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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139035
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】温度管理システム、温度管理方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20241002BHJP
   G01P 13/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G01K7/00 301M
G01P13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049813
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康博
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034AB01
2F034AC01
(57)【要約】
【課題】空間の温度の分布をユーザに把握させることを目的とする。
【解決手段】センサと、情報処理装置とを含む温度管理システムであって、前記センサは、設置された位置の風向及び風速を測定する気流センサと、設置された位置の空気の温度を検出する温度センサとを含み、前記情報処理装置は、前記センサが測定した測定データを収集するデータ収集部と、前記測定データに含まれる前記風向及び風速に基づき、一定の空間の気流を推定する気流推定部と、推定された前記気流と、前記測定データに含まれる前記温度とに基づき、前記一定の空間の温度の分布を推定する温度推定部と、前記温度の分布を示す情報を表示装置に表示させる出力部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサと、情報処理装置とを含む温度管理システムであって、
前記センサは、設置された位置の風向及び風速を測定する気流センサと、設置された位置の空気の温度を検出する温度センサとを含み、
前記情報処理装置は、
前記センサが測定した測定データを収集するデータ収集部と、
前記測定データに含まれる前記風向及び風速に基づき、一定の空間の気流を推定する気流推定部と、
推定された前記気流と、前記測定データに含まれる前記温度とに基づき、前記一定の空間の温度の分布を推定する温度推定部と、
前記温度の分布を示す情報を表示装置に表示させる出力部と、を有する温度管理システム。
【請求項2】
前記温度推定部は、
指定された時刻における前記一定の空間の温度の分布を予測し、
前記出力部は、
予測された前記温度の分布を示す情報を前記表示装置に表示させる、請求項1記載の温度管理システム。
【請求項3】
前記一定の空間内における領域を特定する領域情報と、前記領域における温度の目標値と、を取得する情報取得部と、
前記一定の空間に設置された空気調和機を制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、を有し、
前記制御信号生成部は、
前記領域情報と、前記目標値と、推定された前記気流と、前記測定データに含まれる前記温度とに基づき、前記領域の温度が目標値を含む所定範囲となるように、前記制御信号を生成し、
前記出力部は、
前記空気調和機に対して前記制御信号を送信する、請求項1記載の温度管理システム。
【請求項4】
前記一定の空間内における領域を特定する領域情報と、前記領域における温度の目標値と、予定した時間を示す予定時間情報とを取得する情報取得部と、
前記一定の空間に設置された空気調和機を制御する制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記領域情報と、前記目標値と、前記予定時間情報と、推定された前記気流と、前記測定データに含まれる前記温度とに基づき、前記領域の温度を、前記予定した時間までに目標値を含む所定範囲とする前記空気調和機の設定値を算出する算出部と、を有し、
前記制御信号生成部は、
前記算出部により算出された設定値と対応した制御信号を生成し、
前記出力部は、
前記空気調和機に対して前記制御信号を送信する、請求項1記載の温度管理システム。
【請求項5】
前記出力部は、
前記算出部により算出された設定値を前記表示装置に表示させる、請求項4記載の温度管理システム。
【請求項6】
センサと、情報処理装置とを含む温度管理システムによる温度管理方法であって、
前記センサは、設置された位置の風向及び風速を測定する気流センサと、設置された位置の空気の温度を検出する温度センサとを含み、
前記情報処理装置が、
前記センサが測定した測定データを収集し、
前記測定データに含まれる前記風向及び風速に基づき、一定の空間の気流を推定し、
推定された前記気流と、前記測定データに含まれる前記温度とに基づき、前記一定の空間の温度の分布を推定し、
