(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139008
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】トラッカ回路、通信装置及び電圧供給方法
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20241002BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20241002BHJP
H03F 3/213 20060101ALI20241002BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H03F1/02 144
H04B1/04 A
H03F3/213
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049768
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】冨田 直秀
(72)【発明者】
【氏名】小暮 武
(72)【発明者】
【氏名】山口 太地
(72)【発明者】
【氏名】廣野 敦哉
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AA51
5J500AC36
5J500AF18
5J500AH29
5J500AH33
5J500AH38
5J500AT07
5J500RG05
5K060DD04
5K060EE05
5K060HH06
5K060HH11
5K060HH32
5K060JJ04
5K060JJ21
5K060JJ23
(57)【要約】
【課題】D-ETモードにおいて電力効率を改善することができるトラッカ回路を提供する。
【解決手段】トラッカ回路1は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路21と、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路22と、複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力するよう構成された電源変調回路30と、を備え、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1離散的電圧を生成するよう構成された第1スイッチトキャパシタ回路と、
複数の第2離散的電圧を生成するよう構成された第2スイッチトキャパシタ回路と、
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器に出力するよう構成された電源変調回路と、を備え、
前記複数の第1離散的電圧は、前記複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、
前記複数の第2離散的電圧は、前記複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む、
トラッカ回路。
【請求項2】
前記第1スイッチトキャパシタ回路は、第1調整電圧から前記複数の第1離散的電圧を生成するよう構成され、
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧から前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成され、
前記複数の第1離散的電圧の数である第1の数及び前記複数の第2離散的電圧の数である第2の数の組み合わせは所定条件を満たし、
前記所定条件は、(i)前記第1の数は前記第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)前記第2の数は前記第1の数の約数ではないことである、
請求項1に記載のトラッカ回路。
【請求項3】
前記第1スイッチトキャパシタ回路は、第1調整電圧から前記複数の第1離散的電圧を生成するよう構成され、
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧から前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成される、
請求項1に記載のトラッカ回路。
【請求項4】
前記第1スイッチトキャパシタ回路は、第1調整電圧から前記複数の第1離散的電圧を生成するよう構成され、
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧、及び、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧から、前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成される、
請求項1に記載のトラッカ回路。
【請求項5】
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧及び前記第2調整電圧の差分に基づいて前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成される、
請求項4に記載のトラッカ回路。
【請求項6】
前記複数の第2離散的電圧の数は、前記複数の第1離散的電圧の数よりも多い、
請求項4又は5に記載のトラッカ回路。
【請求項7】
前記第1調整電圧は、前記電力増幅器で増幅される高周波信号のピークパワーに対応する電圧以上であり、
前記第2調整電圧は、前記高周波信号の平均パワーに対応する電圧以下である、
請求項4又は5に記載のトラッカ回路。
【請求項8】
前記トラッカ回路は、さらに、入力電圧を前記第1調整電圧及び前記第2調整電圧に変換するコンバータ回路を備える、
請求項4又は5に記載のトラッカ回路。
【請求項9】
請求項1~5のいずれか1項に記載のトラッカ回路と、
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記電力増幅器を含み、前記信号処理回路及びアンテナの間で前記高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路と、を備える、
通信装置。
【請求項10】
第1入力端子と複数の第1離散的電圧をそれぞれ出力する複数の第1出力端子とを含む第1スイッチトキャパシタ回路と、
第2入力端子と複数の第2離散的電圧をそれぞれ出力する複数の第2出力端子とを含む第2スイッチトキャパシタ回路と、
前記複数の第1出力端子及び前記複数の第2出力端子にそれぞれ接続される複数の第3入力端子と電力増幅器に接続される第3出力端子とを含む電源変調回路と、を備え、
前記複数の第1離散的電圧は、前記複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、
前記複数の第2離散的電圧は、前記複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む、
トラッカ回路。
【請求項11】
前記第1入力端子及び前記第2入力端子は、第1調整電圧を受け、
前記複数の第1離散的電圧の数である第1の数及び前記複数の第2離散的電圧の数である第2の数の組み合わせは所定条件を満たし、
前記所定条件は、(i)前記第1の数は前記第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)前記第2の数は前記第1の数の約数ではないことである、
請求項10に記載のトラッカ回路。
【請求項12】
前記第1入力端子は、第1調整電圧を受け、
前記第2入力端子は、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧を受ける、
請求項10に記載のトラッカ回路。
【請求項13】
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第2入力端子を含む2つの第2入力端子を含み、
前記第1入力端子は、第1調整電圧を受け、
前記2つの第2入力端子の一方は、前記第1調整電圧を受け、
前記2つの第2入力端子の他方は、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧を受ける、
請求項10に記載のトラッカ回路。
【請求項14】
前記複数の第2離散的電圧の数は、前記複数の第1離散的電圧の数よりも多い、
請求項12又は13に記載のトラッカ回路。
【請求項15】
前記トラッカ回路は、さらに、入力電圧を受ける第4入力端子と前記第1調整電圧及び前記第2調整電圧を出力する2つの第4出力端子とを含むコンバータ回路を備える、
請求項12又は13に記載のトラッカ回路。
【請求項16】
請求項10~13のいずれか1項に記載のトラッカ回路と、
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記電力増幅器を含み、前記信号処理回路及びアンテナの間で前記高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路と、を備える、
通信装置。
【請求項17】
第1スイッチトキャパシタ回路を用いて複数の第1離散的電圧を生成し、
第2スイッチトキャパシタ回路を用いて複数の第2離散的電圧を生成し、
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器に出力し、
前記複数の第1離散的電圧は、前記複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、
前記複数の第2離散的電圧は、前記複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む、
電圧供給方法。
【請求項18】
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧は、同じレベルの調整電圧から生成され、
前記複数の第1離散的電圧の数である第1の数及び前記複数の第2離散的電圧の数である第2の数の組み合わせは所定条件を満たし、
前記所定条件は、(i)前記第1の数は前記第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)前記第2の数は前記第1の数の約数ではないことである、
請求項17に記載の電圧供給方法。
【請求項19】
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧は、互いに異なるレベルの調整電圧からそれぞれ生成される、
請求項17に記載の電圧供給方法。
【請求項20】
前記複数の第1離散的電圧は、第1調整電圧から生成され、
前記複数の第2離散的電圧は、前記第1調整電圧と、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧とから生成される、
請求項17に記載の電圧供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッカ回路、通信装置及び電圧供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力増幅回路にエンベロープ・トラッキング(ET:Envelope Tracking)を適用することで、電力付加効率の改善が図られている。特許文献1には、エンベロープ信号に基づいて複数の離散的電圧を選択的に供給するデジタル・エンベロープ・トラッキング(D-ET:Digital Envelope Tracking)の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IoT(Internet of Things)向けの5G規格(例えば、RedCap(Reduced Capability)など)では、消費電力の削減のために、さらなる電力効率の改善が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、D-ETモードにおいて電力効率を改善することができるトラッカ回路、通信装置及び電圧供給方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るトラッカ回路は、複数の第1離散的電圧を生成するよう構成された第1スイッチトキャパシタ回路と、複数の第2離散的電圧を生成するよう構成された第2スイッチトキャパシタ回路と、複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器に出力するよう構成された電源変調回路と、を備え、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む。
【0007】
本発明の一態様に係るトラッカ回路は、第1入力端子と複数の第1離散的電圧をそれぞれ出力する複数の第1出力端子とを含む第1スイッチトキャパシタ回路と、第2入力端子と複数の第2離散的電圧をそれぞれ出力する複数の第2出力端子とを含む第2スイッチトキャパシタ回路と、複数の第1出力端子及び複数の第2出力端子にそれぞれ接続される複数の第3入力端子と電力増幅器に接続される第3出力端子とを含む電源変調回路と、を備え、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む。
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、上記のトラッカ回路と、高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、電力増幅器を含み、信号処理回路及びアンテナの間で高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る電圧供給方法は、第1スイッチトキャパシタ回路を用いて複数の第1離散的電圧を生成し、第2スイッチトキャパシタ回路を用いて複数の第2離散的電圧を生成し、複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器に出力し、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、D-ETモードにおいて電力効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、APT(Average Power Tracking)モードにおける電源電圧の推移の一例を示すグラフである。
【
図1B】
図1Bは、A-ET(Analog Envelope Tracking)モードにおける電源電圧の推移の一例を示すグラフである。
【
図1C】
図1Cは、D-ETモードにおける電源電圧の推移の一例を示すグラフである。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る通信装置の回路構成図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係るプリレギュレータ回路の回路構成図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係るトラッカ回路の部分回路構成図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係るトラッカ回路の部分回路構成図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態1及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係るプリレギュレータ回路の回路構成図である。
【
図9】
図9は、実施の形態2に係るトラッカ回路の部分回路構成図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態2及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態3に係るトラッカ回路の部分回路構成図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態3及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態4に係るトラッカ回路の部分回路構成図である。
【
図16】
図16は、実施の形態4に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施の形態4及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。
【0013】
なお、各図は、本発明を示すために適宜強調、省略、又は比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡素化される場合がある。
【0014】
回路構成において、「接続される」とは、接続端子及び/又は配線導体で直接接続される場合だけでなく、他の回路素子を介して電気的に接続される場合も含む。「直接接続される」とは、他の回路素子を介さずに接続端子及び/又は配線導体で直接接続されることを意味する。「CがA及びBの間に接続される」とは、Cの一端がAに接続され、Cの他端がBに接続されることを意味し、A及びBの間を結ぶ経路に直列配置されることを意味する。「A及びBの間を結ぶ経路」とは、AをBに電気的に接続する導体で構成された経路を意味する。
【0015】
以下の説明において、「端子」とは、要素内の導体が終了するポイントを意味する。なお、要素間の導体のインピーダンスが十分に低い場合には、端子は、単一のポイントだけでなく、要素間の導体上の任意のポイント又は導体全体と解釈される。
【0016】
また、「平行」及び「垂直」などの要素間の関係性を示す用語、及び、「矩形」などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差をも含むことを意味する。
【0017】
まず、高周波信号を高効率に増幅する技術として、高周波信号に基づいて時間の経過とともに動的に調整された電源電圧を電力増幅器に供給するトラッキングモードについて説明する。トラッキングモードとは、電力増幅器に印加される電源電圧を動的に調整するモードである。トラッキングモードにはいくつかの種類があるが、ここでは、APTモード、A-ETモード及びD-ETモードについて
図1A~
図1Cを参照しながら説明する。
図1A~
図1Cにおいて、横軸は時間を表し、縦軸は電圧を表す。また、太い実線は、電源電圧を表し、細い実線(波形)は、変調波を表す。
【0018】
図1Aは、APTモードにおける電源電圧の推移の一例を示すグラフである。APTモードでは、平均パワーに基づいて、1フレーム単位で複数の離散的な電圧レベルに電源電圧を変動させる。
【0019】
フレームとは、高周波信号(変調波)を構成する単位を意味する。例えば5GNR(5th Generation New Radio)及びLTE(Long Term Evolution)では、フレームは、10個のサブフレームを含み、各サブフレームは、複数のスロットを含み、各スロットは、複数のシンボルで構成される。サブフレーム長は1msであり、フレーム長は10msである。
【0020】
なお、平均パワーに基づいて1フレーム単位又はそれよりも大きな単位で電圧レベルを変動させるモードをAPTモードと呼び、1フレームよりも小さな単位(例えばサブフレーム、スロット又はシンボル単位)で電圧レベルを変動させるモードと区別する。
【0021】
図1Bは、A-ETモードにおける電源電圧の推移の一例を示すグラフである。A-ETモードでは、エンベロープ信号に基づいて電源電圧を連続的に変動させることで変調波の包絡線が追跡される。
【0022】
エンベロープ信号とは、変調波の包絡線を示す信号である。エンベロープ値は、例えば(I2+Q2)の平方根で表される。ここで、(I,Q)は、コンスタレーションポイントを表す。コンスタレーションポイントとは、デジタル変調された信号をコンスタレーションダイヤグラム上で表す点である。(I,Q)は、例えば、送信情報に基づいてBBIC(Baseband Integrated Circuit)で決定される。
【0023】
図1Cは、D-ETモードにおける電源電圧の推移の一例を示すグラフである。D-ETモードでは、エンベロープ信号に基づいて、1フレーム内で複数の離散的な電圧レベルに電源電圧を変動させることで変調波の包絡線が追跡される。つまり、D-ETでは、APTよりも短い時間間隔で電源電圧が変動する。
