(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013906
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】メルトブローン装置
(51)【国際特許分類】
D04H 3/16 20060101AFI20240125BHJP
D01D 5/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
D04H3/16
D01D5/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116327
(22)【出願日】2022-07-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】595038718
【氏名又は名称】株式会社化繊ノズル製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】末光 弘和
【テーマコード(参考)】
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4L045AA06
4L045BA34
4L045CA32
4L045CB08
4L045CB15
4L047AB03
4L047AB08
4L047BA08
4L047EA05
(57)【要約】
【課題】 得られる極細繊維不織布の繊維密度及び極細繊維の繊維径を適宜変更しうるメルトブローン装置を提供する。
【解決手段】 このメルトブローン装置は、メルトブローンダイ10と、熱風噴出孔形成ダイ7と、ノズル孔形成ダイ8とからなる。熱風噴出孔形成ダイ7の下面は、第一平坦面72と第一傾斜面73とを備えている。第一傾斜面73は全体が平滑面となっている。ノズル孔形成ダイ8の上面は、第二平坦面82と第二傾斜面83とを備えている。第二傾斜面83には、第二重合体流路32より重合体が供給される重合体溜凹部85が設けられている。また、第二傾斜面83の先端近傍に第二凹溝84が形成されている。重合体は、第一重合体流路31及び第二重合体流路32を通り、重合体溜凹部85から第二凹溝84に流入し、ノズル孔2となる第二凹溝84の先端から極細繊維となって吐出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトブローンダイと、該メルトブローンダイの下段に設けられた熱風噴出孔形成ダイと、該熱風噴出孔形成ダイの下段に設けられたノズル孔形成ダイとからなるメルトブローン装置であって、
前記熱風噴出孔形成ダイには、上下方向に走行する第一重合体流路が設けられており、
前記熱風噴出孔形成ダイの下面は、第一平坦面と該第一平坦面に対して下方に傾斜している第一傾斜面とを備えており、該第一傾斜面の先端近傍に第一凹溝が形成されており、
前記ノズル孔形成ダイには、前記第一重合体流路と連通する第二重合体流路が設けられており、
前記ノズル孔形成ダイの上面は、第二平坦面と該第二平坦面に対して下方に傾斜している第二傾斜面とを備えており、該第二傾斜面には、平滑面部と前記第二重合体流路より重合体が供給される重合体溜凹部が設けられており、
前記第一平坦面と前記第二平坦面とを当接し、前記第一傾斜面と前記第二傾斜面の該平滑面部とを当接することにより、前記第一凹溝の先端をノズル孔とすることを特徴とするメルトブローン装置。
【請求項2】
第一傾斜面の先端近傍に第一凹溝が形成されておらず全体が平滑面となっており、第二傾斜面の先端近傍に第二凹溝が形成されていることにより、該第二凹溝の先端をノズル孔とする請求項1記載のメルトブローン装置。
【請求項3】
第二傾斜面の先端近傍に第二凹溝が形成されており、第一凹溝と該第二凹溝とを合致させることにより、該第一凹溝と該第二凹溝との先端で形成される孔をノズル孔とする請求項1記載のメルトブローン装置。
【請求項4】
第二傾斜面の先端近傍に第二凹溝が形成されており、第一凹溝と該第二凹溝とが合致しないようにずらすことにより、該第一凹溝の先端と該第二凹溝の先端の各々をノズル孔とする請求項1記載のメルトブローン装置。
【請求項5】
第一重合体流路及び第二重合体流路の外側に、第一平坦面と第二平坦面を貫通するボルトを螺着させることにより、熱風噴出孔形成ダイとノズル孔形成ダイとが固定されてなる請求項1記載のメルトブローン装置。
【請求項6】
