(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139138
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】訓練コンテンツ作成システム及び訓練コンテンツ作成方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20241002BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241002BHJP
G06F 3/04815 20220101ALI20241002BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G06T1/00 200D
G06T19/00 C
G06F3/04815
G06F3/01 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049949
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 貴之
(72)【発明者】
【氏名】ロハスフェレール,セサル・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】勝又 大介
(72)【発明者】
【氏名】加畑 亮一
(72)【発明者】
【氏名】成田 賀仁
(72)【発明者】
【氏名】菊地 克朗
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA09
5B050BA10
5B050BA20
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B050FA13
5B050GA08
5E555AA27
5E555AA33
5E555AA79
5E555BA02
5E555BA38
5E555BB02
5E555BB38
5E555BD07
5E555BE17
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5E555DA08
5E555DB37
5E555DC09
5E555DC75
5E555DD05
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】作業の訓練コンテンツの作成において、干渉する3DCGオブジェクトを変形することなく対処する。
【解決手段】訓練コンテンツ作成システム1は、仮想空間に配置された機器のオブジェクトをディスプレイに表示して機器に対する作業の訓練を行う訓練コンテンツを作成する。干渉判定プログラム163は、シナリオの分析結果に基づいて、複数の部品の中で第1の部品と干渉する第2の部品を特定する。コンテンツ生成プログラム161は、第1の部品と干渉すると特定された第2の部品を、第1の部品の部品配置ファイルに登録する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間に配置された機器のオブジェクトをディスプレイに表示して該機器に対する作業の訓練を行う訓練コンテンツを作成するための訓練コンテンツ作成システムであって、
前記仮想空間における前記機器を構成する複数の部品の動作を定義する部品動作定義情報と、前記仮想空間における該複数の部品の配置を該部品毎に定義する部品配置情報と、を記憶する記憶部と、
前記部品動作定義情報及び前記部品配置情報に基づいて前記訓練コンテンツを生成するコンテンツ生成部と、
前記部品動作定義情報に基づいて、前記訓練コンテンツのシナリオを分析するシナリオ分析部と、
前記複数の部品の中での部品同士の干渉を判定する干渉判定部と、を有し、
前記干渉判定部は、
前記シナリオ分析部による前記シナリオの分析結果に基づいて、前記複数の部品の中で第1の部品と干渉する第2の部品を特定し、
前記コンテンツ生成部は、
前記干渉判定部によって前記第1の部品と干渉すると特定された前記第2の部品を、該第1の部品の前記部品配置情報に登録する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項2】
請求項1に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記コンテンツ生成部は、
前記機器を構成する前記複数の部品をGUI(Graphical User Interface)に表示し、
前記GUIに表示された前記複数の部品の中から、ユーザによって選択された前記第1の部品を、該GUIを介して受け付け、
前記ユーザによって選択された前記第1の部品と干渉する部品として前記干渉判定部によって特定された前記第2の部品を、前記GUIに表示し、
前記GUIに表示された前記第2の部品の中で、前記ユーザによって前記部品配置情報に登録すると指定された前記第2の部品を、該GUIを介して受け付け、
前記部品配置情報に登録すると指定された前記第2の部品を、前記第1の部品の前記部品配置情報に登録する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項3】