【0024】
(実施の形態1)
以下に、実施の形態1について説明する。
【0025】
[1.1 通信装置7の回路構成]
まず、本実施の形態に係る通信装置7の回路構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る通信装置7の回路構成図である。
【0026】
なお、
図2は、例示的な回路構成であり、通信装置7は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供される通信装置7の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0027】
本実施の形態に係る通信装置7は、セルラーネットワーク(モバイルネットワークともいう)におけるユーザ端末(UE:User Equipment)に相当し、典型的には、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル・デバイス等である。なお、通信装置7は、IoT(Internet of Things)センサ・デバイス、医療/ヘルスケア・デバイス、車、無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)(いわゆるドローン)、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)であってもよい。また、通信装置7は、セルラーネットワークにおけるBS(Base Station)として機能してもよい。
【0028】
図2に示すように、通信装置7は、トラッカ回路1と、高周波回路4と、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)5と、アンテナ6と、プリレギュレータ回路10と、直流電源50と、を備える。
【0029】
トラッカ回路1は、D-ETモードで複数の離散的電圧を電力増幅器2に供給することができる。さらに、トラッカ回路1は、APTモードで複数の離散的電圧を電力増幅器2に供給してもよい。
図2に示すように、トラッカ回路1は、スイッチトキャパシタ回路21及び22と、電源変調回路30と、デジタル制御回路60と、を備える。
【0030】
スイッチトキャパシタ回路21及び22は、それぞれ、第1スイッチトキャパシタ回路及び第2スイッチトキャパシタ回路の一例であり、プリレギュレータ回路10から供給される調整電圧(第1調整電圧)から、複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧をそれぞれ生成することができる。スイッチトキャパシタ回路21及び22の回路構成については、
図4を用いて後述する。
【0031】
電源変調回路30は、スイッチトキャパシタ回路21及び22で生成された複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力することができる。つまり、電源変調回路30は、複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧の中から少なくとも1つの電圧を選択し、選択した電圧を電力増幅器2に供給することができる。電源変調回路30の回路構成については、
図4を用いて後述する。
【0032】
デジタル制御回路60は、RFIC5からのデジタル制御信号に基づいて、スイッチトキャパシタ回路21及び22並びに電源変調回路30を制御することができる。具体的には、デジタル制御回路60は、スイッチトキャパシタ回路21及び22に含まれるスイッチを制御するための制御信号と電源変調回路30に含まれるスイッチを制御するための制御信号とを生成して出力することができる。なお、デジタル制御回路60は、トラッカ回路1に含まれなくてもよい。デジタル制御回路60の回路構成については、
図5を用いて後述する。
【0033】
プリレギュレータ回路10は、磁気レギュレータ又はDC(Direct Current)/DCコンバータと呼ばれる場合もある。本実施の形態では、プリレギュレータ回路10は、1入力1出力のバックブーストコンバータであり、直流電源50の出力電圧をスイッチトキャパシタ回路21及び22の入力電圧(第1調整電圧)に変換することができる。なお、プリレギュレータ回路10は、バックコンバータ又はブーストコンバータであってもよい。プリレギュレータ回路10は、例えばRFIC5からの制御信号に基づいて、スイッチトキャパシタ回路21及び22の入力電圧を変化させることができる。プリレギュレータ回路10の回路構成については、
図3を用いて後述する。
【0034】
直流電源50は、プリレギュレータ回路10に直流電圧を供給することができる。直流電源50としては、例えば、充電式電池(rechargeable battery)を用いることができるが、これに限定されない。
【0035】
高周波回路4は、RFIC5及びアンテナ6の間で高周波信号を伝送することができる。
図2に示すように、高周波回路4は、電力増幅器2とフィルタ3とを含む。
【0036】
電力増幅器2は、RFIC5とフィルタ3との間に接続される。さらに、電力増幅器2は、トラッカ回路1に接続される。電力増幅器2は、トラッカ回路1から供給される複数の離散的電圧を用いて、RFIC5から供給される高周波信号を増幅することができる。
【0037】
フィルタ3は、電力増幅器2とアンテナ6との間に接続される。フィルタ3は、所定バンドを含む通過帯域を有する帯域通過フィルタである。なお、フィルタ3は、高周波回路4に含まれなくてもよい。
【0038】
所定バンドは、無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)を用いて構築される通信システムのための周波数バンドであり、標準化団体など(例えば3GPP(登録商標)(3rd Generation Partnership Project)及びIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)等)によって予め定義される。通信システムの例としては、5GNRシステム、LTEシステム及びWLAN(Wireless Local Area Network)システム等を挙げることができる。
【0039】
アンテナ6は、高周波回路4から入力された高周波信号を送信する。なお、アンテナ6は、通信装置7に含まれなくてもよい。
【0040】
なお、
図2に表された通信装置7の回路構成は、例示であり、これに限定されない。例えば、通信装置7は、高周波信号よりも低い周波数帯域を用いて信号処理するベースバンド信号処理回路を備えてもよい。
【0041】
[1.2 プリレギュレータ回路10の回路構成]
次に、プリレギュレータ回路10の回路構成について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施の形態に係るプリレギュレータ回路10の回路構成図である。
【0042】
なお、
図3は、例示的な回路構成であり、プリレギュレータ回路10は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるプリレギュレータ回路10の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0043】
プリレギュレータ回路10は、入力端子101と、出力端子102と、スイッチS71~S74と、パワーインダクタL71と、キャパシタC71と、を備える。
【0044】
入力端子101は、直流電源50から直流電圧を受けるための端子である。入力端子101は、プリレギュレータ回路10外で直流電源50に接続され、プリレギュレータ回路10内でスイッチS71に接続される。
【0045】
出力端子102は、スイッチトキャパシタ回路21及び22に調整電圧を供給するための端子である。出力端子102は、プリレギュレータ回路10外でスイッチトキャパシタ回路21の入力端子211と、スイッチトキャパシタ回路22の入力端子221と、に接続され、プリレギュレータ回路10内でスイッチS73に接続される。
【0046】
パワーインダクタL71は、直流電圧の昇圧及び降圧に用いられるインダクタである。パワーインダクタL71の一端は、スイッチS71及びS72に接続され、パワーインダクタL71の他端は、スイッチS73及びS74に接続される。
【0047】
スイッチS71は、入力端子101とパワーインダクタL71の一端との間に接続される。この接続構成において、スイッチS71は、開閉を切り替えることで、入力端子101とパワーインダクタL71の一端との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0048】
スイッチS72は、パワーインダクタL71の一端とグランドとの間に接続される。この接続構成において、スイッチS72は、開閉を切り替えることで、パワーインダクタL71の一端とグランドとの間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0049】
スイッチS73は、パワーインダクタL71の他端と出力端子102との間に接続される。この接続構成において、スイッチS73は、開閉を切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子102との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0050】
スイッチS74は、パワーインダクタL71の他端とグランドとの間に接続される。この接続構成において、スイッチS74は、開閉を切り替えることで、パワーインダクタL71の他端とグランドとの間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0051】
キャパシタC71は、スイッチS73及び出力端子102の間の経路とグランドとの間に接続される。具体的には、キャパシタC71の2つの電極の一方は、スイッチS73及び出力端子102に接続され、キャパシタC71の2つの電極の他方は、グランドに接続される。
【0052】
なお、
図3に示したプリレギュレータ回路10の構成は、一例であり、これに限定されない。例えば、スイッチS71~S74の一部は、ダイオードに置き換えられてもよい。また、プリレギュレータ回路10の一部又は全部は、トラッカ回路1に含まれてもよい。
【0053】
[1.3 トラッカ回路1の回路構成]
次に、トラッカ回路1の回路構成について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4及び
図5は、本実施の形態に係るトラッカ回路1の回路構成図である。
【0054】
なお、
図4及び
図5は、例示的な回路構成であり、トラッカ回路1は、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるトラッカ回路1の説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0055】
トラッカ回路1は、上述したように、スイッチトキャパシタ回路21及び22と、電源変調回路30と、デジタル制御回路60と、を備える。なお、トラッカ回路1は、電源変調回路30及び電力増幅器2の間にフィルタ回路(図示せず)を備えてもよい。なお、RedCapでは、半二重周波数分割複信(HD-FDD:Half Duplex-Frequency Division Duplex)の使用が検討されており、全二重周波数分割複信(FD-FDD:Full Duplex-Frequency Division Duplex)が使用されない可能性がある。このようにFD-FDDが使用されない場合には、トラッカ回路1は、
図4のようにフィルタ回路を備えないことで通信装置7の小型化を貢献することができる。
【0056】
以下に、スイッチトキャパシタ回路21及び22、電源変調回路30、並びに、デジタル制御回路60の回路構成について順に説明する。
【0057】
[1.3.1 スイッチトキャパシタ回路21の回路構成]
まず、スイッチトキャパシタ回路21の回路構成について
図4を参照しながら説明する。スイッチトキャパシタ回路21は、ラダー型の回路構成を有する。具体的には、スイッチトキャパシタ回路21は、キャパシタC110~C112及びC120と、スイッチS111~S114及びS121~S124と、入力端子211と、出力端子213及び214と、を備える。エネルギー及び電荷は、プリレギュレータ回路10から入力端子211を介してノードN11に入力され、ノードN11及びN12から出力端子213及び214を介して電源変調回路30に引き出される。
【0058】
入力端子211は、第1入力端子の一例であり、プリレギュレータ回路10から調整電圧(V11)を受けるための端子である。入力端子211は、スイッチトキャパシタ回路21外でプリレギュレータ回路10に接続され、スイッチトキャパシタ回路21内でノードN11に接続される。
【0059】
調整電圧(V11)は、第1調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10から供給される。
【0060】
出力端子213は、第1出力端子の一例であり、電源変調回路30に出力電圧(V11)を供給するための端子である。出力端子213は、スイッチトキャパシタ回路21外で電源変調回路30に接続され、スイッチトキャパシタ回路21内でノードN11に接続される。なお、出力端子213は、入力端子211と統合されてもよい。
【0061】
出力電圧(V11)は、複数の第1離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V11)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V11)は、調整電圧(V11)と等しく、出力電圧(V12)よりも高い。
【0062】
出力端子214は、第1出力端子の一例であり、電源変調回路30に出力電圧(V12)を供給するための端子である。出力端子214は、スイッチトキャパシタ回路21外で電源変調回路30に接続され、スイッチトキャパシタ回路21内でノードN12に接続される。
【0063】
出力電圧(V12)は、複数の第1離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V11)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V12)は、出力電圧(V11)よりも低い。
【0064】
キャパシタC111及びC112は、フライングキャパシタ(トランスファキャパシタと呼ばれる場合もある)であり、プリレギュレータ回路10から供給された調整電圧(V11)を昇圧及び/又は降圧するために用いられる。より具体的には、キャパシタC111及びC112は、2つのノードN11及びN12において(V11-V12):(V12-VG)=1:1及びV11>V12>VGを満たすV11及びV12が維持されるように、キャパシタC111及びC112とノードN11及びN12並びにグランドとの間で電荷を移動させる。ここで、VGは、グランド電位を表す。
【0065】
キャパシタC111の2つの電極の一方は、スイッチS111の一端及びスイッチS112の一端に接続される。キャパシタC111の2つの電極の他方は、スイッチS121の一端及びスイッチS122の一端に接続される。
【0066】
キャパシタC112の2つの電極の一方は、スイッチS113の一端及びスイッチS114の一端に接続される。キャパシタC112の2つの電極の他方は、スイッチS123の一端及びスイッチS124の一端に接続される。
【0067】
キャパシタC111及びC112は、第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることで相補的に充電及び放電を行うことができる。
【0068】
具体的には、第1フェーズでは、スイッチS112、S113、S122及びS123が閉じられ、スイッチS111、S114、S121及びS124が開かれる。これにより、キャパシタC111の2つの電極の一方はノードN11に接続され、キャパシタC111の2つの電極の他方及びキャパシタC112の2つの電極の一方はノードN12に接続され、キャパシタC112の2つの電極の他方はグランドに接続される。
【0069】
一方、第2フェーズでは、スイッチS112、S113、S122及びS123が開かれ、スイッチS111、S114、S121及びS124が閉じられる。これにより、キャパシタC112の2つの電極の一方はノードN11に接続され、キャパシタC112の2つの電極の他方及びキャパシタC111の2つの電極の一方はノードN12に接続され、キャパシタC111の2つの電極の他方はグランドに接続される。
【0070】
このような第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることにより、例えばキャパシタC111及びC112の一方がノードN11から充電されているときに、キャパシタC111及びC112の他方がキャパシタC120に放電することができる。つまり、キャパシタC111及びC112は、相補的に充電及び放電を行うことができる。
【0071】
キャパシタC110及びC120は、平滑キャパシタであり、ノードN11及びN12における出力電圧(V11及びV12)の保持及び平滑化に用いられる。
【0072】
キャパシタC110はノードN11及びN12の間に接続される。具体的には、キャパシタC110の2つの電極の一方は、ノードN11に接続される。一方、キャパシタC110の2つの電極の他方は、ノードN12に接続される。
【0073】
キャパシタC120は、ノードN12及びグランドの間に接続される。具体的には、キャパシタC120の2つの電極の一方は、ノードN12に接続される。一方、キャパシタC120の2つの電極の他方は、グランドに接続される。
【0074】
スイッチS111は、キャパシタC111及びノードN12の間に接続される。具体的には、スイッチS111の一端は、キャパシタC111の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS111の他端は、ノードN12に接続される。
【0075】
スイッチS112は、キャパシタC111及びノードN11の間に接続される。具体的には、スイッチS112の一端は、キャパシタC111の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS112の他端は、ノードN11に接続される。
【0076】
スイッチS121は、キャパシタC111及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS121の一端は、キャパシタC111の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS121の他端は、グランドに接続される。
【0077】
スイッチS122は、キャパシタC111及びノードN12の間に接続される。具体的には、スイッチS122の一端は、キャパシタC111の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS122の他端は、ノードN12に接続される。
【0078】
スイッチS113は、キャパシタC112及びノードN12の間に接続される。具体的には、スイッチS113の一端は、キャパシタC112の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS113の他端は、ノードN12に接続される。つまり、スイッチS113の他端は、スイッチS111の他端及びスイッチS122の他端に接続される。
【0079】
スイッチS114は、キャパシタC112及びノードN11の間に接続される。具体的には、スイッチS114の一端は、キャパシタC112の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS114の他端は、ノードN11に接続される。つまり、スイッチS114の他端は、スイッチS112の他端に接続される。
【0080】
スイッチS123は、キャパシタC112及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS123の一端は、キャパシタC112の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS123の他端は、グランドに接続される。