熱風噴出孔形成ダイで形成される熱風噴出孔の形態がスリットであり、その幅が0.3~5mmである請求項1記載のメルトブローン装置。
【請求項7】
第一平坦面と第一傾斜面のなす角度が110~160°である請求項1記載のメルトブローン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極細繊維不織布を製造するためのメルトブローン装置に関し、特に極細繊維径や極細繊維不織布の繊維密度を適宜変更しやすくしたメルトブローン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、極細繊維不織布は、溶融された熱可塑性重合体を吐出するためのノズル孔と、ノズル孔の両側から熱風を噴出すためのスリット(熱風噴出孔)を具えた略直方体のメルトブローン装置を用いて製造されている。ノズル孔は、略直方体のメルトブローン装置の長手方向に平行な列をなして多数並んでいる。メルトブローン装置は、長手方向が極細繊維不織布の幅方向となるように設置されている。そして、ノズル孔から多数の極細繊維が吐出され、これが堆積されて極細繊維不織布が製造されるのである。
【0003】
かかるメルトブローン装置の横断面模式図は、
図1に示す如きものである。すなわち、紙面の表裏方向がメルトブローン装置1の長手方向となっており、ノズル孔2がメルトブローン装置1の長手方向(紙面の表裏方向)に所定間隔で列をなして多数並んでいる。溶融された熱可塑性重合体は、重合体流路3から下方に流動して、ノズルの上端からノズル孔2に至る。一方、加圧された熱風の流通する配管6,6から熱風流路5,5を通って、熱風はノズル孔2の両側に設けられたスリット4,4から噴出している。したがって、ノズル孔2に至った熱可塑性重合体は、スリット4,4から噴出している熱風によって、ノズルの軸線方向に吹き付けられ、極細繊維が得られるのである。なお、ノズル孔2とスリット4の位置関係を、底面視でもって、その一部を模式的に現すと、
図2の如き位置関係となっている。
【0004】
一方、特許文献1には、
図1の如きメルトブローン装置1において、ノズル孔2の列とスリット4の位置関係を逆転させた発明が記載されている(特許文献1、第3a図)。特許文献1の第3a図を複写すると、
図3に示したとおりである。
図3の符号18がノズル孔2に相当し、符号22がスリット4に相当している。かかる発明は、一つのスリット4に対して二つのノズル孔2列から、溶融された熱可塑性重合体が吐出するので、得られる極細繊維不織布の目付を二倍にすることができるという利点がある。また、一つのノズル孔2の列と、他のノズル孔2の列とに、異種の熱可塑性重合体を供給すれば、混繊タイプの極細繊維不織布が得られるという利点がある。
【特許文献1】特公平6-60448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特許文献1記載の発明を改良し、得られる極細繊維不織布の繊維密度及び極細繊維の繊維径を適宜変更しうるメルトブローン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はノズル孔の形成手段を工夫することにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、メルトブローンダイと、該メルトブローンダイの下段に設けられた熱風噴出孔形成ダイと、該熱風噴出孔形成ダイの下段に設けられたノズル孔形成ダイとからなるメルトブローン装置であって、前記熱風噴出孔形成ダイには、上下方向に走行する第一重合体流路が設けられており、前記熱風噴出孔形成ダイの下面は、第一平坦面と該第一平坦面に対して下方に傾斜している第一傾斜面とを備えており、該第一傾斜面の先端近傍に第一凹溝が形成されており、前記ノズル孔形成ダイには、前記第一重合体流路と連通する第二重合体流路が設けられており、前記ノズル孔形成ダイの上面は、第二平坦面と該第二平坦面に対して下方に傾斜している第二傾斜面とを備えており、該第二傾斜面には、平滑面部と前記第二重合体流路より重合体が供給される重合体溜凹部が設けられており、前記第一平坦面と前記第二平坦面とを当接し、前記第一傾斜面と前記第二傾斜面の該平滑面部とを当接することにより、前記第一凹溝の先端をノズル孔とすることを特徴とするメルトブローン装置に関するものである。