前記温度の分布を示す情報を表示装置に表示させる、温度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度管理システム、温度管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、気流センサの位置を示すセンサ位置情報と、気流センサが測定したデータとに基づいて、一定の空間の気流を推定し、推定された気流を示すデータを表示させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-107766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、空気調和機等の設備が配置された屋内の空間では、場所によって温度差が生じる。また、この温度差は、空間の気流によって逐次変化するものであるが、上述した従来の技術では、温度の分布をユーザに把握させることは考慮されていない。
【0005】
本発明は、空間の温度の分布をユーザに把握させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、センサ(200)と、情報処理装置(400)とを含む温度管理システム(100)であって、前記センサ(200)は、設置された位置の風向及び風速を測定する気流センサ(210)と、設置された位置の空気の温度を検出する温度センサ(223)とを含み、前記情報処理装置(400)は、前記センサ(200)が測定した測定データを収集するデータ収集部(420)と、前記測定データに含まれる前記風向及び風速に基づき、一定の空間の気流を推定する気流推定部(430)と、推定された前記気流と、前記測定データに含まれる前記温度とに基づき、前記一定の空間の温度の分布を推定する温度推定部(440)と、前記温度の分布を示す情報を表示装置(500)に表示させる出力部(460)と、を有する。
【0007】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
空間の温度の分布をユーザに把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態の温度管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】温度管理システムの利用シーンについて説明する図である。
図3】センサの外観の一例を示す図である。
図4】センサの本体部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】第一の実施形態の情報処理装置の機能の一例を示す図である。
図7】第一の実施形態の情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
図8】第一の実施形態の端末装置の表示例を示す図である。
図9】第二の実施形態の情報処理装置の機能の一例を示す図である。
図10】第二の実施形態の情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
図11】第三の実施形態の情報処理装置の機能の一例を示す図である。
図12】第三の実施形態の情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して、第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の温度管理システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0011】
本実施形態の温度管理システム100は、センサ200と、通信端末300と、情報処理装置400と、を含む。
【0012】
センサ200は、複数のセンサ200-1、200-2、・・・、200-5を含む。なお、センサ200は、1つでも、複数のセンサ200-1、200-2等から構成されていてもよい。
【0013】
本実施形態のセンサ200は、センサ200が設置された地点の温度を検出するための温度センサと、風向及び風速を検出するための気流センサとを含み、温度センサ及び気流センサによって検出された測定データを通信端末300へ送信する無線通信機能と、を有する。センサ200の詳細は、後述する。
【0014】
通信端末300は、センサ200と情報処理装置400との間の通信を中継するアクセスポイントとなる。
【0015】
情報処理装置400は、通信端末300を介して、センサ200からデータを収集する。また、情報処理装置400は、収集した測定データを解析し、センサ200が設置された空間の空気の流れを解析する。
【0016】
また、情報処理装置400は、ネットワーク等を介して端末装置500と通信を行い、解析結果を端末装置500に出力する。本実施形態の端末装置500は、主に、温度管理システム100のユーザが利用する端末装置であり、タブレット型端末やスマートフォン等の可搬型の端末装置であってよい。