【0081】
スイッチS124は、キャパシタC112及びノードN12の間に接続される。具体的には、スイッチS124の一端は、キャパシタC112の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS124の他端は、ノードN12に接続される。つまり、スイッチS124の他端は、スイッチS111の他端、スイッチS122の他端及びスイッチS113の他端に接続される。
【0082】
スイッチS112、S113、S122及びS123を含む第1セットのスイッチと、スイッチS111、S114、S121及びS124を含む第2セットのスイッチとは、デジタル制御回路60からの制御信号に基づいて相補的に開閉が切り替えられる。具体的には、第1フェーズでは、第1セットのスイッチが閉じられ、第2セットのスイッチが開かれる。逆に、第2フェーズでは、第1セットのスイッチが開かれ、第2セットのスイッチが閉じられる。
【0083】
例えば、第1フェーズ及び第2フェーズの一方において、キャパシタC111からキャパシタC110及びC120への充電が実行され、第1フェーズ及び第2フェーズの他方において、キャパシタC112からキャパシタC110及びC120への充電が実行される。つまり、キャパシタC110及びC120には、キャパシタC111又はC112から常に充電されるので、ノードN11及びN12からスイッチトキャパシタ回路22へ高速で電流が流れても、ノードN11及びN12には高速で電荷が補充され、ノードN11及びN12の電位変動を抑制できる。
【0084】
このように動作することで、スイッチトキャパシタ回路21は、キャパシタC110及びC120のそれぞれの両端でほぼ等しい電圧を維持することができる。具体的には、V11及びV12のラベルが付された2つのノードにおいて、(V11-V12):(V12-VG)=1:1を満たすV11及びV12が維持される。
【0085】
なお、(V11-V12):(V12-VG)は、1:1に限定されず、任意の比(例えば、2:1、3:1、3:2、1:2、2:3等)に設計され得る。
【0086】
[1.3.2 スイッチトキャパシタ回路22の回路構成]
次に、スイッチトキャパシタ回路22の回路構成について
図4を参照しながら説明する。スイッチトキャパシタ回路22は、ラダー型の回路構成を有する。具体的には、スイッチトキャパシタ回路22は、キャパシタC210~C214、C220及びC230と、スイッチS211~S214、S221~S224及びS231~S234と、入力端子221と、出力端子223~225と、を備える。エネルギー及び電荷は、プリレギュレータ回路10から入力端子221を介してノードN21に入力され、ノードN21~N23から出力端子223~225を介して電源変調回路30に引き出される。
【0087】
入力端子221は、第2入力端子の一例であり、スイッチトキャパシタ回路21から調整電圧(V21)を受けるための端子である。入力端子221は、スイッチトキャパシタ回路22外でプリレギュレータ回路10に接続され、スイッチトキャパシタ回路22内でノードN21に接続される。
【0088】
調整電圧(V21)は、第1調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10から供給される。本実施の形態では、調整電圧(V21)は、調整電圧(V11)と同じレベルを有する。
【0089】
出力端子223は、第2出力端子の一例であり、電源変調回路30に出力電圧(V21)を供給するための端子である。出力端子223は、スイッチトキャパシタ回路22外で電源変調回路30に接続され、スイッチトキャパシタ回路22内でノードN21に接続される。なお、出力端子223は、スイッチトキャパシタ回路22に含まれなくてもよく、入力端子221と統合されてもよい。
【0090】
出力電圧(V21)は、複数の第2離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V21)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V21)は、調整電圧(V21)と等しく、出力電圧(V22)よりも高い。
【0091】
出力端子224は、第2出力端子の一例であり、電源変調回路30に出力電圧(V22)を供給するための端子である。出力端子224は、スイッチトキャパシタ回路22外で電源変調回路30に接続され、スイッチトキャパシタ回路22内でノードN22に接続される。なお、出力端子224は、スイッチトキャパシタ回路22に含まれなくてもよく、入力端子222と統合されてもよい。
【0092】
出力電圧(V22)は、複数の第2離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V21)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V22)は、出力電圧(V21)よりも低い。
【0093】
出力端子225は、第2出力端子の一例であり、電源変調回路30に出力電圧(V23)を供給するための端子である。出力端子225は、スイッチトキャパシタ回路22外で電源変調回路30に接続され、スイッチトキャパシタ回路22内でノードN23に接続される。
【0094】
出力電圧(V23)は、複数の第2離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V21)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V23)は、出力電圧(V21)よりも低く、出力電圧(V22)よりも低い。
【0095】
キャパシタC211~C214は、フライングキャパシタであり、プリレギュレータ回路10から供給された調整電圧(V21)を昇圧及び/又は降圧するために用いられる。より具体的には、キャパシタC211~C214は、3つのノードN21~N23において(V21-V22):(V22-V23):(V23-VG)=1:1:1及びV21>V22>V23を満たすV21~V23が維持されるように、キャパシタC211~C214とノードN21~N23及びグランドとの間で電荷を移動させる。
【0096】
キャパシタC211の2つの電極の一方は、スイッチS211の一端及びスイッチS212の一端に接続される。キャパシタC211の2つの電極の他方は、スイッチS221の一端及びスイッチS222の一端に接続される。
【0097】
キャパシタC212の2つの電極の一方は、スイッチS213の一端及びスイッチS214の一端に接続される。キャパシタC212の2つの電極の他方は、スイッチS223の一端及びスイッチS224の一端に接続される。
【0098】
キャパシタC213の2つの電極の一方は、スイッチS221の一端及びスイッチS222の一端に接続される。キャパシタC213の2つの電極の他方は、スイッチS231の一端及びスイッチS232の一端に接続される。
【0099】
キャパシタC214の2つの電極の一方は、スイッチS223の一端及びスイッチS224の一端に接続される。キャパシタC214の2つの電極の他方は、スイッチS233の一端及びスイッチS234の一端に接続される。
【0100】
キャパシタC211及びC212は、第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることで相補的に充電及び放電を行うことができ、キャパシタC213及びC214は、第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることで相補的に充電及び放電を行うことができる。
【0101】
具体的には、第1フェーズでは、スイッチS212、S213、S222、S223、S232及びS233が閉じられ、スイッチS211、S214、S221、S224、S231及びS234が開かれる。これにより、キャパシタC211の2つの電極の一方はノードN21に接続され、キャパシタC211の2つの電極の他方及びキャパシタC212の2つの電極の一方はノードN22に接続され、キャパシタC212の2つの電極の他方はノードN23に接続される。また、キャパシタC213の2つの電極の一方はノードN22に接続され、キャパシタC213の2つの電極の他方及びキャパシタC214の2つの電極の一方はノードN23に接続され、キャパシタC214の2つの電極の他方はグランドに接続される。
【0102】
一方、第2フェーズでは、スイッチS212、S213、S222及びS223が開かれ、スイッチS211、S214、S221及びS224が閉じられる。これにより、キャパシタC212の2つの電極の一方はノードN21に接続され、キャパシタC212の2つの電極の他方及びキャパシタC211の2つの電極の一方はノードN22に接続され、キャパシタC211の2つの電極の他方はノードN23に接続される。また、キャパシタC214の2つの電極の一方はノードN22に接続され、キャパシタC214の2つの電極の他方及びキャパシタC213の2つの電極の一方はノードN23に接続され、キャパシタC213の2つの電極の他方はグランドに接続される。
【0103】
このような第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることにより、例えばキャパシタC211及びC212の一方がノードN21から充電されているときに、キャパシタC211及びC212の他方がキャパシタC220に放電することができる。つまり、キャパシタC211及びC212は、相補的に充電及び放電を行うことができる。同様に、キャパシタC213及びC214も、相補的に充電及び放電を行うことができる。
【0104】
キャパシタC210、C220及びC230は、平滑キャパシタであり、ノードN21~N23における出力電圧(V21~V23)の保持及び平滑化に用いられる。
【0105】
キャパシタC210はノードN21及びN22の間に接続される。具体的には、キャパシタC210の2つの電極の一方は、ノードN21に接続される。一方、キャパシタC210の2つの電極の他方は、ノードN22に接続される。
【0106】
キャパシタC220は、ノードN22及びN23の間に接続される。具体的には、キャパシタC220の2つの電極の一方は、ノードN22に接続される。一方、キャパシタC220の2つの電極の他方は、ノードN23に接続される。
【0107】
キャパシタC230は、ノードN23及びグランドの間に接続される。具体的には、キャパシタC230の2つの電極の一方は、ノードN23に接続される。一方、キャパシタC230の2つの電極の他方は、グランドに接続される。
【0108】
スイッチS211は、キャパシタC211及びノードN22の間に接続される。具体的には、スイッチS211の一端は、キャパシタC211の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS211の他端は、ノードN22に接続される。
【0109】
スイッチS212は、キャパシタC211及びノードN21の間に接続される。具体的には、スイッチS212の一端は、キャパシタC211の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS212の他端は、ノードN21に接続される。
【0110】
スイッチS221は、キャパシタC211及びC213とノードN23との間に接続される。具体的には、スイッチS221の一端は、キャパシタC211の2つの電極の他方及びキャパシタC213の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS221の他端は、ノードN23に接続される。
【0111】
スイッチS222は、キャパシタC211及びC213とノードN22との間に接続される。具体的には、スイッチS222の一端は、キャパシタC211の2つの電極の他方及びキャパシタC213の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS222の他端は、ノードN22に接続される。
【0112】
スイッチS231は、キャパシタC213及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS231の一端は、キャパシタC213の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS231の他端は、グランドに接続される。
【0113】
スイッチS232は、キャパシタC213及びノードN23の間に接続される。具体的には、スイッチS232の一端は、キャパシタC213の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS232の他端は、ノードN23に接続される。
【0114】
スイッチS213は、キャパシタC212及びノードN22の間に接続される。具体的には、スイッチS213の一端は、キャパシタC212の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS213の他端は、ノードN22に接続される。つまり、スイッチS213の他端は、スイッチS211の他端及びスイッチS222の他端に接続される。
【0115】
スイッチS214は、キャパシタC212及びノードN21の間に接続される。具体的には、スイッチS214の一端は、キャパシタC212の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS214の他端は、ノードN21に接続される。つまり、スイッチS214の他端は、スイッチS212の他端に接続される。
【0116】
スイッチS223は、キャパシタC212及びC214とノードN23との間に接続される。具体的には、スイッチS223の一端は、キャパシタC212の2つの電極の他方及びキャパシタC214の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS223の他端は、ノードN23に接続される。つまり、スイッチS223の他端は、スイッチS221の他端に接続される。
【0117】
スイッチS224は、キャパシタC212及びC214とノードN22との間に接続される。具体的には、スイッチS224の一端は、キャパシタC212の2つの電極の他方及びキャパシタC214の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS224の他端は、ノードN22に接続される。つまり、スイッチS224の他端は、スイッチS211の他端、スイッチS222の他端及びスイッチS213の他端に接続される。
【0118】
スイッチS233は、キャパシタC214及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS233の一端は、キャパシタC214の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS233の他端は、グランドに接続される。つまり、スイッチS233の他端は、スイッチS231の他端に接続される。
【0119】
スイッチS234は、キャパシタC214及びノードN23の間に接続される。具体的には、スイッチS234の一端は、キャパシタC214の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS234の他端は、ノードN23に接続される。つまり、スイッチS234の他端は、スイッチS221の他端、スイッチS232の他端及びスイッチS223の他端に接続される。
【0120】
スイッチS212、S213、S222、S223、S232及びS233を含む第1セットのスイッチと、スイッチS211、S214、S221、S224、S231及びS234を含む第2セットのスイッチとは、デジタル制御回路60からの制御信号に基づいて相補的に開閉が切り替えられる。具体的には、第1フェーズでは、第1セットのスイッチが閉じられ、第2セットのスイッチが開かれる。逆に、第2フェーズでは、第1セットのスイッチが開かれ、第2セットのスイッチが閉じられる。
【0121】
例えば、第1フェーズ及び第2フェーズの一方において、キャパシタC211からキャパシタC210及びC220への充電が実行され、第1フェーズ及び第2フェーズの他方において、キャパシタC212からキャパシタC210及びC220への充電が実行される。つまり、キャパシタC210及びC220には、キャパシタC211又はC212から常に充電されるので、ノードN21~N23から電源変調回路30へ高速で電流が流れても、ノードN21~N23には高速で電荷が補充され、ノードN21~N23の電位変動を抑制できる。
【0122】
このように動作することで、スイッチトキャパシタ回路22は、キャパシタC210、C220及びC230のそれぞれの両端でほぼ等しい電圧を維持することができる。具体的には、V21~V23のラベルが付された3つのノードにおいて、(V21-V22):(V22-V23):(V23-VG)=1:1:1を満たすV21~V23(グランド電位に対する電圧)が維持される。
【0123】
なお、(V21-V22):(V22-V23):(V23-VG)は、1:1:1に限定されず、任意の比(例えば、3:2:1、4:2:1、1:2:31:2:4等)に設計され得る。
【0124】
[1.3.3 電源変調回路30の回路構成]
次に、電源変調回路30の回路構成について
図4を参照しながら説明する。電源変調回路30は、入力端子301~305と、スイッチS51~S55と、出力端子307と、を備える。
【0125】
入力端子301~305は、複数の第3入力端子の一例であり、スイッチトキャパシタ回路21で生成された複数の離散的電圧(V11及びV12)とスイッチトキャパシタ回路22で生成された複数の離散的電圧(V21~V23)とを受けるための端子である。入力端子301及び302は、電源変調回路30外でスイッチトキャパシタ回路21の出力端子213及び214にそれぞれ接続され、電源変調回路30内でスイッチS51及びS52にそれぞれ接続される。入力端子303~305は、電源変調回路30外でスイッチトキャパシタ回路22の出力端子223~225にそれぞれ接続され、電源変調回路30内でスイッチS53~S55にそれぞれ接続される。
【0126】
出力端子307は、第3出力端子の一例であり、電力増幅器2に、複数の離散的電圧のうちの少なくとも1つを選択的に供給するための端子である。出力端子307は、電源変調回路30外で電力増幅器2に接続され、電源変調回路30内でスイッチS51~S55に接続される。
【0127】
スイッチS51は、入力端子301と出力端子307との間に接続される。この接続構成において、スイッチS51は、デジタル制御回路60からの制御信号によって開閉が切り替えられることで、入力端子301と出力端子307との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0128】
スイッチS52は、入力端子302と出力端子307との間に接続される。この接続構成において、スイッチS52は、デジタル制御回路60からの制御信号によって開閉が切り替えられることで、入力端子302と出力端子307との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0129】
スイッチS53は、入力端子303と出力端子307との間に接続される。この接続構成において、スイッチS53は、デジタル制御回路60からの制御信号によって開閉が切り替えられることで、入力端子303と出力端子307との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0130】
スイッチS54は、入力端子304と出力端子307との間に接続される。この接続構成において、スイッチS54は、デジタル制御回路60からの制御信号によって開閉が切り替えられることで、入力端子304と出力端子307との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0131】
スイッチS55は、入力端子305と出力端子307との間に接続される。この接続構成において、スイッチS55は、デジタル制御回路60からの制御信号によって開閉が切り替えられることで、入力端子305と出力端子307との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0132】
