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特開2024-139120流体測定システム及び流体測定システムにおける荷重センサの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139120
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】流体測定システム及び流体測定システムにおける荷重センサの設置方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/712 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
G01F1/712
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049925
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】神保 直道
(72)【発明者】
【氏名】武田 直希
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035HA03
2F035HB07
(57)【要約】
【課題】測定流体の流速を高精度に測定可能な流体測定システムを提供する。
【解決手段】配管に離隔して設置される第1荷重センサ及び第2荷重センサと、前記第1荷重センサと前記第2荷重センサからの出力に基づいて、前記配管を流れる流体の流速を算出する演算部と、を備え、前記配管にかかる荷重に対して、前記第1荷重センサにおける応答が最大となる第1位置と前記第2荷重センサにおける応答が最大となる第2位置とが予め定められた距離より離れている流体測定システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に離隔して設置される第1荷重センサ及び第2荷重センサと、
前記第1荷重センサと前記第2荷重センサからの出力に基づいて、前記配管を流れる流体の流速を算出する演算部と、
を備え、
前記配管にかかる荷重に対して、前記第1荷重センサにおける応答が最大となる第1位置と前記第2荷重センサにおける応答が最大となる第2位置とが予め定められた距離より離れている、
流体測定システム。
【請求項2】
前記第1位置と前記第2位置との距離は、前記第1荷重センサと前記第2荷重センサとの間の距離より長い、
請求項1に記載の流体測定システム。
【請求項3】
前記配管は、第1配管サポートと第2配管サポートとにより支持され、
前記第1荷重センサ及び前記第2荷重センサのそれぞれは、前記第1配管サポートと前記第2配管サポートの間に、前記第1配管サポートから順に前記第1荷重センサ及び前記第2荷重センサが設置され、
前記第1荷重センサから前記第2荷重センサまでのセンサ間距離は、前記第1配管サポートから前記第1荷重センサまでの第1距離及び前記第2荷重センサから前記第2配管サポートまでの第2距離のそれぞれよりも短い、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の流体測定システム。
【請求項4】
配管に離隔して設置される第1荷重センサ及び第2荷重センサと、
前記第1荷重センサと前記第2荷重センサからの出力に基づいて、前記配管を流れる流体の流速を算出する演算部と、
を備える流体測定システムにおける荷重センサの設置方法であって、
前記第1荷重センサと前記第2荷重センサとの間において前記配管に荷重がかけられた場合に、前記第1荷重センサの出力及び前記第2荷重センサの出力のそれぞれが極大となる位置が離れていない場合、前記第1荷重センサ及び前記第2荷重センサの位置を変更する工程と、
を含む、
流体測定システムにおける荷重センサの設置方法。
【請求項5】
前記配管におもりにより荷重をかけて、前記第1荷重センサ及び前記第2荷重センサのそれぞれの出力を計測する工程を含む、
請求項4に記載の流体測定システムにおける荷重センサの設置方法。
【請求項6】
前記第1荷重センサの出力及び前記第2荷重センサの出力のそれぞれが極大となる位置を、シミュレーションにより求める工程を含む、
請求項4に記載の流体測定システムにおける荷重センサの設置方法。
【請求項7】
前記第1荷重センサの出力及び前記第2荷重センサの出力のそれぞれが極大となる位置が離れていない場合、前記第1荷重センサと前記第2荷重センサとを近づける、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の流体測定システムにおける荷重センサの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流体測定システム及び流体測定システムにおける荷重センサの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パイプ内の二相混合物の相組成比を計算する方法が開示されている。特許文献1には、パイプの上下流に配置したロードセルを用いて、2か所でのロードセルの測定パターンを比較することによって、二相混合物の流速を計算することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0322063号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロードセル(荷重センサ)を用いた相関流量計では、ロードセル(荷重センサ)を配管に設置する際の設置条件によって、流速測定の測定精度が変化する場合がある。
