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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139116
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20241002BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241002BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241002BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241002BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20241002BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241002BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
B60K11/06
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049918
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC04
3D235AA02
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD24
3D235FF06
3D235FF37
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】バッテリモジュールへ供給される冷却空気が流れる流路のシール性を十分に確保することのできるバッテリパックを提供する。
【解決手段】車両1に搭載されるバッテリパック10は、ケース11と、バッテリセルが複数積層されたバッテリモジュール20と、バッテリモジュール20に冷却空気を送風するファン30と、を備える。バッテリパック10の内側には、ファン30により外部から吸気された冷却空気がバッテリモジュール20まで流れる送風流路50が設けられている。送風流路50は、ケース11の底面111とケース11に収容されたバッテリモジュール20とにより区画形成される。ケース11の底面111には、バッテリモジュール20と当接するシール部材55aが設けられており、シール部材55aは、バッテリモジュール20の底面と側面とを繋ぐ角部21に当接して設けられている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースに収容され、バッテリセルが複数積層されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールに冷却空気を送風するファンと、を備え、車両に搭載されるバッテリパックであって、
前記バッテリパックの内側には、前記ファンにより外部から吸気された前記冷却空気が前記バッテリモジュールまで流れる流路が設けられ、
前記流路は、前記ケースの底面と前記ケースに収容された流路形成部材とにより区画形成され、
前記ケースの前記底面には、前記流路形成部材と当接するシール部材が設けられており、
前記シール部材は、前記流路形成部材の底面と側面とを繋ぐ角部に当接して設けられている、
バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記シール部材は、前記ケースの前記底面に対して傾斜して設けられる、
バッテリパック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記流路形成部材は、前記バッテリモジュールであり、
前記流路は、前記バッテリモジュールの側面に沿って設けられ、隣り合うバッテリセル間の隙間に連通し、
前記シール部材は、前記バッテリモジュールの底面と側面とを繋ぐ角部に当接して設けられている、
バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
車両の駆動源の電動化に伴って、車両にはモータ等に電力を供給するバッテリを収容したバッテリパックが搭載される。バッテリパックはバッテリを冷却する冷却構造を備え、例えば冷却空気をファンからバッテリに送風してバッテリを冷却する空冷式の冷却構造が広く採用されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ファンにより車室の空気を冷却気体として吸気し、ファンから吹き出された冷却気体をバッテリモジュールへ送風してバッテリモジュールを冷却する冷却装置が記載されている。特許文献1では、ファンから吹き出された冷却気体は、バッテリモジュールの下面とベースプレートの底壁部との間に形成された流路を経由して、下方から上方に向かってバッテリモジュールの内部を流れる。ベースプレートの底壁部には当該流路を気密にするためのシール部材が設けられており、バッテリモジュールはシール部材に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-16597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、車体の上下振動に伴ってバッテリモジュールとベースプレートとが上下方向に相対的に振動してベースプレートに設けられたシール部材が永久変形した場合、シール部材とバッテリモジュールとの間に隙間が生じる。このような隙間が生じると、ファンから送風された冷却気体が流路外へ漏れ、バッテリモジュールの冷却性能が低下する虞があった。
