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特開2024-139027監視装置、監視方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139027
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】監視装置、監視方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/46 20180101AFI20241002BHJP
   G06F 1/20 20060101ALI20241002BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241002BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241002BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20241002BHJP
   F24F 140/60 20180101ALN20241002BHJP
   F24F 140/50 20180101ALN20241002BHJP
【FI】
F24F11/46
G06F1/20 Z
H05K7/20 H
G06Q50/10
F24F110:10
F24F140:60
F24F140:50
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049799
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
【テーマコード(参考)】
3L260
5E322
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3L260AA11
3L260AB02
3L260BA42
3L260CA12
3L260CA32
3L260FA03
3L260GA17
3L260HA01
5E322BA01
5E322BB10
5E322EA01
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】データセンタの空調機の電力使用効率(PUE)を監視することができる監視装置を提供する。
【解決手段】監視装置は、データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価する空調機評価部と、前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価する除熱量評価部と、前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価する効率評価部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価する空調機評価部と、
前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価する除熱量評価部と、
前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価する効率評価部と、
を備える監視装置。
【請求項2】
前記吸気温度は、前記ラックの前面に設定された複数の入口計測点で計測され、
前記排気温度は、複数の前記入口計測点それぞれに対応して前記ラックの後面に設定された複数の出口計測点で計測され、
前記流速は、複数の前記入口計測点または複数の前記出口計測点で計測され、
前記除熱量評価部は、複数の前記吸気温度と、複数の前記排気温度と、複数の前記流速とに基づいて、前記ラックの前記除熱量を評価する、
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記電力使用効率が所定の判定閾値を超えた場合に、前記空調機の電力消費が異常であると判定する異常判定部をさらに備える、
請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記空調機の電力消費が異常であると判定された場合に、複数の前記ラックのうち、吸気温度または排気温度が所定の上限温度以上となるホットスポットが存在するラックを検出する検出部をさらに備える、
請求項3に記載の監視装置。
【請求項5】
前記ホットスポットが検出された場合に、複数の前記空調機のうち、前記ホットスポットがあるラックの冷却に最も寄与する空調機の設定温度を下げ、他の空調機のうち少なくとも一の空調機の設定温度を上げる制御部をさらに備える、
請求項4に記載の監視装置。
【請求項6】
データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価するステップと、
前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価するステップと、
前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価するステップと、
を有する監視方法。
【請求項7】
データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価するステップと、