請求項2に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記コンテンツ生成部は、
前記ユーザによって選択された前記第1の部品が、前記機器に固有の部品及び他の機器と共通して用いられる共通部品の何れであるかを判定し、
前記干渉判定部は、
前記第1の部品が前記固有の部品である場合に、該第1の部品と干渉する前記第2の部品を特定する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項4】
請求項2に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記コンテンツ生成部は、
前記シナリオ分析部によって分析された前記シナリオ毎に、前記機器を構成する前記複数の部品をGUI(Graphical User Interface)に表示し、
前記GUIに表示された前記複数の部品の中から、前記ユーザによって選択された前記第1の部品を、該GUIを介して受け付け、
前記ユーザによって選択された前記第1の部品と干渉する部品として前記干渉判定部によって特定された前記第2の部品を、前記GUIに表示し、
前記GUIに表示された前記第2の部品の中で、前記ユーザによって前記部品配置情報に登録すると指定された前記第2の部品を、該GUIを介して受け付け、
前記部品配置情報に登録すると指定された前記第2の部品を、前記シナリオ毎に、前記第1の部品の前記部品配置情報に登録する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項5】
請求項1に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記干渉判定部は、
前記部品動作定義情報で動作が定義されている全ての前記部品について、前記部品同士の干渉を判定する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項6】
請求項1に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記干渉判定部は、
前記第1の部品と干渉するとして前記第2の部品を特定した干渉情報を記録し、
前記干渉情報に基づいて、前記第1の部品と同一オブジェクトで表される第3の部品と干渉する第4の部品を特定する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項7】
請求項1に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記訓練コンテンツは、前記機器から前記部品を取り外して前記機器を分解する分解作業の訓練を行うための分解コンテンツであり、
前記干渉判定部は、
前記機器の分解前の状態を示すオブジェクトに基づいて、前記部品同士の干渉を判定する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項8】
請求項1に記載の訓練コンテンツ作成システムであって、
前記訓練コンテンツは、前記部品を組み付けて前記機器を組み立てる組み立て作業の訓練を行うための組み立てコンテンツであり、
前記干渉判定部は、
前記機器の組み立て完了後の状態を示すオブジェクトに基づいて、前記部品同士の干渉を判定する
ことを特徴とする訓練コンテンツ作成システム。
【請求項9】
仮想空間に配置された機器のオブジェクトをディスプレイに表示して該機器に対する作業の訓練を行う訓練コンテンツを作成するための訓練コンテンツ作成システムが実行する訓練コンテンツ作成方法であって、
前記訓練コンテンツ作成システムは、
前記仮想空間における前記機器を構成する複数の部品の動作を定義する部品動作定義情報と、前記仮想空間における該複数の部品の配置を該部品毎に定義する部品配置情報と、を記憶する記憶部と、
前記部品動作定義情報及び前記部品配置情報に基づいて前記訓練コンテンツを生成するコンテンツ生成部と、
前記部品動作定義情報に基づいて、前記訓練コンテンツのシナリオを分析するシナリオ分析部と、
前記複数の部品の中での部品同士の干渉を判定する干渉判定部と、を有し、
前記干渉判定部が、
前記シナリオ分析部による前記シナリオの分析結果に基づいて、前記複数の部品の中で第1の部品と干渉する第2の部品を特定し、
前記コンテンツ生成部が、
前記干渉判定部によって前記第1の部品と干渉すると特定された前記第2の部品を、該第1の部品の前記部品配置情報に登録する
各処理を含んだことを特徴とする訓練コンテンツ作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、訓練コンテンツ作成システム及び訓練コンテンツ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工業製品を構成する各部品を3DCG(3-Dimentional Computer Graphics)オブジェクトで示し、分解及び組立の工程を3DCGのアニメーションで表した訓練コンテンツを用いた工業製品の保守作業の訓練が行われている。作業者は、ヘッドマウントディスプレイを装着し、ディスプレイに表示される訓練コンテンツを見ながら、現実世界と同様に、三次元仮想空間において工業製品の保守作業の訓練を行う。
