(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139069
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20241002BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049861
(22)【出願日】2023-03-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】生井 伸夫
(72)【発明者】
【氏名】山林 純
(72)【発明者】
【氏名】神田 佳
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003BA06
2D003BA07
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
2D003DB03
2D003DB04
2D003DB07
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】蓄積される損傷度の定量化を精度よく行うことが可能な作業機械を提供する。
【解決手段】作業機械は、車体と、車体に取り付けられる作業装置と、車体または作業装置に取り付けられる加速度センサと、制御装置と、を備える。制御装置は、作業機械の稼働情報に基づいて、複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定し、加速度センサの検出結果に基づいて、動作状態毎の振動の影響度による重み付けを行って、動作状態毎に作業機械に作用する負荷の累積値を表す累積負荷を演算し、動作状態毎の累積負荷を足し合わせることにより総累積負荷を演算し、総累積負荷を出力する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に取り付けられる作業装置と、前記車体または前記作業装置に取り付けられる加速度センサと、制御装置と、を備える作業機械において、
前記制御装置は、
前記作業機械の稼働情報に基づいて、複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定し、
前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記動作状態毎の振動の影響度による重み付けを行って、前記動作状態毎に前記作業機械に作用する負荷の累積値を表す累積負荷を演算し、
前記動作状態毎の前記累積負荷を足し合わせることにより総累積負荷を演算し、
前記総累積負荷を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記車体は、走行体と、前記走行体に旋回輪を介して旋回可能に設けられた旋回体とを有し、
前記旋回体に搭載される原動機と、
前記原動機の回転速度を検出する回転速度センサと、
前記走行体、前記旋回体、及び前記作業装置に対する操作を検出する操作センサと、を備え、
前記稼働情報には、前記回転速度センサの検出結果及び前記操作センサの検出結果が含まれ、
前記制御装置は、
前記回転速度センサの検出結果に基づき、前記原動機が稼働している状態であるか否かを判定し、
前記操作センサの検出結果に基づき、前記走行体、前記旋回体、及び前記作業装置のそれぞれが操作されているか否かを判定し、
前記原動機が稼働している状態であり、かつ、前記走行体、前記旋回体、及び前記作業装置のいずれも操作されていない状態である場合には、前記動作状態をアイドル状態と判定し、
前記走行体が操作されている状態である場合には、前記動作状態を走行状態と判定し、
前記作業装置及び前記旋回体のうち少なくとも一方が操作されている状態である場合には、前記動作状態を作業状態と判定し、
前記アイドル状態での前記累積負荷を0とし、
前記作業状態での前記累積負荷と前記走行状態での前記累積負荷とを足し合わせることにより前記総累積負荷を演算する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記作業状態での前記累積負荷の演算に用いる重み付けは、前記走行状態での前記累積負荷の演算に用いる重み付けよりも大きい
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記動作状態毎の稼働時間を演算し、
前記動作状態毎の稼働時間を足し合わせることにより総稼働時間を演算し、
前記総稼働時間と前記総累積負荷とを対応付けて出力するとともに、前記動作状態毎の稼働時間及び前記総稼働時間に対する前記動作状態毎の稼働時間の割合の少なくとも一方を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項2に記載の作業機械において、
前記旋回体は、前記旋回輪により支持されるセンターフレームと、前記センターフレームの側方に設けられ前記センターフレームにより支持されるサイドフレームと、を有し、
前記加速度センサは、前記センターフレームに取り付けられている
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の消耗度を把握するために、作業機械の各動作状態の累積時間の合計を出力する作業機械が知られている(特許文献1参照)。なお、特許文献1に記載の作業機械は、合計累積時間だけでなく、所定のタイミング毎に走行振動を判定し、その判定結果を出力する。具体的には、特許文献1に記載の作業機械は、所定のタイミング毎に振動の大きさである振動強度を算出し、算出した振動強度を9つのレベルに分類し、9つの振動強度レベルのそれぞれに関して判定回数をカウントし、サーバに送信する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、作業機械による日々の作業で蓄積される損傷度の定量化が難しい。このため、蓄積する損傷度を精度よく定量化できる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、蓄積される損傷度の定量化を精度よく行うことが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による作業機械は、車体と、前記車体に取り付けられる作業装置と、前記車体または前記作業装置に取り付けられる加速度センサと、制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記作業機械の稼働情報に基づいて、複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定し、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記動作状態毎の振動の影響度による重み付けを行って、前記動作状態毎に前記作業機械に作用する負荷の累積値を表す累積負荷を演算し、前記動作状態毎の前記累積負荷を足し合わせることにより総累積負荷を演算し、前記総累積負荷を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、蓄積される損傷度の定量化を精度よく行うことが可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの構成図である。
【
図2】
図2は、油圧ショベルのシステム構成を示す図である。
【
図3】
図3は、旋回フレームの斜視図であり、車体傾斜角度センサの取付位置について示す。
【
図4】
図4は、車体コントローラの機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、車体コントローラにより実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、油圧ショベルの動作状態の時間変化の一例について示す図である。
【
図7】
図7は、表示装置の表示画面に表示される表示画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る作業機械について図面を用いて説明する。なお、以下では、作業機械が、作業装置の先端の作業具(アタッチメント)としてバケット10を備える油圧ショベルである例について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
-油圧ショベルの全体構成-
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧ショベル1の構成図である。
図1に示すように、油圧ショベル1は、車体(機体)1Bと、車体1Bに取り付けられる多関節型のフロント作業装置(以下、単に作業装置と記す)1Aと、を備える。車体1Bは、左右の走行油圧モータ(油圧アクチュエータ)3a,3bにより走行する下部走行体11と、下部走行体11に旋回輪17を介して旋回可能に設けられる上部旋回体12と、を有する。上部旋回体12は、旋回油圧モータ(油圧アクチュエータ)4により旋回する。
【0011】
作業装置1Aは、複数の駆動対象部材(ブーム8、アーム9及びバケット10)と、駆動対象部材を駆動する複数の油圧アクチュエータと、を備える。複数の駆動対象部材は、直列的に連結されている。ブーム8の基端部は上部旋回体12の前部においてブームピンを介して回動可能に支持されている。ブーム8の先端部にはアームピンを介してアーム9が回動可能に連結されている。アーム9の先端部にはバケットピンを介して作業具としてのバケット10が回動可能に連結されている。ブーム8は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、ブームシリンダとも記す)5によって駆動される。アーム9は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、アームシリンダとも記す)6によって駆動される。バケット10は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、バケットシリンダとも記す)7によって駆動される。
