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特開2024-139016受電装置、給電装置、給電システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139016
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】受電装置、給電装置、給電システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/80 20160101AFI20241002BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20241002BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049782
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】足立 朋子
(72)【発明者】
【氏名】三友 敏也
(57)【要約】
【課題】本発明の実施形態が解決しようとする課題は、無線給電用の信号と無線通信用の信号とを判定可能な受電装置、給電装置、給電システム、及び方法を提供することである。
【解決手段】上記課題を解決するために、実施形態の受電装置は、無線給電信号及び無線通信信号の少なくとも一方を含む無線信号を受け取り、受電する受電部と、前記無線信号の特徴量から、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する処理部を備える、
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線給電信号及び無線通信信号の少なくとも一方を含む無線信号を受け取り、受電する受電部と、
前記無線信号の特徴量から、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する処理部と、
を備える、
受電装置。
【請求項2】
前記無線給電信号の送信元である給電装置から、前記受電装置が受電する電力量を測定する要求を示す第1信号を受信する通信部と、
前記無線信号により受電された電力量を測定する第1測定部と、
をさらに備え、
前記処理部は、前記第1信号に基づいて、所定の時間内に前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号により受電された電力量を示す第2信号を生成し、
前記通信部は、前記第2信号を前記給電装置に送信する、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項3】
前記無線信号により受電された電力量を測定する第1測定部と、
をさらに備え、
前記処理部は、給電装置が前記無線給電信号を送信する時間長に基づく第1時間長から第2時間長の間、前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号を前記受電部が受け取った場合、前記無線信号により受電した電力量を示す第2信号を生成し、
前記第2信号を前記給電装置に送信する通信部をさらに備える、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項4】
前記無線信号により受電された電力量を測定する第1測定部をさらに備え、
前記処理部は、前記無線給電信号を含むと判定される前記無線信号を受け取った時刻第1時刻を記録するクロック部を備え、
前記処理部は、所定の時間内に前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号により受電された電力量及び前記第1時刻を示す第2信号を生成し、
前記第2信号を前記無線給電信号の送信元である給電装置に送信する通信部をさらに備える、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項5】
前記受電部は前記無線信号を直流電力に変換することで受電し、
前記処理部は、前記無線信号の特徴量として前記直流電力の値及び前記直流電力の時間変化の少なくとも一方に基づいて、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項6】
前記処理部は所定の時間内において、前記直流電力の値が第1範囲内である場合、前記直流電力の時間変化が正の第2範囲内である場合、前記直流電力の時間変化が負の第3範囲内である場合の少なくとも1つの場合、前記無線信号が前記無線給電信号を含むと判定する、
請求項5に記載の受電装置。
【請求項7】
前記無線信号の周波数及び周波数の時間変化の少なくとも一方を測定する第2測定部をさらに備え、
前記処理部は、前記無線信号の特徴量として前記周波数の時間変化に基づいて、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項8】
前記処理部は所定の時間内において、前記周波数の時間変化が正の第4範囲内である場合、前記周波数の時間変化が負の第5範囲内である場合、前記周波数の時間変化が第1時間帯では正の第6範囲内であり第2時間帯では負の第7範囲内である場合、及び前記周波数の時間変化が第3時間帯では負の第8範囲内であり第4時間帯では正の第9範囲内である場合、のいずれか1つの場合、前記無線信号が前記無線給電信号を含むと判定する、
請求項7に記載の受電装置。
【請求項9】
前記無線信号の周波数スペクトルを測定する第3測定部をさらに備え、
前記処理部は、前記無線信号の特徴量として、第1周波数範囲における前記周波数スペクトルの幅及び前記周波数スペクトルの時間変化の少なくとも一方に基づいて、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、
請求項1に記載の受電装置。
【請求項10】
無線通信信号とは異なる特徴量を含む無線給電信号を生成する処理部と、
前記無線給電信号を送信する給電部と、
を備える、
給電装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記無線給電信号の送信先である受電装置が受電する電力量を測定する要求を示す第1信号を生成し、
前記第1信号を前記受電装置に送信し、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記第2信号に基づいて、前記無線給電信号を送信する時間帯、時間長、振幅、位相、周波数帯、方向の少なくとも1つを決定する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記無線給電信号の送信先である受電装置が受電する電力量を測定する要求を示す第1信号を生成し、
前記第1信号を前記受電装置に送信し、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記通信部が所定の時間内に前記第2信号を受信しなかった場合、前記第2信号に含まれる前記受電装置が受電した電力量が所定の値以下の場合、または前記通信部が前記受電部から第1信号の再送を要求する信号を受信した場合に、前記第1信号を生成し、
前記通信部は前記第1信号を送信する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記無線給電信号の送信先である受電装置に、前記無線給電信号を送信する時間長を示す第1信号を生成し、
前記第1信号を前記受電装置に送信し、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記第2信号に基づいて、前記無線給電信号を送信する時間帯、時間長、振幅、位相、周波数帯、方向の少なくとも1つを決定する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項14】
前記処理部は、前記無線給電信号を送信する第1時刻を記録するクロック部を含み、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示し、前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号を受け取った第2時刻を含む第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記第1時刻及び前記第2時刻に基づいて、前記受電装置が前記無線通信信号を受け取ったか否かを判定する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項15】
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記第2信号は、前記受信した電力量の統計量を示す情報が含まれ、
前記処理部は、前記第2信号に基づいて、前記無線給電信号を送信する時間帯、時間長、振幅、位相、周波数帯、方向の少なくとも1つを決定する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項16】
