(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013913
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】門扉駆動装置、並びに、自動開閉式門扉
(51)【国際特許分類】
E05F 15/632 20150101AFI20240125BHJP
E06B 11/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E05F15/632
E06B11/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116340
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】592026819
【氏名又は名称】伊東電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】内貴 英男
(72)【発明者】
【氏名】三木 一生
(72)【発明者】
【氏名】榎 利公
【テーマコード(参考)】
2E038
2E052
【Fターム(参考)】
2E038AA04
2E038CA21
2E038DD04
2E038DE01
2E052AA05
2E052DA09
2E052DB09
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC01
(57)【要約】
【課題】既設の門扉に取り付けることで、既設の門扉の自動開閉が可能となる門扉駆動装置を提供する。また、そのような門扉駆動装置を取り付けた自動開閉式門扉を提供する。
【解決手段】
既設の門扉に後付けされる門扉駆動装置であって、前記既設の門扉は、門扉本体と、突出部材22と、門扉本体から側方に離れた位置に配される補助車輪を有し、突出部材22は、門扉本体側から張り出して補助車輪を支持及び/又は囲う部材であり、門扉駆動装置は、蓄電池と、モータと、車輪66を有し、蓄電池の電力によってモータが回転し、モータの回転力が車輪66に伝導されるものであり、門扉駆動装置は、突出部材22に固定される固定部を有する構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の門扉に後付けされる門扉駆動装置であって、
前記既設の門扉は、門扉本体と、突出部材と、前記門扉本体から側方に離れた位置に配される補助車輪を有し、前記突出部材は、前記門扉本体側から張り出して前記補助車輪を支持及び/又は囲う部材であり、
門扉駆動装置は、蓄電池と、モータと、車輪を有し、前記蓄電池の電力によって前記モータが回転し、前記モータの回転力が前記車輪に伝導されるものであり、
門扉駆動装置は、前記突出部材に固定される固定部を有するものであることを特徴とする門扉駆動装置。
【請求項2】
前記蓄電池と前記モータと前記車輪を含むユニット体が前記固定部を介して前記突出部材に固定されることを特徴とする請求項1に記載の門扉駆動装置。
【請求項3】
前記突出部材は、前記張り出しの張出方向に長さを有する延設部を有し、
前記固定部、又は、前記ユニット体と前記固定部によって前記延設部の周方向の半分以上の部分が囲まれていることを特徴とする請求項2に記載の門扉駆動装置。
【請求項4】
太陽光によって発電する太陽光発電装置を有し、前記太陽光発電装置によって前記蓄電池を充電することを特徴とする請求項1又は2に記載の門扉駆動装置。
【請求項5】
前記車輪の回転中に音を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の門扉駆動装置。
【請求項6】
門扉と、請求項1に記載の門扉駆動装置を有し、
門扉は、門扉本体と、突出部材と、前記門扉本体から側方に離れた位置に配される補助車輪を有し、前記突出部材は、前記門扉本体側から張り出して前記補助車輪を支持及び/又は囲う部材であり、
門扉駆動装置は、蓄電池と、モータと、車輪を有し、前記蓄電池の電力によって前記モータが回転し、前記モータの回転力が前記車輪に伝導されるものであり、
門扉駆動装置は、前記突出部材に固定される固定部を有するものであることを特徴とする自動開閉式門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、門扉の扉体を駆動させる門扉駆動装置に関する。また、そのような門扉駆動装置を備えた自動開閉式門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
工場、会社、学校等の敷地の境界部分には、部外者の侵入を防止するための門扉が設けられている。このような門扉は、人力で開閉する際に大きな力が必要であり、開閉のための作業が大変であった。そこで、このような問題を解決するものとして、例えば、特許文献1に開示された電池電動式門扉がある。
【0003】
特許文献1の電池電動式門扉は、下側に平板状部分を有する門扉本体と、電動モータと、蓄電池と、充電器を有している。そして、平板状部分の上にそれぞれ電動モータと、蓄電池と、充電器とを載置して固定し、電動モータの軸と門扉本体の車輪に連なる軸とをギアを介して連結させた状態とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実願昭62-11308号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記した従来技術の電池電動式門扉は、門扉自体に車輪があるものであり、この車輪をモータで回している。したがって、敷地の境界部分にすでに門扉が設けられている場合、既設の門扉を廃棄し、既設の門扉に替わって電池電動式門扉を設置する必要があった。すなわち、従来技術には、既設の門扉をそのまま利用して自動で開閉可能とするという点において、改良の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、既設の門扉に取り付けることで、既設の門扉の自動開閉が可能となる門扉駆動装置を提供することを課題とする。また、そのような門扉駆動装置を取り付けた自動開閉式門扉に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、既設の門扉に後付けされる門扉駆動装置であって、前記既設の門扉は、門扉本体と、突出部材と、前記門扉本体から側方に離れた位置に配される補助車輪を有し、前記突出部材は、前記門扉本体側から張り出して前記補助車輪を支持及び/又は囲う部材であり、門扉駆動装置は、蓄電池と、モータと、車輪を有し、前記蓄電池の電力によって前記モータが回転し、前記モータの回転力が前記車輪に伝導されるものであり、門扉駆動装置は、前記突出部材に固定される固定部を有するものであることを特徴とする門扉駆動装置である。