【0012】
ブーム8、アーム9及びバケット10の回動角度を測定可能なように、ブーム8にブーム角度センサ50、アーム9にアーム角度センサ51、バケットリンク13にバケット角度センサ52が取り付けられている。上部旋回体12には、基準面(例えば水平面)に対する上部旋回体12(車体1B)の傾斜角を検出する車体傾斜角度センサ53が取り付けられている。
【0013】
上部旋回体12の前部左側には運転室16が設けられ、運転室16の後方には機械室19が設けられている。運転室16には、油圧ショベル1の各種操作を行う操作装置、及び、オペレータが着席する運転席等が配置されている。機械室19には、エンジン23、油圧ポンプ及び旋回油圧モータ4などが搭載される。また、上部旋回体12の後部には、作業時のバランスをとるためのカウンタウェイト18が設けられている。上部旋回体12と下部走行体11との間には旋回輪17が設けられている。旋回輪17は旋回油圧モータ4により駆動し、上部旋回体12を下部走行体11に対して右方向または左方向に旋回させる。
【0014】
図2は、油圧ショベル1のシステム構成を示す図である。油圧ショベル1は、油圧ショベル1の各部の動作を制御する制御装置である車体コントローラ14と、エンジン回転速度の上限値を手動で変更するためのエンジンコントロールダイヤル15と、原動機としてエンジン23と、エンジン23を制御する制御装置であるエンジンコントローラ24と、を備えている。エンジンコントローラ24には、エンジン23の回転速度を検出するピックアップセンサ等の回転速度センサ23aが接続されている。なお、本実施の形態では、原動機としてエンジン23を例に挙げるが、電動モータ等の原動機を用いることもできる。
【0015】
車体コントローラ14は、エンジンコントローラ24等と、CAN(Controller Area Network)と呼ばれる車載ネットワークにより接続され、相互に情報(データ)の送受信を行っている。
【0016】
車体コントローラ14及びエンジンコントローラ24は、協働してエンジン23の回転速度を制御する。エンジン回転速度制御において、車体コントローラ14は、エンジンコントロールダイヤル15の操作位置、後述する各アクチュエータ(3~7)の操作装置31,32,33の操作状態、後述するメインポンプ21の負荷状態などに基づいて、エンジン目標回転速度を演算し、そのエンジン目標回転速度をエンジンコントローラ24に出力する。
【0017】
エンジンコントローラ24は、回転速度センサ23aの信号からエンジン実回転速度を演算する。エンジンコントローラ24は、エンジン実回転速度がエンジン目標回転速度となるようにエンジン23を制御する。エンジンコントローラ24は、演算したエンジン実回転速度を車体コントローラ14に出力する。
【0018】
油圧ショベル1は、可変容量型の油圧ポンプであるメインポンプ21及び固定容量型の油圧ポンプであるパイロットポンプ22を備えている。メインポンプ21及びパイロットポンプ22は、エンジン23によって駆動され、油タンク25から作動油を吸い込み、吐出配管に作動油を吐出する。パイロットポンプ22の吐出配管であるパイロットラインには、ロック弁26が設けられる。パイロットラインにおけるロック弁26とパイロットポンプ22との間には、ポンプレギュレータ27が接続されている。
【0019】
ロック弁26は、パイロットポンプ22のパイロットラインを遮断可能な電磁切替弁である。ロック弁26は、車体コントローラ14によって駆動するソレノイドによって回路遮断位置と回路連通位置に切り換えられる。ロック弁26は、オペレータにより操作される。運転室16内には、ロックレバー装置30が設置されている。ロックレバー装置30がロック位置にあるとき、ロック弁26は回路遮断位置に切り換えられる。この状態では、パイロットポンプ22から吐出される作動油は、ロック弁26の下流側に流れない。ロックレバー装置30がロック解除位置にあるとき、ロック弁26は回路連通位置に切り換えられる。この状態では、パイロットポンプ22から吐出される作動油は、ロック弁26の下流側に流れる。
【0020】
ポンプレギュレータ27は、パイロットポンプ22の吐出圧(パイロット一次圧)を減圧して出力する電磁比例弁であるポンプ流量制御弁を有している。ポンプレギュレータ27は、車体コントローラ14からの制御信号(電流)に応じてパイロット一次圧を減圧して二次圧を出力する。ポンプレギュレータ27は、メインポンプ21の傾転角(押除け容積)制御機構を内蔵しており、ポンプ流量制御弁の出力(二次圧)であるポンプ流量制御圧に応じてメインポンプ21の押除け容積(すなわち吐出流量)を制御する。
【0021】
メインポンプ21は、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7、走行油圧モータ3a,3b、旋回油圧モータ4などの油圧アクチュエータを駆動するための駆動源である。なお、
図2では、メインポンプ21を1つのみ表記しているが、メインポンプ21は複数あってもよい。
【0022】
油圧ショベル1は、ブームシリンダ5を操作するブーム操作装置と、アームシリンダ6を操作するアーム操作装置と、バケットシリンダ7を操作するバケット操作装置とを備える。なお、
図2では、ブーム操作装置、アーム操作装置、バケット操作装置のうちの一つを代表する作業操作装置31が示されている。また、
図2では、ブームシリンダ5、アームシリンダ6及びバケットシリンダ7のうちの一つを代表する油圧シリンダSが示されている。
【0023】
油圧ショベル1は、下部走行体11の左クローラの走行油圧モータ3aを操作する左走行操作装置と、下部走行体11の右クローラの走行油圧モータ3bを操作する右走行操作装置と、旋回油圧モータ4を操作する旋回操作装置33とを備える。なお、
図2では、右走行操作装置及び左走行操作装置のうちの一つを代表する走行操作装置32が示されている。また、
図2では、左クローラの走行油圧モータ3a及び右クローラの走行油圧モータ3bのうちの一つを代表する走行油圧モータ3が示されている。
【0024】
作業操作装置31は、オペレータによって傾動操作される操作レバー31cと、油圧パイロット方式の一対の減圧弁31a,31bとを有する。走行操作装置32は、オペレータによって傾動操作される操作レバー32cと、油圧パイロット方式の一対の減圧弁32a,32bとを有する。旋回操作装置33は、オペレータによって傾動操作される操作レバー33cと、油圧パイロット方式の一対の減圧弁33a,33bとを有する。
【0025】
操作装置31,32,33の減圧弁31a,31b,32a,32b,33a,33bは、パイロットラインにおけるロック弁26の下流側に設けられている。ロック弁26が回路連通位置に切り換えられている場合、減圧弁31a,31b,32a,32b,33a,33bは、パイロットポンプ22の吐出圧を元圧として、操作レバー31c,32c,33cの操作量と操作方向に応じたパイロット圧(操作圧とも称する)を発生する。
【0026】
減圧弁31a,31b,32a,32b,33a,33bによって発生したパイロット圧は、コントロールバルブ40に導かれる。コントロールバルブ40は、メインポンプ21から油圧アクチュエータ(S,3,4)に供給される作動油の流量を制御するための流量制御弁41,42,43を有している。
【0027】
減圧弁31a,31b,32a,32b,33a,33bによって発生したパイロット圧(操作圧)は、油圧アクチュエータ(S,3,4)を動作させる指令(信号)として利用される。
【0028】
操作装置31,32,33の操作レバー31c,32c,33cが操作されると、その操作方向及び操作量に応じた操作圧(信号)がコントロールバルブ40の流量制御弁41,42,43の受圧部41a,41b,42a,42b,43a,43bに導かれ、流量制御弁41,42,43が動作する。これにより、メインポンプ21から吐出された作動油は、流量制御弁41,42,43を通じて、その流量制御弁41,42,43に対応する油圧アクチュエータ(S,3,4)に供給され、油圧アクチュエータ(S,3,4)が駆動される。
【0029】
油圧ショベル1は、操作装置31,32,33の操作圧(操作量)を検出する操作センサ(作業操作センサ34a,34b、走行操作センサ35a,35b、旋回操作センサ36a,36b)を有している。本実施形態では、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bは、操作装置31,32,33の減圧弁31a,31b,32a,32b,33a,33bと流量制御弁41,42,43の受圧部41a,41b,42a,42b,43a,43bとを接続するパイロットラインに設けられる圧力センサである。
【0030】
操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bは、オペレータによる操作レバー31c,32c,33cによる作業装置1A、下部走行体11、及び上部旋回体12に対する操作によって生じる操作圧(操作量)を検出し、検出結果を車体コントローラ14に出力する。
【0031】
作業操作センサ34a,34bは、流量制御弁41の受圧部41a,41bに作用する操作圧(作業操作圧とも記す)を検出する。なお、作業操作装置31がブーム操作装置である場合、作業操作センサ34a,34bは、ブームシリンダ5の操作圧(すなわち、ブーム8の操作)を検出するブーム操作センサである。また、作業操作装置31がアーム操作装置である場合、作業操作センサ34a,34bは、アームシリンダ6の操作圧(すなわち、アーム9の操作)を検出するアーム操作センサである。作業操作装置31がバケット操作装置である場合、作業操作センサ34a,34bは、バケットシリンダ7の操作圧(すなわち、バケット10の操作)を検出するバケット操作センサである。このように、作業操作センサ34a,34bは、作業装置1Aを動作させるための操作圧(操作量)を検出する。
【0032】
