(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139060
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】人形芯材用ポリウレタンフォーム及び人形の製造方法
(51)【国際特許分類】
A63H 9/00 20060101AFI20241002BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20241002BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
A63H9/00 P
C08G18/00 F
A63H9/00 S
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049846
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井上 春美
(72)【発明者】
【氏名】木下 俊介
【テーマコード(参考)】
2C150
4J034
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150CA01
2C150CA02
2C150FB43
2C150FD13
2C150FD14
4J034DA01
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4J034GA33
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4J034QB14
4J034RA03
(57)【要約】
【課題】芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくい人形芯材用ウレタンフォーム及び当該ウレタンフォームを用いた人形の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタンフォームであって、ポリウレタンフォームのC硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%である、人形芯材用のポリウレタンフォーム。ポリオール成分はポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタンフォームであって、
ポリウレタンフォームのC硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%である、人形芯材用のポリウレタンフォーム。
【請求項2】
前記ポリオール成分がポリエーテルポリオールを含む請求項1に記載の人形芯材用のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート成分が芳香族ポリイソシアネートを含む請求項1または2に記載の人形芯材用のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の人形芯材用のポリウレタンフォームを用いた人形の製造方法であって、
前記ポリウレタンフォームからなる芯材に、フェルト状の羊毛を針で植設する工程を含む人形の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人形芯材用ポリウレタンフォーム及び人形の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、愛玩動物と似た人形の需要が高まっている。
従来、このような人形の製造方法としては、羊毛を塊状にして、所望の形状に成形する方法が知られている。この方法では、羊毛を芯材として用いるので多量の羊毛が必要である。また、所望の形状に成形するには熟練の技術が必要であり完成に長時間を要するという課題もあった。
羊毛以外の芯材を用いる方法としては、例えば、発泡スチロール製の芯材に羊毛を貼り付けて被着する方法(特許文献1を参照)、および熱硬化性発泡スポンジ製の芯材に針でフェルト状の羊毛を芯材内部に貫入させ被着する方法(特許文献2を参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3090778号公報
【特許文献1】特開2012-249741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、芯材から羊毛が抜けやすく、特許文献2に記載の方法では、芯材に針が刺さりにくく、被着させた羊毛が芯材から抜けやすいという問題がある。
本発明の課題は、芯材に羊毛を被着させやすく、被着させた羊毛が抜けにくい人形芯材用ポリウレタンフォーム及び当該ポリウレタンフォームを用いた人形の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、以下の通りである。
[1]ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタンフォームであって、ポリウレタンフォームのC硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%である、人形芯材用のポリウレタンフォーム。
[2]前記ポリオール成分がポリエーテルポリオールを含む[1]に記載の人形芯材用のポリウレタンフォーム。
[3]前記ポリイソシアネート成分が芳香族ポリイソシアネートを含む[1]または[2]に記載の人形芯材用のポリウレタンフォーム。
[4][1]~[3]のいずれか一項に記載の人形芯材用のポリウレタンフォームを用いた人形の製造方法であって、前記ポリウレタンフォームからなる芯材に、フェルト状の羊毛を針で植設する工程を含む人形の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくい人形芯材用ポリウレタンフォーム及び当該ポリウレタンフォームを用いた人形の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<ポリウレタンフォーム>
