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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139111
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】湧水観測装置と湧水観測方法
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/04 20060101AFI20241002BHJP
   E21F 16/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E21D9/04 B
E21F16/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049913
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591247798
【氏名又は名称】原工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】熊本 創
(72)【発明者】
【氏名】平塚 裕介
(72)【発明者】
【氏名】原 和之
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 靖昭
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AB07
2D054AC20
2D054FA06
2D054GA63
(57)【要約】
【課題】人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握することのできる、湧水観測装置と湧水観測方法を提供する。
【解決手段】切羽Kに設けられているボーリング孔Bに設置されて、ボーリング孔Bから湧水Wを取り込んで湧水観測を行う湧水観測装置100であり、パッカー装置20、二重管ロッド30、観測計48を備えている流路切替えアダプタ40、水圧測定装置90、第1逆止弁50と、これらにより形成される軸状ユニット60を引き抜く移動装置17、送水された水をパッカー26の内側面に到達させる第1流路、パッカー装置20にて取り込んだ湧水Wを観測計48に到達させる第2流路を有し、水圧測定装置90は少なくとも第1流路内の水圧を測定し、第1逆止弁50は、パッカー装置20へ送水する際に第1流路53を開き、パッカー装置20から戻り水が戻る際に第1流路53を閉じる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切羽に設けられているボーリング孔に設置されて、該ボーリング孔の先端から湧水を取り込んで湧水観測を行う、湧水観測装置であって、
パッカーを備えているパッカー装置と、該パッカー装置の一端に装着される二重管ロッドと、該二重管ロッドの一端に装着されるとともに観測計を備えている流路切替えアダプタと、該流路切替えアダプタの一端に装着される第1逆止弁と、
前記流路切替えアダプタと前記第1逆止弁との間に介在する、水圧測定装置と、
前記パッカー装置と前記二重管ロッドと前記流路切替えアダプタと前記水圧測定装置と前記第1逆止弁とが相互に接続されてなる、軸状ユニットの少なくとも一部を前記ボーリング孔に挿入し、かつ該ボーリング孔から該軸状ユニットを引き抜く、移動装置と、
前記軸状ユニットの内部に設けられ、送水された水を前記パッカーの内側面に到達させる、第1流路と、
前記パッカー装置と前記二重管ロッドと前記流路切替えアダプタの内部に設けられ、前記パッカー装置にて取り込んだ前記湧水を前記観測計に到達させる、第2流路とを有し、
前記水圧測定装置は、少なくとも前記第1流路内の水圧を測定し、
前記第1逆止弁は、前記パッカー装置へ送水する際に前記第1流路を開き、該パッカー装置から戻り水が戻る際に該第1流路を閉じるようになっており、
前記水圧測定装置は、前記第1流路を形成する主流路と、該主流路から分岐した枝流路とを備え、
前記枝流路の途中には第2逆止弁が介在して、前記パッカー装置へ送水する際に該第2逆止弁が前記枝流路を閉じるようになっており、
前記枝流路にチェック弁が取り付けられて、前記第1流路内の水圧が測定されることを特徴とする、湧水観測装置。
【請求項2】
台車と、該台車に対して回動自在に装着されているブームと、該ブームの先端に装着されているガイドシェルと、該ガイドシェルに沿ってスライドするドリフターと、該ドリフターの先端に装着されているシャンクロッドと、該シャンクロッドに送水する送水手段とを備えている、穿孔機において、該ガイドシェルと該ドリフターと該シャンクロッドが前記移動装置を形成し、該シャンクロッドに対して前記軸状ユニットが直接的もしくは間接的に接続され、該送水手段から前記第1流路に水が送水されるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の湧水観測装置。
【請求項3】
前記水圧測定装置の外面のうち、前記枝流路に対応する位置には凹部が設けられ、該凹部に該枝流路の開口が臨んでおり、
前記開口に取り付けられている状態での前記チェック弁の高さは、前記凹部の深さ以下に設定されており、
前記水圧測定装置に前記チェック弁が取り付けられて、前記第1流路への追加の送水、もしくは、該第1流路からの排水の少なくとも1つがさらに実行されるようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の湧水観測装置。
【請求項4】
前記第1逆止弁と前記水圧測定装置が一体に構成され、前記枝流路は前記第1逆止弁よりも前記流路切替えアダプタ側に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の湧水観測装置。
【請求項5】
前記シャンクロッドと前記第1逆止弁との間に介在する、異形コネクタをさらに備えていることを特徴とする、請求項2に記載の湧水観測装置。
【請求項6】
前記ガイドシェルの先端と該先端の後方にはそれぞれ、前方セントラライザと後方セントラライザが装着されており、
前記異形コネクタと前記第1逆止弁との間に介在する、押し込み管をさらに備え、
前記前方セントラライザよりも切羽側に前記第1逆止弁が位置していることを特徴とする、請求項5に記載の湧水観測装置。
【請求項7】
切羽に設けられているボーリング孔の先端から湧水を取り込んで湧水観測を行う、湧水観測方法であって、
パッカーを備えているパッカー装置と、二重管ロッドと、観測計を備えている流路切替えアダプタと、水圧測定装置と、第1逆止弁とが相互に接続されてなる軸状ユニットと、該軸状ユニットの内部において送水された水を前記パッカーの内側面に到達させる第1流路と、該パッカー装置と該二重管ロッドと該流路切替えアダプタの内部において該パッカー装置にて取り込んだ湧水を前記観測計に到達させる第2流路とを有している、該軸状ユニットの少なくとも一部を、移動装置により前記ボーリング孔に挿入し、該ボーリング孔の先端もしくは先端近傍に前記パッカー装置を配設し、前記第1流路を介して送水された水により前記パッカーを膨らませて該パッカーを該ボーリング孔の孔壁に押圧させる、装置設置工程と、
前記水圧測定装置にて前記第1流路を観測する、第1流路観測工程と、
前記第2流路を介して前記ボーリング孔の先端から湧水を取り込んで前記観測計に到達させ、湧水観測を行う、湧水観測工程と、
