IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-バッテリパック 図1
  • 特開-バッテリパック 図2
  • 特開-バッテリパック 図3
  • 特開-バッテリパック 図4
  • 特開-バッテリパック 図5
  • 特開-バッテリパック 図6
  • 特開-バッテリパック 図7
  • 特開-バッテリパック 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139121
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6563 20140101AFI20241002BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241002BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20241002BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241002BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241002BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20241002BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241002BHJP
【FI】
H01M10/6563
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/613
H01M50/204 401H
B60K11/06
B60K1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049926
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 大悟
(72)【発明者】
【氏名】越野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】後藤 光晴
(72)【発明者】
【氏名】津村 雄太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直司
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
3D038AA09
3D038AB01
3D038AC04
3D235AA02
3D235BB45
3D235CC15
3D235DD24
3D235FF06
3D235FF37
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA28
5H040AT06
(57)【要約】
【課題】バッテリモジュールへ冷却空気を送風する送風流路の部品点数の削減を図ることができるバッテリパックを提供する。
【解決手段】車両1に搭載されるバッテリパック10は、互いに離間して配置される2つのバッテリモジュール20と、ケース11と、バッテリモジュール20に冷却空気を送風するファン30と、バッテリモジュール20をケース11に固定する左右一対のバッテリブラケット51、52と、バッテリモジュール20の上面に設けられたジャンクションボックスブラケット53と、を備える。2つのバッテリモジュール20の間には、冷却空気が流れる送風流路50が設けられ、送風流路50は、シール部材55a~55dを介して、ケース11、バッテリブラケット51、52、及びジャンクションボックスブラケット53により区画形成される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるバッテリパックであって、
バッテリセルが複数積層され、前記バッテリセルの積層方向と直交する方向に互いに離間して配置される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールを収容するケースと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールに冷却空気を送風するファンと、
前記積層方向の両端部に設けられ、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールを前記ケースに固定する一対のサイドブラケットと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの上面に設けられ、他の部品が搭載される上ブラケットと、を備え、
前記一対のサイドブラケットのうち一方には、前記ファンから送風された前記冷却空気が通過する開口が設けられ、
前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間には、隣り合うバッテリセル間の隙間と前記サイドブラケットの前記開口とに連通し、前記冷却空気が流れる流路が設けられ、
前記流路は、シール部材を介して、前記ケース、前記一対のサイドブラケット、及び前記上ブラケットにより区画形成される、
バッテリパック。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリパックであって、