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させてなるポリウレタンフォームである。本発明のポリウレタンフォームは、そのC硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%である。
【0008】
ポリウレタンフォームの材料となるポリオール成分(A)としては、例えばポリエーテルポリオール(A1)及びポリエステルポリオール(A2)等が挙げられる。
【0009】
ポリエーテルポリオール(A1)としては、活性水素含有化合物にアルキレンオキサイドを付加させて得られるポリオールが挙げられ、具体的には、多価アルコールにアルキレンオキサイド(以下AOともいう)を付加してなるポリオール(A11)、アミンにAOを付加してなるポリオール(A12)、多価フェノールにAOを付加してなるポリオール(A13)等が挙げられる。
【0010】
多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成する多価アルコール(a1)としては、例えば、炭素数2~20の2価アルコール、炭素数3~20の3価アルコール及び炭素数5~20の4~8価の多価アルコール等が挙げられる。
炭素数2~20の2価アルコールとしては、直鎖又は分岐脂肪族ジオール及び脂環式ジオール等が挙げられる。直鎖又は分岐脂肪族ジオールとしては、アルキレングリコール等が挙げられ、具体的には、エチレングリコール、1,2-又は1,3-プロピレングリコール、1,3-又は1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等が挙げられる。
脂環式ジオールとしては、シクロアルキレングリコール等が挙げられ、具体的には、シクロヘキサンジオール及びシクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
炭素数3~20の3価アルコールとしては、脂肪族トリオール等が挙げられ、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン及びヘキサントリオール等が挙げられる。
炭素数5~20の4~8価の多価アルコールとしては、脂肪族ポリオール及び糖類が挙げられる。脂肪族ポリオールとしては、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン及びジペンタエリスリトール等のアルカンポリオール、アルカントリオール及びアルカンポリオールの分子内脱水物、並びにアルカントリオール及び/又はアルカンポリオールの分子間脱水物が挙げられる。糖類としては、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0011】
多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成するAOとしては炭素数2~4のものが好ましく、具体的には、エチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記することがある)及びブチレンオキサイド(以下、BOと略記することがある)等が挙げられる。PO及びBOは直鎖のものであっても分岐を有するものであってもよい。AOは1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。AOとしては、好ましくはEO、PO、並びに、PO及びEOの組み合わせである。AOを2種以上併用する際の付加形式はブロック状でもランダム状でもよい。
【0012】
アミンにAOを付加してなるポリオール(A12)を構成するアミン(a2)としては、アンモニア、直鎖又は分岐脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン及び複素環式アミン等が挙げられ、活性水素の数が2~8個のものが好ましい。
直鎖又は分岐脂肪族アミンとしては、炭素数2~20のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及 びアミノエチルエタノールアミン等)、炭素数1~20のアルキルアミン(n-ブチルアミン及びオクチルアミン等)、炭素数2~6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及び炭素数4~20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2~6のもの等、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)が挙げられる。
芳香族アミンとしては、炭素数6~20の芳香族アミン(アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン等)等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、炭素数4~20の脂環式アミン(イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン等)等が挙げられる。
複素環式アミンとしては、炭素数4~20の複素環式アミン(ピペラジン、アミノエチルピペラジン及び特公昭55-21044号公報記載のもの等)等が挙げられる。
アミンにAOを付加してなるポリオール(A12)を構成するAOとしては多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成するAOと同じものが挙げられる。
【0013】
