(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139066
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
A47C 27/00 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A47C27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049858
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304036754
【氏名又は名称】国立大学法人山形大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川端 邦幸
(72)【発明者】
【氏名】吉川 創
(72)【発明者】
【氏名】橋本 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】松田 友美
(72)【発明者】
【氏名】古川 英光
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB02
3B096AB04
(57)【要約】
【課題】圧縮された状態でも通気性が損なわれ難いクッションを提供する。
【解決手段】弾性を有する線材2をX軸方向とY軸方向の2方向で交差させて井桁状に組んだ複数の井桁層10をZ軸方向に積層させて構成されたクッション1である。Z軸方向に隣り合う井桁層10同士がX軸方向とY軸方向の少なくとも何れかの方向において位相ずれを有した状態で積層されたオフセット部20を備えている。オフセット部20は、複数の井桁層10を側方から見て左斜め下方向に延在する第一傾斜部21と、第一傾斜部21と連続して配置され複数の井桁層10を側方から見て右斜め下方向に延在する第二傾斜部22と、を有し、第一傾斜部21および第二傾斜部22にそれぞれ三本以上の線材2が配置されることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性を有する線材をX軸方向とY軸方向の2方向で交差させて井桁状に組んだ複数の井桁層をZ軸方向に積層させて構成されたクッションであって、
Z軸方向に隣り合う前記井桁層同士がX軸方向とY軸方向の少なくとも何れかの方向において位相ずれを有した状態で積層されたオフセット部を備え、
前記オフセット部は、複数の井桁層を側方から見て斜め下方向に延在する傾斜部を有し、前記傾斜部にそれぞれ三本以上の前記線材が配置される
ことを特徴とするクッション。
【請求項2】
前記傾斜部は、複数の井桁層を側方から見て左斜め下方向に延在する第一傾斜部と、前記第一傾斜部と連続して配置され複数の井桁層を側方から見て右斜め下方向に延在する第二傾斜部と、を有している
ことを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記オフセット部における前記線材の位相ずれ長さは、前記線材の幅寸法の2倍以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のクッション。
【請求項4】
前記第一傾斜部と前記第二傾斜部は、Z軸方向に3つ以上連続して配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のクッション。
【請求項5】
前記オフセット部は、3Dプリンタにて一体形成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子やベッド等に用いられるクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
椅子やベッド等に用いられるクッションは、柔軟性を備えた軟質ウレタンにて構成される(例えば特許文献1参照)。特許文献1のクッション体は、軟質ウレタンフォームの内部に板状の芯材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軟質ウレタンは、多孔質で柔軟性を備えるものの、圧縮されると空隙がなくなるため、通気性が損なわれ、クッションに熱や湿気がこもってしまう問題があった。
本発明はかかる問題に鑑みて発明されたものであり、圧縮された状態でも通気性が損なわれ難いクッションを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明は、弾性を有する線材をX軸方向とY軸方向の2方向で交差させて井桁状に組んだ複数の井桁層をZ軸方向に積層させて構成されたクッションである。Z軸方向に隣り合う前記井桁層同士がX軸方向とY軸方向の少なくとも何れかの方向において位相ずれを有した状態で積層されたオフセット部を備え、前記オフセット部は、複数の井桁層を側方から見て斜め下方向に延在する傾斜部を有し、前記傾斜部にそれぞれ三本以上の前記線材が配置されることを特徴とする。