前記第1流路を介して排水して前記パッカーを萎ませ、前記移動装置にて前記軸状ユニットを前記ボーリング孔から引き抜いて回収する、装置回収工程とを有することを特徴とする、湧水観測方法。
【請求項8】
前記装置設置工程では、
台車と、該台車に対して回動自在に装着されているブームと、該ブームの先端に装着されているガイドシェルと、該ガイドシェルに沿ってスライドするドリフターと、該ドリフターの先端に装着されているシャンクロッドと、該シャンクロッドに送水する送水手段とを備えている、穿孔機を利用し、
前記ガイドシェルと前記ドリフターと前記シャンクロッドが前記移動装置を形成し、該シャンクロッドに対して前記軸状ユニットを直接的もしくは間接的に接続し、
前記ドリフターを切羽側へ前進させて、前記パッカー装置と前記二重管ロッドの押し込みを行い、該ドリフターを後退させて新たな前記二重管ロッドを継ぎ足し、該ドリフターを再度切羽側へ前進させることを特徴とする、請求項7に記載の湧水観測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湧水観測装置と湧水観測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山岳トンネルの施工においては、切羽前方の湧水区間の湧水量や湧水圧といった湧水の状態を把握し、事前に湧水対策を行うことが肝要である。
この湧水状態の把握方法としては、切羽にボーリング孔(先進ボーリング孔)を設け、人力にてパッカーを備えたロッド(パッカーロッド)を継ぎ足しながら孔奥へパッカーを挿入し、湧水量や湧水圧を測定した後に、人力によりパッカーロッドを引き抜いて回収する方法が一般に適用される。
しかしながら、この方法では、切羽の直下に人が立ち入るために安全性に課題がある。また、ボーリング孔から湧水が排水されている状況下で、パッカーを挿入する作業や引き抜いて回収する作業には多くの労力を要し、特に、切羽の天端付近等の高所にあるボーリング孔に対しては、穿孔機のマンケージや高所作業車のバケット上での作業となることから、より一層困難な作業となり得る。
また、湧水圧が高い場合は、パッカーがボーリング孔から噴出する恐れがあることから、パッカーの噴出防止のためのパッカー押さえ設備等が必要となり、湧水状態の把握に手間と時間を要する。
【0003】
以上のことから、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態(湧水量や湧水圧、水質等)を把握することのできる、湧水観測装置や湧水観測方法が望まれる。
【0004】
ここで、特許文献1には、ドリルジャンボとパッカーを用いて、掘削と注入を行う、二重管ダブルパッカー工法が提案されている。
具体的には、周壁に複数の注入孔を設け、かつリングビットを先端に取り付けたケーシング内に、単管掘削が可能な単管掘削機から受けた打撃力及び回転力をリングビットに伝える掘削ビットを取り付けたインナーロッドを挿入し、単管掘削機に連結したインナーロッドと、ケーシングとによって地山を掘削し、ケーシングからインナーロッド及び掘削ビットを引き抜いた後、吐出孔が形成されたパイプをケーシング内に挿入するとともに、ケーシングとパイプとの間隙にシール材を充填し、パイプ内に、該パイプ内の空間を隔てる一対のパッカーと、これらのパッカーの間に設けられた噴出孔とを備えるインジェクションパイプを挿入し、ケーシングを地山内に設置した状態で、インジェクションパイプの後端から注入材を供給し、注入材を噴出孔及び吐出孔を介して注入孔から地山に注入する工法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-274562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の二重管ダブルパッカー工法によれば、地山に形成された孔内に挿入されたスリーブパイプと、スリーブパイプ内に挿入されたインジェクションパイプとをパッカーを介して固定することはできるものの、上記する課題、すなわち、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握する技術を提案するものではない。
【0007】
本発明は、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握することのできる、湧水観測装置と湧水観測方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による湧水観測装置の一態様は、
切羽に設けられているボーリング孔に設置されて、該ボーリング孔の先端から湧水を取り込んで湧水観測を行う、湧水観測装置であって、
パッカーを備えているパッカー装置と、該パッカー装置の一端に装着される二重管ロッドと、該二重管ロッドの一端に装着されるとともに観測計を備えている流路切替えアダプタと、該流路切替えアダプタの一端に装着される第1逆止弁と、
前記流路切替えアダプタと前記第1逆止弁との間に介在する、水圧測定装置と、
前記パッカー装置と前記二重管ロッドと前記流路切替えアダプタと前記水圧測定装置と前記第1逆止弁とが相互に接続されてなる、軸状ユニットの少なくとも一部を前記ボーリング孔に挿入し、かつ該ボーリング孔から該軸状ユニットを引き抜く、移動装置と、
前記軸状ユニットの内部に設けられ、送水された水を前記パッカーの内側面に到達させる、第1流路と、
前記パッカー装置と前記二重管ロッドと前記流路切替えアダプタの内部に設けられ、前記パッカー装置にて取り込んだ前記湧水を前記観測計に到達させる、第2流路とを有し、
前記水圧測定装置は、少なくとも前記第1流路内の水圧を測定し、
前記第1逆止弁は、前記パッカー装置へ送水する際に前記第1流路を開き、該パッカー装置から戻り水が戻る際に該第1流路を閉じるようになっており、
前記水圧測定装置は、前記第1流路を形成する主流路と、該主流路から分岐した枝流路とを備え、
前記枝流路の途中には第2逆止弁が介在して、前記パッカー装置へ送水する際に該第2逆止弁が前記枝流路を閉じるようになっており、
前記枝流路にチェック弁が取り付けられて、前記第1流路内の水圧が測定されることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、パッカー装置、二重管ロッド、観測計を備えている流路切替えアダプタ、水圧測定装置、及び第1逆止弁が相互に接続されてなる軸状ユニットの少なくとも一部をボーリング孔に挿入し、ボーリング孔から引き抜く移動装置を備え、送水された水をパッカーの内側面に到達させる第1流路と、取り込んだ湧水を観測計に到達させる第2流路の2つ流水系統が設けられ、観測計にて湧水の状態を示す物理量を測定することにより、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置(挿入及び拡張)や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握することができる。
また、第1逆止弁が、パッカー装置へ送水する際に第1流路を開き、パッカー装置から戻り水が戻る際に第1流路を閉じることにより、パッカー装置への必要量の送水と、パッカーが開いた後のパッカー圧の維持の双方を図ることができる。
また、流路切替えアダプタと第1逆止弁との間に、少なくとも第1流路内の水圧を測定する水圧測定装置が介在していることにより、第1流路内の水圧と、第1流路に連通するパッカー内の水圧(ともに同値)を測定することができ、パッカーが所望の水圧(壁面の押圧力)に維持できているかを確認することができる。