また、熱風噴出孔形成ダイの第一傾斜面の先端近傍に第一凹溝を形成せずに、第一傾斜面を平滑面とし、ノズル孔形成ダイの第二傾斜面の先端近傍に第二凹溝を形成して、第二凹溝の先端をノズル孔とすることもできる。
また、第一凹溝と第二凹溝とを合致させて、第一凹溝と第二凹溝との先端で形成される孔をノズル孔とすることもできるし、第一凹溝と第二凹溝をずらして、第一凹溝の先端と第二凹溝の先端の各々をノズル孔とすることもできる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るメルトブローン装置のノズル孔は、熱風噴出孔形成ダイの下面の第一傾斜面に存在する第一凹溝及び/又はノズル孔形成ダイの上面の第二傾斜面に存在する第二凹溝で形成される。したがって、熱風噴出孔形成ダイ及び/又はノズル孔形成ダイの組み合わせ態様により、ノズル孔の大きさ又はノズル孔の数を適宜変更しうるので、所望の繊維径の極細繊維を容易に得ることができ、また、所望の繊維密度の極細繊維を容易に得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】従来のメルトブローン装置の横断面模式図である。
【
図2】
図1のメルトブローン装置の模式的底面図であり、ノズル孔2とスリット4の位置関係を示した図である。
【
図3】特許文献1の第3a図を複写した図であり、ノズル孔2(18)とスリット4(22)の位置関係を示した図である。
【
図4】本発明の一例に係るメルトブローン装置の横断面模式図である。
【
図5】本発明で用いる熱風噴出孔形成ダイの一例に係る模式的側面図である。
【
図6】
図5に示した熱風噴出孔形成ダイの模式的左側面図の一例である。
【
図7】本発明で用いるノズル孔形成ダイの一例に係る模式的側面図である。
【
図8】
図7に示したノズル孔形成ダイの模式的右側面図の一例である。
【
図9】
図7に示したノズル孔形成ダイの模式的右側面図の他の例である。
【
図10】ノズル孔2とスリット4の態様を示した、本発明の一例に係るメルトブローン装置の模式的底面図である。
【
図11】ノズル孔2とスリット4の態様を示した、本発明の他の例に係るメルトブローン装置の模式的底面図である。
【
図12】ノズル孔2とスリット4の態様を示した、本発明の他の例に係るメルトブローン装置の模式的底面図である。
【
図13】ノズル孔2とスリット4の態様を示した、本発明の他の例に係るメルトブローン装置の模式的底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一例に係るメルトブローン装置1は、
図4に示すように、メルトブローンダイ10と、メルトブローンダイ10の下段に設けられた熱風噴出孔形成ダイ7と、熱風噴出孔形成ダイ7の下段に設けられたノズル孔形成ダイ8とからなる。メルトブローンダイ10には、溶融した熱可塑性重合体が下方に流動する重合体流路3と、加圧された熱風の流通する配管6が設けられている。
【0010】
メルトブローンダイ10の下段に設けられた熱風噴出孔形成ダイ7には、上下方向に第一重合体流路31が設けられている。第一重合体流路31は、重合体流路3及び第二重合体流路32に連通している。熱風噴出孔形成ダイ7の上面71は平滑面となっており、メルトブローンダイ10の下面に当接し、ボルト13で螺着することにより、両者は固定されている。熱風噴出孔がスリット4の場合、この固定の前に、第一位置決めピン11により左右方向の位置決めを行い、スリット4の幅を決めることができる。スリット4の幅は、一般的に0.3~5mmの範囲内で決められる。熱風噴出孔形成ダイ7の下面は、第一平坦面72と第一傾斜面73とを備えている(
図5)。第一平坦面72は上面71と平行になっている。第一傾斜面73は、第一平坦面72に対して下方に110~160°の角度で傾斜している。第一傾斜面73には、
図6に示すように、その先端近傍に第一凹溝74が形成されている。この第一凹溝74は単独で又は第二凹溝84と共働してノズル孔2となるものである。また、第二凹溝84単独でノズル孔2とするときは、第一凹溝74を設ける必要はなく、第一傾斜面73全体が平滑面となっている。なお、図中、濃墨に塗られた部分は平滑面である。
【0011】
熱風噴出孔形成ダイ7の下段に設けられるノズル孔形成ダイ8には、第一重合体流路31と連通する第二重合体流路32が設けられている。ノズル孔形成ダイ8の上面は、第二平坦面82と第二傾斜面83とを備えている(
