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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138993
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】吸収体及び吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/534 20060101AFI20241002BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20241002BHJP
A61F 13/539 20060101ALI20241002BHJP
A61F 13/536 20060101ALI20241002BHJP
【ＦＩ】
A61F13/534 110
A61F13/53 100
A61F13/539
A61F13/53 300
A61F13/536 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023049748
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 加奈
【テーマコード（参考）】
3B200
【Ｆターム（参考）】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA01
3B200BA02
3B200BA06
3B200BB03
3B200BB17
3B200DB01
3B200DB02
3B200DB05
3B200DB12
3B200DB15
3B200DB18
3B200DB24
(57)【要約】
【課題】体液を複数回吸収してもゲルブロッキングが発生せず吸収速度に優れ、体液漏れ及び液戻りを防止でき、柔らかさも良好である吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品を提供する。
【解決手段】着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布、上層側高吸収性ポリマー層、下層側親水性不織布、下層側高吸収性ポリマー層、及び非肌側親水性不織布を重ね合わせた吸収体であり、上層側高吸収性ポリマー層と下層側高吸収性ポリマー層は、いずれも高吸収性ポリマーと、上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含み、下層側の高吸収性ポリマーと、上層側の高吸収性ポリマーの通液速度の差は２０ｍｌ／分以上であり、吸収体は、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝を有し、高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率が６％以上１５％以下である、吸収体及び吸収性物品を提供する。
【選択図】図１
【解決手段】着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布、上層側高吸収性ポリマー層、下層側親水性不織布、下層側高吸収性ポリマー層、及び非肌側親水性不織布を重ね合わせた吸収体であり、上層側高吸収性ポリマー層と下層側高吸収性ポリマー層は、いずれも高吸収性ポリマーと、上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含み、下層側の高吸収性ポリマーと、上層側の高吸収性ポリマーの通液速度の差は２０ｍｌ／分以上であり、吸収体は、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝を有し、高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率が６％以上１５％以下である、吸収体及び吸収性物品を提供する。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラッフパルプを含まない吸収体であって、
吸収体は、着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布、上層側高吸収性ポリマー層、下層側親水性不織布、下層側高吸収性ポリマー層、及び非肌側親水性不織布を重ね合わせたものであり、
前記上層側高吸収性ポリマー層と前記下層側高吸収性ポリマー層は、いずれも高吸収性ポリマーと、該高吸収性ポリマーを固着するために上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含み、
前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーと、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度の差は２０ｍｌ／分以上であり、
吸収体は、その肌側表面から前記非肌側親水性不織布へと向けて凹み、かつ、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝を有し、
前記エンボス溝が付与される部分において、前記上層側高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率と、前記下層側高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率は、いずれも６％以上１５％以下であることを特徴とする、吸収体。
吸収体は、着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布、上層側高吸収性ポリマー層、下層側親水性不織布、下層側高吸収性ポリマー層、及び非肌側親水性不織布を重ね合わせたものであり、
前記上層側高吸収性ポリマー層と前記下層側高吸収性ポリマー層は、いずれも高吸収性ポリマーと、該高吸収性ポリマーを固着するために上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含み、
前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーと、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度の差は２０ｍｌ／分以上であり、
吸収体は、その肌側表面から前記非肌側親水性不織布へと向けて凹み、かつ、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝を有し、
前記エンボス溝が付与される部分において、前記上層側高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率と、前記下層側高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率は、いずれも６％以上１５％以下であることを特徴とする、吸収体。
【請求項2】
吸収体は、前記上層側高吸収性ポリマー層と前記下層側親水性不織布との間に、前記着用者の肌側から、中層側親水性不織布及び中層側高吸収性ポリマー層を更に含むことを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項3】
前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は２０ｍｌ／分以下であり、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は４０ｍｌ／分以上であることを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項4】
吸収体全体に含まれる高吸収性ポリマーの重量に対する、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの重量の比率は、２０重量％以上５０重量％以下であることを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項5】