さらに、水圧測定装置が、第1流路を形成する主流路と主流路から分岐した枝流路とを備え、枝流路の途中に第2逆止弁が介在して、パッカー装置へ送水する際に第2逆止弁が枝流路を閉じるようになっていることにより、パッカー装置へ送水する際の第1流路の液密性を保証することができる。
【0010】
ここで、湧水の状態を示す物理量には、湧水量や湧水圧が含まれる。また、本態様では、観測計に到達させた湧水の物理量を測定することの他にも、湧水の濁度等の水質観察や地下水位観察等も「観察」に含まれるものとし、従って、湧水の物理量や水質等が観察対象となる。観測計による観測データ(計測データ)は、軸状ユニットを回収した後にデータ取得されてもよいし、観測計から無線通信によって、移動装置を備えた台車のオペレータキャビンにある携帯端末や、計測実施者等の携帯する携帯端末、トンネルの坑外にある管理施設にあるコンピュータ等、様々な携帯端末やコンピュータに対してリアルタイムに送信されてもよい。
また、二重管ロッドは、1本でも複数本でもよく、ボーリング孔の長さに応じて、例えば複数の二重管ロッドが順次継ぎ足されてもよい。
また、移動装置は、ダンプトラックや高所作業車等に搭載された油圧シリンダや、ボーリング孔を穿孔する穿孔機等であってよく、少なくとも人力による二重管ロッドやパッカーのボーリング孔への設置等を解消できる様々な形態が適用できる。
また、「軸状ユニットの少なくとも一部をボーリング孔に挿入する」とは、軸状ユニットの全体を挿入することの他に、パッカー装置と二重管ロッド(の一部)のみを挿入すること等を含む意味であるが、実際の運用では後者が一般に適用される。
【0011】
また、本態様の湧水観測装置は、長さが1000m程度の超長尺ボーリング孔や、長さが100m程度の中尺ボーリング孔、長さが30m程度の短尺ボーリング孔といった様々な長さのボーリング孔に適用できる。
【0012】
また、本発明による湧水観測装置の他の態様は、
台車と、該台車に対して回動自在に装着されているブームと、該ブームの先端に装着されているガイドシェルと、該ガイドシェルに沿ってスライドするドリフターと、該ドリフターの先端に装着されているシャンクロッドと、該シャンクロッドに送水する送水手段とを備えている、穿孔機において、該ドリフターと該ドリフターと該シャンクロッドが前記移動装置を形成し、該シャンクロッドに対して前記軸状ユニットが直接的もしくは間接的に接続され、該送水手段から前記第1流路に水が送水されるようになっていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、穿孔機の備えるガイドシェルとドリフターとシャンクロッドにて移動装置を形成し、ガイドシェルに沿ってドリフターがスライドすることによって軸状ユニットがボーリング孔に挿入されることにより、軸状ユニットを安定的にボーリング孔に挿入し、観測後は安定的にボーリング孔から回収することができる。また、例えば穿孔機にてボーリング孔を穿孔した後、連続的に当該穿孔機にてボーリング孔に軸状ユニットを設置して、湧水の状態に関する物理量を効率的に測定することができる。
さらに、穿孔機は、送水ポンプや水タンク、送水管等を含む送水手段を自ら備えていて、ボーリング孔の穿孔の際に送水手段を作動させて適宜送水を実施することから、この穿孔機の備える送水手段を利用することにより、湧水観測装置に固有の送水手段を不要にできて好ましい。
穿孔機としては、台車の前方に複数のブームを回動自在でかつ伸縮自在に備えている、ドリルジャンボ(登録商標)を適用できる。
また、「シャンクロッドに対して軸状ユニットが直接的もしくは間接的に接続される」とは、シャンクロッドに対して軸状ユニットを形成する第1逆止弁が直接接続されることの他に、第1逆止弁に接続された押し込み管や異形コネクタがシャンクロッドに接続され、従って、シャンクロッドに対して軸状ユニットが間接的に接続されることを含んでいる。
【0014】
湧水圧が比較的小さく、パッカーによるボーリング孔の孔壁への押圧力のみでも軸状ユニットのボーリング孔内における設置状態を維持できる場合は、第1逆止弁をシャンクロッドから切り離して穿孔機を他の用途(他のボーリング孔の穿孔等)に適用することができる。
一方、湧水圧が比較的大きく、パッカーによるボーリング孔の孔壁への押圧力のみでは軸状ユニットのボーリング孔内における設置状態を維持できない場合は、湧水観測が終了するまで切羽の前方に穿孔機を待機させ、ドリフターとシャンクロッドにて軸状ユニットを後方から保持しておくのがよい。
【0015】
また、本発明による湧水観測装置の他の態様は、
前記水圧測定装置の外面のうち、前記枝流路に対応する位置には凹部が設けられ、該凹部に該枝流路の開口が臨んでおり、
前記開口に取り付けられている状態での前記チェック弁の高さは、前記凹部の深さ以下に設定されており、
前記水圧測定装置に前記チェック弁が取り付けられて、前記第1流路への追加の送水、もしくは、該第1流路からの排水の少なくとも1つがさらに実行されるようになっていることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、水圧測定装置の外面における枝流路に対応する位置に凹部が設けられ、凹部に枝流路の開口が臨んでいて、開口に取り付けられている状態でのチェック弁の高さ(張り出し高さ)が凹部の深さ以下に設定されていることにより、軸状ユニットをボーリング孔に挿入する際に、開口に取り付けられているチェック弁をセントラライザに干渉することなく通過させることができる。
【0017】
また、水圧測定装置にチェック弁が取り付けられ、チェック弁に圧力計が取り付けられて第1流路内の水圧が測定されることの他に、第1流路への追加の送水や、第1流路からの排水がさらに実行されることにより、水圧測定装置に対して様々な機能を持たせることができる。
例えば、第1流路内の水圧測定の結果、パッカーに要求される水圧が不十分である場合は、チェック弁に対して送水手段を接続し、第1流路に追加の送水を実行してパッカー内の水圧を高めることができる。
また、湧水観測が終了した後、排水してパッカーを萎ませて、ボーリング孔からパッカー装置等を回収する際は、凹部に設置されているチェック弁の内部にある第2逆止弁を開放することにより、枝流路を介し、チェック弁を介して排水することが可能になる。
【0018】
また、本発明による湧水観測装置の他の態様は、
前記第1逆止弁と前記水圧測定装置が一体に構成され、前記枝流路は前記第1逆止弁よりも前記流路切替えアダプタ側に設けられていることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、第1逆止弁と水圧測定装置が一体に構成されていることにより、部品点数を低減しながら、水圧測定装置による様々な機能を享受することができて好ましい。
【0020】
また、本発明による湧水観測装置の他の態様は、
前記シャンクロッドと前記第1逆止弁との間に介在する、異形コネクタをさらに備えていることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、穿孔機の備えるシャンクロッドと第1逆止弁との間に異形コネクタ(もしくは、口径変換コネクタ)が介在していることにより、穿孔機の機種に固有のシャンクロッドの口径に応じて第1逆止弁を接続することが可能になる。
【0022】
また、本発明による湧水観測装置の他の態様において、
前記ガイドシェルの先端と該先端の後方にはそれぞれ、前方セントラライザと後方セントラライザが装着されており、
前記異形コネクタと前記第1逆止弁との間に介在する、押し込み管をさらに備え、
