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  • 特開-情報処理システム及び情報処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139051
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241002BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20241002BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20241002BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04N21/258
H04N21/442
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049835
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鶴留 新大
(72)【発明者】
【氏名】玉田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】興梠 展明
(72)【発明者】
【氏名】小川 純平
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C164FA06
5C164SB01S
5C164SC11P
5C164UB41P
5C164YA12
5L049CC18
5L050CC18
(57)【要約】
【課題】仮想空間における演者と観客とのコミュニケーションをより円滑に管理する情報処理システム及び情報処理方法を提供すること。
【解決手段】本開示に係る情報処理システム1は、インターネット2を介してユーザに仮想空間を提示する情報処理システムであって、所定期間中において、ユーザ30の動作を計測するユーザ端末300と、模範動作に対し、ユーザの動作の一致率を評価し、一致率の評価に基づいて、ユーザのスコアを算出し、スコアに基づいて、仮想空間におけるユーザの座標であるユーザ座標を変更する制御部11と、を備えるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介してユーザに仮想空間を提示する情報処理システムであって、
所定期間中において、前記ユーザの動作を計測するユーザ端末と、
模範動作に対し、前記ユーザの動作の一致率を評価し、前記一致率の評価に基づいて、前記ユーザのスコアを算出し、前記スコアに基づいて、前記仮想空間における前記ユーザの座標であるユーザ座標を変更する制御部と、を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記模範動作は、特定のリズムを有する期間を有し、
前記ユーザの動作は、前記ユーザが所定音圧レベル以上の音を発する動作を含み、
前記スコアの算出には、前記特定のリズムに対し、前記所定音圧レベル以上の音のタイミングの一致率を含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
所定期間中において、対象の動作を計測する対象端末を備え、
前記模範動作を、前記対象の動作とする、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記スコアが高いほど、前記ユーザの座標を仮想空間における前記対象の座標である対象座標に近付くように変更する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
インターネットを介してユーザに仮想空間を提示する情報処理方法であって、
所定期間中において、前記ユーザの動作を計測し、
模範動作に対し、前記ユーザの動作の一致率を評価し、
前記一致率の評価に基づいて、前記ユーザのスコアを算出し、前記スコアに基づいて、前記仮想空間における前記ユーザの座標であるユーザ座標を変更する、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム及び情報処理方法に関し、特に仮想空間における演者と観客とのコミュニケーションを管理する情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、観客の音声を検出して観客状況を推定する情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-285275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネットを用いたオンラインのコミュニケーションツールは日々発展しており、近年、ユーザが自身のアイコンとなるアバターを操作して他のユーザと交流を行える仮想空間である「メタバース」が注目されている。
