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  • 特開-コネクタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139113
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01R13/52 301E
H01R13/52 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049915
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 龍太
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087FF08
5E087FF13
5E087GG15
5E087LL03
5E087LL12
5E087MM05
5E087QQ04
5E087RR12
5E087RR15
(57)【要約】
【課題】電線の屈曲の影響が端子に及ばないようにして端子の接続信頼性を向上させる。
【解決手段】コネクタ10は、前後方向に延びるキャビティ51を有するハウジング50と、キャビティ51に収容され、電線20の前端部に接続される端子金具25と、電線20に嵌め付けられ、端子金具25に連結されるゴム栓30と、を備えている。ゴム栓30は、キャビティ51の内周面に密着するシールリップ31を有する本体部39と、本体部39から後方に延び、ハウジング50の外側に配置される延出部34と、延出部34の径方向外側に張り出し、延出部34の内側に配置された電線20が前後方向と交差する方向に屈曲した状態でハウジング50の後面52に接触する張出部35と、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びるキャビティを有するハウジングと、
前記キャビティに収容され、電線の前端部に接続される端子金具と、
前記電線に嵌め付けられ、前記端子金具に連結されるゴム栓と、
を備え、
前記ゴム栓は、
前記キャビティの内周面に密着するシールリップを有する本体部と、
前記本体部から後方に延び、前記ハウジングの外側に配置される延出部と、
前記延出部の径方向外側に張り出し、前記延出部の内側に配置された前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で前記ハウジングの後面に接触する張出部と、を有している、コネクタ。
【請求項2】
前記張出部は、前記延出部の外周面に前後方向に並んで突設される複数の鍔部を有し、
複数の前記鍔部は、前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で互いに接触する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記本体部は、前記シールリップよりも後方に、前記キャビティの内周面に対して周方向に沿って接触可能な弾力部を有し、
前記延出部は、前記弾力部よりも径方向に薄肉に形成されている、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記延出部の前端部は、前記弾力部の後端部に対して径方向内側に連なり、
前記延出部は、前記弾力部の後面の径方向内側から後方に延びている、請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記張出部の外径は、前記ハウジングにおける前記キャビティの開口径よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電線を挿通した状態でハウジング内に挿入されるゴム栓が開示されている。ゴム栓の前端部は、電線とともに端子金具に圧着されている。電線のうちゴム栓の後方へ導出された部分は、ハウジングの外部に配置されている。同様の形態のゴム栓は、特許文献2から4のものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-201406号公報
【特許文献2】特開平10-247546号公報
【特許文献3】特開2009-48928号公報
【特許文献4】実開昭58-37676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電線は、車両の走行中の振動によって、揺動しがちである。そして、この揺動によって、ゴム栓が揺すられて、電線が連結された端子金具まで揺動してしまい、相手端子金具との接続部分が摩耗してしまう懸念がある。
【0005】
