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特開2024-139128破砕機における投入インジケータ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139128
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】破砕機における投入インジケータ装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 25/00 20060101AFI20241002BHJP
   B02C 18/14 20060101ALI20241002BHJP
   B02C 18/22 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B02C25/00 B
B02C18/14 A
B02C18/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049935
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000121327
【氏名又は名称】遠藤工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 峻
(72)【発明者】
【氏名】越井 元規
(72)【発明者】
【氏名】新居 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 信之
(72)【発明者】
【氏名】亀川 出
【テーマコード(参考)】
4D065
4D067
【Fターム(参考)】
4D065CA06
4D065CA16
4D065CB01
4D065CC01
4D065DD05
4D065DD18
4D065ED01
4D065EE07
4D065EE13
4D067FF13
4D067GB03
(57)【要約】
【課題】外周部に破砕具を有したロータと、被破砕物を投入可能なホッパを有し且つロータを収容して回転自在に支持する破砕機本体と、ロータを回転駆動する回転駆動源とを備え、ホッパ内に投入された被破砕物をロータの回転に基づき破砕処理する破砕機において、ホッパ内の様子が把握し辛い状況であっても、破砕機の破砕処理に余裕がある状況を報知装置により、作業者がロータの回転状況に基づき簡単且つ的確に認識可能とする。
【解決手段】ロータ20の回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段S1と、その第1検出手段S1の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段CUと、その判定手段CUが前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置60とを備える。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に破砕具(30)を有したロータ(20)と、被破砕物(BM)を投入可能なホッパ(10h)を有し且つ前記ロータ(20)を収容して回転自在に支持する破砕機本体(10)と、前記ロータ(20)を回転駆動する回転駆動源(M)とを備え、前記ホッパ(10h)内に投入された被破砕物(BM)を前記ロータ(20)の回転に基づき破砕処理する破砕機において、
前記ロータ(20)の回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段(S1)と、その第1検出手段(S1)の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段(CU)と、前記判定手段(CU)が前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置(60)とを備えることを特徴とする、破砕機における投入インジケータ装置。
【請求項2】
外周部に破砕具(30)を有したロータ(20)と、被破砕物(BM)を投入可能なホッパ(10h)を有し且つ前記ロータ(20)を収容して回転自在に支持する破砕機本体(10)と、前記ロータ(20)を回転駆動する回転駆動源(M)と、前記ロータ(20)に向かって前後進可能として前記破砕機本体(10)に設けられ、被破砕物(BM)を前記ロータ(20)側に押込み可能なプッシャ(P)と、前記プッシャ(P)を前後進駆動する前後駆動装置(CY)とを備え、前記ホッパ(10h)内に投入された被破砕物(BM)を前記ロータ(20)の回転及び前記プッシャ(P)の前後進に基づき破砕処理する破砕機において、
前記プッシャ(P)の前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段(S2)と、その第2検出手段(S2)の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段(CU)と、前記判定手段(CU)が前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置(60)とを備えることを特徴とする、破砕機における投入インジケータ装置。
【請求項3】
外周部に破砕具(30)を有したロータ(20)と、被破砕物(BM)を投入可能なホッパ(10h)を有し且つ前記ロータ(20)を収容して回転自在に支持する破砕機本体(10)と、前記ロータ(20)を回転駆動する回転駆動源(M)と、前記ロータ(20)に向かって前後進可能として前記破砕機本体(10)に設けられ、被破砕物(BM)を前記ロータ(20)側に押込み可能なプッシャ(P)と、前記プッシャ(P)を前後進駆動する前後駆動装置(CY)とを備え、前記ホッパ(10h)内に投入された被破砕物(BM)を前記ロータ(20)の回転及び前記プッシャ(P)の前後進に基づき破砕処理する破砕機において、
前記ロータ(20)の回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段(S1)と、前記プッシャ(P)の前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段(S2)と、前記第1,第2検出手段(S1,S2)のうち少なくとも一方の検出手段の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段(CU)と、前記判定手段(CU)が前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置(60)とを備えることを特徴とする、破砕機における投入インジケータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕機、特に外周部に破砕具(例えば破砕刃)を有したロータと、被破砕物を投入可能なホッパを有し且つロータを収容して回転自在に支持する破砕機本体と、ロータを回転駆動する回転駆動源とを備え、ホッパ内に投入された被破砕物をロータの回転に基づき破砕処理する破砕機における投入インジケータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記破砕機は、例えば特許文献1に開示されるように従来公知であり、この公知のものでは、破砕具付きロータの被破砕物に対する破砕作用を補助すべく、そのロータに向かって前後進駆動可能なプッシャを有した押圧装置を破砕機本体に具備している。