【0006】
本発明のクッションによれば、井桁層をZ軸方向に積層させて構成されているので、Z方向に圧縮された状態でも、線材間に隙間が確保される。つまり、本発明のクッションは、Z方向に圧縮された状態でも通気性が損なわれ難く、熱や湿気がこもり難い。
【0007】
本発明のクッションにおいては、前記傾斜部は、複数の井桁層を側方から見て左斜め下方向に延在する第一傾斜部と、前記第一傾斜部と連続して配置され複数の井桁層を側方から見て右斜め下方向に延在する第二傾斜部と、を有しているものが好ましい。このような構成によれば、第一傾斜部と第二傾斜部との連続部分において、オフセットの方向が折り返されるので、Z軸方向に離間する線材同士の配置が密になる。これによって、Z軸方向での反発力が得られ、大きい柔軟性を備えたクッションとなる。
【0008】
本発明のクッションにおいては、前記オフセット部における前記線材の位相ずれ長さは、前記線材の幅寸法の2倍以上であるものが好ましい。このような構成によれば、線材がZ軸方向に移動する空間を確保できるので、Z軸方向に沿って圧縮することができる。
【0009】
また、本発明のクッションにおいては、前記第一傾斜部と前記第二傾斜部は、Z軸方向に3つ以上連続して配置されているものが好ましい。このような構成によれば、Z軸方向に沿って2か所以上でオフセットの方向が折り返されるので、線材同士の間隔が密になる部分を複数確保できる。したがって、クッションの柔軟性が大きくなる。
【0010】
さらに、本発明のクッションにおいては、前記オフセット部は、3Dプリンタにて一体形成されるものが好ましい。このような構成によれば、クッションを正確な形状で容易且つ低コストで製作することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るクッションによれば、圧縮された状態でも通気性が損なわれ難くなるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るクッションを示した拡大平面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るクッションを示した図であって、
図1のII-II線断面図である。
【
図3】(a)は本発明の第二実施形態に係るクッションの第一ブロックを示した断面図、(b)は第二ブロックを示した断面図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係るクッションを示した断面図である。
【
図5】本発明の第三実施形態に係るクッションを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一実施形態に係るクッションを、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態に係るクッションは、例えば椅子の座面に用いられるものであり、所定の厚さを備えた厚板状に形成されている。本実施形態では、オフセット部の傾斜部の傾斜方向が左斜め下方向である第一傾斜部と、右斜め下方向である第二傾斜部と、を有している形態を例に挙げて説明する。
【0014】
図1および
図2に示すように、クッション1は、格子状を呈する井桁層10をZ軸方向に複数積層させて構成されている。井桁層10は、弾性を有する線材2をX軸方向とY軸方向の2方向で交差させて形成した平面視井桁状の層である。線材2は、例えば熱可塑性ポリウレタン(TPU)にて構成されている。なお、線材2の素材は、熱可塑性ポリウレタンに限定されるものではなく、弾性を有するものであれば他の素材であってもよい。本実施形態の線材2の断面形状は楕円形であるが、線材2の断面形状は楕円形に限定されるものではなく、円形や多角形等の他の形状であってもよい。井桁層10は、X軸方向に延在する複数の線材2で構成されたX軸線材層11と、Y軸方向に延在する複数の線材2で構成されたY軸線材層12とを備えている。X軸線材層11およびY軸線材層12は、交互に積層されている。X軸線材層11では、複数の線材2がY方向に所定の間隔をあけて等間隔のピッチL1で互いに平行に配置されている。Y軸線材層12では、複数の線材2がX方向に所定の間隔をあけて等間隔のピッチL1で互いに平行に配置されている。X軸線材層11において隣り合う線材2,2の中心間距離(配置ピッチ)L1は、Y軸線材層12において隣り合う線材2,2の中心間距離(配置ピッチ)L1と同じである。ピッチL1は、線材2の幅寸法(線材2をZ方向から見たときの幅寸法であり、線材2の断面が円形である場合は直径と等しい)の6倍である。つまり、本実施形態のクッション1は面密度が1/6となっている。
【0015】