【0017】
なお、図1の例では、通信端末300と情報処理装置400とを別々に設けるものとしたが、これに限定されない。通信端末300と情報処理装置400とは、1つの装置に含まれても良い。言い換えれば、通信端末300は、情報処理装置400に含まれてよい。
【0018】
本実施形態のセンサ200と通信端末300とは、例えば、無線通信を用いたメッシュネットワークを介して通信を行う。したがって、センサ200のそれぞれは、情報の受信元と送信先が決まっている。また、本実施形態では、情報処理装置400は、端末装置500を含んでもよい。
【0019】
例えば、センサ200-1は、情報の受信元である通信端末300から、センサ200-3の気流センサ210が検出した測定データの送信要求を受信すると、この送信要求を、情報の送信先であるセンサ200-2へ送信する。
【0020】
センサ200-2は、情報の受信元であるセンサ200-1から、センサ200-3の気流センサ210が検出した測定データの送信要求を受信すると、この送信要求を、情報の送信先であるセンサ200-3へ送信する。
【0021】
センサ200-3は、情報の受信元であるセンサ200-1から、気流センサ210が検出した測定データの送信要求を受信すると、センサ200-3の気流センサ210が検出した測定データをセンサ200-2へ返す。センサ200-2は、この測定データをセンサ200-1へ返し、センサ200-1は、この測定データを通信端末300へ返す。
【0022】
温度管理システム100は、このような通信を繰り返し、各センサ200の気流センサ210によって検出された測定データを、情報処理装置400に収集する。
【0023】
また、本実施形態の温度管理システム100は、例えば、空気調和機等の設備が配置された屋内の空間における温度の管理に適用され得る。
【0024】
本実施形態によれば、空間における任意の箇所にセンサ200を設置することで、多点の温度と気流の変化をモニタリングすることができる。また、本実施形態では、メッシュネットワークを用いるため、アクセスポイントを複数設ける必要がなく、遮蔽物等が存在する大規模な工場等であっても1つのシステムで多点の気流を計測することができる。
【0025】
以下に、本実施形態の温度管理システム100を、冷蔵倉庫に適用した場合について説明する。
【0026】
図2は、温度管理システムの利用シーンについて説明する図である。図2の例では、冷蔵倉庫20内にセンサ200-1~センサ200-5が設置された状態を示している。なお、図示していないが、通信端末300と情報処理装置400も、冷蔵倉庫20内に設置されてよい。
【0027】
冷蔵倉庫20には、空気調和機21、22が設置されている。空気調和機21、22は、それぞれが空気の流入口、流出口となり得る。また、冷蔵倉庫20内には、センサ200-1~200-5が設置されており、各センサ200は、設置された地点の温度と、風向及び風速を含む測定データを通信端末300に送信する。通信端末300は、測定データを収集して情報処理装置400へ送信する。
【0028】
本実施形態の情報処理装置400は、空気調和機21、22が設置された位置と、センサ200-1~200-5が設置された位置と、を含む冷蔵倉庫20内のレイアウトを示す情報と、空気調和機21、22から流入する空気の風向及び風速を示す情報と、の入力を受け付ける。
【0029】
レイアウトを示す情報は、端末装置500から入力されてもよい。以下の説明では、冷蔵倉庫20内のレイアウトを示す図を、レイアウト情報と表現する場合がある。空気調和機21、22から流入する空気の風向及び風速を示す情報を初期情報と表現する場合がある。初期情報は、言い換えれば、冷蔵倉庫20における流入口から流入する空気の風速及び風向を示す情報、冷蔵倉庫20における流出口から流出する空気の風速及び風向を示す情報の少なくとも何れかを含む。
【0030】
情報処理装置400は、初期情報と、測定データに含まれる各地点の風向及び風速と、レイアウト情報とに基づき、冷蔵倉庫20内の空間における気流を推定する。
【0031】
また、情報処理装置400は、測定データに含まれる各地点の温度と、レイアウト情報と、気流とに基づき、冷蔵倉庫20内の温度の分布を推定し、端末装置500に表示させる。
【0032】
図2の例では、空気調和機21から空気21aが流入しており、空気調和機22から空気22aが流入しており、空気21aと空気22aとは、温度が異なるものとする。
【0033】
この場合、冷蔵倉庫20において、空気21aが流入する領域23と、空気22aが流入する領域24とは、同一の空間でありながら、温度が異なる領域となる。
【0034】
本実施形態では、この点に着目し、同一空間に存在する、温度が異なる領域23、24を、温度管理システム100のユーザに把握させることで、領域23、24のそれぞれを各領域の温度に応じた方法で利用させる。