【0005】
この発展により、オンラインのイベントにおいて、演者から観客へパフォーマンスを一方的に提供するだけでなく、観客からの反応をリアルタイムで受け取ることも可能になっている。また、観客からの反応は、文字やスタンプなどの簡易的な情報だけでなく、歓声などの音声や、観客のアバターを使用した感情表現など、より現実に近い方法によって、演者に伝えられるようになっている。
【0006】
また、仮想空間においては、三次元的な制約がないため、演者から観客の距離を近くすることができる一方で、観客が多数いる場合には、演者からは個々の観客を視認することが困難である。
【0007】
特許文献1には、観客の音声を検出して観客状況を推定する情報処理システムが開示されている。これにより、場の盛り上がり、歓声、笑い声、拍手など、観客全体の反応を推定することができるが、個々の反応を抽出することは困難である。
【0008】
このように、演者と観客とのコミュニケーション、即ち、一対多のコミュニケーションにおいては、まだ改善の余地があると言える。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る情報処理システムは、インターネットを介してユーザに仮想空間を提示する情報処理システムであって、所定期間中において、前記ユーザの動作を計測するユーザ端末と、模範動作に対し、前記ユーザの動作の一致率を評価し、前記一致率の評価に基づいて、前記ユーザのスコアを算出し、前記スコアに基づいて、前記仮想空間における前記ユーザの座標であるユーザ座標を変更する制御部と、を備えるものである。
【0010】
本開示に係る情報処理方法は、インターネットを介してユーザに仮想空間を提示する情報処理方法であって、所定期間中において、前記ユーザの動作を計測し、模範動作に対し、前記ユーザの動作の一致率を評価し、前記一致率の評価に基づいて、前記ユーザのスコアを算出し、前記スコアに基づいて、前記仮想空間における前記ユーザの座標であるユーザ座標を変更するものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、仮想空間における演者と観客とのコミュニケーションをより円滑に管理する情報処理システム及び情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る情報処理システムを示す図である。
図2】本実施の形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図3】本実施の形態に係る情報処理システムが仮想空間において実行する処理を示すシーケンス図である。
図4】本実施の形態に係る仮想空間におけるユーザと対象の位置関係を示す図である。
図5】本実施の形態に係る動作の一致率を説明する図である。
図6】本実施の形態に係るタイミングの一致率を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。本実施の形態では、仮想空間において、演者である対象がダンスや歌のパフォーマンスを披露、即ち、模範動作を行い、観客であるユーザが模範動作に合わせた動作を行うようなイベントを想定し、対象とユーザのコミュニケーションにおける制御を説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムを表している。本実施の形態に係る情報処理システム1は、演者である対象20及び観客であるユーザ30に対して、インターネット2を介して仮想空間3を提示する情報処理装置10を備える。
【0015】
情報処理装置10(より詳しくは、後述の制御部11)は、仮想空間3において、対象20をステージに配置し、ユーザ30を客席に配置するように設定する。この時、客席にそれぞれ配置されたユーザ30は、アバターとして対象20の端末に表示される。情報処理装置10(より詳しくは、後述の制御部11)は、仮想空間3において、対象20の座標を対象座標21と設定し、ユーザ30の座標をユーザ座標31と設定する。
【0016】
なお、本実施の形態において、対象20及びユーザ30が動作を行う空間を実空間と称し、情報処理装置10が提示する空間を仮想空間と称して区別をしている。また、対象座標21及びユーザ座標31は、仮想空間3における対象20の座標及びユーザ30の座標をそれぞれ表しているが、これに限定されない。対象座標21は、仮想空間3における対象20以外の座標として、仮想空間3における他の人物(アバター)の座標や、物体の座標でもよい。物体の例として、演者である対象20が表示されるモニターや、ステージの中心などが挙げられる。