【0008】
本様相の門扉駆動装置は、既設の門扉をそのまま利用して自動で開閉可能とすることができる。
【0009】
好ましい様相は、前記蓄電池と前記モータと前記車輪を含むユニット体が前記固定部を介して前記突出部材に固定されることである。
【0010】
係る様相によると、既設の門扉への取り付けが容易である。
【0011】
上記した好ましい様相は、前記突出部材は、前記張り出しの張出方向に長さを有する延設部を有し、前記固定部、又は、前記ユニット体と前記固定部によって前記延設部の周方向の半分以上の部分が囲まれていることがさらに好ましい。
【0012】
係る様相によると、簡単な構造でしっかりと既設の門扉に取り付けができる。
【0013】
好ましい様相は、太陽光によって発電する太陽光発電装置を有し、前記太陽光発電装置によって前記蓄電池を充電することである。
【0014】
係る構成によると、運用するだけで蓄電池が充電されるので、意図しない電池切れが起こり難い。
【0015】
好ましい様相は、前記車輪の回転中に音を出力することである。
【0016】
係る構成によると、車輪が回転して門扉本体が移動しているとき、その旨を門扉の周囲にいる人に報知できるので、門扉の開閉動作をより安全に行うことができる。
【0017】
本発明の他の様相は、門扉と、上記した門扉駆動装置を有し、門扉は、門扉本体と、突出部材と、前記門扉本体から側方に離れた位置に配される補助車輪を有し、前記突出部材は、前記門扉本体側から張り出して前記補助車輪を支持及び/又は囲う部材であり、門扉駆動装置は、蓄電池と、モータと、車輪を有し、前記蓄電池の電力によって前記モータが回転し、前記モータの回転力が前記車輪に伝導されるものであり、門扉駆動装置は、前記突出部材に固定される固定部を有するものであることを特徴とする自動開閉式門扉である。
【0018】
本様相においても、既設の門扉を利用して自動開閉式門扉を形成できるので、既設の門扉を廃棄したりする手間がかからず、導入が容易である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、既設の門扉の自動開閉が可能となる門扉駆動装置を提供できる。また、そのような門扉駆動装置を取り付けた自動開閉式門扉を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る自動開閉式門扉を敷地側からみた様子を示す説明図である。
【
図3】
図1の駆動装置本体の周辺を示す斜視図である
【
図4】
図3の駆動装置本体を示す図であって、(a)は、
図3とは異なる方向からみた様子を示す斜視図であり、(b)は背面図である。
【
図6】(a)は、
図4(a)の駆動装置本体を示す説明図であって、一部の部材を省略する共に筐体部を透過して筐体部内を模式的に示す図であり、(b)は、(a)の駆動部を示す平面図である。
【
図7】
図6の外郭部材を示す図であって、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図9】(a)は、
図5の固定用部材を示す斜視図であって、(b)は、(a)とは異なる実施形態に係る固定用部材を示す斜視図である。
【
図10】
図1とは異なる実施形態に係る自動開閉式門扉を敷地側からみた様子を示す説明図である。
【
図11】
図10の門扉を模式的に示す説明図であり、(a)は全閉状態を示し、(b)は全開状態を示す。
【
図12】
図10の駆動装置本体を示す図であって、(a)は斜視図であり、(b)は側面図である。
【
図13】
図10の駆動装置本体を示す図であって、(a)は背面図であり、(b)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、さらに本発明の実施形態に係る門扉駆動装置1について説明する。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、上下方向は
図1を基準に説明する。また、特に断りのない限り、門扉2の閉方向の先端側(
図1の左側)を前側とし、その逆側を後方とする。なお、ここでいう閉方向とは、門扉2を閉じる際の扉体20(門扉本体)の移動方向である。同様に、門扉2の開方向とは、門扉2を開く際の扉体20(門扉本体)の移動方向である。
【0022】
本実施形態の門扉駆動装置1は、
図1で示されるように、門扉2に取り付けて使用する駆動装置本体10と、ストッパ部材11と、壁側給電装置12を有している。つまり、駆動装置本体10を取り付けた門扉2と、ストッパ部材11と、壁側給電装置12(
図3参照)によって、扉体20の自動開閉が可能な自動開閉式門扉13が形成される。
【0023】
門扉2は、
図2で示されるように、扉体20と、走行部材21と、突出部材22を有している。
【0024】
扉体20は、全体の概形が横長の矩形状となる部材であり、本実施形態では、縦格子が水平方向(扉体20の長手方向)に並んで形成される格子パネル体である。扉体20は、厚さ方向の片側となる一方の主面が敷地側を向き、他方側となるもう一方の主面が敷地の外側(例えば、道路側)を向くように配されている。したがって、門扉2を全閉状態とすることで敷地の内外が区画される。なお、ここでいう扉体20の「厚さ方向」とは、水平面と平行であり、扉体20の上下方向及び長手方向と直交する方向(
図1における手前奥方向)である。
【0025】
走行部材21は、走行用の車輪であり、扉体20の下方に設けられている。
突出部材22は、少なくとも一部が扉体20側から側方外側に向かって張り出すように形成される部材である。本実施形態の突出部材22は、概形が略直方体状となっており、扉体20の下側を通過しつつ扉体20の厚さ方向に延びている。つまり、扉体20を基準として扉体20の厚さ方向の一方側に離れた位置から、扉体20の下側を経て、扉体20の厚さ方向の他方側に離れた位置まで延びている。
【0026】
つまり、突出部材22は、扉体20側から側方外側に向かって張り出しつつ(突出しつつ)延びる延設部22aを有する。そして、突出部材22の突出方向の端部側であり、延設部22aの張出方向の端部側となる部分に補助車輪25と、係止部材26が取り付けられている。
詳細には、突出部材22は、扉体20を挟んだ両側に延設部22aを有し(
図1の奥側の延設部22aについては図示しない)、それぞれの張出方向の端部側となる部分に補助車輪25と、係止部材26を有する。なお、2つの延設部22aのうちの一方(
図1の奥側の延設部22a)は、他方よりも張り出し長さが短い。
【0027】