本開示のゴム栓付き端子は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電線の屈曲の影響が端子に及ばないようにして端子の接続信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、
前後方向に延びるキャビティを有するハウジングと、
前記キャビティに収容され、電線の前端部に接続される端子金具と、
前記電線に嵌め付けられ、前記端子金具に連結されるゴム栓と、
を備え、
前記ゴム栓は、
前記キャビティの内周面に密着するシールリップを有する本体部と、
前記本体部から後方に延び、前記ハウジングの外側に配置される延出部と、
前記延出部の径方向外側に張り出し、前記延出部の内側に配置された前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で前記ハウジングの後面に接触する張出部と、を有している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線の屈曲の影響が端子に及ばないようにして端子の接続信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、端子金具に固着したゴム栓をキャビティに収容した状態の側断面図である。
図2図2は、実施形態1のゴム栓の斜視図である。
図3図3は、実施形態1のゴム栓の側断面図である。
図4図4は、端子金具に固着したゴム栓をキャビティに収容した状態の側断面図であって、電線の導出部分が前後方向と交差する方向に屈曲して延出された状態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
【0010】
(1)前後方向に延びるキャビティを有するハウジングと、
前記キャビティに収容され、電線の前端部に接続される端子金具と、
前記電線に嵌め付けられ、前記端子金具に連結されるゴム栓と、
を備え、
前記ゴム栓は、
前記キャビティの内周面に密着するシールリップを有する本体部と、
前記本体部から後方に延び、前記ハウジングの外側に配置される延出部と、
前記延出部の径方向外側に張り出し、前記延出部の内側に配置された前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で前記ハウジングの後面に接触する張出部と、を有している、コネクタ。
【0011】
(1)のコネクタは、仮に、ハウジングの外側に配置された電線が外力を受けて前後方向に対して屈曲した状態になると、張出部がハウジングの後面に接触し、電線がそれ以上屈曲することを抑えることができる。その結果、キャビティに収容された端子金具に電線が受けた外力が伝わり難くなり、端子金具の傾きが抑えられ、端子金具が前後方向に沿った姿勢で相手端子金具と適正に接続することができる。
【0012】
(2)前記張出部は、前記延出部の外周面に前後方向に並んで突設される複数の鍔部を有し、
複数の前記鍔部は、前記電線が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で互いに接触する、(1)に記載のコネクタ。
【0013】
(2)のコネクタは、複数の鍔部が接近して互いにハウジングに接触することによって、張出部が電線の屈曲を抑えることができる厚みと剛性を確保することができる。
【0014】
(3)前記本体部は、前記シールリップよりも後方に、前記キャビティの内周面に対して周方向に沿って接触可能な弾力部を有し、
前記延出部は、前記弾力部よりも径方向に薄肉に形成されている、(1)又は(2)に記載のコネクタ。
【0015】
(3)のコネクタは、弾力部がキャビティの内周面に周方向に沿って接触可能に配置されることによって、弾力部の内側に配置された電線の屈曲が抑えられ、ひいてはキャビティに収容された端子金具の傾きが高い確率で抑えられる。
【0016】
(4)前記延出部の前端部は、前記弾力部の後端部に対して径方向内側に連なり、
前記延出部は、前記弾力部の後面の径方向内側から後方に延びている、(3)に記載のコネクタ。
【0017】
(4)のコネクタは、延出部が電線の屈曲に応じて屈曲したときに、弾力部側が延出部の屈曲の影響を受けにくく変形しにくいため、弾力部がキャビティの内周面に周方向に沿って接触する状態を維持しやすい。
【0018】
(5)前記張出部の外径は、前記ハウジングにおける前記キャビティの開口径よりも大きい、(1)又は(2)に記載のコネクタ。
【0019】
(5)のコネクタは、電線が前後方向に沿って配置された状態で、ハウジングの後面に向けて水が飛散しても、張出部が水を受け止めることができ、キャビティの内周面と本体部の外周面との間に水が浸入しにくくすることができる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