本実施の形態では、これらのスイッチS51~S55は排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS51~S55のいずれかのみが閉じられ、スイッチS51~S55の残りのすべてが開かれるように制御される。これにより、電源変調回路30は、複数の離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V23)の中から選択された1つの電圧を電力増幅器2に供給することができる。
【0133】
なお、
図4に示した電源変調回路30の構成は、一例であり、これに限定されない。特に、スイッチS51~S55は、3つの入力端子301~305の少なくとも1つを選択的に出力端子307に接続できればよく、どのような構成であってもよく、どのように制御されてもよい。例えば、スイッチS51~S55のうちの2つが閉じられ、スイッチS51~S55のうちの残りの3つが開かれてもよい。また、入力端子301及び303の一方は省略されてもよい。その場合、スイッチS51及びS53の一方も省略されてもよい。
【0134】
[1.3.4 デジタル制御回路60の回路構成]
次に、デジタル制御回路60の回路構成について
図5を参照しながら説明する。デジタル制御回路60は、第1コントローラ61と、第2コントローラ62と、制御端子601~605と、を備える。
【0135】
第1コントローラ61は、RFIC5から制御端子601及び602を介して供給されたシリアルデータ信号を処理して、スイッチトキャパシタ回路21及び22を制御するための制御信号を生成することができる。シリアルデータ信号としては、例えばソース同期方式のデジタル制御信号が用いられる。スイッチトキャパシタ回路21に含まれるスイッチS111~S114及びS121~S124並びにスイッチトキャパシタ回路22に含まれるスイッチS211~S214、S221~S224及びS231~S234の開閉は、第1コントローラ61からの制御信号によって制御される。
【0136】
なお、シリアルデータ信号として、クロック埋め込み方式のデジタル制御信号が用いられてもよい。また、第1コントローラ61は、電源変調回路30を制御するための制御信号を生成してもよい。
【0137】
また、本実施の形態では、スイッチトキャパシタ回路21及び22で1セットのクロック信号及びデータ信号が共用されているが、これに限定されない。例えば、スイッチトキャパシタ回路21及び22で個別に1セットのクロック信号及びデータ信号が用いられてもよい。
【0138】
第2コントローラ62は、RFIC5から制御端子603~605を介して供給されたパラレルデータ信号を処理して、電源変調回路30を制御するための制御信号を生成する。パラレルデータ信号としては、例えばデジタル制御論理(DCL:Digital Control Logic/Line)信号(DCL1~DCL3)が用いられる。DCL信号(DCL1~DCL3)は、RFIC5によって、高周波信号のエンベロープ信号に基づいて生成される。電源変調回路30に含まれるスイッチS51~S55の開閉は、第2コントローラ62からの制御信号によって制御される。
【0139】
DCL信号(DCL1~DCL3)の各々は、1ビット信号である。V11、V12、V21、V22及びV23の各々は、2つの1ビット信号の組み合わせによって表される。例えば、V11、V12、V21、V22及びV23は、「000」、「001」、「010」、「011」及び「100」によってそれぞれ表される。電圧レベルの表現には、グレイコード(gray code)が用いられてもよい。
【0140】
なお、本実施の形態では、電源変調回路30の制御に3つのDCL信号が用いられているが、DCL信号の数は、これに限定されない。例えば、電源変調回路30の各々が選択可能な電圧レベルの数に応じて1つ又は3以上の任意の数のDCL信号が用いられてもよい。また、電源変調回路30の制御に用いられるパラレルデータ信号は、DCL信号に限定されない。
【0141】
[1.4 電圧供給方法]
次に、本実施の形態に係る電圧供給方法について
図6を参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【0142】
まず、スイッチトキャパシタ回路21を用いて、第1調整電圧(V11)から複数の第1離散的電圧(V11及びV12)が生成される(S10)。続いて、スイッチトキャパシタ回路22を用いて、第1調整電圧(V21)から複数の第2離散的電圧(V21~V23)が生成される(S20)。
【0143】
このとき、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(V21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含む。また、複数の第2離散的電圧(V21~V23)は、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及び/又はV23)を含む。つまり、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧の部分集合ではなく、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧の部分集合ではない。
【0144】
最後に、電源変調回路30を用いて、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(V21~V23)のうちの少なくとも1つが選択的に電力増幅器2に供給される(S30)。つまり、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(V21~V23)の中から少なくとも1つの電圧が選択され、選択された少なくとも1つの電圧が電力増幅器2に供給される。このような電圧の選択がエンベロープ信号に基づいて行われることで、D-ETモードが電力増幅器2に適用される。
【0145】
[1.5 複数の離散的電圧]
このような本実施の形態に係るトラッカ回路1によって供給可能な複数の離散的電圧について
図7を参照しながら説明する。
図7は、本実施の形態及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【0146】
比較例では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路を用いて6つの離散的電圧が生成される。この場合、6つの離散的電圧(V01~V06)は、レベルL6及びグランドレベルの間で均一なレベル間隔で配置され、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーにおいて電力付加効率の向上に適した電圧の範囲L2~L4(以下、高頻度範囲という)に、6つの離散的電圧(V01~V06)のうち3つの電圧(V03~V05)のみが含まれる。
【0147】
これに対して、本実施の形態では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路21を用いて2つの第1離散的電圧(V11及びV12)が生成され、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路22を用いて3つの第2離散的電圧(V21~V23)が生成される。この場合、5つの離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V23)は、レベルL6及びグランドレベルの間で不均一なレベル間隔で配置され、5つの離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V23)のうち3つの電圧(V12、V22及びV23)が
図7の高頻度範囲に含まれる。
【0148】
なお、高頻度範囲に含まれる離散的電圧が多ければ、発生頻度が高いパワーに対してより適した電圧を供給することができるため、電力増幅器2の電力付加効率の向上に効果的である。また、最大パワーのための電圧(
図7ではレベルL6)も線形性の低下を抑えるために不可欠である。一方、高頻度範囲よりも低い電圧は、電力増幅器2の電力付加効率の向上に対してあまり効果的ではなく、むしろトラッカ回路1の電力効率の低下につながる。
【0149】
本実施の形態では、比較例よりも複数の離散的電圧の総数を削減しても、高頻度範囲に含まれる電圧の数の減少を抑えることができ、トラッカ回路1の電力効率を向上させることができる。また、本実施の形態では、比較例よりも、複数の離散的電圧の総数を削減することができ、トラッカ回路1の電力効率の改善及びトラッカ回路1の小型化に貢献することができる。
【0150】
つまり、本実施の形態では、複数の離散的電圧の総数に対する高頻度範囲に含まれる電圧の数を相対的に増加させることができ、トラッカ回路1の大型化を抑制しつつシステム全体の電力効率の向上を図ることができる。
【0151】
なお、本実施の形態では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路21で調整電圧(V11)から2つの第1離散的電圧(V11及びV12)が生成され、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路22で調整電圧(V11)と同じレベルの調整電圧(V21)から3つの第2離散的電圧(V21~V23)が生成されていたが、複数の第1離散的電圧の数(以下、第1の数という)及び複数の第2離散的電圧の数(以下、第2の数という)の組み合わせは、2つ及び3つの組み合わせに限定されない。第1の数及び第2の数の組み合わせは、以下の所定条件が満たされれば、どのような組み合わせであってもよい。
(i)第1の数が第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)第2の数が第1の数の約数ではない。
【0152】
2つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路で同一レベルの調整電圧から複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧が生成される場合に、上記所定条件が満たされれば、複数の第1離散的電圧が複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含むことができ、かつ、複数の第2離散的電圧が複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含むことができる。
【0153】
[1.6 効果など]
以上のように、本実施の形態に係るトラッカ回路1は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路21と、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路22と、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力するよう構成された電源変調回路30と、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【0154】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1は、入力端子211と複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)をそれぞれ出力する複数の出力端子213及び214とを含むスイッチトキャパシタ回路21と、入力端子221と複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)をそれぞれ出力する複数の出力端子223~225とを含むスイッチトキャパシタ回路22と、複数の出力端子213、214及び223~225にそれぞれ接続される複数の入力端子301~305と電力増幅器2に接続される出力端子307とを含む電源変調回路30と、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【0155】
これらによれば、スイッチトキャパシタ回路21が複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22が複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V23)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1の電力効率の低下を抑制することができる。
【0156】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1において、スイッチトキャパシタ回路21は、第1調整電圧(例えばV11)から複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成するよう構成されてもよく、スイッチトキャパシタ回路22は、第1調整電圧(例えばV21=V11)から複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成するよう構成されてもよく、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)の数である第1の数(例えば2)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の数である第2の数(例えば3)の組み合わせは所定条件を満たし、所定条件は、(i)第1の数(例えば2)は第2の数(例えば3)の約数ではなく、かつ、(ii)第2の数(例えば3)は第1の数(例えば2)の約数ではないことであってもよい。
【0157】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1において、入力端子211及び221は、第1調整電圧(例えばV11=V21)を受けてもよく、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)の数である第1の数(例えば2)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の数である第2の数(例えば3)の組み合わせは所定条件を満たし、所定条件は、(i)第1の数(例えば2)は第2の数(例えば3)の約数ではなく、かつ、(ii)第2の数(例えば3)は第1の数(例えば2)の約数ではないことであってもよい。
【0158】
これらによれば、2つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路21及び22で同じレベルの調整電圧(例えばV11=V21)から複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V23)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、トラッカ回路1の電力効率の低下を抑制しつつ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、スイッチトキャパシタ回路21及び22に単一レベルの調整電圧が供給されればよいので、プリレギュレータ回路10の構成を簡単化することができる。
【0159】
また、本実施の形態に係る通信装置7は、トラッカ回路1と、高周波信号を処理するよう構成されたRFIC5と、電力増幅器2を含み、RFIC5及びアンテナ6の間で高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路4と、を備える。
【0160】
これによれば、通信装置7においてトラッカ回路1と同様の効果を実現することができ、消費電力の削減に効果的である。
【0161】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法は、スイッチトキャパシタ回路21を用いて複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し(S10)、スイッチトキャパシタ回路22を用いて複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成し(S20)、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力し(S30)、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【0162】
これによれば、スイッチトキャパシタ回路21で複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22で複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V23)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1の電力効率の低下を抑制することができる。
【0163】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法において、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、同じレベルの調整電圧(例えばV11=V21)から生成されてもよく、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)の数である第1の数(例えば2)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の数である第2の数(例えば3)の組み合わせは所定条件を満たし、所定条件は、(i)第1の数(例えば2)は第2の数(例えば3)の約数ではなく、かつ、(ii)第2の数(例えば3)は第1の数(例えば2)の約数ではないことであってもよい。
【0164】
これによれば、2つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路21及び22で同じレベルの調整電圧(例えばV11=V21)から複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V23)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、トラッカ回路1の電力効率の低下を抑制しつつ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、スイッチトキャパシタ回路21及び22に単一レベルの調整電圧が供給されればよいので、プリレギュレータ回路10の構成を簡単化することができる。
【0165】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態では、2つのスイッチトキャパシタ回路で異なるレベルの調整電圧が用いられる点が実施の形態1と主として異なる。以下に、本実施の形態について実施の形態1と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0166】
なお、本実施の形態に係る通信装置7は、プリレギュレータ回路10及びトラッカ回路1の代わりにプリレギュレータ回路10A及びトラッカ回路1Aを備える点を除いて、実施の形態1に係る通信装置7と同様である。したがって、以下では、プリレギュレータ回路10A及びトラッカ回路1Aについて説明し、他の回路の図示及び説明を適宜省略する。
【0167】
[2.1 プリレギュレータ回路10Aの回路構成]
プリレギュレータ回路10Aの回路構成について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係るプリレギュレータ回路10Aの回路構成図である。
【0168】
なお、
図8は、例示的な回路構成であり、プリレギュレータ回路10Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるプリレギュレータ回路10Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0169】
