(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138999
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】内視鏡用クリップ装置、及び、クリップセット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/128 20060101AFI20241002BHJP
A61B 17/122 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A61B17/128
A61B17/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049757
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】坂口 幸彦
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD19
4C160DD29
(57)【要約】
【課題】クリップ連結部が係止部から離脱する際の当該係止部の位置が変形部における基端側となる場合でも、クリップの結紮をより確実に行うことが可能な内視鏡用クリップ装置を提供する。
【解決手段】内視鏡用クリップ装置100は、複数のアーム部20と係止部25とを有するクリップ本体11と、複数のアーム部20を締め付けて閉状態とする締付部と、を有するクリップ10を収容可能な長尺なシース81と、シース81の内部に配置されている筒状のスリーブ40と、クリップ連結部88を遠位端に有する操作ワイヤ86と、を有する処置具本体60を備え、スリーブ40は、変形部42を有し、スリーブ40は、変形部42の基端側に隣接して配置されているとともに当該スリーブ40の基端部を構成しており変形部42と比べて径方向に変形しにくい拘束部43を更に有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を把持する複数のアーム部と前記アーム部の基端側に設けられた係止部とを有するクリップ本体と、前記複数のアーム部が内部に挿通されており前記複数のアーム部に対して前進することにより前記複数のアーム部を締め付けて閉状態とする締付部と、を有するクリップを収容可能な長尺なシースと、
前記シースの内部に配置されている筒状のスリーブと、
前記係止部の拡径を伴って前記係止部に対して連結又は前記係止部から離脱するクリップ連結部を遠位端に有し、軸方向に進退可能に前記スリーブに挿通されている操作ワイヤと、
を有する処置具本体を備え、
前記スリーブは、内径が拡大する方向に変形可能な変形部を有し、
前記変形部は、前記クリップ連結部が前記係止部から離脱する際に前記係止部の周囲を径方向外側から覆い、
前記スリーブは、前記変形部の基端側に隣接して配置されているとともに当該スリーブの基端部を構成しており前記変形部と比べて径方向に変形しにくい拘束部を更に有する内視鏡用クリップ装置。
【請求項2】
前記変形部は、当該変形部の内外を貫通しているスリットを有する請求項1に記載の内視鏡用クリップ装置。
【請求項3】
前記スリットの延在方向は、前記スリーブの軸方向の成分を含む請求項2に記載の内視鏡用クリップ装置。
【請求項4】
前記スリットの延在方向は、前記スリーブの周方向の成分を含む請求項2又は3に記載の内視鏡用クリップ装置。
【請求項5】
前記スリーブは、前記変形部の遠位側に隣接して配置されているとともに前記変形部と比べて径方向に変形しにくい第2拘束部を有し、
前記拘束部及び前記第2拘束部の各々は、前記スリットを有しておらず、各々の軸方向の全域に亘り、軸周りに360°周回する筒状に形成されており、
前記スリーブの軸方向において、前記第2拘束部の長さよりも前記拘束部の長さが小さい請求項2又は3に記載の内視鏡用クリップ装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置と、
複数の前記クリップと、
を備えるクリップセット。
【請求項7】
前記スリーブは、弾性的に自己拡開可能な拡径部を遠位端部に有し、
前記拡径部は、前記クリップ連結部が前記係止部から離脱する際に前記締付部を保持し、
前記複数のクリップには、
前記クリップ連結部が前記係止部から離脱するときの前記締付部から前記係止部までの距離が相対的に大きい第1クリップと、
前記クリップ連結部が前記係止部から離脱するときの前記締付部から前記係止部までの距離が相対的に小さい第2クリップと、
が含まれ、
前記第1クリップの前記係止部から前記クリップ連結部が離脱するときの当該係止部の位置である第1位置は、前記第2クリップの前記係止部から前記クリップ連結部が離脱するときの当該係止部の位置である第2位置よりも、近位側であり、且つ、前記第1位置及び前記第2位置はいずれも前記変形部が径方向外方から前記係止部を覆う位置である請求項6に記載のクリップセット。
【請求項8】
前記変形部は、当該変形部の内外を貫通しているスリットを有し、
前記スリットの延在方向は、前記スリーブの軸方向の成分を含み、
前記第2位置は、前記第1位置と比べて、軸方向において前記スリットの中央部に近い位置である請求項7に記載のクリップセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用クリップ装置、及び、クリップセットに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡下で体腔内の生体組織を切除し、その切除部位をクリップにより結紮して止血する内視鏡用クリップ装置が提供されている。
【0003】
特許文献1には、生体組織を把持する複数のアーム部とアーム部の基端側に設けられた係止部とを有するクリップ本体と、複数のアーム部が内部に挿通されており複数のアーム部に対して前進することにより複数のアーム部を締め付けて閉状態とする締付部と、を有するクリップを収容可能な長尺なシースと、シースの内部に配置されている筒状のスリーブと、係止部の拡径を伴って係止部に対して連結又は係止部から離脱するクリップ連結部を遠位端に有し、軸方向に進退可能にスリーブに挿通されている操作ワイヤと、を有する処置具本体を備え、スリーブは、内径が拡大する方向に変形可能な変形部を有し、変形部は、クリップ連結部が係止部から離脱する際に係止部の周囲を径方向外側から覆う内視鏡用クリップ装置が記載されており、変形部において、より基端側の部分は、より先端側の部分と比べて径方向に変形しやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等の検討によれば、特許文献1の内視鏡用クリップ装置では、クリップ連結部が係止部から離脱する際の当該係止部の位置が変形部における基端側となった場合に、クリップの結紮が不十分となる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、クリップ連結部が係止部から離脱する際の当該係止部の位置が変形部における基端側となる場合でも、クリップの結紮をより確実に行うことが可能な構造の内視鏡用クリップ装置、及び、クリップセットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、生体組織を把持する複数のアーム部と前記アーム部の基端側に設けられた係止部とを有するクリップ本体と、前記複数のアーム部が内部に挿通されており前記複数のアーム部に対して前進することにより前記複数のアーム部を締め付けて閉状態とする締付部と、を有するクリップを収容可能な長尺なシースと、
前記シースの内部に配置されている筒状のスリーブと、
前記係止部の拡径を伴って前記係止部に対して連結又は前記係止部から離脱するクリップ連結部を遠位端に有し、軸方向に進退可能に前記スリーブに挿通されている操作ワイヤと、