そして、ロータの回転負荷の増大に応じてプッシャの速度低下・停止・後退およびロータの速度低下・逆転・停止といったステップを順次実行することで、ロータ等の過負荷を抑制できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5089243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のような破砕機を大型化した場合には、作業者はホッパ内の様子が把握し辛い問題があり、また仮に把握できた場合でも、破砕作業中のホッパ内は破砕物や粉塵が舞っていて視認の妨げとなるため、ホッパ内の監視・把握を十分には行い得ず、そのため、作業者がホッパへの被破砕物の投入を、ホッパ内の状況を踏まえてタイミングよく実行できない虞れがある。例えば、破砕機の破砕処理に余裕が有るのに投入が遅過ぎたり十分では無かった場合は、破砕作業の効率低下を来たす懸念があり、一方、破砕処理に余裕が無いのに投入が早過ぎたり過度になされた場合は、ロータ等の負荷が過大となって破砕具等の破損要因となる懸念がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の問題を解決可能とした破砕機における投入インジケータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、外周部に破砕具を有したロータと、被破砕物を投入可能なホッパを有し且つ前記ロータを収容して回転自在に支持する破砕機本体と、前記ロータを回転駆動する回転駆動源とを備え、前記ホッパ内に投入された被破砕物を前記ロータの回転に基づき破砕処理する破砕機において、前記ロータの回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段と、その第1検出手段の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段と、前記判定手段が前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置とを備えることを第1の特徴とする。
【0007】
また前記目的を達成するために、本発明は、外周部に破砕具を有したロータと、被破砕物を投入可能なホッパを有し且つ前記ロータを収容して回転自在に支持する破砕機本体と、前記ロータを回転駆動する回転駆動源と、前記ロータに向かって前後進可能として前記破砕機本体に設けられ、被破砕物を前記ロータ側に押込み可能なプッシャと、前記プッシャを前後進駆動する前後駆動装置とを備え、前記ホッパ内に投入された被破砕物を前記ロータの回転及び前記プッシャの前後進に基づき破砕処理する破砕機において、前記プッシャの前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段と、その第2検出手段の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段と、前記判定手段が前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置とを備えることを第2の特徴とする。
【0008】
また前記目的を達成するために、本発明は、外周部に破砕具を有したロータと、被破砕物を投入可能なホッパを有し且つ前記ロータを収容して回転自在に支持する破砕機本体と、前記ロータを回転駆動する回転駆動源と、前記ロータに向かって前後進可能として前記破砕機本体に設けられ、被破砕物を前記ロータ側に押込み可能なプッシャと、前記プッシャを前後進駆動する前後駆動装置とを備え、前記ホッパ内に投入された被破砕物を前記ロータの回転及び前記プッシャの前後進に基づき破砕処理する破砕機において、前記ロータの回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段と、前記プッシャの前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段と、前記第1,第2検出手段のうち少なくとも一方の検出手段の検出結果から前記破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段と、前記判定手段が前記破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置とを備えることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明において、「破砕処理の余裕度」とは、作業者がホッパへ被破砕物を投入して破砕機本体内で破砕処理を行うに当たり、破砕機本体内における未処理の被破砕物の残量が比較的少ない、破砕刃に対する被破砕物の噛込みがない又は僅かである等の理由から、通常の投入量・投入タイミングで被破砕物を投入してもロータ又はプッシャが直ちに過負荷状態とはならず破砕処理に余裕があると見做せる程度の処理状況をいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、破砕具付きロータの回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段と、その第1検出手段の検出結果からロータの回転に基づく破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段と、その判定手段が破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置とを備えるので、この報知装置による報知により作業者は、破砕処理に余裕がある状況をロータの回転状況に基づき簡単且つ的確に認識できる。これにより、その報知を手掛かりとして、ホッパ内への被破砕物の投入作業を、ロータに過負荷を強いることなく的確なタイミングで効率よく実行できるから、ロータの過負荷に因る破砕具の破損も効果的に回避可能となる。
【0011】
また第2の特徴によれば、破砕具付きロータに向かって前後進可能なプッシャの前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段と、その第2検出手段の検出結果からロータの回転及びプッシャの前後後進に基づく破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段と、その判定手段が破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置とを備えるので、この報知装置による報知により作業者は、破砕処理に余裕がある状況をプッシャの前後進状況に基づき簡単且つ的確に認識できる。これにより、その報知を手掛かりとして、ホッパ内への被破砕物の投入作業を、ロータやプッシャに過負荷を強いることなく的確なタイミングで効率よく実行できるから、ロータやプッシャの過負荷に因る破砕具の破損も効果的に回避可能となる。