【0003】
ここで工業製品は、相互に干渉する多数の部品を備える。訓練コンテンツにおいて部品の干渉の考慮漏れがあると、訓練コンテンツが提供する三次元仮想空間が現実世界と相違し、訓練の意義を損ねる場合がある。例えば、工業製品の保守作業に際し、現実世界では一方の部品に対して他方の部品を先に取り外す必要があるが、訓練コンテンツの三次元仮想空間では他方の部品を取り外さなくても一方の部品が取り外せてしまう、といったものである。
【0004】
ここで3DCGオブジェクトの干渉に関して、特許文献1には、3DCGオブジェクトの干渉があるときに、仮想カメラの方向を考慮して片方の3DCGオブジェクトを変形させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の従来技術では、三次元仮想空間で変形が許容される3DCGオブジェクト(例えば木や岩などの不特定の3DCGオブジェクト)を対象としている。このため、上述の従来技術は、部品の変形が許容されない工業製品の保守作業の訓練コンテンツには適用できない。
【0007】
本発明は、上述の問題を考慮してなされたものであり、作業の訓練コンテンツの作成において、干渉する3DCGオブジェクトを変形することなく対処する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明の一態様では、仮想空間に配置された機器のオブジェクトをディスプレイに表示して該機器に対する作業の訓練を行う訓練コンテンツを作成するための訓練コンテンツ作成システムであって、前記仮想空間における前記機器を構成する複数の部品の動作を定義する部品動作定義情報と、前記仮想空間における該複数の部品の配置を該部品毎に定義する部品配置情報と、を記憶する記憶部と、前記部品動作定義情報及び前記部品配置情報に基づいて前記訓練コンテンツを生成するコンテンツ生成部と、前記部品動作定義情報に基づいて、前記訓練コンテンツのシナリオを分析するシナリオ分析部と、前記複数の部品の中での部品同士の干渉を判定する干渉判定部と、を有し、前記干渉判定部は、前記シナリオ分析部による前記シナリオの分析結果に基づいて、前記複数の部品の中で第1の部品と干渉する第2の部品を特定し、前記コンテンツ生成部は、前記干渉判定部によって前記第1の部品と干渉すると特定された前記第2の部品を、該第1の部品の前記部品配置情報に登録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業の訓練コンテンツの作成において、干渉する3DCGオブジェクトを変形することなく対処できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る訓練コンテンツ作成システムの構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態に係る部品配置ファイルの構成の一例を示す図。
【
図3】比較例に係る部品配置ファイルの構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態に係る干渉部品オブジェクト登録処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】実施形態に係る組み付け画面の一例を示す図。
【
図6】実施形態に係る干渉確認画面の一例を示す図。
【
図7】実施形態に係る干渉部品オブジェクト登録画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本願の開示に係る実施形態を説明する。実施形態は、図面も含めて本願を説明するための例示である。実施形態では、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がされている。特に限定しない限り、実施形態の構成要素は単数でも複数でもよい。また、ある実施形態と他の実施形態を組み合わせた形態も、本願に係る実施形態に含まれる。
【0012】
以下の実施形態では、同一又は類似の構成要素には、同一の符号を付与し、既出に対する後出の実施形態での説明を省略する、又は差分を中心とした説明のみを行う場合がある。また同一又は類似の構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0013】
また以下の実施形態では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスである。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0014】
また以下の実施形態では、「xxxファイル」といった表現にて、各種の情報を説明することがあるが、情報は、テーブル形式をはじめ、どのような形式のデータでもよい。従って「xxxファイル」を「xxx情報」と言うことができる。情報の記法は、マークアップ形式に限られない。また以下の実施形態において、ファイルの構成は一例であり、一つのファイルは、二つ以上のファイルに分割されてもよいし、二つ以上のファイルの全部又は一部が一つのファイルであってもよい。
【0015】
