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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139000
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20241002BHJP
   H01F 27/10 20060101ALI20241002BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H01F37/00 S
H01F37/00 F
H01F37/00 G
H01F37/00 A
H01F37/00 M
H01F27/10
H01F27/02 150
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049759
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】坂口 貴則
【テーマコード(参考)】
5E050
5E059
【Fターム(参考)】
5E050CA03
5E059BB23
(57)【要約】
【課題】コア内や各コイル内において最も高温になる部分の温度を効率的に抑える。
【解決手段】リアクトルは、環状形状を有する磁性体のコアと、コアに外嵌される1次コイルユニットと、コアに外嵌される2次コイルユニットと、を備える。1次コイルユニットは、1次コイルと、1次コイルをコーティングしている1次側コーティングとを含む。2次コイルユニットは、2次コイルと、2次コイルをコーティングしている2次側コーティングとを含む。リアクトルは、流入口および流出口が形成された冷却容器をさらに備える。冷却容器は、コアと1次コイルユニットと2次コイルユニットとを格納する。冷却容器内には、液体の冷媒が、流入口から流出口に向けて、コアと1次コイルと2次コイルとのいずれの上端よりも冷媒の液面の方が上になるように流される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状形状を有する磁性体のコアと、前記コアに外嵌される1次コイルユニットと、前記コアに外嵌される2次コイルユニットと、を備えるリアクトルであって、
前記1次コイルユニットは、1次コイルと、前記1次コイルをコーティングしている1次側コーティングとを含み、
前記2次コイルユニットは、2次コイルと、前記2次コイルをコーティングしている2次側コーティングとを含み、
前記コアと前記1次コイルユニットと前記2次コイルユニットとを格納し、且つ流入口および流出口が形成された冷却容器をさらに備え、
前記冷却容器内には、液体の冷媒が、前記流入口から前記流出口に向けて、前記コアと前記1次コイルと前記2次コイルとのいずれの上端よりも前記冷媒の液面の方が上になるように流されるリアクトル。
【請求項2】
前記流出口の下端部は、前記コアと前記1次コイルと前記2次コイルとのいずれの上端よりも上方に位置している、
請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記流入口と前記流出口とは、前記冷却容器の上面に設けられている、請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記冷却容器は、前記コアと前記1次コイルユニットと前記2次コイルユニットとを、水平方向側の周囲と下側とから囲む容器本体と、前記容器本体の上端部に取り付けられる蓋とを含み、
前記蓋に、前記流入口と前記流出口とが設けられている、
請求項3に記載のリアクトル。
【請求項5】
前記容器本体の下面に、1次側第1端子と1次側第2端子と2次側第1端子と2次側第2端子とを備え、
前記1次側第1端子は、1次側第1配線を介して前記1次コイルの一端に電気的に接続されており、
前記1次側第2端子は、1次側第2配線を介して前記1次コイルの他端に電気的に接続されており、
前記2次側第1端子は、2次側第1配線を介して前記2次コイルの一端に電気的に接続されており、
前記2次側第2端子は、2次側第2配線を介して前記2次コイルの他端に電気的に接続されており、
前記1次側コーティングは、前記1次コイルに加えて、前記1次側第1配線および前記1次側第2配線をコーティングしており、
前記2次側コーティングは、前記2次コイルに加えて、前記2次側第1配線および前記2次側第2配線をコーティングしている、
請求項4に記載のリアクトル。
【請求項6】
前記コアは、取付部材を介して前記冷却容器に取り付けられており、