を有する処置具本体を備え、
前記スリーブは、内径が拡大する方向に変形可能な変形部を有し、
前記変形部は、前記クリップ連結部が前記係止部から離脱する際に前記係止部の周囲を径方向外側から覆い、
前記スリーブは、前記変形部の基端側に隣接して配置されているとともに当該スリーブの基端部を構成しており前記変形部と比べて径方向に変形しにくい拘束部を更に有する内視鏡用クリップ装置を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、本発明に係る内視鏡用クリップ装置と、
複数のクリップと、
を備えるクリップセットを提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クリップ連結部が係止部から離脱する際の当該係止部の位置が変形部における基端側となる場合でも、クリップの結紮をより確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る内視鏡用クリップ装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態における内視鏡用クリップ装置の先端部及びその周辺構造を示す側面図であり、医療用クリップがシースの先端から突出した状態を示す。
【
図3】第1実施形態における内視鏡用クリップ装置の先端部及びその周辺構造を示す縦断面図であり、一対のアーム部の開状態を示す。
【
図4】第1実施形態における内視鏡用クリップ装置の先端部及びその周辺構造を示す縦断面図であり、一対のアーム部の閉状態を示す。
【
図5】
図5(a)は第1実施形態における第1クリップの係止部からクリップ連結部が離脱するときの当該係止部の位置を示す側面図であり、
図5(b)は第1実施形態における第2クリップの係止部からクリップ連結部が離脱するときの当該係止部の位置を示す側面図である。
【
図6】
図6(a)は
図5(a)に示すA部の部分拡大図であるとともに縦断面図であり、
図6(b)は
図5(b)に示すA部の部分拡大図であるとともに縦断面図である。
【
図7】第1実施形態に係るスリーブの側面図である。
【
図8】
図8(a)は
図7に示すA-A線に沿った切断端面図であり、
図8(b)は
図7に示すB-B線に沿った切断端面図である。
【
図9】
図9(a)は第1実施形態における第1クリップの側面図であり、
図9(b)は第1実施形態における第2クリップの側面図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、第2実施形態における内視鏡用クリップ装置の一対のアーム部の閉状態を示す図であり、このうち
図10(a)は側面図、
図10(b)は縦断面図である。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、第3実施形態における内視鏡用クリップ装置の一対のアーム部の閉状態を示す図であり、このうち
図12(a)は側面図、
図12(b)は縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
なお、本明細書において「軸方向」とは、特に断りがない限り、スリーブ40の軸方向を意味し、当該方向は、クリップ10を留置する際の処置具本体60のクリップ連結部88の進退方向とも同じである。
また、以下において、軸方向における、クリップ10及び内視鏡用クリップ装置100の先端側を遠位側、クリップ10の基端側を近位側と称する場合がある。また、遠位端部は、遠位端(最先端)及びその周辺を含む一定の範囲を意味し、近位端部とは、近位端(最基端)及びその周辺を含む一定の範囲を意味するものとする。
また、本実施形態に係るクリップ10及び内視鏡用クリップ装置100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0012】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図9(b)を用いて第1実施形態を説明する。なお、
図3、
図4、
図5(b)及び
図6(b)は、スリーブ40の軸心に沿った切断面である。また、
図5(a)及び
図5(b)においては、スリーブ40とクリップ10とを選択的に図示している。
【0013】
図9(a)及び
図9(b)等に示すように、本実施形態に係るクリップ10は、生体組織を把持する複数のアーム部20とアーム部20の基端側に設けられた係止部25とを有するクリップ本体11と、複数のアーム部20が内部に挿通されており複数のアーム部20に対して前進することにより複数のアーム部20を締め付けて閉状態とする締付部(本実施形態の場合、締付リング30)と、を有する。
図2、
図3及び
図4に示すように、内視鏡用クリップ装置100は、クリップ10を収容可能な長尺なシース81と、シース81の内部に配置されている筒状のスリーブ40と、係止部25の拡径を伴って係止部25に対して連結又は係止部25から離脱するクリップ連結部88を遠位端に有し、軸方向に進退可能にスリーブ40に挿通されている操作ワイヤ86と、を有する処置具本体60を備えている。
図3、
図4及び
図7に示すように、スリーブ40は、内径が拡大する方向に変形可能な変形部42を有し、変形部42は、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際に係止部25の周囲を径方向外側から覆う。
スリーブ40は、変形部42の基端側に隣接して配置されているとともに当該スリーブ40の基端部を構成しており変形部42と比べて径方向に変形しにくい拘束部43を更に有する。
なお、本実施形態において、係止部25の拡径とは、後述する一対の突片部25bの対向間隔が拡大する方向に変形することを意味している。
また、本実施形態の場合、後述するようにスリーブ40はスリット(近位側スリット45)を有し、変形部42とは、スリーブ40における当該スリットの形成領域と対応する部分である。そして、当該スリットは、変形部42の基端よりも先端側で終端している。
また、「径方向に変形しにくい」とは、拘束部43の径方向における耐変形性が、変形部42の径方向における耐変形性よりも高く、拘束部43及び変形部42に対してそれぞれ径方向外側に同じ大きさの力が加わった際に、弾性変形による径方向外側への拘束部43の変位量が、弾性変形による径方向外側への変形部42の変位量よりも小さくなることを意味する。
【0014】
クリップ10は、生体組織を結紮するものであり、複数のアーム部20で生体組織を結紮することにより、例えば止血処置、縫縮及びマーキングなどの生体組織に対する処置を行うことができる。アーム部20は自己拡開力を有し、後述するように閉状態のアーム部20をシース81から突出させることでアーム部20は自然に拡開して開状態となる。ここで、「自己拡開」とは、閉じようとする外力に対して反発して自ら開こうとすることをいう。
生体組織をクリップ10によって結紮する際には、
図3及び
図4に示すように、クリップ連結部88が係止部25に対して連結されている状態で、操作ワイヤ86を近位側に牽引する。これにより、締付部をアーム部20に対して相対的に先端側に移動させ(前進させ)、開状態(
図3参照)のアーム部20を自己拡開力に抗して締付部で締め付け、閉状態(
図4参照)とすることができる。これにより、クリップ10が結紮される。この状態において、アーム部20に締付リング30が嵌合してクリップ10はロックされているので、アーム部20に対する締付部の相対的な変位が規制される。
ここで、操作ワイヤ86を近位側に牽引する力の大きさが、係止部25からクリップ連結部88を離脱させるのに要する力(以下、離脱荷重と称する場合がある)の大きさに達すると、操作ワイヤ86は当該係止部25から離脱する。