図7)。第二平坦面82は第一平坦面72と平行になっており、第二傾斜面83は第一傾斜面73と平行になっている。第二傾斜面83には、
図8に示すように、第二重合体流路32と連通する重合体溜凹部85が設けられている。重合体溜凹部85に流入した重合体は、第一凹溝74単独で形成されたノズル孔2から吐出される。第二傾斜面83には、重合体溜凹部85に連通する第二凹溝84を設けていてもよい。
【0012】
以下、熱風噴出孔形成ダイ7とノズル孔形成ダイ8の組み合わせにより、種々のノズル孔2が形成されることを説明する。
【0013】
(1)熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73に第一凹溝74が形成されており、ノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83に第二凹溝84が形成されておらず、平滑面となっている場合
熱風噴出孔形成ダイ7の第一平坦面72とノズル孔形成ダイ8の第二平坦面82とを当接し、第一傾斜面73と第二傾斜面83とを当接してメルトブローン装置を組み立てたとき、ノズル孔2とスリット4の態様を、メルトブローン装置の模式的底面図で示すと、
図10のとおりである。すなわち、熱風噴出孔形成ダイ7の側面70で形成されたスリット4の両側に、熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73の先端近傍に設けられた第一凹溝74よりなるノズル孔2が形成される。重合体は、ノズル孔形成ダイ8の重合体溜凹部85から、第一凹溝74に流入し、スリット4から噴出する熱風と共にノズル孔2から極細繊維となって吐出されるのである。
【0014】
(2)熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73に第一凹溝74が形成されておらず、全体が平滑面となっており、ノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83に第二凹溝84が形成されている場合
熱風噴出孔形成ダイ7とノズル孔形成ダイ8とを上記と同様に配置してメルトブローン装置を組み立てたとき、ノズル孔2とスリット4の態様を、メルトブローン装置の模式的底面図で示すと、
図11のとおりである。すなわち、熱風噴出孔形成ダイ7の側面70で形成されたスリット4の両側に、ノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83の先端近傍に設けられた第二凹溝84よりなるノズル孔2が形成される。重合体は、ノズル孔形成ダイ8の重合体溜凹部85から、第二凹溝84に流入し、スリット4から噴出する熱風と共にノズル孔2から極細繊維となって吐出されるのである。なお、
図4に示した本発明の一例に係るメルトブローン装置の横断面模式図は、この態様のものである。
【0015】
(3)熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73に第一凹溝74が形成されており、ノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83に第二凹溝84が形成されている場合
熱風噴出孔形成ダイ7とノズル孔形成ダイ8とを上記と同様にして配置すると共に、第一凹溝74と第二凹溝84とが合致するようにしてメルトブローン装置を組み立てたとき、ノズル孔2とスリット4の態様を、メルトブローン装置の模式的底面図で示すと、
図12のとおりである。すなわち、熱風噴出孔形成ダイ7の側面70で形成されたスリット4の両側に、熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73の先端近傍に設けられた第一凹溝74とノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83の先端近傍に設けられた第二凹溝84とでノズル孔2が形成される。重合体は、ノズル孔形成ダイ8の重合体溜凹部85から、第一凹溝74及び第二凹溝84に流入し、スリット4から噴出する熱風と共にノズル孔2から極細繊維となって吐出されるのである。
【0016】