前記前方セントラライザよりも切羽側に前記第1逆止弁が位置していることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、異形コネクタと第1逆止弁の間に押し込み管が介在することにより、ガイドシェルにある前方セントラライザの前方に第1逆止弁と流路切替えアダプタを位置させることができ、これら第1逆止弁や流路切替えアダプタが切羽の近傍に位置すること、言い換えれば、切羽から長尺の部材が突出しないように軸状ユニットをボーリング孔に設置できることで、他の切羽作業に支障が生じることを抑制できる。
【0024】
ここで、穿孔機のガイドシェルには油圧クランプを備えた2つのセントラライザ(前方セントラライザと後方セントラライザ)が一般に備えてあり、穿孔ロッド等をセンタリングする機能と、セントラライザの備える油圧クランプにて穿孔ロッド等を把持する機能を有している。
【0025】
本態様では、この2つのセントラライザを利用して軸状ユニットを把持し、センタリングしながらボーリング孔に挿入するに際して、鋼管等の押し込み管を利用することにより、軸状ユニットの後方にある第1逆止弁や流路切替えアダプタを前方セントラライザよりも切羽側に位置させることを可能にする。
【0026】
また、本発明による湧水観測方法の一態様は、
切羽に設けられているボーリング孔の先端から湧水を取り込んで湧水観測を行う、湧水観測方法であって、
パッカーを備えているパッカー装置と、二重管ロッドと、観測計を備えている流路切替えアダプタと、水圧測定装置と、第1逆止弁とが相互に接続されてなる軸状ユニットと、該軸状ユニットの内部において送水された水を前記パッカーの内側面に到達させる第1流路と、該パッカー装置と該二重管ロッドと該流路切替えアダプタの内部において該パッカー装置にて取り込んだ湧水を前記観測計に到達させる第2流路とを有している、該軸状ユニットの少なくとも一部を、移動装置により前記ボーリング孔に挿入し、該ボーリング孔の先端もしくは先端近傍に前記パッカー装置を配設し、前記第1流路を介して送水された水により前記パッカーを膨らませて該パッカーを該ボーリング孔の孔壁に押圧させる、装置設置工程と、
前記水圧測定装置にて前記第1流路を観測する、第1流路観測工程と、
前記第2流路を介して前記ボーリング孔の先端から湧水を取り込んで前記観測計に到達させ、湧水観測を行う、湧水観測工程と、
前記第1流路を介して排水して前記パッカーを萎ませ、前記移動装置にて前記軸状ユニットを前記ボーリング孔から引き抜いて回収する、装置回収工程とを有することを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、パッカー装置、二重管ロッド、観測計を備えている流路切替えアダプタ、水圧測定装置、及び第1逆止弁が相互に接続されてなる軸状ユニットの少なくとも一部を、移動装置にてボーリング孔に挿入し、パッカーを膨らませて軸状ユニットをボーリング孔に設置した後に、ボーリング孔の先端から湧水を取り込んで観測計にて湧水観測を行い、観測後は移動装置にて軸状ユニットをボーリング孔から引き抜いて回収することにより、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握することができる。
【0028】
また、水圧測定装置が、第1流路内の水圧と、第1流路に連通するパッカー内の水圧を測定することにより、パッカーが所望の水圧に維持できているかを確認することができる。
【0029】
また、本発明による湧水観測方法の他の態様において、
前記装置設置工程では、
台車と、該台車に対して回動自在に装着されているブームと、該ブームの先端に装着されているガイドシェルと、該ガイドシェルに沿ってスライドするドリフターと、該ドリフターの先端に装着されているシャンクロッドと、該シャンクロッドに送水する送水手段とを備えている、穿孔機を利用し、
前記ガイドシェルと前記ドリフターと前記シャンクロッドが前記移動装置を形成し、該シャンクロッドに対して前記軸状ユニットを直接的もしくは間接的に接続し、
前記ドリフターを切羽側へ前進させて、前記パッカー装置と前記二重管ロッドの押し込みを行い、該ドリフターを後退させて新たな前記二重管ロッドを継ぎ足し、該ドリフターを再度切羽側へ前進させることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、穿孔機の備えるガイドシェルとドリフターとシャンクロッドにて移動装置を形成し、ガイドシェルに沿ってドリフターをスライドさせることによって軸状ユニットをボーリング孔に挿入することにより、軸状ユニットを安定的にボーリング孔に挿入し、観測後は安定的にボーリング孔から回収することができるとともに、二重管ロッドの継ぎ足しもスムーズに行うことができる。
さらに、例えば穿孔機にてボーリング孔を穿孔した後、連続的に当該穿孔機にてボーリング孔に軸状ユニットを設置し、湧水の状態に関する物理量や水質等を効率的に観測することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の湧水観測装置と湧水観測方法によれば、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態に係る湧水観測装置を形成する、移動装置を備えた穿孔機の一例の斜視図である。
図2】実施形態に係る湧水観測装置の一例の斜視図である。
図3】実施形態に係る湧水観測装置を構成する、パッカー装置と、二重管ロッドと、観測計を備えている流路切替えアダプタと、第1逆止弁の分解縦断面図であって、第1流路における水の流れと第2流路における湧水の流れをともに示す図である。
図4図3のIV-IV矢視図であって、流路切替えアダプタにおける第1流路と第2流路の配置を横断面で見た図である。
図5A】チェック弁の拡大図である。
図5B】チェック弁にソケットと流路開放バルブが取り付けられている拡大図である。
図6】実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
図7図6に続いて、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
図8図7に続いて、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
図9図8に続いて、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
図10図9に続いて、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
図11図10に続いて、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
図12図11に続いて、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施形態に係る湧水観測装置と湧水観測方法について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0034】
[実施形態に係る湧水観測装置]
はじめに、図1乃至図5を参照して、実施形態に係る湧水観測装置の一例について説明する。
