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特開2024-138987移動端末試験装置とその信号ロス値算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138987
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】移動端末試験装置とその信号ロス値算出方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/11 20150101AFI20241002BHJP
   H04B 17/21 20150101ALI20241002BHJP
【FI】
H04B17/11
H04B17/21
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049737
(22)【出願日】2023-03-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横堀 邦幸
(57)【要約】
【課題】各測定系における試験実行前に実際にロス測定を実施することにより、試験効率を向上させることができる移動端末試験装置を提供すること。
【解決手段】移動端末100と通信するための制御パケットやデータパケットを含む信号を生成する出力信号制御部11と、出力信号制御部11が生成した信号を増幅や周波数変換などして移動端末100に送信する信号送信部12と、移動端末100から受信したRF信号を増幅や周波数変換などして受信データ解析部14に出力する信号受信部13と、信号受信部13から入力されたRF信号から制御パケットやデータパケットを抽出したり、受信したRF信号の受信レベルを検出したりする受信データ解析部14と、信号の送信レベルと実際の信号の受信レベルとから移動端末100と移動端末試験装置1との間のケーブルやスプリッタ2による信号のロス値を計算するロス値計算部15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動端末(100)とケーブル及びスプリッタ(2)を介して接続されて前記移動端末を試験する移動端末試験装置(1)であって、
前記移動端末と信号の送受信を行なって、信号の送信レベルと実際の信号の受信レベルとから前記移動端末との間の前記ケーブル及び前記スプリッタにおける信号のロス値を計算するロス値計算部(15)を備える移動端末試験装置。
【請求項2】
前記ロス値計算部は、ダウンリンクにおいては、L1-RSRPの基準信号の送信レベルと、前記移動端末からのL1-RSRPの報告の受信レベルとから前記ロス値を計算する請求項1に記載の移動端末試験装置。
【請求項3】
前記ロス値計算部は、アップリンクにおいては、前記移動端末からのPUSCHの受信レベルと、前記移動端末からのPHRの報告の送信レベルとから前記ロス値を計算する請求項1または請求項2に記載の移動端末試験装置。
【請求項4】
移動端末(100)とケーブル及びスプリッタ(2)を介して接続されて前記移動端末を試験する移動端末試験装置(1)の信号ロス値算出方法であって、
前記移動端末に所定のレベルのダウンリンク信号を送信するステップと、
前記移動端末から前記ダウンリンク信号の受信レベルを取得するステップと、
前記ダウンリンク信号の送信レベルと、前記移動端末での前記ダウンリンク信号の受信レベルとから前記移動端末との間の前記ケーブル及び前記スプリッタにおける信号のロス値を計算するステップと、を備える信号ロス値算出方法。
【請求項5】
移動端末(100)とケーブル及びスプリッタ(2)を介して接続されて前記移動端末を試験する移動端末試験装置(1)の信号ロス値算出方法であって、
前記移動端末から所定のレベルのアップリンク信号を送信させるステップと、
前記移動端末から前記アップリンク信号の送信レベルを取得するステップと、
前記移動端末からの前記アップリンク信号の受信レベルを検出するステップと、
前記移動端末での前記アップリンク信号の送信レベルと、前記アップリンク信号の受信レベルとから前記移動端末との間の前記ケーブル及び前記スプリッタにおける信号のロス値を計算するステップと、を備える信号ロス値算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末の試験を行なう移動端末試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やデータ通信端末等の移動しながら通信を行なう移動端末を開発した場合、この開発した移動端末が正常に通信を行なえるか否かを試験する必要がある。このため、実際の基地局の機能を擬似する擬似基地局として動作する試験装置に試験対象の移動端末を接続し、試験装置と移動端末との間で通信を行ない、この通信の内容を確認する試験を行なっている。
【0003】
このような移動端末の試験では、移動端末のアンテナ端子と、試験装置のアンテナ端子とを有線のケーブルで接続して試験を行なうことがある。
【0004】