走行操作センサ35a,35bは、流量制御弁42の受圧部42a,42bに作用する操作圧(走行操作圧とも記す)を検出する。つまり、走行操作センサ35a,35bは、下部走行体11を動作(走行)させるための操作圧(操作量)を検出する。旋回操作センサ36a,36bは、流量制御弁43の受圧部43a,43bに作用する操作圧(旋回操作圧とも記す)を検出する。つまり、旋回操作センサ36a,36bは、上部旋回体12を動作(旋回)させるための操作圧(操作量)を検出する。
【0033】
作業操作センサ34a,34b、走行操作センサ35a,35b、旋回操作センサ36a,36bの信号は車体コントローラ14に入力される。車体コントローラ14は、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bからの信号に基づいて、油圧ショベル1の操作状況を把握する。
【0034】
車体コントローラ14は、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置141、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ142、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ143、入出力インタフェース144、及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、車体コントローラ14は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
【0035】
不揮発性メモリ142には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ142は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体(記憶装置)である。揮発性メモリ143は、処理装置141による演算結果及び入出力インタフェース144から入力された信号を一時的に記憶する記憶媒体(記憶装置)である。処理装置141は、不揮発性メモリ142に記憶されたプログラムを揮発性メモリ143に展開して演算実行する装置である。処理装置141は、プログラムに従って入出力インタフェース144、不揮発性メモリ142及び揮発性メモリ143から取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
【0036】
車体コントローラ14は、ブーム角度センサ50、アーム角度センサ51、バケット角度センサ52、車体傾斜角度センサ53、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36b、エンジンコントローラ24、ポンプレギュレータ27、ロックレバー装置30、ロック弁26、エンジンコントロールダイヤル15、通信装置71、及び表示装置72のそれぞれに接続される。
【0037】
入出力インタフェース144の入力部は、各種装置(エンジンコントローラ24、エンジンコントロールダイヤル15、ロックレバー装置30、ブーム角度センサ50、アーム角度センサ51、バケット角度センサ52、車体傾斜角度センサ53、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36b、及び通信装置71等)から入力された信号を処理装置141で演算可能なデータに変換する。また、入出力インタフェース144の出力部は、処理装置141での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を各種装置(エンジンコントローラ24、ロック弁26、ポンプレギュレータ27、通信装置71、及び表示装置72等)に出力する。
【0038】
ロックレバー装置30は、操作装置31,32,33による油圧アクチュエータ(S,3,4)の動作を可能な状態とするロック解除位置と、操作装置31,32,33による油圧アクチュエータ(S,3,4)の動作を不能な状態とするロック位置とに切換可能な操作装置である。
【0039】
ロックレバー装置30は、ロック位置とロック解除位置とに選択的に操作されるロックレバー30aと、ロックレバー30aの操作位置に応じた信号を車体コントローラ14に出力する操作位置センサ30bと、を備える。
【0040】
車体コントローラ14は、操作位置センサ30bから出力される信号に基づいてロックレバー30aの操作位置を検出し、ロックレバー装置30の操作位置に応じてロック弁26を制御する。車体コントローラ14は、ロックレバー30aがロック位置に操作されている場合には、ロック弁26を回路遮断位置に切り換える。車体コントローラ14は、ロックレバー30aがロック解除位置に操作されている場合には、ロック弁26を回路連通位置に切り換える。
【0041】
ロック弁26が回路遮断位置にある場合、パイロットポンプ22から操作装置31,32,33に供給されるパイロット一次圧がロック弁26により遮断され、操作装置31,32,33による油圧アクチュエータ(S,3,4)の動作が不能な状態となる。ロック弁26が回路連通位置にある場合、パイロットポンプ22から操作装置31,32,33にパイロット一次圧が供給される。したがって、操作量に応じて操作装置31,32,33で生成されるパイロット圧(操作圧)が流量制御弁41,42,43に導かれるため、操作装置31,32,33による油圧アクチュエータ(S,3,4)の動作が可能な状態となる。
【0042】
車体傾斜角度センサ53は、直交3軸の軸方向の加速度を検出する加速度センサ53aと、直交3軸の軸まわりの角速度を検出する角速度センサ53bと、を有するIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)である。ブーム角度センサ50、アーム角度センサ51、及びバケット角度センサ52も同様の構成を有するIMUである。車体コントローラ14は、各IMUで取得した情報に基づいてブーム角、アーム角、バケット角及び車体傾斜角を演算する。なお、角度センサ(50,51,52)には、ポテンショメータが採用されていてもよい。
【0043】
油圧ショベル1では、走行中及び作業中に振動や衝撃が負荷として作用する。油圧ショベル1に繰り返し負荷が作用することにより、油圧ショベル1の構成部品は劣化する。なお、油圧ショベル1の動作状態が走行状態であるときに作用する振動に起因して劣化する部品群と、油圧ショベル1の動作状態が作業状態であるときに作用する振動に起因して劣化する部品群との間には違いがあり、その影響度も異なる。このため、本実施形態に係る車体コントローラ14は、加速度センサ53aの検出結果に基づいて、油圧ショベル1の動作状態毎の振動の影響度に応じた重み付けを行って、動作状態毎に油圧ショベル1に作用する負荷の累積値を表す累積負荷を演算する。
【0044】
本実施形態では、車体コントローラ14は、車体傾斜角度センサ53に含まれる加速度センサ53aによって検出される加速度の時刻歴データに基づいて、油圧ショベル1の累積負荷を演算する。
図3を参照して、車体傾斜角度センサ53の取付位置について説明する。
図3は、旋回フレーム100の斜視図であり、車体傾斜角度センサ53の取付位置について示す。
【0045】
図3に示すように、上部旋回体12は、運転室16、機械室19、及びカウンタウェイト18と、これらを支持する旋回フレーム100と、を有する。旋回フレーム100の上部には、左前方に運転室16が設けられ、運転室16の後方に機械室19が設けられている。また、機械室19の後方にはカウンタウェイト18が設けられ、上部旋回体12の前方に設けられた作業装置1Aの掘削動作による前後の重量バランスをとるように構成されている。
【0046】
旋回フレーム100は、旋回フレーム100の中央部分を構成するセンターフレーム110と、センターフレーム110の左側方に設けられる左サイドフレーム120と、センターフレーム110の右側方に設けられる右サイドフレーム130と、を備えている。センターフレーム110は、平板状の底板111と、底板111上に立設される左右一対の縦板(左縦板及び右縦板)112と、を有する。左右の縦板112は、それぞれ前後方向に延在している。底板111の下面側には、旋回輪17(
図1参照)が取り付けられている。つまり、センターフレーム110は、旋回輪17によって支持されている。
【0047】
縦板112は、側面視で山形状に形成されている。つまり、縦板112は、上端に向かって前後の長さが短くなるように形成されている。縦板112の頂部には、ブーム8が回動可能にピン結合されるブーム結合部112aが設けられている。縦板112の前端部には、ブームシリンダ5の基端側が回動可能にピン結合されるシリンダ結合部112bが設けられている。
【0048】
左右一対の縦板112の間には、縦板112の左右方向への倒れに対する強度を高めるための補強板114が設けられる。補強板114の左右両端部は、左右一対の縦板112の内側面に溶接されている。センターフレーム110の後端部には、カウンタウェイト18が取り付けられるウェイト取付部113が設けられている。
【0049】
左サイドフレーム120は、センターフレーム110から左方向に延在する複数のビーム125を有し、ビーム125を介してセンターフレーム110によって支持されている。複数のビーム125は、基端部がセンターフレーム110に溶接により固定されている。また、左サイドフレーム120は、複数のビーム125の先端部に固定される部材であって前後方向に延在する外枠部121と、最前部のビーム125の基端部に固定される部材であって当該ビーム125から前方に延在する内枠部124と、外枠部121と内枠部124の前端部同士を連結する部材であって左右方向に延在する前枠部122と、外枠部121とセンターフレーム110の後端部同士を連結する部材であって左右方向に延在する後部プレート123と、を有している。
【0050】
右サイドフレーム130は、左サイドフレーム120と同様、複数のビーム135と、外枠部131と、内枠部と、前枠部と、後部プレート133と、を有している。右サイドフレーム130は、左サイドフレーム120と同様の構成を有しているため、詳細な説明を省略する。