ここで、図1は、実施形態に係る湧水観測装置を形成する、移動装置を備えた穿孔機の一例の斜視図であり、図2は、実施形態に係る湧水観測装置の一例の斜視図である。また、図3は、実施形態に係る湧水観測装置を構成する、パッカー装置と、二重管ロッドと、観測計を備えている流路切替えアダプタと、第1逆止弁の分解縦断面図であって、第1流路における水の流れと第2流路における湧水の流れをともに示す図であり、図4は、図3のIV-IV矢視図であって、流路切替えアダプタにおける第1流路と第2流路の配置を横断面で見た図である。さらに、図5Aは、チェック弁の拡大図であり、図5Bは、チェック弁にソケットと流路開放バルブが取り付けられている拡大図である。
【0035】
以下で説明する湧水観測装置や湧水観測方法は、山岳トンネルの施工において、切羽前方の湧水区間の湧水量や湧水圧といった湧水の状態を把握するための装置と方法であり、観測結果に基づいて、次のトンネル掘削に際して事前に実施される湧水対策の有無を決定したり、周辺環境への影響を考察する際に供される観測結果を取得するためのものである。例えば、山岳トンネルの施工中に高圧で大量の湧水が発生する場合は、切羽崩落をはじめとするトンネル施工への影響は勿論のこと、周辺環境への影響(地盤沈下、地下水位低下等)が大きくなり得ることから、必要な対策が必須となる。
【0036】
湧水観測に際してトンネルの切羽に施工する先進ボーリング孔には、長さ1000m程度の超長尺ボーリング孔や、長さが100m程度の中尺ボーリング孔、長さが30m程度の短尺ボーリング孔があるが、実施形態に係る湧水観測方法の際に施工されるボーリング孔にはいずれの形態が適用されてもよい。
【0037】
ここで、超長尺ボーリング孔を用いた湧水観測では、湧水の有無の他、湧水の位置などが調査されるが、湧水帯に近づくまでに例えば数ヶ月を要し、調査に際して大掛かりな設備を要する。
【0038】
これに対して、中尺ボーリング孔や短尺ボーリング孔を用いた湧水観測では、実施形態に係る湧水観測装置の備えるパッカーを用いて湧水圧や湧水量を精度よく測定でき、地山の透水性の確認と切羽が到達した際の湧水量の予測が可能になる。
【0039】
さらに、短尺ボーリング孔を用いた湧水観測では、以下で説明するように切羽に常駐している穿孔機を用いて湧水観測を実施でき、湧水観測に要するコストが廉価となり、1本のボーリング孔の穿孔に要する時間も1乃至2時間程度でよく、迅速に多点のボーリング孔の穿孔が可能である。
【0040】
これらのことから、実施形態に係る湧水観測装置や湧水観測方法は、中尺ボーリング孔や短尺ボーリング孔を用いた湧水観測に供されるのが好ましく、特に短尺ボーリング孔を用いた湧水観測に供されるのが望ましい。尚、現状の短尺ボーリング孔を用いた湧水圧の測定方法は、人力にてパッカー装置を設置する方法しか存在せず、既に説明したように観測施工における安全性や効率性の観点で改善の余地があることから、以下で説明する実施形態に係る湧水観測装置と湧水観測方法は、短尺ボーリング孔を用いた湧水観測施工における施工安全性と施工効率性を高める技術となり得る。
【0041】
図1に示す穿孔機10はドリルジャンボであり、キャビンや走行機構、不図示の送水手段(送水ポンプ、水タンク、及び送水管等により構成される)等を備えている台車11と、台車11の前方において水平方向であるX1方向(ヨー軸回り)と鉛直方向であるX2方向(ピッチ軸回り)に回動自在に装着されている複数(図示例は5本)のブーム12とを有し、各ブーム12はその軸方向であるX3方向に伸縮自在である。
【0042】
複数のブーム12のうち、ブーム12Bの先端にはマンケージ13が回動自在に装着され、ブーム12Bの旋回に応じて、マンケージ13の作業台が常時水平姿勢を形成するようになっている。
【0043】
一方、他のブーム12Aの先端には、ガイドシェル14が装着されており、ガイドシェル14には、ドリフター15がスライド自在に取り付けられている。ドリフター15の先端にはシャンクロッド16が取り付けられており、台車11に装備されている不図示の送水手段からシャンクロッド16の内部にある流路(図示略)に水が供給されるようになっている。
【0044】
また、ガイドシェル14の先端には環状の前方セントラライザ18Aが装着され、その後方には環状の後方セントラライザ18Bが装着されており、2つのセントラライザ18A,18Bの内部をシャンクロッド16がスライド自在に挿通されている。
【0045】
ガイドシェル14、ドリフター15、及びシャンクロッド16は、移動装置17を構成する。ここで、ドリフター15は、ガイドシェル14上でのスライドの他に、その軸芯周りで回転することもできる。
【0046】
図2に示すように、切羽側から順に、パッカー26を備えているパッカー装置20と、パッカー装置20の後端に装着される二重管ロッド30と、二重管ロッド30の後端に装着される流路切替えアダプタ40と、流路切替えアダプタ40の後端に装着される水圧測定装置90と、水圧測定装置90の後端に装着される第1逆止弁50とにより、軸状ユニット60が形成される。流路切替えアダプタ40には、図3に示すように導入管46を介して観測計48が装着されるようになっている。また、ボーリング孔の長さに応じて二重管ロッド30の後端に別途の二重管ロッドが継ぎ足し管として継ぎ足される場合もある。
【0047】
ここで、図示例は、水圧測定装置90と第1逆止弁50が別部材であるが、例えば、水圧測定装置と第1逆止弁が一体に構成されて、双方が同一部材であってもよい。
【0048】
移動装置17を形成するシャンクロッド16の先端には異形コネクタ80が装着され、異形コネクタ80の先端には押し込み管70が装着され、押し込み管70の先端に第1逆止弁50の後端が接続されることにより、湧水観測装置100が形成される。
【0049】
穿孔機10の機種に応じてシャンクロッド16の口径が変化することから、異形コネクタ80が介在することにより、シャンクロッド16の口径に応じて第1逆止弁50を接続することが可能になる。
【0050】
以下で詳説するが、地山に形成されているボーリング孔に対して軸状ユニット60の一部である、パッカー装置20と二重管ロッド30(の一部もしくは全部)の挿入に際しては、切羽の前方に穿孔機10が位置合わせされ、ブーム12Aがボーリング孔の前方に位置合わせされた後、移動装置17を構成するガイドシェル14に沿ってドリフター15がX5方向にスライドすることにより、パッカー装置20と二重管ロッド30がボーリング孔に対してX6方向に挿入される。
【0051】
台車11に装備されている送水手段を介し、軸状ユニット60の内部に送水された水がパッカー装置20のパッカー26を膨らませてボーリング孔の孔壁を押圧することにより、ボーリング孔に対する軸状ユニット60の設置が完了する。
【0052】
パッカー装置20の先端からは採取管22の一部が張り出しており、この採取管22を介して、ボーリング孔内の湧水が軸状ユニット60の内部に取り込まれるようになっている。
【0053】
パッカー装置20によるボーリング孔の孔壁を押圧する圧力は、水圧測定装置90に取り付けられている圧力計により計測されるようになっており、仮に計測データが所定の水圧よりも低い場合は、水圧測定装置90を介して追加の送水を行うことにより、パッカー26をより膨らませて水圧を所定の水圧(壁面を押圧する押圧力)まで増加させることができる。また、湧水観測が終了してボーリング孔から軸状ユニット60の一部を引き抜いて回収する際は、水圧測定装置90を介してパッカー装置20から排水することにより、パッカー26を萎ませることができる。
【0054】
すなわち、水圧測定装置90は、パッカー26による壁面への押圧力(水圧)の測定と、必要に応じてパッカー26へ追加の送水を行うことと、さらには、軸状ユニット60を引き抜いて回収する際にパッカー26を膨らませている水を排水することといった、複数の機能を有している。