<実施形態1>
本開示のコネクタ10を具体化した実施形態1を、図1から図4を参照して説明する。図中、「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「右側」、及び「左側」は、それぞれ「F」、「B」、「U」、「D」、「R」、及び「L」で表される。図1に示すように、コネクタ10は、ハウジング50と、端子金具25と、ゴム栓30と、を備えている。
【0021】
ハウジング50は、例えば、合成樹脂で形成されている。ハウジング50には、前後方向に延びるキャビティ51が形成されている。
【0022】
端子金具25は、全体として前後方向に細長い形状である。端子金具25の前端部には、前後方向に延びる角筒状をなした箱部23が形成されている。端子金具25の後端部には、電線20の前端部に圧着するためのオープンバレル状の加締部26が形成されている。加締部26は、ワイヤバレル部27と、ワイヤバレル部27の後端に連なるインシュレーションバレル部28とによって構成されている。ワイヤバレル部27は、電線20の前端部において絶縁被覆22を除去して露出させた導体21に接続されている。インシュレーションバレル部28は、電線20に嵌め付けられた状態の後述するゴム栓30の前端部の圧着部32に固着されている。
【0023】
ゴム栓30は、シリコンゴムやNBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)等のゴム製である。ゴム栓30は、導体21を絶縁被覆22で包囲した電線20の前端部を包囲するように電線20に嵌め付けられている。ゴム栓30は、電線20とともに端子金具25に連結され、電線20とともにハウジング50のキャビティ51内に収容される。ゴム栓30は、電線20の外周面とキャビティ51の内周面との間を液密状にシールする防水機能を発揮する。
【0024】
ゴム栓30は、全体として円筒形をなす単一部品である。図2、3に示すように、ゴム栓30は、本体部39と、圧着部32と、延出部34と、張出部35と、を有する。本体部39は、シールリップ31と、弾力部33と、を有している。張出部35は、複数の鍔部35Aを有している。シールリップ31の内周面には、周方向に延びる複数の内周側リップ部36が前後方向に一定間隔で並んで形成されている(図3参照)。シールリップ31の外周面には、周方向に延びる複数の外周側リップ部37が前後方向に一定間隔で並んで形成されている。内周側リップ部36は、電線20の絶縁被覆22の外周面に対し液密状に密着する。外周側リップ部37の外径は、キャビティ51の内径よりも大きい。外周側リップ部37は、キャビティ51の内周面に対し液密状に密着する(図1参照)。
【0025】
弾力部33は、シールリップ31よりも後方に配置されている。具体的には、弾力部33は、シールリップ31の後端から後向きに同軸状に延出した形態をなしている。弾力部33の前後方向の長さは、シールリップ31の前後方向の長さよりも小さい(図3参照)。弾力部33の内径及び外径は、いずれも、弾力部33の前後方向の全長にわたって一定である。弾力部33の内径は、シールリップ31の最小内径(内周側リップ部36の最小内径)よりも大きい(図3参照)。弾力部33の内径は、電線20の外径以下、すなわち、電線20の外径と同じか、電線20の外径よりも僅かに小さい。弾力部33の外径は、シールリップ31の最大外径(外周側リップ部37の最大外径)よりも小さい(図3参照)。弾力部33の外径は、キャビティ51の内径以上、すなわち、キャビティ51の内径と同じか、キャビティ51の内径よりも僅かに大きい。
【0026】
圧着部32は、シールリップ31の前端から前方へ同軸状に延出した形態である。ゴム栓30に電線20が貫通していない状態において、圧着部32の内径と外径は、いずれも、圧着部32の前後方向の全長にわたって一定である。圧着部32の内径は、シールリップ31の最小内径(内周側リップ部36の最小内径)よりも大きい(図3参照)。圧着部32の外径は、シールリップ31の最大外径(外周側リップ部37の最大外径)よりも小さい(図3参照)。
【0027】
圧着部32の前端部には、圧着部32の上側半分の外周面から半円形をなし、ゴム栓30における径方向(以下、単に径方向ともいう)外向きに拡がる片側突部38が設けられている。片側突部38の外径は、外周側リップ部37の外径よりも小さい(図3参照)。片側突部38の外径は、キャビティ51の内径よりも僅かに大きい。圧着部32がインシュレーションバレル部28に固着された状態において、片側突部38は、インシュレーションバレル部28の前方に配置されている(図1参照)。片側突部38は、ゴム栓30がインシュレーションバレル部28から圧着部32が抜けることを防止する機能を有している。片側突部38は、キャビティ51の内周面に弾性的に面接触することによって、ゴム栓30がつぶれることを防止する機能を有している。