移動端末と試験装置をケーブルで接続して送受信する信号の測定を行なう場合、ケーブルでの信号のロスであるケーブルロスを算出して、測定結果に反映しなければならない。
【0005】
特許文献1には、信号を発生する装置本体と信号を出力する外部モジュールをケーブルで接続した装置において、ケーブルの交換等によりケーブルロスが変わって外部モジュールの出力端での信号レベルなどが変わってしまうのを防ぐため、外部モジュールに出力信号のレベルを検出する出力レベルモニタを設け、出力レベルモニタの検出結果により出力信号のレベルを調整することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-129333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、移動通信システムの5G(5th Generation)無線方式では、アンテナ構成が複雑になっており、ケーブル本数が増え、スプリッタを使用する場合もあり、上りと下りで周波数帯が大きく異なるケースもあり、特許文献1に記載の技術では対応できない。
【0008】
また、ロス値が分かっているケーブルやスプリッタを使う場合でも、試験周波数に応じて配線を変えるたびに信号経路の周波数特性などによるロス値を計算し直さなければならず、試験の効率が悪かった。
【0009】
そこで、本発明は、各測定系における試験実行前に実際にロス測定を実施することにより、試験効率を向上させることができる移動端末試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の移動端末試験装置は、移動端末とケーブル及びスプリッタを介して接続されて前記移動端末を試験する移動端末試験装置であって、前記移動端末と信号の送受信を行なって、信号の送信レベルと実際の信号の受信レベルとから前記移動端末との間の前記ケーブル及び前記スプリッタにおける信号のロス値を計算するロス値計算部を備えるものである。
【0011】
この構成により、移動端末と信号の送受信が行なわれ、信号の送信レベルと実際の信号の受信レベルとから移動端末との間のケーブル及びスプリッタにおける信号のロス値が計算される。このため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記ロス値計算部は、ダウンリンクにおいては、L1-RSRP(Layer 1 Reference Signal Received Power)の基準信号の送信レベルと、前記移動端末からのL1-RSRPの報告の受信レベルとから前記ロス値を計算するものである。
【0013】
この構成により、ダウンリンクにおいては、L1-RSRPの基準信号の送信レベルと、移動端末からのL1-RSRPの報告の受信レベルとから信号のロス値が計算される。このため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【0014】
また、本発明の移動端末試験装置において、前記ロス値計算部は、アップリンクにおいては、前記移動端末からのPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)の受信レベルと、前記移動端末からのPHR(Power Headroom Report)の報告の送信レベルとから前記ロス値を計算するものである。
【0015】
この構成により、アップリンクにおいては、移動端末からのPUSCHの受信レベルと、移動端末からのPHRの報告の送信レベルとから信号のロス値が計算される。このため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【0016】
また、本発明の信号ロス値算出方法は、移動端末とケーブル及びスプリッタを介して接続されて前記移動端末を試験する移動端末試験装置の信号ロス値算出方法であって、前記移動端末に所定のレベルのダウンリンク信号を送信するステップと、前記移動端末から前記ダウンリンク信号の受信レベルを取得するステップと、前記ダウンリンク信号の送信レベルと、前記移動端末での前記ダウンリンク信号の受信レベルとから前記移動端末との間の前記ケーブル及び前記スプリッタにおける信号のロス値を計算するステップと、を備えるものである。
【0017】
この構成により、ダウンリンク信号の送信レベルと、移動端末から取得されたダウンリンク信号の受信レベルとから信号のロス値が計算される。このため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の信号ロス値算出方法は、移動端末とケーブル及びスプリッタを介して接続されて前記移動端末を試験する移動端末試験装置の信号ロス値算出方法であって、前記移動端末から所定のレベルのアップリンク信号を送信させるステップと、前記移動端末から前記アップリンク信号の送信レベルを取得するステップと、前記移動端末からの前記アップリンク信号の受信レベルを検出するステップと、前記移動端末での前記アップリンク信号の送信レベルと、前記アップリンク信号の受信レベルとから前記移動端末との間の前記ケーブル及び前記スプリッタにおける信号のロス値を計算するステップと、を備えるものである。