補助車輪25は、延設部22a(突出部材22)に回転可能な状態で軸支(支持)される。詳細には、補助車輪25の回転軸の軸方向と、延設部22aの長手方向とが同方向となるように軸支されている。この補助車輪25は、主たる走行用の部材(主たる車輪)である走行部材21とは別途設けられる車輪であり、扉体20から側方に離れた位置(扉体20の厚さ方向で外側に離れた位置)に配される。
【0028】
係止部材26は、地面に取り付けたレール部材28と係合する部材であり、下側の一部が屈曲するように延びた立板状の部材である。
【0029】
ここで、突出部材22の突出方向の端部側部分は、下方が開放された箱状の部分となっている。すなわち、下方が開放された内部空間を有する。そして、補助車輪25、係止部材26は、上側の部分がこの内部空間の内部に位置し、下側の部分がこの内部空間の外部に配されている。すなわち、補助車輪25、係止部材26は、上方を突出部材22の一部である平板状の部分に覆われている。そして、補助車輪25、係止部材26の上側部分は、突出部材22の一部によって四方を囲まれた状態となっている。
【0030】
これに対し、補助車輪25、係止部材26の下側部分は、外部に露出した状態となっている。ここで、レール部材28は、溝部28aと、溝部28aの上側開口と隣接する溝隣接部28bを有している。そして、補助車輪25の下側部分は、溝隣接部28bと接触し、溝隣接部28b上を走行する。また、係止部材26の下側部分は、溝部28aの上側開口から溝部28aの内部に侵入し、溝部28aの内部で扉体20側に屈曲しつつ延びている。つまり、この下側で屈曲しつつ延びる鉤状部分がレール部材28と係合する係合部となる。
【0031】
なお、本実施形態の突出部材22は、詳細な図示は省略するが、扉体20の下側から厚さ方向の一方側(
図1の奥側)に張り出す部分と、扉体20の下側から厚さ方向の他方側(
図1の手前側)へ向かって張り出す部分(延設部22a)を有している。そして、厚さ方向の一方側に張り出す部分の張り出し長さが、他方側に張り出す部分の張り出し長さよりも短くなっている。そして、長手方向の両端にそれぞれ補助車輪25と、係止部材26を有する。そして、突出部材22の長手方向の両端にそれぞれ位置する係止部材26は、それぞれ別のレール部材28と係合する。
【0032】
駆動装置本体10は、
図3、
図4、
図5で示されるように、筐体部32と、駆動部33(
図4、
図5参照)と、発電装置34(太陽光発電装置)と、本体側給電装置35と、固定用部材36(固定部、
図5参照)を有する。
【0033】
筐体部32は、内部に空間を有する箱状の部材であり、
図4(a)で示されるように、上側に位置する天板部32aと及び傾斜壁部32bと、下側に位置する下板部32cを有する。また、前側に位置する前板部32dと、後側に位置する後板部32eと、これらの間で延びる2つの側壁部32fを有する。
【0034】
筐体部32の内部には、
図6(a)で示されるように、収容箱40が設けられている。すなわち、収容箱40は、筐体部32よりも小型の箱状部材である。収容箱40の内部には、蓄電池(図示しない)と、制御装置等の電装機器が収容されている。また、図示を省略するが、収容箱40の側壁部分には、内外を連通する配線用孔が形成されている。このことから収容箱40に収容した部材と、収容箱40の外部の部材との配線接続が可能となっている。なお、蓄電池は、繰り返し充放電することが可能な二次電池であり、リチウムイオン二次電池等の各種の二次電池を適用できる。また、本実施形態では、収容箱40に複数の蓄電池(本実施形態では2つ)が収容されている。
【0035】
また、下板部32cには、下板部32cを厚さ方向に貫通し、筐体部32の内外を連通する配線用孔部42が設けられている。このため、筐体部32内に収容された部材と、筐体部32の外部に位置する部材との配線接続が可能となっている。
【0036】
駆動部33は、
図6で示されるように、外郭部材47と、駆動機構部48を有している。
【0037】
外郭部材47は、
図7で示されるように、左右方向に延びる部材であり、平板状の上側板部50と、上側板部50の前端及び後端からそれぞれ垂下される第一立壁部51、第二立壁部52(
図5等参照)とが一体に形成されている。
【0038】
第一立壁部51、第二立壁部52は、前後方向に離れた位置に配されて離間対向する立板状の部分である。本実施形態の第一立壁部51、第二立壁部52は、いずれも概形が略台形立板状となっている。
【0039】
したがって、外郭部材47の内部には、上側板部50の下方であり、第一立壁部51と第二立壁部52の間となる位置に、駆動機構部48(
図6参照)の大部分を収容する収容空間部55が形成される。
ここで、
図7で示されるように、外郭部材47の内部には、2つの仕切壁部57が形成されている。この仕切壁部57は、厚さ方向が外郭部材47の長手方向と同方向となるように形成された立板状の部分であり、同長手方向における端部からやや中央側に離れた位置にそれぞれ設けられている。仕切壁部57は、仕切壁部57を厚さ方向に貫通する軸挿通孔57aを有する。この軸挿通孔57aは、後述するシャフト部材65(
図6参照)の一部を挿通可能な孔である。
【0040】
上側板部50には、
図7(a)で示されるように、上側板部50を厚さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔である上側孔部50aが設けられている。そして、外郭部材47は、上側孔部50aと隣接する位置に、上側板部50よりも上方に突出する立板状の突出板部59が形成されている。
【0041】
駆動機構部48は、
図8で示されるように、モータ内蔵ローラ60と、ローラ用固定部材61と、第一プーリ62と、第二プーリ63と、ベルト部材64と、シャフト部材65と、2つの駆動用車輪66(車輪)を有している。
【0042】
モータ内蔵ローラ60は、円筒状のローラ本体内にモータと減速機を内蔵して形成されたユニット体であり、ローラ本体の長手方向の両端にそれぞれ軸部を有する。本実施形態では、このモータ内蔵ローラ60のモータが門扉駆動装置1の動力源(駆動用のモータ)となる。すなわち、モータ内蔵ローラ60は、ローラ本体を外部の部材(本実施形態では外郭部材47、
図6参照)に固定して稼働することで、軸部が回転し、回転する軸部が出力軸となる。
【0043】
ローラ用固定部材61は、モータ内蔵ローラ60を外部の部材に固定する金具である。詳細には、上下方向に離れた位置に配される2つの固定片部61a(下側の固定片部については図示を省略する)と、2つの固定片部61aの間で延びる保持部61bを有する。
2つの固定片部61aは、いずれも立板状の部分であり、それぞれの厚さ方向が同方向となっている。保持部61bは、湾曲しつつ延びる板状部分であり、モータ内蔵ローラ60のローラ本体を保持する部分である。この保持部61bの内側部分には、ローラ本体の一部が略丁度嵌り込む湾曲面部分が形成されている。