前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの坪量は８０ｇ／ｍ２以上３５０ｇ／ｍ２以下であり、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの坪量は１００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下であることを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項6】
前記エンボス溝が付与される部分における、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれるホットメルト接着剤の坪量と、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれるホットメルト接着剤の坪量は、いずれも１０ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下であることを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項7】
前記エンボス溝の深さは、吸収体における前記下層側高吸収性ポリマー層の非肌側まで達することを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項8】
前記エンボス溝の長さは、吸収体の長手方向の寸法の３０％以上であることを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項9】
更に、その肌側表面から前記非肌側親水性不織布へと向けて凹み、かつ、肌側表面を幅方向に伸びる幅方向側エンボス溝を含むことを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項10】
前記上層側親水性不織布、前記下層側親水性不織布、及び前記中層側親水性不織布、並びに前記非肌側親水性不織布は、いずれもスパンボンド不織布であることを特徴とする、請求項２に記載の吸収体。
【請求項11】
前記非肌側親水性不織布はコアラップシートであることを特徴とする、請求項１に記載の吸収体。
【請求項12】
吸収性物品であって、
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置される請求項１に記載の吸収体と、を備えることを特徴とする、吸収性物品。
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置される請求項１に記載の吸収体と、を備えることを特徴とする、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収性物品は、肌側に位置する液透過性のトップシートと、非肌側に位置する液不透過性のバックシートと、これらの間に配置される吸収体とを備え、トップシートを透過してきた体液を吸収体で吸収及び保持し、バックシートにより体液が着用者の衣類等に付着しないように構成されている。
【0003】
吸収性物品には、例えば、軽失禁パッド、軽失禁ライナー、尿吸収パッド、生理用ナプキン等のパッド製品や、パンツタイプ紙おむつ、テープ止めタイプ紙おむつ等の紙おむつ製品等、用途に応じて様々な形態が存在し、乳幼児、成人及び高齢者を問わず広く汎用されている。
【0004】
従来の吸収性物品では、吸収体として、フラッフパルプ等の吸収性繊維と、高吸収性ポリマー（Ｓｕｐｅｒ Ａｂｓｏｒｂｅｎｔ Ｐｏｌｙｍｅｒ、以下「ＳＡＰ」とも称する）とを含むフラッフ吸収体が汎用されている。しかしながら、フラッフ吸収体は、尿等の体液を吸収して比較的大きな厚みになり、他人から目立ち易いという問題を有している。また、歩行可能でありつつ吸収性物品を着用する人の数が増えている。
【0005】
このため、最近では、吸収性物品を着けていることが目立たない、また着用時に違和感がなく、つけている感がない薄型の吸収性物品が望まれている。このような要望に鑑み、吸収体を薄型化するために、種々の提案がなされている。また、薄型の吸収体として、２枚の親水性不織布と、これらの間にホットメルト接着剤（以下「ＨＭ」とも称する）により固着されたＳＡＰとを含むシート型の吸収体について、種々の提案がなされている。
【0006】
特許文献１には、着用者の肌側から非肌側に向けて順に設けられる、表面層（トップシート）と、吸収層と、底層（バックシート）とを備え、吸収層は、着用者の肌側から非肌側に向けて順に、ポリエチレン等からなる穿孔フィルム層と、上付着層と、コア層と、下付着層とを有し、穿孔フィルム層はトップシートとコア層との間に位置し、下付着層はコア層と底層との間に位置し、上付着層と下付着層との間に高吸水性樹脂を充填してコア層とした尿とりパッドが開示されている。
【0007】
特許文献２には、第１シートと、第１シートに対向配置される第２シートと、第１シートと第２シートとの間に配置されるＳＡＰとを含み、第１シートは第２シートとの対向面が接着剤塗布面であり、第２シートは第１シートとの対向面が接着剤塗布面であり、ＳＡＰは第１シート及び／又は第２シートの接着剤塗布面に幅方向に間欠的にストライプ状に接着され、その幅方向両側は第１シート及び第２シートの接着剤塗布面同士の接着により封止された吸収性シートが、吸収体として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第３２１５５１５号公報
【特許文献2】特開２００６－１５８６７６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、フラッフパルプを含まない吸収体は、従来のフラッフ吸収体と比較すると、ＳＡＰが初めに排出された尿等の体液を吸収及び膨潤してゲルブロッキングを起こし、体液の通り道を塞いでしまうことから、２回目以降の体液排出の際、体液吸収速度及び体液吸収量が著しく低下するという問題があった。特に、特許文献２に記載のような、単に２枚の親水性不織布の間にホットメルト接着剤でＳＡＰを固着しただけの従来の吸収性シートは、現在の吸収性物品における複数回の体液吸収の要求に対応できない。
【0010】
さらに、従来の吸収性シートには、ＳＡＰが密に配置されていることで、吸収性物品自体に硬さが出てしまい、着用感（柔らかさ）が低下するという課題や、吸収性シートを構成するプラスチック系樹脂由来の不織布では、ＳＡＰが体液を吸収し始めるまでに体液を瞬間的に受け止める機能がないため、最初の体液を吸収できず、体液漏れや液戻りが生じるという課題もある。
【0011】
本発明の目的は、体液を複数回吸収してもゲルブロッキングが発生せず吸収速度に優れ、体液漏れ及び液戻りを防止でき、柔らかさも良好である吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、フラッフパルプを含まず、着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布、上層側高吸収性ポリマー層、下層側親水性不織布、下層側高吸収性ポリマー層、及び非肌側親水性不織布を重ね合わせた吸収体において、上層側高吸収性ポリマー層と下層側高吸収性ポリマー層において、いずれも高吸収性ポリマーを固着するためにホットメルト接着剤を上下に塗布し、肌側表面から非肌側親水性不織布へと向けて凹み、かつ、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝を施し、下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーと上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度の差、及び上層側高吸収性ポリマー層及び下層側高吸収性ポリマー層におけるそれぞれの高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率を、いずれも所定の数値範囲内とすることにより、体液を複数回吸収してもゲルブロッキングが発生せず吸収速度に優れ、体液漏れ及び液戻りを防止でき、柔らかさも良好である吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品とすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0013】