【0051】
左サイドフレーム120の前枠部122と前側2本のビーム125には、円形のマウント取付孔が設けられている。これらの取付孔には、防振マウントを介して運転室16が取り付けられる。
【0052】
旋回フレーム100は旋回輪17によって支持され、外枠部121,131は、センターフレーム110から延在するビーム125,135によって片持ち状態で設けられている。このため、油圧ショベル1に作用する振動は、旋回輪17からの距離によって異なり、旋回中心から離れた場所ほど振動が大きくなる。外枠部121,131に加速度センサ53aが取り付けられた場合、下部走行体11から旋回フレーム100に負荷が作用すると、ビーム125,135の撓みにより増幅された振動が加速度センサ53aによって検出されることになる。下部走行体11や作業装置1Aから旋回フレーム100に作用する振動、すなわち、掘削や走行など車体1Bが稼働することで上部旋回体12に発生する振動を可能な限り直接的に検出するためには、高剛性の旋回輪17の近傍に加速度センサ53aを取り付けることが好ましい。
【0053】
本実施形態では、左右一対の縦板112のいずれか一方における内側面に、加速度センサ53aを含む車体傾斜角度センサ53が取り付けられている。車体傾斜角度センサ53は、底板111の近傍、すなわちブームピンの取付孔よりも底板111に近い位置に取り付けられている。なお、加速度センサ53aの取付位置は、これに限定されない。例えば、加速度センサ53aは、縦板112の外側面における底板111の近傍に取り付けてもよいし、底板111における縦板112の近傍(例えば、平面視で旋回輪17の内側)に取り付けてもよい。つまり、本実施形態において、加速度センサ53aは、旋回輪17により支持されるセンターフレーム110に取り付けられる。これにより、下部走行体11や作業装置1Aから旋回フレーム100に作用する振動、すなわち、掘削や走行など車体1Bが稼働することで上部旋回体12に発生する振動を直接的に検出することができる。
【0054】
なお、加速度センサ53aは、センターフレーム110に取り付けられる場合に限定されない。例えば、加速度センサ53aは、最前部のビーム125の基端部側から前方に延在する内枠部124に取り付けてもよい。内枠部124は、外枠部121に比べて旋回輪17に近い位置に設けられている。また、内枠部124は、外枠部121や機械室19を形成する建屋カバーなどに比べて断面二次モーメントが大きい。このため、内枠部124に加速度センサ53aを取り付けた場合であっても、下部走行体11や作業装置1Aから旋回フレーム100に作用する振動、すなわち、掘削や走行など車体1Bが稼働することで上部旋回体12に発生する振動を精度よく検出することができる。
【0055】
図4を参照して、車体コントローラ14の機能について詳しく説明する。
図4は、車体コントローラ14の機能ブロック図である。
図4に示すように、車体コントローラ14は、動作状態判定部151、稼働時間演算部152、フィルタ処理部153、負荷演算部154、及び出力制御部159としての機能を有する。
【0056】
動作状態判定部151は、車体コントローラ14に入力される油圧ショベル1の稼働情報(稼働データ)に基づいて、複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定する。油圧ショベル1の動作状態としては、アイドル状態(待機状態)、走行状態、及び作業状態がある。稼働情報には、回転速度センサ23aの検出結果、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bの検出結果、及び角度センサ50~53の検出結果が含まれる。なお、
図4では、回転速度センサ23aが直接車体コントローラ14に接続されている例について示しているが、上述したように、車体コントローラ14は、エンジンコントローラ24を介して実エンジン回転速度を取得してもよい。
【0057】
動作状態判定部151は、油圧ショベル1の稼働情報に基づいて、油圧ショベル1の動作状態がアイドル状態(待機状態)、走行状態、及び作業状態のいずれであるかを判定する。動作状態判定部151は、アイドリング条件が成立した場合に、油圧ショベル1の動作状態をアイドル状態と判定する。アイドリング条件は、以下の(条件1)及び(条件2)の双方が満たされた場合に成立する。
(条件1)エンジン23が稼働している状態である。
(条件2)下部走行体11、上部旋回体12、及び作業装置1Aのいずれも操作されていない状態である。
【0058】
動作状態判定部151は、車体コントローラ14に入力されたエンジン23の回転速度Neが下限値Ne1以上、かつ上限値Ne2以下である場合に、(条件1)が満たされていると判定する。ここで、エンジン23の回転速度の下限値Ne1は、例えば、エンジンコントロールダイヤル15により設定される最小値に相当し、エンジン23の回転速度の上限値Ne2は、エンジンコントロールダイヤル15により設定される最大値に相当する。なお、エンジン23の回転速度が上下するようなモードを有している場合、上限値Ne2は、そのモードの設定回転速度に相当する値となる。また、車体コントローラ14が、オートアイドル機能を有している場合、下限値Ne1は、オートアイドル回転速度に相当する値としてもよい。オートアイドル機能とは、一定時間、操作が行われなかった場合に、エンジン23の回転速度を上記最小値よりも低いオートアイドル回転速度に制御する機能である。
【0059】
動作状態判定部151は、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bから車体コントローラ14に入力された走行操作圧、旋回操作圧、及び作業操作圧のいずれもが操作圧閾値P0未満である場合に、(条件2)が満たされていると判定する。ここで、操作圧閾値P0は、操作装置31~33が操作されているか否かを判定するための閾値であり、予め不揮発性メモリ142に記憶されている。
【0060】
動作状態判定部151は、走行条件が成立した場合に、油圧ショベル1の動作状態を走行状態と判定する。走行条件は、走行単独操作が行われている場合、すなわち以下の(条件3)及び(条件4)の双方が満たされた場合に成立する。
(条件3)下部走行体11が操作されている状態である。
(条件4)上部旋回体12及び作業装置1Aのいずれも操作されていない状態である。
【0061】
動作状態判定部151は、操作センサ35a,35bから車体コントローラ14に入力された走行操作圧の一方(前進方向または後進方向の走行操作圧)が操作圧閾値P0以上である場合に、(条件3)が満たされていると判定する。動作状態判定部151は、操作センサ34a,34b,36a,36bから車体コントローラ14に入力された旋回操作圧及び作業操作圧のいずれもが操作圧閾値P0未満である場合に、(条件4)が満たされていると判定する。
【0062】
なお、エンジン23が稼働していない状態では、走行操作圧は操作圧閾値P0以上となることはない。このため、(条件3)が満たされた場合には、エンジン23が稼働状態であるとみなすことができる。
【0063】
動作状態判定部151は、作業条件が成立した場合に、油圧ショベル1の動作状態を作業状態と判定する。作業条件は、以下の(条件5)が満たされた場合に成立する。
(条件5)作業装置1A及び上部旋回体12のうち少なくとも一方が操作されている状態である。
【0064】
動作状態判定部151は、操作センサ34a,34b,36a,36bから車体コントローラ14に入力された旋回操作圧及び作業操作圧の少なくともいずれかが操作圧閾値P0以上である場合に、(条件5)が満たされていると判定する。
【0065】
なお、エンジン23が稼働していない状態では、旋回操作圧及び作業操作圧は操作圧閾値P0以上となることはない。このため、(条件5)が満たされた場合には、エンジン23が稼働状態であるとみなすことができる。
【0066】
稼働時間演算部152は、油圧ショベル1の動作状態毎の時間を積算することにより、動作状態毎の稼働時間を演算する。稼働時間演算部152は、エンジンキースイッチによりエンジン23が始動されてから稼働時間の演算を開始する。稼働時間演算部152は、エンジンキースイッチによりエンジン23が停止すると、動作状態毎の稼働時間を足し合わせることにより、油圧ショベル1の総稼働時間Ttを演算する。動作状態毎の稼働時間は、エンジン23が停止した後も不揮発性メモリ142に記憶保持され、次回の稼働時間の演算の初期値として使用される。
【0067】
稼働時間演算部152は、総稼働時間Ttに対する動作状態毎の稼働時間の割合を演算する。総稼働時間Ttに対するアイドル状態の稼働時間の割合R0は、アイドル状態での稼働時間T0を総稼働時間Ttで除することにより演算される(R1=T0/Tt)。総稼働時間Ttに対する作業状態の稼働時間の割合R1は、作業状態での稼働時間T1を総稼働時間Ttで除することにより演算される(R1=T1/Tt)。総稼働時間Ttに対する走行状態の稼働時間の割合R2は、走行状態での稼働時間T2を総稼働時間Ttで除することにより演算される(R2=T2/Tt)。
【0068】
フィルタ処理部153は、加速度センサ53aの検出結果を表す信号(加速度信号)にフィルタ処理を実行する。加速度信号は、不揮発性メモリ142に時刻歴データ(時刻歴波形)として記憶されている。フィルタ処理部153は、加速度信号にハイパスフィルタ処理を施すことにより、加速度信号の低周波数成分(第1カットオフ周波数fc1よりも低い周波数成分)を除去する。第1カットオフ周波数fc1は、例えば、0.1~1.0[Hz]程度である。これにより、後述する演算処理に対して、加速度信号に含まれる重力加速度の成分が与える影響を低減することができる。
【0069】