前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価するステップと、
前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価するステップと、
を監視装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視装置、監視方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
脱炭素社会の実現に向けて、データセンタにおいても電力消費を削減することが考えられている(たとえば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2011-505784号公報
【特許文献2】特許第5649646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データセンタのエネルギー効率を示す指標として、たとえばPUE(Power Usage Effectiveness;電力使用効率)がある。PUEは、データセンタ全体の消費電力をサーバなどの電子機器の消費電力で割った指標である。近年では、データセンタの電力消費の増加を抑制するために、PUEの監視や管理を行うことが求められている。
【0005】
本開示の目的は、データセンタの空調機の電力使用効率(PUE)を監視することができる監視装置、監視方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、監視装置は、データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価する空調機評価部と、前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価する除熱量評価部と、前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価する効率評価部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様によれば、監視方法は、データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価するステップと、前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価するステップと、前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価するステップと、を有する。
【0008】
本開示の一態様によれば、プログラムは、データセンタの外部に設置された室外機および前記データセンタの内部に設置された室内機からなる空調機について、前記データセンタの外部で計測された外気温度と、前記室内機の吸込温度とに基づいて空調機動力を評価するステップと、前記データセンタにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラックについて、前記ラックに吸気される空気の温度を計測した吸気温度と、前記ラックから排気される前記空気の温度を計測した排気温度と、前記空気の流速とに基づいて前記ラックの除熱量を評価するステップと、前記空調機動力と、前記除熱量とに基づいて前記データセンタの前記空調機の電力使用効率を評価するステップと、を監視装置に実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記態様によれば、データセンタの空調機の電力使用効率(PUE)を監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る監視システムの全体構成を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る入口計測点および出口計測点の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る監視装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態に係る監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る入口計測点および出口計測点の一例を示す図である。
図6】第3の実施形態に係る空調機およびラックの構成を示す図である。
図7】第3の実施形態に係る監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第3の実施形態に係る監視装置の機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、図1図4を参照しながら第1の実施形態について説明する。
【0012】
(監視システムの全体構成)
図1は、第1の実施形態に係る監視システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、監視システム1は、監視装置2と、複数のラック3と、複数の空調機4とを備える。
【0013】