前記処理部は、前記異なる特徴量として、振幅が第1範囲内、振幅の時間変化が正の第2範囲内、振幅の時間変化が負の第3範囲内のいずれかである前記無線給電信号を生成する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項17】
前記処理部は、前記異なる特徴量として、前記周波数の時間変化が正の第4範囲内、前記周波数の時間変化が負の第5範囲内、前記周波数の時間変化が第1時間帯では正の第6範囲内であり第2時間帯では負の第7範囲内、及び前記周波数の時間変化が第3時間帯では負の第8範囲内であり第4時間帯では正の第9範囲内のいずれかである前記無線給電信号を生成する、
請求項10に記載の給電装置。
【請求項18】
請求項1に記載の受電装置と、
前記無線給電信号の送信元である給電装置と、
を備える、
給電システム。
【請求項19】
無線給電信号または無線通信信号を含む無線信号を受け取り、
前記無線信号の特徴量から、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、方法。
【請求項20】
無線通信信号とは異なる特徴量を含む無線給電信号を生成し、
前記無線給電信号を送信する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、受電装置、給電装置、給電システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁波による無線給電技術が開発されている。無線給電が他の無線通信システムと共存する場合、無線給電用の信号と無線通信用の信号とを判定することが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-140900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、無線給電用の信号と無線通信用の信号とを判定可能な受電装置、給電装置、給電システム、及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、実施形態の受電装置は、無線給電信号及び無線通信信号の少なくとも一方を含む無線信号を受け取り、受電する受電部と、前記無線信号の特徴量から、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する処理部を備える、
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態における給電システム100の模式図。
図2】第1の実施形態における給電装置1の構成例。
図3】第1の実施形態における受電装置2の構成例。
図4】第1の実施形態における給電装置1及び受電装置2の第1の動作例を表すシーケンス図。
図5】第1の実施形態における給電装置1及び受電装置2の第2の動作例を表すシーケンス図。
図6】第1の実施形態における給電装置1及び受電装置2の第3の動作例を表すシーケンス図。
図7】第1の実施形態における給電装置1の動作例のフローチャート。
図8】第1の実施形態における給電装置1の無線給電信号の振幅の第1の例を表す図。
図9】第1の実施形態における給電装置1の無線給電信号の振幅の第2の例を表す図。
図10】第1の実施形態における給電装置1の無線給電信号の振幅の第3の例を表す図。
図11】無線通信信号の振幅の例を表す図。
図12】5.7GHz帯で給電を行う場合の給電チャネルの例を表す図。
図13】第1の実施形態における受電装置2の動作例のフローチャート。
図14】第1の実施形態に適用可能な受電装置2'の構成例。
図15】変形例における受電装置2の受電電力を示す信号の送信要否の第1の例を表す図。
図16】変形例における受電装置2の受電電力を示す信号の送信要否の第2の例を表す図。
図17】変形例における受電装置2の受電電力を示す信号の送信要否の第3の例を表す図。
図18】第1の実施形態に適用可能な給電装置1'の構成例。
図19】第1の実施形態に適用可能な受電装置2”の構成例。
図20】変形例における給電装置1'及び受電装置2”の動作例を表すシーケンス図。
図21】第1の実施形態に適用可能な受電装置2'”の構成例。
図22】変形例における給電装置1の無線給電信号の周波数の例を表す図。
図23】第1の実施形態に適用可能な受電装置2””の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明を実施するための実施形態について図面を参照して説明する。開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態における給電システム100の模式図である。給電システム100は、給電装置1、受電装置2A及び2Bを含む。以降、受電装置2A及び2Bを総合する場合、または共通する部分を説明する場合は単に受電装置2とも称する。図1の給電システム100では給電装置1は1台、受電装置2は2台だが、給電装置1、受電装置2ともに台数に制限はない。給電システム100では、給電装置1から受電装置2に無線給電(無線電力伝送)を行う。以降、無線給電のための信号を無線給電信号とも称する。受電装置2は、給電装置1から無線給電信号を受けて直流電力を生成する。(以降、受電するとも称する。)
【0009】
給電装置1から受電装置2に無線給電を行う際、給電装置1からテストで受電装置2に無線給電を行うことがある。受電装置2はテストの無線給電により受電した電力量を測定し、給電装置1に受電した電力量を示す信号を送信する。給電装置1は、受電装置2が受電した電力量の情報に基づいて、無線給電に関する項目を決定する。
【0010】
ここで、給電システム100が配置される環境には、無線通信端末3が存在する場合がある。無線通信端末3は、既存の無線システムを構成する機器の少なくとも一部である。この無線通信端末3も通信を行うため、受電装置2が受け取る無線信号には時間によって無線給電信号だけでなく、無線給電信号の及び無線通信信号の両方が含まれる、すなわち混在することがある。給電装置1及び受電装置2の間の無線通信であれば、無線給電信号と異なる周波数帯を使用すれば、受電装置2は無線給電信号と無線通信信号を識別することができる。例えば、給電装置1が送信する無線給電信号が5.7GHz帯であり、給電装置1及び受電装置2間の無線通信は2.4GHz帯を使用する場合は、受電装置2は無線給電信号と無線通信信号を識別することができる。
【0011】
しかし、無線通信端末3が通信する周波数帯が、給電装置1が送信する無線給電信号の周波数帯の近傍である場合、受電装置2が受け取る無線信号には給電装置1からの無線給電信号と無線通信端末3からの無線通信信号が混在することがある。例えば、無線通信端末3は無線LANで通信して通信周波数帯が5GHz帯であり、給電装置1の無線給電信号の周波数帯が5.7GHz帯である場合に、受電装置2が受け取る無線信号に混在することがある。
【0012】
さらに、給電装置1は無線給電を行う際、給電装置1近傍において、無線通信端末3が通信していないかを確認するキャリアセンスを行う。キャリアセンスの結果、無線通信端末3が通信中の場合、給電装置1は無線給電信号の送信を待機し、通信完了してから送信する。
【0013】
そのため受電装置2は、受電装置2が受け取る無線信号が無線給電信号なのか、無線通信端末3が通信する信号(以降、無線通信信号とも称する)なのかが分からず、判定する必要がある。給電装置の無線給電信号の送信に関する設定には、無線給電により受電した電力量の計測結果が必要なためである。
【0014】
本実施形態の給電装置1は、無線給電信号に無線通信信号とは異なる特徴量を含ませて送信し、受電装置2は受け取る無線信号の特徴量から、この無線信号に無線給電信号が含まれるかを判定する。これにより、受電装置2は受け取る無線信号が、無線給電信号と他の無線通信信号かを識別することができる。なお、無線通信信号には、給電装置1と受電装置2の通信に用いる信号も含まれる。
【0015】
図2は、第1の実施形態における給電装置1の構成例を表す。給電装置1は、処理部10、給電部11、アンテナ12、通信部13、アンテナ14、記憶部15を備える。処理部10は、制御部101、計算部102を備える。
【0016】
給電部11は、アンテナ12を介して無線通信信号とは異なる特徴量を含む無線給電信号を送信し、受電装置2に対して無線給電を行う。特徴量としては電力(振幅)、周波数等が挙げられるが、詳細は後述する。無線給電信号はアンテナ12から電磁波として放射される。無線給電信号を示す電磁波の放射を、無線給電信号の送信とも称する。給電部11は、後述する制御部101から無線給電信号及び指示を受けて無線給電を行う。この指示は例えば、無線給電信号を送信する時間帯、時間長、電力(振幅)、位相、周波数帯、送信の方向等の少なくとも1つの項目が含まれる。これらの項目は無線給電に関する項目である。なお、これらの項目のうち1つ以上の項目によって複数のパターン(以降、送電パターンとも称する)が設定されていてもよい。