【0005】
本開示は、測定流体の流速を高精度に測定可能な流体測定システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、配管に離隔して設置される第1荷重センサ及び第2荷重センサと、前記第1荷重センサと前記第2荷重センサからの出力に基づいて、前記配管を流れる流体の流速を算出する演算部と、を備え、前記配管にかかる荷重に対して、前記第1荷重センサにおける応答が最大となる第1位置と前記第2荷重センサにおける応答が最大となる第2位置とが予め定められた距離より離れている流体測定システムを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の流体測定システムによれば、測定流体の流速を高精度に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る流体測定システムの使用時における全体構成を示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る流体測定システムによる測定結果を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る流体測定システムの特性を解析するモデルについて説明する図である。
図4図4は、本実施形態に係る流体測定システムの特性について説明する図である。
図5図5は、本実施形態に係る流体測定システムの特性測定時における全体構成を示す図である。
図6図6は、本実施形態に係る流体測定システムにおける荷重センサを設置する設置方法について説明するフロー図である。
図7図7は、参考例の流体測定システムの特性を解析するモデルについて説明する図である。
図8図8は、参考例の流体測定システムの特性について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0010】
≪流体測定システム≫
本実施形態に係る流体測定システムについて説明する。本実施形態に係る流体測定システムは、第1荷重センサ及び第2荷重センサと、演算部と、を備える。本実施形態に係る流体測定システムにおける第1荷重センサ及び第2荷重センサのそれぞれは、配管に離隔して設置される。本実施形態に係る流体測定システムにおける演算部は、第1荷重センサと第2荷重センサからの出力に基づいて、配管を流れる流体の流速を算出する。本実施形態に係る流体測定システムにおけるは、配管にかかる荷重に対して、第1荷重センサにおける応答が最大となる第1位置と第2荷重センサにおける応答が最大となる第2位置とが予め定められた距離より離れている。
【0011】
本実施形態に係る流体測定システムについて、本実施形態に係る流体測定システムの一例である流体測定システム1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る流体測定システムの一例である流体測定システム1の使用時の全体構成を示す図である。
【0012】
流体測定システム1は、配管P内を流れる流体の流速を測定するシステムである。流体測定システム1は、例えば、液体と気体が混合した二相流体の流速を求める。測定する二相流体としては、例えば、地熱発電における温水と蒸気の混合流体である。また、流体測定システム1は、求めた流速から流路の断面積をかけて流量を求めてもよい。なお、矢印Flowは、流体の流れる向きを示す。
【0013】
流体測定システム1は、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12と、演算部20と、を備える。流体測定システム1は、配管Pに取り付けられた第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12を用いて、配管P内を流れる流体の流速を測定する。
【0014】
配管Pは、例えば、地面Gから離隔して、配管サポートPS1及び配管サポートPS2のそれぞれに固定される。言い換えると、配管Pは、配管サポートPS1と、配管サポートPS2とにより支持される。
【0015】
第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12は、配管Pにかかる荷重を測定する荷重センサである。荷重センサは、例えば、ロードセルである。流体測定システム1において、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれは、配管サポートPS1と配管サポートPS2との間に配置される。流体測定システム1において、配管サポートPS1から順に、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12とが配管Pに配置される。