監視装置2は、データセンタDCの空調およびPUEを監視するためのシステムである。監視装置2の詳細な機能構成については後述する。
【0014】
ラック3(サーバラック)は、データセンタDC内に設置され、内部に少なくとも1つの電子機器を格納する。電子機器はたとえばサーバやルータなどの情報機器である。各ラック3の構成は同一であるとする。
【0015】
紙面の上下方向をラック3の前後方向、紙面の左右方向をラック3の左右方向とする。図1の例では、複数のラック3が左右方向に並べられてラック列30を構成する。また、複数のラック列30が前後方向および左右方向に間隔をあけて配置されてもよい。図1の例では、左側の領域にラック列30a,30b,30cが前後方向に間隔をあけて配置され、右側の領域にラック列30d,30eが前後方向に間隔をあけて配置されている。
【0016】
ラック3は、前面31に冷却用の空気F(吸気F1)を取り込む空気入口を有し、後面32に電子機器を冷却して温度が上昇した空気F(排気F2)を排気する空気出口を有する。前後方向に並ぶラック列30間の通路は、ラック3の前面31(空気入口)、または後面32(空気出口)が向き合うように配置される。図1の例では、ラック列30aの後面32およびラック列30bの後面32が向き合うように配置される。また、ラック列30bの前面31とラック列30cの前面31が向き合うように配置される。ラック列30の前面31が向けられた通路はコールドアイルCI、後面32が向けられた通路をホットアイルHIとなる。
【0017】
また、ラック3の前面側には、吸気温度センサ35および流速計36が設けられ、後面側には排気温度センサ37が設けられる。吸気温度センサ35は吸気F1の温度(吸気温度)を計測する。流速計36は空気Fの速度を計測する。排気温度センサ37は排気F2の温度(排気温度)を計測する。本実施形態では、流速計36はラック3の前面側に設けられ吸気F1の速度を計測する。なお、他の実施形態では、流速計36はラック3の後面側に設けられ排気F2の速度を計測してもよい。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る入口計測点および出口計測点の一例を示す図である。
図2に示すように、ラック3の前面31の任意の場所に、吸気F1の温度および流速を計測する代表点である入口計測点Piが設定される。また、ラック3の後面32の任意の場所に、排気F2の温度を計測する代表点である出口計測点Poが設定される。図2の例では、入口計測点Piおよび出口計測点Poは、それぞれラック3の前面31の中央付近および後面32の中央付近に設定されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、空気入口や空気出口の位置などに合わせて入口計測点Piおよび出口計測点Poの位置を変更してもよい。吸気温度センサ35および流速計36は、入口計測点Piの付近に設けられる。排気温度センサ37は出口計測点Poの付近に設けられる。
【0019】
空調機4は、データセンタDC内の空気Fを冷却する。図1の例では、空調機4(4a~4g)は、ラック3の前後方向に存在する各通路(コールドアイルCI、ホットアイルHI)に対して1台ずつ設けられる。各空調機4の構成は同一であるとする。空調機4は、室内機41と室外機42とを有する。室内機41はデータセンタDCの内部に設置され、室外機42はデータセンタDCの外部に設置される。室内機41および室外機42は、冷媒が流通する配管43により接続される。
【0020】
また、室内機41には吸込温度センサ45が設けられる。吸込温度センサ45は、室内機41が取り込む空気Fの温度である吸込温度を計測する。室外機42には外気温度センサ46が設けられる。外気温度センサ46は、データセンタDCの外部の温度である外気温度を計測する。なお、外気温度センサ46は室外機42に取り付けるのではなく、室外機42の近傍に設置されてもよい。
【0021】
(監視装置の機能構成)
図3は、第1の実施形態に係る監視装置の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、監視装置2は、プロセッサ20と、メモリ21と、ストレージ22と、通信インタフェース23と、入出力インタフェース24とを備える。
【0022】
プロセッサ20は、所定のプログラムに従って動作することにより、監視装置2に種々の機能を発揮させる。プロセッサ20の機能については後述する。
【0023】
メモリ21は、プロセッサ20の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0024】
ストレージ22は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。ストレージ22には、プロセッサ20の各部が処理中に取得、生成、参照するデータが格納される。
【0025】
通信インタフェース23は、各ラック3に設けられたセンサや、空調機4との間で各種データや制御信号などの送受信を行うためのインタフェースである。
【0026】
入出力インタフェース24は、表示装置2A、入力装置2Bなどの機器と通信するための接続インタフェースである。表示装置2Aは、液晶ディスプレイなどのモニタである。入力装置2Bは、マウスやキーボードなど、監視員の入力操作を受け付けるための機器である。表示装置2Aおよび入力装置2Bは、たとえばタッチパネルで一体に構成されてもよい。