【0035】
例えば、情報処理装置400は、領域23における温度の範囲が0~5℃程度であり、領域24における温度の範囲が10~15℃程度である場合、冷蔵倉庫20における領域23の温度の範囲と領域24の温度の範囲とを示す情報を端末装置500に表示させる。これにより、温度管理システム100のユーザは、領域23には0~5℃程度で保管することが好ましい物品を配置し、領域24には10~15℃程度で保管することが好ましい物品を配置することができる。したがって、本実施形態によれば、ユーザに対し、冷蔵倉庫20内の温度の分布をユーザに把握させることができ、空間を有効に活用させることができる。
【0036】
次に、図3図4を参照して、本実施形態のセンサ200について説明する。図3は、センサの外観の一例を示す図である。
【0037】
センサ200は、気流センサ210と、本体部220とを有する。
【0038】
気流センサ210は、風向風速測定装置である。気流センサ210は、ほぼ円筒状の外枠を有し、内部には、空気等の流体の流向及び流速を検出するセンサ素子が実装されている。気流センサ210は、外部接続端子が本体部220に差し込まれることで、本体部220と導通する。
【0039】
図4は、センサの本体部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0040】
本体部220は、演算処理装置221、通信装置222、温湿度センサ223、気圧センサ224、照度センサ225、UV(ultraviolet)センサ226、加速度センサ227、バッテリ228を有する。
【0041】
演算処理装置221は、気流センサ210とシリアルバスで接続されており、気流センサ210から出力される測定データを取得する。通信装置222は、測定データの受信元及び測定データの送信先との通信を行う。
【0042】
温湿度センサ223は、センサ200が設置された空間の温度と湿度を検出する。温度と湿度は、センサ200が設置された空間の温度管理と湿度管理に用いられてもよい。温湿度センサ223は、センサ200が有する温度センサの一例である。
【0043】
気圧センサ224は、センサ200が設置された空間の気圧を検出する。気圧は、例えば、気圧が影響する湿度の補正等に用いられても良い。
【0044】
照度センサ225は、センサ200が設置された空間の照度を検出する。UV(ultraviolet;紫外線)センサ226は、センサ200が設置された空間の紫外線の強度を検出する。
【0045】
加速度センサ227は、センサ200の加速度を検出する。本実施形態では、例えば、加速度センサ227によって検出された値によって、センサ200が設置された場所から落下したことを検出したりできる。バッテリ228は、センサ200を駆動させるための電力を供給する電力源である。
【0046】
なお、本実施形態の本体部220は、温湿度センサ223、気圧センサ224、照度センサ225、UVセンサ226、加速度センサ227を有するものとしたが、これに限定されない。本体部220は、演算処理装置221と通信装置222とバッテリ228を有していれば良く、気流センサ210以外のセンサは有していなくても良い。また、本実施形態の本体部220は、温湿度センサ223、気圧センサ224、照度センサ225、UVセンサ226、加速度センサ227のうち、いずれか1つ又は複数を有していても良い。
【0047】
次に、図5を参照して、本実施形態の情報処理装置400のハードウェア構成について説明する。図5は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0048】
情報処理装置400は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置41、出力装置42、ドライブ装置43、補助記憶装置44、メモリ装置45、演算処理装置46及びインタフェース装置47を含むコンピュータである。
【0049】
入力装置41は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置42は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インタフェース装置47は、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0050】
温度管理プログラムは、情報処理装置400を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。温度管理プログラムは、例えば、記憶媒体48の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。温度管理プログラムを記録した記憶媒体48は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0051】