多価フェノールにAOを付加してなるポリオール(A13)を構成する多価フェノール(a3)としては、単環の多価フェノール、ビスフェノール類、フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック)、ポリフェノール並びにこれらの2種以上の組み合わせ等が挙げられる。単環の多価フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン及びフロログルシン等が挙げられる。ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールスルホン等が挙げられる。ポリフェノールとしては、米国特許第3265641号明細書に記載のもの等が挙げられる。
多価フェノールにAOを付加してなる及びポリオール(A13)を構成するAOとしては多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成するAOと同じものが挙げられる。
【0014】
ポリエーテルポリオール(A1)としては、好ましくは多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)であり、より好ましくは、2~4価のアルコールにAOを付加してなるポリオールであり、さらに好ましくはグリセリンにAOを付加してなるポリオール、ペンタエリスリトールにAOを付加してなるポリオール及びソルビトールにAOを付加してなるポリオールである。
【0015】
ポリエーテルポリオール(A1)は、活性水素含有化合物にAOを付加させる反応により得ることができ、当該付加反応は、公知の方法で行うことができる。活性水素含有化合物にAOを付加させる時に用いる触媒としては、アルカリ触媒(KOH及びCsOH等)の他、特開2000-344881号公報に記載の触媒〔トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等〕、特開平11-120300号公報に記載の触媒(過塩素酸マグネシウム等)を用いることができる。
【0016】
ポリエステルポリオール(A2)は、多価アルコールと、ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルポリオール(A21)、カルボン酸無水物とAOとの縮合反応物(A22)、前記ポリエステルポリオール(A21)または前記縮合反応物(A22)のAO付加物(A23)、ポリラクトンポリオール(A24)、およびポリカーボネートポリオール(A25)等が挙げられる。
【0017】
多価アルコールと、ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルポリオール(A21)を構成する多価アルコールとしては、ポリオール(A11)を構成する多価アルコール(a1)と同じものが挙げられる。
前記ポリエステルポリオール(A21)を構成するポリカルボン酸及びエステル形成性誘導体としては、例えば炭素数が4~18の脂肪族ポリカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸及びアゼライン酸等)炭素数が8~18の芳香族ポリカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、トリメリット酸及びピロメリット酸)、炭素数が8~15の脂環式ポリカルボン酸(例えばシクロヘキサン1,4-ジカルボン酸等)等のポリカルボン酸;無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物;テレフタル酸ジメチル等の低級アルキル(アルキル基の炭素数は1~4)エステル等が挙げられる。
【0018】
カルボン酸無水物とAOとの縮合反応物(A22)を構成するカルボン酸無水物としては、前記ポリエステルポリオール(A21)で説明した酸無水物と同じものが挙げられる。カルボン酸無水物とAOとの縮合反応物(A22)を構成するAOとしては多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成するAOと同じものが挙げられる。
【0019】
前記ポリエステルポリオール(A21)又は前記縮合反応物(A22)のAO付加物(A23)を構成するAOとしては、ポリオール(A11)等を構成するAOと同じものが挙げられる。
【0020】
ポリラクトンポリオール(A24)としては、多価アルコールを開始剤として用いて、ラクトン(ε-カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの等が挙げられる。ポリラクトンポリオール(A24)を構成する多価アルコールとしては、多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成する多価アルコール(a1)と同じものが挙げられる。
【0021】
ポリカーボネートポリオール(A25)としては、多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物等が挙げられる。ポリカーボネートポリオール(A25)を構成する多価アルコールとしては、多価アルコールにAOを付加してなるポリオール(A11)を構成する多価アルコール(a1)と同じものが挙げられる。
【0022】
ポリエステルポリオール(A2)としては、天然由来のポリエステルポリオール、例えば、ひまし油、ひまし油誘導体、およびそれらの混合物を含むものを用いてもよい。
【0023】
ポリオール成分(A)は、ポリエーテルポリオール(A1)及びポリエステルポリオール(A2)以外のポリオールを含んでいてもよい。(A1)及び(A2)以外のポリオールとしては、ポリオキシアルキレン単位を有さない多価アルコール(A3)、重合体ポリオール(A4)、およびアミンのAO付加物(A5)等が挙げられる。
【0024】
ポリオキシアルキレン単位を有さない多価アルコール(A3)としては、前記ポリオール(A11)を構成する多価アルコール(a1)と同じものが挙げられる。
【0025】