プリレギュレータ回路10Aは、コンバータ回路の一例であり、入力端子101と、出力端子102及び103と、スイッチS71~S75と、パワーインダクタL71と、キャパシタC71及びC72と、を備える。
【0170】
入力端子101は、第4入力端子の一例であり、直流電源50から直流電圧を受けるための端子である。入力端子101は、プリレギュレータ回路10A外で直流電源50に接続され、プリレギュレータ回路10A内でスイッチS71に接続される。
【0171】
出力端子102は、第4出力端子の一例であり、スイッチトキャパシタ回路21に調整電圧(V11)を供給するための端子である。出力端子102は、プリレギュレータ回路10A外でスイッチトキャパシタ回路21の入力端子211に接続され、プリレギュレータ回路10A内でスイッチS73に接続される。
【0172】
出力端子103は、第4出力端子の一例であり、スイッチトキャパシタ回路22Aに調整電圧(V21)を供給するための端子である。出力端子103は、プリレギュレータ回路10A外でスイッチトキャパシタ回路22Aの入力端子221に接続され、プリレギュレータ回路10A内でスイッチS75に接続される。
【0173】
スイッチS75は、パワーインダクタL71の他端と出力端子103との間に接続される。この接続構成において、スイッチS75は、開閉を切り替えることで、パワーインダクタL71の他端と出力端子103との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0174】
キャパシタC72は、スイッチS75及び出力端子103の間の経路とグランドとの間に接続される。具体的には、キャパシタC72の2つの電極の一方は、スイッチS75及び出力端子103に接続され、キャパシタC72の2つの電極の他方は、グランドに接続される。
【0175】
なお、
図8に示したプリレギュレータ回路10Aの構成は、一例であり、これに限定されない。例えば、スイッチS71~S75の一部は、ダイオードに置き換えられてもよい。また、プリレギュレータ回路10Aの一部又は全部は、トラッカ回路1Aに含まれてもよい。また、プリレギュレータ回路10Aは、2つのプリレギュレータ回路10に置き換えられてもよい。
【0176】
[2.2 トラッカ回路1Aの回路構成]
次に、トラッカ回路1Aの回路構成について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aの部分回路構成図である。
【0177】
なお、
図9は、例示的な回路構成であり、トラッカ回路1Aは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるトラッカ回路1Aの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0178】
トラッカ回路1Aは、スイッチトキャパシタ回路22及び電源変調回路30の代わりにスイッチトキャパシタ回路22A及び電源変調回路30Aを備える点を除いて、実施の形態1に係るトラッカ回路1と同様である。したがって、スイッチトキャパシタ回路22A及び電源変調回路30Aの回路構成について以下に説明する。
【0179】
[2.2.1 スイッチトキャパシタ回路22Aの回路構成]
スイッチトキャパシタ回路22Aは、第2スイッチトキャパシタ回路の一例であり、ラダー型の回路構成を有する。具体的には、スイッチトキャパシタ回路22Aは、キャパシタC210~C216、C220、C230及びC240と、スイッチS211~S214、S221~S224、S231~S234及びS241~S244と、入力端子221と、出力端子223~226と、を備える。エネルギー及び電荷は、プリレギュレータ回路10Aから入力端子221を介してノードN21に入力され、ノードN21~N24から出力端子223~226を介して電源変調回路30Aに引き出される。
【0180】
調整電圧(V21)は、第1調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから供給される。本実施の形態では、調整電圧(V21)は、調整電圧(V11)と異なるレベルを有する。
【0181】
出力端子226は、第2出力端子の一例であり、電源変調回路30Aに出力電圧(V24)を供給するための端子である。出力端子226は、スイッチトキャパシタ回路22A外で電源変調回路30Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22A内でノードN24に接続される。
【0182】
出力電圧(V24)は、複数の第2離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V21)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V24)は、出力電圧(V23)よりも低い。
【0183】
キャパシタC215及びC216は、フライングキャパシタであり、スイッチトキャパシタ回路21から供給された調整電圧(V21)を昇圧及び/又は降圧するために用いられる。より具体的には、キャパシタC215及びC216は、2つのノードN23及びN24において(V23-V24):(V24-VG)=1:1及びV23>V24を満たすV23及びV24が維持されるように、キャパシタC215及びC216とノードN23及びN24並びにグランドとの間で電荷を移動させる。
【0184】
キャパシタC215の2つの電極の一方は、スイッチS231の一端及びスイッチS232の一端に接続される。キャパシタC215の2つの電極の他方は、スイッチS241の一端及びスイッチS242の一端に接続される。
【0185】
キャパシタC216の2つの電極の一方は、スイッチS233の一端及びスイッチS234の一端に接続される。キャパシタC216の2つの電極の他方は、スイッチS243の一端及びスイッチS244の一端に接続される。
【0186】
キャパシタC240は、平滑キャパシタであり、ノードN24における出力電圧(V24)の保持及び平滑化に用いられる。キャパシタC240は、ノードN24及びグランドの間に接続される。具体的には、キャパシタC240の2つの電極の一方は、ノードN24に接続される。一方、キャパシタC240の2つの電極の他方は、グランドに接続される。
【0187】
スイッチS241は、キャパシタC215及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS241の一端は、キャパシタC215の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS241の他端は、グランドに接続される。
【0188】
スイッチS242は、キャパシタC215及びノードN24の間に接続される。具体的には、スイッチS242の一端は、キャパシタC215の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS242の他端は、ノードN24に接続される。
【0189】
スイッチS243は、キャパシタC216及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS243の一端は、キャパシタC216の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS243の他端は、グランドに接続される。
【0190】
スイッチS244は、キャパシタC216及びノードN24の間に接続される。具体的には、スイッチS244の一端は、キャパシタC216の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS244の他端は、ノードN24に接続される。
【0191】
スイッチS212、S213、S222、S223、S232、S233、S242及びS243を含む第1セットのスイッチと、スイッチS211、S214、S221、S224、S231、S234、S241及びS244を含む第2セットのスイッチとは、デジタル制御回路60からの制御信号に基づいて相補的に開閉が切り替えられる。具体的には、第1フェーズでは、第1セットのスイッチが閉じられ、第2セットのスイッチが開かれる。逆に、第2フェーズでは、第1セットのスイッチが開かれ、第2セットのスイッチが閉じられる。
【0192】
このように動作することで、スイッチトキャパシタ回路22Aは、キャパシタC210~C240のそれぞれの両端でほぼ等しい電圧を維持することができる。具体的には、V21~V24のラベルが付された4つのノードにおいて、(V21-V22):(V22-V23):(V23-V24):(V24-VG)=1:1:1:1を満たすV21~V24(グランド電位に対する電圧)が維持される。
【0193】
なお、(V21-V22):(V22-V23):(V23-V24):(V24-VG)は、1:1:1:1に限定されず、任意の比(例えば、1:2:4:8、8:4:2:1等)に設計され得る。
【0194】
[2.2.2 電源変調回路30Aの回路構成]
次に、電源変調回路30Aの回路構成について
図9を参照しながら説明する。電源変調回路30Aは、入力端子301~306と、スイッチS51~S56と、出力端子307と、を備える。
【0195】
入力端子306は、第3入力端子の一例であり、スイッチトキャパシタ回路22Aで生成された出力電圧(V24)を受けるための端子である。入力端子306は、電源変調回路30A外でスイッチトキャパシタ回路22Aの出力端子226に接続され、電源変調回路30A内でスイッチS56に接続される。
【0196】
スイッチS56は、入力端子306と出力端子307との間に接続される。この接続構成において、スイッチS56は、デジタル制御回路60からの制御信号によって開閉が切り替えられることで、入力端子306と出力端子307との間の接続及び非接続を切り替えることができる。
【0197】
本実施の形態では、スイッチS51~S56は排他的にオンになるように制御される。つまり、スイッチS51~S56のいずれかのみが閉じられ、スイッチS51~S56の残りのすべてが開かれるように制御される。これにより、電源変調回路30Aは、複数の離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V24)の中から選択された1つの電圧を電力増幅器2に供給することができる。
【0198】
なお、
図9に示した電源変調回路30Aの構成は、一例であり、これに限定されない。特に、スイッチS51~S56は、6つの入力端子301~306の少なくとも1つを選択的に出力端子307に接続できればよく、どのような構成であってもよく、どのように制御されてもよい。例えば、スイッチS51~S56のうちの2つが閉じられ、スイッチS51~S56のうちの残りの4つが開かれてもよい。
【0199】
[2.3 電圧供給方法]
次に、本実施の形態に係る電圧供給方法について
図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施の形態に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【0200】
まず、スイッチトキャパシタ回路21を用いて、第1調整電圧(V11)から複数の第1離散的電圧(V11及びV12)が生成される(S10)。続いて、スイッチトキャパシタ回路22Aを用いて、第2調整電圧(V21)から複数の第2離散的電圧(V21~V24)が生成される(S20A)。
【0201】
このとき、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(V21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV11及び/又はV12)を含む。また、複数の第2離散的電圧(V21~V24)は、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV21~V24又はこれらの任意の組み合わせ)を含む。つまり、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧の部分集合ではなく、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧の部分集合ではない。
【0202】
最後に、電源変調回路30Aを用いて、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(V21~V24)のうちの少なくとも1つが選択的に電力増幅器2に供給される(S30A)。つまり、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(V21~V24)の中から少なくとも1つの電圧が選択され、選択された少なくとも1つの電圧が電力増幅器2に供給される。このような電圧の選択がエンベロープ信号に基づいて行われることで、D-ETモードが電力増幅器2に適用される。
【0203】
[2.4 複数の離散的電圧]
このような本実施の形態に係るトラッカ回路1Aによって供給可能な複数の離散的電圧について
図11を参照しながら説明する。
図11は、本実施の形態及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【0204】
比較例では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路を用いて6つの離散的電圧が生成される。この場合、6つの離散的電圧(V01~V06)は、レベルL6及びグランドレベルの間で均一なレベル間隔で配置され、高頻度範囲(L2~L4)に、6つの離散的電圧(V01~V06)のうち3つの電圧(V03~V05)のみが含まれる。
【0205】
これに対して、本実施の形態では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路21を用いて第1調整電圧(V11)から2つの第1離散的電圧(V11及びV12)が生成され、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路22Aを用いて第2調整電圧(V21)から4つの第2離散的電圧(V21~V24)が生成される。この場合、6つの離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V24)は、レベルL6及びグランドレベルの間で不均一なレベル間隔で配置され、6つの離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V24)のうち4つの電圧(V12、及び、V21~V23)が
図11の高頻度範囲に含まれる。
【0206】
本実施の形態では、比較例よりも、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高頻度範囲に含まれる電圧の数の増加させることができ、電力増幅器2の電力付加効率を向上させることができる。逆に、比較例のように1つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路で高頻度範囲に含まれる電圧の数を増やそうとすれば、複数の離散的電圧の総数が増加する。したがって、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aは、電力効率の改善及び小型化に貢献することもできる。
【0207】
つまり、本実施の形態では、複数の離散的電圧の総数に対する高頻度範囲に含まれる電圧の数を相対的に増加させることができ、トラッカ回路1Aの大型化を抑制しつつシステム全体の電力効率の向上を図ることができる。
【0208】
[2.5 効果など]
以上のように、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aは、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路21と、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路22Aと、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力するよう構成された電源変調回路30Aと、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV11及びV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV21~V24)を含む。
【0209】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aは、入力端子211と複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)をそれぞれ出力する複数の出力端子213及び214とを含むスイッチトキャパシタ回路21と、入力端子221と複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)をそれぞれ出力する複数の出力端子223~226とを含むスイッチトキャパシタ回路22Aと、複数の出力端子213、214及び223~226にそれぞれ接続される複数の入力端子301~306と電力増幅器2に接続される出力端子307とを含む電源変調回路30Aと、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV11及びV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV21~V24)を含む。
【0210】
これらによれば、スイッチトキャパシタ回路21が複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22Aが複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V24)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1Aの電力効率の低下を抑制することができる。
【0211】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aにおいて、スイッチトキャパシタ回路21は、第1調整電圧(例えばV11)から複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成するよう構成されてもよく、スイッチトキャパシタ回路22Aは、第1調整電圧(例えばV11)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV21)から複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成するよう構成されてもよい。
【0212】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aにおいて、入力端子211は、第1調整電圧(例えばV11)を受けてもよく、入力端子221は、第1調整電圧(例えばV11)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV21)を受けてもよい。
【0213】
これらによれば、2つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路21及び22Aで互いに異なるレベルの調整電圧(例えばV11≠V21)から複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V24)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、トラッカ回路1Aの電力効率の低下を抑制しつつ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。特に、スイッチトキャパシタ回路21及び22Aで互いに異なるレベルの調整電圧を用いることができるので、スイッチトキャパシタ回路21及び22Aで生成可能な複数の離散的電圧の組み合わせの数を増加させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0214】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Aは、さらに、入力電圧を第1調整電圧(例えばV11)及び第2調整電圧(例えばV21)に変換するプリレギュレータ回路10Aを備えてもよい。
