(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139010
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
G01G19/387 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049770
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】上垣内 暁
(72)【発明者】
【氏名】高森 和章
(72)【発明者】
【氏名】岸川 樹
(72)【発明者】
【氏名】地村 和久
(72)【発明者】
【氏名】石橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】阿河 克好
(57)【要約】
【課題】単重が大きい物品の組合せ計算において不良排出の頻度を低減すること。
【解決手段】一実施形態に係る組合せ計量装置1は、外部から投入される物品Mを搬送する搬送部2、3
1~3
nと、搬送部2、3
1~3
nより搬送された物品Mを一時的に滞留させ、その後に下流へ排出する複数の計量ホッパ6
1~6
nと、複数の計量ホッパ6
1~6
nの各々に滞留する物品Mの重量値を計量する計量部7
1~7
nと、計量部7
1~7
nにより計量された複数の重量値及び目標値Xに基づいて組合せ計算を行い、組合せ計算により選択された特定の物品Mを計量ホッパ6
1~6
nから排出させる制御部20とを備え、制御部20は、所定期間内における物品Mの単位個数当たりの平均重量値mと複数の物品Mの個数Cとを乗算し、乗算結果の中から目標値Xに最も近い乗算結果を基準重量値T
cmとして算出し、目標値Xと基準重量値T
cmとの差に基づいて所定処理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から投入される物品を搬送する搬送部と、
前記搬送部より搬送された前記物品を一時的に滞留させ、その後に下流へ排出する複数の計量ホッパと、
前記複数の計量ホッパの各々に滞留する前記物品の重量値を計量する計量部と、
前記計量部により計量された複数の前記重量値及び目標値に基づいて組合せ計算を行い、前記組合せ計算により選択された特定の物品を前記計量ホッパから排出させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
所定期間内における前記物品の単位個数当たりの平均重量値と複数の前記物品の個数とを乗算し、前記乗算結果の中から前記目標値に最も近い乗算結果を基準重量値として算出し、
前記目標値と前記基準重量値との差に基づいて所定処理を行う、組合せ計量装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標値と前記基準重量値との差の絶対値が所定値よりも大きいと判断した場合、前記所定処理として、前記組合せ計算に用いる設定値を変更する、請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記設定値のうち前記目標重量値を変更する、請求項2に記載の組合せ計量装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記目標値と前記基準重量値との差の絶対値が所定値よりも大きいと判断した場合、前記所定処理として、作業者に対して前記判断の結果を通知する、請求項1に記載の組合せ計量装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記複数の重量値から、前記平均重量値、前記基準重量値に対応する前記個数及び前記物品の単位個数当たりの重量値の標準偏差を算出し、
目標重量値及び上限値が予め設定され、
前記目標値は、前記目標重量値と、前記目標重量値に前記上限値を加えた値との平均値であり、
前記所定値は、前記基準重量値、前記標準偏差及び前記基準重量値に対応する個数に基づいて算出される、請求項2~4のいずれか一項に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計量された複数の物品の重量値及び目標値に基づいて組合せ計算を行い、かかる組合せ計算により選択された特定の物品を計量ホッパから排出させる組合せ計量装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の組合せ計量装置では、ブロイラーのムネ肉やモモ肉等の単重が大きい物品の場合、目標値に対応する適切な物品の組合せを見つけられず、組合せ過量となり、不良排出となる問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、単重が大きい物品の組合せ計算において不良排出の頻度を低減できる組合せ計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