一層の井桁層10は、一層のX軸線材層11と、一層のY軸線材層12とがZ軸方向に隣り合った状態で組み合わさって形成される。井桁層10を平面視すると、X軸方向に延在する線材2と、Y軸方向に延在する線材2とで正方形の枠部が形成される。線材2にて構成された枠部によって、平面視正方形の平板状空間13が形成され、この平板状空間13がZ軸方向に繋がって空隙部14となる。そして、各線材2が空隙部14を区画する壁部となっている。このような井桁層10がZ軸方向に複数層積層され、クッション1が形成されている。
【0016】
クッション1は、Z軸方向に隣り合う井桁層10,10同士がX軸方向とY軸方向の少なくとも何れかの方向において位相ずれを有した状態で積層されたオフセット部20を備えている。オフセット部20を含むクッション1は、樹脂にて構成されており、3Dプリンタにて一体形成されている。本実施形態では、Z軸方向に隣り合う井桁層10,10同士は、X軸方向とY軸方向との両方向に位相ずれを有した状態となっている。「X軸方向の位相ずれを有した状態」とは、ある井桁層10においてY軸方向に延在する線材2と、Z軸方向に隣り合う他の井桁層10においてY軸方向に延在する線材2とが、X軸方向にずれている状態(すなわち、Z軸方向から見たときに重なっていない状態)と同義である。また、「Y軸方向の位相ずれを有した状態」とは、ある井桁層10においてX軸方向に延在する線材2と、Z軸方向に隣り合う他の井桁層10においてX軸方向に延在する線材2とが、Y軸方向にずれている状態(すなわち、Z軸方向から見たときに重なっていない状態)と同義である。本実施形態では、Z軸方向に隣り合う井桁層10,10は、X軸方向およびY軸方向において、線材2の配置ピッチL1の3分の1の距離L2ずつ位相ずれを有した状態になっている。つまり、本実施形態のオフセット部20は、位相ずらし量が配置ピッチL1の6分の2(線材2の幅寸法の2倍)となっている。
【0017】
具体的には、第一の井桁層10(以下、後記する第二の井桁層10および第三の井桁層10と区別する場合には「第一の井桁層10a」と称する)の下方に、X軸方向とY軸方向において距離L2ずつオフセットした第二の井桁層10(以下、第一の井桁層10および第三の井桁層10と区別する場合には「第二の井桁層10b」と称する)が隣接している。第二の井桁層10bの下方には、さらにX軸方向とY軸方向において距離L2ずつオフセットした第三の井桁層10(以下、第一の井桁層10および第二の井桁層10と区別する場合には「第三の井桁層10c」と称する)が隣接している。第三の井桁層10cの下方には、さらにX軸方向とY軸方向において距離L2ずつオフセットした井桁層10が隣接している。この井桁層10は、第一の井桁層10aと同位相である。つまり、本実施形態の井桁層10は、Z軸方向に沿って、4層下がると、線材2が配置ピッチL1分位相ずれすることとなる。
【0018】
図2に示すように、クッション1の最上層に位置する第一の井桁層10aから第二の井桁層10b、第三の井桁層10c、さらに下方の第一の井桁層10aでは、Y軸方向に延在する線材2の位相ずれの方向が、断面方向(側方)から見て左方向となっている。すなわち、最上層を含む複数(本実施形態では4層)の井桁層10においてY軸方向に延在する線材2は、複数の井桁層10を側方から見て左斜め下方向(X軸に斜交する方向)に延在する帯状の仮想領域21(以下、「第一傾斜部21」という。)内に配置されている。なお、この第一傾斜部21を含む層を第一傾斜層23という。
【0019】
第一傾斜層23の最下層に位置する第一の井桁層10aから第二の井桁層10b、第三の井桁層10c、さらに下方の第一の井桁層10aでは、位相ずれの方向が、断面方向(側方)から見て右方向となっている。すなわち、第一傾斜層23の最下層を含む複数(本実施形態では4層)の井桁層10においてY軸方向に延在する線材2は、複数の井桁層10を側方から見て右斜め下方向(X軸に斜交する方向)に延在する帯状の仮想領域22(以下、「第二傾斜部22」という。)内に配置されている。第一傾斜部21と第二傾斜部22とは第一の井桁層10aの部分で重複している。なお、第二傾斜部22を含む層を第二傾斜層24という。
【0020】
第二傾斜層24の最下層に位置する第一の井桁層10aから第二の井桁層10b、第三の井桁層10c、さらに下方の第一の井桁層10aでは、位相ずれの方向が、断面方向(側方)から見て左方向となっている。すなわち、第二傾斜層24の最下層を含む複数(本実施形態では4層)の井桁層10においてY軸方向に延在する線材2は、複数の井桁層10を側方から見て左斜め下方向(X軸に斜交する方向)に延在する帯状の仮想領域23(第一傾斜部21)内に配置されている。このように、第一傾斜部21と第二傾斜部22とは、Z軸方向に沿って交互に配置され、位相ずれの方向が交互に折り返されている。第一傾斜部21と第二傾斜部22とは、連続する三つ以上の井桁層10を跨ぐように配置されている。位相ずれの折返し部25の内側には、線材2が密に配置されたばね部26が形成されている。ばね部26では、線材2が密に配置されているので、クッション1が圧縮された時に反発力を発生する。