【0215】
これによれば、プリレギュレータ回路10Aで互いに異なるレベルの2つの調整電圧を生成することができる。
【0216】
また、本実施の形態に係る通信装置7は、トラッカ回路1Aと、高周波信号を処理するよう構成されたRFIC5と、電力増幅器2を含み、RFIC5及びアンテナ6の間で高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路4と、を備える。
【0217】
これによれば、通信装置7においてトラッカ回路1Aと同様の効果を実現することができ、消費電力の削減に効果的である。
【0218】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法は、スイッチトキャパシタ回路21を用いて複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し(S10)、スイッチトキャパシタ回路22Aを用いて複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成し(S20A)、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力し(S30A)、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV11及びV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV21~V24)を含む。
【0219】
これによれば、スイッチトキャパシタ回路21で複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22Aで複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V24)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1Aの電力効率の低下を抑制することができる。
【0220】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法において、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、互いに異なるレベルの調整電圧(例えばV11≠V21)からそれぞれ生成されてもよい。
【0221】
これによれば、互いに異なるレベルの調整電圧(例えばV11≠V21)から複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V24)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、トラッカ回路1Aの電力効率の低下を抑制しつつ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。特に、スイッチトキャパシタ回路21及び22Aで互いに異なるレベルの調整電圧を用いることができるので、スイッチトキャパシタ回路21及び22Aで生成可能な複数の離散的電圧の組み合わせの数を増加させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0222】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態では、2つのスイッチトキャパシタ回路の1つに差動型のスイッチトキャパシタ回路が用いられる点が実施の形態1及び2と主として異なる。以下に、本実施の形態について実施の形態1及び2と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0223】
なお、本実施の形態に係る通信装置7は、トラッカ回路1Aの代わりにトラッカ回路1Bを備える点を除いて、実施の形態2に係る通信装置7と同様である。したがって、以下ではトラッカ回路1Bについて説明し、他の回路については図示及び説明を適宜省略する。
【0224】
[3.1 トラッカ回路1Bの回路構成]
トラッカ回路1Bの回路構成について
図12を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bの部分回路構成図である。
【0225】
なお、
図12は、例示的な回路構成であり、トラッカ回路1Bは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるトラッカ回路1Bの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0226】
トラッカ回路1Bは、スイッチトキャパシタ回路21及び22Aの代わりにスイッチトキャパシタ回路21B及び22Bを備える点を除いて、実施の形態2に係るトラッカ回路1Aと同様である。したがって、スイッチトキャパシタ回路21B及び22Bの回路構成について以下に説明する。
【0227】
[3.1.1 スイッチトキャパシタ回路21Bの回路構成]
まず、スイッチトキャパシタ回路21Bの回路構成について
図12を参照しながら説明する。スイッチトキャパシタ回路21Bは、ラダー型の回路構成を有する。具体的には、スイッチトキャパシタ回路21Bは、キャパシタC110~C114、C120及びC130と、スイッチS111~S114、S121~S124及びS131~S134と、入力端子211と、出力端子213~215と、を備える。エネルギー及び電荷は、プリレギュレータ回路10Aから入力端子211を介してノードN11に入力され、ノードN11~N13から出力端子213~215を介して電源変調回路30Aに引き出される。
【0228】
出力端子215は、第1出力端子の一例であり、電源変調回路30Aに出力電圧(V13)を供給するための端子である。出力端子215は、スイッチトキャパシタ回路21B外で電源変調回路30Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路21B内でノードN13に接続される。
【0229】
出力電圧(V13)は、複数の第1離散的電圧に含まれる電圧の一例であり、調整電圧(V11)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V13)は、出力電圧(V12)よりも低い。
【0230】
キャパシタC111~C114は、フライングキャパシタであり、プリレギュレータ回路10Aから供給された調整電圧(V11)を昇圧及び/又は降圧するために用いられる。より具体的には、キャパシタC111~C114は、3つのノードN11~N13において(V11-V12):(V12-V13):(V13-VG)=1:1:1及びV11>V12>V13>VGを満たすV11~V13が維持されるように、キャパシタC111~C114とノードN11~N13及びグランドとの間で電荷を移動させる。
【0231】
キャパシタC113の2つの電極の一方は、スイッチS121の一端及びスイッチS122の一端に接続される。キャパシタC113の2つの電極の他方は、スイッチS131の一端及びスイッチS132の一端に接続される。
【0232】
キャパシタC114の2つの電極の一方は、スイッチS123の一端及びスイッチS124の一端に接続される。キャパシタC114の2つの電極の他方は、スイッチS133の一端及びスイッチS134の一端に接続される。
【0233】
キャパシタC111~C114は、第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることで相補的に充電及び放電を行うことができる。
【0234】
具体的には、第1フェーズでは、スイッチS112、S113、S122、S123、S132及びS133が閉じられ、スイッチS111、S114、S121、S124、S131及びS134が開かれる。一方、第2フェーズでは、スイッチS112、S113、S122、S123、S132及びS133が開かれ、スイッチS111、S114、S121、S124、S131及びS134が閉じられる。
【0235】
このような第1フェーズ及び第2フェーズが繰り返されることにより、例えばキャパシタC111及びC112の一方がノードN11から充電されているときに、キャパシタC111及びC112の他方がキャパシタC120に放電することができる。つまり、キャパシタC111及びC112は、相補的に充電及び放電を行うことができる。同様に、キャパシタC113及びC114も、相補的に充電及び放電を行うことができる。
【0236】
キャパシタC110~C130は、平滑キャパシタであり、ノードN11~N13における出力電圧(V11~V13)の保持及び平滑化に用いられる。
【0237】
キャパシタC130はノードN13及びグランドの間に接続される。具体的には、キャパシタC130の2つの電極の一方は、ノードN13に接続される。一方、キャパシタC130の2つの電極の他方は、グランドに接続される。
【0238】
スイッチS121は、キャパシタC111及びC113とノードN13との間に接続される。具体的には、スイッチS121の一端は、キャパシタC111の2つの電極の他方及びキャパシタC113の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS121の他端は、ノードN13に接続される。
【0239】
スイッチS122は、キャパシタC111及びC113とノードN12との間に接続される。具体的には、スイッチS122の一端は、キャパシタC111の2つの電極の他方及びキャパシタC113の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS122の他端は、ノードN12に接続される。
【0240】
スイッチS131は、キャパシタC113及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS131の一端は、キャパシタC113の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS131の他端は、グランドに接続される。
【0241】
スイッチS132は、キャパシタC113及びノードN13の間に接続される。具体的には、スイッチS132の一端は、キャパシタC113の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS132の他端は、ノードN13に接続される。
【0242】
スイッチS123は、キャパシタC112及びC114とノードN13との間に接続される。具体的には、スイッチS123の一端は、キャパシタC112の2つの電極の他方及びキャパシタC114の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS123の他端は、ノードN13に接続される。
【0243】
スイッチS124は、キャパシタC112及びC114とノードN12との間に接続される。具体的には、スイッチS124の一端は、キャパシタC112の2つの電極の他方及びキャパシタC114の2つの電極の一方に接続される。一方、スイッチS124の他端は、ノードN12に接続される。
【0244】
スイッチS133は、キャパシタC114及びグランドの間に接続される。具体的には、スイッチS133の一端は、キャパシタC114の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS133の他端は、グランドに接続される。
【0245】
スイッチS134は、キャパシタC114及びノードN13の間に接続される。具体的には、スイッチS134の一端は、キャパシタC114の2つの電極の他方に接続される。一方、スイッチS134の他端は、ノードN13に接続される。
【0246】
スイッチS112、S113、S122、S123、S132及びS133を含む第1セットのスイッチと、スイッチS111、S114、S121、S124、S131及びS134を含む第2セットのスイッチとは、デジタル制御回路60からの制御信号に基づいて相補的に開閉が切り替えられる。具体的には、第1フェーズでは、第1セットのスイッチが閉じられ、第2セットのスイッチが開かれる。逆に、第2フェーズでは、第1セットのスイッチが開かれ、第2セットのスイッチが閉じられる。
【0247】
このように動作することで、スイッチトキャパシタ回路21Bは、キャパシタC110、C120及びC130のそれぞれの両端でほぼ等しい電圧を維持することができる。具体的には、V11~V13のラベルが付された3つのノードにおいて、(V11-V12):(V12-V13):(V13-VG)=1:1:1を満たすV11~V13が維持される。
【0248】
なお、(V11-V12):(V12-V13):(V13-VG)は、1:1:1に限定されず、任意の比に設計され得る。
【0249】
[3.1.2 スイッチトキャパシタ回路22Bの回路構成]
次に、スイッチトキャパシタ回路22Bの回路構成について
図12を参照しながら説明する。スイッチトキャパシタ回路22Bは、差動型の回路構成を有する。つまり、スイッチトキャパシタ回路22Bでは、グランドの代わりに入力端子222がノードN23に接続される。具体的には、スイッチトキャパシタ回路22Bは、キャパシタC210~C212及びC220と、スイッチS211~S214及びS221~S224と、入力端子221及び222と、出力端子223~225と、を備える。エネルギー及び電荷は、プリレギュレータ回路10Aから入力端子221及び222を介してノードN21及びN23に入力され、ノードN21~N23から出力端子223~225を介して電源変調回路30Aに引き出される。
【0250】
入力端子221は、第2入力端子の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから調整電圧(V21)を受けるための端子である。入力端子221は、スイッチトキャパシタ回路22B外でプリレギュレータ回路10Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22B内でノードN21に接続される。
【0251】
調整電圧(V21)は、第1調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから供給される。本実施の形態では、調整電圧(V21)は、調整電圧(V11)と同じレベルを有し、調整電圧(V23)と異なるレベルを有する。
【0252】
入力端子222は、第2入力端子の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから調整電圧(V23)を受けるための端子である。入力端子222は、スイッチトキャパシタ回路22B外でプリレギュレータ回路10Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22B内でノードN23に接続される。
【0253】
調整電圧(V23)は、第2調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから供給される。本実施の形態では、調整電圧(V23)は、調整電圧(V21)と異なるレベルを有する。
【0254】
出力端子223~225は、複数の第2出力端子の一例であり、電源変調回路30Aに出力電圧(V21~V23)を供給するための端子である。出力端子223~225は、スイッチトキャパシタ回路22B外で電源変調回路30Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22B内でノードN21~N23にそれぞれ接続される。なお、出力端子223は、入力端子221と統合されてもよく、出力端子225は、入力端子222と統合されてもよい。
【0255】
3つの出力電圧(V21~V23)は、複数の第2離散的電圧の一例であり、2つの調整電圧(V21及びV23)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V22)は、出力電圧(V21)よりも低く、出力電圧(V23)よりも高い。
【0256】
なお、キャパシタC210~C212及びC220、並びに、スイッチS211~S214及びS221~S224については、スイッチトキャパシタ回路22と同様であるので、その説明を省略する。
【0257】
[3.2 電圧供給方法]
次に、本実施の形態に係る電圧供給方法について
図13を参照しながら説明する。
図13は、本実施の形態に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【0258】
まず、スイッチトキャパシタ回路21Bを用いて、第1調整電圧(V11)から複数の第1離散的電圧(V11~V13)が生成される(S10B)。続いて、スイッチトキャパシタ回路22Bを用いて、第1調整電圧(V21)及び第2調整電圧(V23)から複数の第2離散的電圧(V21~V23)が生成される(S20B)。
【0259】
このとき、複数の第1離散的電圧(V11~V13)は、複数の第2離散的電圧(V21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12及び/又はV13)を含む。また、複数の第2離散的電圧(V21~V23)は、複数の第1離散的電圧(V11~V13)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及び/又はV23)を含む。つまり、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧の部分集合ではなく、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧の部分集合ではない。
【0260】
最後に、電源変調回路30Aを用いて、複数の第1離散的電圧(V11~V13)及び複数の第2離散的電圧(V21~V23)のうちの少なくとも1つが選択的に電力増幅器2に供給される(S30B)。つまり、複数の第1離散的電圧(V11~V13)及び複数の第2離散的電圧(V21~V23)の中から少なくとも1つの電圧が選択され、選択された少なくとも1つの電圧が電力増幅器2に供給される。このような電圧の選択がエンベロープ信号に基づいて行われることで、D-ETモードが電力増幅器2に適用される。
【0261】
[3.3 複数の離散的電圧]
このような本実施の形態に係るトラッカ回路1Bによって供給可能な複数の離散的電圧について
図14を参照しながら説明する。
図14は、本実施の形態及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【0262】
比較例では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路を用いて6つの離散的電圧が生成される。この場合、6つの離散的電圧(V01~V06)は、レベルL6及びグランドレベルの間で均一なレベル間隔で配置され、高頻度範囲(L2~L4.5)に、6つの離散的電圧(V01~V06)のうち3つの電圧(V03~V05)のみが含まれる。
【0263】
これに対して、本実施の形態では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路21Bを用いて第1調整電圧(V11)から3つの第1離散的電圧(V11~V13)が生成され、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Bを用いて第1調整電圧(V21)及び第2調整電圧(V23)から3つの第2離散的電圧(V21~V23)が生成される。特に、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Bでは、第1調整電圧(V21)としてピークパワーに対応する電圧以上の電圧が用いられ、第2調整電圧(V23)として平均パワーに対応する電圧以下の電圧が用いられる。なお、ピークパワーに対応する電圧とは、電力増幅器2で増幅される高周波信号のピーク出力パワーにおいて電力増幅器2の電力付加効率に対して最適化された電源電圧を意味する。また、平均パワーに対応する電圧とは、電力増幅器2で増幅される高周波信号の平均出力パワーにおいて電力増幅器2の電力付加効率に対して最適化された電源電圧を意味する。
【0264】