前記取付部材には、前記コアを露出させて前記コアにおける前記冷媒に曝される面を増加させる貫通孔状の露出孔が設けられている、請求項1~5のいずれか1つに記載のリアクトル。
【請求項7】
前記露出孔として、前記コアの上面を露出させる上面露出孔と、前記コアの水平方向側の面を露出される側面露出孔と、前記コアの下面を露出させる下面露出孔と、が存在する、
請求項6に記載のリアクトル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状形状を有するコアと、コアに外嵌される複数のコイルユニットとを備えるリアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
リアクトルの中には、コアの下部と各コイルユニットの下部とを冷媒に浸して冷却するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-77814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らは、以下の点に着目した。コア内や各コイル内においては、最も高温になる部分の温度が所定温度以下に内に収まることが望ましい。その点、上記の構成では、コアの下部および各コイルの下部については、冷媒に浸っていることから充分に冷却できるものの、コアの上部や各コイルの上部については、充分に冷却することができない。そのため、コア内や各コイル内において、温度に偏りが生じる。そのため、コア内や各コイル内において、最も高温になる部分の温度を効率的に抑えることができない。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コア内や各コイル内において最も高温になる部分の温度を効率的に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、コアと各コイルとをそれぞれ上端まで冷媒に浸せば、上記の目的を達成できることに着目して、本発明に至った。本発明は、以下の(1)~(7)の構成のリアクトルである。
【0007】
(1)環状形状を有する磁性体のコアと、前記コアに外嵌される1次コイルユニットと、前記コアに外嵌される2次コイルユニットと、を備えるリアクトルであって、
前記1次コイルユニットは、1次コイルと、前記1次コイルをコーティングしている1次側コーティングとを含み、
前記2次コイルユニットは、2次コイルと、前記2次コイルをコーティングしている2次側コーティングとを含み、
前記コアと前記1次コイルユニットと前記2次コイルユニットとを格納し、且つ流入口および流出口が形成された冷却容器をさらに備え、
前記冷却容器内には、液体の冷媒が、前記流入口から前記流出口に向けて、前記コアと前記1次コイルと前記2次コイルとのいずれの上端よりも前記冷媒の液面の方が上になるように流されるリアクトル。
【0008】
本構成によれば、各コイルがコーティングされているため、各コイルを冷媒に浸してもショートする心配がない。その状態において、冷却容器内には、液体の冷媒を、コアおよび各コイルのいずれの上端よりも当該冷媒の液面の方が上になるように流す。それによって、リアクトルの使用中に常に発熱する部分であるコアおよび各コイルを、それぞれ全体的に冷媒に浸して満遍なく冷却できる。それによって、コア内や各コイル内において、温度の偏りを抑えて、最も高温になる部分の温度を効率的に抑えることができる。
【0009】
(2)前記流出口の下端部は、前記コアと前記1次コイルと前記2次コイルとのいずれの上端よりも上方に位置している、
前記(1)に記載のリアクトル。
【0010】
本構成によれば、コアおよび各コイルのいずれの上端よりも冷媒の液面の方が上になるように冷媒を流す制御を、簡単かつ確実に実施できる。
【0011】
(3)前記流入口と前記流出口とは、前記冷却容器の上面に設けられている、前記(2)に記載のリアクトル。
【0012】
本構成によれば、流入口を冷却容器の上面に設けることによって、冷却容器内の冷媒が流入口に逆流し難くできる。さらに、流出口を冷却容器の上面に設けることによって、冷却容器から溢れ出る余剰量の冷媒のみを効率的に冷却容器から流出させることができる。そのため、効率的に、コアの全体および各コイルの全体を冷媒に浸しつつ、冷媒を流すことができる。
【0013】
(4)前記冷却容器は、前記コアと前記1次コイルユニットと前記2次コイルユニットとを、水平方向側の周囲と下側とから囲む容器本体と、前記容器本体の上端部に取り付けられる蓋とを含み、
前記蓋に、前記流入口と前記流出口とが設けられている、
前記(3)に記載のリアクトル。