【0019】
この構成により、移動端末からのアップリンク信号の受信レベルと、移動端末から取得された移動端末でのアップリンク信号の送信レベルとから信号のロス値が計算される。このため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、試験効率を向上させることができる移動端末試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のダウンリンクのロス値計算方法の例を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のアップリンクのロス値計算方法の例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のダウンリンク試験処理の手順を説明するフローチャートである。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置のアップリンク試験処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る移動端末試験装置について詳細に説明する。
【0023】
図1において、本発明の一実施形態に係る移動端末試験装置1は、擬似基地局として同軸ケーブルやスプリッタ2等を介して有線で移動端末100とRF(無線周波数)信号を送受信するようになっている。スプリッタ2は、移動端末100の図示しない複数のアンテナ端子との接続をまとめて移動端末試験装置1と接続させるもので、複数のアンテナ端子からのRF信号を合成して移動端末試験装置1に送信したり、移動端末試験装置1からのRF信号を複数のアンテナ端子に分配したりする。
【0024】
移動端末試験装置1は、出力信号制御部11と、信号送信部12と、信号受信部13と、受信データ解析部14と、ロス値計算部15と、を含んで構成される。
【0025】
出力信号制御部11は、移動端末100と通信するための制御パケットやデータパケットを含む信号を生成し、信号送信部12を介して移動端末100に送信する。
【0026】
信号送信部12は、出力信号制御部11が生成した信号を増幅や周波数変換などして移動端末100に送信する。
【0027】
信号受信部13は、移動端末100から受信したRF信号を増幅や周波数変換などして受信データ解析部14に出力する。
【0028】
受信データ解析部14は、信号受信部13を介して移動端末100から受信したRF信号の解析を行ない、制御パケットやデータパケットを抽出したり、受信したRF信号の受信レベルなどを検出したりする。
【0029】
ロス値計算部15は、受信データ解析部14で抽出された制御パケットや、受信データ解析部14で検出された受信したRF信号の受信レベルなどに基づいて、移動端末100と移動端末試験装置1との間のケーブルやスプリッタ2による信号のロス値を計算する。
【0030】
ここで、移動端末試験装置1は、移動端末100と通信を行なうための通信モジュールが設けられた図示しないコンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの記憶装置と、入出力ポートと、タッチパネルとを有する。
【0031】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を移動端末試験装置1として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、移動端末試験装置1として機能する。
【0032】
このように、本実施形態において、出力信号制御部11、受信データ解析部14、ロス値計算部15は、CPUによって構成され、信号送信部12、信号受信部13は、通信モジュールによって構成される。
【0033】
このような構成の移動端末試験装置1において、ロス値計算部15は、移動端末試験装置1から移動端末100への通信であるダウンリンクと、移動端末100から移動端末試験装置1への通信であるアップリンクと、の各測定系における試験実行前に、実際の信号送受信時の信号レベルを測定して信号ロス値を計算する。
【0034】
ロス値計算部15は、ダウンリンクにおいては、5Gの規格で定義されているL1-RSRP(Layer 1 Reference Signal Received Power)により、実際の信号送信時の信号レベルと、移動端末100で測定された実際の信号受信時の信号レベルとにより信号ロス値を計算する。
【0035】
ロス値計算部15は、図2に示すように、出力信号制御部11に対して、L1-RSRP測定向けの基準信号、例えばSSB(Synchronization Signal Block)を送信するとともに、L1-RSRPを報告するように移動端末100に指示を出すように要求する。このとき、ロス値計算部15は、基準信号の送信レベルも出力信号制御部11に指定する。
【0036】