【0028】
延出部34は、弾力部33の後端から後方へ同軸状に延出した形態である。延出部34の前端部は、弾力部33の後端部に対して径方向内側に縮径するように連なっている。延出部34の前端部と、弾力部33の後端部とは、段差状に連なっている。ゴム栓30に電線20が挿通していない状態における延出部34の内径は、延出部34の前後方向の全長にわたって一定の寸法であり、弾力部33の内径と同じ寸法である(図3参照)。したがって、弾力部33の内周面と延出部34の内周面との間は、段差が無く面一である。延出部34の外径は、弾力部33の外径よりも小さい。径方向における延出部34の肉厚は、弾力部33の肉厚よりも小さく薄肉である(図3参照)。したがって、ゴム栓30の軸線を湾曲させるような外力が作用した場合における延出部34の剛性は、弾力部33の剛性よりも小さい。このため、延出部34は、ゴム栓30の軸線を湾曲させるような外力が作用すると、弾力部33よりも変形しやすい。言い換えると、延出部34は、ゴム栓30の軸線を湾曲させるような外力によって弾性変形し、この外力が弾力部33へ伝達しないように作用する。
【0029】
張出部35の複数の鍔部35Aは、延出部34の外周面に前後方向に並んで径方向外側に鍔状に張り出して突設されている。各鍔部35Aは、延出部34に対して同軸状である。各鍔部35Aは、前後方向に所定の距離離間している。最も前に位置する鍔部35Aは、弾力部33の後端と離間して弾力部33後端よりも後方に配置されている。最も後に位置する鍔部35Aは、延出部34の後端よりも前方に位置している。各鍔部35Aの外径は、シールリップ31の最大外径よりも大きい。隣合う鍔部35A同士の前後方向の距離は、鍔部35Aの前後方向の厚み寸法よりも大きい。
【0030】
図1に示すように、端子金具25と電線20に連結されたゴム栓30が、キャビティ51に挿入された状態では、圧着部32の全体と、シールリップ31の全体と、弾力部33の全体がキャビティ51内に収容される。延出部34は、ハウジング50の後方(すなわち、外側)に配置される。例えば、キャビティ51の前端部の内面には、内向きに突出する突起(図示せず)が設けられている。この突起が端子金具25の前端部(箱部23)の外面に接触することによって端子金具25の前端部における上下方向及び左右方向へのずれ(すなわち、ガタツキ)が規制される。
【0031】
シールリップ31は、径方向の厚みが薄くなるように潰れて弾性変形し、内周側リップ部36が電線20の外周面に対して弾性的に密着し、外周側リップ部37がキャビティ51の内周面に対して弾性的に密着する。この密着した接触形態により、電線20の外周とキャビティ51の内周との隙間が液密状にシールされる。
【0032】
端子金具25と電線20に連結されたゴム栓30が、キャビティ51に挿入された状態において、圧着部32の先端部に設けられた片側突部38の外周面は、キャビティ51の内周面に弾性的に面接触する。弾力部33の外周面は、キャビティ51の内周面に対して周方向に沿って弾性的に面接触する。片側突部38及び弾力部33がキャビティ51の内周面に弾性的に面接触することによって、端子金具25の後端部が上下方向及び左右方向にずれることが規制される。
【0033】
延出部34及び複数の鍔部35A(張出部35)の全体は、キャビティ51の外部、すなわち、ハウジング50の外部後方へ突出している。複数の鍔部35A(張出部35)の外径は、ハウジング50の後面52におけるキャビティ51の開口径よりも大きい。電線20のうちゴム栓30よりも後方の領域も、ハウジング50の外部後方へ導出されている。
【0034】
図4に示すように、電線20のうちハウジング50の外部に延びる導出部分29が前後方向と交差する方向に湾曲するように屈曲して配索されると、延出部34は、導出部分29の屈曲に沿って弾性変形する。図4では、導出部分29は、前後方向と交差する上方向に湾曲した状態である。これとともに、延出部34が弾性変形した側の各鍔部35Aの外周縁の先端部同士は、互いに寄り集まるように接近して接触しつつ、ハウジング50の後面52に接触する。言い換えると、張出部35(複数の鍔部35A)は、延出部34の内側に配置された電線20が前後方向と交差する方向に屈曲して延出した状態でハウジング50の後面52に接触する。なお、各鍔部35Aの外周縁の先端部同士が互いに寄り集まるように接近して接触しつつ、最も前に位置する鍔部35Aのみがハウジング50の後面52に接触することも起こり得る。
【0035】