【0044】
第一プーリ62は、モータ内蔵ローラ60の軸部(出力軸として機能する軸部)に固定される滑車であり、第二プーリ63は、丸棒状のシャフト部材65に固定される滑車である。そして、第一プーリ62と第二プーリ63にベルト部材64が懸架されることで、モータ内蔵ローラ60の動力を2つの駆動用車輪66に伝達する動力伝達部が形成されている。
つまり、モータ内蔵ローラ60が稼働して第一プーリ62が回転すると、ベルト部材64によって動力が伝達されて第二プーリ63が回転し、第二プーリ63と共にシャフト部材65が回転する。ここで、シャフト部材65の長手方向における両端側には、それぞれ駆動用車輪66が取り付けられている。このため、シャフト部材65が回転することで、2つの駆動用車輪66が回転する。以上のように、モータ内蔵ローラ60のモータの回転力が駆動用車輪66に伝導され、駆動用車輪66が回転する。
【0045】
駆動部33では、
図6(a)で示されるように、第一立壁部51と突出板部59からなる立板状部分に対し、ローラ用固定部材61を介してモータ内蔵ローラ60を固定している。
また、
図6(b)で示されるように、2つの仕切壁部57には軸受部68が設けられている。軸受部68は、軸受部材(ベアリング)と、軸受部材を仕切壁部57に取り付ける取付用金具から構成されている(
図6では作図の都合上、模式的に示す)。ここで、上記したように、2つの仕切壁部57には、それぞれ軸挿通孔57aが形成されている(
図7参照)。そして、2つの軸受部材それぞれの内輪の内側と、2つの軸挿通孔57aの内側にシャフト部材65が挿通された状態となっている。すなわち、シャフト部材65は、軸受部68の軸受部材を介して回転可能な状態で支持される。さらにまた、2つの駆動用車輪66のうちの一方は、一方の仕切壁部57よりも外側(左右方向の外側)に位置し、他方の駆動用車輪66は、他方の仕切壁部57よりも外側(左右方向の外側)に位置している。つまり、駆動部33では、外郭部材47にモータ内蔵ローラ60がローラ用固定部材61を介して取り付けられ、且つ、外郭部材47にシャフト部材65が回転可能に支持された状態で取り付けられることで、外郭部材47に駆動機構部48が取り付けられている。
【0046】
本実施形態では、
図6(a)で示されるように、筐体部32の下板部32cの下面に対し、駆動部33の上側板部50の一部を下側から接触させた状態で、筐体部32に駆動部33を固定している。このとき、下板部32cの配線用孔部42の少なくとも一部と、駆動部33の上側孔部50aの少なくとも一部とが上下方向で重なって連通孔を形成する。すなわち、筐体部32の内部空間と外郭部材47の収容空間部55と連通する連通孔が形成される。
そして、駆動部33の一部が筐体部32内に配されている。詳細には、突出板部59の大部分と駆動機構部48の一部(ローラ用固定部材61の一部等)とが筐体部32の内部に配されている。
【0047】
このような構造とすることで、筐体部32内の部材と駆動部33の部材との配線接続が可能となっている。本実施形態では、筐体部32内の蓄電池からモータ内蔵ローラ60に電力が供給されることで、モータ内蔵ローラ60が稼働する。
【0048】
発電装置34は、
図3で示されるように、太陽光の光エネルギーを光起電力効果により電池に変換して発電が可能な装置であり、具体的には、太陽電池セルを有する太陽電池パネルである。本実施形態では、この発電装置34と、上記した筐体部32内の蓄電池とが電気的に接続されており、発電装置34で発電した電力を蓄電池に充電(蓄電)可能な構造となっている。
【0049】
本体側給電装置35は、
図3で示されるように、壁側給電装置12と対となる部材であり、本体側給電装置35と壁側給電装置12が近接する位置に配されることで、電磁誘導を用いた非接触給電が行われる。そして、この非接触給電により、筐体部32内の蓄電池の充電が可能となっている。つまり、本体側給電装置35は、蓄電池を充電する非接触給電装置の受電側装置である。
【0050】
固定用部材36は、
図5、
図9(a)で示されるように、対となる2つの固定片部材70から構成される金具である。
【0051】
ここで、本実施形態の駆動装置本体10は、
図4、
図5等で示されるように、筐体部32及び筐体部32内の部材、駆動部33、発電装置34、本体側給電装置35がユニット化されてユニット体を形成している。すなわち、上記したように筐体部32に外郭部材47が取り付けられており、筐体部32内に蓄電池及び制御装置が収容されると共に外郭部材47に駆動機構部48が取り付けられている。そして、筐体部32の外側に発電装置34が取り付けられ、外郭部材47に本体側給電装置35が取り付けられている。つまり、筐体部32に外郭部材47を取り付けて形成される外郭形成部に対し、各種部材を収容、取り付けることでユニット体を形成している。
【0052】
そして、固定用部材36は、この筐体部32を含むユニット体を突出部材22に固定する部材である。つまり、固定用部材36は、駆動装置本体10を突出部材22に固定する際に、ユニット体と突出部材22の間に介在する部材である。
【0053】
固定片部材70は、
図9(a)で示されるように、固定板部70aと、連結板部70bと、載置板部70cを有する。固定板部70a、載置板部70cは、いずれも平板状部分であり、上下に離れた位置に配される。連結板部70bは、立板状の部分であり、固定板部70aと載置板部70cをつなぐ部分である。
【0054】
本実施形態の固定用部材36は、
図5で示されるように、2つの固定板部70aを下板部32cに固定することで、筐体部32に固定される(取り付けられる)。そして、詳細な図示を省略するが、2つの載置板部70cの上側であり、2つの連結板部70bの間となる位置に突出部材22の延設部22a(
図3等参照)を位置させることで、上記した筐体部32を含むユニット体を突出部材22に固定する。
【0055】
なお、固定用部材36で筐体部32を含むユニット体を突出部材22に固定する際には、筐体部32を突出部材22の上に配した状態として、筐体部32に2つの固定片部材70を固定してもよい(下板部32cに2つの固定板部70aを固定してもよい)。
この他、上記した連結板部70bと載置板部70cを取り付け前の状態では一つの立板状部分となるように形成し、取り付け作業時に折り曲げることで屈曲して延びた状態とすることも考えられる。つまり、下板部32cに2つの固定板部70aを予め固定し、筐体部32を突出部材22の上に載置した後に一つの立板状部分を折り曲げる、といった具合である。この場合、この折り曲げによって一つの立板状部分が屈曲して延びる連結板部70bと載置板部70cになる。
【0056】