前記一対のサイドブラケットのうち少なくとも一方は、前記車両の骨格部材に固定される車体固定部を有する、
バッテリパック。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリパックであって、
前記上ブラケットは、下方に凹んだ凹部を有し、該凹部が前記シール部材を介して前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間に上方から嵌め込まれて設けられる、
バッテリパック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池(バッテリとも称する)に関する研究開発が行われている。
【0003】
車両の駆動源の電動化に伴って、車両にはモータ等に電力を供給するバッテリを収容したバッテリパックが搭載される。バッテリパックはバッテリを冷却する冷却構造を備え、例えば冷却空気をファンからバッテリに送風してバッテリを冷却する空冷式の冷却構造が広く採用されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-244860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、隣り合うバッテリモジュール間の隙間をカバー板及び断熱材で密閉することにより、ファンからバッテリに冷却空気を導く送風流路が形成されている。しかしながら、特許文献1では、カバー板や断熱材のような送風流路を形成するための部材が設けられているので、全体的に部品点数が増加する。バッテリパックの製造コストの削減のために、部品点数の削減について改善の余地があった。
【0006】
本発明は、バッテリモジュールへ冷却空気を送風する送風流路の部品点数の削減を図ることができるバッテリパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
車両に搭載されるバッテリパックであって、
バッテリセルが複数積層され、前記バッテリセルの積層方向と直交する方向に互いに離間して配置される第1バッテリモジュール及び第2バッテリモジュールと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールを収容するケースと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールに冷却空気を送風するファンと、
前記積層方向の両端部に設けられ、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールを前記ケースに固定する一対のサイドブラケットと、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの上面に設けられ、他の部品が搭載される上ブラケットと、を備え、
前記一対のサイドブラケットのうち一方には、前記ファンから送風された前記冷却空気が通過する開口が設けられ、
前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間には、隣り合うバッテリセル間の隙間と前記サイドブラケットの前記開口とに連通し、前記冷却空気が流れる流路が設けられ、
前記流路は、シール部材を介して、前記ケース、前記一対のサイドブラケット、及び前記上ブラケットにより区画形成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリモジュールへ冷却空気を送風する送風流路の部品点数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両1の後部座席2の下方に配置された、本発明の一実施形態のバッテリパック10を示す図である。
図2】サイドフレーム5に固定されたバッテリパック10の上面図である。
図3】バッテリパック10の分解斜視図である。
図4】ケース11の斜視図である。
図5】バッテリモジュール20及びバッテリブラケット51、52の組付け前の斜視図である。
図6】ジャンクションボックスブラケット53を下方から見た斜視図である。
図7】2つのバッテリモジュール20の間に形成された送風流路50の斜視図である。
図8図7のA-A線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のバッテリパックの一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単且つ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、車両の運転者から見た方向に従って記載し、図面には、車両の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
図1に示すように、本発明の一実施形態であるバッテリパック10は、例えば車両1の後部座席2及び荷室4の下方に配置される。具体的には、後部座席2及び荷室4の下方には、凹部が設けられており、バッテリパック10は、左右方向の両端部に設けられた後述する車体固定部91、92が車体の一対のサイドフレーム5に固定された状態で、凹部内に配置される。車両1は、例えばハイブリッド車、バッテリ式電気自動車、燃料電池車等の電動車両である。
【0012】