【0016】
流体測定システム1は、配管Pと載置台MT1との間に、第1荷重センサ11を備える。そして、第1荷重センサ11は、第1荷重センサ11が設置された付近を流れる流体の重量を含む配管Pから作用される荷重を測定する。
【0017】
流体測定システム1は、配管Pと載置台MT2との間に、第2荷重センサ12を備える。そして、第2荷重センサ12は、第2荷重センサ12が設置された付近を流れる流体の重量を含む配管Pから作用される荷重を測定する。
【0018】
第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれは、実時間で荷重の測定を行う。そして、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれは、時系列に測定した荷重をそれぞれ演算部20に実時間で出力する。
【0019】
第2荷重センサ12は、第1荷重センサ11から、配管Pに沿って離隔する位置に設けられる。第2荷重センサ12は、第1荷重センサ11における配管Pの下流に、配管Pに沿ってセンサ間距離Lを離して設けられる。第1荷重センサ11により測定された流体は、流体が第1荷重センサ11から第2荷重センサ12まで移動する時間遅れて、第2荷重センサ12により測定される。したがって、第1荷重センサ11により測定される測定結果と第2荷重センサ12により測定される測定結果とを比較すると、第2荷重センサ12での測定結果は、第1荷重センサ11での測定結果から遅れて測定される。
【0020】
例えば、配管Pの内部を流れる流体が二相流体である場合には、配管Pの場所によって、二相流体の例えば液体と気体の混合比が異なる。液体と気体の混合比が異なると、配管の場所によって内部の流体の重量が異なる。したがって、配管Pの異なる位置で、配管Pからかかる荷重を測定することにより、流体測定システム1は、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12との間を流体が移動する時間を算出する。そして、流体測定システム1は、算出した時間に基づいて、流体の速度を求める。
【0021】
流体測定システム1は、第1荷重センサ11の測定結果に対して、第2荷重センサ12の測定結果が遅れる時間差を求める。すなわち、流体測定システム1が求めた時間差は、配管Pの内部を流体が第1荷重センサ11から第2荷重センサ12まで移動する時間を表す。したがって、流体測定システム1は、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12との間の配管Pに沿う距離であるセンサ間距離Lを、当該算出した時間差で割ることにより、流体の流速を算出する。
【0022】
なお、センサ間距離Lは、第1荷重センサ11の測定結果に対する第2荷重センサ12の測定結果の時間差が大きくなるように、長くすることが好ましい。ただし、センサ間距離Lが長くなると、第1荷重センサ11の測定結果と第2荷重センサ12の測定結果との相関が小さくなり、時間差の測定が困難になる。したがって、センサ間距離Lは、第1荷重センサ11の測定結果に対する第2荷重センサ12の測定結果の時間差が測定可能な範囲内で、長くすることが好ましい。
【0023】
流体測定システム1において、第1荷重センサ11は、配管サポートPS1から離隔して設置される。流体測定システム1において、センサ間距離Lは、配管サポートPS1と第1荷重センサ11との配管Pに沿う距離Luよりも短くすることが好ましい。センサ間距離Lを距離Luより短くすることにより、配管にかかる荷重に対して、第1荷重センサにおける応答が最大となる第1位置と第2荷重センサにおける応答が最大となる第2位置とを離すことができる。
【0024】
また、流体測定システム1において、第2荷重センサ12は、配管サポートPS2から離隔して設置される。流体測定システム1において、センサ間距離Lは、配管サポートPS2と第2荷重センサ12との配管Pに沿う距離Ldよりも短くすることが好ましい。センサ間距離Lを距離Ldより短くすることにより、配管にかかる荷重に対して、第1荷重センサにおける応答が最大となる第1位置と第2荷重センサにおける応答が最大となる第2位置とを離すことができる。
【0025】
演算部20は、第1荷重センサ11から取得した第1測定結果及び第2荷重センサ12から取得した第2測定結果を時系列データとして取得する。そして、演算部20は、取得した第1測定結果及び第2測定結果を処理して、配管Pの内部を流れる流体の速度を算出する。
【0026】
演算部20は、例えば、第1測定結果及び第2測定結果として、時間に対する荷重の波形を取得する。そして、当該波形を比較することにより、第1荷重センサ11で検出されてから第2荷重センサ12で検出するまでの時間差を算出する。例えば、演算部20は、時間差を算出する際に、相互相関法や動的時間伸縮法を用いる。
【0027】
流体測定システム1が計測した結果について説明する。演算部20は、第1荷重センサ11から取得した第1測定結果と第2荷重センサ12から出得した第2測定結果とについて相互相関法により時間差、すなわち、センサ間通過時間を算出する。図2は、本実施形態に係る流体測定システムの一例である流体測定システム1による測定結果を示す図である。