る組合せ計量装置は、外部から投入される物品を搬送する搬送部と、前記搬送部より搬送された前記物品を一時的に滞留させ、その後に下流へ排出する複数の計量ホッパと、前記複数の計量ホッパの各々に滞留する前記物品の重量値を計量する計量部と、前記計量部により計量された複数の前記重量値及び目標値に基づいて組合せ計算を行い、前記組合せ計算により選択された特定の物品を前記計量ホッパから排出させる制御部と、を備え、前記制御部は、所定期間内における前記物品の単位個数当たりの平均重量値と複数の前記物品の個数とを乗算し、前記乗算結果の中から前記目標値に最も近い乗算結果を基準重量値として算出し、前記目標値と前記基準重量値との差に基づいて所定処理を行うことを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単重が大きい物品の組合せ計算において不良排出の頻度を低減できる組合せ計量装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る組合せ計量装置1の全体構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る組合せ計量装置1の制御部20の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る組合せ計量装置1の制御部20の動作の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る組合せ計量装置1の制御部20の動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る組合せ計量装置1について説明する。
図1は、本実施形態に係る組合せ計量装置1の全体構成の一例を示す図である。
図2は、本実施形態に係る組合せ計量装置1の制御部20の動作の一例を示すフローチャートである。
図3及び
図4は、本実施形態に係る組合せ計量装置1の制御部20の動作の一例を説明するための図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る組合せ計量装置1は、分散テーブル2と、複数の供給トラフ3
1~3
nと、複数のプールホッパ4
1~4
nと、複数の計量ホッパ6
1~6
nと、集合シュート9と、制御部20と、を備えている。
【0012】
図1に示すように、搬送コンベア100は、被計量物である物品Mを組合せ計量装置1の分散テーブル2の中央部に落下させる。
【0013】
分散テーブル2及び各供給トラフ31~3nは、それぞれ加振装置の駆動により振動することで、分散テーブル2上の物品Mを、各供給トラフ31~3nを介してそれぞれの下流に設けられた多数のプールホッパ41~4nに供給する。ここで、分散テーブル2及び各供給トラフ31~3nは、外部から投入される物品Mを搬送する搬送部を構成する。
【0014】
各プールホッパ41~4nには、ゲート51~5nが設けられ、対応する供給トラフ31~3nから供給されて受け取った物品Mを一時的に収容して貯留する。
【0015】
各プールホッパ41~4nの下流に、各計量ホッパ61~6nが設けられている。各計量ホッパ61~6nには、プールホッパ41~4nから投入された物品Mを計量する重量検出器71~7nを備えた計量ヘッダ及びゲート81~8nが設けられている。各計量ホッパ61~6nのゲート81~8nの下方に、集合シュート9が設けられている。
【0016】
ここで、各計量ホッパ61~6nは、分散テーブル2及び各供給トラフ31~3nより搬送された物品Mを一時的に滞留させ、その後に下流へ排出する。
【0017】
また、重量検出器71~7nは、複数の計量ホッパ61~6nの各々に滞留する物品Mの重量値を計量する計量部を構成する。
【0018】
制御部20は、重量検出器71~7nにより計量された複数の物品Mの重量値及び目標値Xに基づいて組合せ計算を行い、かかる組合せ計算により選択された特定の物品Mを計量ホッパ61~6nから排出させる。
【0019】
以下、
図2~
図4を参照して、本実施形態に係る組み合わせ計量1の制御部20の動作の一例について説明する。
【0020】
図2に示すように、ステップS101において、制御部20は、目標重量値T及び上限値Lを予め設定する。
【0021】
ここで、目標重量値Tは、組合せ計算時における目標数値となる。要するに、目標重量値Tは、各計量ホッパ61~6nに収容される物品Mの重量値を組合せて実現させる数値である。さらに、上限値Lは、組合せ計算において許容できる最大の重量値を設定する値となる。
【0022】
つまり、制御部20は、原則として目標重量値Tとし、目標重量値T+上限値Lを最大値として組合せ計算する。かかる目標重量値T及び上限値Lは、作業者による入力に応じて設定されてもよいし、制御部20によって自動的に設定されていてもよい。
【0023】