【0007】
本発明は、バッテリモジュールへ供給される冷却空気が流れる流路のシール性を十分に確保することのできるバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
ケースと、
前記ケースに収容され、バッテリセルが複数積層されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールに冷却空気を送風するファンと、を備え、車両に搭載されるバッテリパックであって、
前記バッテリパックの内側には、前記ファンにより外部から吸気された前記冷却空気が前記バッテリモジュールまで流れる流路が設けられ、
前記流路は、前記ケースの底面と前記ケースに収容された流路形成部材とにより区画形成され、
前記ケースの前記底面には、前記流路形成部材と当接するシール部材が設けられており、
前記シール部材は、前記流路形成部材の底面と側面とを繋ぐ角部に当接して設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリモジュールへ供給される冷却空気が流れる流路のシール性を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両1の後部座席2の下方に配置された、本発明の一実施形態のバッテリパック10を示す図である。
図2】サイドフレーム5に固定されたバッテリパック10の上面図である。
図3】バッテリパック10の分解斜視図である。
図4】ケース11の斜視図である。
図5】ファンブラケット67の下方に形成される吸気流路60の斜視図である。
図6】バッテリモジュール20及びバッテリブラケット51、52の分解斜視図である。
図7図4のA-A線の断面図である。
図8】ジャンクションボックスブラケット53を下方から見た斜視図である。
図9】送風流路50の斜視図である。
図10図9のB-B線の断面図である。
図11】永久変形前のシール部材55a(破線)と、永久変形後のシール部材55a(実線)とを示す図である。
図12】永久変形前においてバッテリモジュール20の下面のみに当接するようにシール部材55aを配置した比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のバッテリパックの一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0012】
図1に示すように、本発明の一実施形態であるバッテリパック10は、例えば車両1の後部座席2及び荷室4の下方に配置される。具体的には、後部座席2及び荷室4の下方には、凹部6(図11図12参照)が設けられており、バッテリパック10は、左右方向の両端部に設けられた後述する車体固定部91、92が車体の一対のサイドフレーム5に固定された状態で、凹部6内に配置される。車両1は、例えばハイブリッド車、バッテリ式電気自動車、燃料電池車等の電動車両である。
【0013】
図2に示すように、バッテリパック10には吸気ダクト16及び排気ダクト18が接続されている。車室内の冷却空気は、吸気ダクト16からバッテリパック10内に導入されて後述するバッテリモジュール20を冷却した後、排気ダクト18から車室へ排出される。吸気ダクト16は、一端がバッテリパック10の前面右側に設けられた吸気ダクト接続部15に接続される。また、吸気ダクト16の他端には、右方に開口した吸気入口16aが設けられる。排気ダクト18は、一端がバッテリパック10の前面左側に設けられた排気ダクト接続部17に接続され、後部座席2の下方に配置される。
【0014】
図3に示すように、バッテリパック10は、2つのバッテリモジュール20と、ファン30と、バッテリECU(Electronic Control Unit)41と、ジャンクションボックス43と、送風流路50と、吸気流路60と、これらを収容するケース11及びカバー12と、を備える。
【0015】
(ケース、カバー)
ケース11及びカバー12は、バッテリパック10の外観を構成し、バッテリモジュール20等を収容する。ケース11は、底面111と、側壁113と、側壁113の上端に設けられたフランジ部115と、を有し、トレイ形状を有する。側壁113は、前側壁113Fr、後側壁113Rr、左側壁113L、及び右側壁113Rを含む。カバー12は、外縁部が不図示のシール部材を介してケース11のフランジ部115に対向して配置され、各種部品が搭載されたケース11を上方から覆う。
【0016】
(バッテリモジュール)
2つのバッテリモジュール20は、ケース11の左側に配置される。各バッテリモジュール20は、バッテリセル(不図示)が左右方向に複数積層されて構成される。2つのバッテリモジュール20は、不図示の電気接続部材を介して互いに電気的に接続される。バッテリモジュール20に蓄えた電力は、車両1の駆動源となるモータ等に供給される。バッテリモジュール20は、本発明の流路形成部材の一例である。
【0017】