【0028】
図2の横軸は時間(単位:秒(s))、図2の縦軸はセンサ間通過時間(単位:秒(s))である。図2に示す測定は、圧力280キロパスカル、温度135℃である二相流体が流れる呼び径250Aの配管に、流体測定システム1における第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12を取り付けて行った。なお、図2を示す測定を行っているときの大気温度は25℃であった。
【0029】
なお、図2において、「測定対象」として示す部分が、測定時に配管を流れていた二相流体によって発生すると見込まれるセンサ間通過時間である。流体測定システム1において、相互相関法により時間差、すなわち、センサ間通過時間、を算出すると、図2に示すように算出結果にバラツキがみられる。しかしながら、図2にいて「測定対象」の部分において頻度が高くなっている。
【0030】
流体測定システム1は、図2に示したセンサ間通過時間に対してヒストグラム処理を行うことによりフィルタリングする。流体測定システム1が、図2に示したセンサ間通過時間に対してヒストグラム処理を行ってフィルタリングすることにより、流体測定システム1は、頻度が高い時間差を抽出できる。流体測定システム1は、抽出した頻度の高い時間差から流速を算出する。
【0031】
<本実施形態に係る流体測定システムの特性>
本実施形態に係る流体測定システムの特性について説明する。本実施形態に係る流体測定システムの特性を解析するために、シミュレーションを行った結果を示す。図3は、本実施形態に係る流体測定システムの特性を解析するモデルについて説明する図である。
【0032】
図3に示すように、配管Pmを配管サポートPSB1、配管サポートPS1、配管サポートPS2及び配管サポートPSB2により固定する。配管サポートPS1と配管サポートPS2との間に、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12を配置する。第1荷重センサ11は、載置台MT1と配管Pmとの間に設置する。第2荷重センサ12は、載置台MT2と配管Pmとの間に設置する。
【0033】
配管Pmに関する条件は、呼び径DN500、肉厚8.0ミリメートル、材質A53GrBとする。流体に関する条件は、圧力1030キロパスカル、温度185℃とする。大気温度は、0℃とする。
【0034】
配管サポートPSB1と配管サポートPS1との間の距離及び配管サポートPS2と配管サポートPSB2との間の距離のそれぞれは、3メートルとした。配管サポートPS1と第1荷重センサ11との間の距離は4メートルとした。第1荷重センサ11と第2荷重センサ12との間の距離は1メートルとした。第2荷重センサ12と配管サポートPS2との間の距離は、4メートルとした。
【0035】
なお、本シミュレーションにおいて、配管サポートPSB1及び配管サポートPSB2のそれぞれによって支持されている位置は、固定端であるとする。また、本シミュレーションにおいて、配管サポートPS1及び配管サポートPS2のそれぞれによって支持されている位置は、支持端とする。
【0036】
図3における加重点PA1、加重点PA2、加重点PA3、加重点PA4及び加重点PA5に上から荷重を加えたときの第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの応答を図4に示す。図4は、本実施形態に係る流体測定システムの特性について説明する図である。
【0037】
なお、線L11は、第1荷重センサ11の応答を示す。線L12は、第2荷重センサ12の応答を示す。線L11z及び線L12zは、後述する参考例の流体測定システムにおける応答を示す。
【0038】
図4の横軸は加重点を示す。図4の縦軸は荷重センサの応答(単位:任意単位)を示す。なお、荷重センサの応答は、下向きに荷重がかかる場合をマイナスとする。
【0039】
図4より、第1荷重センサ11における最大応答点は加重点PA2に荷重を加えたときになる。図4より、第2荷重センサ12における最大応答点は加重点PA4に荷重を加えたときになる。したがって、流体測定システムにおいて、図3に示すように第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12を設置することにより、第1荷重センサ11における最大応答点と、第2荷重センサ12における最大応答点とを異なるようにできる。
【0040】
配管Pに流体を流したときに、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれは、最大応答点における応答の影響を大きく受ける。したがって、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれにおいて、最大応答点が異なるようにすることによって、流体測定システムにおける測定精度を向上できる。
【0041】