また、温度管理プログラムは、温度管理プログラムを記録した記憶媒体48がドライブ装置43にセットされると、記憶媒体48からドライブ装置43を介して補助記憶装置44にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた温度管理プログラムは、インタフェース装置47を介して補助記憶装置44にインストールされる。
【0052】
補助記憶装置44は、情報処理装置400の有する各記憶部等を実現するものであり、情報処理装置400にインストールされた温度管理プログラムを格納すると共に、情報処理装置400による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置45は、情報処理装置400の起動時に補助記憶装置44から温度管理プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置46はメモリ装置45に格納された温度管理プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0053】
図6は、第一の実施形態の情報処理装置の機能の一例を示す図である。情報処理装置400は、情報取得部410、データ収集部420、気流推定部430、温度推定部440、表示データ生成部450、出力部460、記憶部470と、を備える。
【0054】
情報取得部410は、端末装置500から入力される各種の情報を取得する。具体的には、情報取得部410は、レイアウト情報と初期情報を取得する。レイアウト情報と初期情報は、ユーザの操作によって端末装置500に入力された情報である。
【0055】
レイアウト情報は、各センサ200の位置を示すセンサ位置情報を含む。センサ位置情報は、例えば、XY平面における座標値を示す情報である。XY平面は、例えば気流を測定する床面からの高さにおける床面に並行な平面である。この気流を測定する床面からの高さは、床面から1m等のようにあらかじめ設定される。なお、センサ位置情報はセンサIDを含む。センサIDは、各センサ200を識別するための識別子である。
【0056】
また、レイアウト情報は、気流を推定する対象となる一定の空間において、気流に影響を与える物体の形状、大きさ及び位置を示す情報を含む。気流に影響を与える物体とは、例えば、壁、柱、大型機械、棚等の、気流を妨げる高さと大きさを有する物体を含む。また、気流に影響を与える物体とは、例えば、空気の流入口、流出口となり得る空気調和機、出入り口、窓等を含む。
【0057】
データ収集部420は、各センサ200から出力される測定データを通信端末300が受信すると、この測定データを収集する。各センサ200から出力される測定データは、例えば、風速及び風向とを示すデータ、温度を示すデータを含む。
【0058】
気流推定部430は、情報取得部410が取得したレイアウト情報と、データ収集部420が収集した測定データと、を解析して、一定の空間の空気の流れ(気流)を推定する。
【0059】
気流の推定結果は、例えば、空間内の複数の位置における風速と風向とを示すデータである。以下の説明では、気流推定部430による推定結果を、気流データと表現する場合がある。
【0060】
温度推定部440は、情報取得部410が取得した初期情報と、気流推定部430による推定結果である気流データと、データ収集部420が収集した測定データに含まれる温度と、を解析して、一定の空間における温度の分布を推定する。以下の説明では、温度推定部440による推定結果を温度分布データと表現する場合がある。
【0061】
表示データ生成部450は、温度分布データに基づき、空間における温度の分布を示す表示データを生成する。表示データの詳細は後述する。
【0062】
出力部460は、表示データ生成部450が生成した表示データを出力する。具体的には、出力部460は、表示データを端末装置500に送信する。
【0063】
記憶部470は、各種の設定データが格納される。例えば、気流の情報を出力する対象となる一定の空間の大きさ及び形状を示す情報を記憶する。また、記憶部470は、気流推定部430が気流を推定するために必要な方程式、関数等のモデルデータや、温度推定部440が温度を推定するために必要な方程式、関数等のモデルデータを記憶する。
【0064】
また、記憶部470は、情報取得部410が取得した情報、データ収集部420が収集した測定データ、気流推定部430が推定した結果を示すデータ、表示データ生成部450が生成した表示データ等を記憶する。
【0065】
次に、図7を参照して、情報処理装置400の処理について説明する。図7は、第一の実施形態の情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
【0066】
本実施形態の情報処理装置400は、情報取得部410により、レイアウト情報と初期情報とを取得する(ステップS701)。続いて、情報処理装置400は、データ収集部420により、センサ200から測定データを収集する(ステップS702)。