【0017】
図2は、本実施の形態に係る情報処理システム1のブロック図を表している。本実施の形態に係る情報処理システム1において、情報処理装置10と、演者である対象20が有する端末200(以下、「対象端末200」と称する)と、ユーザ30が有する端末300(以下、「ユーザ端末300」と称する)とが、インターネット2に接続している。なお、以下に説明する情報処理システム1が備える情報処理装置10、及び端末200、300は分散型であるが、これに限定されず、一体型にて処理が行われてもよい。
【0018】
情報処理装置10は、以下において説明する処理を行う制御部11、処理に必要なデータやプログラムを格納する記憶部12、インターネット2に接続する通信部13を備える。
【0019】
対象端末200及びユーザ端末300は、撮像部201及び301、音声入力部202及び302、出力部203及び303、入力部204及び304、及びインターネット2に接続する通信部205及び305をそれぞれ備える。なお、本実施の形態においては、対象端末200及びユーザ端末300は同様の構成を有するように記載しているが、各端末の構成はこれに限定されない。
【0020】
撮像部201及び301は、カメラ、モーションキャプチャデバイスなどが挙げられ、対象20及びユーザ30の動作の撮像やキャプチャを行う。音声入力部202及び302は、マイクロホンなどが挙げられ、対象20及びユーザ30から発される音声などの情報を入力する。出力部203及び303は、ディスプレイモニタ、スピーカー、ヘッドマウントディスプレイなどが挙げられ、映像、文字、音声などの情報を対象20及びユーザ30に出力する。入力部204及び304は、キーボード、タッチパネル、マウスポインタなどが挙げられ、対象20及びユーザ30による操作を受け付け、映像、文字などの情報を入力する。
【0021】
図3は、情報処理システム1が仮想空間3において実行する処理をシーケンス図にて表している。以下、特に記載がない限り、情報処理装置10が実行する処理は、制御部11にて行われている。また、図3のシーケンス図において、左列は情報処理装置10が実行する処理を表し、中列はユーザ端末300が実行する処理を表し、右列は対象端末200が実行する処理を表している。なお、ユーザ端末300は、ユーザ30の人数分あるが、ユーザ端末300における動作は各ユーザにおいて同一であるため、図3においては1つのユーザ端末300の処理について説明する。
【0022】
演者である対象20が模範動作を開始すると、仮想空間3においてはステージにて模範動作が表示される。観客であるユーザ30は、演者のパフォーマンスに対する反応の動作を行い、仮想空間3においては客席にて反応の動作が表示される。
【0023】
対象20及びユーザ30は、各端末の撮像部に備えられたモーションキャプチャデバイスを装着し、インターネット2を経由して、情報処理装置10と通信を行っている。ここで、情報処理装置10は、対象20及びユーザ30が行う動作を計測する指示(計測開始指示)を対象端末200及びユーザ端末300に送信する(S101)。なお、図示の都合により、図3における計測開始指示S101は、対象端末200の方がユーザ端末300よりも先に送信されるように示されているが、送信のタイミングはこれに限定されず、同時に送信、或いはユーザ端末300へ先に送信されてもよい。
【0024】
また、計測開始指示について、演者である対象20が模範動作を開始する際に、対象20が情報処理装置10へ計測開始指示を出すように命令してもよい。また、所定の時刻になったら情報処理装置10が計測開始指示を出すように設定してもよい。また、演者のパフォーマンスにて流れる曲が開始してから所定の時間が経過した後に情報処理装置10が計測開始指示を出すように設定してもよい。
【0025】
また、対象20の模範動作の情報は、予め情報処理装置10の記憶部12に格納されていてもよい。この場合は、対象端末200において計測を行う必要はないため、対象端末200への計測開始指示は実行されない。また、対象20は、モーションキャプチャデバイスを装着せずにパフォーマンスを行うことができる。
【0026】
ユーザ30の動作の計測及び対象20の模範動作の計測は、所定期間中に行われる(S102-1及びS102-2)。所定期間は、演者である対象20が任意に設定することが可能であり、例えば、一曲披露する毎に設定してもよく、一曲の中の特定の箇所(イントロやサビなど)において設定してもよい。なお、上述のように、対象20の模範動作の情報が予め記憶部12に格納されている場合は、模範動作計測(S102-2)を省略することができる。
【0027】