ステップS102において、制御部20は、重量検出器71~7nにより計量された複数の物品Mの重量値、目標重量値T及び上限値Lに基づいて組合せ計算する。
【0024】
ステップS103において、制御部20は、所定期間が経過したか否かについて判定する。所定期間が経過したと判定された場合、本動作は、ステップS104に進み、所定期間が経過していないと判定された場合、本動作は、ステップS102に戻る。
【0025】
例えば、所定期間は、組合せ計量装置1にて組合せ計算がされた回数によって規定されていてもよい。また、所定期間は、組合せ計量装置1が物品Mを実際に排出した回数によって規定されていてもよい。さらに、所定期間は、組合せ計量装置1がタイマーを有し、予め設定される設定時間により規定されていてもよい。
【0026】
ステップS104において、制御部20は、平均単重m、単重標準偏差σ及び目標個数TCを算出する。ここで、平均単重mは、所定期間内における物品Mの単位個数当たりの平均重量値である。また、単重標準偏差σは、物品Mの単位個数当たりの重量値の標準偏差である。制御部20は、過去に計量ホッパ61~6nに収容された物品Mの重量値に基づき平均単重m、単重標準偏差σを算出する。ここで、制御部20は、直近、複数回において組合せ計算に利用した重量値に基づき算出する。
【0027】
さらに、制御部20は、平均単重mと物品Mの個数C(例えば、C=1,2,…,n)とを乗算し、乗算結果の中から目標重量値Tに最も近い乗算結果を基準重量値Tcmとして算出する。そして、制御部20は、基準重量値Tcmに対応する物品Mの個数Cを、目標個数TCとして設定する。
【0028】
ここで、
図3に示す1つ又は複数の物品Mの重量値(平均単重m×目標個数T
C)に関する正規分布では、中央値は、基準重量値T
cmとなる。また、かかる正規分布によれば、中央値から±σ√T
Cの範囲A内に、組合せ計算全体の68%の重量値が含まれることになる。
【0029】
ステップS105において、制御部20は、目標値Xと基準重量値T
cmとの差の絶対値|X-T
cm|が所定値よりも大きいか否かについて判断する。Yesの場合、本動作は、ステップS106に進み、Noの場合、本動作は、ステップS102に戻る。ここで、
図4に示すように、目標値Xは、目標重量値Tと、目標重量値Tに上限値Lを加えた値(T+L)との平均値である。
【0030】
ここで、かかる所定値は、基準重量値Tcm、単重標準偏差σ及び目標個数TCに基づいて算出される。例えば、かかる所定値は、A×σ×√TCによって算出されてもよい。なお、Aは、求められる不良率によって変化するパラメータであり、0~1の範囲の値を採ることが想定されている。
【0031】
ステップS106において、制御部20は、所定処理を行う。すなわち、制御部20は、目標値Xと基準重量値Tcmとの差|X-Tcm|に基づいて所定処理を行う。
【0032】
例えば、制御部20は、かかる所定処理として、上述の組合せ計算に用いる設定値(例えば、目標重量値Tや上限値L等)を変更してもよい。特に、制御部20は、かかる所定処理として、目標重量値Tを変更してもよい。
【0033】
かかる構成によれば、T-Tcmが小さくなるため、組み合わせ計算の結果、正量品の排出頻度が上がり、稼働率を上げることができる。
【0034】
或いは、制御部20は、かかる所定処理として、作業者に対して、目標値Xと基準重量値Tcmとの差の絶対値|X-Tcm|が所定値よりも大きいか否かについての判断の結果を通知してもよい。
【0035】
かかる構成によれば、鳥のムネやモモ肉といった入荷ロットによって平均単重や単重標準偏差(分散)が変化する物品Mの場合であっても、上述の通知を行うことで、異なるロットに含まれる異なる平均単重の物品を混ぜることで、組合せ計算において不良排出の頻度を低減することができる。
【0036】
なお、上述の例では、上述の組合せ計算に用いる設定値(すなわち、ステップS101で予め設定される値)として目標重量値Tや上限値Lを用いるケースについて記載しているが、本発明は、かかるケースに限定されることなく、例えば、かかる設定値として下限値等が用いられるケースにも適用可能である。
【0037】
本実施形態によれば、鳥のムネやモモ肉といった単重が大きく且つ入荷ロットによって平均単重や単重標準偏差(分散)が変化する物品の場合であっても、組合せ計算において不良排出の頻度を低減することができる。
【0038】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施できる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0039】
1…組合せ計量装置
2…分散テーブル(搬送部)
31~3n…供給トラフ(搬送部)
41~4n…プールホッパ
51~5n、81~8n…ゲート
61~6n…計量ホッパ
71~7n…重量検出器(計量部)
9…集合シュート
20…制御部
100…搬送コンベア
M…物品