（１）本発明の第１の態様は、フラッフパルプを含まない吸収体であって、吸収体は、着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布、上層側高吸収性ポリマー層、下層側親水性不織布、下層側高吸収性ポリマー層、及び非肌側親水性不織布を重ね合わせたものであり、前記上層側高吸収性ポリマー層と前記下層側高吸収性ポリマー層は、いずれも高吸収性ポリマーと、該高吸収性ポリマーを固着するために上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含み、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーと、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度の差は２０ｍｌ／分以上であり、吸収体は、その肌側表面から前記非肌側親水性不織布へと向けて凹み、かつ、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝を有し、前記エンボス溝が付与される部分において、前記上層側高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率と、前記下層側高吸収性ポリマー層における高吸収性ポリマーの坪量に対するホットメルト接着剤の坪量の比率は、いずれも６％以上１５％以下であることを特徴とする、吸収体である。
【0014】
（２）本発明の第２の態様は、（１）に記載の吸収体であって、吸収体は、前記上層側高吸収性ポリマー層と前記下層側親水性不織布との間に、前記着用者の肌側から、中層側親水性不織布及び中層側高吸収性ポリマー層を更に含むことを特徴とするものである。
【0015】
（３）本発明の第３の態様は、（１）に記載の吸収体であって、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は２０ｍｌ／分以下であり、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は４０ｍｌ／分以上であることを特徴とするものである。
【0016】
（４）本発明の第４の態様は、（１）に記載の吸収体であって、吸収体全体に含まれる高吸収性ポリマーの重量に対する、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの重量の比率は、２０重量％以上５０重量％以下であることを特徴とするものである。
【0017】
（５）本発明の第５の態様は、（１）に記載の吸収体であって、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの坪量は８０ｇ／ｍ２以上３５０ｇ／ｍ２以下であり、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれる高吸収性ポリマーの坪量は１００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下であることを特徴とするものである。
【0018】
（６）本発明の第６の態様は、（１）に記載の吸収体であって、前記エンボス溝が付与される部分における、前記上層側高吸収性ポリマー層に含まれるホットメルト接着剤の坪量と、前記下層側高吸収性ポリマー層に含まれるホットメルト接着剤の坪量は、いずれも１０ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下であることを特徴とするものである。
【0019】
（７）本発明の第７の態様は、（１）に記載の吸収体であって、前記エンボス溝の深さは、吸収体における前記下層側高吸収性ポリマー層の非肌側まで達することを特徴とするものである。
【0020】
（８）本発明の第８の態様は、（１）に記載の吸収体であって、前記エンボス溝の長さは、吸収体の長手方向の寸法の３０％以上であることを特徴とするものである。
【0021】
（９）本発明の第９の態様は、（１）に記載の吸収体であって、更に、その肌側表面から前記非肌側親水性不織布へと向けて凹み、かつ、肌側表面を幅方向に伸びる幅方向側エンボス溝を含むことを特徴とするものである。
【0022】
（１０）本発明の第１０の態様は、（２）に記載の吸収体であって、前記上層側親水性不織布、前記下層側親水性不織布、及び前記中層側親水性不織布、並びに前記非肌側親水性不織布は、いずれもスパンボンド不織布であることを特徴とするものである。
【0023】
（１１）本発明の第１１の態様は、（１）に記載の吸収体であって、前記非肌側親水性不織布はコアラップシートであることを特徴とするものである。
【0024】
（１２）本発明の第１２の態様は、吸収性物品であって、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置される（１）に記載の吸収体と、を備えることを特徴とする、吸収性物品である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、体液を複数回吸収してもゲルブロッキングが発生せず吸収速度に優れ、体液漏れ及び液戻りを防止でき、柔らかさも良好である吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書において、吸収体１の長手方向とは、吸収性物品１００を着用したときに着用者の股間部を介して前後に亘る、図中Ｙで示す方向であり、幅方向とは、長手方向に対して略直交する、図中Ｘで示す方向であり、厚み方向とは、各構成部材を積層する方向である。吸収性物品１００及びその各構成部材の肌側表面（以下「肌側の面」ともいう）とは着用者の肌に当接する表面又は該肌を臨む表面であり、非肌側表面（以下「非肌側の面」ともいう）とは着用者の衣類に当接する表面又は衣類を臨む表面である。体液とは、尿、血液や軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
【0028】
＜吸収体＞
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る吸収体１について説明する。
本発明の一実施形態に係る吸収体１は、図１および図２に示すように、着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布１０、上層側高吸収性ポリマー層２０、下層側親水性不織布１１、下層側高吸収性ポリマー層２１、及び非肌側親水性不織布１２を重ね合わせたものである。
なお、吸収体１は薄さを保つために、全体としてフラッフパルプを含まない。また、吸収体１の長手方向の寸法は１２０ｍｍ以上３６０ｍｍ以下であることが好ましく、幅方向の寸法は４０ｍｍ以上８０ｍｍ以下であることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係る吸収体１について説明する。
本発明の一実施形態に係る吸収体１は、図１および図２に示すように、着用者の肌側から順に、上層側親水性不織布１０、上層側高吸収性ポリマー層２０、下層側親水性不織布１１、下層側高吸収性ポリマー層２１、及び非肌側親水性不織布１２を重ね合わせたものである。
なお、吸収体１は薄さを保つために、全体としてフラッフパルプを含まない。また、吸収体１の長手方向の寸法は１２０ｍｍ以上３６０ｍｍ以下であることが好ましく、幅方向の寸法は４０ｍｍ以上８０ｍｍ以下であることが好ましい。
【0029】
（親水性不織布）
