの検出信号を携帯端末装置から受信することにより、携帯端末装置の向きを判定してよい。
【0027】
図4は、所定人物2の基準方向の第2例の模式図である。例えば基準方向推定手段33は、所定人物2の基準方向として所定人物2の視野範囲Rvを推定してもよい。すなわち所定人物2の基準方向とは、所定人物2の位置を始点とする線分で表される1方向を意味するだけでなく、所定人物2の位置を原点とする有限の幅を有する角度範囲を含んでもよい。例えば、基準方向推定手段33は、所定人物2の視線方向を中央とする所定幅の角度範囲を視野範囲Rvとして推定してよい。
【0028】
なお、基準方向推定手段33は、記憶部14に記憶されている構造物4a~4cの配置位置や大きさ、形状に関する構造物情報に基づいて、所定人物2の位置と視線方向から幾何学的に算出した視野範囲から、構造物4a及び4bによって遮蔽される領域を除いた領域を視野範囲Rvとして算出してもよい。
【0029】
図2を参照する。行為判定手段34は、監視画像に含まれる所定人物2の画像に基づいて、所定人物2が所定の行為を行ったか否かを判定する。例えば所定の行為は、ウインク、手を上げる、頭をかく、顔の特定部位(例えば鼻や口)を触る、カメラ11に向かって目配せをする等の行為であってよい。
また例えば所定の行為は、所定人物2が所持する携帯端末装置における所定の操作、例えばボタン操作やグラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)操作であってもよい。例えば基準方向推定手段33は、通信部13を介して、これらの所定の操作が行われたか否かを携帯端末装置から受信してよい。
対象人物選択手段35は、所定人物2が所定の行為を行ったと行為判定手段34が判定したときの所定人物2と人物3a~3cとの間のそれぞれの相対位置関係に基づいて、人物3a~3cのいずれかを対象人物として選択する。
【0030】
図3を参照する。例えば対象人物選択手段35は、所定人物2が所定行為を行ったときに所定人物2から基準方向Dに存在する人物3a及び3bを対象人物として選択してよい。基準方向Dに存在する人物が複数存在する場合、対象人物選択手段35は、基準方向Dに存在する人物3a及び3bのうち所定人物2に最も近い人物3bを対象人物として選択してよい。
【0031】
図4を参照する。例えば対象人物選択手段35は、所定人物2が所定行為を行ったときに所定人物2の視野範囲Rv内に存在する人物3b及び3cを対象人物として選択してよい。視野範囲Rv内に存在する人物が複数存在する場合、対象人物選択手段35は、視野範囲Rv内に存在する人物3b及び3cのうち所定人物2に最も近い人物3cを対象人物として選択してよい。
【0032】
図5は、対象人物の選択方法の他の例の模式図である。対象人物選択手段35は、所定人物2が所定行為を行ったときに所定人物2から所定距離の範囲Rdに存在する人物3a及び3bを対象人物として選択してよい。
例えば対象人物選択手段35は、所定人物2の基準方向Dや視野範囲Rvに関わらず所定距離の範囲Rdに存在する人物3を対象人物として選択してもよい。また例えば対象人物選択手段35は、基準方向Dや視野範囲Rvに存在する人物3が存在しないと判定した場合に、所定距離の範囲Rdに存在する人物3を対象人物として選択してもよい。
なお、所定距離の範囲Rd内に存在する人物が複数存在する場合、対象人物選択手段35は、所定距離の範囲Rd内に存在する人物3a及び3bのうち所定人物2に最も近い人物3bを対象人物として選択してよい。また、対象人物選択手段35は、視野範囲Rv内に存在する人物3b及び3cの向きを推定し、所定人物2の側を向いていない人物や所定人物2に背を向けている人物(例えば3c)を対象人物として選択してよい。この際、監視画像から頭部の向きを検出して頭部の前方方向から、視野範囲Rv内に存在する人物の向きを求めてもよい。
【0033】
画像抽出手段36は、画像記憶手段30に記憶されている監視画像のうち、対象人物選択手段35が選択した対象人物を撮影した画像を抽出する。例えば画像抽出手段36は、複数のカメラ11a~11dのうち、対象人物を撮影したカメラ11が生成した監視画像を抽出してよい。
また例えば画像抽出手段36は、カメラ11が複数の異なる時刻に生成した監視画像のうち、対象人物を撮影した画像を抽出してもよい。例えばカメラ11が監視画像として生成した動画のうち対象人物が写っている期間だけの部分動画や、対象人物が写っているフレームを抽出してもよい。