【0012】
また第3の特徴によれば、破砕具付きロータの回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段と、同ロータに向かって前後進可能なプッシャの前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段と、第1,第2検出手段のうち少なくとも一方の検出手段の検出結果から破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段と、その判定手段が破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置とを備えるので、この報知装置による報知により作業者は、破砕処理に余裕がある状況を、ロータの回転状況及びプッシャの前後進状況を総合的に判断して精度よく、簡単且つ的確に認識することができる。これにより、その報知を手掛かりとして、ホッパ内への被破砕物の投入作業を、ロータやプッシャに過負荷を強いることなくより的確なタイミングで効率よく実行できるから、ロータやプッシャの過負荷に因る破砕具の破損も効果的に回避可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態の破砕機を含む破砕選別処理システムの一例を示す要部側面図
図2】前記破砕選別処理システムの要部平面図(図1の2A矢視図)
図3】前記破砕機の要部を拡大、横断して示す平断面図(図1の3A-3A線拡大断面図)及び一部拡大断面図
図4】前記破砕機の要部縦断側面図(図2の4A-4A線拡大断面図)
図5図3の5A-5A線拡大断面図
図6図5の6A矢視部の拡大断面図
図7図6の7A-7A線断面図
図8図5の8A矢視部の拡大断面図(図3の8A-8A線断面図)
図9】前記破砕機の制御ブロック図
図10】前記破砕機におけるモータから弾性カップリングを経てロータに至る伝動系を、図2と同じ方向から見た一部破断拡大平面図
図11図10の11A矢視図
図12】前記伝動系の変形例を示す模式的な平面図であって、(A)は第1変形例を示し、また(B)は第2変形例を示す
図13】前記伝動系の第3変形例を示す模式的な平面図(図11対応図)
図14】破砕機の別の実施形態を示す要部断面図(図8対応図)
図15】破砕刃30を単独で示す斜視図であって、(a)は実施形態の破砕刃を、また(b)はバリエーションの破砕刃をそれぞれ示す
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0015】
図1及び図2において、本発明に係る破砕機を用いた破砕選別処理システムは、被破砕物としてのベッドマットBMを無数の破砕片に細かく破砕可能な破砕機Dと、破砕機Dで破砕された破砕片を可燃物71と金属片72とに選別可能な選別装置Sと、破砕機Dの下部より破砕片を受け取って選別装置S内の上部に搬送するベルト式搬送コンベア1とを備える。
【0016】
選別装置Sは、中空の筐体40と、筐体40内に配設されて破砕機Dから生じる破砕片を可燃物71と金属片72とに選別する不図示の選別機と、設置面E上に筐体40を起立姿勢で固定、支持する筐体支持枠45とを主要部とする。筐体40の下部は、選別機で選別された可燃物71を排出させる可燃物排出シュート41と、同選別機で選別された金属片72を排出させる金属片排出シュート42とを一体に有する。その両排出シュート41,42は、下端が開放され且つ下方に向けて先窄まりの角筒状に各々形成される。
【0017】
そして可燃物排出シュート41及び金属片排出シュート42をそれぞれ出た可燃物71及び金属片72は、両排出シュート41,42に対応して筐体40下部に置かれた上面開放の可燃物用コンテナ73及び金属片用コンテナ74内にそれぞれ落下、貯留される。
【0018】
また筐体40内の上部には、前記搬送コンベア1の搬出部1oが延びている。そして、上記した選別機は、搬送コンベア1の搬出部1oより筐体40内に投入、落下した破砕片を可燃物71と金属片72とに選別する機能を発揮するよう構成される。
【0019】
斯かる選別機として、実施形態では、磁力を利用して鉄系金属片72と可燃物71とを一次選別する磁力式選別機と、エア圧を選別に利用して鉄系金属片72に混じる可燃物71を鉄系金属片72より分離(具体的には吹き飛ば)して筐体40内部の可燃物側ラインに誘導する空気式選別機とが併用されるが、このような併用タイプは、例えば特開2022-175482 号に開示されるように従来周知である。
【0020】
尚、上記した磁力式選別機又は空気式選別機に代えて/又は加えて、破砕物重量の大小に応じた選別が可能な重量式選別機を用いてもよい。また上記した各タイプの選別機は、基本的な構造・機能が何れも従来周知であるので、選別機に関するこれ以上の説明は省略する。
【0021】
一般的にベッドマットBMの構成材は、合成樹脂製の弾性マットや布製マットカバー等の可燃物と、弾性マットに内包されてベッドマットBMの骨格やばね材として機能する鉄系の金属部材(例えばフレーム枠、コイルばね等)とから成る。従って、ベッドマットBMを破砕機Dで破砕すると、その破砕片の大部分は、弾性マット材等が小さく破断された多数の可燃物71や、金属製のスプリング、フレーム等が小さく破断された多数の金属片72となる。
【0022】
図3図4も併せて参照して、破砕機Dは、ベッドマットBMを投入可能なホッパ10hを上部に一体的に有したボックス状の破砕機本体10と、その破砕機本体10内に収容され且つ回転自在に支持された円筒ドラム状のロータ20と、ロータ20を回転駆動する回転駆動源としてのモータMとを備える。ロータ20は、前記搬送コンベア1の搬入部1iの真上に配置されていて、その回転軸線が搬送コンベア1の搬送方向に沿うように延びている。
【0023】
尚、ホッパ10hへのベッドマットBMの投入作業は、人力で行ってもよいし、ベッドマットBMを把持可能な不図示の投入機械(例えばバックホー、フォークリフト等)で行ってもよい。
【0024】
破砕機本体10は、上面を開放したホッパ10hと、ホッパ10hの下端に連設されて内部に破砕室Xを画成する破砕室形成壁10wとを主要部としており、設置面E(例えば地面)上に立設した支持台11上に破砕室形成壁10wの底壁が固定、支持される。破砕室Aの一側部にロータ20が縦通、配置されており、そのロータ20の両端部は、破砕室形成壁10wの相対向する一対の側壁部にそれぞれ固定した軸受壁12に軸受13を介して回転自在に支持される。
【0025】