上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１は、吸収体１の面方向及び厚さ方向に体液を拡散させるものである。上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１としては、体液の拡散性に優れる親水性不織布を特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂からなる繊維の１種又は２種以上を含む、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、不織布表面が滑らかで接着剤が埋もれにくいために高吸収性ポリマーの固定率が優れること、及び、不織布が薄いために吸収体１の薄型化が可能であること、といった観点から、スパンボンド不織布がより好ましい。
上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１は、吸収体１の面方向及び厚さ方向に体液を拡散させるものである。上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１としては、体液の拡散性に優れる親水性不織布を特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂からなる繊維の１種又は２種以上を含む、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、不織布表面が滑らかで接着剤が埋もれにくいために高吸収性ポリマーの固定率が優れること、及び、不織布が薄いために吸収体１の薄型化が可能であること、といった観点から、スパンボンド不織布がより好ましい。
【0030】
上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１の坪量は、例えば、１０ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下の範囲であることが好ましく、１０ｇ／ｍ２以上２０ｇ／ｍ２以下の範囲であることがより好ましい。上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１の厚さは、例えば、０．０５ｍｍ以上０．３ｍｍ以下の範囲である。なお、上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１には、相互に同種又は異種の親水性不織布を用いることができるが、同種の方が好ましい。上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１を同じ種類とすることで、資材の融点や熱の伝わりやすさが均一となるために、後述するエンボス溝４０がくっきりと形成されやすく、吸収性物品１００の使用終期に至るまで、吸収速度が高水準に維持される。
【0031】
（非肌側親水性不織布）
非肌側親水性不織布１２は、吸収体１の最も非肌側に位置し、上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１を支持するとともに、体液が排出されたときに、体液漏れ、液戻り等の発生を防止する。非肌側親水性不織布１２としては、体液の拡散性に優れる親水性不織布を特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂からなる繊維の１種又は２種以上を含む、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収体１の薄型化の観点から、スパンボンド不織布がより好ましい。
非肌側親水性不織布１２は、吸収体１の最も非肌側に位置し、上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１を支持するとともに、体液が排出されたときに、体液漏れ、液戻り等の発生を防止する。非肌側親水性不織布１２としては、体液の拡散性に優れる親水性不織布を特に限定なく使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂からなる繊維の１種又は２種以上を含む、エアスルー不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収体１の薄型化の観点から、スパンボンド不織布がより好ましい。
【0032】
非肌側親水性不織布１２の坪量は、例えば、１０ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下の範囲であり、厚さは、例えば、０．０５ｍｍ以上０．３ｍｍ以下の範囲である。なお、非肌側親水性不織布１２には、上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１と同種又は異種の親水性不織布を用いることができる。また、上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１、並びに非肌側親水性不織布１２は、すべて同種の不織布であってもよく、そして、すべてスパンボンド不織布であってもよい。
上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１、並びに非肌側親水性不織布１２を全てスパンボンド不織布とすることで、資材の融点や熱の伝わりやすさが均一となるために、後述するエンボス溝４０がくっきりと形成されやすく、吸収性物品１００の使用終期に至るまで、吸収速度が高水準に維持される。
なお、非肌側親水性不織布１２は上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１と同程度の寸法であってもよいが、幅方向の寸法が上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１より大きく、厚さ方向に両端を折り畳んで、上層側親水性不織布１０、上層側高吸収性ポリマー層２０、下層側親水性不織布１１、及び下層側高吸収性ポリマー層２１を全て包み込む、いわゆるコアラップシートであってもよい（図示しない）。
上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１、並びに非肌側親水性不織布１２を全てスパンボンド不織布とすることで、資材の融点や熱の伝わりやすさが均一となるために、後述するエンボス溝４０がくっきりと形成されやすく、吸収性物品１００の使用終期に至るまで、吸収速度が高水準に維持される。
なお、非肌側親水性不織布１２は上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１と同程度の寸法であってもよいが、幅方向の寸法が上層側親水性不織布１０及び下層側親水性不織布１１より大きく、厚さ方向に両端を折り畳んで、上層側親水性不織布１０、上層側高吸収性ポリマー層２０、下層側親水性不織布１１、及び下層側高吸収性ポリマー層２１を全て包み込む、いわゆるコアラップシートであってもよい（図示しない）。
【0033】
（高吸収性ポリマー層）
上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１に用いられる高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、（デンプン－アクリル酸）グラフト共重合体、（アクリル酸－ビニルアルコール）共重合体、（イソブチレン－無水マレイン酸）共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて使用できる。
上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１に用いられる高吸収性ポリマーとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、（デンプン－アクリル酸）グラフト共重合体、（アクリル酸－ビニルアルコール）共重合体、（イソブチレン－無水マレイン酸）共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、１種を単独で又は２種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体１が体液を吸収した後に硬化することにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、５０μｍ以上６００μｍ以下の範囲又は１００μｍ以上５００μｍ以下の範囲である。