なお、ここでいう「係止部25からクリップ連結部88を離脱させるのに要する力(離脱荷重)」とは、操作ワイヤ86を近位側に牽引することによって、スリーブ40の拘束力に抗して、係止部25からクリップ連結部88が外れる程度に当該係止部25を拡径させるのに要する力である。
また、スリーブ40の拘束力とは、係止部25の拡径(内径が拡大する方向に変形)を規制する力であり、当該拘束力には、スリーブ40の径方向における耐変形性が含まれる。
【0015】
本実施形態におけるスリーブ40は、内径が拡大する方向に変形可能な変形部42と、当該変形部42の基端側に隣接して配置されているとともに変形部42と比べて径方向に変形しにくい拘束部43と、を有する。
このような構成によれば、例えば、変形部においてスリットが基端側まで達している場合(不図示)と比較して、変形部42の基端側(拘束部43の近傍)において、径方向における耐変形性を適度に確保し、ひいてはクリップ連結部88の離脱荷重を適度に確保することができる。これにより、例えば、係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置が、変形部42における基端側となる場合であっても、クリップ10が結紮されるまでは、係止部25とクリップ連結部88とが連結されている状態をより確実に維持することができる。
また、変形部42の径方向における耐変形性が適度に確保されている一方で、当該変形部42は上述のように内径が拡大する方向に変形可能に構成されている。このため、クリップ10を結紮した後は、操作ワイヤ86を近位側により強く牽引することによって、スリーブ40の拘束力に抗して係止部25を拡径させ、クリップ連結部88が係止部25から速やかに離脱するようにできる。
このように、本実施形態によれば、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際の当該係止部25の位置が変形部42における基端側となる場合でも、クリップ10が結紮されるまでは、係止部25とクリップ連結部88とが連結されている状態をより確実に維持し、クリップ10が結紮された後は、クリップ連結部88が係止部25から速やかに離脱するようにできる。よって、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際の当該係止部25の位置が変形部42における基端側となる場合でも、クリップ10の結紮をより確実に行うことができる。
【0016】
また、クリップ10を結紮する際には、アーム部20の自己拡開力に加えて生体組織の弾性力に抗してアーム部20を閉状態とするため、例えば、より多くの生体組織をクリップ10によって結紮する場合、より少ない生体組織を結紮する場合と比較して、より大きい力で操作ワイヤ86を近位側に牽引する必要がある。このような場合であっても、上述のように、変形部42の径方向における耐変形性が適度に確保されているので、より大きい力で操作ワイヤ86を近位側に牽引したとしても、クリップ10が結紮されるまでは、係止部25とクリップ連結部88とが連結されている状態をより確実に維持することができる。
【0017】
クリップ10は、処置具本体60の遠位端部に装着され、当該処置具本体60によって生体組織における所望の部位に留置される。
処置具本体60は、内視鏡の鉗子孔(不図示)に挿通して用いられる。より詳細には、生体内に留置された内視鏡の鉗子孔に対して近位側から処置具本体60のシース81を挿入する。そして、鉗子孔の遠位側の開口からシース81の遠位端を突出させ、さらにシース81からクリップ10を露出させて生体組織を結紮することができる。結紮される生体組織としては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の被処置部位などの粘膜壁の他、血管などの体管を挙げることができる。
【0018】
クリップ10は、複数のアーム部20と係止部25とを有するクリップ本体11の他に、複数のアーム部20がまとめて挿入された締付リング30を備えており、締付リング30が締付部を構成している。締付リング30がアーム部20に対して相対的にアーム部20の先端側に移動することによって、複数のアーム部20の先端(爪部23)が互いに閉じた閉状態となるように構成されている。
【0019】
より詳細には、クリップ10は、互いに対向する一対のアーム部20を備えている。
一対のアーム部20は、係止部25から遠位側(
図3等における左方)に向かって突出する基端部21と、この基端部21の遠位側に連接されているアーム本体部22と、をそれぞれ備えている。基端部21は遠位側に向かって外向きに湾曲している。
ここで、「外向き」とは、操作ワイヤ86の軸または当該軸の延長線から離れる方向を意味し、たとえば径方向の外方向である。「内向き」とは、操作ワイヤ86の軸または当該軸の延長線に近づく方向を意味し、たとえば径方向の内方向である。
【0020】
アーム本体部22は直線状に形成されており、アーム本体部22の先端には爪部23が形成されている。アーム本体部22及び爪部23は生体組織を主として把持する把持領域である。爪部23は、一対のアーム本体部22から内向きに突出しており、生体組織に食い込むことでクリップ10の把持力を向上する。
アーム部20は、基端部21とアーム本体部22との境界で屈曲しており、またかかる境界にはアーム部20の幅寸法が局所的に縮小する細幅部(不図示)が形成されている。
【0021】
図4に示すように、係止部25と一対のアーム部20とは一体成形されてクリップ本体11を構成している。すなわち一方の爪部23、アーム本体部22及び基端部21と、他方の爪部23、アーム本体部22及び基端部21とが係止部25を介してシームレスに連続的に形成されている。
より詳細には、金属製の板材を打ち抜き、プレス及び曲げ加工することにより、相互に一体的な一対のアーム部20及び係止部25を含むクリップ本体11を作製することができる。かかる金属材料としては、ステンレス鋼、チタンまたはチタン合金などを例示することができるが、これに限定されない。また上記金属材料は、耐腐食性被覆処理がなされたものでもよい。
【0022】
アーム本体部22には、幅方向の中央の一部をプレス(エンボス)加工することにより補強部24が形成されている(
図9(a)及び
図9(b)等参照)。補強部24を形成することでアーム本体部22の厚み寸法が増大し、アーム本体部22の曲げ剛性が向上する。これにより、生体組織に対する高い把持力を得ることができる。補強部24は、アーム本体部22のうち爪部23を除く先端部から、細幅部に至る基端部まで連続形成されている。
【0023】
クリップ10の締付リング30はアーム部20に対し進退可能にクリップ本体11に装着されている。締付リング30をアーム部20に対して相対的に遠位側に移動させることにより、開状態(
図3参照)のアーム部20を自己拡開力に抗して締付リング30で締め付けることができる。これにより、アーム部20は閉状態(
図4参照)となる。また、締付リング30をアーム部20に対して相対的に後退させることでアーム部20は自己拡開力により開腕する。なお、環状の締付リング30は、周方向に亘り周面全体が連続する全環状でもよく、または周方向の一部に切欠きやスリットが設けられている部分環状でもよい。
【0024】
アーム部20のアーム本体部22は、基端部21よりも太幅に形成されており、締付リング30が基端部21を乗り越えて前進することが規制されている。締付リング30は係止部25とアーム本体部22との間の長さ領域でアーム部20に対して進退移動する。そして、
図4に示すように、締付リング30がアーム本体部22と基端部21との境界部に嵌合することにより締付リング30はアーム部20に係止し、クリップ10は閉状態でロックされる。これにより、クリップ10は結紮される。
【0025】