ロータ20の外周面には、破砕具としての多数のロータ20側の破砕刃30が軸方向位置及び周方向位置をずらせた配置で突設され、またそれら破砕刃30と協働してベッドマットBMを破砕可能な多数の破砕機本体10側の破砕刃30′が、ロータ20の母線に沿って等ピッチで一列に配列されると共に破砕機本体10に固定される。
【0026】
ところで本実施形態においてロータ20側の破砕刃30は、同一の軸方向位置に存する複数(図示例では2個)が周方向等間隔で配置されるが、その軸方向位置がずれるに従って周方向位置が徐々にずれる配置となっている。そのため、ロータ20の外周面には、その全域に亘り多数の破砕刃30が、軸方向にも周方向にも相互に間隔をおいて分散する配置となる。
【0027】
しかもこのロータ20側の破砕刃30の軸方向位置は、その各破砕刃30がロータ20の回転時に破砕機本体10側の多数の破砕刃30′の何れとも干渉せずに破砕刃30′の刃面に接近しつつ刃面間をすり抜けて回転し得るような位置に設定されている。
【0028】
而して、破砕室Xにおいては、ロータ20の正転に伴い、ロータ20側の破砕刃30が破砕機本体10側の破砕刃30′の刃面間をすり抜けて回転するのに伴い、その両破砕刃30,30′が互いに協働してベッドマットBMを効果的に破砕可能である。次に、図5図8も併せて参照して、両破砕刃30,30′の構造例について説明する。
【0029】
ロータ20の外周面には、複数の破砕刃30を設けるべき位置に対応して複数の凹部20aが設けられ、それら凹部20aに台座25がそれぞれ嵌合される。その台座25は、これの両側部に一対の第1ボルト26を以てロータ20に着脱可能に固定され、その各台座25に破砕刃30が後述する如く取付け角度を変更可能として取付けられる。
【0030】
各々の破砕刃30は,台座25に第2ボルト27を以て着脱可能に固着される円筒状の内部材31と、外周部に少なくとも1つの刃部32cを有し且つ中心孔の内周面が内部材31の外周面を全周に亘り囲繞する超硬合金製の外郭刃32とを備える。そして、それら内部材31及び外郭刃32相互の対向周面間は、緩衝材としてのロー材33を介してその全周に亘り一体的に接合される。内部材31は、外郭刃32と比べ低硬度の金属材で構成される。
【0031】
外郭刃32は、複数の刃部32cを有する正多角形状(図示例は正方形状)の板状に形成され、その外郭刃32の外周角部が、周方向等間隔置きに並ぶ刃部32cを構成する。台座25の外面には、一対の第1ボルト26間において横断面V字状の取付溝25vが形成され、その取付溝25vの一対の内側面には、外郭刃32の横断面V字状をなす一対の外側面32fが相対回転不能に嵌合、保持される。従って、外郭刃32(具体的には内部材31)を単一の第2ボルト27で固定しても外郭刃32が確実に回り止めされる。
【0032】
尚、取付溝25vの底部には、刃部32cとの干渉を回避するための逃げ25vcが横断面円弧状に凹設される。
【0033】
而して、一部の刃部32cが使用に伴い摩耗した場合には、第2ボルト27を一旦緩めて外郭刃32の位相を90度変更(即ち破砕刃30の取付角度を変更)した後、第2ボルト27を締め直すことで、摩耗した刃部32cを他の刃部32cを変更して使用できるようになる。このように破砕刃30の取付角度変更により複数の刃部32cを1つずつ順次、変更使用できるため、破砕刃30の交換頻度を低減してコスト節減が図られる。
【0034】
また実施形態の外郭刃32には、図6図7で明らかなように、刃部32cの先端面f1と同刃部32cの、ロータ20の逆転方向(図5で反時計方向)前側の端面f2とが交差する隅部において、上記先端面f1から上記端面f2に向かうにつれてロータ20軸線側に傾斜した稜線部、即ち面取り部32caが形成される。
【0035】
これにより、後述するようにロータ20(従って破砕刃30)が正転から逆転に切り替わった際に、上記隅部に特設した稜線部、即ち面取り部32caによって、該隅部が被破砕物と引っ掛かりにくくすることができるため、その引っ掛かりに起因して内部材31と台座25間の結合部に衝撃負荷が作用するのを防止できて、その結合部の負荷軽減が図られる。
【0036】
而して、実施形態の上記面取り部32caは、図15(a)で明らかなように、正多角形状をなす外郭刃32の外周角部で構成される刃部32cの先端面f1と同刃部32cの、ロータ20の逆転方向前側の端面f2とが交差する四隅部において形成されるが、そのバリエーションとして、図15(b)に例示したように外郭刃32の端面f2と外周面(四方の平面状の外側面)f3とで形成される各稜線部に面取り部f4を形成することで、周方向に隣り合う面取り部f4相互が交わる上記四隅部の稜線部に面取り部32caが形成されるようにしてもよい。
【0037】
また実施形態の内部材31は、図5図6で明らかなように、段付き円筒状に形成される。その関係で、内部材31と外郭刃32との相互の嵌合面には、その嵌合方向一方側に係合する環状段部状の凹凸係合部3sが形成される。従って、凹凸係合部3sは、前記第2ボルト27の締付力(即ちその締付け時に内部材31を軸方向で台座25側に引き寄せる力)を強固に受け止め可能である。
【0038】
次に破砕機本体10側の破砕刃30′について、主として図3図8を参照して説明する。ロータ20の外周近傍で破砕機本体10(より具体的には破砕室形成壁10wの底壁10wb)には、台座受け部材15′が固定(例えば溶接、ボルト止め等)され、更にその台座受け部材15′上に台座15が固定(例えば溶接、ボルト止め等)される。その台座15上には、複数の第1ボルト16を介して後述する支持板14が結合される。そして、破砕機本体10側の破砕刃30′は、上記台座15の、ロータ20側の端部に設けた複数の切欠き状凹部15aにそれぞれ嵌合され、且つ第2ボルト17で着脱可能に固定される。その複数の切欠き状凹部15aは、ロータ20の軸線に沿うよう互いに隣接して横並び状に配置され、その各々に複数の破砕刃30′が配列、固定される。
【0039】
破砕機本体10側の破砕刃30′の構成は、ロータ20側の破砕刃30と基本的に同様であって、具体的にはロー材33(緩衝材)を介して接合される内部材31・外郭刃32より成る分割構造である。また破砕機本体10側の破砕刃30′の台座15への固定手段は、ロータ20側の破砕刃30の台座25への固定手段と基本的に同様である。
【0040】
更に両破砕刃30,30′による破砕効果を高めるために、破砕機Dは、図4で明らかなように、ロータ20に向かって前後進可能として破砕機本体10に設けられるピストン状のプッシャPと、プッシャPを前後進駆動する前後駆動装置としての油圧シリンダCYとを備える。
【0041】
プッシャPは、破砕室形成壁10wの天井壁10wt内面に設けた上部ガイド面g1と、底壁10wb上面に固定した支持板14の上面に設けた下部ガイド面g2とにより前後方向(即ち平面視でロータ20の軸線と直交する方向)に摺動可能に案内、支持される。尚、実施形態では、支持板14の一端部が前記第1ボルト16で台座受け部材15′に結合され、また他端部が底壁10wbに適当な固定手段(例えば溶接、ボルト、係止具等)で固定される。