【0035】
上層側高吸収性ポリマー層２０に用いられる高吸収性ポリマーの坪量は、８０ｇ／ｍ２以上３５０ｇ／ｍ２以下であることが好ましい。また、下層側高吸収性ポリマー層２１に用いられる高吸収性ポリマーの坪量は、１００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下であることが好ましい。
高吸収性ポリマーの坪量をそれぞれ上記の数値範囲内とすることで、上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１のゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体１を柔らかい触感にすることができる。なお、上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１の坪量及び厚さは互いに同一でも異なっていてもよい。
高吸収性ポリマーの坪量をそれぞれ上記の数値範囲内とすることで、上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１のゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体１を柔らかい触感にすることができる。なお、上層側高吸収性ポリマー層２０及び下層側高吸収性ポリマー層２１の坪量及び厚さは互いに同一でも異なっていてもよい。
【0036】
また、下層側高吸収性ポリマー層２１に含まれる高吸収性ポリマーと、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度の差は２０ｍｌ／分以上である。通液速度の差が２０ｍｌ／分未満であると、吸収体１が液戻りしやすくなり、また、吸収速度にも劣る。
なお、吸収体１の液戻りを防止し、吸収速度を良好なものとするために、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は２０ｍｌ／分以下であることが好ましく、下層側高吸収性ポリマー層２１に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は４０ｍｌ／分以上であることが好ましい。通液速度の測定方法は後述する。
なお、吸収体１の液戻りを防止し、吸収速度を良好なものとするために、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は２０ｍｌ／分以下であることが好ましく、下層側高吸収性ポリマー層２１に含まれる高吸収性ポリマーの通液速度は４０ｍｌ／分以上であることが好ましい。通液速度の測定方法は後述する。
【0037】
さらに、吸収体１全体に含まれる高吸収性ポリマーの重量に対する、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる高吸収性ポリマーの重量の比率は、２０重量％以上５０重量％以下であることが好ましい。比率が２０重量％未満であると吸収体１が液戻りしやすくなり、５０重量％を超えると上層側高吸収性ポリマー層２０がゲルブロッキングを起こしやすくなり、吸収体１の吸収速度が悪くなる。
【0038】
（接着剤層）
上層側高吸収性ポリマー層２０と下層側高吸収性ポリマー層２１は、いずれも高吸収性ポリマーを固着するために上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含む。すなわち、上層側高吸収性ポリマー層２０と下層側高吸収性ポリマー層２１は、いずれも高吸収性ポリマーを固着させるために上下にホットメルト接着剤を塗布して、それぞれ上層側接着剤層３０及び下層側接着剤層３１を形成する。
後述するエンボス溝４０は熱と圧力によって付与されるが、各層の親水性不織布をエンボスのみで接着する場合、温度が高すぎると親水性不織布に穴があきやすくなってＳＡＰが漏れ出る可能性があり、低すぎると十分に接着されず、ＳＡＰの膨潤によって容易に外れてエンボスによる溝が形成されないため、ホットメルト接着剤を塗布することによって各層を別途接着する。
用いられるホットメルト接着剤としては、融点が１００℃以上１８０℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン－ブタジエン－スチレン系共重合体、スチレン－イソプレン－スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン－酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。
上層側高吸収性ポリマー層２０と下層側高吸収性ポリマー層２１は、いずれも高吸収性ポリマーを固着するために上下に塗布されたホットメルト接着剤とを含む。すなわち、上層側高吸収性ポリマー層２０と下層側高吸収性ポリマー層２１は、いずれも高吸収性ポリマーを固着させるために上下にホットメルト接着剤を塗布して、それぞれ上層側接着剤層３０及び下層側接着剤層３１を形成する。
後述するエンボス溝４０は熱と圧力によって付与されるが、各層の親水性不織布をエンボスのみで接着する場合、温度が高すぎると親水性不織布に穴があきやすくなってＳＡＰが漏れ出る可能性があり、低すぎると十分に接着されず、ＳＡＰの膨潤によって容易に外れてエンボスによる溝が形成されないため、ホットメルト接着剤を塗布することによって各層を別途接着する。
用いられるホットメルト接着剤としては、融点が１００℃以上１８０℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン－ブタジエン－スチレン系共重合体、スチレン－イソプレン－スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン－酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。
【0039】
このとき、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる（上層側接着剤層３０の）ホットメルト接着剤の坪量と、下層側高吸収性ポリマー層に含まれる（下層側接着剤層３１の）ホットメルト接着剤の坪量は、接着性と肌触りの観点から、いずれも１０ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下であることが好ましい。
【0040】
また、上層側高吸収性ポリマー層２０における高吸収性ポリマーの坪量に対する（上層側接着剤層３０の）ホットメルト接着剤の坪量の比率と、下層側高吸収性ポリマー層２１における高吸収性ポリマーの坪量に対する（下層側接着剤層３１の）ホットメルト接着剤の坪量の比率は、いずれも６％以上１５％以下である。比率が６％未満であると接着が十分ではなく、ＳＡＰが膨潤すると後述するエンボス溝４０が維持できず、体液が長手方向や厚さ方向に拡散されない。比率が１５％を超えると、吸収体１が全体的に固くなり肌触りに劣る。
なお、上述したホットメルト接着剤の坪量は、後述するエンボス溝４０が付与される部分における坪量であるが、上層側接着剤層３０及び下層側接着剤層３１の全面にわたって同じ坪量であってもよい。
なお、上述したホットメルト接着剤の坪量は、後述するエンボス溝４０が付与される部分における坪量であるが、上層側接着剤層３０及び下層側接着剤層３１の全面にわたって同じ坪量であってもよい。
【0041】
（中層）
なお、本発明の別実施形態に係る吸収体１は、図４に示すように、上層側高吸収性ポリマー層２０と下層側親水性不織布１１との間に、着用者の肌側から、中層側親水性不織布１３及び中層側高吸収性ポリマー層２２をさらに含んでいてもよい。また、中層側高吸収性ポリマー層２２は、高吸収性ポリマーを固着させるために上下にホットメルト接着剤を塗布して、中層側接着剤層３２を形成することが好ましい。
中層側親水性不織布１３、中層側高吸収性ポリマー層２２及び中層側接着剤層３２にそれぞれ用いられる親水性不織布、高吸収性ポリマー及びホットメルト接着剤は、上記の親水性不織布、高吸収性ポリマー及びホットメルト接着剤のいずれを用いてもかまわないが、下層側親水性不織布１１、下層側高吸収性ポリマー層２１及び下層側接着剤層３１とそれぞれ同種のもの（特に、中層側親水性不織布１３は、スパンボンド不織布）を用いることが好ましい。