また以下の実施形態では、「yyyプログラム」を主語に処理を説明することがあるが、「yyyプログラム」が記憶装置からプロセッサに読み込まれて実行されることで「yyy部」という機能が実現可能である。機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGA又はASIC)によって実現されてもよいし、それらの組み合せによって実現されてもよい。
【0016】
プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置及び/又はインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサ或いはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機又は計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0017】
以下の実施形態では、スマートフォンやタブレット端末の2D(2-Dimensional)ディスプレイ、VR(Virtual Reality)対応のヘッドマウントディスプレイで用いる保守作業の訓練ための訓練コンテンツを作成するオーサリングツールを説明する。訓練コンテンツを用いることで、仮想空間において保守対象の機器を構成する各部品を部品オブジェクトで表し、現実空間と同じように、特定の部品を取り外す、取り付けることで対象部品を操作できる機能が提供される。
【0018】
以下の実施形態では、訓練コンテンツを用いて訓練を実施する作業対象を、複数のユニットサーバをラックに収納して構成するラックマウントサーバとする。訓練コンテンツの対象作業を、ラックマウントサーバの分解作業とする。ラックに収納された複数のユニットサーバは、ケーブルが接続され、ケーブルのコネクタ部分がコネクタカバーで覆われている。
【0019】
ラックマウントサーバの分解作業時には、ユニットサーバをラックから取り出す際、カバーを取り外した上で、ケーブルのコネクタを取り外す必要がある。逆に、ラックマウントサーバの組立作業時には、ユニットサーバをラックに収納した際、ケーブルのコネクタを接続した上で、カバーを取り付ける必要がある。
【0020】
すなわち、ラックマウントサーバの分解作業時には、ユニットサーバの干渉する部品の一方を先に取り外さないと、ユニットサーバ本体を取り出すことができない。またラックマウントサーバの組立作業時には、ユニットサーバ本体をラックに収納後、必要部品をユニットサーバの他の部品に干渉させることで、ラックマウントサーバが動作できる。ここで「部品の干渉」とは、例えば2つの部品が三次元的に互いに重なり合うことを指す。
【0021】
このように、ラックマウントサーバの分解及び組立の作業では、ユニットサーバのある部品に干渉する他の部品を、作業順序に従って、取り付け及び取り外す必要がある。保守作業の作業者を訓練するための訓練コンテンツは、作業対象に対する各作業の作業内容及び作業順序に応じた各部品の動きを定めたシナリオに沿った内容となる。
【0022】
訓練コンテンツは、三次元仮想空間において、ラックマウントサーバを構成するユニットサーバ、及びユニットサーバを構成する各部品を3DCG(3-Dimentional Computer Graphics)オブジェクト(部品オブジェクト)で示し、分解及び組立の工程を3DCGのアニメーションで表す。作業者は、ヘッドマウントディスプレイを装着し、ディスプレイに表示される訓練コンテンツを見ながら、現実世界と同様に、三次元仮想空間においてラックマウントサーバに対する保守作業の訓練を行う。
【0023】
(実施形態に係る訓練コンテンツ作成システム1の構成)
図1は、実施形態に係る訓練コンテンツ作成システム1の構成の一例を示す図である。訓練コンテンツ作成システム1は、通信IF11、入力デバイス12、出力デバイス13、ストレージ14、プロセッサ15、及びメモリ16を有する。
【0024】
通信IF11は、訓練コンテンツ作成システム1が他のコンピュータ又は機器と通信を行うための通信装置である。入力デバイス12は、キーボードやマウスといった情報入力装置である。出力デバイス13は、ディスプレイ等の情報出力装置である。
【0025】
二次記憶装置であるストレージ14は、訓練コンテンツ動作定義ファイル141及び部品配置ファイル142を格納する記憶部である。
【0026】
訓練コンテンツ動作定義ファイル141は、訓練コンテンツ毎に、三次元仮想空間における各部品オブジェクトの各時刻における位置、移動方向、及び移動量等の部品動作定義情報を保存する。部品動作定義情報によって、訓練コンテンツの各シナリオにおける各部品オブジェクトの位置及び動きが定義される。部品動作定義情報は、データベースに格納されていてもよい。
【0027】
部品配置ファイル142は、三次元仮想空間において、作業対象の機器を組み付けた状態における各部品オブジェクトの配置位置及び干渉する他の部品のIDを含む訓練コンテンツのシナリオ毎の部品配置情報を保存する。“組み付けた状態”とは、“個別に作成した各部品の3DCGモデルを所定の位置に配置して、作業対象の機器の全体の形状がわかる状態”をいう。部品配置情報は、データベースに格納されていてもよい。