【0042】
上記支持板14は、これのロータ20側の先端縁部14sが平面視で内部材31及び第2ボルト17を迂回するような波形(図3の部分拡大図を参照)に形成される。そして、この波形形状により支持板14は、内部材31、ロー材33及び第2ボルト17の各外端部(即ち上端部)の全部、並びに外郭刃32の外端部(即ち上端部)の、先部を除く大部分を上方より被覆、保護している。
【0043】
尚、実施形態では、上記のようにプッシャPの下部を摺動可能に案内、支持する支持板14が、破砕刃30′の内部材31や第2ボルト17等の各外端部を被覆、保護する被覆保護手段に兼用されるものを示したが、支持板14とは別個に形成されて破砕機本体10の底壁部10wbに固定した不図示の専用の被覆保護部材により、内部材31や第2ボルト17等の各外端部を被覆、保護するようにしてもよい。
【0044】
また破砕室形成壁10wの、ロータ20とは反対側の後端壁10waと、これよりロータ20寄りの中間壁10wmとには、上記油圧シリンダCYのシリンダが固定される。また同シリンダCYのピストンロッドが、中間壁10wmより前側(即ちロータ20側)に延びてプッシャPの背部に連結される。
【0045】
更にプッシャPの背部と後端壁10wa間には、プッシャPの前後動を安定よく案内支持する複数の案内ロッド16が連結され、この案内ロッド16は、互いに摺動可能に嵌合する大径筒部・小径筒部を有してテレスコピック状に構成される。その案内ロッド16の大径筒部は、中間壁10wm及び後端壁10waに固定され、また小径筒部の先端がプッシャPに連結される。
【0046】
またプッシャPの前面(ロータ20との対向面)には、下半部を窪ませることでプッシャPをロータ20外周との間で挟んで把持し易くして破砕効率を高めるための凹部Poが設けられる。またプッシャPの前端部上面は、平面視矩形状の平板より構成されガイド面g1に摺接可能なカバー板Ptで一体的に覆われており、このカバー板Ptは、プッシャPの前端部より後方(図4で右方)に長く延出する。
【0047】
そして、カバー板Ptの前後長は、プッシャPが後退限(図4で実線位置)にあるときにカバー板Pt及びプッシャPがホッパ10hに下端開口に張り出さないが、前進限(図4で鎖線位置)にあるときにカバー板Ptの後端上部がなおガイド面g1に接する長さに設定される。この長さ設定により、プッシャPが後退限にあるときの破砕室Xの前後方向の有効スペースを十分広く確保可能となる一方で、プッシャPが前進限にあるときでも、破砕室X内の破砕片がプッシャP背面側の機構室に侵入するのをカバー板Ptで確実に阻止できる。
【0048】
また破砕室形成壁10wには、互いに平行する多数のスリット18sを有してロータ20の下半部を覆う横断面円弧状の覆い板18と、そのスリット18sを通して落下する破砕片を前記搬送コンベア1のコンベア搬入部1iに落下案内する下端開放且つ先窄まり状の排出シュート19とが固定される。
【0049】
ところで油圧シリンダCYを作動制御するための、図示しない油圧制御回路には、油圧シリンダCYの伸縮制御を担う制御弁装置VAが設けられ、この制御弁装置VAと、前記モータMへの通電制御を担うモータ制御部50とは、例えば図9に簡略的に示す制御ブロック図にて制御される。
【0050】
この制御ブロック図において、マイクロコンピュータを含む制御装置CUの入力側には、例えば、破砕処理を随時に開始させる破砕指令スイッチSW1と、破砕処理を随時に停止させる停止スイッチSW2、モータMの負荷変化を検出するモータ負荷センサSEm(例えば負荷電流又はトルクを検出するセンサ)と、モータMの過負荷状態に応じた逆転量を検出する逆転量センサSEm′と、油圧シリンダCYの負荷変化を検出するシリンダ負荷センサSEc(例えばシリンダ作動圧を検出する圧力センサ)と、油圧シリンダCYの過負荷状態に応じた収縮量(即ちプッシャPの後退量)を検出する後退量センサSEc′とが少なくとも接続される。一方、制御装置CUの出力側には、上記した制御弁装置VA及びモータ制御部50と、破砕処理状況(例えば破砕処理の余裕度)を報知する報知装置60とが少なくとも接続される。
【0051】
尚、制御装置CUは、破砕機Dの周辺に設置した不図示の制御盤に収納され、この制御盤の正面には、破砕指令スイッチSW1及び停止スイッチSW2が手動操作可能に設けられる。
【0052】
而して、制御装置CUは、破砕指令スイッチSW1の操作入力に基づいて破砕機D内で実行されるベッドマットBMの破砕処理過程において、通常はモータMでロータ20が正転(図4で時計方向に)駆動されると共に油圧シリンダCYでプッシャPを前後方向(図4で左右方向)にフルストロークで往復駆動される。このとき、プッシャPは、ホッパ10h経由で破砕室Xに投入されたベッドマットBMやその破砕片群をロータ20に向かって(従ってロータ20側の破砕刃30と、破砕機本体10側の破砕刃30′,30″とが相互に噛み合いつつベッドマットBMやその破砕片群を破砕する部位に向かって)強力に押込むことで効率よく破砕処理する。
【0053】
このような制御装置CUに基づく破砕処理の実行中において、モータMが過負荷状態(例えば負荷電流又はトルクが規定値以上)になったことをモータ負荷センサSEmが検出すると、それに応じて制御例1が実行(即ちモータMがロータ20を所定の逆転角度だけ又は過負荷状態が解消するまで逆転駆動された後で正転駆動)され、これにより、ロータ20に対する過負荷解消が図られる。また油圧シリンダCYが過負荷(例えばシリンダ作動圧が所定値以上)となったことをシリンダ負荷センサSEcが検出すると、それに応じて制御例2が実行(即ち油圧シリンダCYが所定の収縮量だけ又は過負荷状態が解消するまで収縮してプッシャPを後退させた後で再前進)させ、これにより、プッシャPに対する過負荷解消が図られる。
【0054】
尚、制御例1のようなモータMの制御は、上記の如くモータM(ロータ20)の過負荷状態が検出された場合に実行されるのみならず、油圧シリンダCY(プッシャP)の過負荷状態が検出された場合においても実行されるよう設定してもよい。また制御例2のような油圧シリンダCYの制御は、上記の如く油圧シリンダCY(プッシャP)の過負荷状態が検出された場合に実行されるのみならず、モータM(ロータ20)の過負荷状態が検出された場合においても実行されるよう設定してもよい。
【0055】
尚また、上記の如く過負荷状態の検出に応じてプッシャPを後退させた後で再前進させる過程では、油圧シリンダCYの伸長速度(即ちプッシャPの前進速度)を終始一定速度に設定してもよいし、或いは可変制御してもよい。特にその可変制御は、例えばプッシャPが再前進を開始してから途中位置までは高速で前進させ、その後に低速で前進させる制御例としてもよく、この制御例によれば、作業効率の低下を抑えつつ、プッシャPの押込みによる破砕処理効果を高め得る利点がある。
【0056】