なお、本発明の別実施形態に係る吸収体１は、図４に示すように、上層側高吸収性ポリマー層２０と下層側親水性不織布１１との間に、着用者の肌側から、中層側親水性不織布１３及び中層側高吸収性ポリマー層２２をさらに含んでいてもよい。また、中層側高吸収性ポリマー層２２は、高吸収性ポリマーを固着させるために上下にホットメルト接着剤を塗布して、中層側接着剤層３２を形成することが好ましい。
中層側親水性不織布１３、中層側高吸収性ポリマー層２２及び中層側接着剤層３２にそれぞれ用いられる親水性不織布、高吸収性ポリマー及びホットメルト接着剤は、上記の親水性不織布、高吸収性ポリマー及びホットメルト接着剤のいずれを用いてもかまわないが、下層側親水性不織布１１、下層側高吸収性ポリマー層２１及び下層側接着剤層３１とそれぞれ同種のもの（特に、中層側親水性不織布１３は、スパンボンド不織布）を用いることが好ましい。
【0042】
（エンボス溝）
図１及び図３に示すように、本発明の一実施形態に係る吸収体１は、その肌側表面から非肌側親水性不織布１２へと向けて凹み、かつ、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝４０を有する。上述したように、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる高吸収性ポリマーは通液速度が遅いため、体液を保持して液戻りを良くする一方で、ゲルブロッキングが発生しやすくなる。そこで、エンボス溝４０を施すことにより、吸収体１の長手方向への体液の拡散を促す。また、エンボス溝４０は図３に示すように下層側高吸収性ポリマー層２１まで到達しているため、体液はエンボス溝４０から更に拡散する。
このとき、エンボス溝４０の深さＤは、吸収体１における下層側高吸収性ポリマー層２１の非肌側まで達することが好ましい。具体的には、エンボス溝４０を非肌側親水性不織布１２の肌側表面に達する程度（深さ）の溝部として形成されるようにしてもよく、又は非肌側親水性不織布１２の肌側表面には達しない程度（深さ）の溝部として形成されるようにしてもよい。
図１及び図３に示すように、本発明の一実施形態に係る吸収体１は、その肌側表面から非肌側親水性不織布１２へと向けて凹み、かつ、肌側表面の幅方向中央を長手方向に延びるエンボス溝４０を有する。上述したように、上層側高吸収性ポリマー層２０に含まれる高吸収性ポリマーは通液速度が遅いため、体液を保持して液戻りを良くする一方で、ゲルブロッキングが発生しやすくなる。そこで、エンボス溝４０を施すことにより、吸収体１の長手方向への体液の拡散を促す。また、エンボス溝４０は図３に示すように下層側高吸収性ポリマー層２１まで到達しているため、体液はエンボス溝４０から更に拡散する。
このとき、エンボス溝４０の深さＤは、吸収体１における下層側高吸収性ポリマー層２１の非肌側まで達することが好ましい。具体的には、エンボス溝４０を非肌側親水性不織布１２の肌側表面に達する程度（深さ）の溝部として形成されるようにしてもよく、又は非肌側親水性不織布１２の肌側表面には達しない程度（深さ）の溝部として形成されるようにしてもよい。
【0043】
エンボス溝４０の幅（即ち、エンボス溝４０の延在方向と直交する方向に沿う寸法であり、かつ、吸収体１の幅方向に沿う寸法）は特定の値には限定されないものの、例えば、３ｍｍ以上８ｍｍ以下の範囲であることが好ましい。
さらに、エンボス溝４０の長さＬは、吸収体１の長手方向の寸法の３０％以上であることが好ましい。エンボス溝４０の長さＬが吸収体１の長手方向の寸法の３０％未満であると、体液拡散性が不十分になる傾向がある。
さらに、エンボス溝４０の長さＬは、吸収体１の長手方向の寸法の３０％以上であることが好ましい。エンボス溝４０の長さＬが吸収体１の長手方向の寸法の３０％未満であると、体液拡散性が不十分になる傾向がある。
【0044】
なお、本発明の吸収体１は更に、図５に示すように、吸収体１の幅方向に伸びる幅方向側エンボス溝４１を含んでいてもよい。なお、幅方向側エンボス溝４１は図５（ａ）に示すようにエンボス溝４０と直交するように設けてもよいし、図５（ｂ）に示すように、略Ｘ字状となるように斜め方向に設けてもよい。また、図５（ａ）及び図５（ｂ）に示すように、幅方向側エンボス溝４１は複数設けてもよい。
【0045】
＜吸収体の製造方法＞
本発明の一実施形態に係る吸収体１は、公知の方法に従って製造できる。製造方法としては、例えば、非肌側親水性不織布１２の肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、更に所定量の高吸収性ポリマーをフィーダーノズルより散布して下層側高吸収性ポリマー層２１を形成する第一工程と、下層側親水性不織布１１の非肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、下層側親水性不織布１１を重ね合わせて下層側接着剤層３１を形成する第二工程と、下層側親水性不織布１１の肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、更に所定量の高吸収性ポリマーをフィーダーノズルより散布して上層側高吸収性ポリマー層２０を形成する第三工程と、上層側親水性不織布１０の非肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、上層側親水性不織布１０を重ね合わせて上層側接着剤層３０を形成する第四工程と、を含む製造方法が挙げられる。また、必要に応じて、加圧処理又は加圧加熱処理を施してもよい。そして、最後にエンボス加工を施すことにより、本発明の一実施形態に係る吸収体１が得られる。なお、中層側親水性不織布１３及び中層側高吸収性ポリマー層２２をさらに含む場合も、同様にして作成できる。
本発明の一実施形態に係る吸収体１は、公知の方法に従って製造できる。製造方法としては、例えば、非肌側親水性不織布１２の肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、更に所定量の高吸収性ポリマーをフィーダーノズルより散布して下層側高吸収性ポリマー層２１を形成する第一工程と、下層側親水性不織布１１の非肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、下層側親水性不織布１１を重ね合わせて下層側接着剤層３１を形成する第二工程と、下層側親水性不織布１１の肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、更に所定量の高吸収性ポリマーをフィーダーノズルより散布して上層側高吸収性ポリマー層２０を形成する第三工程と、上層側親水性不織布１０の非肌側表面にホットメルト接着剤を塗布し、上層側親水性不織布１０を重ね合わせて上層側接着剤層３０を形成する第四工程と、を含む製造方法が挙げられる。また、必要に応じて、加圧処理又は加圧加熱処理を施してもよい。そして、最後にエンボス加工を施すことにより、本発明の一実施形態に係る吸収体１が得られる。なお、中層側親水性不織布１３及び中層側高吸収性ポリマー層２２をさらに含む場合も、同様にして作成できる。
【0046】
＜吸収性物品＞
さらに、本発明の一実施形態に係る吸収性物品１００は、図６に示すように、液透過性のトップシート１１０と、液不透過性のバックシート１２０と、これらの間に配置される吸収体１と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明の一実施形態に係る吸収性物品１００は、図６に示すように、液透過性のトップシート１１０と、液不透過性のバックシート１２０と、これらの間に配置される吸収体１と、を備えることを特徴とする。
【0047】
（トップシート）
トップシート１１０は、吸収体１に向けて体液を速やかに通過させて吸収体１の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート１１０は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、相互に同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