クリップ10の係止部25は、操作ワイヤ86の先端のクリップ連結部88(
図3及び
図4等)を受容する空間27aを内部に有する受容部27と、この受容部27の基端側に内向きに突出形成された突起部26と、を有している。受容部27が空間27a内にクリップ連結部88を受容することにより、クリップ10と操作ワイヤ86とは互いに連結される。
【0026】
突起部26は、クリップ連結部88によって押し広げられるように弾性的に変形して開放され、また弾性復元することによりクリップ連結部88と係合してこれを保持する爪部である。
突起部26は受容部27の近位側に配置されて空間27aの一部または全部を開放可能に閉鎖する部位である。突起部26の形状、位置及び大きさは特に限定されない。たとえば、受容部27を環状に形成し、突起部26を環状の受容部27の周面から径方向の内向きに突出した形状に形成してもよい。または、下記のように受容部27を環状などの基部25aと、この基部25aから近位側に突出する突片部25bとで構成し、突起部26を当該突片部25bの先端に形成してもよい。
【0027】
係止部25は、アーム部20の基端に接続された基部25aと、この基部25aから基端側に突出形成されて受容部27を構成する複数の突片部25bと、を備えている。突起部26は、突片部25bの近位側の先端部にそれぞれ形成されている。
【0028】
基部25aと突片部25bと突起部26とで囲まれる空間27aに操作ワイヤ86のクリップ連結部88は収容される。基部25aの内径はクリップ連結部88の最大外径よりも小さく、基部25aはクリップ連結部88の前進移動を規制する。突起部26は、空間27aに収容されたクリップ連結部88が後退することを規制する。空間27aに収容されたクリップ連結部88は、基部25aと突起部26とで先基端方向に拘束されて空間27aの内部で進退移動が規制されてもよく、または空間27aの内部でクリップ連結部88は僅かに軸方向に進退移動可能であってもよい。
【0029】
クリップ連結部88は、例えば塊状のものである。クリップ連結部88が「塊状」であるとは、クリップ連結部88が係止部25よりも肉厚であって、クリップ連結部88が係止部25に連結され、またクリップ連結部88が係止部25から抜去されるにあたり、係止部25の変形に比してクリップ連結部88の変形が十分に小さいことをいう。塊状のクリップ連結部88の具体的な形状は特に限定されず、
図3及び
図4等に示すように遠位側部と近位端部とがそれぞれ遠位端と近位端とに向かって縮径する形状であるほか、柱状や球状でもよい。
例えば、クリップ連結部88の断面形状は多角形であり、好ましくは正多角形断面である。一例として、クリップ連結部88は正六角形断面を有している。
【0030】
図3及び
図4に示すように、係止部25には複数の突片部25bが対向して配置されている。突片部25bの数は限定されないが、多角形断面のクリップ連結部88の外周平面の数よりも少ない数であることが好ましい。具体的には、係止部25は、例えば一対の(2本の)突片部25bを有している。突片部25bはクリップ連結部88の直径よりも細幅の板状をなしている。
一対の突片部25bは、クリップ連結部88の外周平面にそれぞれ対面可能な位置に設けられている。より具体的には、2本の突片部25bは係止部25の基部25aにおいて180度対向する位置に設けられている。突片部25bどうしの対向間隔は、クリップ連結部88の外周平面に突片部25bがそれぞれ密着または近接することが可能な寸法に設定されている。
ただし、本発明はこの例に限らず、3本の突片部25bが120度間隔で均等に対向配置されていてもよい。この場合、係止部25の拡径とは、3本の突片部25bどうしの対向間隔が拡がる方向に変形することを意味している。
【0031】
クリップ連結部88をクリップ10(クリップ本体11)に連結すると、受容部27に受容されたクリップ連結部88の外周平面を取り囲むようにして、複数の突片部25bはクリップ連結部88に密着または近接して配置される。これにより、クリップ連結部88をトルク回転させるとクリップ連結部88の外周平面は突片部25bを軸まわりに回転させ、係止部25を介してクリップ本体11全体にトルクを付与する。
【0032】
突片部25bの近位側の先端に形成された突起部26は、基部25aと同心の円周上に配置されており、部分円弧状に形成されている。個々の突起部26は、中心角が約120度の部分円弧状をなし、2個の突起部26により上記円周の約三分の二の領域を保持することができるように形成されている。
【0033】
図1に示すように、処置具本体60は、上述の操作ワイヤ86及びシース81に加えて、シース81の近位側に設けられて操作ワイヤ86の近位端が接続された手元操作部90を更に備えている。クリップ10は、操作ワイヤ86の遠位端部に対してクリップ連結部88を介して着脱可能に連結され、手元操作部90に対する操作によって開閉する。なお、
図3、
図4、
図6(a)及び
図6(b)においては、クリップ連結部88を選択的に側面図で図示している。
【0034】
シース81は、操作ワイヤ86を収容する長尺かつ管状の部材である。本実施形態の場合、シース81は、ステンレス線等の導電性ワイヤを密着巻回して作製された、金属製のコイルにより構成されている。ただし、シース81としては、金属製のコイルに代えて管状部材(チューブ)を用いてもよい。
本実施形態の場合、シース81の最遠位端部82には、一例として、金属の口金が取り付けられている。
また、施術者は、クリップ10を回転させて、生体組織を挟持する向きを調節するときには、シース81に対して後述する指掛けリング92を回すことで操作ワイヤ86を回す。操作ワイヤ86にはクリップ10が係止されているため、クリップ10の向きを調節できることになる。
【0035】
手元操作部90は、一対のアーム部20の開閉操作を行うためのものであり、処置具本体60における近位側に配置されている。
手元操作部90は、例えば、操作ワイヤ86が挿通された軸部98と、この軸部98の近位端部に設けられた指掛けリング92と、操作ワイヤ86の近位端が連結されて軸部98に対して進退移動するスライダ94と、を備えている。操作ワイヤ86は軸部98に対して摺動可能に挿通されている。施術者は、指掛けリング92に例えば親指を挿入し、スライダ94を他の2本の指で挟んで軸部98の長手方向に沿って進退駆動する。これにより、操作ワイヤ86は手元操作部90に対して前進または後退する。シース81の近位端は手元操作部90に固定され、上述のように操作ワイヤ86はシース81に対して軸方向に進退可能に挿通されているため、スライダ94の進退移動に連動して操作ワイヤ86の先端はシース81に対して前進または後退する。これにより、クリップ10の係止部25が進退駆動されて、一対のアーム部20が開閉する。
より詳細には、
図4に示すように、操作ワイヤ86が近位側に牽引されると、一対のアーム部20が閉状態となる。逆に、
図3に示すように、操作ワイヤ86が遠位側に押し出されると、一対のアーム部20が開状態となる。
【0036】
操作ワイヤ86は、シース81の内部及び手元操作部90の内部を軸方向に進退可能に挿通されている。操作ワイヤ86は、例えば、ステンレス鋼、耐腐食性被覆された鋼鉄線、チタン又はチタン合金等の剛性の強い金属材料により形成されている。操作ワイヤ86の外周面を覆うように、フッ素系ポリマーで作成された樹脂層(不図示)が設けられていてもよい。
【0037】
ここで、本実施形態の場合、
図3に示すように、処置具本体60は、スリーブ40と操作ワイヤ86とに接続されて、操作ワイヤ86の軸方向に伸縮可能な伸縮部89を更に備える。伸縮部89は、操作ワイヤ86の遠位端部とスリーブ40との間に配置されて、当該操作ワイヤ86の遠位端部とスリーブ40とを互いに近接離間可能に接続する。このような構成によって、スリーブ40が操作ワイヤ86に接続されている状態で、操作ワイヤ86はスリーブ40に対して軸方向に進退可能となっている。