重合体ポリオール(A4)としては、例えば、ポリオール中で、ラジカル重合開始剤の存在下、エチレン性不飽和モノマー(p)を重合させて得られた重合体粒子がポリオール中で分散されたもの等が挙げられる。このような重合体ポリオールは分散安定性の点で好ましく、例えば米国特許第3383351号明細書、特公昭39-25737号公報等に記載の方法等により得ることができる。
【0026】
重合体ポリオール(A4)の製造に用いるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール(A1)、ポリエステルポリオール(A2)及びポリオキシアルキレン単位を有さない多価アルコール(A3)等が挙げられる。
【0027】
重合体ポリオール(A4)の製造に用いるラジカル重合開始剤としては、遊離基を生成して重合を開始させるものが使用でき、アゾ化合物[2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等]、有機過酸化物[ジベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド及び過コハク酸等]及び無機過酸化物[過硫酸塩及び過ホウ酸塩等]等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0028】
重合体ポリオール(A4)の製造に用いるエチレン性不飽和モノマーとしては、不飽和ニトリル(p1)、芳香環含有モノマー(p2)、(メタ)アクリル酸エステル(p3)、これら以外のエチレン性不飽和モノマー(p4)等が挙げられる。これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
前記(p1)としては、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等が挙げられる。
前記(p2)としては、スチレン、α-メチルスチレン、ヒドロキシスチレン及びクロルスチレン等が挙げられる。
前記(p3)としては、C、H及びO原子からなるもの、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基の炭素数が1~24)〔メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート及びドコシル(メタ)アクリレート等〕、ヒドロキシアルキル(炭素数2~5)(メタ)アクリレート〔ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等〕及びヒドロキシポリオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート〔アルキレン基の炭素数2~4、ポリオキシアルキレン鎖の数平均分子量200~1000等〕が挙げられる。
前記(p4)としては、エチレン性不飽和カルボン酸及びその誘導体[(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリルアミド等]、脂肪族又は脂環式炭化水素単量体[アルケン(エチレン、プロピレン及びノルボルネン等)及びアルカジエン(ブタジエン等)等]、フッ素系ビニル単量体[フッ素含有(メタ)アクリレート(パーフルオロオクチルエチルメタクリレート及びパーフルオロオクチルエチルアクリレート等)等]、塩素系ビニル単量体(塩化ビニリデン等)、(メタ)アクリルアミドを除く窒素含有ビニル単量体[窒素含有(メタ)アクリレート(ジアミノエチルメタクリレート及びモルホリノエチルメタクリレート等)等]並びにビニル変性シリコーン等が挙げられる。
これらのうち、成形性の観点から、前記(p1)及び(p2)が好ましく、さらに好ましくはアクリロニトリル及び/又はスチレンである。
【0029】
エチレン性不飽和モノマー中の、前記(p1)、(p2)、(p3)及び(p4)の重量比率は、要求されるポリウレタンの物性等に応じて変えることができ、とくに限定されていないが、一例を示すと次の通りである。
(p)の合計重量を基準として、前記(p1)及び/又は(p2)は、50~100重量%が好ましく、さらに好ましくは80~100重量%である。前記(p1)と(p2)の重量比率はとくに限定されないが、100/0~20/80が好ましい。前記(p3)は、(p)の合計重量を基準として0~50重量%が好ましく、さらに好ましくは0~20重量%である。前記(p4)は、0~10重量%が好ましく、さらに好ましくは0~5重量%である。
【0030】
重合体ポリオール(A4)中のエチレン性不飽和モノマーの重合体の重合体中の含有量は、前記(A4)の重量を基準として、成形性の観点から、50重量%以下が好ましく、さらに好ましくは3~30重量%である。
【0031】
アミンのAO付加物(A5)を構成するアミンとしては、アンモニア、直鎖又は分岐脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミン及び複素環式アミンが含まれ、活性水素の数が2~8個のものが好ましい。
直鎖又は分岐脂肪族アミンとしては、炭素数2~20のアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン及びアミノエチルエタノールアミン等)、炭素数1~20のアルキルアミン(n-ブチルアミン及びオクチルアミン等)、炭素数2~6のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、 プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及び炭素数4~20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2~6のもの等、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)が挙げられる。
芳香族アミンとしては、炭素数6~20の芳香族アミン(アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン等)等が挙げられる。