図6に示すように、バッテリモジュール20の左右両端部には左右一対のバッテリブラケット51、52が設けられる。左側バッテリブラケット51は、車体のサイドフレーム5に固定される車体固定部91を有する。また、右側バッテリブラケット52は、後述するファンブラケット67に固定される。ファンブラケット67は、車体のサイドフレーム5に固定される車体固定部92を有する。車体固定部91、92は、ボルト挿通穴を有し、バッテリパック10をサイドフレーム5に対して固定する固定点である(図2参照)。このようにして、2つのバッテリモジュール20は、左側バッテリブラケット51、右側バッテリブラケット52、及びファンブラケット67により、一体的に車体のサイドフレーム5に支持される。また、左側バッテリブラケット51、右側バッテリブラケット52、及びファンブラケット67はケース11に固定され、ケース11はサイドフレーム5に支持されたバッテリモジュール20を下方から収容する。左右一対のバッテリブラケット51、52の詳細については後述する。
【0018】
(ファン)
図3及び図5に示すように、ファン30は、バッテリモジュール20よりも上流側に配置されており、バッテリパック10の外部から冷却空気を吸気し、バッテリモジュール20に冷却空気を送風する。ファン30は、例えばシロッコファンである。ファン30は、下方に開口した吸込口31と、遠心方向に設けられた吹出口32と、を有する。吸込口31は吸気流路60に接続され、吹出口32は送風ダクト33を介して送風流路50に接続される。
【0019】
ファン30の下方には、ファンブラケット67が設けられており、ファン30はファンブラケット67に固定される。ファンブラケット67はケース11に固定される。ファンブラケット67は、ファン30の吸込口31に連通する開口67aを有し、吸込口31が下方を向いた状態でファン30を下方から支持する。ファン30とファンブラケット67との間には、シール部材(不図示)が設けられており、吸込口31と開口67aとが気密に連通する。シール部材は、気体が不透過な材料で形成されており、例えばゴム発泡体である。ファンブラケット67は、ケース11と共に吸気流路60を区画形成する。吸気流路60の詳細については後述する。
【0020】
(バッテリECU)
バッテリECU41は、バッテリモジュール20の充電及び放電を制御する制御装置であり、プロセッサ、メモリ、インターフェース等を備える。バッテリECU41は、ファン30及びファンブラケット67の上方に設けられたECUブラケット42に載置される。
【0021】
(ジャンクションボックス)
ジャンクションボックス43は、バッテリモジュール20と外部機器(不図示)とを電気的に接続し、バッテリモジュール20の充電電力及び放電電力が流れる配線部品を含む。ジャンクションボックス43は、バッテリモジュール20の上面に取り付けられたジャンクションボックスブラケット53に載置される。ジャンクションボックスブラケット53は、送風流路50の上方に配置されて送風流路50の上面を構成する。
【0022】
(吸気流路)
図5に示すように、吸気流路60は、バッテリパック10の内側に設けられ、吸気ダクト接続部15とファン30の吸込口とを接続し、ファン30により車室から吸気された冷却空気が流れる流路である。
【0023】
ケース11は、吸気流路60を区画形成する吸気流路形成部64を有する。吸気流路形成部64は、ケース11の底面111及び前側壁113Frから立設された立壁部65を有する。立壁部65は、上面視で略U字形状を有し、吸気ダクト接続部15に連続して設けられている。吸気流路形成部64の立壁部65にはシール部材68(例えばゴム発泡体)が設けられており、ファンブラケット67はシール部材68に当接して取り付けられる。このようにして、吸気流路60は、ケース11、ファンブラケット67、及びシール部材68により区画形成される。なお、吸気流路60は、吸気ダクト接続部15とファン30の吸込口31とを接続する吸気ダクトを設けることにより構成されてもよい。
【0024】
(送風流路)
2つのバッテリモジュール20は、前後方向に離間して配置され、これらの間には送風流路50が形成される。送風流路50は、ファン30から送風された冷却空気が流れる流路である。送風流路50は、2つのバッテリモジュール20の側面に沿って設けられ、隣り合うバッテリセルの間に形成されたセル間流路(不図示)に連通し、送風流路50を流れる冷却空気がセル間流路に供給される。セル間流路に冷却空気が流れることにより、バッテリモジュール20は冷却される。
【0025】
図9及び図10に示すように、送風流路50は、シール部材55(55a、55b、55c、55d)を介して、左右一対のバッテリブラケット51、52、ケース11、及びジャンクションボックスブラケット53により区画形成される。詳細は後述するが、シール部材55は、ケース11に設けられたシール部材55aと、左右一対のバッテリブラケット51、52にそれぞれ設けられたシール部材55b、55cと、ジャンクションボックスブラケット53に設けられたシール部材55dと、を有する。シール部材55(55a、55b、55c、55d)は、気体が不透過な材料で形成されており、例えばゴム発泡体である。
【0026】
図4及び図7に示すように、ケース11の底面111には、上面視で四角リング形状を有するシール部材55aが設けられている。シール部材55aの前部551には、前側に配置されたバッテリモジュール20が載置され、シール部材55aの後部552には、後側に配置されたバッテリモジュール20が載置される。これにより、冷却空気が送風流路50からバッテリモジュール20の下方の空間に漏れることを抑制できる。
【0027】
図7を参照してシール部材55aの詳細を説明すると、シール部材55aは、断面が略正方形状を有し、底面111に設けられたシール台座56に載置されている。シール台座56は、バッテリモジュール20の底面と側面とを繋ぐ角部21に対向する傾斜面を有する。シール部材55aは、シール台座56の傾斜面に載置されることで、底面111に対して傾斜して設けられる。