【0017】
無線給電信号が送信される周波数帯として例えば、5,727-5,875MHzの産業科学医療用(ISM;Industrial Scientific and Medical)帯、あるいはより狭い5,738-5,766MHzを用いる。これらの周波数帯は5.7GHz帯と呼ばれる。無線給電信号の帯域幅は例えば100kHz未満の所定の幅が設定される。無線給電信号の送信電力は例えば最大で10Wであり、e.i.r.p.(等価等方放射電力)は1kWである。また、無線給電信号の電磁波は連続波(CW:Continuous Wave)であり、無変調(NON)としてもよい。
【0018】
給電部11は、無線給電信号を送信する際、給電装置1近傍において無線通信端末3が通信していないか(無線通信信号が存在しないか)を確認するキャリアセンスを行う。キャリアセンスは、給電装置1の給電により無線通信端末3の通信を阻害しないため、すなわち給電装置1と無線通信端末3の共存のために行われる。給電部11は、アンテナ12を介して電磁波を受け取り、その結果に応じて無線通信信号の送信または待機する。
【0019】
通信部13は、無線通信信号を変調してアンテナ14を介して送信し、無線通信信号をアンテナ14を介して受信し復調することで無線通信を行う。無線通信の相手は例えば受電装置2である。通信部13は受電装置2と無線通信により無線給電に関する情報を含む信号を送受する。無線給電に関する情報として例えば、無線給電に必要な事前の通信のやり取りや、給電装置1から受電装置2に対する、無線給電信号により受電した電力量(以降、受電電力量とも称する)を測定する要求情報や、受電装置2から給電装置1に対する、受電電力量の情報、要求電力量の情報などである。受信した受電電力量の情報、要求電力量の情報は制御部101に送られる。
【0020】
通信部13が無線通信を行う周波数帯は、給電部11が無線給電を行う周波数帯とは異なる。例えば、通信部13が無線通信にBluetoothTM(BLE:Bluetooth Low Energy)を使う場合、使用する周波数帯は2,400―2,500MHzのISM帯(2.4GHz帯)である。
【0021】
記憶部15は、制御部101の指示に従い情報を保持する。保持する情報は無線給電に関する情報であり、例えば給電システム100を構成する装置(給電装置1及び受電装置2)の識別情報や無線給電に必要な取り決めを示す情報、無線給電に関する項目の情報、受電装置2から受信する受電電力量の情報、要求電力量の情報などである。記憶部15としては任意の記憶媒体が設定可能である。例えばメモリやストレージである。
【0022】
制御部101は、給電装置1の各部を制御する。例えば、無線給電信号を生成して給電部11に対して無線給電の指示をしたり、受電装置2へ受電電力量を測定するよう要求する信号(測定要求信号、第1信号と称してもよい)を生成して通信部13に送信する指示をしたり、後述する計算部102に無線給電に関する情報を送り、無線給電に関する項目を計算する指示をしたり、記憶部15に各所から送られた情報を保持させ、必要に応じて読み取る。
【0023】
計算部102は、制御部101から送られた情報に基づいて、無線給電に関する項目を計算し、決定する。例えば、受電電力量の情報、受電装置2が受電電力量を測定した際の無線給電信号の電力、要求電力量の情報の少なくとも1つに基づいて、無線給電に関する項目を計算する。計算結果は制御部101に送られ、無線給電信号の生成、給電部11に対する指示に使われる。また、計算結果は記憶部15に保持されてもよい。無線給電に送電パターンが設定される場合、計算部102は、1つ以上の無線給電に関する項目によって送電パターンを決定してもよいし、既存の複数の送電パターンから選択して組み合わせを決定してもよい。
【0024】
以上、給電装置1を説明した。給電装置1が備える処理部10は、制御装置や演算装置を含む1つ以上の電子回路である。電子回路は、アナログまたはデジタル回路等で実現される。例えば、汎用目的プロセッサ、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、及びその組み合わせが適用可能である。また、処理部10はソフトウェア、プログラムによってこれらの電子回路上で実行されてもよい。また、アンテナ12及び14は共用されてもよいし、給電装置1が複数存在する場合、説明した給電装置1の構成要素の少なくとも一部は共用されてもよい。
【0025】
図3は、第1の実施形態における受電装置2の構成例を表す。受電装置2は、処理部20、受電部21、アンテナ22、測定部23、通信部24、アンテナ25、記憶部26を備える。処理部20は、制御部201、計算部202を備え、受電部21は整流器211と負荷212を備える。
【0026】
受電部21は、アンテナ22を介して無線信号を受け取り、直流電力を生成する。特に、受電部21は給電装置1から無線給電信号を受け取り直流電力を生成することにより受電する。より詳細には、受電装置2は給電装置1から無線給電信号として放射される電磁波を受け取り、直流電力を生成する。無線信号を示す電磁波の受け取りを無線信号の受け取り、無線給電信号を示す電磁波の受け取りを無線給電信号の受け取り、無線通信信号を示す電磁波の受け取りを無線通信信号の受け取りまたは受信とも称する。
【0027】
整流器211は、受け取った無線信号の交流電力を直流電力に変換する。この直流電力は、負荷212を介して測定部23で測定される。測定部23は、負荷212から送られた直流電力の電力量(受電電力量)を測定する。測定された受電電力量は制御部201に送られる。なお、測定部23を第1測定部と称してもよい。
【0028】
受電部21が無線信号を受け取る周波数帯は無線給電信号の周波数帯と同じであるか、無線給電信号の周波数帯を含むより広い周波数帯であってもよい。例えば給電装置1は5,727-5,875MHz(5,738-5,766MHzでもよい)の中から無線給電信号を送信する周波数帯(チャネル)を選択する場合、受電部21は無線LAN(Local Area Network)が利用する5,470~5,725MHz(以下、5.6GHz帯)を含む5GHz帯を、無線信号を受け取る周波数帯としてもよい。これにより、受電部21の構成を簡易で安価にすることができる。
【0029】
通信部24は、無線通信信号を変調してアンテナ25を介して送信し、無線通信信号をアンテナ25を介して受信し復調することで無線通信を行う。無線通信の相手は例えば給電装置1である。通信部24は給電装置1と無線通信により無線給電に関する情報を含む信号を送受する。無線給電に関する情報として例えば、無線給電に必要な事前の通信のやり取りや、給電装置1から受電装置2に対する受電電力量を測定する要求情報や、受電装置2から給電装置1に対する受電電力量の情報及び要求電力量の情報などである。受信した受電電力量を測定する要求情報は制御部201に送られる。
【0030】
通信部24が無線通信を行う周波数帯は、給電装置1の通信部13が無線通信を行う周波数帯と同じであり、給電部11が無線給電を行う周波数帯とは異なる。
【0031】
記憶部26は、制御部201の指示に従い情報を保持する。保持する情報は無線給電に関する情報であり、例えば給電システム100を構成する装置(給電装置1及び受電装置2)の識別情報や無線給電に必要な取り決めを示す情報、給電装置1から受信した受電電力量を測定する要求情報、受電装置2の各部の消費電力情報などである。記憶部26としては記憶部15で説明した任意の記憶媒体が実装可能である。
【0032】
制御部201は、受電装置1の各部を制御する。例えば、測定された受電電力量を示す情報を含む信号(第2信号と称してもよい)や要求電力量を示す情報を含む信号を生成して通信部24に給電装置1に対して送信するよう指示したり、後述する計算部202に無線給電に関する情報を送り、要求電力量を計算する指示をしたり、記憶部26に各所から送られた情報を保持させ、必要に応じて読み取る。
【0033】
計算部202は、制御部201から送られた情報に基づいて、要求電力量を計算する。例えば、測定された受電電力量、受電装置2の各部の消費電力情報の少なくとも1つに基づいて、要求電力量を計算する。計算結果は制御部201に送られ、要求電力量を示す情報を含む信号の生成、通信部24に対する指示に使われる。また、計算結果は記憶部26に保持されてもよい。
【0034】
以上、受電装置2を説明した。受電装置2が備える処理部20は、給電装置1の処理部10で説明した任意の電子回路が実装可能である。また、処理部20はソフトウェア、プログラムによってこれらの電子回路上で実行されてもよい。また、アンテナ22及び25は共用されてもよいし、受電装置2が複数存在する場合、説明した受電装置2の構成要素の少なくとも一部は共用されてもよい。
【0035】