さらに制御装置CUは、上記破砕処理の実行中におけるロータ20及びプッシャPの動きに応じて破砕処理に余裕度があるか否かを判定する余裕度判定部CUaを含む。その余裕度判定部CUaは、モータM(ロータ20)の回転状況、具体的には回転負荷(例えば負荷電流又はトルク)・逆転頻度・逆転量等のうちの少なくとも1つの数値に基づいて、ロータ20の正転に関係した破砕処理の余裕度の大小を判定可能である。より具体的に言えば、例えば、モータMの回転負荷又はトルクが規定値以下の場合や、単位時間当たりの逆転頻度が所定回数以下の場合や、過負荷に応じた逆転量が所定値以下の場合は、破砕処理に余裕があると考えられる。
【0057】
また油圧シリンダCY(プッシャP)の前後動状況、具体的には前進負荷(例えばシリンダ作動圧)・後退頻度・後退量等のうちの少なくとも1つの数値に基づいて、プッシャPの前後動に関係した破砕処理の余裕度の大小を判定可能である。より具体的に言えば、例えば、その前進負荷が規定値以下の場合や、単位時間当たりの後退頻度が所定回数以下の場合や、過負荷に応じた後退量が所定値以下の場合は破砕処理に余裕があると考えられる。
【0058】
そして、余裕度判定部CUaが余裕度有りと判定した場合は、報知装置60の表示部(例えばディプレイ)に、ホッパ10hへの被破砕物の投入がOKである旨の報知(例えば文字、記号又は図形等の表示)がなされる。報知装置60は、ホッパ10hへの投入作業を行う現場作業員から容易に視認可能な位置(例えばホッパ10hの上部側面等)に装着される。或いはまた、作業員が携帯可能な表示器、リモコン又はスマホに報知装置60としての機能を付与して、それら表示器、リモコン又はスマホを報知装置60として利用してもよい。
【0059】
尚、報知装置60としては、視覚的に報知する実施形態のような視覚報知装置に代えて/又は加えて、報知音又はメッセージを発する聴覚報知装置の使用も可能である。
【0060】
ところで図10図11で明らかなように、回転駆動源としてのモータMとロータ20との間の伝動系には、その間を伝動し且つその伝動時の衝撃を吸収緩和可能な単一の弾性カップリングCを介して接続される。特に実施形態の伝動系では、モータMとロータ20との間に歯車式の減速機Rが介装されており、弾性カップリングCは、減速機Rとロータ20との間に介設される。
【0061】
この弾性カップリングCは、例えば、減速機Rの出力軸に相対回転不能に結合した第1回転輪C1と、ロータ20の入力軸に相対回転不能に結合した第2回転輪C2と、その両回転輪C1,C2間を結合する弾性変形可能な弾性材(例えば比較的硬めの従来周知の防振ゴム)よりなる環状弾性部材C3とを備え、その環状弾性部材C3の弾性変形により両回転輪C1,C2間の伝動トルク変動や正逆転切替え時の衝撃を吸収緩和する。尚、弾性カップリングCの構造機能は従来周知であって実施形態には限定されず、即ち従来周知の様々な弾性カップリングを使用可能である。
【0062】
減速機R及びモータMは、破砕機本体10の側方で設置面E上に固定された支持台55に支持される。モータMの出力軸と減速機Rの入力軸とは互いに平行に延びており、その両軸にそれぞれ固定の出力歯車4と入力歯車5とは、支持台55に回転自在に軸支されたアイドラ歯車6を介して互いに噛合して連動回転する。
【0063】
また図12は、弾性カップリングCの配置の変形例を示すもので、特に(A)は、前記実施形態の構成に加えて、減速機RとモータM間にも弾性カップリングCが介装された第1変形例を示し、また(B)は、比較的小型の一対のモータMが単一のロータ20に並列に連動、連結され、ロータ20と一対のモータMとの間に弾性カップリングCが介設される第2変形例を示す。
【0064】
特に図12(B)の第2変形例では、ロータ20と一対のモータMとの間に共通1個の弾性カップリングCを介設した例が示されるが、図13には、第2変形例のバリエーションとなる第3変形例が示される。即ち、この第3変形例では、一方のモータMとロータ20の一端部との間、並びに他方のモータMとロータ20の他端部との間に各別に弾性カップリングCが介設され、従って、弾性カップリングCは、一対のモータMにそれぞれ対応して一対配備される。
【0065】
尚、第2,第3変形例では、減速機Rが省略された例を示すが、必要に応じて弾性カップリングCとロータ20間、及び/又は弾性カップリングCとモータM間に歯車式減速機Rを介設してもよい。
【0066】
尚また、第2,第3変形例では、一対のモータMが同一サイズ(従って出力性能も同一)のモータであるものを示したが、大型モータと小型モータを組み合わせて、通常の破砕処理時には大型モータのみ作動させ、特にロータ20を高トルクで駆動する際にだけ小型モータも作動させてアシストする構造としてもよい。この場合、常時作動させ続ける大型モータとロータ20間にのみ弾性カップリングCを配備してもよく、或いは小型モータとロータ20間にのみ弾性カップリングCを配備してもよい。
【0067】
次に前記実施形態の作用について説明する。
【0068】
ベッドマットBMの破砕・選別処理に当たっては、先ず、破砕処理スイッチSW1への操作入力により破砕機Dを作動させ(具体的には破砕刃30付きロータ20をモータMで正転駆動すると共にプッシャPを油圧シリンダCYで前後往復駆動し)、且つ搬送コンベア1及び選別装置Sを作動させた状態で、破砕機Dのホッパ10h内に被破砕物としてのベッドマットBMを適宜投入する。その投入に応じて破砕機DでベッドマットBMが破砕処理されると、その破砕片が搬送コンベア1で選別装置Sの筐体40内上部に搬送され、その搬送コンベア1の搬出部1oより選別装置Sの筐体40内に投入される。
【0069】
次いで、選別装置S内で無数の破砕片が可燃物71と金属片72とに選別され、その選別後に筐体40下部の可燃物排出シュート41から可燃物71が、また金属片排出シュート42から金属片72が排出、落下して、可燃物用コンテナ73及び金属片用コンテナ74内にそれぞれ収納される。可燃物用コンテナ73及び金属片用コンテナ74は、それらが可燃物71及び金属片72で満たされると、適宜の運搬手段(例えば運搬車)を用いて不図示の可燃物処理装置及び金属片処理装置まで各々搬送され、そこで従来周知の手法で適宜処理される。
【0070】
以上はベッドマットBMの破砕選別システムの概要であるが、特に破砕機Dの作動中においては、正転するロータ20に固定の多数の破砕刃30と、破砕機本体10に固定の多数の破砕刃30′,30″と、ロータ20に向かって前後方向に進退するプッシャPとの協働による破砕処理によって、破砕室X内でベッドマットBMが無数の破砕片に細かく砕かれ、それら破砕片は、覆い板18のスリット18s及び排出シュート19を通して搬送コンベア1のコンベア搬入部1i上に落下する。
【0071】
このような破砕処理過程において、制御装置CUは、モータMが過負荷状態(即ち負荷電流又はトルク値が規定値以上)になったのをモータ負荷センサSEmが検出すると、それに応じてモータMでロータ20を所定の逆転角度だけ又は過負荷状態が解消するまで逆転駆動した後で正転駆動して、ロータ20に対する過負荷解消を図る。一方、油圧シリンダCYが過負荷状態になったことをシリンダ負荷センサSEcが検出すると、それに応じて油圧シリンダCYでプッシャPを所定の後退量だけ又は過負荷状態が解消するまで後退させた後で再前進させて、プッシャPに対する過負荷解消を図る。