【0034】
また例えば画像抽出手段36は、カメラ11が生成した監視画像の全領域の中から対象人物が撮影されている部分画像領域を抽出して、対象人物が撮影されている部分画像領域を識別する識別表示(例えば対象人物が撮影されている部分画像領域を示す図形など)を監視画像に重畳してもよい。
図6は、対象人物の部分画像領域が抽出された監視画像の一例の模式図である。図6の例は、監視画像40に人物3a及び3b及び構造物4aが写っている場合を想定している。画像抽出手段36は、対象人物3aが撮影されている部分画像領域を示す図形を、対象人物選択手段35が選択した対象人物3aを識別する識別表示41として監視画像40に重畳してよい。例えば画像抽出手段36は、対象人物3aの部分画像領域を囲む矩形を識別表示41として監視画像40に重畳してよい。なお、画像抽出手段36は、本発明における「行動解析部」の一例である。
【0035】
図2を参照する。画像出力手段37は、画像抽出手段36が抽出した画像を出力部16のディスプレイ装置に表示する。画像送信手段38は、画像抽出手段36が抽出した画像をセンタ装置20へ送信する。
図1を参照する。センタ装置20の制御部25は、通信部23を介して、監視装置10から送信された画像(対象人物3aの抽出画像)を受信し、受信した画像を出力部26のディスプレイ装置に表示する。
【0036】
(動作)
図7は、第1実施形態の監視方法の一例のフローチャートである。ステップS1において人物検出手段31は、カメラ11が生成する監視画像に基づいて、監視領域1内に存在する人物を検出する。
ステップS2において所定人物特定手段32は、監視領域1内に存在する所定人物2を特定する。基準方向推定手段33は、所定人物2の基準方向を推定する。
【0037】
ステップS3において行為判定手段34は、監視画像に含まれる所定人物2の画像に基づいて、所定人物2が所定の行為を行ったか否かを判定する。所定人物2が所定の行為を行っていない場合(ステップS3:N)に処理はステップS7へ進む。所定人物2が所定の行為を行った場合(ステップS3:Y)に処理はステップS4へ進む。
ステップS4において対象人物選択手段35は、所定人物2が所定の行為を行ったときの所定人物2と人物3a~3cとの間のそれぞれの相対位置関係に基づいて、人物3a~3cのいずれかを対象人物として選択する。
【0038】
ステップS5において画像抽出手段36は、画像記憶手段30に記憶されている監視画像のうち、対象人物選択手段35が選択した対象人物を撮影した画像を抽出する。
ステップS6において画像出力手段37は、画像抽出手段36が抽出した画像を出力部16のディスプレイ装置に表示する。画像送信手段38は、画像抽出手段36が抽出した画像をセンタ装置20へ送信する。センタ装置20の制御部25は、受信した画像を出力部26のディスプレイ装置に表示する。
ステップS7において監視装置10の制御部15は、監視処理を終了操作が入力部12で行われたか否かを判定する。終了操作が行われていない場合(ステップS7:N)に処理はステップS1へ戻る。終了操作が行われた場合(ステップS7:Y)に処理は終了する。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態の監視装置10は、監視領域1内に存在する人物3が不審者か否かを判定する。
図8は、第2実施形態の監視装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。第2実施形態の監視装置10は、第1実施形態の監視装置10に類似する構成を有しており同一又は類似の構成要素には同じ参照符号を付与する。
【0040】
第2実施形態の監視装置10は、カメラ11が生成する監視画像に基づいて、監視領域1内に存在する人物3が不審者か否かを判定する不審者判定手段39を備える。図1の制御部15は、不審者判定手段39として機能する。画像抽出手段36と不審者判定手段39は、特許請求の範囲に記載の「行動解析部」の一例である。
例えば不審者判定手段39は、カメラ11が生成する監視画像を解析して、人物3の不審度を算出し、不審度が判定閾値Thを超えた場合に人物3が不審者であると判定してよい。