この場合、6つの離散的電圧(V11~V13及びV21~V23)は、レベルL6及びグランドレベルの間で不均一なレベル間隔で配置され、6つの離散的電圧(V11~V13及びV21~V23)のうち4つの電圧(V12、V13、V22及びV23)が
図14の高頻度範囲に含まれる。
【0265】
本実施の形態では、比較例よりも、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高頻度範囲に含まれる電圧の数の増加させることができ、電力増幅器2の電力付加効率を向上させることができる。逆に、比較例のように1つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路で高頻度範囲に含まれる電圧の数を増やそうとすれば、複数の離散的電圧の総数が増加する。したがって、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bは、電力効率の改善及び小型化に貢献することもできる。
【0266】
つまり、本実施の形態では、複数の離散的電圧の総数に対する高頻度範囲に含まれる電圧の数を相対的に増加させることができ、トラッカ回路1Bの大型化を抑制しつつシステム全体の電力効率の向上を図ることができる。
【0267】
[3.4 効果など]
以上のように、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bは、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路21Bと、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路22Bと、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力するよう構成された電源変調回路30Aと、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12及びV13)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【0268】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bは、入力端子211と複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)をそれぞれ出力する複数の出力端子213~215とを含むスイッチトキャパシタ回路21Bと、入力端子221と複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)をそれぞれ出力する複数の出力端子223~225とを含むスイッチトキャパシタ回路22Bと、複数の出力端子213~215及び223~225にそれぞれ接続される複数の入力端子301~306と電力増幅器2に接続される出力端子307とを含む電源変調回路30Aと、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12及びV13)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【0269】
これらによれば、スイッチトキャパシタ回路21Bが複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22Bが複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11~V13及びV21~V23)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1Bの電力効率の低下を抑制することができる。
【0270】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bにおいて、スイッチトキャパシタ回路21Bは、第1調整電圧(例えばV11)から複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)を生成するよう構成されてもよく、スイッチトキャパシタ回路22Bは、第1調整電圧(例えばV21=V11)、及び、第1調整電圧(V21)と異なるレベルの第2調整電圧(V23)から、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成するよう構成されてもよい。
【0271】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bにおいて、スイッチトキャパシタ回路22Bは、2つの入力端子221及び222を含んでもよく、入力端子211は、第1調整電圧(例えばV11)を受けてもよく、入力端子221は、第1調整電圧(例えばV21=V11)を受けてもよく、入力端子222は、第1調整電圧(例えばV21)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV23)を受けてもよい。
【0272】
これらによれば、スイッチトキャパシタ回路22Bで2つの異なるレベルの調整電圧を用いることで、複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0273】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bにおいて、スイッチトキャパシタ回路22Bは、第1調整電圧(例えばV21)及び第2調整電圧(例えばV23)の差分に基づいて複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成するよう構成されてもよい。
【0274】
これによれば、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Bを用いることで、複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0275】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bにおいて、第1調整電圧(例えばV11=V21)は、電力増幅器2で増幅される高周波信号のピークパワーに対応する電圧以上であってもよく、第2調整電圧(例えばV23)は、高周波信号の平均パワーに対応する電圧以下であってもよい。
【0276】
これによれば、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Bで複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に効果的に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率のさらなる改善を図ることができる。
【0277】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Bは、さらに、入力電圧を第1調整電圧(例えばV11=V21)及び第2調整電圧(例えばV23)に変換するプリレギュレータ回路10Aを備えてもよい。
【0278】
これによれば、プリレギュレータ回路10Aで互いに異なるレベルの2つの調整電圧を生成することができる。
【0279】
また、本実施の形態に係る通信装置7は、トラッカ回路1Bと、高周波信号を処理するよう構成されたRFIC5と、電力増幅器2を含み、RFIC5及びアンテナ6の間で高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路4と、を備える。
【0280】
これによれば、通信装置7においてトラッカ回路1Bと同様の効果を実現することができ、消費電力の削減に効果的である。
【0281】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法は、スイッチトキャパシタ回路21Bを用いて複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)を生成し(S10B)、スイッチトキャパシタ回路22Bを用いて複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成し(S20B)、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力し(S30B)、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12及びV13)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22及びV23)を含む。
【0282】
これによれば、スイッチトキャパシタ回路21Bで複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22Bで複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11~V13及びV21~V23)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1Bの電力効率の低下を抑制することができる。
【0283】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法において、複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)は、第1調整電圧(例えばV11)から生成されてもよく、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V23)は、第1調整電圧(例えばV21=V11)と、第1調整電圧(例えばV21)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV23)とから生成されてもよい。
【0284】
これによれば、2つの異なるレベルの調整電圧を用いることで、複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0285】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態では、2つのスイッチトキャパシタ回路の各々で生成される複数の離散的電圧の数が実施の形態3と主として異なる。以下に、本実施の形態について実施の形態1~3と異なる点を中心に図面を参照しながら説明する。
【0286】
なお、本実施の形態に係る通信装置7は、トラッカ回路1Bの代わりにトラッカ回路1Cを備える点を除いて、実施の形態3に係る通信装置7と同様である。したがって、以下ではトラッカ回路1Cについて説明し、他の回路については図示及び説明を適宜省略する。
【0287】
[4.1 トラッカ回路1Cの回路構成]
トラッカ回路1Cの回路構成について
図15を参照しながら説明する。
図15は、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cの部分回路構成図である。
【0288】
なお、
図15は、例示的な回路構成であり、トラッカ回路1Cは、多種多様な回路実装及び回路技術のいずれかを使用して実装され得る。したがって、以下に提供されるトラッカ回路1Cの説明は、限定的に解釈されるべきではない。
【0289】
トラッカ回路1Cは、スイッチトキャパシタ回路22Aの代わりにスイッチトキャパシタ回路22Cを備える点を除いて、実施の形態2に係るトラッカ回路1Aと同様である。したがって、スイッチトキャパシタ回路22Cの回路構成について以下に説明する。
【0290】
[4.1.1 スイッチトキャパシタ回路22Cの回路構成]
スイッチトキャパシタ回路22Cの回路構成について
図15を参照しながら説明する。スイッチトキャパシタ回路22Cは、差動型の回路構成を有する。つまり、スイッチトキャパシタ回路22Cでは、グランドの代わりに入力端子222がノードN24に接続される。具体的には、スイッチトキャパシタ回路22Cは、キャパシタC210~C214、C220及びC230と、スイッチS211~S214、S221~S224及びS231~S234と、入力端子221及び222と、出力端子223~226と、を備える。エネルギー及び電荷は、プリレギュレータ回路10Aから入力端子221及び222を介してノードN21及びN24に入力され、ノードN21~N24から出力端子223~226を介して電源変調回路30Aに引き出される。
【0291】
入力端子221は、第2入力端子の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから調整電圧(V21)を受けるための端子である。入力端子221は、スイッチトキャパシタ回路22C外でプリレギュレータ回路10Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22C内でノードN21に接続される。
【0292】
調整電圧(V21)は、第1調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから供給される。本実施の形態では、調整電圧(V21)は、調整電圧(V11)と同じレベルを有し、調整電圧(V23)と異なるレベルを有する。
【0293】
入力端子222は、第2入力端子の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから調整電圧(V24)を受けるための端子である。入力端子222は、スイッチトキャパシタ回路22C外でプリレギュレータ回路10Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22C内でノードN23に接続される。
【0294】
調整電圧(V24)は、第2調整電圧の一例であり、プリレギュレータ回路10Aから供給される。本実施の形態では、調整電圧(V24)は、調整電圧(V21)と異なるレベルを有する。
【0295】
出力端子223~226は、複数の第2出力端子の一例であり、電源変調回路30Aに出力電圧(V21~V24)を供給するための端子である。出力端子223~226は、スイッチトキャパシタ回路22C外で電源変調回路30Aに接続され、スイッチトキャパシタ回路22C内でノードN21~N24にそれぞれ接続される。なお、出力端子223は、入力端子221と統合されてもよく、出力端子226は、入力端子222と統合されてもよい。
【0296】
4つの出力電圧(V21~V24)は、複数の第2離散的電圧の一例であり、2つの調整電圧(V21及びV24)から生成される。本実施の形態では、出力電圧(V21)は出力電圧(V22)よりも高く、出力電圧(V22)は出力電圧(V23)よりも高く、出力電圧(V23)は出力電圧(V24)よりも高い。
【0297】
なお、キャパシタC210~C214、C220及びC230、並びに、スイッチS211~S214、S221~S224及びS231~S234については、スイッチトキャパシタ回路22と同様であるので、その説明を省略する。
【0298】
[4.2 電圧供給方法]
次に、本実施の形態に係る電圧供給方法について
図16を参照しながら説明する。
図16は、本実施の形態に係る電圧供給方法を示すフローチャートである。
【0299】
まず、スイッチトキャパシタ回路21を用いて、第1調整電圧(V11)から複数の第1離散的電圧(V11及びV12)が生成される(S10)。続いて、スイッチトキャパシタ回路22Cを用いて、第1調整電圧(V21)及び第2調整電圧(V24)から複数の第2離散的電圧(V21~V24)が生成される(S20C)。
【0300】
このとき、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(V21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含む。また、複数の第2離散的電圧(V21~V24)は、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22~V24又はこれらの任意の組み合わせ)を含む。つまり、複数の第1離散的電圧は、複数の第2離散的電圧の部分集合ではなく、複数の第2離散的電圧は、複数の第1離散的電圧の部分集合ではない。さらに、複数の第2離散的電圧(V21~V24)の数は、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)の数よりも多い。
【0301】
最後に、電源変調回路30Aを用いて、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(V21~V24)のうちの少なくとも1つが選択的に電力増幅器2に供給される(S30C)。つまり、複数の第1離散的電圧(V11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(V21~V24)の中から少なくとも1つの電圧が選択され、選択された少なくとも1つの電圧が電力増幅器2に供給される。このような電圧の選択がエンベロープ信号に基づいて行われることで、D-ETモードが電力増幅器2に適用される。
【0302】
[4.3 複数の離散的電圧]
このような本実施の形態に係るトラッカ回路1Cによって供給可能な複数の離散的電圧について
図17を参照しながら説明する。
図17は、本実施の形態及び比較例において供給可能な複数の離散的電圧を表す図である。
【0303】
比較例では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路を用いて6つの離散的電圧が生成される。この場合、6つの離散的電圧(V01~V06)は、レベルL6及びグランドレベルの間で均一なレベル間隔で配置され、高頻度範囲(L2.5~L4)に、6つの離散的電圧(V01~V06)のうち2つの電圧(V03~V04)のみが含まれる。
【0304】
これに対して、本実施の形態では、ラダー型のスイッチトキャパシタ回路21を用いて第1調整電圧(V11)から2つの第1離散的電圧(V11及びV12)が生成され、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Cを用いて第1調整電圧(V21)及び第2調整電圧(V24)から4つの第2離散的電圧(V21~V24)が生成される。特に、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Cでは、第1調整電圧(V21)としてピークパワーに対応する電圧以上の電圧が用いられ、第2調整電圧(V24)として平均パワーに対応する電圧以下の電圧が用いられる。
【0305】
この場合、6つの離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V24)は、レベルL6及びグランドレベルの間で不均一なレベル間隔で配置され、6つの離散的電圧(V11、V12、及び、V21~V24)のうち3つの電圧(V12、V23及びV24)が
図17の高頻度範囲に含まれる。
【0306】
本実施の形態では、比較例よりも、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高頻度範囲に含まれる電圧の数の増加させることができ、電力増幅器2の電力付加効率を向上させることができる。逆に、比較例のように1つのラダー型のスイッチトキャパシタ回路で高頻度範囲に含まれる電圧の数を増やそうとすれば、複数の離散的電圧の総数が増加する。したがって、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cは、電力効率の改善及び小型化に貢献することもできる。
【0307】
つまり、本実施の形態では、複数の離散的電圧の総数に対する高頻度範囲に含まれる電圧の数を相対的に増加させることができ、トラッカ回路1Cの大型化を抑制しつつシステム全体の電力効率の向上を図ることができる。
【0308】
[4.4 効果など]
以上のように、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cは、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路21と、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成するよう構成されたスイッチトキャパシタ回路22Cと、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力するよう構成された電源変調回路30Aと、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22~V24)を含む。