【0014】
本構成によれば、前記(3)の構成をシンプルに実現できる。
【0015】
(5)前記容器本体の下面に、1次側第1端子と1次側第2端子と2次側第1端子と2次側第2端子とを備え、
前記1次側第1端子は、1次側第1配線を介して前記1次コイルの一端に電気的に接続されており、
前記1次側第2端子は、1次側第2配線を介して前記1次コイルの他端に電気的に接続されており、
前記2次側第1端子は、2次側第1配線を介して前記2次コイルの一端に電気的に接続されており、
前記2次側第2端子は、2次側第2配線を介して前記2次コイルの他端に電気的に接続されており、
前記1次側コーティングは、前記1次コイルに加えて、前記1次側第1配線および前記1次側第2配線をコーティングしており、
前記2次側コーティングは、前記2次コイルに加えて、前記2次側第1配線および前記2次側第2配線をコーティングしている、
前記(4)に記載のリアクトル。
【0016】
本構成によれば、蓋に流入口および流出口が設けられる前記(4)の構成において、4つの各端子が容器本体の下面に設けられる。そのため、流入口および流出口と4つの各端子とを、上下にバランス良く分散して配置できる。しかも、1次側コーティングは、1次側の2つの配線をコーティングしており、2次側コーティングは、2次側の2つの配線をコーティングしている。そのため、これらの配線が冷媒に触れてショートしてしまう心配もない。
【0017】
(6)前記コアは、取付部材を介して前記冷却容器に取り付けられており、
前記取付部材には、前記コアを露出させて前記コアにおける前記冷媒に曝される面を増加させる貫通孔状の露出孔が設けられている、前記(1)~(5)のいずれか1つに記載のリアクトル。
【0018】
本構成によれば、取付部材によってコアを冷却容器に対して取り付けつつも、取付部材によってコアの冷却効果が阻害されるのを、露出孔によって抑制できる。
【0019】
(7)前記露出孔として、前記コアの上面を露出させる上面露出孔と、前記コアの水平方向側の面を露出される側面露出孔と、前記コアの下面を露出させる下面露出孔と、が存在する、
前記(6)に記載のリアクトル。
【0020】
本構成によれば、コアの上面と水平方向側の面と下面とをそれぞれ露出させることによって、コアをより満遍なく冷却できる。
【発明の効果】
【0021】
以上の通り、前記(1)の構成によれば、コア内や各コイル内において最も高温になる部分の温度を効率的に抑えることができる。さらに、前記(1)を引用する前記(2)~(7)の構成によれば、それぞれの追加の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態のリアクトルを示す分解斜視図である。
図2】リアクトルの下側部分を示す分解斜視図である。
図3】リアクトルの中身を示す分解斜視図である。
図4】1次コイルユニットおよび2次コイルユニットを示す正面図である。
図5】リアクトルの中身を、上下反対にして見た斜視図である。
図6】1次コイルユニットを、図5とは異なる角度から見た斜視図である。
図7】1次コイルユニットの一部を断面にして示す斜視図である。
図8】リアクトルを示す平面図である。
図9】リアクトルの蓋を外した状態を示す平面図である。
図10】リアクトルを示す正面図である。
図11図9のXI-XI線の断面を示す図である。
図12図8のXII-XII線の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【0024】
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態のリアクトル100は、コア30と、1次コイルユニット10と、2次コイルユニット20と、冷却容器80と、を備える。
【0025】
図4に示すように、1次コイルユニット10は、1次側第1端子11と、1次側第1配線12と、1次コイル15と、1次側第2配線18と、1次側第2端子19と、1次側コーティングC1とを含む。具体的には、一本の導線における巻回されている部分が1次コイル15を構成し、当該導線における1次コイル15の両端から突出している部分が、1次側第1配線12および1次側第2配線18を構成している。
【0026】
1次側第1配線12における1次コイル15側とは反対側の端部は、1次側第1端子11を構成し、1次側第2配線18における1次コイル15側とは反対側の端部は、1次側第2端子19を構成している。換言すれば、1次側第1配線12は、1次側第1端子11と1次コイル15の一端とを電気的に接続しており、1次側第2配線18は、1次コイル15の他端と、1次側第2端子19とを電気的に接続している。