【0028】
図10に示すように、シール部材55aは、バッテリモジュール20の角部21に当接し、バッテリモジュール20の角部21、側面及び底面に沿って弾性変形する。シール部材55aは、バッテリモジュール20とケース11のシール台座56との間を気密に接続し、冷却空気が送風流路50からバッテリモジュール20の下方の空間に漏れることを抑制できる。
【0029】
図6及び図9に示すように、左側バッテリブラケット51には、送風流路50に対向する面511に、シール部材55bが設けられている。シール部材55bは、2つのバッテリモジュール20、ケース11に設けられたシール部材55a、及びジャンクションボックスブラケット53に設けられたシール部材55dに当接する。シール部材55bは、送風流路50の左側端部をシールし、冷却空気が左側バッテリブラケット51とバッテリモジュール20との隙間から送風流路50外へ漏れることを抑制する。
【0030】
右側バッテリブラケット52は、後ブラケット521と、前ブラケット523と、を有する。後ブラケット521は、後側のバッテリモジュール20に取り付けられ、前ブラケット523は、前側のバッテリモジュール20に取り付けられる。後ブラケット521には、送風流路50の流入口である開口522と、開口522の周囲に配置されたシール部材55cとが設けられている。開口522は、上流側において送風ダクト33に連通する。シール部材55cは、2つのバッテリモジュール20、ケース11に設けられたシール部材55a、及びジャンクションボックスブラケット53に設けられたシール部材55dに当接する。シール部材55cは、送風流路50の右側端部をシールし、冷却空気が右側バッテリブラケット52とバッテリモジュール20との隙間から送風流路50外へ漏れることを抑制する。なお、本実施形態では、右側バッテリブラケット52は後ブラケット521及び前ブラケット523の二つの部材で構成されたが、これに限られず、一つの部材で構成されてもよい。すなわち、一つの部材で構成された右側バッテリブラケット52が2つのバッテリモジュール20に取り付けられ、且つ、開口522を有する構成であってもよい。
【0031】
図8に示すように、ジャンクションボックスブラケット53は、前後方向の中央に設けられ、下方に凹んだ凹部530を有する。凹部530は、左右方向に延在する。凹部530は、最も下方に位置する底面531と、底面531から上方へ傾斜して設けられる傾斜面532と、を有する。ジャンクションボックスブラケット53の凹部530の下面には、シール部材55dが設けられている。シール部材55dは、下方視で四角リング形状を有し、凹部530の底面531及び傾斜面532に設けられている。
【0032】
ジャンクションボックスブラケット53は、凹部530が2つのバッテリモジュール20の間に上方から嵌め込まれるようにして設けられる。また、ジャンクションボックスブラケット53は、シール部材55dが各バッテリモジュール20の上面と側面とを繋ぐ角部に当接するように配置される。シール部材55dは、送風流路50の上部をシールし、冷却空気がジャンクションボックスブラケット53とバッテリモジュール20との隙間から送風流路50外へ漏れることを抑制する。
【0033】
図9及び図10に示すように、バッテリモジュール20を収容するケース11、バッテリモジュール20を支持するバッテリブラケット51、52、及びジャンクションボックス43が搭載されるジャンクションボックスブラケット53を活用して、送風流路50が区画形成される。図10の太い実線矢印で示すように、開口522から送風流路50に流入した冷却空気は、送風流路50からバッテリモジュール20のセル間流路へと供給され、バッテリモジュール20が冷却される。
【0034】
このような構成によると、送風流路50を形成するための送風ダクトを、2つのバッテリモジュール20の間に設ける必要がないので、送風流路50を形成するための部品点数を削減できる。よって、バッテリパック10の製造コストの削減を図ることができる。また、送風ダクトを設けないので、送風流路50の流路断面積が大きくなり、圧力損失を低減することができる。よって、バッテリモジュール20の冷却性能を向上させることができる。
【0035】
特に、本実施形態では、シール部材55を除いて、送風流路50を区画形成するためだけに用いられる部材を設けていない。具体的には、左側バッテリブラケット51は、送風流路50を区画形成する機能に加えて、前述のとおり、車体固定部91によりバッテリモジュール20を車体のサイドフレーム5に対して支持する機能を有する。同様に、右側バッテリブラケット52は、ファンブラケット67を介してバッテリモジュール20を車体のサイドフレーム5に対して支持する機能を有する。また、ジャンクションボックスブラケット53は、ジャンクションボックス43を支持する機能を有する。このように、送風流路50を区画形成する部品は複数の機能を有するので、効果的に部品点数の削減や省スペース化を図ることができる。
【0036】
ところで、車両1が例えば悪路(舗装されていない道路等)を走行中、車体の上下振動に伴って、バッテリパック10も車体に対して上下方向に振動する。このとき、バッテリモジュール20とケース11とが上下方向に相対的に振動し、バッテリモジュール20とシール部材55aとが繰り返し衝突する。この繰り返しの衝突により、図11に示すように、シール部材55aは、破線で示す永久変形前(例えばバッテリパック10の製造直後)の状態から、実線で示す下方へ押し潰された状態へと永久変形する。