フィルタ処理部153は、加速度信号にローパスフィルタ処理を施すことにより、加速度信号の高周波数成分(第2カットオフ周波数fc2よりも高い周波数成分)を除去する。第2カットオフ周波数fc2は、例えば、20~40[Hz]程度である。これにより、後述する演算処理に対して、加速度信号に含まれるエンジン23の振動成分が与える影響を低減することができる。本実施形態では、サンプリング周波数を100~200[Hz]程度として、疲労強度に影響を与える0.1~40[Hz]の周波数の加速度信号を用いることで、適切に負荷の演算が可能となる。
【0070】
負荷演算部154は、フィルタ処理部153によりフィルタ処理が施された加速度の時刻歴データに基づいて、油圧ショベル1の累積負荷を演算する。
【0071】
構造物に振動や衝撃などの負荷が作用すると、構造物に応力が発生する。構造物の累積損傷度は、応力の時刻歴データから抽出される応力の極値に基づいて算出可能である。具体的には、応力の時刻歴データ(時刻歴波形)の極大値と極小値に基づいて、応力が変動する範囲である応力振幅(応力レンジ)を抽出し、応力振幅毎の出現頻度を算出する。応力振幅Δσiの応力が繰り返し作用した場合の破断までの回数、すなわち応力振幅Δσiの疲労寿命(破断繰り返し数)をNi、疲労寿命Niに対応する応力振幅Δσiの繰り返し数をniとすると、線形累積損傷側により、累積損傷度は、次式により表される。
累積損傷度=Σ(ni/Ni)
つまり、累積損傷度は、各応力レンジで発生した応力の繰り返し数を破損までの繰り返し数で割り、全ての応力振幅に渡って足し合わせたものに相当する。
【0072】
本実施形態では、応力を加速度で置換することにより、累積損傷度に相当する累積負荷を演算する。応力を加速度で置換する際には、応力と加速度の相関関係を考慮した係数を用いる。この係数は、予め実験により定められる。加速度センサ53aは、加速度と応力との間(すなわち、加速度に基づく累積負荷と、応力に基づく累積損傷度との間)に高い相関関係が得られる位置に取り付けられている。累積負荷と累積損傷度との間の相関関係は、予め実験等により検証される。実験では、旋回フレーム100の複数箇所にひずみゲージを取り付け、油圧ショベル1が通常行う作業(例えば、掘削作業、土羽打ち作業)において、加速度センサ53aの検出結果に基づき演算された累積負荷と、ひずみゲージの検出結果に基づき演算された累積損傷度とが比較された。
【0073】
本実施形態では、加速度に基づく累積負荷と応力に基づく累積損傷度とが比例関係となるように、加速度センサ53aの取付位置が定められている。このため、本実施形態では、加速度センサ53aの検出結果に基づき演算された累積負荷を累積損傷度に相当する値(指標)として演算することができる。
【0074】
具体的には、負荷演算部154は、頻度算出部155と、負荷換算部156と、累積負荷演算部158とを備える。頻度算出部155は、加速度の時刻歴データにおいて所定時間幅毎にレインフロー法等によって頻度処理を行う。これにより、加速度の時刻歴データは、加速度振幅(加速度レンジ)とその加速度の頻度(発生回数)のデータである頻度データに変換される。なお、1[m/s2]以下の加速度振幅は、負荷としては極僅かであり、ノイズなどの測定誤差も含んでいる。このため、頻度算出部155は、1[m/s2]以下の加速度振幅の頻度を除外する。負荷換算部156は、頻度算出部155で演算された頻度データに基づき、所定時間幅毎の累積負荷である単位累積負荷を演算する。
【0075】
累積負荷演算部158は、動作状態判定部151で判定された動作状態毎に累積負荷を演算する。累積負荷演算部158は、加速度の時刻歴データにおいて、動作状態が作業状態と判定された時刻区間における単位累積負荷を全て足し合わせた値に重み係数k1を乗じることにより重み付けを行って、作業状態での累積負荷D1を演算する。累積負荷演算部158は、加速度の時刻歴データにおいて、動作状態が走行状態と判定された時刻区間における単位累積負荷を全て足し合わせた値に重み係数k2を乗じることにより、重み付けを行って、走行状態での累積負荷D2を演算する。
【0076】
作業状態において消耗する部品群と、走行状態において消耗する部品群とでは、部品群の消耗度に対する振動の影響度が異なる。また、油圧ショベル1の動作状態毎に、加速度信号と累積損傷度の相関関係が異なる。本実施形態に係る油圧ショベル1では、作業状態において消耗する部品群に対する振動の影響度が、走行状態において消耗する部品群に対する振動の影響度に比べて大きい。また、作業状態のときの累積損傷度に対する加速度信号の影響度は、走行状態のときの累積損傷度に対する加速度信号の影響度よりも大きい。このため、作業状態での累積負荷D1の演算に用いる重み係数k1は、走行状態での累積負荷D2の演算に用いる重み係数k2よりも大きい値に設定して、振動の影響度が大きい方に大きい値の重み係数を用いるようにしている。
【0077】
なお、アイドル状態での累積負荷は実験的にほぼゼロとなる。このため、負荷演算部154は、アイドル状態での累積負荷D0を0(ゼロ)として演算する。
【0078】
累積負荷演算部158は、エンジンキースイッチによりエンジン23が始動されてからエンジンキースイッチによりエンジン23が停止するまでの時刻区間における動作状態毎の累積負荷D0,D1,D2を足し合わせることにより油圧ショベル1の総累積負荷Dtを演算する(Dt=D0+D1+D2,D0=0)。
【0079】
出力制御部159は、通信装置71を用いて、負荷演算部154の演算結果及び稼働時間演算部152の演算結果を外部のサーバ180に出力する。サーバ180と油圧ショベル1は、油圧ショベル1を管理する管理システムとして構成される。管理システムには、サーバ180に接続される表示装置181や入力装置182が含まれる。
【0080】
出力制御部159は、負荷演算部154により演算された総累積負荷Dtと稼働時間演算部152により演算された総稼働時間Ttとを対応付けた出力用データを生成する。出力用データには、油圧ショベル1の固有の識別ID、及び、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2及び総稼働時間Ttに対する動作状態毎の稼働時間の割合R0,R1,R2も含まれる。
【0081】
総累積負荷及び総稼働時間の演算処理及び出力処理は、エンジンキースイッチのオフ操作による車体停止処理の中で実行される。なお、総累積負荷及び総稼働時間の演算処理及び出力処理は、エンジンキースイッチのオン操作による車体始動処理の中で実行してもよい。この場合、前回のエンジン始動から停止までの稼働情報に基づいて総累積負荷及び総稼働時間の演算処理及び出力処理が行われる。
【0082】
通信装置71は、サーバ180と通信を行うための装置である。サーバ180は、油圧ショベル1から離れた場所に設置される管理室等の施設に配置されている。車体コントローラ14は、通信装置71に出力用データを出力し、通信装置71を介して、出力用データをサーバ180に送信する。通信装置71は、広域ネットワークである通信回線190と無線通信可能な無線通信装置であって、所定の周波数帯域を感受帯域とする通信アンテナを含む通信インタフェースを有する。通信回線190は、携帯電話事業者等が展開する携帯電話通信網(移動通信網)、インターネット等である。なお、通信装置71は、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を利用して、サーバ180と直接的に、あるいは間接的に情報の授受を行うようにしてもよい。
【0083】
サーバ180には、液晶ディスプレイ装置等の表示装置181と、キーボード、マウス等の入力装置182と、が接続されている。サーバ180は、通信回線190を介して、油圧ショベル1と通信を行うための通信装置183と、油圧ショベル1から受信した出力用データを記憶するハードディスクドライブ等の記憶装置184と、を備える。サーバ180は、記憶装置184に記憶された出力用データを所定の表示態様で表示装置181に表示させる。管理者は、サーバ180を入力装置182により操作し、所定の油圧ショベル1の情報を表示装置181の表示画面に表示させることで、所定の油圧ショベル1の総累積負荷Dt及び総稼働時間Ttを把握することができる。
【0084】
図5のフローチャートを参照して、車体コントローラ14により実行される処理の流れの一例について説明する。車体コントローラ14は、エンジンキースイッチがオフからオンされると、油圧ショベル1の稼働情報(操作圧、加速度、実エンジン回転速度等)を繰り返し取得し、記憶装置に記憶する。車体コントローラ14は、エンジンキースイッチがオンからオフされると、記憶装置に蓄積されている稼働情報の時刻歴データ(時刻歴波形)に基づき、
図5のフローチャートに示す処理を実行する。なお、処理のタイミングは、エンジンキースイッチがオフされるときに限らず、所定の時間間隔で実行してもよい。
【0085】
ステップS115において、フィルタ処理部153は、加速度の時刻歴データに対してフィルタ処理を実行し、処理をステップS120に進める。
【0086】
ステップS120において、動作状態判定部151は、動作状態の判定処理を行う。動作状態判定部151は、稼働情報(操作圧、及び実エンジン回転速度)の時刻歴データから時刻毎の動作状態を判定する。動作状態判定部151は、アイドル状態が連続する時刻区間をアイドル区間として特定する。動作状態判定部151は、作業状態が連続する時刻区間を作業区間として特定する。動作状態判定部151は、走行状態が連続する時刻区間を走行区間として特定する。
【0087】
ステップS120で作業区間の特定が完了すると、処理がステップS130に進む。頻度算出部155は、作業区間における所定時間幅毎に、加速度レンジ(加速度振幅)毎の頻度(繰り返し回数)をレインフロー法等により算出し、処理をステップS133に進める。
【0088】
ステップS133において、負荷換算部156は、ステップS130で算出された加速度レンジ毎の頻度を、その加速度レンジでの破損までの頻度で割ることにより、その加速度レンジでの損傷度(負荷相当量)を演算する。負荷換算部156は、全ての加速度レンジでの損傷度(負荷相当量)を足し合わせることにより所定時間幅での単位累積負荷を演算し、処理をステップS136に進める。