トップシート１１０は、吸収体１に向けて体液を速やかに通過させて吸収体１の面方向に体液を拡散させる液透過性のシート状基材である。トップシート１１０は、着用者の肌に直接当接してもよいように、柔らかな感触で、肌に刺激を与えない基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、相互に同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも各不織布が好ましい。
【0048】
トップシート１１０には、液透過性を向上させる観点から、エンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。トップシート１１０は、肌への刺激を低減させる観点から、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、ｐＨ調整剤、抗菌剤、保湿剤等の１種又は２種以上を含有してもよい。トップシート１１０の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、１５ｇ／ｍ２以上４０ｇ／ｍ２以下の範囲である。トップシート１１０の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体１に誘導するために必要とされる、吸収体１の一部又は全部を覆う形状であればよい。
【0049】
（バックシート）
バックシート１２０は、吸収体１が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
バックシート１２０は、吸収体１が保持する体液が着用者の衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の単層不織布、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布積層体等の複合不織布、これらの複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0050】
バックシート１２０の坪量は、強度及び加工性の点から、例えば１５ｇ／ｍ２以上６０ｇ／ｍ２以下の範囲である。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート１２０には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート１２０に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート１２０にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0051】
（立体ギャザー）
本発明の一実施形態に係る吸収性物品１００は、図６に示すような立体ギャザー１３０を備えていてもよい。
立体ギャザー１３０は、例えば、吸収性物品１００の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するために、吸収性物品１００の幅方向両端付近で吸収性物品１００の長手方向に沿ってトップシート１１０の肌側面に固定される。立体ギャザー１３０は、撥水性及び／又は防水性を有し、幅方向一端（固定端）がバックシート１２０の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート１１０の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端であるシート部材と、シート部材の自由端（他端）付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材の自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする弾性伸縮部材と、を含む。
本発明の一実施形態に係る吸収性物品１００は、図６に示すような立体ギャザー１３０を備えていてもよい。
立体ギャザー１３０は、例えば、吸収性物品１００の着用者が排泄した体液の横漏れ等を防止するために、吸収性物品１００の幅方向両端付近で吸収性物品１００の長手方向に沿ってトップシート１１０の肌側面に固定される。立体ギャザー１３０は、撥水性及び／又は防水性を有し、幅方向一端（固定端）がバックシート１２０の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向途中部がトップシート１１０の肌側面の幅方向両端付近に固定され、幅方向他端が起立性を有する自由端であるシート部材と、シート部材の自由端（他端）付近に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、シート部材の自由端及びその近傍領域を着用者の体型に合わせて変形可能にする弾性伸縮部材と、を含む。
【0052】
＜吸収性物品の製造方法＞
吸収性物品１００は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、トップシート１１０とバックシート１２０との間に吸収体１を収容する工程と、トップシート１１０の縁辺とバックシート１２０の縁辺とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を利用して固定する工程と、立体ギャザー１３０をバックシート１２０及びトップシート１１０の所定位置に設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。また、吸収性物品１００には、必要に応じて、セカンドシート、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等が適宜設けられる。こうして得られた吸収性物品１００は、適宜折り畳んで製品化される。
吸収性物品１００は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、トップシート１１０とバックシート１２０との間に吸収体１を収容する工程と、トップシート１１０の縁辺とバックシート１２０の縁辺とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を利用して固定する工程と、立体ギャザー１３０をバックシート１２０及びトップシート１１０の所定位置に設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。また、吸収性物品１００には、必要に応じて、セカンドシート、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等が適宜設けられる。こうして得られた吸収性物品１００は、適宜折り畳んで製品化される。
【0053】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0054】
以下に実施例を挙げ、本実施形態を更に具体的に説明する。
【0055】
（吸収体の作製）
表１の上段側に示す構成で、吸収体として用いられる実施例１～８及び比較例１～７の吸収体を作製した。なお、吸収体を構成する不織布（親水性不織布）としては、いずれも親水性スパンボンド（坪量１５ｇ／ｍ２）を用いた。
表１の上段側に示す構成で、吸収体として用いられる実施例１～８及び比較例１～７の吸収体を作製した。なお、吸収体を構成する不織布（親水性不織布）としては、いずれも親水性スパンボンド（坪量１５ｇ／ｍ２）を用いた。
【0056】
（吸収性物品の作製）
吸収体として上記で得られた実施例１～８及び比較例１～７のそれぞれの吸収体を用い、液透過性のトップシートとして、エアスルー不織布（坪量２５ｇ／ｍ２）を用い、セカンドシートとしてエアスルー不織布（坪量３０ｇ／ｍ２）を用い、立体ギャザーとして、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布を積層した複合不織布（坪量１５ｇ／ｍ２）を用い、液不透過性のバックシートとして、通気性ポリエチレンシート（坪量３２ｇ／ｍ２）を用いた。