脂環式アミンとしては、炭素数4~20の脂環式アミン(イソホロンジアミン、シクロ ヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン等)等が挙げられる。
複素環式アミンとしては、炭素数4~20の複素環式アミン(ピペラジン、アミノエチルピペラジン及び特公昭55-21044号公報記載のもの等)等が挙げられる。
【0032】
ポリオール成分(A)は、(A1)~(A5)以外に、ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオール及びこれらの水添物;アクリル系ポリオール(特開昭58-57413号公報及び特開昭58-57414号公報等に記載された水酸基含有ビニル重合体);ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール;ヒマシ油変性物(多価アルコールエステル交換生成物、水添物等)等の天然油脂系ポリオールの変性物;国際公開WO98/44016号公報に記載の末端ラジカル重合性官能基含有活性水素化合物(モノオールも含まれる);ポリエーテルポリオールをメチレンジハライド等のアルキレンジハライド等でジャンプした変性ポリオール;ポリエーテルポリオールのOH末端プレポリマー;等を含んでもよい。
【0033】
ポリオール成分(A)は、C硬度3~40で引っ張り破断伸びが30~200%のポリウレタンフォームを調製しやすいという観点から、ポリエーテルポリオール(A1)を含むことが好ましい。
【0034】
ポリオール成分(A)としては、C硬度3~40引っ張り破断伸びが30~200%のポリウレタンフォームを調製しやすいという観点から、数平均分子量Mnが400~10000のポリオールを含むことが好ましく、Mnが700~8000のポリオールを含むことがより好ましく、Mn1000~7000のポリオールを含むことがさらに好ましい。
【0035】
ポリオール成分(A)の総重量に基づくオキシエチレン単位の含有量は、ポリウレタンフォームの成形性・生産性の観点から、好ましくは0~70重量%であり、より好ましくは0~40重量%であり、さらに好ましくは5~25重量%である。前記成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の含有量は、前記成分(A)が有するオキシエチレン単位の重量割合から求められる。 前記成分(A)に含まれるオキシエチレン単位の含有量を上記範囲内にする方法としては、前記成分(A)として用いるEOを有するポリオールを製造する際のEO仕込み量を調整すること、EOを有するポリオールの使用量を調整する方法等が挙げられる。
【0036】
本発明のポリウレタンフォームを構成するポリイソシアネート成分(B)としては、2価以上(好ましくは2~8価)の有機ポリイソシアネートが挙げられ、具体的には、芳香族ポリイソシアネート、直鎖又は分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの変性物等が挙げられる。
【0037】
芳香族ポリイソシアネートとしては、NCO基中の炭素を除く炭素数(以下のポリイソシアネートも同様)が6~16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6~20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられ、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート(以下、TDIと略す。)、1,3-又は1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4’-又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略す。)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート及びトリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート等が挙げられる。
【0038】
直鎖又は分岐脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6~10の直鎖又は分岐脂肪族ジイソシアネート等であり、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0039】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6~16の脂環式ジイソシアネート等であり、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
【0040】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8~12の芳香脂肪族ジイソシアネート等であり、キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0041】
変性ポリイソシアネートとしては、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等であり、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0042】
ポリイソシアネート成分(B)は、ポリウレタンフォームの生産性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、さらに好ましくはMDI、粗製MDI及びこれらのイソシアネートの変性物である。ポリイソシアネート成分(B)は、一種を単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
【0043】