【0027】
次に、プロセッサ20の機能について説明する。プロセッサ20は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、計測値取得部201、空調機評価部202、除熱量評価部203、効率評価部204、異常判定部205としての機能を発揮する。
【0028】
計測値取得部201は、各ラック3の吸気温度センサ35、流速計36、排気温度センサ37の計測値を取得する。また、計測値取得部201は、各空調機4の吸込温度センサ45、外気温度センサ46の計測値を取得する。
【0029】
空調機評価部202は、データセンタDCの外部の外気温度と、空調機4の室内機41の吸込温度とに基づいて、空調機4の空調機動力を評価する。本実施形態では、空調機評価部202は、複数の空調機4の合計動力を評価する。
【0030】
除熱量評価部203は、ラック3の前面31の入口計測点Piで計測した空気F(吸気F1)の温度である吸気温度と、ラック3の後面32の出口計測点Poで計測した空気F(排気F2)の温度である排気温度と、空気F(吸気F1または排気F2)の流速とに基づいて、ラック3の除熱量を評価する。本実施形態では、除熱量評価部203は、データセンタDC内のすべてのラック3の合計除熱量を評価する。
【0031】
効率評価部204は、空調機動力と、ラック3の除熱量とに基づいてデータセンタDCの空調機4の電力使用効率(PUE)を評価する。
【0032】
異常判定部205は、空調機4の電力消費の異常の有無を判定する。具体的には、異常判定部205は、PUEが所定の判定閾値を超えた場合に、空調機4の電力消費が異常であると判定する。
【0033】
(監視装置の処理フロー)
図4は、第1の実施形態に係る監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。
ここでは、図4を参照しながら、監視装置2の処理の流れについて説明する。
【0034】
まず、監視装置2が空調機動力を評価する処理について説明する。
【0035】
計測値取得部201は、各空調機4の吸込温度センサ45および外気温度センサ46から吸込温度および外気温度の計測値を取得する(ステップS101)。
【0036】
空調機評価部202は、空調機4の吸込温度および外気温度に基づいて、データセンタDC全体の空調機動力を評価する(ステップS102)。
【0037】
たとえば、空調機評価部202は、各空調機4の吸込温度および外気温度と、室内機41および室外機42を接続する配管43の長さ(配管距離)と、空調機4の仕様で定められた冷房能力とに基づいて、各空調機4の動力(消費電力[kW])を算出する。各空調機4の動力を算出する方法は既知であるので、説明を省略する。また、空調機評価部202は、各空調機4の動力を合計して、データセンタDC全体の空調機動力合計値Qp[kW]を求める。図1の例では、空調機評価部202は、空調機4a~4gの8台分の動力を合計した空調機動力合計値Qpを求める。
【0038】
次に、監視装置2がデータセンタDCの除熱量を評価する処理について説明する。この処理は、空調機動力の評価と並行して実施される。
【0039】
計測値取得部201は、各ラック3の吸気温度センサ35、流速計36、および排気温度センサ37から吸気F1の温度(吸気温度)、吸気F1の流速、および排気F2の温度(排気温度)の計測値を取得する(ステップS103)。
【0040】
また、除熱量評価部203は、各計測値から空調機4によるラック3の除熱量Qcを評価する。
【0041】
具体的には、まず、除熱量評価部203は、以下の式(1)~(2)により各ラック3に対する空気Fの風量(質量流量m[kg/s])を導出する(ステップS104)。
【0042】
V=A×v ・・・(1)
【0043】
m=V×ρ ・・・(2)
【0044】
式(1)のVは体積流量[m/s]、Aはラック3の空気入口の断面積、vは流速計36が計測した吸気F1の流速である。また、式(2)のρは吸気F1の密度である。密度ρは、吸気F1の温度(吸気温度)および圧力(大気圧)から求められる。
【0045】
次に、除熱量評価部203は、以下の式(3)により各ラック3の交換熱量Q[kW]を導出する(ステップS105)。
【0046】
Q=m×cp×ΔT ・・・(3)
【0047】
式(3)mは式(2)で導出した質量流量、cpは比熱、ΔTは吸気温度と排気温度の温度差である。比熱cpは、吸気F1の温度(吸気温度)および圧力(大気圧)から求められる。
【0048】
次に、除熱量評価部203は、複数のラック3それぞれの交換熱量Qを合計して、データセンタDC内のすべてのラック3の合計除熱量Qc[kW]を評価する(ステップS106)。
【0049】
空調機動力および除熱量の評価が完了すると、効率評価部204は、以下の式(4)によりデータセンタDCにおける空調機4のPUEを評価する(ステップS107)。
【0050】
PUE=(Qp+Qc)/Qc ・・・(4)
【0051】