そして、トップシート、バックシート、吸収体を一体化する際に、ホットメルト接着剤を用いてトップシートと吸収体上面とを接合し、実施例１～８並びに比較例１～７の吸収性物品を作製した。なお、吸収性物品の寸法は、長手方向が２７０ｍｍ、幅１０５ｍｍとした。
吸収体として上記で得られた実施例１～８及び比較例１～７のそれぞれの吸収体を用い、液透過性のトップシートとして、エアスルー不織布（坪量２５ｇ／ｍ２）を用い、セカンドシートとしてエアスルー不織布（坪量３０ｇ／ｍ２）を用い、立体ギャザーとして、スパンボンド不織布／メルトブロー不織布／スパンボンド不織布を積層した複合不織布（坪量１５ｇ／ｍ２）を用い、液不透過性のバックシートとして、通気性ポリエチレンシート（坪量３２ｇ／ｍ２）を用いた。
そして、トップシート、バックシート、吸収体を一体化する際に、ホットメルト接着剤を用いてトップシートと吸収体上面とを接合し、実施例１～８並びに比較例１～７の吸収性物品を作製した。なお、吸収性物品の寸法は、長手方向が２７０ｍｍ、幅１０５ｍｍとした。
【0057】
上記で得られた実施例１～８及び比較例１～７のそれぞれの吸収体と、実施例１～８並びに比較例１～７のそれぞれの吸収性物品を、次の評価に供した。
【0058】
（通液速度）
ＳＡＰを０．３２±０．００５ｇ分計り取り、１００ｍｌ容ビーカーに投入し、更に大過剰量（例えば、ＳＡＰの飽和吸収量の５倍以上）の生理食塩水（０．９質量％塩化ナトリウム水溶液）を入れて３０分間放置し、測定試料を調製した。得られた測定試料を、金網（目開き１５０μｍ、商品名：バイオカラム焼結ステンレスフィルター３０ＳＵＳ、（株）三商）と、コック（内径２ｍｍ）付き細管（内径４ｍｍ、長さ８ｃｍ）とを備えた濾過円筒管に、コックを閉鎖した状態で、投入した。
次いで、目開き１５０μｍ、直径２５ｍｍの金網を先端に備えた直径２ｍｍの円柱棒を濾過円筒管内に該金網と測定試料とが接するよう挿入し、更に測定試料に錘を載せて２．０ｋＰａの荷重を加えた。この状態で１分間放置した後、コックを開いて測定試料２０ｍｌが該金網を通過して流れるまでの時間Ｔ１（秒）を計測した。また、ブランクとして、濾過円筒管内に測定試料に代えて生理食塩水を入れ、Ｔ１を測定するときと同じ条件で、生理食塩水の２０ｍｌが金網を通過するのに要する時間Ｔ０（秒）を測定した。得られた時間Ｔ１（秒）及びＴ０（秒）を用い、及び下記式から２．０ｋＰａ加圧下での通液速度を算出した。
通液速度（ｍｌ／分）＝２０×６０／（Ｔ１－Ｔ０）
ＳＡＰを０．３２±０．００５ｇ分計り取り、１００ｍｌ容ビーカーに投入し、更に大過剰量（例えば、ＳＡＰの飽和吸収量の５倍以上）の生理食塩水（０．９質量％塩化ナトリウム水溶液）を入れて３０分間放置し、測定試料を調製した。得られた測定試料を、金網（目開き１５０μｍ、商品名：バイオカラム焼結ステンレスフィルター３０ＳＵＳ、（株）三商）と、コック（内径２ｍｍ）付き細管（内径４ｍｍ、長さ８ｃｍ）とを備えた濾過円筒管に、コックを閉鎖した状態で、投入した。
次いで、目開き１５０μｍ、直径２５ｍｍの金網を先端に備えた直径２ｍｍの円柱棒を濾過円筒管内に該金網と測定試料とが接するよう挿入し、更に測定試料に錘を載せて２．０ｋＰａの荷重を加えた。この状態で１分間放置した後、コックを開いて測定試料２０ｍｌが該金網を通過して流れるまでの時間Ｔ１（秒）を計測した。また、ブランクとして、濾過円筒管内に測定試料に代えて生理食塩水を入れ、Ｔ１を測定するときと同じ条件で、生理食塩水の２０ｍｌが金網を通過するのに要する時間Ｔ０（秒）を測定した。得られた時間Ｔ１（秒）及びＴ０（秒）を用い、及び下記式から２．０ｋＰａ加圧下での通液速度を算出した。
通液速度（ｍｌ／分）＝２０×６０／（Ｔ１－Ｔ０）
【0059】
なお、測定は５回行い（ｎ＝５）、上下各１点の値を削除し、残る３点の平均値を測定値とした。また、測定は２３±２℃、湿度５０±５％で行い、測定の前にＳＡＰを同環境で２４時間以上保存した上で測定した。
【0060】
（吸収速度）
実施例１～８及び比較例１～７の吸収性物品に、底面積１６．８ｃｍ２の円柱の中央に内径１９ｍｍの穴が開いており、重さを７５５．６ｇとした測定冶具を、吸収性物品の長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から２０ｍｌの０．９質量％生理食塩水（３７℃）を注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間（秒）を吸収速度１回目として計測した。３分経過後、再度２０ｍｌの０．９質量％生理食塩水（３７℃）を注水し、生理食塩水が吸収性物品表面へ吸収されるまでの時間（秒）を吸収速度２回目として計測し、同様に３回目を計測し、１回目と３回目の吸収速度を計測した。
実施例１～８及び比較例１～７の吸収性物品に、底面積１６．８ｃｍ２の円柱の中央に内径１９ｍｍの穴が開いており、重さを７５５．６ｇとした測定冶具を、吸収性物品の長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から２０ｍｌの０．９質量％生理食塩水（３７℃）を注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間（秒）を吸収速度１回目として計測した。３分経過後、再度２０ｍｌの０．９質量％生理食塩水（３７℃）を注水し、生理食塩水が吸収性物品表面へ吸収されるまでの時間（秒）を吸収速度２回目として計測し、同様に３回目を計測し、１回目と３回目の吸収速度を計測した。
【0061】
（液戻り量）
実施例１～８及び比較例１～７の吸収性物品に、生理食塩水１５０ｍｌを注水し、注水してから１０分後に３５ｇｆ／ｃｍ２の荷重でろ紙を吸収性物品表面に圧着させ、１分間でろ紙に逆戻りした水分量を測定した。逆戻り量が少ないほど、吸収体がドライな状態であることを示す。
実施例１～８及び比較例１～７の吸収性物品に、生理食塩水１５０ｍｌを注水し、注水してから１０分後に３５ｇｆ／ｃｍ２の荷重でろ紙を吸収性物品表面に圧着させ、１分間でろ紙に逆戻りした水分量を測定した。逆戻り量が少ないほど、吸収体がドライな状態であることを示す。
【0062】
（官能評価）
１０人のパネラーの協力の下、実施例１～８及び比較例１～７の吸収体を用いた吸収性物品を８時間使用して日常動作における評価を行い、着用感（柔らかさ、漏れ感のなさ）について、「柔らかい」、「漏れ感がない」と評価したモニターの人数によって３段階の官能評価を行い、結果を表１に示した。評価基準は、「柔らかい」、「漏れ感がない」と感じたモニターの人数によって以下のとおりとした。
◎：８名以上
○：４名～７名
△：３名以下
１０人のパネラーの協力の下、実施例１～８及び比較例１～７の吸収体を用いた吸収性物品を８時間使用して日常動作における評価を行い、着用感（柔らかさ、漏れ感のなさ）について、「柔らかい」、「漏れ感がない」と評価したモニターの人数によって３段階の官能評価を行い、結果を表１に示した。評価基準は、「柔らかい」、「漏れ感がない」と感じたモニターの人数によって以下のとおりとした。
◎：８名以上
○：４名～７名
△：３名以下
【0063】
以上の各測定及び各評価の結果を、表１の下段側に示す。
【表1】
【0064】
表１の結果から、本発明に係る吸収体及び吸収性物品によれば、体液を複数回吸収してもゲルブロッキングが発生せず吸収速度に優れ、体液漏れ及び液戻りを防止でき、柔らかさも良好である吸収体及び該吸収体を備える吸収性物品が提供できることが確認された。
【符号の説明】
【0065】
１ 吸収体
１０、１１、１２、１３ 親水性不織布
２０、２１、２２ 高吸収性ポリマー層
３０、３１、３２ 接着剤層
４０、４１ エンボス溝
１００ 吸収性物品
１１０ トップシート
１２０ バックシート
１３０ 立体ギャザー
１０、１１、１２、１３ 親水性不織布
２０、２１、２２ 高吸収性ポリマー層
３０、３１、３２ 接着剤層
４０、４１ エンボス溝
１００ 吸収性物品
１１０ トップシート
１２０ バックシート
１３０ 立体ギャザー
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