【0089】
ステップS136において、累積負荷演算部158は、ステップS133で演算された作業区間内の全ての単位累積負荷を足し合わせることにより、作業区間での累積負荷D1を演算する。
【0090】
次のステップS139において、稼働時間演算部152は、作業区間での稼働時間T1を演算する。
【0091】
ステップS120で走行区間の特定が完了すると、処理がステップS140に進む。頻度算出部155は、走行区間における所定時間幅毎に、加速度レンジ(加速度振幅)毎の頻度(繰り返し回数)をレインフロー法等により算出し、処理をステップS143に進める。
【0092】
ステップS143において、負荷換算部156は、ステップS140で算出された加速度レンジ毎の頻度を、その加速度レンジでの破損までの頻度で割ることにより、その加速度レンジでの損傷度(負荷相当量)を演算する。負荷換算部156は、全ての加速度レンジでの損傷度(負荷相当量)を足し合わせることにより所定時間幅での単位累積負荷を演算し、処理をステップS146に進める。
【0093】
ステップS146において、累積負荷演算部158は、ステップS143で演算された走行区間内の全ての単位累積負荷を足し合わせることにより、走行区間での累積負荷D2を演算する。
【0094】
次のステップS149において、稼働時間演算部152は、走行区間での稼働時間T2を演算する。
【0095】
ステップS120でアイドル区間の特定が完了すると、処理がステップS156に進む。ステップS156において、負荷演算部154は、アイドル区間の累積負荷D0を0として演算し、処理をステップS159に進める。
【0096】
ステップS159において、稼働時間演算部152は、アイドル区間での稼働時間T0を演算する。
【0097】
ステップS139,S149,S159の処理が完了すると、処理がステップS160に進む。なお、ステップS130~S139の処理(作業区間に対する処理)と、ステップS140~S149の処理(走行区間に対する処理)と、ステップS156,S159の処理(アイドル区間に対する処理)は、並列で実行してもよいし、直列で実行してもよい。
【0098】
ステップS160において、稼働時間演算部152は、ステップS139,S149,S159で演算された作業区間の稼働時間T1、走行区間の稼働時間T2、及びアイドル区間の稼働時間T0を足し合わせることにより総稼働時間Ttを演算し、処理をステップS165に進める。
【0099】
ステップS165において、稼働時間演算部152は、総稼働時間Ttに対する各動作状態の稼働時間の割合を演算する。具体的には、稼働時間演算部152は、総稼働時間Ttに対する作業区間の稼働時間T1の割合R1(=T1/Tt)、総稼働時間Ttに対する走行区間の稼働時間T2の割合R2(=T2/Tt)、及び総稼働時間Ttに対するアイドル区間の稼働時間T0の割合R0(=T0/Tt)を演算する。
【0100】
次のステップS170において、累積負荷演算部158は、ステップS136で演算された作業状態での累積負荷D1、及びステップS146で演算された走行状態での累積負荷D2を足し合わせることにより総累積負荷Dtを演算し、処理をステップS180に進める。
【0101】
ステップS180において、出力制御部159は、ステップS160で演算された総稼働時間Ttと、ステップS170で演算された総累積負荷Dtと、自車両に固有の識別IDとを対応付けて、サーバ180に出力する。なお、出力制御部159は、ステップS139,S149,S159で演算された各動作状態の稼働時間T1,T2,T0、及びステップS165で演算された各動作状態の稼働時間の割合R1,R2,R0もサーバ180に出力する。
【0102】
図6を参照して、油圧ショベル1の動作状態毎に演算される累積負荷D0,D1,D2と稼働時間T0,T1,T2について説明する。
図6は、油圧ショベル1の動作状態の時間変化の一例について示す図である。
【0103】
図6に示すように、時刻t0において、エンジンキースイッチによりエンジン23が始動されると、油圧ショベル1の動作状態はアイドル状態となる。時刻t1において、オペレータが作業操作装置31及び旋回操作装置33を操作して作業装置1Aによる掘削作業を開始すると、油圧ショベル1の動作状態は作業状態となる。時刻t2において、オペレータが作業操作装置31及び旋回操作装置33の操作を終了し、走行操作装置32を操作して下部走行体11による走行を開始すると、油圧ショベル1の動作状態は走行状態となる。時刻t3において、オペレータが走行操作装置32の操作を終了し、作業操作装置31及び旋回操作装置33を操作して作業装置1Aによる掘削作業を開始すると、油圧ショベル1の動作状態は再び作業状態となる。
【0104】
時刻t4において、オペレータが作業操作装置31及び旋回操作装置33の操作を終了して休憩をとると、油圧ショベル1の動作状態はアイドル状態となる。時刻t5において、オペレータが休憩を終了し、作業操作装置31及び旋回操作装置33を操作して作業装置1Aによる掘削作業を再開すると、油圧ショベル1の動作状態は再び作業状態となる。時刻t6では、オペレータが作業操作装置31及び旋回操作装置33の操作を終了し、エンジンキースイッチによりエンジン23を停止する。
【0105】
アイドル状態での稼働時間T0は、時刻t0から時刻t1までのアイドル区間1と時刻t4から時刻t5までのアイドル区間2のそれぞれの時間を足し合わせることにより得られる。なお、アイドル状態での、累積負荷D0は0(ゼロ)とされる。
【0106】
作業状態での累積負荷D1は、時刻t1から時刻t2までの作業区間1において演算された複数の単位累積負荷と、時刻t3から時刻t4までの作業区間2において演算された複数の単位累積負荷と、時刻t5から時刻t6までの作業区間3において演算された複数の単位累積負荷とが、全て足し合わされることにより得られる。作業状態での稼働時間T1は、作業区間1、作業区間2、及び作業区間3のそれぞれの時間を足し合わせることにより得られる。
【0107】
走行状態での累積負荷D2は、時刻t2から時刻t3までの走行区間1において演算された複数の単位累積負荷が、全て足し合わされることにより得られる。走行状態での稼働時間T2は、走行区間1の時間に相当する。
【0108】
時刻t6で、エンジンキースイッチによりエンジン23の停止操作が行われると、車体コントローラ14は、終了処理の一つとして、エンジン23の始動から停止までの時刻区間における稼働時間T0,T1,T2、累積負荷D0,D1,D2、総稼働時間Tt(=T0+T1+T2)、及び総累積負荷Dt(=D0+D1+D2)をサーバ180に送信する。
【0109】
図7は、表示装置181の表示画面に表示される表示画像の一例を示す図である。サーバ180は、複数台の油圧ショベル1から出力用データ(総累積負荷Dt、総稼働時間Tt、動作状態毎の累積負荷D0,D1,D2、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2及び稼働時間の割合R0,R1,R2等の稼働データ)を取得し、
図7に示すグラフ及び表を表示装置181の表示画面に表示させる。
【0110】
図7に示すグラフは、横軸が総稼働時間Tt、縦軸が累積負荷を表している。
図7に示すグラフでは、第1の作業現場で作業を行っている油圧ショベル(以下、ショベルAと記す)の稼働データと、第2の作業現場で作業を行っている油圧ショベル(以下、ショベルBと記す)の稼働データとがプロットされている。サーバ180は、油圧ショベル1から稼働データを記憶装置184に蓄積し、蓄積した稼働データを表示装置181に表示させる。
【0111】
黒丸のデータは、ショベルAの総稼働時間Ttに対する総累積負荷Dtを示している。黒で塗り潰された四角のデータは、ショベルBの総稼働時間Ttに対する総累積負荷Dtを示している。このように、異なる複数の油圧ショベル1の稼働データを一つのグラフにプロットすることにより、油圧ショベル1に蓄積された損傷度の比較を容易に行うことができる。
【0112】
また、白丸に斜線のハッチングが施されたデータは、ショベルAの総稼働時間Ttに対する累積負荷D1を示している。白丸のデータは、ショベルAの総稼働時間Ttに対する累積負荷D2を示している。このように、油圧ショベル1の動作状態毎の累積負荷D1,D2を表示させてもよい。これにより、油圧ショベル1に蓄積された損傷度の主たる要因を容易に確認することができる。
【0113】
なお、
図7では、ショベルBの稼働データとして総累積負荷Dtのみをプロットする例について示しているが、ショベルBの累積負荷D1,D2をプロットしてもよい。また、その他の油圧ショベルの稼働データをさらに表示させてもよい。管理者は、入力装置182を操作することにより、稼働データの表示内容や表示形態を変更することができる。
【0114】
図7に示すように、サーバ180は、総稼働時間に対する動作状態毎の稼働時間の割合R0,R1,R2及び動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2を示す表を表示画面に表示させる。表に表されるデータは、過去に取得したデータのうちで最も新しいものとしてもよいし、過去に取得したデータの平均値としてもよい。これにより、管理者は、油圧ショベル1の使われ方の傾向を容易に確認することができる。また、割合の高い動作状態に起因して消耗する部品の交換時期をより適切に推定することができる。その結果、管理者は、メンテナンス計画をより適切に立てることができる。
【0115】
なお、動作状態毎の稼働時間に関するデータの表示形式は、
図7に示す例に限定されない。例えば、横軸を総稼働時間、縦軸を総稼働時間に対する動作状態毎の稼働時間の割合とするグラフ形式で、蓄積されている稼働時間の割合を表示してもよい。動作状態毎の稼働時間の割合の時間変化が表示されることになるため、管理者は、油圧ショベル1の使われ方の傾向の変化を容易に確認することができる。
【0116】