【0028】
図2は、実施形態に係る部品配置ファイル142の構成の一例を示す図である。
図3は、比較例に係る部品配置ファイル142Aの構成の一例を示す図である。部品配置ファイル142は、
図2に例示するように、部品オブジェクト毎に“name”、“path”、“type”、“file”、“scenario ID”、“collision objects”、"attribute"、"label"、・・・の項目を有する。
【0029】
“name”は、該当の部品オブジェクトの名称である。“path”は、該当の部品オブジェクトの格納パスである。“type”は、該当の部品オブジェクトの種別である。“file”は、該当の部品オブジェクトのmtl及びオブジェクトのファイル名である。“scenario ID”1421は、訓練コンテンツのシナリオのIDである。
【0030】
“collision objects”1422は、該当の部品オブジェクトに干渉する干渉部品オブジェクトである。“attribute”1423は、該当の部品オブジェクトの部品属性である。“label”は、該当のオブジェクトのラベルIDである。部品配置ファイル142の“label”以降の項目は、部品配置ファイル142Aの“label”以降の項目と同様である。
【0031】
部品配置ファイル142は、部品配置ファイル142Aと比較して、“scenario ID”1421と“collision objects”1422と“attribute”1423とが追加されている。
【0032】
部品配置ファイル142Aは、部品オブジェクト毎にこの部品オブジェクトの配置に関係する情報が記録される。これに対し部品配置ファイル142は、部品オブジェクト毎に、この部品オブジェクトの配置に関係する情報と共に、さらにシナリオ毎に該当の部品オブジェクトと干渉する部品が記録される。“scenario ID”1421の繰り返しで、「シナリオ毎に該当の部品オブジェクトに干渉する部品」が記載される。また“collision objects”1422には、該当の部品オブジェクトと干渉する全ての他の部品が列挙される。
【0033】
図1の説明に戻る。プロセッサ15は、一次記憶装置であるメモリ16と協働し、ストレージ14又は外部から取得したプログラムを実行する。プロセッサ15が実行するプログラムは、メモリ16に格納されるコンテンツ生成プログラム161、シナリオ分析プログラム162、干渉判定プログラム163、及びユーザ入出力プログラム164を含む。
【0034】
コンテンツ生成プログラム161は、オーサリングツールの実行プログラムであり、訓練コンテンツ動作定義ファイル141及び部品配置ファイル142に保存されるデータ等に基づいて、訓練コンテンツを生成する。コンテンツ生成プログラム161の処理の詳細は、
図4を参照して後述する。
【0035】
シナリオ分析プログラム162は、訓練コンテンツ動作定義ファイル141に保存される部品動作定義情報に基づいて、訓練コンテンツのシナリオを分析する。シナリオ分析プログラム162は、部品動作定義情報を解析することで、三次元仮想空間における各部品オブジェクトの座標、移動方向、及び移動量等を含む各訓練コンテンツのシナリオの分析結果を得る。
【0036】
干渉判定プログラム163は、三次元仮想空間における部品オブジェクト同士の干渉を判定する。干渉判定は、周知技術を用いることができる。干渉判定プログラム163は、例えば、三次元仮想空間において、各部品オブジェクトに干渉確認用のコンポーネントを付与し、2つの部品オブジェクトのコンポーネントによって共有される点が存在する場合に干渉していると判定する。
【0037】
ユーザ入出力プログラム164は、訓練コンテンツ作成システム1を用いて訓練コンテンツを作成する作成者(ユーザ)に対してGUI(Graphical User Interface)を表示する。GUIには、後述の組み付け画面13D1(
図5)、干渉確認画面13D2(
図6)、干渉部品オブジェクト登録画面13D3(
図7)がある。ユーザ入出力プログラム164は、入力デバイス12を介した訓練コンテンツの作成者による各種入力を受け付ける。またユーザ入出力プログラム164は、訓練コンテンツの作成者によって干渉部品オブジェクト登録画面13D3を介して入力された干渉部品オブジェクトの指定又は指定除外を受け付ける。
【0038】
(実施形態に係る干渉部品オブジェクト登録処理)
図4は、実施形態に係る干渉部品オブジェクト登録処理の一例を示すフローチャートである。干渉部品オブジェクト登録処理は、訓練コンテンツの作成者の指示に応じて起動される、又は訓練コンテンツの作成処理の過程で自動的に起動される。干渉部品オブジェクト登録処理が起動されると、コンテンツ生成プログラム161は、先ずユーザ入出力プログラム164を介して、組み付け画面13D1(
図5)を出力デバイス13の表示画面に表示する。
【0039】
先ずステップS11では、コンテンツ生成プログラム161は、ユーザ入出力プログラム164を介して、訓練コンテンツの作成者によって組み付け画面13D1の干渉確認ボタン131(