出力信号制御部11は、信号送信部12に対して、指定された出力レベルでSSBを送信するように指示する。また、出力信号制御部11は、L1-RSRPを報告するように指示する信号を作成し、移動端末100に送信するように信号送信部12に要求する。
【0037】
移動端末100は、L1-RSRPを報告するよう指示されると、基準信号を受信し、評価結果として受信レベルを1dBステップの精度で移動端末試験装置1にレポートする信号を送信する。
【0038】
受信データ解析部14は、信号受信部13を介して移動端末100から受信した信号に、L1-RSRPの評価結果をレポートする信号があると、その内容をロス値計算部15に出力する。
【0039】
ロス値計算部15は、指定した基準信号の送信レベルと、L1-RSRPのレポートの受信レベルとから信号ロス値を計算する。
【0040】
例えば、図2に示すように、移動端末試験装置1端のSSB出力を-98dBmの設定としたとき、移動端末100端のSSBを検出したレベルが-105dBmであり、移動端末100からの報告値が-105dBmであった場合、ロス値計算部15は、-98-(-105)=7dBの信号ロスが有ると算出する。
【0041】
ロス値計算部15は、アップリンクにおいては、5Gの規格で定義されているPHR(Power Headroom Report)により、移動端末100での実際の信号送信時の信号レベルと、測定された実際の受信信号の信号レベルとから信号ロス値を計算する。
【0042】
ロス値計算部15は、図3に示すように、出力信号制御部11に対して、移動端末100にPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)の送信を指示する信号の送信と、PHRの送信を指示する。なお、ロス値計算部15は、5Gのアップリンク送信の要素技術であるSUL(Supplementary UpLink)やUplinkTxSwitchingなどを使うケースでは、PUSCHの送信を指示する信号に周波数帯域も指定する。
【0043】
出力信号制御部11は、信号送信部12に対して、移動端末100にPUSCHの送信を指示する信号の送信を指示する。また、出力信号制御部11は、移動端末100にPHRを送信するように信号送信部12に要求する。
【0044】
移動端末100は、PUSCHの送信を指示する信号を受信すると、PUSCHを所定の送信レベルで送信する。また、移動端末100は、PHRを受信すると、PUSCHの送信レベルを設定してPHRの報告を送信する。
【0045】
受信データ解析部14は、信号受信部13を介して移動端末100からPUSCHを受信すると、その受信レベルを検出してロス値計算部15に出力する。また、受信データ解析部14は、信号受信部13を介して移動端末100から受信した信号にPHRの報告の信号があると、その内容をロス値計算部15に出力する。
【0046】
ロス値計算部15は、受信したPUSCHの受信レベルと、PHRの報告に設定されたPUSCHの送信レベルとから信号ロス値を計算する。
【0047】
例えば、図3に示すように、移動端末100でのPUSCHの送信レベルが+20dBmであり、移動端末100からのPHRの報告の内容も+20dBmであり、移動端末試験装置1端で検知したPUSCHの受信レベルが+15dBmであった場合、ロス値計算部15は、20-15=5dBの信号ロスが有ると算出する。
【0048】
以上のように構成された本実施形態に係る移動端末試験装置1によるダウンリンク試験処理について、図4を参照して説明する。なお、以下に説明するダウンリンク試験処理は、図示しない操作部によりダウンリンクの試験実行が選択されると実行される。
【0049】
ステップS1において、ロス値計算部15は、現在のケーブル及びスプリッタ2の構成でのロス値が測定済であるか否かを判定する。
【0050】
ロス値が測定済であると判定した場合には、ロス値計算部15は、ステップS8の処理を実行する。ロス値が測定済でないと判定した場合には、ロス値計算部15は、ステップS2の処理を実行する。
【0051】
ステップS2において、ロス値計算部15は、出力信号制御部11に移動端末100(UE:User Equipment)との通信の接続を要求する。ステップS2の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS3の処理を実行する。
【0052】
ステップS3において、ロス値計算部15は、出力信号制御部11にSSBなどの基準信号の出力を所定の信号レベルに調整して送信するように要求する。ステップS3の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS4の処理を実行する。
【0053】
ステップS4において、ロス値計算部15は、出力信号制御部11にL1-RSRPの送信を指示する。ステップS4の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS5の処理を実行する。
【0054】