伸縮部89は、金属又は樹脂の線材を螺旋巻回したコイル、又はゴム等のエラストマーにより構成され、軸方向に伸縮可能に構成されている。
【0038】
本実施形態の場合、例えば、操作ワイヤ86の先端部が伸縮部89の基端部に対して直に連結(接続)されている。より詳細には、一例として、コイルにより構成された伸縮部89におけるスリーブ40よりも基端側の部分が、当該伸縮部89の基端に向かって内径及び外径が徐々に縮径するテーパー状の螺旋形状に形成されている。そして、当該螺旋形状の部分の内径を、操作ワイヤ86の先端部の外径と同等に設定するとともに、当該螺旋形状の部分の内周面を操作ワイヤ86の先端部の外周面に対して接合することにより、操作ワイヤ86と伸縮部89とが相互に連結されている。
ただし、本発明はこの例に限定されず、操作ワイヤ86の先端部が伸縮部89の基端部に間接的に連結(接続)されていてもよい。
【0039】
操作ワイヤ86の遠位端部には、シース81の内部に収納可能で、かつクリップ連結部88を収容する筒状の上述のスリーブ40が設けられている。スリーブ40の少なくとも一部の内径は、クリップ連結部88が受容部27から離脱可能となるときの係止部25の外径よりも小さい。
スリーブ40は、シース81に対する締付リング30の後退移動を規制し、開状態のクリップ10(
図3参照)を閉状態(
図4参照)に遷移させるための部材である。スリーブ40は、シース81の内部に収納可能であり、また操作ワイヤ86を前進させることでスリーブ40の一部(以下に説明する拡径部46)をシース81から突出させることが可能である。
【0040】
図7に示すように、スリーブ40は、拡径部46、縮径段差部47及びスリーブ本体41を有している。拡径部46は、スリーブ40の遠位端部に設けられて弾性的に自己拡開可能である。拡径部46は、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際に締付部(締付リング30)を保持し、シース81に対する当該締付部の後退移動を規制する。縮径段差部47は、拡径部46の近位側に設けられている。
スリーブ本体41は、縮径段差部47よりも更に近位側に設けられ、拡径部46よりも径方向における耐変形性が高い。本実施形態の場合、スリーブ本体41が、上述の変形部42及び拘束部43を有する。すなわち、変形部42及び拘束部43の各々は、拡径部46よりも径方向における耐変形性が高い。
スリーブ本体41の内径は、クリップ連結部88が受容部27から離脱可能となるときの係止部25の外径よりも小さい。このため、係止部25とクリップ連結部88とが連結されている状態で、且つ、突起部26及び突片部25bがスリーブ本体41に収容されている状態では、突片部25bの拡径をスリーブ本体41が拘束するため、クリップ連結部88が受容部27から脱離することが規制される。
ただし、突片部25bを変形部42まで後退させることで、突片部25bが十分に拡径してクリップ連結部88が受容部27から離脱可能となる。
【0041】
縮径段差部47は、スリーブ本体41と拡径部46との間において、近位側に向かって縮径するテーパー状に形成されている。スリーブ40の構成材料は、外力により縮径可能な部材であれば特定の材質に限定されない。たとえば金属材料や、樹脂、ゴムなどのエラストマーを用いることができる。
スリーブ40はステンレス鋼などの金属材料で作製された筒状体(パイプ)である。
【0042】
拡径部46は拡径または縮径することが可能に構成されている。拡径部46は、スリーブ40がシース81に収容され且つシース81に拘束されている状態のときに、シース81に拘束されていない自然状態のときよりも縮径変形して、外径がシース81の内径よりも小径になっている。そして、
図2等に示すようにスリーブ40の拡径部46がシース81から遠位側に突出することで拡径部46は自然状態に弾性復元する。拡径部46は、自然状態でシース81の内径よりも大径である。また、自然状態(拡径時)における拡径部46の内径は、締付リング30の外径以上である。より詳細には、拡径部46の内径は、締付リング30の外径と略同等であるか、又は、外径D2よりも若干大きい程度に設定されている。
このため、締付リング30は、拡径時における拡径部46の内部に入り込むことが可能である。そして、締付リング30が拡径部46の内部に入り込むことによって、当該拡径部46は締付リング30を保持し、シース81に対する拡径部46の後退移動を規制する。
【0043】
より詳細には、スリーブ40は、例えば、
図7に示すように、拡径部46の遠位端からスリーブ本体41に亘って延在する遠位側スリット48により分断された複数の揺動片48aを有する。そして、複数の揺動片48aの先端部によって拡径部46が構成されている。
一例として、スリーブ40は、4つの揺動片48aを周方向において等角度間隔で有している。
【0044】
ここで、本実施形態の場合、変形部42は、当該変形部42の内外を貫通しているスリット(本実施形態の場合、近位側スリット45)を有する。
このような構成によれば、スリット(近位側スリット45)によって、上述のように変形部42が容易に内径が拡大する方向に変形できるようにすることが可能となる。よって、クリップ10と操作ワイヤ86との連結をより確実に解除できる。
【0045】
スリット(近位側スリット45)の延在方向は、例えば、スリーブ40の軸方向の成分を含む。
これにより、変形部42において、軸方向におけるスリット(近位側スリット45)の形成領域を十分に確保することができる。よって、変形部42において、内径が拡大する方向に変形しやすい部位を、軸方向におけるより広い範囲で連続的に確保することができる。
【0046】
更に、本実施形態の場合、スリーブ40は、変形部42の遠位側に隣接して配置されているとともに変形部42と比べて径方向に変形しにくい第2拘束部44を有する。すなわち、スリーブ40は、変形部42の近位側と遠位側との両方において、当該変形部42と比べて径方向に変形しにくい部位(拘束部43及び第2拘束部44)を有する構成となっている。
拘束部43及び第2拘束部44の各々は、例えば、スリット(近位側スリット45)を有しておらず、各々の軸方向の全域に亘り、軸周りに360°周回する筒状に形成されている。なお、本実施形態の場合、第2拘束部44の横断面形状(軸方向に対して直交する方向に沿った断面)は、
図8(a)に示す拘束部43の横断面形状と同一のため図示を省略している。
このような構成によれば、変形部42における近位側(拘束部43側)及び遠位側(第2拘束部44側)の双方において、径方向における耐変形性を十分に確保できる。よって、例えば、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際の当該係止部25の位置が変形部42における基端側(近位側)となる場合と、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際の当該係止部25の位置が変形部42における先端側(遠位側)となる場合と、の双方においてクリップ10の結紮をより確実に行うことが可能となる。すなわち、クリップ連結部88が係止部25から離脱する際の当該係止部25の位置が互いに異なる複数種類のクリップ10(後述する第1クリップ15及び第2クリップ16)であっても、これらのクリップ10の結紮をより確実に行うことができる。
本実施形態の場合、一例として、スリーブ本体41が第2拘束部44を有する。より詳細には、スリーブ本体41において、軸方向における近位側スリット45の先端と遠位側スリット48の基端との間の部分が第2拘束部44を構成している。
【0047】
ここで、
図7に示すように、スリーブ40の軸方向において、第2拘束部44の長さよりも拘束部43の長さが小さい。