次に、異常判定部205は、式(4)で算出したPUEに基づいて、空調機4の電力消費が異常であるか否かを判定する(ステップS108)。具体的には、異常判定部205は、PUEが所定の判定閾値未満である場合(ステップS108;NO)、異常無しと判定し(ステップS109)、処理を終了する。判定閾値は、たとえば「1.5」であり、データセンタDCに対するエネルギー効率の要求仕様や、データセンタDCの規模などに基づき任意に変更してよい。
【0052】
一方、異常判定部205は、PUEが判定閾値以上である場合(ステップS108;YES)、空調機4の電力消費が異常であると判定し、監視員に対して警告を出力する(ステップS110)。異常判定部205は、たとえば表示装置2Aに警告メッセージなどの態様で警告を出力する。また、異常判定部205は、不図示のスピーカに音声による警告メッセージの読み上げや警告音の出力などを行ってもよいし、監視員が所持する端末(パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなど)に警告メッセージ(メールなど)を送信してもよい。
【0053】
監視装置2は、周期的に図3の一連の処理を実行して、データセンタDCにおける空調機4のPUEを監視する。
【0054】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る監視装置2は、データセンタDCの外部で計測された外気温度と、空調機4の室内機41の吸込温度とに基づいて空調機動力Qpを評価する空調機評価部202と、ラック3に取り込まれる冷却用の空気Fの吸気温度と、ラック3から排気される空気Fの排気温度と、空気Fの流速とに基づいてラック3の除熱量Qcを評価する除熱量評価部203と、空調機動力Qpと、除熱量Qcとに基づいてデータセンタDCの空調機4のPUEを評価する効率評価部204と、を備える。
【0055】
このようにすることで、監視装置2は、データセンタDCに温度および流速を計測する簡易な構成を設けるのみで、空調機4がラック3を冷却するために消費した電力の効率(PUE)を評価、監視することができる。
【0056】
また、監視装置2は、PUEが所定の判定閾値を超えた場合に、空調機4の電力消費が異常であると判定する異常判定部205をさらに備える。
【0057】
このようにすることで、監視装置2は、データセンタDCの空調機4が、ラック3の冷却に寄与しない電力を異常に消費していることを検出することができる。
【0058】
また、異常判定部205は、空調機4の電力消費が異常であると判定した場合に、監視員に対し警告を出力してもよい。
【0059】
監視装置2は、警告を出力することで、監視員に空調機の設定を変更するなどの対策を速やかに実施するよう促すことができる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について図5を参照しながら説明する。上述の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0061】
図5は、第2の実施形態に係る入口計測点および出口計測点の一例を示す図である。
図5に示すように、ラック3の吸気温度および流速を計測する入口計測点Pi、および排気温度を計測する出口計測点Poは、それぞれ複数箇所に設定されてもよい。
【0062】
図5の例では、ラック3の前面31は9つの領域に分割され、各領域に1つの入口計測点Pi1~Pi9(たとえば各領域の中央付近)が設定される。また、ラック3の後面32は、前面31に対応する9つの領域に分割される。後面32の各領域には、入口計測点Pi1~Pi9それぞれに対応する位置に出口計測点Po1~Po9が設定される。
【0063】
吸気温度センサ35および流速計36は、入口計測点Pi1~Pi9それぞれに1つずつ設けられる。排気温度センサ37は出口計測点Po1~Po9それぞれに1つずつ設けられる。
【0064】
また、本実施形態において、監視装置2の除熱量評価部203は、図4のステップS104において、各計測点の計測値を用いて、ラック3の領域ごとの風量(質量流量m)を求める。
【0065】
具体的には、除熱量評価部203は、まず、各入口計測点Pi1~Pi9で計測した流速vi(v1~v9)と、各入口計測点Pi1~Pi9に対応する領域における空気入口の断面積Ai(A1~A9)とに基づいて、以下の式(5)によりラック3の領域ごとの体積流量Vi(V1~V9)を求める。
【0066】
Vi=Ai×vi ・・・(5)
【0067】
また、除熱量評価部203は、各領域の体積流量Vi(V1~V9)と、密度ρi(ρ1~ρ9)とに基づいて、以下の式(6)によりラック3の各領域の質量流量mi(m1~m9)を求める。
【0068】
mi=Vi×ρi ・・・(6)
【0069】
次に、除熱量評価部203は、図4のステップS105において、各計測点の計測値を用いてラック3の交換熱量Qを求める。具体的には、除熱量評価部203は、各計測点の質量流量mi(m1~m9)と、比熱cpi(cp1~cp9)と、吸気温度と排気温度の温度差ΔTi(ΔT1~ΔT9)とに基づいて、以下の式(7)によりラック3の領域ごとの熱交換量を合計した交換熱量Qを求める。
【0070】
Q=Σ(mi×cpi×ΔTi) ・・・(7)
【0071】