所定期間が終了したら、情報処理装置10は、計測を終了する指示(計測終了指示)を対象端末200及びユーザ端末300に送信する(S103)。なお、図示の都合により、図3における計測終了指示S103は、対象端末200の方がユーザ端末300よりも先に送信されるように示されているが、同時に送信、或いはユーザ端末300へ先に送信されてもよい。
【0028】
計測終了指示を受けたユーザ端末300及び対象端末200は、計測データを情報処理装置10へ送信する(S104-1及びS104-2)。なお、対象20の模範動作の情報が予め記憶部12に格納されている場合は、模範動作の計測データ送信(S104-2)を省略することができる。なお、図示の都合により、図3における計測データ送信S104-1及びS104-2は、ユーザ端末300の方が対象端末200よりも先に送信するように示されているが、同時に送信、或いは対象端末200が先に送信してもよい。
【0029】
情報処理装置10は、計測データを集計し、各ユーザの動作の計測データと、演者である対象20の模範動作を比較して一致率を評価し、一致率に基づいてスコアを算出する(S105)。なお、対象20の模範動作の情報が予め記憶部12に格納されている場合は、格納されている模範動作と比較を行う。
【0030】
情報処理装置10は、算出されたスコアに基づいて、ユーザ座標31を変更する指示を各ユーザのユーザ端末300に送信し、仮想空間3におけるユーザ30の座席の再配置を行う(S106)。その後、再配置後の仮想空間3のデータを、対象端末200及びユーザ端末300に送信する(S107)。なお、図示の都合により、図3におけるユーザ30の再配置後の仮想空間のデータ送信S107は、対象端末200の方がユーザ端末300よりも先に送信されるように示されているが、これに限定されず、同時に送信、或いはユーザ端末300へ先に送信されてもよい。
【0031】
ここで、ユーザ座標31と対象座標21の位置関係について、図4を用いて説明する。図4においては、ユーザ30は観客の中の一人であり、便宜上、このユーザをユーザAと称する。図4の上図は、イベント開始時の仮想空間3における観客の配置を示す。ユーザAのユーザ座標31に宛てられた座席は、演者である対象20の対象座標21から見て後列側に位置しており、また対象座標21の正面から外れたところに位置している。イベント開始時における観客の配置はランダム、或いは課金や申し込み順などの優先順位に応じて設定される。
【0032】
動作データ集計後、ユーザAのスコアが高かった場合には、図4の中図に示されるように、ユーザAのユーザ座標31は、演者である対象20の対象座標21に近い座席、即ち、対象20とコミュニケーションの取りやすい位置に移動することができる。一方、ユーザAのスコアが低かった場合は、図4の下図に示されるように、演者である対象20の対象座標21からは遠い座席に移動される。
【0033】
ここで、ユーザの座席移動(ユーザ座標31の移動)について説明する。ユーザの座席移動が、スコアの順位に対応した座席移動の場合は、予め順位と座席が対応するように設定する。情報処理装置10は、各ユーザのスコアを比較することによって、各ユーザのスコアの順位を算出する。情報処理装置10は、各ユーザのユーザ座標31をスコアの順位に対応した座席に移動させるようにするとよい。
【0034】
ユーザの座席移動が、スコアに対応した座席移動の場合は、予めスコアと座席が対応するように設定する。情報処理装置10は、各ユーザのスコアを算出することによって、各ユーザのユーザ座標31を算出されたスコアに対応した座席に移動させるようにするとよい。例えば、スコアの閾値を90点と設定して、90点以上のスコアのユーザを一列目の座席に移動させる。スコアの閾値は複数設けられてもよく、90点以上は1列目の座席、70点以上90点未満は2列目の座席、50点以上70点未満は3列目の座席、・・・などのように設定してユーザ座標31を移動させてもよい。
【0035】
また、高順位又は高スコアに対応する座席は前列に限らず、後列の方が演者を見やすいような場合は、高順位又は高スコアに対応する座席を後列に設定してもよいし、演者(対象座標21)と各座席の距離を算出して演者(対象座標21)との距離が近い座席に移動されるようにしてもよい。
【0036】
また、必ずしもユーザ全員を移動させる必要はなく、所定の順位又はスコアのユーザのユーザ座標31のみを変更させるようにしてもよい。例えば、順位において、上位10位以上のユーザのユーザ座標31のみを前列に移動するなど設定してもよい。
【0037】
また、座席の移動先は既存の座席に限らず、ユーザ座標31の移動に伴って座席数を増やしたり減らしたりしてもよい。
【0038】