ポリイソシアネート成分(B)全体としてのイソシアネート基含有量(NCO%)は、ポリウレタンフォームの成形性の観点から、20~50%が好ましい。
【0044】
ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基数/ポリオールのOH基数)×100]は、ポリウレタンフォームの成形性の観点から、好ましくは50~300であり、より好ましくは70~150であり、さらに好ましくは90~110である。
【0045】
本発明のポリウレタンフォームはC硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%である。C硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%であることにより、芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくい人形芯材用ポリウレタンフォームを提供することができる。反発弾性率が前記範囲外である場合、および/又は引っ張り破断伸びが前記範囲外の場合は被着した羊毛が抜けやすくなることがある。
【0046】
ポリウレタンフォームのC硬度はJIS K7312で規定するアスカ―ゴム硬度計C型を用いた測定方法により測定可能であり、ポリウレタンフォームの引っ張り破断伸びはJIS K6400-5で規定する引張強さの測定方法により測定可能である。
ポリウレタンフォームのC硬度は、芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくいという観点から、好ましくは5~35であり、より好ましくは10~30である。ポリウレタンフォームの引っ張り破断伸びは、芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくいという観点から、好ましくは50~160%であり、より好ましくは70~120%である。
【0047】
C硬度が3~40で引っ張り破断伸びが30~200%であるポリウレタンフォームは、例えばポリオール成分(A)の種類や使用量、ポリイソシアネート成分(B)の種類や使用量を調整することにより得ることができる。ポリエーテルポリオール(A1)及びポリエステルポリオール(A2)からなる群より選ばれる少なくとも一種を用い、ポリイソシアネート成分(B)として芳香族ポリイソシアネートを用いることにより容易に調製することができる。
【0048】
本発明のポリウレタンフォームは、ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)とを含むポリウレタンフォーム製造用組成物を調製する工程(工程1)と、当該組成物を反応させる工程(工程2)と、を含む方法により製造することができる。
【0049】
ポリウレタンフォーム製造用組成物中のポリオール成分(A)の含有量は、組成物の総重量に基づき好ましくは40~90重量%であり、より好ましくは50~80重量%である。ポリウレタンフォーム製造用組成物中のポリイソシアネート成分(B)の含有量は、組成物の総重量に基づき好ましくは10~60重量%であり、より好ましくは20~50重量%である。
【0050】
ポリウレタンフォーム製造用組成物は、ポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、触媒成分(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)及び前記以外の補助成分(F)等が挙げられる。これらはそれぞれ、一種を単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
【0051】
触媒成分(C)としては、3級アミン、3級アミンのカルボン酸塩、カルボン酸金属塩及び有機金属化合物等が挙げられる。触媒成分(C)は一種を単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
【0052】
3級アミン及び3級アミンのカルボン酸塩としては、例えばトリエチレンジアミン、N-エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-ジメチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-ウンデセン-7(カルボン酸塩)及びビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)、メチルアミンと炭素数4~8の直鎖又は分岐のジオールとを重縮合して得られるポリアミン(花王(株)製の「カオーライザーP200」)等が挙げられる。
カルボン酸金属塩としては、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナスオクトエート等が挙げられる。
有機金属化合物としては、オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ及びオクチル酸鉛等が挙げられる。
【0053】
ポリウレタンフォーム製造用組成物中の触媒成分(C)の含有量は生産効率等の観点から、好ましくは0~5重量%、より好ましくは0.1~2.5重量%である。
【0054】
発泡剤(D)としては、水を含有するものが好ましく、水のみであることがさらに好ましい。発泡剤(D)の含有量は、ポリオール成分(A)の重量を基準として、0.1~5.0重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5~4.0重量%である。発泡剤(D)として水を用いた場合、必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等を併用してもよい。
【0055】
整泡剤(E)としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられる公知の整泡剤が使用でき、好ましいものとしてはシリコーン整泡剤が挙げられる。