例えば不審者判定手段39は、人物3の不審度として、人物3の行動が不審行動である尤もらしさを算出してよい。例えば不審者判定手段39は、人物3が、鞄やポケットに商品を入れようとする動きや、いくつも商品を入れる動き、鞄やポケットをしきりに触れる行動、万引きの予備動作を行っているか否かを推定して、人物3の行動が不審行動である尤もらしさを算出してよい。以下の説明において、監視領域1内に存在する人物3が不審者か否かを判定する処理を「不審者判定処理」と表記することがある。なお、不審者判定手段39は、本発明における「行動解析部」の一例である。
【0041】
不審者判定手段39は、監視領域1内に存在する複数の人物3a~3cのうち、対象人物選択部35が選択した対象人物を優先して不審者か否かを判定する。すなわち、対象人物に対する不審者判定処理を、他の人物に対する不審者判定処理よりも優先する。
例えば不審者判定手段39は、対象人物に対する不審者判定処理の実施頻度を他の人物に対する不審者判定処理の実施頻度よりも高くすることにより、対象人物に対する不審者判定処理を優先してよい。例えば複数の人物3a~3cのうち対象人物に対する不審者判定処理の実施間隔を他の人物に対する不審者判定処理の実施間隔よりも短くしてよい。
【0042】
また例えば不審者判定手段39は、対象人物に対する不審者判定処理の精度を、他の人物に対する不審者判定処理の精度よりも高くすることにより、対象人物に対する不審者判定処理を優先してよい。例えば不審者判定手段39は、不審者判定処理に用いる画像の解像度や、不審者判定処理のアルゴリズムを変更することにより、対象人物に対する不審者判定処理の精度を、他の人物に対する不審者判定処理の精度よりも高くしてよい。
また例えば不審者判定手段39は、対象人物に対する不審者判定処理を、他の人物に対する不審者判定処理よりも先に実施することにより、対象人物に対する不審者判定処理を優先してよい。
【0043】
また不審者判定手段39は、監視領域1内に存在する複数の人物3a~3cのうち、対象人物以外の人物に比べて、対象人物が不審者であると判定され易くしてもよい。例えば不審者判定手段39は、対象人物の不審度と比較する判定閾値Thを、対象人物以外の人物の不審度と比較する判定閾値Thよりも低く設定することにより、対象人物を不審者であると判定され易くしてもよい。
【0044】
不審者判定手段39は、カメラ11が生成する監視画像に不審者判定処理の判定結果を付加する。例えば不審者判定手段39は、監視画像に写っている人物3の各々の不審者判定処理の判定結果を示す記号、文字、図形を、監視画像上の人物3の位置又はその近傍に重畳してよい。
画像出力手段37は、不審者判定処理の判定結果が付加された監視画像を出力部16のディスプレイ装置に表示する。画像送信手段38は、不審者判定処理の判定結果が付加された監視画像をセンタ装置20へ送信する。
【0045】
図1を参照する。センタ装置20の制御部25は、通信部23を介して、監視装置10から送信された画像(不審者判定処理の判定結果が付加された監視画像)を受信し、受信した画像を出力部26のディスプレイ装置に表示する。
なお、センタ装置20の制御部25が不審者判定手段39を備えてもよい。例えば、監視装置10は、監視画像と、対象人物選択手段35が選択した対象人物を特定する対象人物情報をセンタ装置20に送信してもよい。センタ装置20の制御部25は、上述の不審者判定処理を実行して、監視領域1内に存在する人物3が不審者か否かを判定してよい。例えば制御部25は、監視領域1内に存在する複数の人物3a~3cのうち、対象人物選択部35が選択した対象人物を優先して不審者か否かを判定してもよく、対象人物以外の人物に比べて、対象人物が不審者であると判定され易くしてもよい。
【0046】
図9は、第2実施形態の監視方法の一例のフローチャートである。ステップS11~S14の処理は、図7を参照して説明したステップS1~S4の処理と同様である。
ステップS15において不審者判定手段39は、監視領域1内に存在する人物3が不審者か否かを判定する。例えば不審者判定手段39は、監視領域1内に存在する複数の人物3a~3cのうち、対象人物選択部35が選択した対象人物を優先して不審者か否かを判定してもよく、対象人物以外の人物に比べて、対象人物が不審者であると判定され易くしてもよい。
【0047】