図2に示すように、バッテリパック10には吸気ダクト16及び排気ダクト18が接続されている。車室内の冷却空気は、吸気ダクト16からバッテリパック10内に導入されて後述するバッテリモジュール20を冷却した後、排気ダクト18から車室へ排出される。吸気ダクト16は、一端がバッテリパック10の前面右側に設けられた吸気ダクト接続部15に接続される。また、吸気ダクト16の他端には、右方に開口した吸気入口16aが設けられる。排気ダクト18は、一端がバッテリパック10の前面左側に設けられた排気ダクト接続部17に接続され、後部座席2の下方に配置される。
【0013】
図3に示すように、バッテリパック10は、2つのバッテリモジュール20と、ファン30と、バッテリECU(Electronic Control Unit)41と、ジャンクションボックス43と、送風流路50と、吸気流路60と、これらを収容するケース11及びカバー12と、を備える。
【0014】
(ケース、カバー)
ケース11及びカバー12は、バッテリパック10の外観を構成し、バッテリモジュール20等を収容する。ケース11は、底面111と、側壁113と、側壁113の上端に設けられたフランジ部115と、を有し、トレイ形状を有する。側壁113は、前側壁113Fr、後側壁113Rr、左側壁113L、及び右側壁113Rを含む。カバー12は、外縁部が不図示のシール部材を介してケース11のフランジ部115に対向して配置され、各種部品が搭載されたケース11を上方から覆う。
【0015】
(バッテリモジュール)
2つのバッテリモジュール20は、ケース11の左側に配置される。各バッテリモジュール20は、バッテリセル(不図示)が左右方向に複数積層されて構成される。2つのバッテリモジュール20は、不図示の電気接続部材を介して互いに電気的に接続される。バッテリモジュール20に蓄えた電力は、車両1の駆動源となるモータ等に供給される。
【0016】
図5に示すように、バッテリモジュール20の左右両端部には左右一対のバッテリブラケット51、52が設けられる。左側バッテリブラケット51は、車体のサイドフレーム5に固定される車体固定部91を有する。また、右側バッテリブラケット52は、後述するファンブラケット67に固定される。ファンブラケット67は、車体のサイドフレーム5に固定される車体固定部92を有する。車体固定部91、92は、ボルト挿通穴を有し、バッテリパック10をサイドフレーム5に対して固定する固定点である(図2参照)。このようにして、2つのバッテリモジュール20は、左側バッテリブラケット51、右側バッテリブラケット52、及びファンブラケット67により、一体的に車体のサイドフレーム5に支持される。また、左側バッテリブラケット51、右側バッテリブラケット52、及びファンブラケット67はケース11に固定され、ケース11はサイドフレーム5に支持されたバッテリモジュール20を下方から収容する。左右一対のバッテリブラケット51、52の詳細については後述する。
【0017】
(ファン)
図3に戻り、ファン30は、バッテリモジュール20よりも上流側に配置されており、バッテリパック10の外部から冷却空気を吸気し、バッテリモジュール20に冷却空気を送風する。ファン30は、例えばシロッコファンである。ファン30は、下方に開口した吸込口と、遠心方向に設けられた吹出口と、を有する。吸込口は吸気流路60に接続され、吹出口は送風ダクト33を介して送風流路50に接続される。
【0018】
ファン30の下方には、吸込口に連通する開口が設けられたファンブラケット67が設けられており、ファンブラケット67は、吸込口が下方を向いた状態でファン30を下方から支持する。ファンブラケット67は、ケース11と共に吸気流路60を区画形成する。
【0019】
(バッテリECU)
バッテリECU41は、バッテリモジュール20の充電及び放電を制御する制御装置であり、プロセッサ、メモリ、インターフェース等を備える。バッテリECU41は、ファン30及びファンブラケット67の上方に設けられたECUブラケット42に載置される。
【0020】
(ジャンクションボックス)
ジャンクションボックス43は、バッテリモジュール20と外部機器(不図示)とを電気的に接続し、バッテリモジュール20の充電電力及び放電電力が流れる配線部品を含む。ジャンクションボックス43は、バッテリモジュール20の上面に取り付けられたジャンクションボックスブラケット53に載置される。ジャンクションボックスブラケット53は、送風流路50の上方に配置されて送風流路50の上面を構成する。
【0021】
(吸気流路)
吸気流路60は、バッテリパック10の内側に設けられ、吸気ダクト接続部15とファン30の吸込口とを接続し、ファン30により車室から吸気された冷却空気が流れる流路である。
【0022】
図3及び図4に示すように、ケース11は、吸気流路60を区画形成する吸気流路形成部64を有する。吸気流路形成部64は、ケース11の底面111及び前側壁113Frから立設された立壁部65を有する。吸気流路形成部64は、上面視で略U字形状を有し、吸気ダクト接続部15に連続して設けられている。吸気流路形成部64の立壁部65にはシール部材68が設けられており、ファンブラケット67はシール部材68に当接して取り付けられる。シール部材68は、気体が不透過な材料で形成されており、例えばゴム発泡体である。このようにして、吸気流路60は、ケース11、ファンブラケット67、及びシール部材68により区画形成される。なお、吸気流路60は、吸気ダクト接続部15とファン30の吸込口とを接続する吸気ダクトを設けることにより構成されてもよい。