【0027】
1次側コーティングC1は、樹脂などであって、図7に示すように、1次コイル15をコーティングして防水しているのに加えて、図4に示すように、1次側第1配線12および1次側第2配線18もコーティングして防水している。
【0028】
2次コイルユニット20は、2次側第1端子21と、2次側第1配線22と、2次コイル25と、2次側第2配線28と、2次側第2端子29と、2次側コーティングC2とを含む。2次コイルユニット20についての説明は、上記の1次コイルユニット10についての説明と、「1次」を「2次」に読み替えると共に、符号をそれぞれ該当するものに読み替えて同様である。
【0029】
以下、1次側第1配線12と、1次側第2配線18と、2次側第1配線22と、2次側第2配線28と、のそれぞれを、「4つの各配線12,18,22,28」という。また、1次側第1端子11と、1次側第2端子19と、2次側第1端子21と、2次側第2端子29と、のそれぞれを、「4つの各端子11,19,21,29」という。
【0030】
また以下では、1次コイルユニット10および2次コイルユニット20のそれぞれを、「各コイルユニット10,20」という。また、1次コイル15および2次コイル25のそれぞれを、「各コイル15,25」という。また、1次側コーティングC1および2次側コーティングC2を、まとめて単に「コーティングC1,C2」という。
【0031】
図3に示すように、コア30は、半環状のコア第1部30aと半環状のコア第2部30bとに分割形成されている。コア第1部30aおよびコア第2部30bは、いずれも金属などの磁性体である。コア第1部30aの一端は、1次コイルユニット10の内側でコア第2部30bの一端に当接している。コア第1部30aの他端は、2次コイルユニット20の内側でコア第2部30bの他端に当接している。これらによって、図2に示すように、コア30に、1次コイルユニット10と2次コイルユニット20とが外嵌されている。
【0032】
図1に示すように、冷却容器80は、コア30と1次コイルユニット10と2次コイルユニット20とを格納するための容器であって、容器本体70と蓋60とを含む。容器本体70および蓋60は、例えばアルミニウムなどの金属であってもよいし、樹脂などであってもよい。容器本体70は、上方に開口した箱形であって、コア30と各コイルユニット10,20とを、水平方向側の周囲と下側とから囲む。蓋60は、容器本体70の上端部に取り付けられる。
【0033】
図1に示すように、蓋60には、上下方向に貫通する流入口61と流出口69とが設けられている。流入口61は、冷却容器80内に液体の冷媒Rfを流入させるための部位である。流出口69は、冷却容器80内の冷媒Rfを流出させるための部位である。なお、冷媒Rfは、例えば水であってもよいし、水よりも冷却効率が良い各種液体であってもよい。
【0034】
図2に示すように、コア30は、取付部材40を介して容器本体70の底面にボルトBなどで取り付けられている。取付部材40には、コア30を露出させてコア30における冷媒Rfに曝される面を増加させる貫通孔状の露出孔43,44,45が複数設けられている。具体的には、これらの露出孔43,44,45としては、図2に示すように、コア30の上面を露出させる上面露出孔43と、コア30の水平方向側の面を露出される側面露出孔44とが存在するのに加えて、図5に示すように、コア30の下面を露出させる下面露出孔45が存在している。
【0035】
図2に示すように、容器本体70の底面には、4つの各配線12,18,22,28をそれぞれ挿通させるための4つの通し孔76が設けられている。図4に示すように、コーティングC1,C2における4つの各配線12,18,22,28を覆う部分には、OリングOrが外嵌されている。図2に示すように、コイルユニット10,20におけるこれら4つのOリングOrの部分が、それぞれ通し孔76を挿通する。それによって、図10に示すように、容器本体70の下面に、4つの各端子11,19,21,29が設置される。このとき、図11に示すように、OリングOrによって、コーティングC1,C2と通し孔76の内周面との間の密閉性が確保される。
【0036】
図12に示すように、リアクトル100の使用時には、冷却容器80内に、流入口61から流出口69に向けて冷媒Rfが流される。このとき、コア30および各コイルユニット10,20のいずれの上端よりも流出口69の方が上にあることから、当該いずれの上端よりも冷媒Rfの液面の方が必然的に上になるように、冷媒Rfが流れる。
【0037】
以下に本実施形態の構成および効果をまとめる。