図4図6を用いて、本実施形態における給電装置1及び受電装置2の動作例を説明する。図4は、第1の実施形態における給電装置1及び受電装置2の第1の動作例を表すシーケンス図である。第1の動作例では、給電装置1が受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信してから、受電装置2から受電電力量を示す信号を受信するまでが表されている。まず、給電装置1から受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信する。その後、給電装置1から受電装置2へ無線給電信号を送信する。受電装置2は無線給電信号を受け取り、受電電力量を測定する。受電装置2は測定した受電電力量を示す信号を給電装置1に送信し、給電装置1は受信する。
【0036】
なお、給電装置1は受電電力量の測定要求信号を送信した後に受電電力量を示す信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tt)を設定する。この時間Ttは通常、受電装置2が無線給電信号を受け取って受電電力量を測定し、測定した受電電力量を示す信号の送信には十分な時間が設定される。すなわち、時間Ttを経過しても受電電力量を示す信号を給電装置1が受け取れなかった場合、給電装置1が送信した受電電力量の測定要求信号、無線給電信号、受電電力量を示す信号のいずれかが送信先に届かなかったか、受電装置2の動作にエラーがあったことが推定される。
【0037】
また、受電装置2は受電電力量の測定要求信号を受信した後に無線給電信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tr)を設定する。この時間Trは通常、受電装置2が無線給電信号を受け取るには十分な時間が設定される。すなわち、時間Tr経過しても無線給電信号を受け取れなかった場合、無線給電信号が受電装置2に届かなかったか、給電装置1の動作にエラーがあったことが推定される。第1の動作例では、受電電力量を示す信号が給電装置1に届いており、正常な動作であることが示されている。
【0038】
給電装置1は、第1の動作例の後、受信した受電電力量に基づいて無線給電に関する項目を決定し、無線給電を行う。
【0039】
図5は、第1の実施形態における給電装置1及び受電装置2の第2の動作例を表すシーケンス図である。第2の動作例では、給電装置1が受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信してから、受電装置2から無線給電信号を受け取れなかったことを示す通知を受信するまでが表されている。まず、給電装置1から受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信し、受電電力量を示す信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tt)を設定する。受電装置2は測定要求信号を受信し、無線給電信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tr)を設定する。
【0040】
その後、給電装置1から受電装置2へ無線給電信号を送信する。しかし受電装置2は無線給電信号を受け取れず、受電電力量を測定できない。受電装置2はタイムアウトタイマーの時間Tr経過後、給電装置1に無線給電信号を受け取れなかったことを示す通知を送信し、給電装置1はこの通知を受信する。
【0041】
給電装置1は、第2の動作例の後、再度受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信する。
【0042】
図6は、第1の実施形態における給電装置1及び受電装置2の第3の動作例を表すシーケンス図である。第3の動作例では、給電装置1が受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信してから、受電装置2から受電電力量を示す信号を受信できずにタイムアウトするまでが表されている。まず、給電装置1から受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信し、受電電力量を示す信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tt)を設定する。受電装置2は測定要求信号を受信し、無線給電信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tr)を設定する。
【0043】
その後、給電装置1から受電装置2へ無線給電信号を送信する。受電装置2は無線給電信号を受け取り、受電電力量を測定する。受電装置2は測定した受電電力量を示す信号を給電装置1に送信するが、給電装置1はこの信号を受信できずにタイムアウトタイマーの時間Ttが経過する。
【0044】
給電装置1は、第2の動作例の後、再度受電装置2へ受電電力量の測定要求信号を送信する。
【0045】
図7は第1の実施形態における給電装置1の動作例のフローチャートである。図7を用いて、給電装置1の動作例を説明する。まず制御部101は、受電装置2が受電する電力量を測定する要求を示す信号を生成し、通信部13はこの要求を示す信号をアンテナ14を介して送信する。送信後、制御部101は、受電電力量を示す信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tt)を設定する(ステップS11)。
【0046】
制御部101は、無線通信信号とは異なる特徴量を含む無線給電信号を生成し、給電部11はこの無線給電信号をアンテナ12を介して送信する(ステップS12)。以下、特徴量について説明する。
【0047】
無線給電信号の特徴量として、本実施形態では振幅を時間によらず所定の範囲とすること、振幅の時間変化を正の所定の範囲とすること、及び負の所定の範囲とすることのいずれか1つとする。図8図10では、時刻t1からt2までの無線給電信号の振幅の第1の例~第3の例を表している。図8では、無線給電信号の振幅を時間によらず一定とさせた例である。振幅は(V11-V12)であるが、実環境ではノイズ、反射、回折、フェージングと呼ばれる振幅や位相の変動等で振幅の揺れがあることから、振幅の揺れを考慮した所定の範囲内(第1範囲内)としてもよい。図9図10は無線給電信号の振幅の時間変化を正または負の所定の範囲とさせた例である。図9の振幅の時間変化は、(V21-V23)/(t2-t1)または(V24-V22)/(t2-t1)であるが、振幅の揺れを考慮した所定の範囲内(正の第2範囲内)としてもよい。図10の振幅の時間変化は、(V31-V33)/(t2-t1)または(V34-V32)/(t2-t1)であるが、振幅の揺れを考慮した所定の範囲内(負の第3範囲内)としてもよい。また、所定の範囲内の決定方法として、無線給電信号の直流電力と無線通信信号の直流電力をあらかじめ学習することによって決定してもよい。
【0048】
無線給電信号に上述のような特徴量を含めると、直流電力に変換した場合に無線通信信号とは、異なる傾向が得られる。無線給電信号の振幅を時間によらず所定の範囲とした場合は、変換された直流電力の値も所定の範囲内に収まる。無線給電信号の振幅の時間変化を正または負の所定の範囲とした場合は、変換された直流電力の時間変化も正または負の所定の範囲内に収まる。
【0049】
一方、図11は無線通信信号の振幅の例であるが、無線通信信号は情報(データ)を含めるための変調をかけると、振幅は時間によって変動し、振幅の時間変化も上述の場合と比較にして変動があり、正負が入り混じる。したがって、直流電力に変換された無線通信信号は時間によって変動(ノイズや距離減衰を考慮した範囲を超える)し、この直流電力の時間変化も正または負の所定の範囲を超える。
【0050】
上述の通り、給電信号の特徴量として、本実施形態では振幅を時間によらず所定の範囲とすること、または振幅の時間変化を正または負の所定の範囲とすると、受電装置2にて直流電力に変換した場合に、受電装置2が受け取った無線信号が無線給電信号を含むか否かを判定することができる。
【0051】
給電部11が無線給電信号を送信する際、所定の周波数帯を用いて送信する。この周波数帯をチャネル(給電チャネル)とも呼ぶ。図12は、5.7GHz帯で給電を行う場合の給電チャネルの例を表す図であり、5,740-5,764MHzの中で9つのチャネルが設定されている。給電部11は、これらのチャネルから所定のチャネルを用いて、無線給電信号を送信する。なお、図12のチャネルは一例であって、同じ5.7GHz帯で給電を行う場合でも、チャネルは様々に設定されうる。
【0052】
以下、給電装置1の動作の説明に戻る。ステップS12の後、制御部101は時間Ttの間、通信部13を介して受電装置2の受電電力量を示す情報を示す信号の受信を待つ(ステップS13)。通信部13が受電電力量を示す信号を受信し、制御部101が時間Tt内に受電電力量を示す情報を受け取る場合(ステップS13:Yes)、ステップS14に進む。また、制御部101はタイムアウトタイマーTtをリセットする。一方、制御部101が時間Tt内に受電電力量を示す情報を受け取れない場合(ステップS13:No)、制御部101は給電装置1が送信した受電電力量を測定するよう要求する信号、無線給電信号、受電電力量を示す信号のいずれかが送信先に届かなかったか、受電装置2の動作にエラーがあったことと推定する。この場合、ステップS11に戻る。