また、除熱量評価部203は、図4のステップS106において、複数のラック3それぞれの交換熱量Qを合計して、データセンタDC内のすべてのラック3の合計除熱量Qc[kW]を評価する。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る監視装置2において、除熱量評価部203は、ラック3の複数の入口計測点Piおよび出口計測点Poそれぞれで計測した計測値に基づいて、各計測点に対応する領域ごとの交換熱量を合計した交換熱量Qを算出して、複数のラック3それぞれの交換熱量Qを評価する。また、除熱量評価部203は、複数のラック3それぞれの交換熱量Qを合計して、複数のラック3全体の除熱量Qcを評価する。
【0073】
このようにすることで、監視装置2は、より正確にラック3の除熱量Qc、および空調機4がラック3の冷却に消費した電力の効率(PUE)を評価することができる。
【0074】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について図6~8を参照しながら説明する。上述の実施形態と共通の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
【0075】
(監視装置の機能構成)
図6は、第3の実施形態に係る空調機およびラックの構成を示す図である。
図6に示すように、本実施形態に係る監視装置2において、プロセッサ20は検出部206、制御部207としての機能をさらに発揮する。
【0076】
検出部206は、異常判定部205により空調機4の電力消費が異常であると判定された場合に、複数のラック3のうち、吸気温度または排気温度が所定の上限温度以上となるホットスポットを有するラック3を検出する。ホットスポットは、データセンタDC内で局所的に温度が高くなっている場所である。ホットスポットは、他のラック3よりも多数のサーバが格納されたラック3や、計算負荷が集中しているサーバを格納するラック3や、空調機4から離れた位置に設置されたラック3などに発生する場合がある。
【0077】
制御部207は、検出部206によりホットスポットを有するラックが検出された場合に、複数の空調機4のうち、ホットスポットを有するラック3の冷却に最も寄与する空調機4の設定温度を下げ、他の空調機4のうち少なくとも一の空調機4の設定温度を上げる。
【0078】
(監視装置の処理フロー)
図7は、第3の実施形態に係る監視装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7のステップS201~S210の処理は、図4のステップS101~S110の処理と同じであるため、説明を省略する。ここでは、本実施形態に特有の処理、すなわち、図7のステップS211~S212の処理について説明する。
【0079】
検出部206は、異常判定部205により空調機4の電力消費が異常であると判定された場合に(S208;YES、かつS210を実施)、ホットスポットの有無を判定する(ステップS211)。
【0080】
検出部206は、全てのラック3の吸気温度および排気温度が所定の上限温度未満である場合、データセンタDCにホットスポットは存在しないと判定する(ステップS211;NO)。この判定結果は、監視員が確認できるように表示装置2Aに表示されてもよい。
【0081】
一方、検出部206は、いずれかのラック3において、吸気温度または排気温度が上限温度以上である場合、この温度を計測したラック3にホットスポットが存在すると判定する(ステップS211;YES)。
【0082】
図8は、第3の実施形態に係る監視装置の機能を説明するための図である。
たとえば、複数のラック列30a~30eのうち、ラック列30cのラック3cnの吸気温度と、ラック列30dのラック3d1の排気温度が上限温度以上であったとする。この場合、検出部206は、ラック3cnおよびラック3d1をホットスポットを有するラックとして検出する。
【0083】
このとき、検出部206は、ホットスポットが存在する位置を特定可能な情報(ホットスポットが存在するラック3cn,3d1の名称や識別番号など)を表示装置2Aに表示して、監視員に通知してもよい。また、データセンタDCの各ラック3の配置を示す画像データ(地図データ)に、ホットスポットが検出されたラック3cn,3d1の位置を示すマーク(図8のホットスポットマークHS)を重畳して表示装置2Aに表示してもよい。
【0084】
また、検出部206は、第2の実施形態のように各ラック3に複数の入口計測点Piおよび出口計測点Poが設定されている場合、ホットスポットが存在する計測点の位置を、表示装置2Aを通じて監視員に通知してもよい。
【0085】
次に、制御部207は、複数の空調機4(4a~4e)のうち、ホットスポットを有するラック3の冷却に最も寄与する空調機4の設定温度を下げ、他の空調機4のうち少なくとも一の空調機4の設定温度を上げる設定変更処理を実施する(ステップS212)。
【0086】
図8の例では、ラック3cnは、前面31(空気入口)側にホットスポットを有する。したがって、制御部207は、このホットスポットが存在する通路(ラック列30b,30cの間のコールドアイルCI)を冷却する空調機4cを、ラック3bnの冷却に最も寄与する空調機として選択する。また、ラック3d1は、後面32(空気出口)側にホットスポットを有する。したがって、制御部207は、このホットスポットが存在する通路(ラック列30d,30eの間のホットアイルHI)を冷却する空調機4eを、ラック3d1の冷却に最も寄与する空調機として選択する。