つまり、取り付けが完了した状態において、2つの載置板部70cの上側であり、2つの連結板部70bの間となる位置に突出部材22の延設部22a(
図3参照)が位置していればよい。すなわち、延設部22aの周方向の全周、又は、一部を除いた大部分(半分以上の部分)が筐体部32及び固定用部材36に囲まれて、筐体部32を含むユニット体が突出部材22(延設部22a)に取り付けられればよい。
また、固定片部材70は、一時締結要素によって延設部22aに固定してもよい。なお、ここでいう「一時締結要素」とは、締結要素の一種であって、被締結物を取り外せるように結合する機械構成要素の総称であり、ねじやボルトナット等である。例えば、取付用のボルトで固定片部材70を延設部22aに取り付けてもよい。
【0057】
ストッパ部材11は、
図1で示されるように、支持板部材11aと、支持板部材11aに取り付けられた当接部材11bを有する。
支持板部材11aは、固定用の金具であり、平板状の一部が自動開閉式門扉13の設置場所の地面(本実施形態では敷地側の地面)に固定され、立板状の一部に当接部材11bが取り付けられている。当接部材11bは、ゴム板等の弾性部材であってもよく、スプリングやショックアブソーバを有する部材であってもよい。
【0058】
ここで、本実施形態の自動開閉式門扉13では、門扉2を全開状態とする場合等において(詳しくは後述する)、駆動装置本体10を後方側(
図1の右側)に移動させていく。この場合、門扉2が全開状態となる位置まで駆動装置本体10を移動させると、駆動装置本体10の第二立壁部52とストッパ部材11の当接部材11bとが当接する。このことにより、駆動装置本体10の後方へのさらなる移動が規制(阻止)される。すなわち、第二立壁部52がストッパ部材11と当接する当接壁部として機能する。また、当接部材11bは、当接の際の衝撃を緩衝する緩衝部材となる。第二立壁部52と当接部材11bは、少なくとも一方が緩衝部材として機能すればよい。すなわち、第二立壁部52は、ゴム等の弾性部材で形成してもよい。
【0059】
壁側給電装置12は、上記したように、蓄電池を充電する非接触給電装置の送電側装置である。この壁側給電装置12には、図示しない商用電源が電気的に接続されており、商用電源から供給される交流電力が入力される。そして、上記したように、本体側給電装置35(
図3参照)と壁側給電装置12が近接する位置に配されることで、電磁誘導を用いた非接触給電が行われ、筐体部32内の蓄電池が充電される。
【0060】
本実施形態では、
図1で示されるように、門扉2を全開状態とした際に、駆動装置本体10の本体側給電装置35と、塀に固定した壁側給電装置12とが近接する位置に配される。すなわち、門扉2を全開状態とした際に非接触給電による蓄電池の充電が行われる。
なお、この構成に限らず、塀に対する壁側給電装置12の取り付け位置(壁側給電装置12の配置位置)を変更することで、例えば、門扉2を全閉状態とした際に非接触給電による蓄電池の充電が行われる構成としてもよい。さらに、門扉2において扉体20が一定以上開いた状態とすることで、非接触給電による蓄電池の充電が行われる構成とすることも考えられる。なお、「扉体20が一定以上開いた状態」とは、扉体20が全開位置と全閉位置の間となる中途位置のうちのいずれかの位置に配された状態である。
【0061】
続いて、自動開閉式門扉13の開閉動作について説明する。
【0062】
本実施形態の自動開閉式門扉13は、
図1で示されるように、扉体20が全開位置に配されることで門扉2が全開状態となる。また、扉体20が全閉位置に配されることで門扉2が全閉状態となる(図示を省略する)。ここで、上記したように、駆動装置本体10が突出部材22に固定されていることから、駆動装置本体10が前後方向(
図1の左右方向)に移動することで、駆動装置本体10と共に突出部材22が移動する。そして、扉体20と突出部材22が一体に固定されていることから、突出部材22が移動することで扉体20も共に移動する。つまり、駆動装置本体10と共に扉体20及び突出部材22が移動する。
【0063】
詳細には、扉体20を全開位置に配したときの駆動装置本体10の配置位置を全開時位置とし、扉体20を全閉位置に配したときの駆動装置本体10の配置位置を全閉時位置としたとき、駆動装置本体10は、全開時位置と全閉時位置の間で移動することとなる。本実施形態では、外部のリモコン(図示しない)や、塀等の門扉2の傍に取り付けた操作パネル(図示しない)等の操作装置を操作することで、駆動装置本体10が前方又は後方に移動する。
【0064】
すなわち、操作装置が操作されると、操作装置から制御装置に信号が送信され、制御装置によってモータ内蔵ローラ60のモータが稼働する。このことにより、上記したように2つの駆動用車輪66が回転し、駆動装置本体10が走行する。
なお、操作装置で「閉」操作がされた場合には、駆動装置本体10が前方(閉方向であって
図1の左側)へ向かって走行する。そして、「開」操作がされた場合には、駆動装置本体10が後方(開方向であって
図1の右側)へ向かって走行する。ここで、駆動装置本体10を閉方向に移動させる場合と、開方向に移動させる場合とでは、モータの回転方向を異なる方向(逆方向)となる。つまり、いずれか一方の場合にはモータが正回転し、他方の場合にはモータが逆回転する。
【0065】
このとき、
図3で示されるように、駆動装置本体10の2つの駆動用車輪66(一方の駆動用車輪66については
図3では図示しない)は、レール部材28よりも扉体20側となる位置(
図1、
図2参照)に配されている。つまり、2つの駆動用車輪66は、扉体20とレール部材28の間となる位置に配され、設置場所の地面と接触する。
付言すると、ここでいう「レール部材28」は、2つのレール部材28のうち、駆動装置本体10が取り付けられている延設部22aの張り出し方向の先端側に位置するレール部材28である。また、ここでいう「地面」とは、土の表面に限定するものではなく、コンクリートや石板等によって土の表面が被覆されている場合には、コンクリートや石板等の表面を意味する。
【0066】
本実施形態では、駆動装置本体10の走行(モータの稼動)が開始されると、図示しないカウンタにより、モータのパルスのカウントを開始する。そして、予め規定されたパルス数(第1規定パルス数)に到達したことを条件として、駆動装置本体10の走行(モータの稼動)を停止させる。すなわち、パルス数が規定されたパルス数となり、駆動装置本体10が所定距離だけ走行したことが推定されると、駆動装置本体10の走行を停止する。
【0067】
上記した実施形態では、モータのパルス数が一定数(第2規定パルス数)以上となったとき、駆動装置本体10を減速(モータの回転を減速)してもよい。なお、この一定数(第2規定パルス数)は、上記した規定されたパルス数(第1規定パルス数)よりも小さい数である。