これにより、変形部42の径方向における耐変形性を適度に確保しつつも、スリーブ40の軸方向における剛性が局所的に過大となってしまうことを抑制できる。よって、スリーブ40における拘束部43よりも遠位側の領域においてその軸心が屈曲する方向への変形が容易となる。このため、スリーブ40がシース81の屈曲を阻害してしまうことを抑制し、処置具本体60が内視鏡の挿入部(不図示)の屈曲に良好に追従するようにできる。
【0048】
より詳細には、本実施形態の場合、近位側スリット45は、軸方向に沿って直線状に延在するスリットである。近位側スリット45は、スリーブ本体41の近位端よりも遠位側で終端している。また、近位側スリット45の先端は、遠位側スリット48の基端よりも近位側に位置しており、一例として、スリーブ本体41の中央部に位置にしている。
そして、スリーブ本体41の軸方向において、近位側スリット45の形成範囲と対応する領域が、変形部42である。より詳細には、本実施形態の場合、スリーブ本体41における、近位側スリット45の先端の位置から近位側スリット45の基端の位置までが変形部42である。また、スリーブ本体41において、近位側スリット45の基端よりも基端側の部位が拘束部43を構成しており、近位側スリット45の先端と遠位側スリット48の基端との間の部分が第2拘束部44を構成している。
軸方向における近位側スリット45の長さは、近位側スリット45の幅寸法よりも大きい。
軸方向における拘束部43の長さは、例えば、近位側スリット45の幅寸法よりも大きい。これにより、径方向における耐変形性を適度に確保することができる。
また、近位側スリット45の幅寸法は、例えば、係止部25の幅寸法よりも小さい。これにより、変形部42内を係止部25が移動する際に当該係止部25が近位側スリット45に嵌まってしまうことを抑制できる。
図8(b)に示すように、一例として、変形部42は、複数(例えば4つ)の近位側スリット45を周方向において等角度間隔で有している。より詳細には、拡径部46が有する揺動片48aの数と、変形部42が有する近位側スリット45の数は、互いに等しい。そして、本実施形態の場合、一の近位側スリット45の中心軸310は、一の揺動片48aの中心軸320と一致している。
複数の近位側スリット45の各々は、例えば、互いに同一形状及び同一寸法に設定されている。
また、軸方向において、複数の近位側スリット45の各々の先端の位置は、互いに同等となっており、当該複数の近位側スリット45の各々の基端の位置も、互いに同等となっている。
ただし、本発明において、近位側スリット45の形状、長さ寸法、本数はこの例に限定されず、クリップ10の形状や用途に応じて適宜設定することができる。より詳細には、近位側スリット45の形状、長さ寸法、本数を適宜設定することによって、変形部42の径方向における耐変形性を所望の範囲内に設定することができる。また、複数の近位側スリット45の各々は、互いに異なる形状及び異なる寸法に設定されていてもよい。
なお、近位側スリット45は、
図7に示すようにある程度の幅のある切れ込みであってもよいし、もしくは線状の切れ込みであってもよい。
【0049】
なお、本発明において、変形部42は、径方向に変形可能であれば、スリットが形成されていることにより変形可能であるものに限定されない。例えば、変形部42は、可撓性材料によって構成されていてスリーブ40の材料自体の性質によって変形可能であるものであってもよい。
【0050】
本実施形態の場合、軸方向におけるスリーブ40の長さは、例えば、5mm以上20mm以下であることが好ましく、より好ましくは8mm以上13mm以下である。
軸方向における変形部42の長さは、例えば、2mm以上10mm以下であることが好ましく、より好ましくは3mm以上7mm以下である。
軸方向における拘束部43の長さは、例えば、0.1mm以上2mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上0.6mm以下である。
軸方向における第2拘束部44の長さは、例えば、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、より好ましくは2mm以上3mm以下である。
【0051】
以下、内視鏡用クリップ装置100を用いて、クリップ10を生体組織に結紮する際の一連の手技の一例を説明する。
【0052】
クリップ10は、初期状態において、一対のアーム部20の外周に締付リング30が装着された状態で、カートリッジ(不図示)に収容されている。そして、カートリッジに収容されたクリップ10の係止部25に対して、操作ワイヤ86の遠位端に接続されているクリップ連結部88が係止されることにより、クリップ10と操作ワイヤ86とが着脱可能に連結される。そして、クリップ10は、クリップ連結部88ひいては操作ワイヤ86によって近位側に牽引され、シース81の遠位端部内に収容される。
【0053】
続いて、クリップ10がシース81に収容された状態で、内視鏡の鉗子孔を通じて体腔内にシース81を侵入させる。シース81の遠位側端部が、結紮を要する生体組織の近傍に至ったら、操作ワイヤ86を遠位側へ押し出す。これにより、クリップ10及び締付リング30がシース81の先端より突出し、クリップ10は自己拡開力により自然に最大開口幅まで広がる。
【0054】
このとき、スリーブ40における少なくとも拡径部46と縮径段差部47はシース81の遠位開口より突出し、自然状態の径に拡径する。次に、結紮すべき生体組織に対してクリップ10の位置及び向きを調整する。
【0055】
処置具本体60をトルク回転させると、操作ワイヤ86及びクリップ連結部88は連動してトルク回転する。更に、クリップ連結部88が係止部25にトルクを伝達するので、クリップ10のアーム部20もトルク回転する。これにより、アーム部20の開腕方向を生体組織の結紮部位に対して所望の向きに指向させることができる。
【0056】
クリップ10の位置及び向きを決めたのち、クリップ10の先端を結紮部位に押し当てた状態で、操作ワイヤ86を近位側へ引き込む。締付リング30は、縮径段差部47の内側面に当接するとともに拡径部46の内側に嵌合しており、スリーブ40及びシース81に対する後退移動が規制されている。また、締付リング30が拡径部46に嵌合していることで拡径部46に外力が付加されても縮径変形することが抑止されており、操作ワイヤ86を大きな力で近位側に引き込んでも拡径部46がシース81内に引き込まれることは防止されている。
【0057】
操作ワイヤ86とスリーブ40とは、伸縮部89によって連結されている。そのため、スリーブ40が内視鏡用クリップ装置100に対する近位側への相対移動を規制された後も、操作ワイヤ86を近位側に引き込むことによって伸縮部89が伸び、クリップ連結部88をシース81内において更に近位側に引き込むことが可能である。
【0058】
クリップ連結部88が受容部27に受容された状態で操作ワイヤ86を近位側に牽引することで、アーム部20が閉腕して生体組織を把持する。なお、アーム部20が閉腕する途中で引き込みを中断し、再度、操作ワイヤ86を押込むことによって、アーム部20を再び拡開させることも可能である。そして、更に操作ワイヤ86を近位側へ引き込むと、係止部25が変形部42まで後退するとともに、アーム部20に締付リング30が嵌合してクリップ10がロックされる。これにより、クリップ10は閉状態となり結紮される。
この状態から、更にスライダ94を後退させ操作ワイヤ86を近位側に牽引すると、操作ワイヤ86を近位側に牽引する力の大きさが、クリップ連結部88の離脱荷重に達し、係止部25は変形部42を押し広げつつ大きく拡径する。より詳細には、クリップ連結部88が、例えば、一対の突片部25bの対向間隔を押し拡げながら、一対の突片部25bに対して摩擦的に摺動して、基端側に移動し、受容部27から脱落する。これにより、クリップ10は操作ワイヤ86から分離し、生体組織を結紮した状態で体腔内に留置される。