シリコーン整泡剤としては、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[ダウ・東レ(株)製の「SZ-1328」、「SZ-1346」及び「SF-2962」並びにモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の「L-3640」、ジメチルシロキサン系整泡剤[EVONIK社製の「TEGOSTAB B8738LF2」及び「TEGOSTAB B8715LF2」等]等が挙げられる。
整泡剤(E)の使用量は、ポリオール成分(A)の合計重量を基準として、成形性の観点から3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは2重量%以下である。
【0056】
補助成分(F)としては着色剤、難燃剤、老化防止剤及び抗酸化剤等が挙げられる。着色剤としては、染料及び顔料が含まれる。難燃剤としては、リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等が含まれる。老化防止剤としては、トリアゾール系及びベンゾフェノン系の老化防止剤等が含まれる。抗酸化剤としては、ヒンダードフェノール系及びヒンダードアミン系の抗酸化剤等が含まれる。
これらの補助成分の使用量は、前記ポリオール成分(A)の重量を基準として、着色剤は、硬化性及びポリウレタンフォームの機械物性の観点から5.0重量%以下が好ましく、難燃剤は、硬化性及びポリウレタンフォームの機械物性の観点から30重量%以下が好ましく、さらに好ましくは15重量%以下であり、老化防止剤は、硬化性及びポリウレタンフォームの機械物性の観点から2.0重量%以下が好ましく、さらに好ましくは1.0重量%以下であり、抗酸化剤は、硬化性及びポリウレタンフォームの機械物性の観点から2.0重量%以下が好ましく、さらに好ましくは0.05~1.0重量%である。
【0057】
ポリウレタンフォーム製造用組成物は、ポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)ならびに、必要に応じ添加される成分[触媒成分(C)、発泡剤(D)、整泡剤(E)及び補助成分(F)]を撹拌装置付きの混合容器を用いる等の公知の方法で混合することで調製することができる。これらの成分の混合の順序に制限はないが、ポリオール成分(A)、および必要に応じ添加される成分を含むポリオール組成物を作製し、得られたポリオール組成物とポリイソシアネート成分(B)とを混合することによってポリウレタンフォーム製造用組成物を得ることが好ましい。
【0058】
ポリウレタンフォーム製造用組成物を反応させる工程(工程2)は、成形型内で行うことができる。成形型は、所望形状のものを用いてもよいし、所望形状ではないものを用いてもよい。所望形状ではないものを用いた場合は、工程2で得られたポリウレタンフォームを所望形状に切断して芯材を作製する工程を行ってもよい。
【0059】
本発明のポリウレタンフォームは、C硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%であるので、芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくいという性質を有しており、羊毛人形の芯材用として好適である。本発明において、「人形」には、人間の形をしたもの、動物の形をしたもの等が含まれる。
【0060】
本発明のポリウレタンフォームを用いた人形の製造方法は、本発明のポリウレタンフォームからなる芯材に、フェルト状の羊毛を針で植設する工程を含む。
【0061】
芯材は、本発明のポリウレタンフォームをそのまま用いてもよいし、本発明のポリウレタンフォームを所望の形状に切断して作製したものを用いてもよい。
芯材にフェルト状の羊毛を針で植設する工程は、例えば、芯材の表面に羊毛繊維の小塊片を巻き付けながら針により芯材内部に貫入させてフェルト状に被着させる方法(特開2012-249641号公報を参照)等より行うことができる。
【実施例0062】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
<実施例1~4、比較例3>
表1に記載の成分のうちポリイソシアネート成分(B)以外の成分を混合してポリオール組成物を調製し、NCOインデックス100となるように表1に記載の量のポリイソシアネート成分(B)を加えて、ホモディスパー(特殊機化社製攪拌機)にて4000rpmで8秒撹拌後、40℃に温度調節した300mm(長さ)×300mm(幅)×100mm(高さ)のアルミ製モールドに注入し、キュアー時間(原料の注入から脱型までの時間)3分にて成形した。
表1においては「ポリウレタンフォーム製造用組成物」を「ポリウレタンフォーム組成物」と記載した。
【0064】
<比較例1>
発泡スチロールからなる芯材を比較例1の芯材とした。
発泡スチロールとしては市販品[(株)大創産業製、製品名:発泡スチロール製レンガ(ホワイト)]を用いた。
【0065】
<比較例2>
市販の羊毛用マット(ポリエチレン製、(株)大創産業製、製品名:羊毛フェルト用スターターセット)を比較例2とした。
【0066】
<評価方法>
(評価サンプルの作製)
各例の芯材として、縦9cm×横5cm×厚さ2cmの直方体状のサンプルを切り出し評価サンプルとした。
(芯材の物性値の測定)
実施例及び比較例の評価サンプルのC硬度及び引っ張り破断伸びを測定した。
C硬度はJIS K7312で規定するアスカ―ゴム硬度計C型を用いた測定方法で測定し,引っ張り破断伸びはJIS K6400-5に規定の方法で測定した。
【0067】
(針の刺しやすさの評価;表面を突き破るのに必要な針侵入長(mm)の測定)
評価サンプルを用意し、羊毛フェルトニードル(サイズ:極細、HJ社製)を手に持ち、フォームの表面に45°の角度でゆっくり刺し込み表面を突き破ったと感じたところで手を止め、その時点でフォームに侵入した針先の長さを定規で測定した。試験は三回行い、平均値を針侵入長(mm)として表に記載した。