このように、様々な作業現場での油圧ショベル1の総稼働時間に対する累積負荷のデータが表示装置181に表示される。管理者は、同じ総稼働時間でも累積負荷が大きい油圧ショベル1を特定することができる。また、管理者は、累積負荷が大きくなりやすい作業現場を特定することができる。
【0117】
管理者が油圧ショベル1の販売者である場合、管理者は、油圧ショベル1のユーザに対し、買い替えタイミングの提案、中古査定、売却及び新規製品の仕様の提案などを適切に行うことができる。管理者が油圧ショベル1のレンタル業者である場合、管理者は、作業現場に応じたレンタル費を適切に設定することができる。管理者が油圧ショベル1のメンテナンス業者である場合、管理者は、適切にメンテナンスの計画を立てることができる。管理者が油圧ショベル1の開発者である場合、管理者は、作業現場の特性に合わせた製品の開発を適切に行うことができる。
【0118】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0119】
(1)油圧ショベル(作業機械)1は、車体1Bと、車体1Bに取り付けられる作業装置1Aと、車体1Bに取り付けられる加速度センサ53aと、車体コントローラ(制御装置)14と、を備える。車体コントローラ14は、油圧ショベル1の稼働情報(実エンジン回転速度、及び操作圧)に基づいて、複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定する。車体コントローラ14は、加速度センサ53aの検出結果に基づいて、動作状態毎の振動の影響度による重み付けを行って、動作状態毎に油圧ショベル1に作用する負荷の累積値を表す累積負荷D0,D1,D2を演算する。車体コントローラ14は、動作状態毎の累積負荷を足し合わせることにより総累積負荷Dtを演算し、演算した総累積負荷Dtを出力する。
【0120】
この構成では、油圧ショベル1による日々の作業で蓄積される損傷度が、動作状態毎に重みを考慮して演算された累積負荷の総和である総累積負荷Dtとして演算される。このため、損傷度(総累積負荷Dt)の定量化を精度よく行うことが可能な油圧ショベル1を提供することができる。
【0121】
(2)車体1Bは、下部走行体(走行体)11と、下部走行体11に旋回輪17を介して旋回可能に設けられた上部旋回体(旋回体)12とを有している。油圧ショベル1は、上部旋回体12に搭載されるエンジン(原動機)23と、エンジン23の回転速度を検出する回転速度センサ23aと、下部走行体11、上部旋回体12、及び作業装置1Aに対する操作を検出する操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bと、を備える。稼働情報には、回転速度センサ23aの検出結果及び操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bの検出結果が含まれる。
【0122】
車体コントローラ14は、回転速度センサ23aの検出結果に基づき、エンジン23が稼働している状態であるか否かを判定する。車体コントローラ14は、操作センサ34a,34b,35a,35b,36a,36bの検出結果に基づき、下部走行体11、上部旋回体12、及び作業装置1Aのそれぞれが操作されているか否かを判定する。車体コントローラ14は、エンジン23が稼働している状態であり、かつ、下部走行体11、上部旋回体12、及び作業装置1Aのいずれも操作されていない状態である場合には、油圧ショベル1の動作状態をアイドル状態と判定する。車体コントローラ14は、下部走行体11が操作され、かつ作業装置1A及び上部旋回体12の双方が操作されていない状態である場合には、油圧ショベル1の動作状態を走行状態と判定する。車体コントローラ14は、作業装置1A及び上部旋回体12のうち少なくとも一方が操作されている状態である場合には、油圧ショベル1の動作状態を作業状態と判定する。車体コントローラ14は、アイドル状態での累積負荷を0とする。車体コントローラ14は、異なる重み係数k1,k2を用いて作業状態での累積負荷D1と走行状態での累積負荷D2を演算する。車体コントローラ14は、作業状態での累積負荷D1と走行状態での累積負荷D2とを足し合わせることにより総累積負荷Dtを演算する。
【0123】
アイドル状態での累積負荷を0とすることにより、演算負荷及び演算時間を低減することができる。また、本実施形態では、累積負荷に対する加速度の影響度の違いを考慮して、作業状態での累積負荷D1の演算に用いる重み付けが、走行状態での累積負荷D2の演算に用いる重み付けよりも大きい。これにより、作業状態での累積負荷と、走行状態での累積負荷とを適切に求めることができ、総累積負荷Dtの演算精度を高めることができる。
【0124】
(3)車体コントローラ14は、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2を演算し、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2を足し合わせることにより総稼働時間Ttを演算する。車体コントローラ14は、総稼働時間Ttと総累積負荷Dtとを対応付けて出力するとともに、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2及び総稼働時間Ttに対する動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2の割合R0,R1,R2を出力する。
【0125】
この構成によれば、総累積負荷Dtと総稼働時間Ttとの関係を容易に確認することができる。また、動作状態毎の稼働時間やその割合を確認することにより、油圧ショベル1の使われ方の傾向を容易に把握することができる。さらに、割合の高い動作状態に起因して消耗する部品の交換時期を適切に推定することができる。
【0126】
(4)上部旋回体12は、旋回輪17により支持されるセンターフレーム110と、センターフレーム110の側方に設けられセンターフレーム110により支持されるサイドフレーム120,130と、を有している。加速度センサ53aは、例えば、センターフレーム110に取り付けられている。旋回輪17の近くの曲げ剛性の高い部位に加速度センサ53aを取り付けることで、例えば、地面から油圧ショベル1に対して突き上げるように作用する振動を直接的に測定することができる。
【0127】
(5)累積負荷の演算に用いる加速度を検出する加速度センサ53aは、上部旋回体12(車体1B)の傾斜角を検出する慣性計測装置である車体傾斜角度センサ53に含まれている。このため、車体傾斜角度センサ53とは別に加速度センサを設ける場合に比べて、部品点数を低減することができる。
【0128】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0129】
<変形例1>
上記実施形態では、アイドル状態での累積負荷D0を0にする例について説明した。しかしながら、アイドル状態での累積負荷D0(>0)を演算してもよい。この場合、負荷演算部154は、加速度の時刻歴データにおいて、動作状態がアイドル状態と判定された時刻区間(アイドル区間)における頻度データを生成し、生成した頻度データに基づいてアイドル状態での累積負荷D0を演算する。
【0130】
<変形例2>
動作状態の判定方法は、上記実施形態で説明した例に限定されない。例えば、メインポンプ21が作業装置1Aの油圧シリンダS、走行油圧モータ3、及び旋回油圧モータ4のそれぞれに対応して複数設けられている場合、メインポンプ21の負荷率に基づいて、動作状態を判定してもよい。車体コントローラ14は、吐出圧センサにより検出されるメインポンプ21の吐出圧Pと、メインポンプ21の容積(傾転角)qに基づき、メインポンプ21に作用する負荷トルクToを算出する(To=q×P/2π)。車体コントローラ14は、算出した負荷トルクToを、メインポンプ21の仕様上の最大ポンプトルクTomaxで除することによりポンプ負荷率を演算する。
【0131】
車体コントローラ14は、全てのメインポンプ21の負荷率が負荷率閾値未満である場合には、(条件2)が満たされていると判定する。車体コントローラ14は、走行油圧モータ3に作動油を供給するメインポンプ21の負荷率が負荷率閾値以上である場合には、(条件3)が満たされていると判定する。車体コントローラ14は、旋回油圧モータ4に作動油を供給するメインポンプ21の負荷率、及び油圧シリンダSに作動油を供給するメインポンプ21の負荷率のいずれもが負荷率閾値未満である場合には、(条件4)が満たされていると判定する。車体コントローラ14は、旋回油圧モータ4に作動油を供給するメインポンプ21の負荷率、及び油圧シリンダSに作動油を供給するメインポンプ21の負荷率の少なくとも一方が負荷率閾値以上である場合には、(条件5)が満たされていると判定する。
【0132】
また、車体コントローラ14は、角度センサ50~53の検出結果から作業装置1A、上部旋回体12、及び下部走行体11の実際の動作を検知することにより、(条件2)~(条件5)が満たされているか否かを判定してもよい。さらに、車体コントローラ14は、ロックレバー装置30がロック位置に操作されている場合には、(条件2)が満たされていると判定してもよい。
【0133】
<変形例3>
上記実施形態では、動作状態が、アイドル状態、作業状態、及び走行状態のいずれかである例について説明した。しかしながら、動作状態は、さらに細分化してもよい。例えば、作業状態を掘削作業状態と土羽打ち作業状態と整地作業状態とに区分してもよい。掘削作業状態と土羽打ち作業状態と整地作業状態とでは、それぞれ異なる重みが考慮されて累積負荷が演算される。アイドル状態をオートアイドル状態とそれ以外のアイドル状態とに細分化してもよい。また、複数の速度段に変速可能な変速機構を備えている場合には、走行状態を速度段に応じた走行状態に細分化してもよい。
【0134】
<変形例4>