【0021】
オフセット部20のうち、折返し部25を含むブロックを「ばね有りブロック」(
図1および
図2参照)という。一方、オフセット部20のうち、折返し部25を含まず、位相ずれの方向が同じ方向であるブロックを「ばね無しブロック」という。本実施形態のクッション1では、全体をばね有りブロックで構成してもよいし、ばね有りブロックとばね無しブロックとを交互に配置してもよい。
【0022】
本実施形態のクッション1によれば、第一傾斜部21と第二傾斜部22との連続部分において、位相ずれ(オフセット)の方向が折り返されて折返し部25が形成されるが、折返し部25の内側には、線材2が密に配置されたばね部26が形成されている。ばね部26では、線材2が密に配置されているので、Z軸方向での反発力が得られ、クッション1が柔軟性を備えることができる。
【0023】
また、クッション1は、複数の井桁層10をZ軸方向に積層させて構成されているので、圧縮されても、線材2間に空隙部14が残存する。つまり、クッション1は、Z方向に圧縮された状態でも通気性が損なわれ難いので、熱や湿気がこもり難い。
【0024】
さらに、本実施形態のクッション1では、オフセット部20における線材2の位相ずれ長さは、線材2の幅寸法の2倍以上(本実施形態では2倍)となっているので、線材2がZ軸方向に移動する空間を確保することができる。したがって、クッション1がZ軸方向に押圧された際に、クッション1が左右に傾き難くなり、Z軸方向に沿って真っ直ぐに圧縮することができる。
【0025】
また、本実施形態のクッション1では、第一傾斜部21と第二傾斜部22が、Z軸方向に3つ以上(本実施形態では3つ)連続して配置されているので、Z軸方向に沿って2か所の折返し部25が形成される。これによって、線材2,2同士の間隔が密になる部分を複数確保できるので、クッション1の柔軟性がより一層大きくなる。さらに、左右の折返し部25が近い位置に形成されるので、クッション1がZ軸方向に押圧された際に、左右にバランスよく圧縮され、クッション1が傾き難くなる。
【0026】
さらに、本実施形態のクッション1は、樹脂にて構成され3Dプリンタにて一体形成されるので、クッション1を正確な形状で形成できるとともに、容易に短時間且つ低コストで製作することができる。
【0027】
また、従来の発泡軟質ウレタンでは繰り返し圧縮により形状劣化する(へたる)という問題があったが、本実施形態のクッション1では、井桁層10の形状維持や反発力の維持が可能となる。したがって、クッション1の長寿命化が達成される。さらに、従来の発泡軟質ウレタンでは洗浄により水分が残ることで形状維持に係る耐性は低いという問題があったが、本実施形態のクッション1では、井桁層10に水分が残らず耐性が高いという作用効果も得られる。また、本実施形態のクッション1では、折り畳むと線材2が空隙部14に入り込むので、小さくすることができる点で、折り紙構造より進歩している。これによって、収納場所や運搬時の設置スペースが小さくて済む。
【0028】
次に、第二実施形態に係るクッションを、
図3および
図4を参照しながら説明する。なお、
図3以降では、図面を見やすくするために、X軸線材層の図示を省略している。
【0029】
図3および
図4に示すように、第二実施形態のクッション1では、X軸線材層(図示せず)およびY軸線材層12における線材2の配置ピッチは、線材2の幅寸法の8倍である。つまり、本実施形態のクッション1は面密度が1/8となっている。
【0030】
また、Z軸方向に隣り合う井桁層10,10は、X軸方向およびY軸方向において、線材2の配置ピッチの4分の1の距離ずつ位相ずれを有した状態になっている。つまり、本実施形態のオフセット部20は、位相ずらし量が配置ピッチの8分の2(線材2の幅寸法の2倍)となっている。
【0031】
さらに、井桁層10は、X軸方向またはY軸方向が、Z軸方向に沿って4本下がると位相ずれ方向が折り返すように構成されており、4本折返しばね構造となっている。
【0032】
図3の(a)に示すように、ばね無しブロック28は、折返し部25(
図3の(b)参照)を含まないブロックで、すべての線材2の位相ずれの方向が一定(本実施形態では左方向)であるブロックである。ばね無しブロック28は、井桁層10がZ軸方向に8層重ねられている。
【0033】
図3の(b)に示すように、ばね有りブロック27は、折返し部25を含むブロックである。ばね有りブロック27は、上側の3層の左側から2番目の線材2の位相ずれの方向が、ばね無しブロック28の位相ずれの方向とは逆側(本実施形態では右方向)である。その他の線材2の位相ずれの方向は、ばね無しブロック28と同じ(左方向)である。
【0034】
ばね有りブロック27の上に、ばね無しブロック28またはばね有りブロック27が配置されると、