ステップS5において、ロス値計算部15は、L1-RSRPのレポートを受信した受信データ解析部14から、その内容を受信する。ステップS5の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS6の処理を実行する。
【0055】
ステップS6において、ロス値計算部15は、L1-RSRPの報告値の解析を行なう。ステップS6の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS7の処理を実行する。
【0056】
ステップS7において、ロス値計算部15は、L1-RSRPの報告値から移動端末100との間のダウンリンクの信号のロス値を計算する。ステップS7の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS8の処理を実行する。
【0057】
ステップS8において、ロス値計算部15は、算出したロス値を使って試験測定を行なうように要求する。ステップS8の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ダウンリンク試験処理を終了する。
【0058】
本実施形態に係る移動端末試験装置1によるアップリンク試験処理について、図5を参照して説明する。なお、以下に説明するアップリンク試験処理は、図示しない操作部によりアップリンクの試験実行が選択されると実行される。
【0059】
ステップS11において、ロス値計算部15は、現在のケーブル及びスプリッタ2の構成でのロス値が測定済であるか否かを判定する。
【0060】
ロス値が測定済であると判定した場合には、ロス値計算部15は、ステップS17の処理を実行する。ロス値が測定済でないと判定した場合には、ロス値計算部15は、ステップS12の処理を実行する。
【0061】
ステップS12において、ロス値計算部15は、出力信号制御部11に移動端末100(UE)との通信の接続を要求する。ステップS12の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS13の処理を実行する。
【0062】
ステップS13において、ロス値計算部15は、PUSCHやPHRの送信情報を出力信号制御部11に設定し、移動端末100にPUSCHの送信を指示する信号を送信するとともに、PHRを送信するように出力信号制御部11に指示する。ステップS13の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS14の処理を実行する。
【0063】
ステップS14において、ロス値計算部15は、PHRを受信した受信データ解析部14から、その内容を受信する。ステップS14の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS15の処理を実行する。
【0064】
ステップS15において、ロス値計算部15は、PHRの報告値の解析を行なう。ステップS15の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS16の処理を実行する。
【0065】
ステップS16において、ロス値計算部15は、PHRの報告値から移動端末100との間のダウンリンクの信号のロス値を計算する。ステップS16の処理を実行した後、ロス値計算部15は、ステップS17の処理を実行する。
【0066】
ステップS17において、ロス値計算部15は、算出したロス値を使って試験測定を行なうように要求する。ステップS17の処理を実行した後、ロス値計算部15は、アップリンク試験処理を終了する。
【0067】
このように、上述の実施形態では、ロス値計算部15は、ダウンリンクにおいては、L1-RSRP測定向けの基準信号を所定のレベルで送信し、L1-RSRPを報告するように移動端末100に指示し、L1-RSRPの報告値と基準信号の送信レベルとから移動端末100との間のケーブル及びスプリッタ2の信号のロス値を計算する。
【0068】
これにより、基準信号による実際の送信レベルと受信レベルが測定され、ロス値が算出される。このように、実際にロス測定を実施しているため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【0069】
また、ロス値計算部15は、アップリンクにおいては、移動端末100にPUSCHの送信を指示し、PHRの送信を指示し、PHRの報告値と、PUSCHの測定値とから移動端末100との間のケーブル及びスプリッタ2の信号のロス値を計算する。
【0070】
これにより、PUSCHの実際の送信レベルと受信レベルが測定され、ロス値が算出される。このように、実際にロス測定を実施しているため、試験周波数が変わったり、配線を変えたりするたびにロス値を計算し直す必要がなくなり、試験効率を向上させることができる。
【0071】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0072】
1 移動端末試験装置
2 スプリッタ
11 出力信号制御部
12 信号送信部
13 信号受信部
14 受信データ解析部
15 ロス値計算部
100 移動端末
図1
図2
図3
図4
図5