【0087】
制御部207は、選択した空調機4c,4eの設定温度を一定温度(α℃)下げる。また、他の空調機4a,4b,4d,4f,4gのうち、設定温度を上げてもよい空調機については、設定温度を一定温度(β℃)上げる。α℃とβ℃の値は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0088】
たとえば、制御部207は、予め吸気基準温度および排気基準温度を設定しておく。
ある通路に前面31を向ける全てのラック3の吸気温度が吸気基準温度以下である場合、制御部207は、この通路を冷却する空調機4の設定温度を上げてもよいと判断する。図8において、ラック列30aの全ラック3a1~3anの吸気温度が吸気基準温度以下であったとする。この場合、制御部207は、このラック列30aの吸気側の通路を冷却する空調機4aの設定温度を上げてもよいと判断する。
【0089】
なお、制御部207は、設定温度を上げてもよい空調機4を複数選択してもよい。たとえば、制御部207は、ラック列30aの全ラック3a1~3anの排気温度、および、
ラック列30bの全ラック3b1~3bnの排気温度が排気基準温度以下である場合、これらラック列30a,30b間の通路を冷却する空調機4bについても、設定温度を上げてよいと判断する。そうすると、制御部207は、空調機4aおよび空調機4bの両方について、設定温度をβ℃を上げる制御を行う。
【0090】
このようにすることで、監視装置2は、ホットスポットが存在する箇所の冷却効果を向上させつつ、空調機4全体の消費電力が増加してPUEが悪化することを抑制することができる。
【0091】
監視装置2は、周期的に図6の一連の処理を実行して、データセンタDCにおける空調機4のPUEの監視に加えて、ホットスポットの検出および解消を行う。
【0092】
なお、他の実施形態では、監視装置2は、ホットスポットの存在を監視員に通知する処理までを実行し、空調機4の温度設定の変更を監視員に手動で行わせてもよい。この場合、監視装置2は制御部207を有していなくてもよい。
【0093】
(作用、効果)
以上のように、本実施形態に係る監視装置2は、空調機4の電力消費が異常であると判定された場合に、複数のラック3のうち、吸気温度または排気温度が所定の上限温度以上となるホットスポットが存在するラックを検出する検出部206をさらに備える。
【0094】
このようにすることで、監視装置2は、ホットスポットが存在することを迅速に検出することができるとともに、ホットスポットの位置を特定することができる。また、監視装置2は、このホットスポットの位置を特定可能な情報を表示装置2Aに表示してもよい。そうすると、監視員は、ホットスポットの位置を確認して、各空調機4の設定温度を任意に変更することができる。
【0095】
また、監視装置2は、ホットスポットが検出された場合に、複数の空調機4のうち、ホットスポットがあるラック3の冷却に最も寄与する空調機4の設定温度を下げ、他の空調機4の設定温度を上げる制御部207をさらに備える。
【0096】
従来の技術では、データセンタにホットスポットが存在する場合、全ての空調機の設定温度を下げてホットスポットを解消していた。しかしながら、このように全ての空調機の設定温度を下げると、PUEが増加してしまう。しかしながら、本実施形態に係る監視装置2は、ホットスポットの冷却に寄与する空調機4の設定温度のみを下げ、それ以外の空調機については設定温度を上げる制御を行う。このようにすることで、監視装置2は、ホットスポットが存在する箇所の冷却効果を向上させつつ、空調機4全体の消費電力が増加してPUEが悪化することを抑制することができる。
【0097】
<その他の実施形態>
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0098】
上述した実施形態において、データセンタDCが1つのフロアのみで構成される態様を例として説明したが、他の実施形態では、データセンタDCは複数のフロアを有していてもよい。この場合、監視装置2の効率評価部204は、フロアごとの空調機4の電力使用効率pPUE(partial PUE)を評価してもよい。また、効率評価部204は、フロアごとの空調機4のpPUEを合計して、データセンタDC全体における空調機4のPUEをさらに評価してもよい。
【0099】
<付記>
上述の実施形態に記載の監視装置、監視方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0100】
(1)第1の態様によれば、監視装置2は、データセンタDCの外部に設置された室外機42およびデータセンタDCの内部に設置された室内機41からなる空調機4について、データセンタDCの外部で計測された外気温度と、室内機41の吸込温度とに基づいて空調機動力Qpを評価する空調機評価部202と、データセンタDCにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラック3について、ラック3に吸気される空気Fの温度を計測した吸気温度と、ラック3から排気される空気Fの温度を計測した排気温度と、空気Fの流速とに基づいてラック3の除熱量Qcを評価する除熱量評価部203と、空調機動力Qpと、除熱量Qcとに基づいてデータセンタDCの空調機4の電力使用効率(PUE)を評価する効率評価部204と、を備える。