【0037】
本実施形態では、シール部材55aはバッテリモジュール20の角部21に当接して設けられているので、永久変形後であってもシール部材55aはバッテリモジュール20の側面との当接状態を維持する。よって、バッテリモジュール20とシール部材55aとの間に隙間が生じにくく、冷却空気が送風流路50からバッテリモジュール20の下方の空間に漏れることを抑制でき、すなわち、送風流路50のシール性を十分に確保することができる。
【0038】
図12は、本実施形態との比較例を示す。比較例では、本実施形態とは異なり、永久変形前の状態のシール部材55aは、バッテリモジュール20の角部21には当接せず、バッテリモジュール20の下面のみに当接する。図12では、シール部材55aが載置されるシール台座57の上面は傾斜せず、シール部材55aは底面111に対して水平に設けられている。
【0039】
比較例の構成によると、車体の上下振動に伴うバッテリモジュール20とシール部材55aとの繰り返しの衝突によってシール部材55aが下方に押し潰されて永久変形したとき(実線)、バッテリモジュール20とシール部材55aとの間に隙間Gが生じる。隙間Gが生じると、図12の点線矢印で示すように、冷却空気が隙間Gから送風流路50外に漏れて、バッテリモジュール20の冷却性能が低下する。一方で、本実施形態では前述のとおり、シール部材55aは、永久変形後であっても送風流路50のシール性を十分に確保できるので、バッテリモジュール20の冷却性能は比較例の構成よりも高い。
【0040】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0041】
例えば、前述した実施形態では、ケース11に設けられたシール部材55aをバッテリモジュール20の角部21に当接させたが、これに限られない。ケース11に設けられたシール部材を流路を区画形成する部品(すなわち流路形成部材)の角部に当接させる構成は、バッテリモジュール20以外の部品に対しても適用することができる。例えば、ケース11の立壁部65に設けられたシール部材68をファンブラケット67の角部(具体的には外縁)に当接させてもよい。より具体的には、立壁部65の上面にファンブラケット67の外縁に対向する傾斜面を形成し、シール部材68をケース11の底面111に対して傾斜して設けることで、シール部材68をファンブラケット67の外縁に当接させてもよい。このような構成によると、シール部材68が永久変形しても吸気流路60のシール性を十分に確保することができる。この場合において、ファンブラケット67は、本発明の流路形成部材に相当する。
【0042】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0043】
(1) ケース(ケース11)と、
前記ケースに収容され、バッテリセルが複数積層されたバッテリモジュール(バッテリモジュール20)と、
前記バッテリモジュールに冷却空気を送風するファン(ファン30)と、を備え、車両(車両1)に搭載されるバッテリパック(バッテリパック10)であって、
前記バッテリパックの内側には、前記ファンにより外部から吸気された前記冷却空気が前記バッテリモジュールまで流れる流路(送風流路50)が設けられ、
前記流路は、前記ケースの底面(底面111)と前記ケースに収容された流路形成部材(バッテリモジュール20)とにより区画形成され、
前記ケースの前記底面には、前記流路形成部材と当接するシール部材(シール部材55a)が設けられており、
前記シール部材は、前記流路形成部材の底面と側面とを繋ぐ角部(角部21)に当接して設けられている、
バッテリパック。
【0044】
(1)によれば、車両の上下振動に伴って流路形成部材とケースとが上下方向に相対的に振動し、ケースに設けられたシール部材が流路形成部材と衝突して永久変形した場合であっても、流路のシール性を十分に確保することができる。
【0045】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記シール部材は、前記ケースの前記底面に対して傾斜して設けられる、
バッテリパック。
【0046】
(2)によれば、シール部材はケースの底面に対して傾斜して設けられるので、シール部材を流路形成部材の角部に対向させて当接させることができる。
【0047】
(3) (1)又は(2)に記載のバッテリパックであって、
前記流路形成部材は、前記バッテリモジュールであり、
前記流路は、前記バッテリモジュールの側面に沿って設けられ、隣り合うバッテリセル間の隙間に連通し、
前記シール部材は、前記バッテリモジュールの底面と側面とを繋ぐ角部(角部21)に当接して設けられている、
バッテリパック。
【0048】
(3)によれば、バッテリモジュールとケースとにより区画形成された流路のシール性を十分に確保することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 車両
10 バッテリパック
11 ケース
111 底面
20 バッテリモジュール(流路形成部材)
21 角部
30 ファン
50 送風流路(流路)
55a シール部材
図1
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図3
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図12