【0072】
尚、実施形態において、特に小型のモータMを使用した場合には、正転時の負荷電流又はトルク値の許容上限値が低くなる関係で、上記した規定値も低く設定される。従って、破砕処理中にロータ20を頻繁に逆転させることで被破砕物の破砕が可能となり、ロータ20の逆転頻度が高くなる傾向がある。
【0073】
ところで実施形態の破砕機Dは、破砕刃30付きロータ20の回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段S1(実施形態ではモータMの負荷電流又はトルクを検出可能なモータ負荷センサSEmや、モータMの過負荷に応じた逆転量を検出可能な逆転量センサSEm′や、モータMの逆転頻度を検出可能な制御装置CUの逆転頻度検出部)と、ロータ20に向かって前後進可能なプッシャPの前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段S2(実施形態では油圧シリンダCYの作動油圧を検出可能なシリンダ負荷センサSEcや、油圧シリンダCYの過負荷に応じた収縮量(即ちプッシャPの後退量)を検出可能な後退量センサSEc′や、プッシャPの後退頻度を検出可能な制御装置CUの後退頻度検出部)と、上記第1,第2検出手段S1,S2の各検出結果から破砕処理の余裕度を判定可能な判定手段、即ち制御装置CUの余裕度判定部CUaと、余裕度判定部CUaが破砕処理に余裕が有ると判定したときに報知作動する報知装置60とを備えている。
【0074】
これにより、作業者は、報知装置60による報知によって、破砕処理に余裕がある状況を、ロータ20の回転状況及びプッシャPの前後進状況を総合的に判断して精度よく簡単且つ的確に認識できる。従って、その報知を手掛かりとして、ホッパ10h内へのベッドマットBMの投入作業を、ロータ20やプッシャPに過負荷を強いることなく、より的確なタイミングで効率よく実行でき、併せて、ロータ20やプッシャPの過負荷に因る破損も効果的に回避可能となる。
【0075】
尚、前記実施形態では、ロータ20の回転状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第1検出手段S1と、ロータ20に向かって前後進可能なプッシャPの前後進状況を示す少なくとも1つの数値を検出可能な第2検出手段S2とを両方とも備え、その第1,第2検出手段S1,S2の両検出結果から破砕処理の余裕度を判定し、その破砕処理に余裕が有ると判定されたときに報知装置60を報知作動させるものを示したが、他の実施形態として、例えば第1,第2検出手段S1,S2の両方を備えるが、破砕状況によっては、第1,第2検出手段S1,S2の両検出結果から或いは何れか一方の検出結果から破砕処理の余裕度を判定し、その破砕処理に余裕が有ると判定されたときに報知装置60を報知作動させるようにしてもよい。更に別の実施形態として、例えば第1,第2検出手段S1,S2の何れか一方だけを備えると共に、その何れか一方の検出手段S1又はS2の検出結果から破砕処理の余裕度を判定し、その破砕処理に余裕が有ると判定されたときに報知装置60を報知作動させるようにしてもよい。
【0076】
また特に実施形態の破砕刃30,30′は、ロータ20及び破砕機本体10に各々台座25,15に固着される内部材31と、外周部に少なくとも1つの刃部32cを有し且つ内部材31の外周面を内周面が囲繞する超硬合金製の外郭刃32とを備え、それら内部材31及び外郭刃32の対向周面間が、緩衝材としてのロー部材33を介して一体的に接合される。これにより、破砕刃30,30′は、これの外周部が超硬合金製の外郭刃32で構成され、台座25,15に固定すべき内部材31や、内部材31及び外郭刃32間の接合部(実施形態ではロー材33)が、硬い外郭刃32で囲繞されて広範囲に保護されることから、破砕処理時に内部材31や接合部(ロー材33)が被破砕物と直接接触しにくくなる。従って、その内部材31や接合部(ロー材33)が上記接触に因り割れや摩耗、損傷を生じる事態や、外郭刃32と内部材31間が剥離する事態の発生を効果的に抑制可能となる。
【0077】
しかもロー材33は、外郭刃32と内部材31との対向周面間が周方向広範囲に亘りロー材33(緩衝材)を介して接合可能となって、破砕処理時に外郭刃32に加わる衝撃が、ロー材33(緩衝材)を介して分散して内部材31に緩衝的に伝わるため、その衝撃に対する緩衝効果が期待できる。以上の結果、破砕刃30,30′全体としての耐久性が大幅に向上する。
【0078】
また破砕処理時には破砕刃30,30′が摩擦熱で温度上昇して内部材31も熱膨張するが、その内部材31は低硬度である上、内部材31と外郭刃32との間に介在するロー材33が緩衝材となって、外郭刃32が上記熱膨張で過度に圧迫されるのを防止可能となる。
【0079】
また実施形態の内部材31と外郭刃32間の嵌合面には、その嵌合方向一方側に係合する凹凸係合部3sが形成される。これにより、内部材31及び外郭刃32相互がその嵌合面で軸方向一方側にずれ動くのを凹凸嵌合部3sで確実に規制できるから、内部材31に対する外郭刃32の結合強度が高められる。
【0080】
また特に内部材31は、台座25,15に第2ボルト27,17で結合され、第2ボルト27,17の締付力を上記凹凸係合部3sが受け止め得るので、破砕刃30,30′(内部材31)を台座25,15にボルト結合する時に、そのボルト締付力を凹凸係合部3sで確実に受け止めさせることができ、しかもボルト締付力を利用して内部材31に対する外郭刃32の結合強度を更に高めることができる。
【0081】
また実施形態の破砕機本体10側の台座15に固定される破砕刃30′においては、内部材31が、破砕機本体10側の台座15に第2ボルト17で結合され、外郭刃32の一部ならびに第2ボルト17及び内部材31の各外端部が、破砕機本体10に固定した板部材としての支持板17Aで覆われている。これにより、破砕処理時に外郭刃32の一部や内部材31及び第2ボルト17の各外端部が被破砕物と直接接触しにくくなり、その接触に因る外郭刃32の割れや、内部材31及び第2ボルト17の各外端部の摩耗、損傷が効果的に抑制可能となる。
【0082】
さらに実施形態の破砕機Dは、外周部に破砕刃30を有したロータ20と、ロータ20を回転駆動する回転駆動源としてのモータMとを備え、特にモータMとロータ20との間が、その間を伝動し且つその伝動時の衝撃を吸収可能な弾性カップリングCを介して接続される。これにより、破砕処理時にロータ20の正転・逆転が度々切替わっても、その切り替わりの際に発生する大きな衝撃を弾性カップリングCにより効果的に吸収可能となるため、その大きな衝撃がモータMやロータ20に伝わりにくくなるため、モータMや破砕刃30の破損を効果的に防止可能となる。従って、それらの耐久性向上が達成され、併せて、作動音や運転振動の低減も達成可能となる。