【0053】
ステップS14では、制御部101は受け取った受電電力量を示す情報から、受電装置2が受電した電力量が所定の条件を満たすか否かを確認する。例えば制御部101は、送信した無線給電信号の電力から受電装置2が受電した電力量の下限や範囲を設定している場合、この電力量の下限や範囲を逸脱する受電電力量では所定の条件を満たしておらず、受電装置2が無線給電信号により受電していないと推定する。受電装置2の受電電力量が所定の条件を満たしていない場合(ステップS14:No)、ステップS11に戻る。受電装置2の受電電力量が所定の条件を満たしている場合(ステップS14:Yes)、制御部101は受電装置2の受電電力量を示す情報を示す情報を計算部102に送り、無線給電に関する項目を計算するよう指示する。
【0054】
計算部102は、受電装置2の受電電力量を示す情報に基づいて、無線給電信号を送信する時間帯、時間長、電力(振幅)、位相、周波数帯、送信の方向等の少なくとも1つの無線給電に関する項目を計算することにより、無線給電に関する項目が決定される(ステップS15)。計算された項目は制御部101に送られる。
【0055】
制御部101は、計算された項目を満たす無線給電信号を生成し、計算された項目を満たす無線給電を行うよう給電部11に指示する。給電部11は無線給電信号及び指示に基づき、無線給電信号をアンテナ12を介して送信する(ステップS16)。
【0056】
制御部101は、給電装置1の動作を終了させる終了指令が届いているか否かを確認する(ステップS17)。この終了指令は、給電装置1の動作を本フローで終了させる指令である。この終了指令は、ユーザによる給電装置1への入力や、終了指令を含んだ信号を給電装置1が取得するなどして制御部101に伝えられる。この終了指令は、直ちに給電装置1の動作を終了させる指令であってもよい。
【0057】
制御部101にこの終了指令が届いていない場合(ステップS17:No)、ステップS11に戻る。一方、制御部101にこの終了指令が届いている場合(ステップS17:Yes)、フローは終了し、給電装置1は動作を終了する。なお、ステップS17は本フローとは独立に、所定の時間経過で行ってもよいし、制御部101に終了指令が届いた場合に行うようにしてもよい。また、ステップS17:Noの後はS16に戻り決定された項目を満たす無線給電信号の生成及び送信を繰り返してもよい。
【0058】
以上に、本実施形態の給電装置1の動作例を説明した。図13は第1の実施形態における受電装置2の動作例のフローチャートである。図13を用いて、受電装置2の動作例を説明する。
【0059】
通信部24は、受電装置2が受電する電力量を測定する要求を示す信号を給電装置1からアンテナ25を介して受信する。通信部24はこの要求を示す情報を制御部201に送り、制御部201は無線給電信号を待つタイムアウトタイマー(時間Tr)を設定する(ステップS21)。
【0060】
タイムアウトタイマーが時間Trを超えた場合(ステップS21:No)、制御部201は無線給電信号が受電装置2に届かなかったか、給電装置1の動作にエラーがあったと推定する。この場合、制御部201は給電装置1への通知信号を生成し、通信部24にアンテナ25を介して送信させる(ステップS22)。通知信号に含まれる情報としては、給電信号1に受電装置2が受電する電力量を測定する要求を示す信号を再送する要求を示す情報や、受電電力量がゼロであることを示す情報等がある。ステップS22の後は、やり直すためにステップS21に戻る。
【0061】
一方、タイムアウトタイマーが時間Tr以内の場合(ステップS21:Yes)、受電部21は無線信号を受け取り、測定部23は無線信号の特徴量を測定する(ステップS24)。本実施形態では、受電部21は無線信号を直流電力に変換し、測定部23は特徴量として直流電力の値及び直流電力の時間変化の少なくとも一方を測定し、制御部201に測定結果を送る。
【0062】
制御部201は、測定部23から送られる測定結果から、受け取った無線信号が無線給電信号を含むか否かを判定する(ステップS25)。より詳細には、制御部201は測定結果が、無線給電信号の特徴量の条件を満たすかを否かを確認して判定する。給電装置1のフローチャートにおいて説明した、無線給電信号と無線通信信号の特徴量の違いにより、制御部201は受け取った無線信号が無線給電信号を含むか否かを判定することができる。制御部201が受け取った無線信号に無線給電信号が含まれないと判定した場合(ステップS25:No)、ステップS22に戻る。
【0063】
制御部201が受け取った無線信号に無線給電信号が含まれると判定した場合(ステップS25:No)、制御部201は無線給電信号が含まれると判定された無線信号による受電電力量を示す信号を生成し、通信部24はアンテナ25を介して給電装置1に送信する(ステップS26)。また、制御部201はタイムアウトタイマーTrをリセットする。
【0064】
その後、給電装置1が受電電力量に基づいて無線給電に関する項目を決定し、この項目を満たす無線給電信号を送信する。受電部21は無線給電信号の受け取りを待機し、無線給電信号が送信されたら受け取り、受電する(ステップS27)。
【0065】
制御部201は、受電装置2の動作を終了させる終了指令が届いているか否かを確認する(ステップS28)。この終了指令は、受電装置2の動作を本フローで終了させる指令である。この終了指令は、ユーザによる受電装置2への入力や、終了指令を含んだ信号を受電装置2が取得するなどして制御部201に伝えられる。この終了指令は、直ちに受電装置2の動作を終了させる指令であってもよい。
【0066】
制御部201にこの終了指令が届いていない場合(ステップS28:No)、ステップS21に戻る。一方、制御部201にこの終了指令が届いている場合(ステップS28:Yes)、フローは終了し、受電装置2は動作を終了する。なお、ステップS28は本フローとは独立に、所定の時間経過で行ってもよいし、制御部201に終了指令が届いた場合に行うようにしてもよい。また、ステップS28:Noの後はS27に戻り決定された項目を満たす無線給電信号の受け取りを繰り返してもよい。
【0067】
以上に、本実施形態の受電装置2の動作例を説明した。本実施形態で説明した給電装置1及び受電装置2は一例であり、変形例は様々に実装、実行可能である。以下、給電装置1及び受電装置2の変形例を説明する。本実施形態及び以下に説明する変形例は、互いに組み合わせて用いることが可能である。なお、変形例においては本実施形態で説明した構成要素やステップが同じ場合、同じ符号を付して説明を省略する。
【0068】
(変形例1)
受電装置2の受電部21は、整流器211及び負荷212を備えるが、さらに整合器やDC-DCコンバータを含んでもよい。図14は、第1の実施形態に適用可能な受電装置2’の構成例を表す。
受電装置2’は受電装置2の受電部21の代わりに、受電部21’を備える。受電部21’は、整流器211及び負荷212に、整合器221及びDC-DCコンバータ222をさらに備える。
【0069】
整合器221はアンテナ22及び整流器211の間に備えられる。整合器221は、アンテナ22及び整流器211のインピーダンス整合を行う。これにより、アンテナ22及び整流器211間の損失を低減させることができる。
【0070】
DC-DCコンバータ222は整流器211と負荷212の間に備えられる。DC-DCコンバータ222は、整流器211によって整流された直流の電圧を変換する。これにより、直流の電圧の安定化や受電装置2の動作電圧にすることができる。
【0071】
なお、図14では整合器221及びDC-DCコンバータ222の両方を備えているが、いずれか一方でもよい。
【0072】
(変形例2)
給電装置1のステップS15の無線給電に関する項目の決定においては、計算部102はさらに受電装置2の要求電力量を示す情報及び受電装置2の測定時における無線給電信号の送信電力を示す情報の少なくとも一方に基づいて計算してもよい。通信部13は受電装置2の要求電力量を示す情報を含む信号を受電装置2から受信し、制御部101に送るが、ステップS15以前の任意のタイミングで受信してもよいし、元々受信していてもよい。計算部102は、制御部101からこの要求電力量を示す情報を受け取る。計算部102は、制御部101から受電装置2の測定時における無線給電信号の送信電力を示す情報をステップS11~ステップS15以前に受け取る。
【0073】