上記実施形態では、上部旋回体12に取り付けられる加速度センサ53aの検出結果に基づいて累積負荷が演算される例について説明した。しかしながら、累積負荷の演算に用いる加速度を検出する加速度センサ53aの取付位置は、上部旋回体12に限定されない。加速度センサ53aは、下部走行体11のフレームに取り付けてもよい。また、累積負荷の演算に用いる加速度を検出する加速度センサは、作業装置1Aに取り付けてもよい。
【0135】
<変形例5>
上記実施形態では、車体1Bの傾斜角を検出する車体傾斜角度センサ53に含まれる加速度センサ53aを利用して、車体1Bに作用する振動や衝撃による累積負荷を演算する例について説明した。しかしながら、累積負荷の演算に用いる加速度を検出する加速度センサは、車体傾斜角度センサ53とは別に設けてもよい。この場合、加速度センサは、直交3軸の軸方向の加速度を計測するものである必要はなく、単軸加速度計としてもよい。
【0136】
<変形例6>
上記実施形態では、車体コントローラ14が、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2及び総稼働時間Ttに対する動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2の割合R0,R1,R2の双方を出力する例について説明した。しかしながら、車体コントローラ14は、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2及び総稼働時間Ttに対する動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2の割合R0,R1,R2の一方のみを出力することとしてもよい。つまり、車体コントローラ14は、動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2及び総稼働時間Ttに対する動作状態毎の稼働時間T0,T1,T2の割合R0,R1,R2の少なくとも一方を出力する構成とすることが好ましい。
【0137】
<変形例7>
上記実施形態では、累積負荷及び稼働時間の演算結果が、油圧ショベル1から離れた場所に設けられた施設内の表示装置181に表示される例について説明したが、油圧ショベル1の運転室16内に設けられる液晶ディスプレイ装置等の表示装置72に演算結果を表示してもよい。車体コントローラ14は、自車両の累積負荷及び稼働時間だけでなく、他車両からの累積負荷及び稼働時間を取得して表示してもよい。
【0138】
<変形例8>
上記実施形態では、作業状態での累積負荷D1の演算に用いる重み係数k1が、走行状態での累積負荷D2の演算に用いる重み係数k2よりも大きい例について説明した。しかしながら、油圧ショベル1の仕様によっては、振動の影響度が作業状態のときよりも走行状態のときの方が大きく、走行状態での累積負荷D2の演算に用いる重み係数k2を、作業状態での累積負荷D1の演算に用いる重み係数k1よりも大きくすることが好ましい場合もある。また、複数の動作状態のうち、ある動作状態と別の動作状態において振動の影響度がほぼ同じである場合には、同じ重み係数を用いてもよい。例えば、作業状態での振動の影響度と走行状態での振動の影響度との差が小さい場合には、重み係数k1と重み係数k2とを同じ値に設定してもよい。
【0139】
<変形例9>
上記実施形態では、作業機械が油圧ショベル1である例について説明した。しかしながら、作業機械は油圧ショベルである場合に限定されない。例えば、作業機械は、ホイールローダであってもよい。作業機械がホイールローダの場合、作業装置が動作しているときの動作状態は作業状態と判定され、作業装置が非動作で走行モータが動作しているときの動作状態は走行状態と判定される。
【0140】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0141】
1…油圧ショベル(作業機械)、1A…作業装置、1B…車体、3…走行油圧モータ、4…旋回油圧モータ、5…ブームシリンダ(油圧シリンダ)、6…アームシリンダ(油圧シリンダ)、7…バケットシリンダ(油圧シリンダ)、8…ブーム、9…アーム、10…バケット、11…下部走行体(走行体)、12…上部旋回体(旋回体)、14…車体コントローラ(制御装置)、15…エンジンコントロールダイヤル、16…運転室、17…旋回輪、19…機械室、21…メインポンプ(油圧ポンプ)、22…パイロットポンプ(油圧ポンプ)、23…エンジン、23a…回転速度センサ、26…ロック弁、30…ロックレバー装置、31…作業操作装置(操作装置)、32…走行操作装置(操作装置)、33…旋回操作装置(操作装置)、34a,34b…作業操作センサ(操作センサ)、35a,35b…走行操作センサ(操作センサ)、36a,36b…旋回操作センサ(操作センサ)、50…ブーム角度センサ(角度センサ)、51…アーム角度センサ(角度センサ)、52…バケット角度センサ(角度センサ)、53…車体傾斜角度センサ(角度センサ)、53a…加速度センサ、71…通信装置、72…表示装置、100…旋回フレーム、110…センターフレーム、111…底板、112…縦板、120…左サイドフレーム(サイドフレーム)、121…外枠部、124…内枠部、125…ビーム、130…右サイドフレーム(サイドフレーム)、131…外枠部、135…ビーム、141…処理装置、142…不揮発性メモリ(記憶装置)、143…揮発性メモリ(記憶装置)、151…動作状態判定部、152…稼働時間演算部、153…フィルタ処理部、154…負荷演算部、155…頻度算出部、156…負荷換算部、158…累積負荷演算部、159…出力制御部、180…サーバ、181…表示装置、182…入力装置、183…通信装置、184…記憶装置、190…通信回線、S…油圧シリンダ
【手続補正書】
【提出日】2024-04-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体を含む車体と、前記車体に取り付けられる作業装置と、前記車体または前記作業装置に取り付けられる加速度センサと、制御装置と、を備える作業機械において、
前記制御装置は、
前記作業機械の稼働情報に基づいて、前記走行体が動作している走行状態と、前記作業装置が動作している作業状態と、前記走行体及び前記作業装置が動作していないアイドル状態と、を含む複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定し、
前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記動作状態毎の振動の影響度による重み付けを行って、前記動作状態毎に前記作業機械に作用する負荷の累積値を表す累積負荷を演算し、
前記動作状態毎の前記累積負荷を足し合わせることにより総累積負荷を演算し、
前記総累積負荷を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記車体は、前記走行体に旋回輪を介して旋回可能に設けられた旋回体を有し、
前記旋回体に搭載される原動機と、
前記原動機の回転速度を検出する回転速度センサと、
前記走行体、前記旋回体、及び前記作業装置に対する操作を検出する操作センサと、を備え、
前記稼働情報には、前記回転速度センサの検出結果及び前記操作センサの検出結果が含まれ、
前記制御装置は、
前記回転速度センサの検出結果に基づき、前記原動機が稼働している状態であるか否かを判定し、
前記操作センサの検出結果に基づき、前記走行体、前記旋回体、及び前記作業装置のそれぞれが操作されているか否かを判定し、
前記原動機が稼働している状態であり、かつ、前記走行体、前記旋回体、及び前記作業装置のいずれも操作されていない状態である場合には、前記動作状態を前記アイドル状態と判定し、
前記走行体が操作されている状態である場合には、前記動作状態を前記走行状態と判定し、
前記作業装置及び前記旋回体のうち少なくとも一方が操作されている状態である場合には、前記動作状態を前記作業状態と判定し、
前記アイドル状態での前記累積負荷を0とし、
前記作業状態での前記累積負荷と前記走行状態での前記累積負荷とを足し合わせることにより前記総累積負荷を演算する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、
前記作業状態での前記累積負荷の演算に用いる重み付けは、前記走行状態での前記累積負荷の演算に用いる重み付けよりも大きい
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記動作状態毎の稼働時間を演算し、
前記動作状態毎の稼働時間を足し合わせることにより総稼働時間を演算し、
前記総稼働時間と前記総累積負荷とを対応付けて出力するとともに、前記動作状態毎の稼働時間及び前記総稼働時間に対する前記動作状態毎の稼働時間の割合の少なくとも一方を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項2に記載の作業機械において、
前記旋回体は、前記旋回輪により支持されるセンターフレームと、前記センターフレームの側方に設けられ前記センターフレームにより支持されるサイドフレームと、を有し、
前記加速度センサは、前記センターフレームに取り付けられている
ことを特徴とする作業機械。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明の一態様による作業機械は、走行体を含む車体と、前記車体に取り付けられる作業装置と、前記車体または前記作業装置に取り付けられる加速度センサと、制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記作業機械の稼働情報に基づいて、前記走行体が動作している走行状態と、前記作業装置が動作している作業状態と、前記走行体及び前記作業装置が動作していないアイドル状態と、を含む複数の動作状態のうち、いずれの動作状態であるのかを判定し、前記加速度センサの検出結果に基づいて、前記動作状態毎の振動の影響度による重み付けを行って、前記動作状態毎に前記作業機械に作用する負荷の累積値を表す累積負荷を演算し、前記動作状態毎の前記累積負荷を足し合わせることにより総累積負荷を演算し、前記総累積負荷を出力する。