【0083】
その上、実施形態では、モータMとロータ20との間に歯車式の減速機Rが介装され、その減速機Rとロータ20との間に弾性カップリングCが介設される。これにより、ロータ20の正転・逆転を切り替えの際に、減速機R内の歯車の噛合部がバックラッシュにより衝撃を受けて損傷し易い構造であっても、その衝撃を弾性カップリングCにより効果的に吸収緩和でき、減速機Rの耐久性向上が達成される。
【0084】
また図12(A)に示す第1変形例では、減速機RとモータMとの間にも弾性カップリングCが介設されるので、ロータ20の正転・逆転を切り替えの際にモータMに伝わる衝撃も吸収緩和でき、従って、減速機Rのみならず、モータMの耐久性向上にも寄与することができる。
【0085】
また図12(B)及び図13に示す第2,第3変形例では、一対のモータMが単一のロータ20に並列に連動、連結され、ロータ20と一対のモータMとの間に弾性カップリングCが介設される。これにより、小型のモータMを2個使用してロータ20を回転駆動する場合であって、小型の両モータMの総トルクが大型のモータの出力トルクより低い場合には、ロータ20の正転・逆転を頻繁に切り替えて破砕処理する必要があり、この場合に衝撃の発生頻度も多くなるが、ロータ20と両モータM間に弾性カップリングCが介設されることで、小型のモータMの破損をより効果的に防止できる。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0087】
例えば、前記実施形態では、破砕具としての破砕刃30を外周部に有して破砕室Xに配設される刃付きロータ20が単一である1軸式の破砕機を例示したが、本発明の破砕機は、実施形態に限定されず、他のタイプの破砕機、例えば対をなす刃付きロータを有した2軸式破砕機であってもよい。
【0088】
また前記実施形態では、ロータ20の外周に剛体よりなる破砕刃30を固着したものを示したが、本発明では、破砕刃30以外の破砕具(例えば多数の破砕用チェーンの基端)を結着したチェーン式破砕機を破砕機として実施してもよい。
【0089】
また前記実施形態では、破砕機Dの破砕対象となる被破砕物としてベッドマットBMを例示したが、本発明の破砕機は、ベッドマットBM以外の被破砕物を破砕するためのものであってもよい。
【0090】
また前記実施形態では、図5図8で明らかなように、ロータ20側の(即ち回転刃となる)破砕刃30と、破砕機本体10側の(即ち固定刃となる)破砕刃30′との何れもが、ロー材33(緩衝材)を介して相互間が接合される内部材31・外郭刃32より成る分割構造としたものを示したが、本発明では、ロータ20側の(即ち回転刃となる)破砕刃30と、破砕機本体10側の(即ち固定刃となる)破砕刃30′とのうちの何れか一方の破砕刃だけを上記分割構造とし、その何れか他方の破砕刃を中実の(従って内部材31やロー材33を有しない)一体物で構成してもよい。
【0091】
例えば、図14には、ロータ20側の(即ち回転刃となる)破砕刃30を上記分割構造とする一方で、破砕機本体10側の破砕刃、即ち固定刃30″が中実の一体物で構成した別の実施形態が示されており、この別の実施形態では、固定刃30″を台座15に結合する第2ボルト17の外端部(即ち上端頭部)、並びに固定刃30″の先部を除く大部分が、破砕機本体10の底壁部10wb及び台座15に固定した支持板17Bの先部に被覆、保護される。これにより、破砕処理時に固定刃30″の一部や第2ボルト17外端部が被破砕物と直接接触しにくくなり、その接触に因る固定刃30″の割れや第2ボルト17の外端部の摩耗、損傷が効果的に抑制可能となる。
【0092】
また前記実施形態では、内部材31及び外郭刃32の対向周面間を接合するロー材33を、その間に介在してその間を緩衝的に接合する緩衝材として用いるものを示したが、内部材31及び外郭刃32の対向周面間を、ロー材33とは別の接合手段、例えばロー材とは材質が全く異なる溶接棒を用いた溶接により一体的に接合してもよい。その場合、溶接作業時に溶解した溶接棒の一部材料が、内部材31及び外郭刃32の対向周面間の接合部(即ち溶接部)に存する緩衝材となり、前記実施形態のロー材33と同等の作用効果を発揮可能となる。
【0093】
また前記実施形態では、モータMと減速機R間に介装されるトルク伝達機構が歯車式伝動機構であるものを示したが、そのトルク伝達機構として、歯車式伝動機構に代えて、巻掛式伝動機構(例えばベルト式伝動機構、チェーン式伝動機構)を用いてもよい。
【0094】
また前記実施形態では、ホッパ10h内に監視カメラが設置されていないが、必要に応じてホッパ10hに監視カメラを設置してもよい。この場合、作業員は、前述のような第1検出手段S1及び/又は第2検出手段S2の検出結果から余裕度判定部CUaが下した余裕度判定結果に基づく報知装置60の報知と、監視カメラの映像とを総合的に判断して、ホッパ10hへの被破砕物(ベッドマットBM)の投入タイミングを決めてもよく、これにより、その投入タイミングを、破砕機本体10内における破砕処理状況に応じて更に適切に決定可能となる。
【0095】
また前記実施形態では、ホッパ10h内に赤外線カメラが設置されていないが、必要に応じてホッパ10hに赤外線カメラを設置して、破砕室Xの特定部位(例えばロータ20、破砕刃30,30′,30″等)の温度を監視し、異常発熱が確認された場合に破砕機Dを全停止させるようにしてもよい。
【0096】
また前記実施形態では、ホッパ10h内に散水設備が設置されていないが、必要に応じてホッパ10hに散水設備を設けて、ホッパ10h内に対し所定のタイミングで散水してもよい。この場合、破砕処理中にホッパ10h内や破砕室X内で粉塵が飛散したり破砕刃30,30′,30″が摩擦で昇温しても、散水効果により粉塵飛散や破砕刃30,30′,30″の加熱が効果的に抑制される。
【0097】
また前記実施形態では、被破砕物としてのベッドマットBの発生量が多い都市部では、本発明の破砕機D及び選別装置Sを設置面Eに恒久的に設置される施設として利用し、またベッドマットBの発生量が少ない地方の市町村では、本発明の破砕機D及び選別装置Sの全部又は主要部を1個のコンテナに収納して、必要に応じて各市町村まで移動し、各市町村が共同で使用できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0098】
BM・・・・・被破砕物としてのベッドマット
CU・・・・・判定手段としての制御装置
CUa・・・・制御装置の余裕度判定部
CY・・・・・前後駆動装置としての油圧シリンダ
D・・・・・・破砕機
M・・・・・・回転駆動源としてのモータ
P・・・・・・プッシャ
S1,S2・・第1,第2検出手段
10・・・・・破砕機本体
10h・・・・ホッパ
20・・・・・ロータ
30・・・・・破砕具としての破砕刃
60・・・・・報知装置
図1
図2
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