例えば、門扉2を全開状態から全閉状態に移行させる場合では、パルスのカウントを開始してからパルス数が一定数以上となると、駆動装置本体10が一定距離だけ走行して扉体20が全閉位置に近づいた状態となる。ここで、このまま扉体20が全閉位置に近づけていくと、扉体20が戸当たり等に強く衝突してしまうことが考えられる。したがって、上記したように、モータのパルス数が一定数以上となったことを条件として駆動装置本体10を減速し、扉体20を全閉位置よりもやや閉方向の手前側から減速することで、扉体20が戸当たり等に強く当接する(ぶつかる)ことを防止できる。
【0068】
なお、上記した実施形態では、パルス数が予め規定されたパルス数に到達したことを条件として駆動装置本体10の走行を停止(モータの稼働を停止)させたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、モータに流れる電流(モータ電流)を検出する電流検出部(電流検出回路)を設け、モータ電流に基づいてモータの稼働を停止させてもよい。
例えば、門扉2を全閉状態に移行させる場合では、上記したように、扉体20が閉方向に移動していくことで門扉2が全閉状態に移行し、扉体20が戸当たり等と接触した状態となる。ここで、門扉2が全閉状態となってもそのままモータを稼働させた場合、扉体20が戸当たり等と接触した状態で駆動装置本体10が閉方向に向かおうとするため、全閉状態への移行中と比べてモータの負荷が増大する。この結果、モータ電流が増大する。
【0069】
以上のことから、モータ電流が一定以上となったことを条件として、モータの稼働を停止してもよい。このモータの稼働を停止させる動作は、上記したパルス数が一定数(第2規定パルス数)以上となった際にモータの回転を減速する動作と組み合わせて実行してもよい。
つまり、扉体20が戸当たり等に近接していくと扉体20の移動速度が低減され、扉体20がゆっくりと戸当たり等に当接する。そして、モータ電流が一定以上となったとき、すなわち、扉体20が戸当たり等と当接して全閉状態となっていることが確認されたことを条件として、モータの回転が停止される。なお、モータ電流の時間当たりの増加量が一定以上となったことを条件として、モータの稼働を停止してもよい。
付言しておくと、全開状態に移行させる場合には、駆動装置本体10が後方へ移動していくことでストッパ部材11(
図1参照)に当接する。したがって、全開状態に移行させる場合も同様に、全開状態でモータを稼働させつづけると、全開状態への移行中と比べてモータの負荷が増大し、モータ電流が増大することとなる。つまり、全開状態に移行させる場合もまた同様に、モータ電流が一定以上となったことを条件としてモータの稼働を停止する構成としてもよい。
【0070】
ここで、モータ電流を検出する電流検出部を設ける場合には、門扉2の開閉動作中に人や異物が挟まる等した場合に、自動で開閉動作を停止させてもよい。
例えば、全閉状態への移行中に扉体20と戸当たり等の間に人や車が挟まってしまった場合、そのまま駆動装置本体10が走行しようとすることでモータの負荷が増大し、モータ電流が増大する。したがって、門扉2の開閉動作中にモータ電流が一定以上となったこと、又は、時間当たりの増加量が一定以上となったことを条件として駆動装置本体10の走行を停止してもよい。
【0071】
上記した実施形態では、駆動装置本体10の走行を制御する際にパルス数で制御する例を示したが、駆動装置本体10の走行距離に基づいて制御を行ってもよい。すなわち、モータのパルスからモータの積算回転数を算出し、算出した積算回転数と、走行輪(駆動用車輪66)の回転数と周長に基づいて駆動装置本体10の走行距離を算出する。そして、算出した走行距離に基づいて駆動装置本体10の走行を停止させる、といった具合である。
【0072】
上記した実施形態の固定用部材36は、2つの固定片部材70から構成されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。
例えば、固定用部材136(固定部)は、
図9(b)で示されるように、1つの固定片部材で構成されるものでもよい。固定用部材136は、上板部136aと、上板部136aから垂下される2つの立板部136bと、2つの立板部136bのそれぞれの下端部分と連続する2つの載置板部136cを有している。2つの立板部136bは、離間対向しており、立板部136bと載置板部136cは屈曲しつつ延びている。
上記と同様に、立板部136bと載置板部136cは、一つの立板状部分となるように形成しておき、取り付け時に折り曲げることが考えられる。すなわち、取り付けが完了した状態において、上板部136aと2つの載置板部136cの間であり、一方の立板部136bと他方の立板部136bの間となる位置に延設部22a(
図3参照)が位置していればよい。
【0073】
上記した実施形態の門扉駆動装置1では、モータ内蔵ローラ60の動力を伝達する動力伝達部を形成した。そして、モータ内蔵ローラ60が稼動すると、動力伝達部によって動力がシャフト部材65に伝達されてシャフト部材65が回転し、2つの駆動用車輪66が回転する構造とした。つまり、駆動用のモータであるモータ内蔵ローラ60のモータの動力(回転)を2つの駆動用車輪66が間接的に受けて回転する構造とした。しかしながら、本発明はこれに限るものではない。
例えば、駆動用のモータの出力軸に車輪を取り付け、2つの駆動用車輪の一方とすることが考えられる。この場合、2つの駆動用車輪の一方が駆動用のモータの動力(回転)を直接的に受けて回転する構造となる。なお、この場合、2つの駆動用車輪の他方は空転する従動ローラとしてもよい。また、駆動用車輪は、2つに限らず一つでもよく、3以上としてもよい。
【0074】
上記した実施形態では、駆動装置本体10を操作する操作装置として、外部のリモコンや塀等に取り付けた操作パネルの例を説明した。しかしながら、駆動装置本体10を操作する操作装置はこれに限るものではない。例えば、遠隔操作用の操作装置として、外部のPCを採用してもよく、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル端末を採用してもよい。
【0075】
上記した実施形態の門扉2は、1つの扉体20を移動させて開閉する片開きの引戸門扉であったが、門扉駆動装置1を取り付ける門扉は、2つの扉体20を移動させて開閉する両開きの引戸門扉であってもよい。この場合、門扉2が全閉状態から全開状態に移行する際には、2つの扉体20が互いに離れる方向に移動し、全開状態から全閉状態に移行する際には、2つの扉体20が互いに近づく方向に移動する。つまり、一方の扉体20と他方の扉体20とでは、開方向、閉方向のそれぞれが逆方向となる。そして、この場合、一方の扉体20と一体に形成された突出部材22と、他方の扉体20と一体に形成された突出部材22のそれぞれに別の駆動装置本体10を取り付けてもよい。