なお、ユーザ座標31の移動は、ユーザのアバターとユーザの視点の両方の移動が含まれていてもよいし、アバターのみ移動して視点は移動しない、視点のみ移動してアバターは移動しない場合が含まれていてもよい。また、アバターの移動について、演者視点、ユーザ視点のいずれから見てもアバターが移動しているように見えていてもよいし、いずれか一方の視点でのみアバターが移動しているように見えてもよい。
【0039】
アバターや視点の移動の結果、複数のユーザのアバターや視点が同一の座標、座席に位置するようにしてもよい。複数のアバターの座標が一致する場合は、複数のアバターが重なって見えてもよいし、いずれか1つのアバターのみ見えるようにしてもよい。選択されるアバターは、例えば、イベント開始時に最前列にいたユーザ、最も順位又はスコアが高いユーザ、音声入力部より入力される音声が最も大きいユーザのアバターなどがある。
【0040】
このようにして、ユーザAの座席が再配置された後、演者である対象20が次のパフォーマンスに移るのに伴い、情報処理装置10は、再び計測開始指示を対象端末200及びユーザ端末300に送信する処理を行う。
【0041】
次に、対象20の模範動作と、ユーザ30の動作の一致率の評価方法について、図5を用いて説明する。図5(a)は対象20のダンスモーション(振り付け)を、図5(b)はユーザ30の動作を、それぞれモーションキャプチャデバイスによって計測したイメージ図を示している。
【0042】
ユーザ30は、フルトラッキング可能であるモーションキャプチャデバイスを装着することにより、身体動作に連動したボーン情報の入力が行われる。ボーン内において、基準点(黒色の点)から、関節を示す白色の点までの距離(図中の矢印で示される間隔)を、各関節において計測、比較することで、一致率として数値化することが可能である。
【0043】
また、上記では演者である対象20がダンスや歌のパフォーマンスを披露する例を示したが、他の形式にて模範動作を行うことも可能である。演者である対象20は、所定期間内において特定のリズムを有する期間を有するパフォーマンスを行う。観客であるユーザ30は特定のリズムに対して、手拍子などによって音を発する動作を行う。この時、ユーザ30は、マイクロホン付きヘッドマウントディスプレイを装着し、マイクロホンにて音を発する動作を計測してもよい。
【0044】
ここで、対象20の模範動作に含まれる特定のリズムと、ユーザ30の発する音の一致率の評価方法について、図6を用いて説明する。図6は、手拍子を例として、マイクロホンによって計測される音量と時間のグラフである。所定音圧レベルxを設定し、x以上の音が一定の間隔で複数回続いた箇所を検出し、この音を手拍子として認識する。この認識された手拍子の間隔と、特定のリズム、例えば、曲のBPM(Beats Per Minute)とのタイミングを比較することで、一致率として数値化することが可能である。
【0045】
なお、本実施の形態において、実空間における対象20及びユーザ30の動作或いは手拍子を計測するように説明したが、これに限定されず、仮想空間3における対象20及びユーザ30のアバターの動作或いは手拍子を計測してもよい。
【0046】
このような処理を行う構成とすることにより、仮想空間における演者と観客とのコミュニケーションをより円滑に管理する情報処理システム及び情報処理方法を提供することができる。
【0047】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0048】
変更される座標は、演者に近付くだけに限らない。例えば、他の観客を認識し、ステージから観客の盛り上がりを体感できるように、演者からの視点と同じような位置に配置されてもよい。
【0049】
また、演者のパフォーマンスをイベントのスタッフなどの視点から楽しめるように、ステージの舞台袖などの位置に配置されてもよい。また、景色を共有できるように、複数のユーザ間で視点が重なるように配置されてもよい。
【0050】
また、演者や他のユーザと重ねて、別の視点から見られるように配置されてもよい。この時、演者や他のユーザと自分の動きを比べられるため、ダンスや振り付けの練習をすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 情報処理システム
2 インターネット
3 仮想空間
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 対象
21 対象座標
30 ユーザ
31 ユーザ座標
200、300 端末
201、301 撮像部
202、302 音声入力部
203、303 出力部
204、304 入力部
205、305 通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6