【0055】
また、軸状ユニット60をボーリング孔内へ十分に挿入するための押し込み管70が、前方セントラライザ18Aと後方セントラライザ18Bに挿通されることにより、軸状ユニット60を形成する第1逆止弁50と水圧測定装置90と流路切替えアダプタ40を、前方セントラライザ18Aよりも切羽側に位置させることができる。軸状ユニット60の一部をボーリング孔内に設置した後、例えば押し込み管70と異形コネクタ80を切り離し、穿孔機10を他の用途に利用することが可能になる。
【0056】
ここで、水圧測定装置90の外面には凹部94が設けられ、凹部94に対してチェック弁96が取り付けられている。このチェック弁96は凹部94よりも外側へ張り出しておらず、従って、凹部94にチェック弁96が取り付けられている状態でチェック弁96も前方セントラライザ18Aと後方セントラライザ18Bを挿通することができるようになっている。
【0057】
尚、図示例の湧水観測装置100は、穿孔機10の備えるガイドシェル14やドリフター15等を移動装置17として備える形態であるが、高所作業車等に搭載された油圧シリンダ等を移動装置とする形態であってもよい。
【0058】
次に、図3乃至図5を参照して、軸状ユニット60を構成する各構成要素の具体的な構成について説明する。
【0059】
パッカー装置20は、中央にある環状の本体管21Aの両端に、左右の環状の本体管21B,21Cが嵌め合いされることにより形成されている。本体管21Aと、左右の本体管21B,21Cとの嵌め合い部には、Oリング等のシール材24が介在しており、本体管21B,21Cはシール材24と摺接しながら本体管21Aの左右端に接続される。
【0060】
本体管21Aは左右の2部材に分かれており、双方の間にはパッカー取り付け開口21cが設けられ、パッカー取り付け開口21cにパッカー26が配設され、左右の本体管21Aの端部にある取り付け凹凸溝21dにパッカー26の左右端が嵌め込まれ、スライド自在に固定されている。すなわち、パッカー26が側方に膨らむ際には、パッカー26の端部が取り付け凹凸溝21d内で引っ張られてスライドするものの、凹凸溝であることからパッカー26が外れることはない。
【0061】
本体管21A,21B,21Cの内部には採取管22が挿通され、採取管22の一部は本体管21Cの先端21aから張り出している。採取管22の内部には第2流路23が設けられており、第2流路23の先端から湧水がY10方向に取り込まれるようになっている。取り込まれた湧水は、第2流路23をY11方向に流通して二重管ロッド30へ送られる。
【0062】
本体管21と採取管22との間には、環状の第1流路25が設けられており、二重管ロッド30から送水されてきた水は、第1流路25をY6方向に流通してパッカー取り付け開口21cに到達し、パッカー26の内側面を側方に押圧することにより、パッカー26はY7方向に膨らむ。側方に膨らんだパッカー26がボーリング孔の孔壁を所定の押圧力にて押圧することにより、湧水からの湧水圧を受けた状態でもボーリング孔内における軸状ユニット60の設置姿勢を保持することが可能になる。尚、湧水圧が大き過ぎる場合は、穿孔機10の移動装置17を軸状ユニット60に装着したままの状態として、軸状ユニット60のボーリング孔内への設置姿勢を保持すればよい。
【0063】
本体管21Bの後端21bに対して、二重管ロッド30を構成する外管31の先端31aが嵌め込まれるようになっている。
【0064】
二重管ロッド30は、外管31と内管32とを有し、双方の間に環状の第1流路35が設けられており、パッカー装置20の第1流路25に連通している。また、内管32の内部には第2流路33が設けられており、パッカー装置20の第2流路23に連通している。
【0065】
外管31の先端側にはOリングからなるシール材34が設けられており、外管31の先端31aに対してパッカー装置20の後端21bが嵌め込まれ、シール材34と摺接しながら双方の接続が行われる。
【0066】
パッカー装置20の第2流路23を流通する湧水は、内管32の第2流路33をY12方向に流入し、第2流路33をY13方向に流通する。一方、流路切替えアダプタ40から送水されてきた水は、第1流路35をY5方向に流通して、パッカー装置20の第1流路25に送られる。
【0067】
外管31の後端31bに対して、流路切替えアダプタ40を構成する本体管41の先端41aが嵌め込まれるようになっている。ここで、図示を省略するが、二重管ロッド30に対してさらに別途の二重管ロッドが継ぎ足し管として継ぎ足される場合は、図示する二重管ロッド30の後端31bに対して継ぎ足し管の先端が接続されることになる。
【0068】
流路切替えアダプタ40は、本体管41を有する。図3図4に示すように、本体管41の中央には第2流路43が設けられ、その周囲には複数(図示例は7本)の第1流路45が設けられている。第2流路43は二重管ロッド30の第2流路33に連通し、複数の第1流路45は二重管ロッド30の環状の第1流路35に連通している。
【0069】
本体管41の先端側にはOリングからなるシール材44が設けられており、本体管41の先端41aに対して二重管ロッド30の後端31bが嵌め込まれ、シール材44と摺接しながら双方の接続が行われる。
【0070】
本体管41において、第2流路43はその端部で屈曲して、本体管41の側面の一部に臨んで取り付け口43aを形成する。この取り付け口43aには、導入管46の一端が取り付けられ、導入管46の他端に観測計48が装着される。
【0071】
二重管ロッド30の第2流路33を介して第2流路43に流入してきた湧水は、第2流路43をY14方向に流通し、導入管46へY15方向に導入された後、観測計48に到達する。観測計48は、湧水圧を測定する圧力計や、湧水量を測定する流量計等であり、流入してきた湧水の湧水圧や湧水量といった物理量が測定される。また、図示を省略するが、例えば導入管46の途中に湧水吐出口が設けられ、湧水を吐出させてその濁度を含む水質を視認できるように構成されてもよい。
【0072】
観測計48が不図示の通信手段を備えている場合は、通信手段を介して穿孔機10のオペレータキャビンにある携帯端末や、トンネル坑外の管理施設にあるコンピュータ等に対して、観測データがリアルタイムに送信される。
【0073】
一方、水圧測定装置90から送水された水は、本体管41にある複数の第1流路45に流入し、各第1流路45をY4方向に流通して、二重管ロッド30の第1流路35に送られる。
【0074】
流路切替えアダプタ40の後端41bに対して、水圧測定装置90を構成する本体管91の先端91aが嵌め込まれるようになっている。
【0075】
水圧測定装置90は、本体管91を有する。本体管91の先端側にはOリングからなるシール材95が設けられており、本体管91の先端91aに対して流路切替えアダプタ40の後端41bが嵌め込まれ、シール材95と摺接しながら双方の接続が行われる。
【0076】
水圧測定装置90は、本体管91の内部に、第1流路を形成する主流路92と、主流路92から分岐した枝流路93とを備え、本体管91の外面のうち、枝流路93に対応する位置には凹部94が設けられ、凹部94に枝流路93の開口93aが臨んでいる。
【0077】
図3に示すように、開口93aには、チェック弁96が取り付けられるようになっている。ここで、凹部94の深さはt1であり、チェック弁96の高さt2は、深さt1以下に設定されている。このことにより、軸状ユニット60をボーリング孔Bに挿入する際に、開口93aにチェック弁96が取り付けられている状態でも、チェック弁96がセントラライザ18A,18Bに干渉することなく挿通されることができる。