また、この場合、全閉状態に移行するときにそれぞれの扉体20が他方の扉体20と当接することとなる。
【0076】
上記した実施形態の門扉駆動装置1は、駆動装置本体10と、ストッパ部材11と、壁側給電装置12を有する構成としたが本発明はこれに限るものではない。例えば、ストッパ部材11と壁側給電装置12を有さない構成とし、駆動装置本体そのものが門扉駆動装置となる構成としてもよい。この場合、本体側給電装置35を設けない構成としてもよい。
【0077】
上記した実施形態では、
図1で示されるように、扉体20の開方向の端部(
図1の右端部)の下方側となる位置に駆動装置本体10を取り付けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、
図10で示されるように、駆動装置本体310は、扉体320(門扉本体)の閉方向の端部(
図1の左端部)の下方側となる位置に取り付けてもよい。
【0078】
以下、上記した実施形態とは異なる実施形態に係る門扉駆動装置301について詳細に説明する。なお、上記した実施形態と同様の部分については、同じ符号を付し重複する説明を省略する。
【0079】
本実施形態の門扉駆動装置301は、
図10で示されるように、門扉302に取り付けて使用する駆動装置本体310と、外部制御装置315と、錠箱部材318を有している。すなわち、駆動装置本体310を取り付けた門扉302と、外部制御装置315と、錠箱部材318によって、扉体320の自動開閉が可能な自動開閉式門扉313が形成される。
【0080】
門扉302は、
図11で示されるように、複数枚の扉体320を有し、開状態(全開状態)とした際に、複数枚の扉体320が厚さ方向で重なるように配される複連式の引戸門扉である。
すなわち、門扉302は、複数の扉体320(第一扉体320a、第二扉体320b、第三扉体320c)と、それぞれの扉体320と一体に形成される複数の突出部材22を有している。
【0081】
突出部材22は、上記と同様に、扉体320の下側を通過しつつ扉体20の厚さ方向に延びている。すなわち、突出部材22は、扉体320の下側を挟んだ両側の一方が、扉体320の一方の主面側で敷地の外側(
図10の奥側、詳細な図示を省略する)に向かって延びている。対して、扉体320の下側を挟んだ両側の他方が、扉体320の他方の主面側で敷地の内側(
図10の手前側)に向かって延びている。
【0082】
本実施形態の突出部材22もまた、上記した実施形態と同様に、扉体320を挟んだ両側にそれぞれ延設部22aを有しており(
図10の奥側の延設部22aについては図示しない)、長手方向の両端に車輪を有する(詳細な図示を省略する)。
なお、本実施形態の門扉302では、長手方向の一方側(
図10の奥側)の車輪が主たる走行用の部材であり、他方側(
図10の奥側)の車輪が補助車輪として機能する。すなわち、上記した実施形態では、主たる車輪が扉体20の下側に位置したのに対し、本実施形態では、主たる車輪が扉体320から側方(敷地の外側となる側方)に離れた位置にある。付言すると、長手方向の一方側の延設部22a(
図10の奥側の延設部22aであり図示しない)は、他方側の延設部22aよりも短く、主たる走行用の車輪が補助車輪よりも扉体320に近接する位置に配される。
つまり、本実施形態においても、補助車輪は、主たる車輪とは別途設けられる車輪となっており、門扉302から側方に離れた位置に配されている。本実施形態では、主たる車輪よりも遠い位置に補助車輪が配されている。
【0083】
駆動装置本体310は、
図12、
図13で示されるように、筐体部32と、駆動部333と、発電装置34と、固定用部材36(
図12(b)参照)を有している。さらに、筐体部32の前板部32dの前方にセンサ部材338が取り付けられている。
本実施形態の駆動装置本体310は、センサ部材338を有している点と、駆動部333の外郭部材347が弾性外板部353を有している点が上記した実施形態と異なる。
【0084】
センサ部材338は、外部制御装置315と信号の送受信が可能な部材である。
【0085】
本実施形態の駆動部333もまた、外郭部材347と駆動機構部48(
図8参照)を有しており、外郭部材347に駆動機構部48を取り付けている。
【0086】
本実施形態の外郭部材347は、
図13(a)で示されるように、長手方向の両端側にそれぞれ弾性外板部353が設けられている。より詳細には、
図12等で示されるように外郭部材347の第一立壁部351、第二立壁部352の長手方向の両端部分が弾性外板部353となっている。
【0087】
弾性外板部353は、金属製の立板状部分である取付片部356と、ゴム等の弾性材料で形成された弾性板部357を有する。取付片部356と弾性板部357は、厚さ方向が同方向(前後方向)となるように配されており、弾性板部357の下端部分は、取付片部356の下端部分よりも低位置まで延びている。このことから、駆動用車輪66から前後方向のそれぞれに離れた位置に、弾性板部357が配されている。したがって、駆動用車輪66の外周面のうちで前方を向く部分及び後方を向く部分と、2つの弾性板部357のそれぞれの内側面とが離間対向している。
【0088】
外部制御装置315は、筐体部材の内部に制御部(制御基板)と、センサ部材338から送信された信号を検知(受信)する検知部(受信部)を有する。
また、本実施形態では、筐体部材に音声出力手段(図示しない)が取り付けられている。すなわち、本実施形態の門扉駆動装置301は、音声出力手段を有する。この音声出力手段は、具体的にはスピーカである。
【0089】
錠箱部材318は、箱部材の内部にモータ等の動力部と、外部から送信された信号を受信する受信部を有しており、少なくとも一部が箱部材から出退するデッドボルトを有している。そして、錠箱部材318は、外部から送信された信号に基づいてデッドボルトを出退する動作を実行する。デッドボルトは、扉体320(第一扉体320a)に設けられた受部(図示しない)と係合可能な部分である。
つまり、本実施形態の自動開閉式門扉313では、門扉302を閉状態(全閉状態)としてデッドボルトを突出させることで施錠状態へ移行させることができる。言い換えると、扉体320(第一扉体320a)が全閉位置に配された状態で、デッドボルトを突出させる動作を実行することにより、デッドボルトと受部が係合して施錠状態となる。また、自動開閉式門扉313が施錠状態であるとき、デッドボルトを退入させる動作を実行することで、自動開閉式門扉313を開錠状態に移行させることができる。このように、本実施形態の自動開閉式門扉313は、施錠状態と開錠状態の間で切り替えが可能となっている。