なお、
図3及び
図4では、クリップ10を開状態から閉状態とする際に、係止部25は、スリーブ本体41における変形部42よりも遠位側の位置から、当該変形部42に移動する例を図示している。しかし、本発明はこの例に限定されず、クリップ10の開状態と閉状態との双方において、係止部25が変形部42に位置していてもよい。
【0059】
以上により、クリップ連結部88をクリップ10に連結し、クリップ10を閉腕させ、更にクリップ10からクリップ連結部88を脱離させるまでの一連の手技が終了する。上記の手技を繰り返すことで、多数のクリップ10で生体組織を結紮することができる。
【0060】
ここで、本発明は、上述の内視鏡用クリップ装置100と、複数のクリップ10(
図9(a)及び
図9(b)等参照)と、を備えるクリップセット200(
図1参照)を含む。
なお、本発明において、複数のクリップ10は、例えば、内視鏡用クリップ装置100と同梱されていなくてもよいし、互換品として使用できるものであってもよい。
【0061】
本実施形態の場合、複数のクリップ10には、クリップ連結部88が係止部25から離脱するときの締付部から係止部25までの距離が相対的に大きい第1クリップ15(
図9(a)参照)と、クリップ連結部88が係止部25から離脱するときの締付部から係止部25までの距離が相対的に小さい第2クリップ16(
図9(b)参照)と、が含まれている。なお、
図2から
図4においては、第1クリップ15と第2クリップ16とのうち第2クリップ16を選択的に図示している。
第1クリップ15の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第1位置P1(
図5(a)及び
図6(a)参照)は、第2クリップ16の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第2位置P2(
図5(b)及び
図6(b)参照)よりも、近位側であり、且つ、第1位置P1及び第2位置P2はいずれも変形部42が径方向外方から係止部25を覆う位置である。
なお、ここで、係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置(第1位置P1、第2位置P2)とは、係止部25が、アーム部20に締付リング30が嵌合してクリップ10がロックされ閉状態となるまで後退した位置である。
また、変形部42が径方向外方から係止部25を覆う位置とは、変形部42が係止部25の少なくとも一部分を覆う位置であればよい。
このような構成によれば、クリップ連結部88が係止部25から離脱するときの締付部から係止部25までの距離が互いに異なる複数種類のクリップ10(第1クリップ15及び第2クリップ16)を生体組織に結紮する場合であっても、締付部(締付リング30)によって複数のアーム部20を締め付けてクリップ10を閉状態とする動作をより確実に行うことができる。
【0062】
ここで、クリップ連結部88が係止部25から離脱するときの締付部から係止部25までの距離が相対的に大きい第1クリップ15の場合、第2クリップ16の場合と比較して、より多くの生体組織を把持することとなるため、より大きい力で操作ワイヤ86を近位側に牽引する必要がある。
これに対し、第2位置P2は、例えば、第1位置P1と比べて、軸方向において近位側スリット45の中央部に近い位置である。すなわち、第1位置P1は、第2位置P2と比べて、変形部42の径方向における耐変形性が相対的に高い部分と対応する位置である。
これにより、第1クリップ15を結紮する際に、より大きい力で操作ワイヤ86を近位側に牽引したとしても、当該第1クリップ15が結紮されるまでは、係止部25とクリップ連結部88とが連結されている状態をより確実に維持することができる。
【0063】
より詳細には、本実施形態の場合、
図5(a)~
図6(b)に示すように、第1クリップ15の基端部21の長さ(延在方向における長さ)は、第2クリップ16の基端部21の長さ(同上)よりも長い。一方、第1クリップ15及び第2クリップ16において、アーム本体部22の長さは互いに同等であるとともに、アーム本体部22における締付部に嵌合する部位の位置(延在方向における位置)は互いに同一である。このため、第1クリップ15の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第1位置P1が、第2クリップ16の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第2位置P2よりも近位側となっている。
また、第1クリップ15の基端部21の長さ及び第2クリップ16の基端部21の長さの各々は、スリーブ本体41の長さよりも短いため、第1位置P1及び第2位置P2はいずれも変形部42が径方向外方から係止部25を覆う位置となる。
本実施形態の場合、一例として、第1位置P1(
図5(a)参照)は、変形部42の基端部であり、係止部25の全体が変形部42内に収まっている。また、第2位置P2は、変形部42の先端部であり、係止部25の一部分(より詳細には一対の突片部25b)が変形部42の先端部内に配置されている。
【0064】
〔第2実施形態〕
次に、
図10(a)から
図11(b)を用いて第2実施形態を説明する。なお、
図10(b)は、スリーブ40の軸心に沿った断面図である。また、
図11(a)及び
図11(b)では、スリーブ40を選択的に図示している。また、
図10(a)及び
図10(b)おいては、第1クリップ15と第2クリップ16とのうち第1クリップ15を選択的に図示している。また、
図10(a)においては、スリーブ40とクリップ10とを選択的に図示している。
本実施形態に係る内視鏡用クリップ装置100は、以下に説明する点で、上記の第1実施形態に係る内視鏡用クリップ装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係る内視鏡用クリップ装置100と同様に構成されている。
【0065】
本実施形態の場合、スリット(近位側スリット45)の延在方向は、スリーブ40の周方向の成分を含む。
このような構成によれば、変形部42の径方向における耐変形性を適度に確保しつつも、複数のアーム部20が閉状態となる位置に締付部が移動した後は、スリーブ40の拘束力に抗して係止部25が拡径し、クリップ連結部88が係止部25から速やかに離脱するようにできる。
また、スリーブ40をその軸心が屈曲する方向へ容易に変形可能な構造とすることができるので、当該スリーブ40が内視鏡の挿入部の屈曲に良好に追従するようにできる。よって例えば、屈曲した状態の内視鏡の挿入部に処置具本体60を軸方向(挿入部の軸方向)沿って挿入する際の、当該挿入部の内周面に対する処置具本体60の摺動抵抗を低減することができる。
【0066】
より詳細には、
図10(a)及び
図10(b)に示すように、近位側スリット45は、スリーブ40の周方向に沿って直線状に延在している。周方向と軸方向との双方において、複数の近位側スリット45が等間隔に間欠的に配置されている。これにより、変形部42の周方向と軸方向との双方において、内径が拡大する方向に変形しやすい部位(近位側スリット45の形成領域)と、内径が拡大する方向に変形しやすい部位と、が交互に配置された構成となる。
また、軸方向において隣合う近位側スリット45の各々の形成領域は、互いに一部重複していてもよいし、していなくてもよい。また、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、周方向における近位側スリット45の角度範囲は特に限定されないが、一例として、30度以上90度以下である。