【0309】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cは、入力端子211と複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)をそれぞれ出力する複数の出力端子213及び214とを含むスイッチトキャパシタ回路21と、入力端子221と複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)をそれぞれ出力する複数の出力端子223~226とを含むスイッチトキャパシタ回路22Cと、複数の出力端子213、214及び223~226にそれぞれ接続される複数の入力端子301~306と電力増幅器2に接続される出力端子307とを含む電源変調回路30Aと、を備え、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22~V24)を含む。
【0310】
これらによれば、スイッチトキャパシタ回路21が複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22Cが複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11及びV12及びV21~V24)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1Cの電力効率の低下を抑制することができる。
【0311】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cにおいて、スイッチトキャパシタ回路21は、第1調整電圧(例えばV11)から複数の第1離散的電圧(例えばV11~V13)を生成するよう構成されてもよく、スイッチトキャパシタ回路22Cは、第1調整電圧(例えばV21=V11)、及び、第1調整電圧(V21)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV23)から、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成するよう構成されてもよい。
【0312】
別の見地によれば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cにおいて、スイッチトキャパシタ回路22Cは、2つの入力端子221及び222を含んでもよく、入力端子211は、第1調整電圧(例えばV11)を受けてもよく、入力端子221は、第1調整電圧(例えばV21=V11)を受けてもよく、入力端子222は、第1調整電圧(例えばV21)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV23)を受けてもよい。
【0313】
これらによれば、スイッチトキャパシタ回路22Cで2つの異なるレベルの調整電圧を用いることで、複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0314】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cにおいて、スイッチトキャパシタ回路22Cは、第1調整電圧(例えばV21)及び第2調整電圧(例えばV23)の差分に基づいて複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成するよう構成されてもよい。
【0315】
これらによれば、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Cを用いることで、複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0316】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cにおいて、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)の数(例えば4)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)の数(例えば2)よりも多くてもよい。
【0317】
これらによれば、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Cで生成される複数の第2離散的電圧の数が多くなるので、高頻度範囲に含まれる電圧を増加させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0318】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cにおいて、第1調整電圧(例えばV11=V21)は、電力増幅器2で増幅される高周波信号のピークパワーに対応する電圧以上であってもよく、第2調整電圧(例えばV23)は、高周波信号の平均パワーに対応する電圧以下であってもよい。
【0319】
これによれば、差動型のスイッチトキャパシタ回路22Cで複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率のさらなる改善を図ることができる。
【0320】
また例えば、本実施の形態に係るトラッカ回路1Cは、さらに、入力電圧を第1調整電圧(例えばV11=V21)及び第2調整電圧(例えばV23)に変換するプリレギュレータ回路10Aを備えてもよい。
【0321】
これによれば、プリレギュレータ回路10Aで互いに異なるレベルの2つの調整電圧を生成することができる。
【0322】
また、本実施の形態に係る通信装置7は、トラッカ回路1Cと、高周波信号を処理するよう構成されたRFIC5と、電力増幅器2を含み、RFIC5及びアンテナ6の間で高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路4と、を備える。
【0323】
これによれば、通信装置7においてトラッカ回路1Cと同様の効果を実現することができ、消費電力の削減に効果的である。
【0324】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法は、スイッチトキャパシタ回路21を用いて複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し(S10)、スイッチトキャパシタ回路22Cを用いて複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成し(S20C)、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)及び複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)の少なくとも1つを選択的に電力増幅器2に出力し(S30C)、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV12)を含み、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)のいずれとも異なるレベルの電圧(例えばV22~V24)を含む。
【0325】
これによれば、スイッチトキャパシタ回路21で複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)を生成し、スイッチトキャパシタ回路22Cで複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)を生成することで、複数の離散的電圧(例えばV11、V12及びV21~V24)を不均一なレベル間隔で生成することができる。したがって、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えつつ、高周波信号の平均パワー近傍のより発生頻度が高いパワーに適した電圧の範囲(高頻度範囲)に多くの離散的電圧を生成することができる。その結果、D-ETモードにおいて、より発生頻度が高いパワーに対して電圧を細かく調整することができ、電力増幅器2の電力付加効率を改善することができる。さらに、複数の離散的電圧の総数の増加を抑えることで、トラッカ回路1Cの電力効率の低下を抑制することができる。
【0326】
また、本実施の形態に係る電圧供給方法において、複数の第1離散的電圧(例えばV11及びV12)は、第1調整電圧(例えばV11)から生成されてもよく、複数の第2離散的電圧(例えばV21~V24)は、第1調整電圧(例えばV21=V11)と、第1調整電圧(例えばV21)と異なるレベルの第2調整電圧(例えばV24)とから生成されてもよい。
【0327】
これによれば、2つの異なるレベルの調整電圧を用いることで、複数の第2離散的電圧を高頻度範囲に集中させることができ、電力増幅器2の電力付加効率の改善に効果的である。
【0328】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係るトラッカ回路、通信装置及び電圧供給方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明に係るトラッカ回路、通信装置及び電圧供給方法は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、上記実施の形態に対して本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、上記トラッカ回路を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0329】
例えば、上記各実施の形態に係る各種回路の回路構成において、図面に開示された各回路素子及び信号経路を接続する経路の間に、別の回路素子及び配線などが挿入されてもよい。例えば、トラッカ回路と電力増幅器との間に、インダクタ及び/又はキャパシタが挿入されてもよい。
【0330】
なお、上記各実施の形態に係るスイッチトキャパシタ回路において、入力端子とノードとの接続関係は変更されてもよい。例えば、実施の形態1において、入力端子211は、ノードN11の代わりにノードN12に接続されてもよい。この場合であっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0331】
なお、上記各実施の形態における複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧は、例示であり、複数の第1離散的電圧及び複数の第2離散的電圧は、上記実施の形態に限定されない。特に、複数の第1離散的電圧の数及び複数の第2離散的電圧の数は、上記実施の形態に限定されず、第2調整電圧のレベルも、上記実施の形態に限定されない。
【0332】
なお、上記各実施の形態に係るトラッカ回路は、複数の電源変調回路を備えてもよい。この場合、トラッカ回路は、複数の電力増幅器に異なる電圧を供給することが可能となる。
【0333】
以下に、上記実施の形態に基づいて説明したトラッカ回路、通信装置及び電圧供給方法の特徴を示す。
【0334】
<1>
複数の第1離散的電圧を生成するよう構成された第1スイッチトキャパシタ回路と、
複数の第2離散的電圧を生成するよう構成された第2スイッチトキャパシタ回路と、
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器に出力するよう構成された電源変調回路と、を備え、
前記複数の第1離散的電圧は、前記複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、
前記複数の第2離散的電圧は、前記複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む、
トラッカ回路。
【0335】
<2>
前記第1スイッチトキャパシタ回路は、第1調整電圧から前記複数の第1離散的電圧を生成するよう構成され、
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧から前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成され、
前記複数の第1離散的電圧の数である第1の数及び前記複数の第2離散的電圧の数である第2の数の組み合わせは所定条件を満たし、
前記所定条件は、(i)前記第1の数は前記第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)前記第2の数は前記第1の数の約数ではないことである、
<1>に記載のトラッカ回路。
【0336】
<3>
前記第1スイッチトキャパシタ回路は、第1調整電圧から前記複数の第1離散的電圧を生成するよう構成され、
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧から前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成される、
<1>に記載のトラッカ回路。
【0337】
<4>
前記第1スイッチトキャパシタ回路は、第1調整電圧から前記複数の第1離散的電圧を生成するよう構成され、
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧、及び、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧から、前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成される、
<1>に記載のトラッカ回路。
【0338】
<5>
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第1調整電圧及び前記第2調整電圧の差分に基づいて前記複数の第2離散的電圧を生成するよう構成される、
<4>に記載のトラッカ回路。
【0339】
<6>
前記複数の第2離散的電圧の数は、前記複数の第1離散的電圧の数よりも多い、
<4>又は<5>に記載のトラッカ回路。
【0340】
<7>
前記第1調整電圧は、前記電力増幅器で増幅される高周波信号のピークパワーに対応する電圧以上であり、
前記第2調整電圧は、前記高周波信号の平均パワーに対応する電圧以下である、
<4>~<6>のいずれか1つに記載のトラッカ回路。
【0341】
<8>
前記トラッカ回路は、さらに、入力電圧を前記第1調整電圧及び前記第2調整電圧に変換するコンバータ回路を備える、
<4>~<7>のいずれか1つに記載のトラッカ回路。
【0342】
<9>
<1>~<8>のいずれか1つに記載のトラッカ回路と、
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記電力増幅器を含み、前記信号処理回路及びアンテナの間で前記高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路と、を備える、
通信装置。
【0343】
<10>
第1入力端子と複数の第1離散的電圧をそれぞれ出力する複数の第1出力端子とを含む第1スイッチトキャパシタ回路と、
第2入力端子と複数の第2離散的電圧をそれぞれ出力する複数の第2出力端子とを含む第2スイッチトキャパシタ回路と、
前記複数の第1出力端子及び前記複数の第2出力端子にそれぞれ接続される複数の第3入力端子と電力増幅器に接続される第3出力端子とを含む電源変調回路と、を備え、
前記複数の第1離散的電圧は、前記複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、
前記複数の第2離散的電圧は、前記複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む、
トラッカ回路。
【0344】
<11>
前記第1入力端子及び前記第2入力端子は、第1調整電圧を受け、
前記複数の第1離散的電圧の数である第1の数及び前記複数の第2離散的電圧の数である第2の数の組み合わせは所定条件を満たし、
前記所定条件は、(i)前記第1の数は前記第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)前記第2の数は前記第1の数の約数ではないことである、
<10>に記載のトラッカ回路。
【0345】
<12>
前記第1入力端子は、第1調整電圧を受け、
前記第2入力端子は、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧を受ける、
<10>に記載のトラッカ回路。
【0346】
<13>
前記第2スイッチトキャパシタ回路は、前記第2入力端子を含む2つの第2入力端子を含み、
前記第1入力端子は、第1調整電圧を受け、
前記2つの第2入力端子の一方は、前記第1調整電圧を受け、
前記2つの第2入力端子の他方は、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧を受ける、
<10>に記載のトラッカ回路。
【0347】
<14>
前記複数の第2離散的電圧の数は、前記複数の第1離散的電圧の数よりも多い、
<12>又は<13>に記載のトラッカ回路。
【0348】
<15>
前記トラッカ回路は、さらに、入力電圧を受ける第4入力端子と前記第1調整電圧及び前記第2調整電圧を出力する2つの第4出力端子とを含むコンバータ回路を備える、
<12>~<14>のいずれか1つに記載のトラッカ回路。
【0349】
<16>
<10>~<15>のいずれか1つに記載のトラッカ回路と、
高周波信号を処理するよう構成された信号処理回路と、
前記電力増幅器を含み、前記信号処理回路及びアンテナの間で前記高周波信号を伝送するよう構成された高周波回路と、を備える、
通信装置。
【0350】
<17>
第1スイッチトキャパシタ回路を用いて複数の第1離散的電圧を生成し、
第2スイッチトキャパシタ回路を用いて複数の第2離散的電圧を生成し、
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧の少なくとも1つを選択的に電力増幅器に出力し、
前記複数の第1離散的電圧は、前記複数の第2離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含み、
前記複数の第2離散的電圧は、前記複数の第1離散的電圧のいずれとも異なるレベルの電圧を含む、
電圧供給方法。
【0351】
<18>
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧は、同じレベルの調整電圧から生成され、
前記複数の第1離散的電圧の数である第1の数及び前記複数の第2離散的電圧の数である第2の数の組み合わせは所定条件を満たし、
前記所定条件は、(i)前記第1の数は前記第2の数の約数ではなく、かつ、(ii)前記第2の数は前記第1の数の約数ではないことである、
<17>に記載の電圧供給方法。
【0352】
<19>
前記複数の第1離散的電圧及び前記複数の第2離散的電圧は、互いに異なるレベルの調整電圧からそれぞれ生成される、
<17>に記載の電圧供給方法。
【0353】
<20>
前記複数の第1離散的電圧は、第1調整電圧から生成され、
前記複数の第2離散的電圧は、前記第1調整電圧と、前記第1調整電圧と異なるレベルの第2調整電圧とから生成される、
<17>に記載の電圧供給方法。
【産業上の利用可能性】
【0354】
本発明は、電力増幅器に電圧を供給するトラッカ回路として、携帯電話などの通信機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0355】
1、1A、1B、1C トラッカ回路
2 電力増幅器
3 フィルタ
4 高周波回路
5 RFIC
6 アンテナ
7 通信装置
10、10A プリレギュレータ回路
21、21B、22、22A、22B、22C スイッチトキャパシタ回路
30、30A 電源変調回路
50 直流電源
60 デジタル制御回路
61 第1コントローラ
62 第2コントローラ
101、211、221、222、301、302、303、304、305、306 入力端子
102、103、213、214、215、223、224、225、226、307 出力端子
601、602、603、604、605 制御端子