【0067】
続いて、情報処理装置400は、気流推定部430により、レイアウト情報が示す空間内の気流を推定する(ステップS703)。具体的には、気流推定部430は、空間内のあらかじめ決められた複数の地点における気流を推定する。例えば、格子状に区切られた各矩形領域の中心地点における気流を推定する。
【0068】
気流推定部430は、例えば、複数のセンサ200から収集した測定データに基づいて、間の地点の各地点の気流を補間することによって、各地点の気流を推定してよい。
【0069】
なお、気流推定部430は、センサ200から取得した風向及び風速に基づいて気流を推定する例を示したが、その他の情報、例えば気圧、温湿度、照度等をセンサ200から収集して、風向及び風速に加えて、または風向及び風速に代えて、気圧、温湿度、照度等に基づいて、気流を推定してよい。
【0070】
例えば、気流推定部430は、センサ200から近い地点から順に、気圧差を算出することによって、各地点の気流を推定する。また、気流推定部430は、ナビエ-ストークス方程式等の方程式を近似的に解くことによって、各地点の気流を推定してもよい。
【0071】
次に、情報処理装置400は、温度推定部440により、レイアウト情報が示す空間内の温度の分布を推定する(ステップS704)。温度推定部440は、複数のセンサ200が設置された各地点の温度と、初期情報と、レイアウト情報と、気流推定部430による推定結果を示す気流データとを用いて、空間内の温度の分布を推定する。
【0072】
続いて、情報処理装置400は、表示データ生成部450により、温度の分布を示す表示データを生成し(ステップS705)、出力部460により、表示データを端末装置500に出力する(ステップS706)。言い換えれば、情報処理装置400は、表示データを端末装置500に表示させる。
【0073】
なお、表示データを表示させる装置は、端末装置500に限定されない。表示データは、端末装置500以外の表示装置に表示されてもよいし、情報処理装置400の有する出力装置(表示装置)に表示されてもよい。
【0074】
次に、図8を参照して、本実施形態の表示データについて説明する。図8は、第一の実施形態の端末装置の表示例を示す図である。
【0075】
図8に示す画面501は、図7のステップS706において、端末装置500に表示される画面の一例である。
【0076】
画面501は、表示領域502、503を含む。表示領域502は、レイアウト情報に基づく空間内の温度の分布を示す画像70が表示される。なお、画像70は、空間を情報から見た上面図であってよい。
【0077】
画像70は、センサ200の配置を示す画像81~86、気流に影響を与える物体の画像87~90、空気調和機を示す画像91、92を含む。また、画像70には、空間内の温度の分布を示すグラデーション画像が重畳表示されていてよい。
【0078】
表示領域503は、表示領域71、操作ボタン72、73、74、表示領域75を含む。表示領域71には、測定データに含まれる値の一覧が表示される。
【0079】
操作ボタン72は、画面501を、レイアウト情報と初期情報の入力画面に遷移させるための操作ボタンである。情報処理装置400の表示データ生成部450は、画面501において、操作ボタン72が操作されると、画面501を、レイアウト情報と初期情報の入力画面に遷移させてよい。
【0080】
操作ボタン73は、画像70が示す空間の温度の分布を推定する処理を開始させるための操作ボタンである。情報処理装置400は、画面501において、操作ボタン73が操作されると、図7に示す処理を実行し、温度の分布の推定結果を表示領域502に表示させてもよい。
【0081】
操作ボタン74は、温度の分布を推定する処理を停止させるための操作ボタンである。情報処理装置400は、画面501において、操作ボタン73が操作されると、所定の間隔で図7の処理を実行し、操作ボタン74が操作されると、図7に示す処理の実行を停止してよい。また、情報処理装置400は、操作ボタン74が操作されると、表示領域502における画像70を非表示としてもよい。
【0082】
表示領域75は、将来の温度の分布を推定させるためのスライドバー75aとマーク75bとが表示される。情報処理装置400は、スライドバー75a上でマーク75bが操作されると、マーク75bが示す時刻の空間の温度の分布を推定し、その結果を表示領域502に表示させてもよい。つまり、本実施形態の情報処理装置400は、指定された時刻の空間の温度の分布を予測し、端末装置500に表示させてもよい。
【0083】
本実施形態では、このように、空間の温度の分布を表示させることで、ユーザに対して空間内の温度の分布の遷移を把握させることができる。
【0084】
なお、図8の例では、表示領域502に、温度の分布が表示されるものとしたが、これに限定されない。表示領域502には、気流を示す情報が表示されてもよい。