図3の(b)のばね有りブロック27の上側に配置された線材2(二点鎖線にて示す)、および、ばね有りブロック27において位相ずれの方向が右方向となる4本の線材2は、右斜め下方向に延在する第二傾斜部22に配置される。第二傾斜部22の下端部の線材2、および、その下側に位置し位相ずれの方向が左方向となる4本の線材2は、左斜め下方向に延在する第一傾斜部21に配置される。
図3の(b)のばね有りブロック27の上に配置されるブロック(本実施形態では、
図3の(a)のばね無しブロック28を想定)の複数の線材2のうちの一部は、左斜め下方向に延在する第一傾斜部21に配置される。以上のように、ばね有りブロック27の上にばね無しブロック28を配置すると、第一傾斜部21と第二傾斜部22と第一傾斜部21とが3つ連続して配置される。そして、ばね有りブロック27とばね無しブロック28との境界部分にも折返し部25が形成されて、ばね部26が増えるので、反発力が強化される。
【0035】
第二実施形態のクッション1は、
図4に示すように、ばね有りブロック27とばね無しブロック28とが、上下左右に交互に配置されている。これによって、第一傾斜部21と第二傾斜部22と第一傾斜部21とが3つ連続する反発部30がクッション1の全体に亘って等間隔ピッチでバランスよく配置される。これによって、第二の実施形態のクッション1では、前記実施形態の作用効果の他に、反発力が均等に得られ、熱がこもり難いクッション1を提供することができるという作用効果を得られる。
【0036】
次に、第三施形態に係るクッションを、
図5を参照しながら説明する。
図5に示すように、第三の実施形態のクッション1では、左右の側縁部に、ばね有りブロック27をZ軸方向に連続して配置し、側縁部の内側の中間部に、ばね無しブロック28をZ軸方向に連続して配置している。このような構成によれば、クッション1の側縁部に、第一傾斜部21と第二傾斜部22とが交互に多数連続する反発部31が形成される。縦長の反発部31では大きい反発力が得られ、圧縮量が小さくなる。一方、中間部では、反発部が形成されないので、圧縮力に対して大きな反発力が発生せず、圧縮量が大きくなる。これによって、側縁部は比較的固く、中間部は軟らかくなり、中間部が凹む座りやすいクッション1を提供することができる。
【0037】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、ばね有りブロック27とばね無しブロック28の配置形態または反発部30の配置形態は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、反発部が市松模様状に配置されたものであってもよいし、反発部が一方向の斜めに配置されたものや、十字状あるいはX字状に配置されたものであってもよい。また、必要に応じて部分的に反発部を形成してもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、ばね有りブロック27とばね無しブロック28の両方が設けられて、反発部30,31が形成されているが、これに限定されるものではない。クッションを、ばね無しブロックのみで構成し、折返し部を備えない形状としてもよい。このような構成によっても、Z軸方向に沿って圧縮された際に、線材間に空隙部が残存するので、通気性が損なわれ難く、熱や湿気がこもり難くなるという作用効果を得られるとともに、一定のクッション性を確保できる。また、位相ずれ長さが線材の幅寸法の2倍以上であるので、Z軸方向に沿って圧縮変形することができる。なお、位相ずれ長さが線材の幅寸法の2倍よりも小さい場合であっても、圧縮された際に、線材間に空隙部が残存するので、通気性が損なわれ難く、熱や湿気がこもり難いという作用効果を得ることができる。また、位相ずれ長さを小さくすることで、意図的にクッションを斜めに変形させ、内部荷重とその変形を吸収することができる。
【0039】
また、第一傾斜部21と第二傾斜部22とが連続する数は3以上であれば、多くてもよい。連続する数が多ければ、反発部が縦長となり、ばね部26が連続して多数配置されるので、大きい反発力が得られる。
【0040】
さらに、前記実施形態では、井桁層10は、X軸方向とY軸方向の両方で位相ずれを有した状態で積層させているが、X軸方向またはY軸方向のいずれか一方向のみで位相ずれを有した状態としてもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、線材2が正方形の井桁状に組まれているが、これに限定されるものではない。たとえば、長方形の井桁状、六角形や八角形等、他の多角形に線材を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 クッション
2 線材
10 井桁層
20 オフセット部
20 軟質領域
21 第一傾斜部
22 第二傾斜部