(4)熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73に第一凹溝74が形成されており、ノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83に第二凹溝84が形成されている場合
熱風噴出孔形成ダイ7とノズル孔形成ダイ8とを上記と同様にして配置すると共に、第一凹溝74と第二凹溝84とが合致しないようにずらしてメルトブローン装置を組み立てたとき、ノズル孔2とスリット4の態様を、メルトブローン装置の模式的底面図で示すと、
図13のとおりである。すなわち、熱風噴出孔形成ダイ7の側面70で形成されたスリット4の両側に、熱風噴出孔形成ダイ7の第一傾斜面73の先端近傍に設けられた第一凹溝74よりなるノズル孔2と、ノズル孔形成ダイ8の第二傾斜面83の先端近傍に設けられた第二凹溝84よりなるノズル孔2が個別に形成される。重合体は、ノズル孔形成ダイ8の重合体溜凹部85から、第一凹溝74及び第二凹溝84に流入し、スリット4から噴出する熱風と共にノズル孔2から極細繊維となって吐出されるのである。
【0017】
以上説明したように、ノズル孔2をノズル孔形成ダイ8と熱風噴出孔形成ダイ7の組立により形成した場合、ノズル孔形成ダイ8を取り外すことにより、極細繊維不織布製造中に生じた第一凹溝74及び第二凹溝84の汚れを、容易に除去することができる。また、熱風噴出孔形成ダイ7の第一平坦面72とノズル孔形成ダイ8の第二平坦面82とを当接し、第一傾斜面73と第二傾斜面83とを当接してメルトブローン装置を組み立てる際、熱風噴出孔形成ダイ7とノズル孔形成ダイ8とを固定するには、第一平坦面72及び第二平坦面82を貫通するボルト12で螺着するのが好ましい。特に、第一重合体流路31及び第二重合体流路32の外側で、すなわち、第一重合体流路31及び第二重合体流路32に接触しないようにして、ボルト12で螺着するのが好ましい。このようにすれば、第一重合体流路31及び第二重合体流路32中に、ボルト12が存在せず、重合体の流れを阻害することがない。なお、ポルト12で螺着する前に、第二位置決めピン14でノズル孔形成ダイ8の位置を決めれば、第二凹溝84の位置をメルトブローン装置の長手方向に任意にずらすことができる。
【0018】
以上の例では、スリット4の両側にノズル孔2を持つものについて説明したが、スリット4の片側のみにノズル孔2を形成するようにしてもよい。また、第一凹溝74及び第二凹溝84が断面半円型の溝となっているが、その他の形状の溝であってもよい。たとえば、断面四角型、断面三角型又は断面U字型等であってもよい。第一凹溝74や第二凹溝84の個数は任意でよく、一般的に、10~100個/インチでよい。また、熱風噴出孔をノズル孔2の列の全体に亙るスリット4としたが、適宜変更しうる。たとえば、ノズル孔2の列に同調させて、断面円形又は断面四角形の孔の列を熱風噴出孔としてもよい。また、熱風噴出孔形成ダイ7とノズル孔形成ダイ8とを固定するのにボルト12及び13を使用したが、その他の固定手段であってもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 メルトブローン装置
2 ノズル孔
3 重合体流路
4 スリット
5 熱風流路
6 配管
7 熱風噴出孔形成ダイ
8 ノズル孔形成ダイ
10 メルトブローンダイ
12 ボルト
13 ボルト
14 ピン
31 第一重合体流路
32 第二重合体流路
70 熱風噴出孔形成ダイの側面
71 熱風噴出孔形成ダイの上面
72 熱風噴出孔形成ダイの下面の第一平坦面
73 熱風噴出孔形成ダイの下面の第一傾斜面
74 第一傾斜面73の先端近傍に設けられた第一凹溝
82 ノズル孔形成ダイの上面の第二平坦面
83 ノズル孔形成ダイの上面の第二傾斜面
84 第二傾斜面83の先端近傍に設けられた第二凹溝
85 第二傾斜面83に設けられた重合体溜凹部
【手続補正書】
【提出日】2022-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係るメルトブローン装置のノズル孔は、熱風噴出孔形成ダイの下面の第一傾斜面に存在する第一凹溝及び/又はノズル孔形成ダイの上面の第二傾斜面に存在する第二凹溝で形成される。したがって、熱風噴出孔形成ダイ及び/又はノズル孔形成ダイの組み合わせ態様により、ノズル孔の大きさ又はノズル孔の数を適宜変更しうるので、所望の繊維径の極細繊維を容易に得ることができ、また、所望の繊維密度の極細繊維不織布を容易に得ることができるという効果を奏する。