【0101】
このようにすることで、監視装置2は、データセンタDCに温度および流速を計測する簡易な構成を設けるのみで、空調機4がラック3を冷却するために消費した電力の効率(PUE)を評価、監視することができる。
【0102】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る監視装置2において、吸気温度は、ラック3の前面31に設定された複数の入口計測点Piで計測され、排気温度は、複数の入口計測点Piそれぞれに対応してラック3の後面32に設定された複数の出口計測点Poで計測され、流速は、複数の入口計測点Piまたは複数の出口計測点Poで計測され、除熱量評価部203は、複数の吸気温度と、複数の排気温度と、複数の流速とに基づいて、ラック3の除熱量Qcを評価する。
【0103】
このようにすることで、監視装置2は、より正確にラック3の除熱量Qc、および空調機4がラック3の冷却に消費した電力の効率(PUE)を評価することができる。
【0104】
(3)第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る監視装置2は、電力使用効率(PUE)が所定の判定閾値を超えた場合に、空調機4の電力消費が異常であると判定する異常判定部205をさらに備える。
【0105】
このようにすることで、監視装置2は、データセンタDCの空調機4が、ラック3の冷却に寄与しない電力を異常に消費していることを検出することができる。
【0106】
(4)第4の態様によれば、第3の態様に係る監視装置2は、空調機4の電力消費が異常であると判定された場合に、複数のラック3のうち、吸気温度または排気温度が所定の上限温度以上となるホットスポットが存在するラック3を検出する検出部206をさらに備える。
【0107】
このようにすることで、監視装置2は、ホットスポットが存在することを迅速に検出することができるとともに、ホットスポットの位置を特定することができる。また、監視装置2は、このホットスポットの位置を特定可能な情報を表示装置2Aに表示してもよい。そうすると、監視員は、ホットスポットの位置を確認して、各空調機4の設定温度を任意に変更することができる。
【0108】
(5)第5の態様によれば、第4の態様に係る監視装置2は、ホットスポットが検出された場合に、複数の空調機4のうち、ホットスポットがあるラック3の冷却に最も寄与する空調機4の設定温度を下げ、他の空調機4のうち少なくとも一の空調機4の設定温度を上げる制御部207をさらに備える。
【0109】
このようにすることで、監視装置2は、ホットスポットが存在する箇所の冷却効果を向上させつつ、空調機4全体の消費電力が増加してPUEが悪化することを抑制することができる。
【0110】
(6)第6の態様によれば、監視方法は、データセンタDCの外部に設置された室外機42およびデータセンタDCの内部に設置された室内機41からなる空調機4について、データセンタDCの外部で計測された外気温度と、室内機41の吸込温度とに基づいて空調機動力Qpを評価するステップと、データセンタDCにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラック3について、ラック3に吸気される空気Fの温度を計測した吸気温度と、ラック3から排気される空気Fの温度を計測した排気温度と、空気Fの流速とに基づいてラック3の除熱量Qcを評価するステップと、空調機動力Qpと、除熱量Qcとに基づいてデータセンタDCの空調機4の電力使用効率(PUE)を評価するステップと、を有する。
【0111】
(7)第7の態様によれば、プログラムは、データセンタDCの外部に設置された室外機42およびデータセンタDCの内部に設置された室内機41からなる空調機4について、データセンタDCの外部で計測された外気温度と、室内機41の吸込温度とに基づいて空調機動力Qpを評価するステップと、データセンタDCにおいて少なくとも1つの電子機器を格納するラック3について、ラック3に吸気される空気Fの温度を計測した吸気温度と、ラック3から排気される空気Fの温度を計測した排気温度と、空気Fの流速とに基づいてラック3の除熱量Qcを評価するステップと、空調機動力Qpと、除熱量Qcとに基づいてデータセンタDCの空調機4の電力使用効率(PUE)を評価するステップと、を監視装置2に実行させる。
【符号の説明】
【0112】
1 監視システム
2 監視装置
20 プロセッサ
201 計測値取得部
202 空調機評価部
203 除熱量評価部
204 効率評価部
205 異常判定部
206 検出部
207 制御部
21 メモリ
22 ストレージ
23 通信インタフェース
24 入出力インタフェース
2A 表示装置
2B 入力装置
3 ラック
30 ラック列
31 前面
32 後面
35 吸気温度センサ
36 流速計
37 排気温度センサ
4 空調機
41 室内機
42 室外機
43 配管
45 吸込温度センサ
46 外気温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8