【0023】
(送風流路)
2つのバッテリモジュール20は、前後方向に離間して配置され、これらの間には送風流路50が形成される。送風流路50は、ファン30から送風された冷却空気が流れる流路である。送風流路50は、隣り合うバッテリセルの間に形成されたセル間流路(不図示)に連通し、送風流路50を流れる冷却空気がセル間流路に供給される。セル間流路に冷却空気が流れることにより、バッテリモジュール20は冷却される。
【0024】
図7及び図8に示すように、送風流路50は、シール部材55(55a、55b、55c、55d)を介して、左右一対のバッテリブラケット51、52、ケース11、及びジャンクションボックスブラケット53により区画形成される。詳細は後述するが、シール部材55は、ケース11に設けられたシール部材55aと、左右一対のバッテリブラケット51、52にそれぞれ設けられたシール部材55b、55cと、ジャンクションボックスブラケット53に設けられたシール部材55dと、を有する。シール部材55は、気体が不透過な材料で形成されており、例えばゴム発泡体である。
【0025】
図4及び図7に示すように、ケース11の底面111には、上面視で四角リング形状を有するシール部材55aが設けられている。シール部材55aの前部551の上面には、前側に配置されたバッテリモジュール20が載置され、シール部材55aの後部552の上面には、後側に配置されたバッテリモジュール20が載置される。これにより、冷却空気が送風流路50からバッテリモジュール20の下方の空間に漏れることを抑制できる。
【0026】
図5及び図7に示すように、左側バッテリブラケット51には、送風流路50に対向する面511に、シール部材55bが設けられている。シール部材55bは、2つのバッテリモジュール20、ケース11に設けられたシール部材55a、及びジャンクションボックスブラケット53に設けられたシール部材55dに当接する。シール部材55bは、送風流路50の左側端部をシールし、冷却空気が左側バッテリブラケット51とバッテリモジュール20との隙間から送風流路50外へ漏れることを抑制する。
【0027】
右側バッテリブラケット52は、後ブラケット521と、前ブラケット523と、を有する。後ブラケット521は、後側のバッテリモジュール20に取り付けられ、前ブラケット523は、前側のバッテリモジュール20に取り付けられる。後ブラケット521には、送風流路50の流入口である開口522と、開口522の周囲に配置されたシール部材55cとが設けられている。開口522は、上流側において送風ダクト33に連通する。シール部材55cは、2つのバッテリモジュール20、ケース11に設けられたシール部材55a、及びジャンクションボックスブラケット53に設けられたシール部材55dに当接する。シール部材55cは、送風流路50の右側端部をシールし、冷却空気が右側バッテリブラケット52とバッテリモジュール20との隙間から送風流路50外へ漏れることを抑制する。なお、本実施形態では、右側バッテリブラケット52は後ブラケット521及び前ブラケット523の二つの部材で構成されたが、これに限られず、一つの部材で構成されてもよい。すなわち、一つの部材で構成された右側バッテリブラケット52が2つのバッテリモジュール20に取り付けられ、且つ、開口522を有する構成であってもよい。
【0028】
図6に示すように、ジャンクションボックスブラケット53は、前後方向の中央に設けられ、下方に凹んだ凹部530を有する。凹部530は、左右方向に延在する。凹部530は、最も下方に位置する底面531と、底面531から上方へ傾斜して設けられる傾斜面532と、を有する。ジャンクションボックスブラケット53の凹部530の下面には、シール部材55dが設けられている。シール部材55dは、下方視で四角リング形状を有し、凹部530の底面531及び傾斜面532に設けられている。
【0029】
ジャンクションボックスブラケット53は、凹部530が2つのバッテリモジュール20の間に上方から嵌め込まれるようにして設けられる。また、ジャンクションボックスブラケット53は、シール部材55dが各バッテリモジュール20の角部に当接するように配置される。シール部材55dは、送風流路50の上部をシールし、冷却空気がジャンクションボックスブラケット53とバッテリモジュール20との隙間から送風流路50外へ漏れることを抑制する。
【0030】
図7及び図8に示すように、バッテリモジュール20を収容するケース11、バッテリモジュール20を支持するバッテリブラケット51、52、及びジャンクションボックス43が搭載されるジャンクションボックスブラケット53を活用して、送風流路50が区画形成される。図8の太い実線矢印で示すように、開口522から送風流路50に流入した冷却空気は、送風流路50からバッテリモジュール20のセル間流路へと供給され、バッテリモジュール20が冷却される。
【0031】
このような構成によると、送風流路50を形成するための送風ダクトを、2つのバッテリモジュール20の間に設ける必要がないので、送風流路50を形成するための部品点数を削減できる。よって、バッテリパック10の製造コストの削減を図ることができる。また、送風ダクトを設けないので、送風流路50の流路断面積が大きくなり、圧力損失を低減することができる。よって、バッテリモジュール20の冷却性能を向上させることができる。