受電装置2においては、計算部202は測定した受電電力量及び受電装置2の構成要素の消費電力の少なくとも一方に基づいて受電装置2の要求電力量を計算してもよい。計算された要求電力量を示す情報は制御部201に送られる。制御部201は、この要求電力量を示す信号を生成し、通信部24にアンテナ25を介して給電装置1に送信させてもよい。なお、計算部202が測定した受電電力量を用いる場合はステップS26~S27の間に行う。一方、計算部202が受電装置2の構成要素の消費電力を用いる場合は、事前に消費電力の情報が取得できるのであればステップにかかわらず計算することができる。なお、受電装置2の要求電力量を考慮して給電装置1の無線給電信号に関する項目を決定してほしい場合は、受電装置2はステップS27までに要求電力量を示す信号を送信する必要がある。
【0074】
本変形例のように、受電装置2の要求電力量や受電装置2の測定時における無線給電信号の送信電力の少なくとも一方にも基づくことで、給電装置1はより効率的な給電となるように給電に関する項目を決定することできる。
【0075】
(変形例3)
本実施形態では、給電装置1は受電装置2に対して測定要求信号を送信し、受電装置2はこの測定要求信号を受けて無線信号により受電する電力量を測定していた。本変形例では、給電装置1は受電装置2に無線給電信号を送信する時間長を示す信号を送信し、受電装置2はこの信号を受けて、当該時間長と無線給電信号が含まれると判定される時間長とを比較し、受電電力量を示す信号の送信要否を決定してもよい。
【0076】
本変形例での給電装置1の動作は、ステップS11が異なる。制御部101は、受電装置2の受電電力量の測定要求信号を生成する代わりに、無線給電信号を送信する時間長を示す信号(第3信号とも称する)を生成する。通信部13は、この信号を受電装置2にアンテナ14を介して送信する(ステップS11’)。ステップS12以降は、第1の実施形態での説明と同様である。
【0077】
本変形例での受電装置2の動作は、ステップS21とステップS25が異なる。これらのステップを除いては、第1の実施形態での説明と同様である。ステップS21の代わりとなるステップS21’を説明する。通信部24は、アンテナ25を介して受電装置2の受電電力量の測定要求信号を受信する代わりに、給電装置1が無線給電信号を送信する時間長を示す信号を受信する。制御部201は、タイムアウトタイマー(時間Tr)を設定する(ステップS21’)。
【0078】
ステップS25の代わりとなるステップS25’を説明する。制御部201は、測定部23から送られる測定結果から、給電装置1が無線給電信号を送信する時間長(以降、給電時間長とも称する)に基づく第1時間長から第2時間長の間、無線給電信号を含むと判定される無線信号を受け取ったかを判定する(ステップS25’)。受け取った無線信号に無線給電信号が含まれないと判定された場合、及び受け取った無線信号に無線給電信号が含まれるとしても、当該無線給電信号を含む無線信号を受け取る時間が条件に合わない場合(ステップS25’:No)は、ステップS22に戻る。ステップS21’に戻ってもよい。受け取った無線信号に無線給電信号が含まれ、当該無線給電信号を含む無線信号を受け取る時間が条件を満たす場合(ステップS25’:Yes)、ステップS26に進む。
【0079】
図15図17は、本変形例における受電装置2の受電電力を示す信号の送信要否の3つの例を表している。図15の第1の例は、無線給電信号を含む無線信号を受け取る時間が、給電時間長に基づく時間長の範囲内である場合を表す。この場合、制御部201は受電電力量を示す信号を生成し、送信させることを決定する。図16の第2の例は、無線給電信号を含む無線信号を受け取る時間が、給電時間長に基づく時間長より短い場合を表す。この場合、制御部201は受電電力量を示す信号を生成せず、送信させないことを決定する。図17の第3の例は、無線給電信号を含む無線信号を受け取る時間が、給電時間長に基づく時間長より長い場合を表す。この場合、制御部201は受電電力量を示す信号を生成せず、送信させないことを決定する。
【0080】
本変形例のように、給電装置1が受電装置2に給電時間長を通知しておくことで、受電装置2は無線給電信号を含むと判定される無線信号を受け取る時間によって、給電装置1が送信した無線給電信号を受け取れているかを判定することができる。また、給電システム100の近傍に通信データが含まれない信号を送受する無線通信端末3’が存在する場合でも、受電装置2は給電装置1からの無線給電信号が含まれるかを判定することができる。
【0081】
また、給電装置1及び受電装置2間の無線給電信号を送信する時間長の共有は以下の手段を取ることもできる。手段1として、給電装置1及び受電装置2間の無線給電の仕様または規格として無線給電信号を送信する時間長は事前に定められていてもよい。手段2として、ユーザインタフェース等を介した入力により、給電装置1及び受電装置2に無線給電信号を送信する時間長は設定されてもよい。
【0082】
(変形例4)
本実施形態では、受電装置2が受け取る無線信号の特徴量に基づいて、当該無線信号に給電装置1が送信する無線給電信号が含まれるかを判定した。本変形例では、給電装置1が無線給電信号を送信した時刻、受電装置2によって無線給電信号が含まれると判定された無線信号の受け取り時刻から、給電装置1でも受電装置2が無線給電信号を受け取ったかを判定する。
【0083】
図18は、第1の実施形態に適用可能な給電装置1'の構成例を示し、図19は、第1の実施形態に適用可能な受電装置2”の構成例を示す。給電装置1’は、給電装置1の処理部10が処理部10’に変更されており、受電装置1”は、受電装置2の処理部20が処理部20’に変更されている。処理部10’は、処理部10にさらにクロック部103を備える。処理部20’は、処理部20にさらにクロック部203を備える。
【0084】
クロック部103は、給電部11が無線給電信号の送信時刻(第1時刻と称してもよい)を記録する。無線給電信号の送信時刻として、クロック部103は給電部11から無線給電信号を送信すると同時または直後の時刻を記録してもよいし、制御部101が給電部11に指示する無線給電信号の送信時刻を記録してもよい。
【0085】
クロック部203は、無線給電信号が含まれると判定された無線信号の受け取り時刻(第2時刻と称してもよい)を記録する。無線給電信号が含まれると判定された無線信号の受け取り時刻として、無線給電信号が含まれると判定されたと同時または直後の時刻を記録してもよいし、無線給電信号が含まれると判定された時間帯の終わりの時刻を記録してもよいし、当該時間帯のうち任意の時刻を記録してもよい。
【0086】
図20は、変形例における給電装置1'及び受電装置2”の動作例を表すシーケンス図を表す。図20では、給電装置1’から受電装置2”に受電電力量の測定要求信号を送信してから、給電装置1’が受電装置2”から受電電力量を示す信号を受信するまでが表されている。
【0087】
まず、給電装置1’から受電装置2”に受電電力量の測定要求信号を送信し、受電装置2”は受信する。次に、給電装置1’は受電装置2”に無線給電信号を送信する。ここで、給電装置1’は無線給電信号の送信時刻t1を記録する。受電装置2”は無線給電信号を受け取る。ここで、受電装置2”は無線給電信号が含まれると判定される無線信号の受け取り時刻t1’を記録する。受電装置2”は受電電力量を示す信号を、受け取り時刻t1’と紐づけて給電装置1’に送信し、給電装置1’を受信する。
【0088】
その後、給電装置1’は送信時刻t1と受け取り時刻t1’を比較し、受け取り時刻t1’が送信時刻t1の所定の時間帯に含まれるので、紐づいている受電電力量を無線給電信号の送信に関する項目を決定する。
【0089】
給電装置1’及び給電装置1のステップの異なる点、受電装置2”及び受電装置2のステップの異なる点を説明する。異なるステップ以外は、本実施形態で説明したステップと同様である。給電装置1’では、ステップS12において無線給電信号の送信に加えて、クロック部103は無線給電信号の送信時刻を記録する(ステップS12’)。この送信時刻は、制御部101に送られるが、用いるまで記憶部15に保持させてもよい。
【0090】
制御部101は、給電部11が無線給電信号の送信時刻t1と無線給電信号が含まれると判定された無線信号の受け取り時刻t1’に基づいて、受電装置2は給電部11が送信した無線給電信号を受け取ったか否かを判定する(ステップS18)。より詳細には、制御部101は給電部11が無線給電信号の送信時刻t1から所定の時間帯を設定し、受け取り時刻t1’が当該時間帯に含まれているか否かによって、受電装置2は給電部11が送信した無線給電信号を受け取ったか否かを判定する。このステップS18は、給電装置1のステップS13~ステップS15の間にあることが望ましい。制御部101が受電装置2は給電部11が送信した無線給電信号を受け取ったと判定した場合(ステップS18:Yes)、ステップS14(ステップS18がステップS13とS14の間の場合)またはステップS15(ステップS18がステップS14とS15の間の場合)に移る。制御部101が受電装置2は給電部11が送信した無線給電信号を受け取っていないと判定した場合(ステップS18:No)、ステップS11に戻る。
【0091】