図5)が押下されたかを判定する。コンテンツ生成プログラム161は、干渉確認ボタン131が押下された場合(ステップS11YES)にステップS12に処理を移し、押下されていない場合(ステップS11NO)にステップS11に処理を繰り返す。
【0040】
ステップS12では、コンテンツ生成プログラム161は、ユーザ入出力プログラム164を介して、干渉確認画面13D2(
図6)を出力デバイス13の表示画面に表示する。
【0041】
次にステップS13では、コンテンツ生成プログラム161は、ユーザ入出力プログラム164を介して、干渉確認画面13D2において干渉検出の対象となる部品オブジェクトが選択され決定ボタン133が押下されたかを判定する。コンテンツ生成プログラム161は、干渉確認画面13D2において干渉検出の対象となる部品オブジェクトが選択され決定ボタン133が押下された場合(ステップS13YES)にステップS14に処理を移す。一方コンテンツ生成プログラム161は、部品オブジェクトが選択されず決定ボタン133が押下されなかった場合(ステップS13NO)にステップS11に処理を戻して組み付け画面13D1を出力デバイス13の表示画面に表示する。
【0042】
ステップS14では、コンテンツ生成プログラム161は、部品配置ファイル142(
図2)を参照し、ステップS13で選択された部品オブジェクトの“attribute”が“machine parts”であるかを判定する。“machine parts”は、部品種別が、汎用的な部品ではなく作業対象に固有の機械部品であることを示す。コンテンツ生成プログラム161は、“attribute”が“machine parts”である場合(ステップS14YES)にステップS15に処理を移し、“attribute”が“machine parts”でない場合(ステップS14NO)にステップS21に処理を移す。
【0043】
ステップS15では、コンテンツ生成プログラム161は、干渉判定プログラム163を介して、訓練コンテンツ動作定義ファイル141で動作が定義されている全ての部品オブジェクトに干渉確認用コンポーネントを付与する。次にステップS16では、コンテンツ生成プログラム161は、干渉判定プログラム163を介して、ステップS15で干渉確認用コンポーネントを付与した対象部品に対して干渉する部品の確認処理を実行する。
【0044】
次にステップS17では、コンテンツ生成プログラム161は、ユーザ入出力プログラム164を介して、干渉部品オブジェクト登録画面13D3(
図7)に、ステップS16で抽出した干渉部品の一覧である干渉部品一覧138(
図7)を表示する。
【0045】
次にステップS18では、コンテンツ生成プログラム161は、ユーザ入出力プログラム164を介して、訓練コンテンツの作成者によって、登録ボタン135(
図7)が押下されたかを判定する。登録ボタン135の押下前には、訓練コンテンツの作成者によって、干渉部品一覧138(
図7)から選択する部品にチェックを付与し、除外する部品のチェックを外す操作がなされる場合がある。コンテンツ生成プログラム161は、登録ボタン135が押下された場合(ステップS18YES)にステップS19に処理を移し、押下されていない場合(ステップS18NO)にステップS18を繰り返す。
【0046】
ステップS19では、コンテンツ生成プログラム161は、干渉部品一覧138(
図7)のチェックボックスのチェック状況に基づいて、対象部品に対する干渉部品の“label”を、部品配置ファイル142において該当する“scenario ID”1421に対応する"collision objects"1422に登録する。
【0047】
次にステップS20では、コンテンツ生成プログラム161は、干渉判定プログラム163を介して、ステップS15で全ての部品オブジェクトに付与した干渉確認用コンポーネントを除去する。
【0048】
他方ステップS21では、コンテンツ生成プログラム161は、ステップS13で選択された対象部品はステップS16の干渉判定の対象ではない旨を、干渉確認画面13D2(
図6)に表示する。コンテンツ生成プログラム161は、ステップS21が終了すると、ステップS13に処理を戻す。
【0049】
(組み付け画面13D1)
図5は、実施形態に係る組み付け画面13D1の一例を示す図である。組み付け画面13D1は、オーサリングツールの表示画面の1つであり、コンテンツ生成プログラム161及びユーザ入出力プログラム164(
図1)によって制御される。
【0050】
組み付け画面13D1は、個別に作った3DCGモデル(部品オブジェクト)を所定の位置に配置して、ラックマウントサーバ50の全体形状を判別可能に表示する画面である。組み付け画面13D1は、部品配置オブジェクト登録処理(
図4)の起動時に出力デバイス13の表示画面に表示され、ラックマウントサーバ50の組み付け状態を示す。組み付け画面13D1は、干渉確認ボタン131を含んで構成される。
【0051】
(干渉確認画面13D2)
図6は、実施形態に係る干渉確認画面13D2の一例を示す図である。干渉確認画面13D2は、オーサリングツールの表示画面の1つであり、コンテンツ生成プログラム161及びユーザ入出力プログラム164(
図1)によって制御される。干渉確認画面13D2は、組み付け画面13D1(