参考例として、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12における設置位置を変更してシミュレーションを行った結果について説明する。
【0042】
図7は、参考例の流体測定システムの特性を解析するモデルについて説明する図である。参考例の流体測定システムのモデルは、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12の位置が、図3に示したモデルと異なる。
【0043】
参考例の流体測定システムにおいて、配管サポートPS1と第1荷重センサ11との間の距離、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12との間の距離及び第2荷重センサ12と配管サポートPS2との間の距離のそれぞれは、3メートルとする。言い換えると、配管サポートPS1と配管サポートPS2との間に、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12を等間隔に設置する。
【0044】
なお、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの位置以外の条件については、上述の本実施形態に係る流体測定システムにおけるシミュレーションと同じ条件で行う。
【0045】
図7における加重点PA1z、加重点PA2z、加重点PA3z、加重点PA4z及び加重点PA5zに上から荷重を加えたときの第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの応答を図8に示す。図8は、参考例の流体測定システムの特性について説明する図である。
【0046】
なお、線L11zは、参考例の流体測定システムにおける第1荷重センサ11の応答を示す。線L12zは、参考例の流体測定システムにおける第2荷重センサ12の応答を示す。点P11z及び点P12zは、実際の現場における測定例を示す。
【0047】
図8の横軸は加重点を示す。図8の縦軸は荷重センサの応答(単位:任意単位)を示す。なお、荷重センサの応答は、下向きに荷重がかかる場合をマイナスとする。
【0048】
図8より、第1荷重センサ11における最大応答点及び第2荷重センサ12における最大応答点は加重点PA3zに荷重を加えたときになる。したがって、流体測定システムにおいて、図7に示すように第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12を設置すると、第1荷重センサ11における最大応答点と、第2荷重センサ12における最大応答点とが同じ位置となる。言い換えると、第1荷重センサ11における最大応答点と第2荷重センサ12における最大応答点との距離が、予め定められた距離より短くなる。
【0049】
第1荷重センサ11における最大応答点の位置と、第2荷重センサ12における最大応答点の位置とが等しくなると、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12における応答が、ほぼ等しくなり、時間差の測定が困難となる。
【0050】
<本実施形態に係る流体測定システムにおける荷重センサを設置する設置方法>
本実施形態に係る流体測定システムにおける荷重センサを設置する設置方法について説明する。本実施形態に係る流体測定システムにおいて、最初に、荷重センサにおける応答特性を測定する。図5は、本実施形態に係る流体測定システムの一例である流体測定システム1の特性測定時における全体構成を示す図である。
【0051】
流体測定システム1における応答特性を測定する場合には、流体測定システム1は、配管Pに局所的に荷重を加えるおもり31と、おもり31を配管Pの配管方向に移動させる牽引装置32と、おもり31と牽引装置32とを接続する連結部33と、を更に備える。
【0052】
おもり31は、配管Pの上部に載置される。おもり31は、おもり31の重量により、矢印FLの方向に、配管Pに荷重をかける。なお、本実施形態に係る流体測定システム1では、配管Pの上部をおもり31が移動するようにしているが、配管Pの内部、すなわち、流体が流れる経路をおもり31が移動するようにしてもよい。
【0053】
おもり31は、連結部33により、牽引装置32に連結される。連結部33は、例えば、ケーブル、ワイヤ等である。
【0054】
牽引装置32は、連結部33を牽引しておもり31を矢印Awの方向に一定速度(基準速度Vm(単位:メートル毎秒(m/s)))で移動させる。牽引装置32は、例えば、モータと、モータの回転に応じて回転し、連結部33を巻き取る滑車と、を備える。牽引装置32は、連結部33を巻き取ることにより、おもり31を一定速度(基準速度Vm)で移動させる。おもり31は、第1荷重センサ11の上流側から第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12の上側を通過して、第2荷重センサ12の下流側まで移動する。
【0055】