【0090】
本実施形態の門扉駆動装置301は、駆動装置本体310が第一扉体320aの下側で外側に張り出した延設部22aに取り付けられている。このため、駆動装置本体310が前後方向に移動することで、第一扉体320aが前後方向へ移動する。
ここで、門扉302を全閉状態とする際には、駆動装置本体310を閉方向(
図10の左側)に移動させることで第一扉体320aが閉方向に移動する。そして、第一扉体320a、第二扉体320b、第三扉体320cが連結されていることから、第一扉体320aが閉方向に移動することで、第二扉体320b、第三扉体320cも連動して閉方向に移動する(
図11参照)。すなわち第一扉体320aに引かれて第二扉体320bも閉方向に移動し、第二扉体320bに引かれて第三扉体320cも閉方向に移動する。
【0091】
対して、門扉302を全開状態とする際には、駆動装置本体310を開方向(
図10の右側)に移動させることで第一扉体320aが開方向に移動する。そして、第一扉体320aと連動して第二扉体320b、第三扉体320cも開方向に移動するすなわち、第一扉体320aに押されて第二扉体320bも開方向に移動し、第二扉体320bに押されて第三扉体320cも開方向に移動する。
【0092】
ここで、本実施形態の門扉駆動装置301は、駆動装置本体310のセンサ部材338と外部制御装置315とが信号の送受信をすることで、駆動装置本体310、外部制御装置315間の距離を取得(検知)できる。すなわち、駆動装置本体310と外部制御装置315がどの程度離れているのかを検出できる。
【0093】
このことから、外部制御装置315に対する駆動装置本体310の位置が検知できるので、駆動装置本体310が全開時位置と全閉時位置の間で移動するとき、駆動装置本体310の移動距離(走行距離)を推定できる。
例えば、門扉302を全開状態から全閉状態とするとき、駆動装置本体310が全開時位置から全閉時位置に向かって移動していくと、駆動装置本体310が外部制御装置315に近づいていく。このため、外部制御装置315に対する駆動装置本体310の位置を検知することで、駆動装置本体310の移動距離を推定できる。
同様に、門扉302を全閉状態から全開状態とするときもまた、駆動装置本体310が全開時位置に向かって移動していくと、駆動装置本体310が外部制御装置315から離れていく。このため、この場合においても、外部制御装置315に対する駆動装置本体310の位置を検知することで、駆動装置本体310の移動距離を推定できる。
【0094】
本実施形態においても、上記した実施形態と同様に、駆動装置本体310が全閉時位置(又は全開時位置)に近づいたとき、すなわち、駆動装置本体310が一定距離だけ走行したときに、駆動装置本体310を減速する動作を実行してもよい。すなわち、駆動装置本体310と外部制御装置315の間の距離が所定距離となったことを条件として、駆動装置本体310を減速する動作を実行してもよい。
また、駆動装置本体310が所定距離だけ走行したことが推定されると、駆動装置本体310の走行を停止する。
【0095】
ここで、本実施形態の門扉駆動装置301は、走行中に音声出力手段から音を出力する移動報知動作を実行する。
すなわち、門扉駆動装置301が走行して駆動用車輪66が回転しているとき、扉体320は、門扉駆動装置301の走行に伴って移動する。移動報知動作は、扉体320が移動中であることを周囲の人に報知する動作であり、例えば、「扉が移動しています」といったメッセージ(音声)や、「扉を開いています」、「扉を閉じています」といったメッセージを出力する動作であってもよい。この他、警告音を連続又は断続して出力する動作であってもよく、所定の音楽(楽曲)を出力する動作であってもよい。
移動報知動作は、センサ等によって駆動用車輪66が回転していることが検知されたことを条件として開始し、駆動用車輪66の回転が停止したことが検知されたことを条件として終了する動作であってもよい。この他、操作装置で「閉」操作や「開」操作がされたことを条件として開始してもよい。そして、上記したように、モータ電流が一定以上となったことや、駆動装置本体310が所定距離だけ走行したことを条件として停止してもよい。
加えて、上記したように開閉動作中に人や車が挟まってしまったことが検知された場合、その旨を報知する異常報知動作を実行してもよい。この場合、移動報知動作を停止して、異常報知動作を実行してもよい。
【0096】
また本実施形態の門扉駆動装置301は、自動で施錠状態と開錠状態を切り替える施開錠動作を実行可能となっている。すなわち、操作装置で「閉」操作が実行される等によって門扉302が全閉状態へ移行するとき、扉体320(第一扉体320a)が全閉位置に配されていることが検知又は推定されたことを条件として、デッドボルトを自動で突出させる動作を実行する。すなわち、上記したようにモータ電流が一定以上となったことや、駆動装置本体310が所定距離だけ走行したこと等を条件として、外部制御装置315から錠箱部材318へ信号を送信し、デッドボルトを自動で突出させる。このことにより、自動開閉式門扉313が施錠状態となる。
また、自動開閉式門扉313が施錠状態であるとき、操作装置で「開」操作が実行される等によって門扉302が全開状態への移行が開始されたことを条件として、デッドボルトを自動で退入させる動作を実行する。すなわち、外部制御装置315から錠箱部材318へ信号を送信し、デッドボルトを自動で退入させる。このことにより、自動開閉式門扉313が開錠状態となる。
【0097】
上記した実施形態では、外部制御装置315を内蔵する筐体部材に音声出力手段を取り付けた例について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、駆動装置本体310の筐体部32に音声出力手段を取り付けてもよい。すなわち、筐体部32を含むユニット体の一部として音声出力手段を設けてもよい。門扉302の周辺に位置する塀や柱等に音声出力手段を取り付けてもよい。
【0098】
上記した実施形態では、戸当たりとして機能する柱側に錠箱部材318を設け、扉体320に受部を設けた例を示したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、戸当たりとして機能する柱側に受部を設け、扉体320に錠箱部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1,301 門扉駆動装置
2,302 門扉
20,320 扉体(門扉本体)
22 突出部材
25 補助車輪
34 発電装置(太陽光発電装置)
36,136 固定用部材(固定部)
66 駆動用車輪(車輪)