表面を突き破るのに必要な針の長さが短いほど、フォームに針が刺しやすいと感じるため、測定した針侵入長(mm)が短いほど針が刺しやすい。
【0068】
(植設した毛(植毛)の抜けにくさの評価)
(1)植毛の最大引張荷重(g)の測定
(1-1)植毛
羊毛フェルト(羊毛フルフィールナチュラルカラー84、藤久株式会社製)を4cm長さにカットし、0.05gに小分けしたものを用意した。各例の評価サンプルに油性マーカーで1cm長さの線を引き、小分けした羊毛フェルトの束をマーカーの線に束の中心(毛先端から2cmの長さの部分)が載るように上に置いた。マーカーの線に沿って羊毛フェルトニードル(サイズ:極細、HJ社製)を50回刺しこみ、羊毛フェルトを評価サンプルに植え付けた。
(1-2)最大引張荷重(g)の測定
刺しこんだ羊毛をゼムクリップで挟み、クランプで固定したデジタルハンギングスケール(BDS-H50K、株式会社イトー製)のフックに取り付けゆっくりとフォームを引き、植毛にかかった最大引張荷重(g)を読み取った。試験は3回行い、その平均値を算出し、植毛の最大引張荷重(g)とした。結果を表に示す。植毛の最大引張荷重(g)が大きいほど、植毛が抜けにくい。
【0069】
(2)抜け残った植毛の評価方法
上記(1-2)の最大引張荷重(g)の測定後の評価サンプルについて、抜け残っている植毛の割合[(1-2)後にサンプルに残っている植毛の量/(1-1)後(1-2)前のサンプルにおける植毛の量]を目視で判断し下記基準により評価した。評価は3回行い、抜け残っている植毛の割合が最も多い結果を本評価の結果とし表に記載した(例えば結果が◎〇×の場合、◎を記載した)。抜け残っている植毛の割合が多いほうが好ましい。
◎:抜け残っている植毛の割合が1/2より多い
〇:抜け残っている植毛の割合が1/3より多く、1/2以下
△:抜け残っている植毛の割合が1/10より多く、1/3以下
×:抜け残っている植毛の割合が1/10以下
【0070】
表1に記載の各成分は以下に説明する通りである。
<ポリオール成分(A)>
(A-1):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として(触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準))用いて反応温度95℃~130℃にてPO85.3モルを付加し、次いでEO21.8モルを付加させた後、常法により水酸化カリウムを除去して得られたブロック付加型のポリオキシエチレンプロピレンポリオール。水酸基価28.0、末端EO単位の含有量16%。
(A-2):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として(触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準))用いて反応温度95℃~130℃にてPO67.4モルを付加し、次いでEO22.7モルを付加させた後、常法により水酸化カリウムを除去して得られたブロック付加型のポリオキシエチレンプロピレンポリオール。水酸基価33.5、末端EO単位の含有量20%。
(A-3):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として用いて反応温度95℃~130℃にて、PO34.6モルとEO111.4モルの混合物を反応させた後、常法により水酸化カリウムを除去して得られたランダム付加型のポリオキシエチレンプロピレンポリオール。官能基数3.0、水酸基価24、EO含量70%。
(A-4):ソルビトール1モルに水酸化カリウムを触媒として(触媒使用量0.3重量 %(反応生成物重量基準))用いて反応温度95℃~130℃にてPO8.7モルを付加 させた後、常法により水酸化カリウムを除去して 得られポリオキシプロピレンポリオール。官能基数6.0、水酸基価490、EO含量0%。
(A-5):グリセリン1モルに水酸化カリウムを触媒として用いて反応温度95℃~1 30℃にてPO72.6モルを付加し次いでEO15.9モルを付加させた後、常法によ り水酸化カリウムを除去して得られたブロック付加型のポリオキシエチレンポリオキシプ ロピレンポリオール(官能基数3.0、水酸基価34.0、末端EO単位の含有量14.0%)中で、アクリロニトリルとスチレンを重合比7:3で共重合させた重合体ポリオール。重合体含量32%、水酸基価22.0。
(A-6):ペンタエリスリトール1モルに水酸化カリウムを触媒として(触媒使用量0.3重量%(反応生成物重量基準))用いて反応温度95℃~130℃にてPO7.2モルを付加させた後、常法により水酸化カリウムを除 去して得られたポリオキシプロピレンポリオール。官能基数4.0、水酸基価404、EO単位の含有量0%
【0071】
<触媒成分(C)>
(C-1):エボニック社製「DABCO NE1070」:脂肪族3級アミン組成物。
(C-2):エボニック社製「DABCO NE300」:脂肪族3級アミン組成物。
(C-3)メチルアミンと1,6-ヘキサンジオ-ルとを重縮合したポリアミン花王(株)製「カオーライザーP200」
<架橋剤>:トリエタノールアミン
<発泡剤(D)>
(D-1):水
<整泡剤>
(E-1):エボニック社製「TEGOSTAB B8715LF2」
<ポリイソシアネート成分(B)>
(B-1):東ソー(株)社製変性MDI「CEF-403」、NCO%=28.2
【0072】
【0073】
C硬度が3~40であり、引っ張り破断伸びが30~200%であるポリウレタンフォームからなる芯材を用いた実施例によれば、比較例よりも針侵入長さが大きく、毛の最大引張荷重が大きかった。その結果、本発明のポリウレタンフォームによれば芯材に羊毛を被着させやすく、被着した羊毛が抜けにくい人形芯材用ウレタンフォームを提供できることがわかった。