ステップS16において不審者判定手段39は、カメラ11が生成する監視画像に不審者判定処理の判定結果を付加する。画像出力手段37は、不審者判定処理の判定結果が付加された監視画像を出力部16のディスプレイ装置に表示する。画像送信手段38は、不審者判定処理の判定結果が付加された監視画像をセンタ装置20へ送信する。センタ装置20の制御部25は、受信した画像を出力部26のディスプレイ装置に表示する。
ステップS17の処理は、図7を参照して説明したステップS7の処理と同様である。
【0048】
(実施形態の効果)
(1)監視装置10は、監視領域内に存在する所定人物を特定する所定人物特定手段32と、所定人物が所定行為を行ったか否かを判定する行為判定手段34と、監視領域内に存在する人物の行動解析のための処理を行う行動解析手段として機能する画像抽出手段36又は不審者判定手段39と所定人物が所定行為を行ったときの監視領域内に存在する他の人物と所定人物との間の相対位置関係に基づいて、他の人物を上記の処理の対象とする対象人物として選択する対象人物選択手段35と、を備える。
【0049】
これにより、監視領域内における監視業務の効率を向上することができる。すなわち、監視業務においては、システムのみによる不審者の判定だけでなく人間(店員など)が現場で感じている「不審者らさ」も不審者であるか否かを判断するうえで重要な判断材料となる。本発明によれば、監視領域1における監視業務に協力する人間が不審者らしいと感じた対象人物を監視装置10が選択できる。この結果、監視領域内の人物の数が多い場合に不審者らしい対象人物により注目して監視することができる。このため、監視領域内の人物の数が多い場合に監視装置10やセンタ装置20にて追跡及び解析する対象となる人物を限定できるので、監視領域内の人物を追跡及び解析する処理を容易にできる。
【0050】
(2)監視装置10は、所定人物の基準方向を推定する基準方向推定手段33を更に備えてもよい。対象人物選択手段35は、所定人物が所定行為を行ったときに所定人物から基準方向に存在する他の人物を対象人物として選択してもよい。
これにより、所定人物の視線方向や、頭部、身体などによって表すことができる基準方向に基づいて対象人物を特定できる。
【0051】
(3)基準方向推定手段33は、所定人物の視野を推定し、対象人物選択手段35は、所定人物が所定行為を行ったときに所定人物の視野範囲内に存在する他の人物を対象人物として選択してもよい。
これにより、所定人物の視野に基づいて対象人物を特定できる。
【0052】
(4)対象人物選択手段35は、所定人物が所定行為を行ったときに所定人物の視野範囲内に存在する他の人物の向きを推定し、他の人物のうち所定人物側を向いていない人物を対象人物として選択してもよい。
これにより、所定人物と対象人物との間の位置関係や体の向きを基準として対象人物を特定できる。
【0053】
(5)監視装置10は、監視領域内に存在する複数の人物の各々に対して不審者か否かを判定するように行動解析する不審者判定手段39を備えてもよい。不審者判定手段39は、複数の人物のうち対象人物を優先して不審者か否かを判定してよい。
これにより、監視領域内に存在する人物が不審者か否かを効率よく判定できる。
【0054】
(6)監視装置10は、監視領域内に存在する複数の人物の各々に対して不審者か否かを判定するように行動解析する不審者判定手段39を備えてもよい。不審者判定手段39は、複数の人物のうち対象人物以外の人物に比べて、対象人物が不審者であると判定され易くしてもよい。
これにより、不審者の判定精度を向上できる。
【0055】
(7)監視装置10は、監視領域を撮影した撮像画像が記録された記録媒体から対象人物を撮影した画像を抽出する画像抽出手段36を備えてもよい。
これにより、所定人物が不審者らしいと感じている対象人物を効率よく監視できる。
【符号の説明】
【0056】
1…監視領域、2…所定人物、3、3a~3c…人物、4a~4c…構造物、10…監視装置、11、11a~11d…カメラ、12、22…入力部、13、23…通信部、14、24…記憶部、15、25…制御部、16、26…出力部、20…センタ装置、30…画像記憶手段、31…人物検出手段、32…所定人物特定手段、33…基準方向推定手段、34…行為判定手段、35…対象人物選択手段、36…画像抽出手段、37…画像出力手段、38…画像送信手段、39…不審者判定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9