第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの出力が最大となる時刻は、おもり31が第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの直上にある時刻であると想定される。一方、配管Pの設置状態によっては、配管Pの変形モードにより、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの出力が最大となる時刻が、おもり31が第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの直上にある時刻からずれる場合がある。
【0056】
演算部20は、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの出力を記録する。
【0057】
具体的な本実施形態に係る流体測定システムを設置する設置方法について説明する。図6は、本実施形態に係る流体測定システムの一例である流体測定システム1を設置する設置方法について説明するフロー図である。
【0058】
(ステップS10)
最初に、演算部20は、おもり31に対する、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの応答を検出する。
【0059】
(ステップS20)
そして、演算部20は、第1荷重センサ11における応答がピーク(極大)となる点(第1ピーク点、第1位置)と、第2荷重センサ12における応答がピーク(極大)となる点(第2ピーク点、第2位置)とが、離れているかどうかを判定する。言い換えると、演算部20は、第1荷重センサ11における応答がピーク(極大)となる点(第1ピーク点)と、第2荷重センサ12における応答がピーク(極大)となる点(第2ピーク点)とが、近いかどうかを判定する。第1ピーク点と、第2ピーク点とが、離れているかどうかについて、例えば、演算部20は、第1ピーク点と第2ピーク点との距離が閾値以上であるかどうかで判定する。第1ピーク点と、第2ピーク点とが、近いかどうかについて、例えば、演算部20は、第1ピーク点と第2ピーク点との距離が閾値未満であるかどうかで判定する。
【0060】
第1ピーク点と、第2ピーク点とが、離れていると判断した場合(ステップS20のYES)、演算部20は、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの設置位置は問題ないと判断して、処理を終了する。
【0061】
第1ピーク点と、第2ピーク点とが、離れていないと判断した場合(ステップS20のNO)、演算部20は、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの設置位置を変更したほうがよいと判断して、ステップS30に処理を進める。
【0062】
(ステップS30)
流体測定システム1は、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの設置位置を変更する。例えば、演算部20は、画面や音声等により、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの設置位置を変更するように、作業者に指示する。第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの設置位置を変更する場合、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12とを近づけるように変更してもよい。より具体的には、第1ピーク点と第2ピーク点との距離が、第1荷重センサ11と第2荷重センサ12との間の距離(センサ間距離L)より長くするようにしてもよい。また、第1荷重センサ11から第2荷重センサ12までのセンサ間距離は、配管サポートPS1から第1荷重センサ11までの第1距離及び第2荷重センサ12から配管サポートPS2までの第2距離のそれぞれよりも短くなるようにしてもよい。
【0063】
上記の例では、ステップS10において、おもり31に対する第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの応答を検出していたが、第1荷重センサ11及び第2荷重センサ12のそれぞれの応答を算出する方法は上記に限らない。例えば、シミュレーションにより、流体測定システム1を設置する配管の応答を算出し、シミュレーション結果に基づいて、第1ピーク点及び第2ピーク点を算出してもよい。
【0064】
なお、配管サポートPS1が第1配管サポートの一例、配管サポートPS2が第2配管サポートの一例、である。
【0065】
本実施形態に係る流体測定システムによれば、測定流体の流速を高精度に測定できる。
【0066】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 流体測定システム
11 第1荷重センサ
12 第2荷重センサ
20 演算部
L センサ間距離
Ld、Lu 距離
PS1、PS2 配管サポート
図1
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図3
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図7
図8