こうして各鍔部35Aの外周縁がハウジング50の後面52に接触することによって、各鍔部35Aの外周縁と、ハウジング50の後面52と、の間に摩擦力(例えば、静止摩擦力)が生じ、キャビティ51内のゴム栓30が導出部分29の湾曲する向きに弾性変形することを防止する機能を発揮する。これにより、ゴム栓30の防水機能が保持される。これとともに、ゴム栓30の本体部39の弾性変形が抑制されるので、ゴム栓30内の電線20、及び電線20が連結された端子金具25の後端部が上下方向及び左右方向にずれることも規制され、これによって、キャビティ51に対する端子金具25の傾きが抑えられる。
【0036】
また、各鍔部35Aの外周縁部同士が接触することによって、延出部34の前端が連なる弾力部33の後端において、電線20が折れ曲がるように屈曲することを防止し、所定の曲率半径で湾曲するように屈曲させることができる。これにより、延出部34の前端が連なる弾力部33の後端において、絶縁被覆22が破れたり、電線20が破断したりすることが防止される。
【0037】
次に、実施形態1の作用を説明する。
コネクタ10は、前後方向に延びるキャビティ51を有するハウジング50と、キャビティ51に収容され、電線20の前端部に接続される端子金具25と、電線20に嵌め付けられ、端子金具25に連結されるゴム栓30と、を備えている。ゴム栓30は、本体部39と、延出部34と、張出部35と、を有している。本体部39は、キャビティ51の内周面に密着するシールリップ31を有する。延出部34は、本体部39から後方に延び、ハウジング50の外側に配置される。張出部35は、延出部34の径方向外側に張り出し、延出部34の内側に配置された電線20が前後方向と交差する方向に屈曲した状態でハウジング50の後面52に接触する。
【0038】
この構成によれば、仮に、ハウジング50の外側に配置された電線20が外力を受けて前後方向に対して屈曲した状態になると、張出部35がハウジング50の後面52に接触し、電線20がそれ以上屈曲することを抑えることができる。その結果、キャビティ51に収容された端子金具25の傾きも抑えられ、端子金具25が前後方向に沿った姿勢で相手端子金具と適正に接続することができる。
【0039】
張出部35は、延出部34の外周面に前後方向に並んで突設される複数の鍔部35Aを有し、複数の鍔部35Aの外周の先端同士は、電線20が前後方向と交差する方向に屈曲した状態で互いに接近して接触する。この構成によれば、複数の鍔部35Aの外周の先端同士が接近して接触することによって、張出部35が電線20の屈曲を抑えることができる厚みと剛性を確保することができる。
【0040】
本体部39は、シールリップ31よりも後方に、キャビティ51の内周面に対して周方向に沿って接触可能な弾力部33を有し、延出部34は、弾力部33よりも径方向に薄肉に形成されている。この構成によれば、弾力部33がキャビティ51の内周面に周方向に沿って接触可能に配置されることによって、弾力部33の内側に配置された電線20の屈曲が抑えられ、ひいてはキャビティ51に収容された端子金具25の傾きが高い確率で抑えられる。
【0041】
延出部34の前端部は、弾力部33の後端部に対して径方向内側に連なり、延出部34は、弾力部33の後面の径方向内側から後方に延びている。この構成によれば、延出部34が電線20の屈曲に応じて屈曲したときに、弾力部33側が延出部34の屈曲の影響を受けにくく変形しにくいため、弾力部33がキャビティ51の内周面に周方向に沿って接触する状態を維持しやすい。
【0042】
張出部35の外径は、ハウジング50におけるキャビティ51の開口径よりも大きい。この構成によれば、電線20が前後方向に沿って配置された状態で、ハウジング50の後面52に向けて水が飛散した場合、張出部35が水を受け止めることができ、キャビティ51の内周面と本体部39の外周面との間に水が浸入しにくくすることができる。
【0043】
<他の実施形態>
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0044】
実施形態1とは異なり、各鍔部の外径を異ならせてもよい。また、各鍔部の軸線方向の厚みを異ならせてもよい。
【0045】
各鍔部の数は、実施形態1の数に限らない。
【符号の説明】
【0046】
10…コネクタ
20…電線
21…導体
22…絶縁被覆
23…箱部
25…端子金具
26…加締部
27…ワイヤバレル部
28…インシュレーションバレル部
29…導出部分
30…ゴム栓
31…シールリップ
32…圧着部
33…弾力部
34…延出部
35…張出部
35A…鍔部
36…内周側リップ部
37…外周側リップ部
38…片側突部
39…本体部
50…ハウジング
51…キャビティ
52…ハウジングの後面
図1
図2
図3
図4