【0038】
図4に示すように、各コイル15,25にコーティングC1,C2が施されているため、各コイル15,25を冷媒Rfに浸してもショートする心配がない。その状態において、図12に示すように、冷却容器80内に、コア30および各コイル15,25のいずれの上端よりも冷媒Rfの液面の方が上になるように冷媒Rfを流す。それによって、リアクトル100の使用中に常に発熱する部分であるコア30および各コイル15,25を、それぞれ全体的に冷媒Rfに浸して満遍なく冷却できる。それによって、コア30内や各コイル15,25内において、温度の偏りを抑えて、最も高温になる部分の温度を効率的に抑えることができる。
【0039】
図12に示すように、流出口69の下端部は、コア30および各コイル15,25のいずれの上端よりも上方に位置している。そのため、コア30および各コイル15,25のいずれの上端よりも冷媒Rfの液面の方が上になるように冷媒Rfを流す制御を、簡単かつ確実に実施できる。
【0040】
流入口61は、冷却容器80の上面に設けられている。それによって、冷却容器80内の冷媒Rfを流入口61に逆流し難くできる。さらに、流出口69も冷却容器80の上面に設けられている。それによって、冷却容器80から溢れる余剰量の冷媒Rfのみを効率的に冷却容器80から流出させることができる。そのため、効率的に、コア30と各コイル15,25との全体を冷媒Rfに浸しつつ、冷媒Rfを流すことができる。
【0041】
図12に示すように、冷却容器80は、容器本体70と蓋60とを含み、蓋60に流入口61および流出口69が設けられている。それによって、簡単に、流入口61および流出口69を冷却容器80の上面に設けることができる。
【0042】
このように蓋60に流入口61および流出口69が設けられる構成において、図10に示すように、4つの各端子11,19,21,29が容器本体70の下面に設けられている。そのため、図12に示すように、流入口61および流出口69と4つの各端子11,19,21,29とを、上下にバランス良く分散して配置できる。しかも、図4に示すように、1次側コーティングC1は、1次コイル15に加えて、1次側第1配線12および1次側第2配線18をコーティングしている。また、2次側コーティングC2は、2次コイル25に加えて、2次側第1配線22および2次側第2配線28をコーティングしている。そのため、これら4つの各配線12,18,22,28が冷媒Rfに触れてショートしてしまう心配もない。
【0043】
図2に示すように、コア30は、取付部材40を介して冷却容器80に取り付けられている。取付部材40には、コア30を露出させてコア30における冷媒Rfに曝される面を増加させる露出孔43,44,45が設けられている。そのため、取付部材40によってコア30を冷却容器80に対して取り付けつつも、取付部材40によってコア30の冷却効果が阻害されるのを、露出孔43,44,45によって抑制できる。
【0044】
露出孔43,44,45としては、図2に示す上面露出孔43および側面露出孔44と、図5に示す下面露出孔45と、が存在している。それらによって、コア30の上面と水平方向側の面と下面とをそれぞれ露出させて、コア30をより満遍なく冷却することができる。
【0045】
[他の実施形態]
以上に示した実施形態は、例えば次のように変更できる。図1に示す流入口61および流出口69のうちの一方又は両方を、容器本体70の側部や底部に設けてもよい。図10に示す4つの各端子11,19,21,29のうちの一部又は全部を、容器本体70の側面や蓋60の上面に設けてもよい。図2に示すリアクトル100が、複数の環状形状を有していてもよい。図2に示す1次コイルユニット10および2次コイルユニット20とは別の第3のコイルユニットが、コア30に外嵌されていてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10 1次コイルユニット
11 1次側第1端子
12 1次側第1配線
15 1次コイル
18 1次側第2配線
19 1次側第2端子
20 2次コイルユニット
21 2次側第1端子
22 2次側第1配線
25 2次コイル
28 2次側第2配線
29 2次側第2端子
30 コア
40 取付部材
43 上面露出孔
44 側面露出孔
45 下面露出孔
60 蓋
61 流入口
69 流出口
70 容器本体
80 冷却容器
100 リアクトル
C1 1次側コーティング
C2 2次側コーティング
Rf 冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12