受電装置2”では、制御部201は、ステップS26の受電電力量を示す信号に無線給電信号が含まれると判定された無線信号の受け取り時刻t1’を示す情報を含んで生成及び送信する(ステップS26’)。
【0092】
本変形例のようにすることで、給電装置1でも受電装置2が無線給電信号を受け取ったかを判定することができ、再度受電装置2の受電電力量の測定要求信号を送信することができる。
【0093】
(変形例5)
本実施形態では、受電装置2が受け取る無線信号に給電装置1からの無線給電信号が含まれるか否かを判定した。本変形例では、受電装置2は判定せず、受け取る無線信号の直流電力を測定し、この直流電力の統計量を受電電力量として受電電力量を示す信号を生成・送信してもよい。
【0094】
その場合、受電装置2は特徴量の条件を確かめるステップS25がなく、無線信号の受け取り及び特徴量(直流電力)の測定のステップS24を行った後、測定した直流電力の統計量を受電電力量として受電電力量を示す信号を生成・送信するステップS26に移行する。直流電力の統計量としては例えば、直流電力の最小値、最大値、平均値、中央値、分散等である。これらの統計量は、時系列データであってもよい。その他のステップは、本実施形態の受電装置2のステップと同様である。
【0095】
給電装置1は、受電装置2から送られる直流電力の特徴量を用いて、受電装置2が受電した電力量が所定の条件を満たすかを確かめるステップS14を行う。その他のステップは、本実施形態の給電装置1のステップと同様である。
【0096】
本変形例のようにすることで、受電装置2ではなく、給電装置1で受電装置2が無線給電信号を受け取っていたかを判定することができる。
【0097】
(変形例6)
本実施形態では、給電装置1が送信して受電装置2が受け取る無線給電信号の周波数帯(5.7GHz帯)と、給電装置1及び受電装置2が送受信する無線通信信号の周波数帯(2.4GHz帯)は異なっていた。本変形例では、これらの周波数帯が同様の周波数帯であってもよい。例えば、給電装置1及び受電装置2が送受信する無線通信信号の周波数帯が無線給電信号の近傍の周波数帯(5GHz帯)であってもよいし、より近い(同様の)周波数帯であってもよい。
【0098】
無線給電信号の周波数帯と無線通信信号の周波数帯が同様の周波数帯であっても、本実施形態で説明したように、無線給電信号と無線通信信号とでは特徴量が異なる。受電装置2は、受け取る無線信号の特徴量を測定することで、無線給電信号が含まれるか否かを判定することができる。
【0099】
(変形例7)
本実施形態では、無線給電信号の特徴量として、振幅及び振幅の時間変化を用いた。本変形例では、無線給電信号の特徴量として、周波数の時間変化を用いる。図21は、第1の実施形態に適用可能な受電装置2'”の構成例を示す。受電装置2'”は、受電装置2にさらに測定部231を備える。
【0100】
本変形例では、給電装置1が送信する無線給電信号の特徴量として、前記周波数の時間変化が正の所定の範囲内(第4範囲内と称してもよい)、前記周波数の時間変化が負の所定の範囲内(第5範囲内と称してもよい)、前記周波数の時間変化が第1時間帯では正の所定の範囲内(第6範囲内と称してもよい)であり第2時間帯では負の所定の範囲内(第7範囲内と称してもよい)、及び前記周波数の時間変化が第3時間帯では負の所定の範囲内(第8範囲内と称してもよい)であり第4時間帯では正の所定の範囲内(第9範囲内)のいずれか1つとする。なお、周波数の時間変化が正の場合をアップチャープ、周波数の時間変化が負の場合をダウンチャープと称する。なお、第4範囲内から第9範囲内は実環境ではノイズ、反射、回折、フェージングと呼ばれる振幅や位相の変動等での周波数帯の揺れを考慮して設定してもよい。
【0101】
図22は、変形例における給電装置1の無線給電信号の周波数の例を表す。Sig1は周波数の時間変化が正の第4範囲内である無線給電信号の例を表し、Sig2は周波数の時間変化が負の第5範囲内である無線給電信号の例を表し、Sig3は周波数の時間変化が第1時間帯では正の第6範囲内であり、第2時間帯では負の第7範囲内である無線給電信号の例を表し、Sig4は周波数の時間変化が第3時間帯では正の第8範囲内であり、第4時間帯では負の第9範囲内である無線給電信号の例を表す。
【0102】
測定部231(第2測定部と称してもよい)は、アンテナ22を介して受け取る無線信号の周波数の時間変化を測定する。測定部231は無線信号を整流器211に送り、測定した周波数の時間変化を示す情報を制御部201に送る。測定部231は、制御部201は、無線信号の周波数の時間変化に基づいて、受け取った無線信号が無線給電信号を含むか否かを判定してもよい。
【0103】
受電装置2'”の動作のステップと、受電装置2の動作のステップとの異なる点を説明する。ステップS24の特徴量の測定は、測定部231が受け取った無線信号の周波数の時間変化を測定する(ステップS24’)。ステップS25の特徴量の条件を満たすか否かの確認は、制御部201が受け取った無線信号の周波数の時間変化に基づいて行う(ステップS25”)。より詳細には、制御部201は受け取った無線信号の周波数の時間変化が第4範囲内~第9範囲内のいずれかに該当する場合、受け取った無線信号に給電装置1が送信した無線給電信号が含まれると判定する。
【0104】
本変形例のように、受電装置2は受け取る無線信号の周波数の時間変化を特徴量として測定することで、受け取る無線信号に無線給電信号が含まれるか否かを判定することができる。
【0105】
(変形例8)
本実施形態では、無線給電信号の特徴量として、振幅及び振幅の時間変化を用いた。本変形例では、無線給電信号の特徴量として、周波数スペクトルを用いる。図22は、第1の実施形態に適用可能な受電装置2””の構成例を示す。受電装置2””は、受電装置2にさらに測定部241を備える。
【0106】
測定部241(第3測定部と称してもよい)は、アンテナ22を介して受け取る無線信号の周波数スペクトルを測定する。測定部241は、無線信号を整流器211に送り、測定した周波数スペクトルを示す情報を制御部201に送る。測定部231は、制御部201は、無線信号の周波数スペクトルに基づいて、受け取った無線信号が無線給電信号を含むか否かを判定してもよい。より詳細には、制御部201は、無線信号の周波数スペクトルの幅及び時間変化の少なくとも一方に基づいて、受け取った無線信号が無線給電信号を含むか否かを判定してもよい。
【0107】
本変形例では、給電装置1は無線給電信号を無変調の正弦波として送信する。この無線給電信号において、所定の周波数帯(第1周波数帯と称してもよい)における周波数スペクトルは所定の幅以内に収まる。また、この無線給電信号において、周波数スペクトルの時間変化は所定の範囲に収まる。周波数スペクトルの所定の幅及び周波数スペクトルの所定の時間変化の範囲は、実環境におけるノイズ、反射、回折、フェージングと呼ばれる振幅や位相の変動等を考慮して設定されてもよい。無線通信信号の周波数スペクトルは、本変形例の無線給電信号とは異なり、上述の所定の幅を超えた幅を持ち、及び所定の時間変化の範囲を超えた時間変化となる。
【0108】
受電装置2””の動作のステップと、受電装置2の動作のステップとの異なる点を説明する。ステップS24の特徴量の測定は、測定部241が受け取った無線信号の周波数スペクトルを測定する(ステップS24’)。ステップS25の特徴量の条件を満たすか否かの確認は、制御部201が受け取った無線信号の周波数スペクトルの幅及び時間変化の少なくとも一方に基づいて行う(ステップS25”)。より詳細には、制御部201は受け取った無線信号の周波数スペクトルの幅が所定の周波数帯において所定の範囲に収まっているか、または受け取った無線信号の周波数スペクトルの時間変化が所定の範囲に収まっている場合、受け取った無線信号に給電装置1が送信した無線給電信号が含まれると判定する。
【0109】
本変形例のように、受電装置2は受け取る無線信号の周波数スペクトルを特徴量として測定することで、受け取る無線信号に無線給電信号が含まれるか否かを判定することができる。
【0110】
以上に、給電装置1及び受電装置2の変形例を説明した。本実施形態及び変形例の給電装置は、無線給電信号に無線通信信号とは異なる特徴量を含ませて送信する。本実施形態及び変形例の受電装置は、受け取る無線信号の特徴量から、この無線信号に無線給電信号が含まれるかを判定する。これにより、受電装置は受け取る無線信号が、無線給電信号と他の無線通信信号かを識別することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0112】
前述した実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0113】
[1]
無線給電信号及び無線通信信号の少なくとも一方を含む無線信号を受け取り、受電する受電部と、
前記無線信号の特徴量から、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する処理部と、
を備える、
受電装置。