【0085】
以上のように、本実施形態では、リアルタイムで空間における温度の分布を可視化できる。したがって、本実施形態の温度管理システム100のユーザは、温度の分布に基づき、空間を活用することができる。具体的には、例えば、同一空間において温度が異なる領域毎に、保管温度が異なる物品を配置する等して、空間を効率的に利用することができる。
【0086】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、空間内で設定された領域毎の温度を制御する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態と相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号を付与し、その説明を省略する。
【0087】
図9は、第二の実施形態の情報処理装置の機能の一例を示す図である。情報処理装置400Aは、情報取得部410、データ収集部420、気流推定部430、温度推定部440、出力部460、記憶部470、判定部480、制御信号生成部490を備える。
【0088】
判定部480は、測定データに含まれる温度が所定の範囲内であるか否かを判定する。所定の範囲とは、空間における領域毎の目標値を含む所定の範囲である。空間における領域毎の目標値は、端末装置500において、レイアウト情報と共に入力されてよい。空間における領域を特定する領域情報は、レイアウト情報に含まれてよい。
【0089】
制御信号生成部490は、判定部480により、測定データに含まれる温度が所定の範囲となっていない場合に、空間に配置された空気調和機に対して出力する制御信号を生成する。
【0090】
次に、図10を参照して、本実施形態の情報処理装置400Aの処理について説明する。図10は、第二の実施形態の情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。
【0091】
本実施形態の情報処理装置400Aは、情報取得部410により、レイアウト情報と、初期情報と、領域毎の目標値を取得し(ステップS1001)、ステップS1002へ進む。
【0092】
図10のステップS1002とステップS1003の処理は、図7のステップS702とステップS703の処理と同様であるから、説明を省略する。
【0093】
続いて、情報処理装置400Aは、温度推定部440により、レイアウト情報に含まれる領域情報が示す領域毎に、温度を推定する(ステップS1004)。
【0094】
続いて、情報処理装置400Aは、判定部480により、各領域の温度の推定結果が、各領域の目標値を含む所定の範囲であるか否かを判定する(ステップS1005)。
【0095】
ステップS1005において、各領域の温度の推定結果が所定範囲内である場合、情報処理装置400Aは、処理を終了する。
【0096】
ステップS1005において、各領域の温度の推定結果が、各領域の目標値を含む所定の範囲外である場合、情報処理装置400Aは、制御信号生成部490により、各領域の温度を維持するための制御信号を生成する(ステップS1006)。
【0097】
続いて、情報処理装置400Aは、出力部460により、生成された制御信号を制御対象の機器へ出力し(ステップS1007)、ステップS1002へ戻る。なお、情報処理装置400Aは、制御信号を制御対象の機器へ出力してから所定の時間が経過した後に、ステップS1002へ戻ればよい。
【0098】
なお、本実施形態の情報処理装置400Aは、例えば、レイアウト情報に、複数の領域を特定する複数の領域情報が含まれる場合には、領域情報が示す全ての領域の温度が、所定範囲内である場合に、各領域の温度を維持するようにしてよい。
【0099】
本実施形態の制御対象の機器とは、レイアウト情報において特定される空気調和機であってよい。各領域の温度を維持するための制御信号とは、例えば、現在の空気調和機の設定を継続することを含む。
【0100】
本実施形態では、このように、空間内の領域毎に温度の目標値を設定し、領域毎に温度を管理するため、空間を有効に活用することができる。
【0101】
具体的には、例えば、情報処理装置400Aは、端末装置500から、冷蔵倉庫20における領域23、24を特定する領域情報と、領域23、24のそれぞれの温度について、異なる目標値の入力を受け付ける(図2参照)。なお、領域情報は、端末装置500に表示された冷蔵倉庫20を模した画像上で、ユーザが選択することで、レイアウト情報の一部として入力されてよい。領域情報は、3次元の座標値として、情報処理装置400Aに取得されてよい。
【0102】
情報処理装置400Aは、領域23を特定する領域情報と、領域23の温度の目標値と、領域23の温度を含む測定データとに基づき、領域23の温度を所定範囲内とするように、空気調和機21から冷蔵倉庫20に流入する空気21aの温度、風速、風向を制御してよい。また、情報処理装置400Aは、領域24を特定する領域情報と、領域24の温度の目標値と、領域24の温度を含む測定データとに基づき、領域24の温度を所定範囲内とするように、空気調和機22から冷蔵倉庫20に流入する空気22aの温度、風速、風向を制御してよい。