【0078】
図5Aに示すように、枝流路93の開口93aに取り付けられるチェック弁96は、弁本体96aを貫通する流路96bに、バネ96eによって常時は流路96bを閉塞する方向(図示例は上方)に付勢されている第2逆止弁96cを備えている。第2逆止弁96cの外周にOリングからなるシール材96dが取り付けられており、シール材96dが流路96bの壁面と当接することにより流路96bが閉塞される。
【0079】
水圧測定装置90が、パッカー26内の水圧(壁面への押圧力)の測定や、パッカー26への追加の送水、パッカー26からの排水を行わず、不図示の送水手段からの送水にてパッカー26を膨らませる際は、枝流路93がチェック弁96にて閉塞されることにより、主流路92が構成要素となっている第1流路の液密性が担保され、パッカー26へY3方向に送水することができる。
【0080】
一方、パッカー26内の水圧の測定や、パッカー26への追加の送水、パッカー26からの排水を行う際は、図5Bに示すように、チェック弁96に対してソケット97を嵌め込み、ソケット97に対して流路開放バルブ98を取り付けることにより、チェック弁96の流路96bのシール材96dによる閉塞を開放して、Y16方向への水の流れを生じさせる。
【0081】
より具体的には、流路開放バルブ98の先端には押し込みピン98aが取り付けられており、ソケット97に流路開放バルブ98を取り付けた際に、バネ96eにて付勢されている第2逆止弁96cを押し込みピン98aがバネ96eの付勢に抗してZ1方向に押し込むことにより、第2逆止弁96cが主流路92側へZ2方向に移動してチェック弁96の流路96bが開放され、主流路92とチェック弁96の流路96b、ソケット97の内部と流路開放バルブ98の内部が相互に流体連通する。
【0082】
パッカー26内の水圧を測定する際は、流路開放バルブ98に対して不図示の圧力計が取り付けられる。また、パッカー26への追加の送水を行う際は、流路開放バルブ98を介して不図示の送水手段から追加の送水が行われる。さらに、パッカー26からの排水を行う際は、主流路92を流通する水を流路開放バルブ98を介してY16方向に排水する。
【0083】
水圧測定装置90の後端91bには、第1逆止弁50を構成する本体管51の先端51aが嵌め込まれるようになっている。
【0084】
第1逆止弁50は、本体管51を有する。本体管51の中央には、中空52bを内部に備えた弁座52が設けられており、中空52bの開口52aと連通する第1流路53が本体管51の先端51aに連通している。
【0085】
本体管51の先端側にはOリングからなるシール材51cが設けられており、本体管51の先端51aに対して水圧測定装置90の後端91bが嵌め込まれ、シール材51cと摺接しながら双方の接続が行われる。
【0086】
第1流路53の外周側には、バネ54が設けられていて、バネ54にてゴム球55が弁座52の開口52aを閉塞するように付勢されている。弁座52の中空52bには第1流路53が連通しており、第1逆止弁50の後端51bに対して中空を有する押し込み管70等が接続されるようになっている。不図示の送水手段から送水された水は、シャンクロッド16,異形コネクタ80,押し込み管70の各中空を流通して第1逆止弁50の第1流路53にY1方向に流入する。
【0087】
流入した水の水圧がバネ54の付勢力を上回った段階でゴム球55がY2方向に移動して開口52aが開放され、開口52aを介して水が水圧測定装置90側の第1流路53をY2方向に流通して、水圧測定装置90の第1流路92に流入することになる。
【0088】
ボーリング孔内においてパッカー26が十分に膨らみ、軸状ユニット60のボーリング孔への設置が完了した段階で、送水手段からの送水が停止される。この送水の停止により、ゴム球55を後方から押し出す力が無くなり、ゴム球55はバネ54による付勢力にて移動して弁座52の開口52aが閉塞される。
【0089】
この開口52aの閉塞により、Y17方向の戻り水が開口52aを介して排水されることが防止されることから、各部材の第1流路に充満している水を保持することができ、膨らんでボーリング孔の孔壁を押圧しているパッカー26の押圧力を保持することが可能になる。
【0090】
湧水観測装置100によれば、移動装置17が、穿孔機10のブーム12Aに予め装備されているガイドシェル14等により形成され、さらに、台車11に予め備えてある送水手段を利用してパッカー装置20のパッカー26を膨らませることにより、湧水観測装置100に固有の移動装置と送水手段を用意する必要がなくなる。
【0091】
また、穿孔機10によるボーリング孔の穿孔に連続するようにして、当該穿孔機10にて軸状ユニット60の一部のボーリング孔への設置を行うことができるため、ボーリング孔の穿孔から湧水観測までの一連の作業を極めて効率的に行うことが可能になる。
【0092】
さらに、オペレータが穿孔機10に搭乗した状態で、ボーリング孔への軸状ユニット60の設置と、それに続く湧水観測、さらには、湧水観測後のボーリング孔からの軸状ユニット60の回収を行うことができるため、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全に切羽前方の湧水の状態を把握することが可能になる。
【0093】
[実施形態に係る湧水観測方法]
次に、図6乃至図12を参照して、実施形態に係る湧水観測方法の一例について説明する。ここで、図6乃至図12は順に、実施形態に係る湧水観測方法の一例の工程図である。尚、以下の説明では、図1に示す穿孔機10の移動装置17を用いてパッカー装置20等をボーリング孔Bに挿入するが、穿孔機10の台車11等の図示は省略する。
【0094】
まず、図6に示すように、地山Gに造成された山岳トンネル等のトンネルの切羽Kに対して、図1に示す穿孔機10によりボーリング孔Bを穿孔する。図示する先進ボーリング孔Bは、長さが30m程度の短尺ボーリング孔として以下、説明する。
【0095】
ガイドシェル14,ドリフター15,及びシャンクロッド16にて移動装置17が構成され、シャンクロッド16の先端には異形コネクタ80が装着され、異形コネクタ80の先端には流路切替えアダプタ40が装着され、その前方には、二重管ロッド30,パッカー装置20が順に接続される。
【0096】
パッカー装置20や二重管ロッド30は、ガイドシェル14上にある前方セントラライザ18Aと後方セントラライザ18Bに挿通されており、これらのセントラライザ18A,18Bにて二重管ロッド30等が把持されながらセンタリングされ、ボーリング孔Bへの挿入されることになる。
【0097】
次に図7に示すように、ガイドシェル14に沿ってドリフター15を切羽側へX5方向にスライドさせることにより、パッカー装置20、二重管ロッド30の順にボーリング孔BへX6方向に挿入される。
【0098】
ここで、図示例のようにボーリング孔Bの長さに対して二重管ロッド30の長さが短い場合は、二重管ロッド30までをボーリング孔Bに挿入した段階で、ドリフター15を切羽と反対側へスライドさせて、二重管ロッド30の後端と流路切替えアダプタ40の間に隙間を形成する。次いで、この隙間に別途の二重管ロッドからなる継ぎ足し管30Aを挿入し、その両端を二重管ロッド30と流路切替えアダプタ40に接続した後、ドリフター15を再度切羽側へX5方向にスライドさせることにより、図7に示すように継ぎ足し管30Aもボーリング孔BへX6方向に挿入する。