【0114】
[2]
前記無線給電信号の送信元である給電装置から、前記受電装置が受電する電力量を測定する要求を示す第1信号を受信する通信部と、
前記無線信号により受電された電力量を測定する第1測定部と、
をさらに備え、
前記処理部は、前記第1信号に基づいて、所定の時間内に前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号により受電された電力量を示す第2信号を生成し、
前記通信部は、前記第2信号を前記給電装置に送信する、
[1]に記載の受電装置。
【0115】
[3]
前記無線信号により受電された電力量を測定する第1測定部をさらに備え、
前記処理部は、給電装置が前記無線給電信号を送信する時間長に基づく第1時間長から第2時間長の間、前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号を前記受電部が受け取った場合、前記無線信号により受電した電力量を示す第2信号を生成し、
前記第2信号を前記給電装置に送信する通信部をさらに備える、
[1]に記載の受電装置。
【0116】
[4]
前記無線信号により受電された電力量を測定する第1測定部をさらに備え、
前記処理部は、前記無線給電信号を含むと判定される前記無線信号を受け取った時刻第1時刻を記録するクロック部を備え、
前記処理部は、所定の時間内に前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号により受電された電力量及び前記第1時刻を示す第2信号を生成し、
前記第2信号を前記無線給電信号の送信元である給電装置に送信する通信部をさらに備える、
[1]に記載の受電装置。
【0117】
[5]
前記受電部は前記無線信号を直流電力に変換することで受電し、
前記処理部は、前記無線信号の特徴量として前記直流電力の値及び前記直流電力の時間変化の少なくとも一方に基づいて、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、
[1]~[4]のいずれか1つに記載の受電装置。
【0118】
[6]
前記処理部は所定の時間内において、前記直流電力の値が第1範囲内である場合、前記直流電力の時間変化が正の第2範囲内である場合、前記直流電力の時間変化が負の第3範囲内である場合の少なくとも1つの場合、前記無線信号が前記無線給電信号を含むと判定する、
[5]に記載の受電装置。
【0119】
[7]
前記無線信号の周波数及び周波数の時間変化の少なくとも一方を測定する第2測定部をさらに備え、
前記処理部は、前記無線信号の特徴量として前記周波数の時間変化に基づいて、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、
[1]~[6]のいずれか1つに記載の受電装置。
【0120】
[8]
前記処理部は所定の時間内において、前記周波数の時間変化が正の第4範囲内である場合、前記周波数の時間変化が負の第5範囲内である場合、前記周波数の時間変化が第1時間帯では正の第6範囲内であり第2時間帯では負の第7範囲内である場合、及び前記周波数の時間変化が第3時間帯では負の第8範囲内であり第4時間帯では正の第9範囲内である場合、のいずれか1つの場合、前記無線信号が前記無線給電信号を含むと判定する、
[7]に記載の受電装置。
【0121】
[9]
前記無線信号の周波数スペクトルを測定する第3測定部をさらに備え、
前記処理部は、前記無線信号の特徴量として、第1周波数範囲における前記周波数スペクトルの幅及び前記周波数スペクトルの時間変化の少なくとも一方に基づいて、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、
[1]~[8]のいずれか1つに記載の受電装置。
【0122】
[10]
無線通信信号とは異なる特徴量を含む無線給電信号を生成する処理部と、
前記無線給電信号を送信する給電部と、
を備える、
給電装置。
【0123】
[11]
前記処理部は、前記無線給電信号の送信先である受電装置が受電する電力量を測定する要求を示す第1信号を生成し、
前記第1信号を前記受電装置に送信し、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記第2信号に基づいて、前記無線給電信号を送信する時間帯、時間長、振幅、位相、周波数帯、方向の少なくとも1つを決定する、
[10]に記載の給電装置。
【0124】
[12]
前記処理部は、前記無線給電信号の送信先である受電装置が受電する電力量を測定する要求を示す第1信号を生成し、
前記第1信号を前記受電装置に送信し、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記通信部が所定の時間内に前記第2信号を受信しなかった場合、前記第2信号に含まれる前記受電装置が受電した電力量が所定の値以下の場合、または前記通信部が前記受電部から第1信号の再送を要求する信号を受信した場合に、前記第1信号を生成し、
前記通信部は前記第1信号を送信する、
[10]に記載の給電装置。
【0125】
[13]
前記処理部は、前記無線給電信号の送信先である受電装置に、前記無線給電信号を送信する時間長を示す第1信号を生成し、
前記第1信号を前記受電装置に送信し、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記第2信号に基づいて、前記無線給電信号を送信する時間帯、時間長、振幅、位相、周波数帯、方向の少なくとも1つを決定する、
[10]に記載の給電装置。
【0126】
[14]
前記処理部は、前記無線給電信号を送信する第1時刻を記録するクロック部を含み、
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示し、前記無線給電信号が含まれると判定される無線信号を受け取った第2時刻を含む第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記処理部は、前記第1時刻及び前記第2時刻に基づいて、前記受電装置が前記無線通信信号を受け取ったか否かを判定する、
[10]に記載の給電装置。
【0127】
[15]
前記無線給電信号を送信した後に、前記受電装置が受電した電力量を示す第2信号を前記受電装置から受信する通信部をさらに備え、
前記第2信号は、前記受信した電力量の統計量を示す情報が含まれ、
前記処理部は、前記第2信号に基づいて、前記無線給電信号を送信する時間帯、時間長、振幅、位相、周波数帯、方向の少なくとも1つを決定する、
[10]に記載の給電装置。
【0128】
[16]
前記処理部は、前記異なる特徴量として、振幅が第1範囲内、振幅の時間変化が正の第2範囲内、振幅の時間変化が負の第3範囲内のいずれかである前記無線給電信号を生成する、
[10]~[15]のいずれか1つに記載の給電装置。
【0129】
[17]
前記処理部は、前記異なる特徴量として、前記周波数の時間変化が正の第4範囲内、前記周波数の時間変化が負の第5範囲内、前記周波数の時間変化が第1時間帯では正の第6範囲内であり第2時間帯では負の第7範囲内、及び前記周波数の時間変化が第3時間帯では負の第8範囲内であり第4時間帯では正の第9範囲内のいずれかである前記無線給電信号を生成する、
[10]~[16]に記載の給電装置。
【0130】
[18]
[1]~[9]のいずれか1つに記載の受電装置と、
[10]~[17]のいずれか1つに記載の給電装置と、
を備える、
給電システム。
【0131】
[19]
無線給電信号または無線通信信号を含む無線信号を受け取り、
前記無線信号の特徴量から、前記無線信号が前記無線給電信号を含むか否かを判定する、方法。
【0132】
[20]
無線通信信号とは異なる特徴量を含む無線給電信号を生成し、
前記無線給電信号を送信する、
方法。
【符号の説明】
【0133】
1,1’:給電装置
2,2A,2B,2’,2”,2'”,2””:受電装置
3:無線通信端末
10,10’:処理部
11:給電部
12:アンテナ
13:通信部
14:アンテナ
15:記憶部
20,20’:処理部
21,21’:受電部
22:アンテナ
23:測定部
24:通信部
25:アンテナ
26:記憶部
100:給電システム
101:制御部
102:計算部
103:クロック部
201:制御部
202:計算部
203:クロック部
211:整流器
212:負荷
221:整合器
222:DC-DCコンバータ
231:測定部
241:測定部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
図10
図11
図12
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図19
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図22
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