【0032】
特に、本実施形態では、シール部材55を除いて、送風流路50を区画形成するためだけに用いられる部材を設けていない。具体的には、左側バッテリブラケット51は、送風流路50を区画形成する機能に加えて、前述のとおり、車体固定部91によりバッテリモジュール20を車体のサイドフレーム5に対して支持する機能を有する。同様に、右側バッテリブラケット52は、ファンブラケット67を介してバッテリモジュール20を車体のサイドフレーム5に対して支持する機能を有する。また、ジャンクションボックスブラケット53は、ジャンクションボックス43を支持する機能を有する。このように、送風流路50を区画形成する部品は複数の機能を有するので、効果的に部品点数の削減や省スペース化を図ることができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0034】
例えば、前述した実施形態では、ジャンクションボックス43が載置されたジャンクションボックスブラケット53が送風流路50の上面を区画形成したが、これに限られない。送風流路50の上面は、他の部品(例えばバッテリECU41)が載置されたブラケットにより構成されてもよい。
【0035】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。括弧内には上記した実施形態において対応する構成要素等を一例として示しているが、これに限定されるものではない。
【0036】
(1) 車両(車両1)に搭載されるバッテリパック(バッテリパック10)であって、
バッテリセルが複数積層され、前記バッテリセルの積層方向(左右方向)と直交する方向(前後方向)に互いに離間して配置される第1バッテリモジュール(前側のバッテリモジュール20)及び第2バッテリモジュール(後側のバッテリモジュール20)と、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールを収容するケース(ケース11)と、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールに冷却空気を送風するファン(ファン30)と、
前記積層方向の両端部に設けられ、前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールを前記ケースに固定する一対のサイドブラケット(バッテリブラケット51、52)と、
前記第1バッテリモジュール及び前記第2バッテリモジュールの上面に設けられ、他の部品(ジャンクションボックス43)が搭載される上ブラケット(ジャンクションボックスブラケット53)と、を備え、
前記一対のサイドブラケットのうち一方(右側バッテリブラケット52)には、前記ファンから送風された前記冷却空気が通過する開口(開口522)が設けられ、
前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間には、隣り合うバッテリセル間の隙間と前記サイドブラケットの前記開口とに連通し、前記冷却空気が流れる流路(送風流路50)が設けられ、
前記流路は、シール部材(シール部材55a~55d)を介して、前記ケース、前記一対のサイドブラケット、及び前記上ブラケットにより区画形成される、
バッテリパック。
【0037】
(1)によれば、バッテリモジュールを固定するサイドブラケット、他の部品が搭載される上ブラケット、及びケースを活用して、第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの間の流路を区画形成するので、流路を形成するためのダクトを設ける必要がなく、部品点数を削減できる。また、流路断面積を大きくすることができ、バッテリモジュールの冷却効率を向上させることができる。
【0038】
(2) (1)に記載のバッテリパックであって、
前記一対のサイドブラケットのうち少なくとも一方は、前記車両の骨格部材(サイドフレーム5)に固定される車体固定部(車体固定部91、92)を有する、
バッテリパック。
【0039】
(2)によれば、車両の骨格部材に対してバッテリパックを固定するサイドブラケットは、バッテリモジュールを支持し、さらに流路を区画形成する。
【0040】
(3) (1)又は(2)に記載のバッテリパックであって、
前記上ブラケットは、下方に凹んだ凹部(凹部530)を有し、該凹部が前記シール部材を介して前記第1バッテリモジュールと前記第2バッテリモジュールとの間に上方から嵌め込まれて設けられる、
バッテリパック。
【0041】
(3)によれば、上ブラケットの凹部を第1バッテリモジュールと第2バッテリモジュールとの間にシール部材を介して上方から嵌め込むことで、流路の上部を区画形成することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
5 サイドフレーム(骨格部材)
10 バッテリパック
11 ケース
30 ファン
43 ジャンクションボックス(他の部品)
50 送風流路(流路)
51 左側バッテリブラケット(サイドブラケット)
52 右側バッテリブラケット(サイドブラケット)
522 開口
53 ジャンクションボックスブラケット(上ブラケット)
530 凹部
55、55a、55b、55c、55d シール部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8