【0099】
例えば、長さが30m程度のボーリング孔Bに対して、二重管ロッド30や継ぎ足し管30Aは、長さが0.5m、1m、1.5m、3mといった様々な長さのロッドが用意されているのがよい。
【0100】
継ぎ足し管30Aの継ぎ足しに際しては、セントラライザ18A,18Bが二重管ロッド30を把持した状態で、その後方に挿入された継ぎ足し管30Aを、ドリフター15の回転動作によって回転させながら双方の接続(螺合)を行うことができる。
【0101】
図7に示すように、ガイドシェル14を切羽Kに最大限近接させ、ドリフター15を切羽側へ最大限スライドさせた場合でも、ボーリング孔Bの先端近傍までパッカー装置20を挿入できない場合が往々にして生じ得る。
【0102】
そこで、図8に示すように、流路切替えアダプタ40と異形コネクタ80との接続を解除し、まず、流路切替えアダプタ40に対して水圧測定装置90を接続し、水圧測定装置90に第1逆止弁50を接続し、第1逆止弁50と異形コネクタ80の双方に押し込み管70を接続する。
【0103】
この接続により、パッカー装置20、二重管ロッド30、継ぎ足し管30A、流路切替えアダプタ40、水圧測定装置90、及び第1逆止弁50からなる軸状ユニット60が形成され、押し込み管70によってパッカー装置20をボーリング孔Bの先端近傍の所定位置まで挿入することができる。
【0104】
図8に示すように、ボーリング孔Bに対して、パッカー装置20と二重管ロッド30と継ぎ足し管30Aの一部(軸状ユニット60の一部)を挿入した後、不図示の送水手段からの送水によってパッカー26をY7方向に膨らませ、膨らんだパッカー26が所定の押圧力にてボーリング孔Bの孔壁を押圧することにより、ボーリング孔Bに対する軸状ユニット60の設置が完了する。
【0105】
ここで、図3を参照して既に説明した通り、水圧測定装置90の外周にある凹部94において、凹部94の深さ以下の張り出し長さのチェック弁96が取り付けられていることにより、軸状ユニット60をボーリング孔Bに挿入する際に、チェック弁96がセントラライザ18A,18Bに干渉することなく挿通される。
【0106】
次に、図9に示すように、押し込み管70と異形コネクタ80との接続を解除して、移動装置17を含む穿孔機10が退避する。退避した穿孔機10は、別途のボーリング孔Bの穿孔等、他の用途に適用される。
【0107】
図示例のケースは、想定される湧水圧が比較的小さく、パッカー26によるボーリング孔Bの孔壁への押圧力のみでも軸状ユニット60のボーリング孔B内における設置状態を維持できるケースである。
【0108】
従って、例えば、想定される湧水圧が比較的大きく、パッカー26によるボーリング孔Bの孔壁への押圧力のみでは軸状ユニット60のボーリング孔B内における設置状態を維持できないケースにおいては、湧水観測が終了するまで切羽Kの前方に穿孔機10を待機させ、ドリフター15とシャンクロッド16にて軸状ユニット60を後方から保持しておくのがよい(以上、装置設置工程)。
【0109】
装置を設置した後、図9に示すように、水圧測定装置90に取り付けられているチェック弁96に対してソケット97を取り付け、ソケット97に対して流路開放バルブ98を取り付け、流路開放バルブ98に対して圧力計49を取り付け、圧力計49にて第1流路の圧力とこれと同値であるパッカー26内の圧力(壁面を押圧する押圧力)を観測する(第1流路観測工程)。尚、この第1流路観測工程は、以下で説明する湧水観測工程の間も継続して実施されてもよいし、時間を置いて間欠的に実施されてもよい。
【0110】
湧水観測工程の間に、仮に計測データ(パッカー26による押圧力)が所定の水圧(軸状ユニット60をボーリング孔Bの孔壁内に保持できる押圧力)よりも低くなっている場合は、水圧測定装置90を介して追加の送水を行うことにより、パッカー26をより膨らませて水圧を所定の水圧まで高め、ボーリング孔Bの孔壁に対する軸状ユニット60の設置姿勢を保持することが可能になる。
【0111】
次に、図10に示すように、流路切替えアダプタ40に観測計48を取り付け、ボーリング孔Bに滲み出してきた湧水Wを取り込み、観測計48に導いて湧水Wの湧水圧や湧水量を観測する。ここで、観測対象には、湧水圧等の物理量の他、湧水の水質や地下水位等も含まれる。
【0112】
観測計48による観測データ(計測データ)は、軸状ユニット60を回収した後にデータ取得されてもよいし、観測計48から無線通信手段を備えている場合は、無線通信によって、穿孔機10の台車11のオペレータキャビンにある携帯端末や、トンネル坑外にある管理施設にあるコンピュータ等に対してリアルタイムに送信される(以上、湧水観測工程)。
【0113】
湧水観測が終了した後、図11に示すように、穿孔機10を近接させて、押し込み管70に対して異形コネクタ80を接続し、パッカー26を膨らませていた水を水圧測定装置90に取り付けられている流路開放バルブ98を介してY17方向に排水することにより、パッカー26をY8方向に萎ませる。
【0114】
次いで、図12に示すように、ガイドシェル14に沿ってドリフター15を切羽Kと反対側へX7方向にスライドさせることにより、ボーリング孔Bからパッカー装置20や二重管ロッド30等をX8方向に引き抜いて回収する(以上、装置回収工程)。
【0115】
図示する湧水観測方法によれば、人力によるボーリング孔へのパッカーの設置や回収を不要にして、安全かつ効率的に切羽前方の湧水の状態を把握することができ、特に、短尺ボーリング孔を用いた湧水圧等の湧水観測施工における施工安全性と施工効率性を飛躍的に高める技術となり得る。
【0116】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0117】
10:穿孔機
11:台車
12,12A,12B:ブーム
13:マンケージ(作業台)
14:ガイドシェル
15:ドリフター
16:シャンクロッド
17:移動装置
18A:前方セントラライザ(セントラライザ)
18B:後方セントラライザ(セントラライザ)
20:パッカー装置
21、21A,21B,21C:本体管
21a:先端
21b:後端
21c:パッカー取り付け開口
21d:取り付け凹凸溝
22:採取管
23:第2流路
24:シール材
25:第1流路
26:パッカー
30:二重管ロッド
30A:二重管ロッド(継ぎ足し管)
31:外管
31a:先端
31b:後端
32:内管
33:第2流路
34:シール材
35:第1流路
40:流路切替えアダプタ
41:本体管
41a:先端
41b:後端
43:第2流路
43a:取り付け口
44:シール材
45:第1流路
46:導入管
48:観測計
49:圧力計
50:第1逆止弁
51:本体管
51a:先端
51b:後端
51c:シール材
52:弁座
52a:開口
52b:中空
53:第1流路
54:バネ
55:ゴム球
60:軸状ユニット
70:押し込み管
80:異形コネクタ
90:水圧測定装置
91:本体管
91a:先端
91b:後端
92:主流路(第1流路)
93:枝流路
93a:開口
94:凹部
95:シール材
96:チェック弁
96a:弁本体
96b:流路
96c:第2逆止弁
96d:シール材
96e:バネ
97:ソケット
98:流路開放バルブ
98a:押し込みピン
100:湧水観測装置
G:地山
B:ボーリング孔(先進ボーリング孔)
K:切羽
W:湧水
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12