【0103】
また、本実施形態では、空間内で設定された領域を設定する際に、領域と領域の境目の近傍にセンサ200を設置し、領域と領域の境目の近傍の温度を検出することで、センサ温度を分布予測に使用できるため、領域毎の温度の制御の精度を向上させることができる。
【0104】
このように、冷蔵倉庫20内の空間に、温度の異なる領域を複数設けることができ、へ間温度の異なる物品を、同一の空間内で保管することができ、空間を効率的に利活用できる。
【0105】
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、予定した時間に空間内の領域の温度が目標値となるように空気調和機を制御する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点を説明し、第一の実施形態と同様の機能を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0106】
図11は、第三の実施形態の情報処理装置の機能の一例を示す図である。情報処理装置400Bは、情報取得部410、データ収集部420、気流推定部430、温度推定部440、出力部460、記憶部470、算出部480A、制御信号生成部490を備える。
【0107】
算出部480Aは、予定した時間に空間内の領域の温度を目標値とするための空気調和機の設定値を算出する。空気調和機の設定値には、温度、風向、風速が含まれてよい。なお、予定した時間を示す情報は、端末装置500により入力される情報であってよい。
【0108】
図12は、第三の実施形態の情報処理装置の処理を説明するフローチャートである。本実施形態の情報処理装置400Bは、情報取得部410により、レイアウト情報と、初期情報と、領域毎の目標値と、予定した時間を示す予定時間情報を取得し(ステップS1201)、ステップS1202へ進む。
【0109】
図12のステップS1202からステップS1204までの処理は、図10のステップS1002からステップS1004までの処理と同様であるから、説明を省略する。
【0110】
続いて、情報処理装置400Bは、算出部480Aにより、予定した時間に空間内の領域の温度を目標値とするための空気調和機の設定値を算出する(ステップS1205)。
【0111】
具体的には、算出部480Aは、ステップS1201で取得した予定時間情報及び各領域の温度の目標値と、ステップS1202で収集した測定データに含まれる各領域の温度と、に基づき、予定した時間までに各領域の温度を目標値とするために、空間に流入させる空気の風向、風速、温度の値を算出する。そして、算出部480Aは、算出された空気の風向、風速、温度の値に基づき、制御対象の空気調和機の設定値を算出する。
【0112】
続いて、情報処理装置400Bは、制御信号生成部490により、制御対象の空気調和機に対して算出された設定値と対応した制御信号を生成する(ステップS1206)。続いて、情報処理装置400Bは、出力部460により、生成した制御信号を制御対象の空気調和機に対して送信する(ステップS1207)。
【0113】
なお、本実施形態では、ステップS1205において、算出した設定値をユーザに通知するようにしてもよい。この場合、情報処理装置400Bは、出力部460により、算出された設定値を端末装置500に表示させてもよい。
【0114】
本実施形態では、このように、予定した時間に各領域の温度を目標値とするように、空気調和機を制御することができる。したがって、本実施形態によれば、ユーザが予定した時間に、同一の空間内において温度が異なる複数の領域を設けることができる。このため、本実施形態によれば、例えば、物品が冷蔵倉庫20に搬入される時間に、領域23における温度の範囲を0~5℃程度とし、領域24における温度の範囲を10~15℃程度とすることができる(図2参照)。
【0115】
したがって、本実施形態によれば、空気調和機の稼動時間が不要に長くなることを抑制できる。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0117】
100 温度管理システム、200 センサ、210 気流センサ、400 情報処理装置、410 情報取得部、420 データ収集部、430 気流推定部、440 温度推定部、450 表示データ生成部、460 出力部、470 記憶部、480 判定部、480A 算出部、490 制御信号生成部
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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