本実施形態の場合、複数の近位側スリット45の各々は、互いに同一形状及び同一寸法に設定されているが、本発明において複数の近位側スリット45の各々は、互いに異なる形状及び異なる寸法に設定されていてもよい。
本実施形態の場合も、第1クリップ15の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第1位置P1(
図10(a)参照)は、変形部42の基端部である。
また、第2クリップ16の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第2位置P2(不図示)は、第1位置P1と比べて、軸方向において近位側スリット45の中央部に近い位置である。
【0067】
〔第3実施形態〕
次に、
図12(a)及び
図12(b)を用いて第3実施形態を説明する。なお、
図12(b)は、スリーブ40の軸心に沿った断面図である。また、
図12(a)及び
図12(b)においては、第1クリップ15と第2クリップ16とのうち第1クリップ15を選択的に図示している。また、
図12(a)においては、スリーブ40とクリップ10とを選択的に図示している。
本実施形態に係る内視鏡用クリップ装置100は、以下に説明する点で、上記の第1、第2実施形態に係る内視鏡用クリップ装置100と相違しており、その他の点では、上記の第1、第2実施形態に係る内視鏡用クリップ装置100と同様に構成されている。
【0068】
本実施形態の場合、スリット(近位側スリット45)の延在方向は、スリーブ40の軸方向の成分と、スリーブ40の周方向の成分と、その双方を含む。
このような構成によれば、変形部42において、径方向における耐変形性を適度に確保しつつも、スリット(近位側スリット45)の軸方向における形成領域を十分に確保することができる。よって、クリップ10が結紮されるまでは、係止部25とクリップ連結部88とが連結されている状態をより確実に維持し、クリップ10が結紮された後は、クリップ連結部88が係止部25から速やかに離脱するようにできる。
【0069】
より詳細には、
図12(a)及び
図12(b)に示すように、近位側スリット45は、スリーブ40の軸心に対して傾斜する方向に直線状に延在している。また、周方向と軸方向との双方において、複数の近位側スリット45が等間隔に配置されている。また、軸方向において隣合う近位側スリット45の少なくとも一部分は、互いに周方向にオフセットした位置に配置されている。一例として、スリーブ40の軸心に対する近位側スリット45の傾斜角度は、30度以上90度未満であり、例えば45度程度とすることができる。
本実施形態の場合も、複数の近位側スリット45の各々は、互いに同一形状及び同一寸法に設定されているが、本発明において複数の近位側スリット45の各々は、互いに異なる形状及び異なる寸法に設定されていてもよい。
本実施形態の場合も、第1クリップ15の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第1位置P1(
図12(a)参照)は、変形部42の基端部である。
また、第2クリップ16の係止部25からクリップ連結部88が離脱するときの当該係止部25の位置である第2位置P2(不図示)は、第1位置P1と比べて、軸方向において近位側スリット45の中央部に近い位置である。
【0070】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0071】
また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0072】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)生体組織を把持する複数のアーム部と前記アーム部の基端側に設けられた係止部とを有するクリップ本体と、前記複数のアーム部が内部に挿通されており前記複数のアーム部に対して前進することにより前記複数のアーム部を締め付けて閉状態とすると、を有するクリップを収容可能な長尺なシースと、
前記シースの内部に配置されている筒状のスリーブと、
前記係止部の拡径を伴って前記係止部に対して連結又は前記係止部から離脱するクリップ連結部を遠位端に有し、軸方向に進退可能に前記スリーブに挿通されている操作ワイヤと、
を有する処置具本体を備え、
前記スリーブは、内径が拡大する方向に変形可能な変形部を有し、
前記変形部は、前記クリップ連結部が前記係止部から離脱する際に前記係止部の周囲を径方向外側から覆い、
前記スリーブは、前記変形部の基端側に隣接して配置されているとともに当該スリーブの基端部を構成しており前記変形部と比べて径方向に変形しにくい拘束部を更に有する内視鏡用クリップ装置。
(2)前記変形部は、当該変形部の内外を貫通しているスリットを有する(1)に記載の内視鏡用クリップ装置。
(3)前記スリットの延在方向は、前記スリーブの軸方向の成分を含む(2)に記載の内視鏡用クリップ装置。
(4)前記スリットの延在方向は、前記スリーブの周方向の成分を含む(2)又は(3)に記載の内視鏡用クリップ装置。
(5)前記スリーブは、前記変形部の遠位側に隣接して配置されているとともに前記変形部と比べて径方向に変形しにくい第2拘束部を有し、
前記拘束部及び前記第2拘束部の各々は、前記スリットを有しておらず、各々の軸方向の全域に亘り、軸周りに360°周回する筒状に形成されており、
前記スリーブの軸方向において、前記第2拘束部の長さよりも前記拘束部の長さが小さい(2)から(4)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置。
(6)(1)から(5)のいずれか一項に記載の内視鏡用クリップ装置と、
複数の前記クリップと、
を備えるクリップセット。
(7)前記スリーブは、弾性的に自己拡開可能な拡径部を遠位端部に有し、
前記拡径部は、前記クリップ連結部が前記係止部から離脱する際に前記締付部を保持し、
前記複数のクリップには、
前記クリップ連結部が前記係止部から離脱するときの前記締付部から前記係止部までの距離が相対的に大きい第1クリップと、
前記クリップ連結部が前記係止部から離脱するときの前記締付部から前記係止部までの距離が相対的に小さい第2クリップと、
が含まれ、
前記第1クリップの前記係止部から前記クリップ連結部が離脱するときの当該係止部の位置である第1位置は、前記第2クリップの前記係止部から前記クリップ連結部が離脱するときの当該係止部の位置である第2位置よりも、近位側であり、且つ、前記第1位置及び前記第2位置はいずれも前記変形部が径方向外方から前記係止部を覆う位置である(6)に記載のクリップセット。
(8)前記変形部は、当該変形部の内外を貫通しているスリットを有し、
前記スリットの延在方向は、前記スリーブの軸方向の成分を含み、
前記第2位置は、前記第1位置と比べて、軸方向において前記スリットの中央部に近い位置である(7)に記載のクリップセット。
【符号の説明】
【0073】
10 クリップ
11 クリップ本体
15 第1クリップ
16 第2クリップ
20 アーム部
21 基端部
22 アーム本体部
23 爪部
24 補強部
25 係止部
25a 基部
25b 突片部
26 突起部
27 受容部
27a 空間
30 締付リング(締付部)
40 スリーブ
41 スリーブ本体
42 変形部
43 拘束部
44 第2拘束部
45 近位側スリット(スリット)
46 拡径部
47 縮径段差部
48 遠位側スリット
48a 揺動片
60 処置具本体
81 シース
82 最遠位端部
86 操作ワイヤ
88 クリップ連結部
89 伸縮部
90 手元操作部
92 指掛けリング
94 スライダ
98 軸部
100 内視鏡用クリップ装置
200 クリップセット
310 近位側スリットの中心軸
320 揺動片の中心軸
P1 第1位置
P2 第2位置