図5)の干渉確認ボタン131が押下されると、組み付け画面13D1から画面遷移して出力デバイス13の表示画面に表示される。干渉確認画面13D2は、ラックマウントサーバ50を構成する9個のユニットサーバの一覧表示132及び決定ボタン133を含んで構成される。
【0052】
例えば一覧表示132から“ユニットサーバ1”ボタン1321が押下されたとする。すると、ラックマウントサーバ50の表示において対応するユニットサーバ51が色を変える等で識別表示されると共に、ユニットサーバ51の取外し作業を示す矢印52が表示される。なお“ユニットサーバ1”ボタン1321が押下に代えて、ユニットサーバ51の表示が直接押下されてもよい。この状態で決定ボタン133が押下されると、干渉部品オブジェクト登録画面13D3(
図7)に画面遷移する。
【0053】
(干渉部品オブジェクト登録画面13D3)
図7は、実施形態に係る干渉部品オブジェクト登録画面13D3の一例を示す図である。干渉部品オブジェクト登録画面13D3は、オーサリングツールの表示画面の1つであり、コンテンツ生成プログラム161及びユーザ入出力プログラム164(
図1)によって制御される。
【0054】
干渉部品オブジェクト登録画面13D3は、干渉部品一覧134及び登録ボタン135を含んで構成される。例えば
図7では、干渉部品一覧134は、干渉確認画面13D2で選択された“ユニットサーバ1”ボタン1321に対応するユニットサーバ51と干渉すると干渉判定プログラム163(
図1)により特定された全ての部品オブジェクトを表示する。全ての部品オブジェクト(“コネクタカバー1”“コネクタカバー2”“コネクタカバー3”“ケーブル1”…)は、スクロールバー付きで一覧表示されてもよい。
【0055】
干渉部品一覧134には、部品オブジェクト毎にチェックボックス1341が備えられる。初期状態で全てのチェックボックス1341がチェックされている。訓練コンテンツの作成者は、“ユニットサーバ1”ボタンに1321対応するユニットサーバ51と干渉しないと判断した部品オブジェクトのチェックボックス1341のチェックを外すことができる。
【0056】
また干渉部品オブジェクト登録画面13D3には、ラックマウントサーバ50の表示において対応するユニットサーバ51と干渉するコネクタカバー53及びケーブル54が識別表示される。コネクタカバー53を半透明表示することで、コネクタカバー53に隠れている部品を判別しやすくなる。この状態で登録ボタン135が押下されると、チェックボックス1341がチェックされている部品オブジェクトの識別情報が、ユニットサーバ51の部品配置ファイル142の“collision objects”1421(
図2)に登録される。
【0057】
部品配置ファイル142の“collision objects”1421に登録された干渉部品オブジェクトは、部品配置ファイル142に対応する対象部品オブジェクトよりも先に取り外される必要がある。訓練コンテンツの実行時に、作業者により、対象部品オブジェクトが、干渉部品オブジェクトよりも先に取り外されようとした場合に、警告音が出力されたり、干渉部品オブジェクトが発光等で識別表示されたりする。
【0058】
(実施形態の変形例)
上述の実施形態では、訓練コンテンツにおいて、訓練コンテンツの作成者によって選択された対象部品と干渉する干渉部品を特定してその部品名を部品配置ファイル142に登録するとしている。しかしこれに限らず、訓練コンテンツの作成者による選択/非選択に関わらず、訓練コンテンツにおいて対象機器を構成する全ての部品について干渉部品を特定し、干渉部品の部品名を部品配置ファイル142に登録する処理を自動で行ってもよい。
【0059】
また上述の実施形態では、干渉判定プログラム163は、全ての部品オブジェクトに干渉確認用コンポーネントを付与して干渉確認処理を行うとした。しかしこれに限らず、対象部品と干渉するとしてある部品を干渉部品として特定した情報を干渉情報として記録しておき、干渉情報に基づいて、対象部品と同一オブジェクトで表される他の対象部品と干渉する干渉部品を特定するようにしてもよい。例えば、対象部品とこの対象部品と干渉する干渉部品との位置関係を干渉情報として記録してくことで、干渉情報に基づいて、対象部品と同一オブジェクトで表される他の対象部品と干渉する干渉部品を位置関係に基づいて容易に特定することができる。
【0060】
上述の実施形態では、訓練コンテンツは、機器から部品を取り外して機器を分解する分解作業の訓練を行うための分解コンテンツであるとした。しかしこれに限らず、実施形態は、部品を組み付けて機器を組み立てる組み立て作業の訓練を行うための組み立てコンテンツにも適用可能である。組み立てコンテンツの場合、機器の組み立て完了後の状態を示す機器全体のオブジェクトから出発してコンテンツを逆再生することで、機器を構成する部品同士の干渉が判定される。
【0061】
(実施形態の効果)
上述の実施形態では、対象部品が選択されると、対象部品と干渉する干渉部品を特定し、特定された干渉部品名を、対象部品の部品配置ファイル142に登録する。よって、部品の変形が許容されない対象部品に対する作業の訓練コンテンツにおいて、干渉部品を変形することなく対処できる。また訓練コンテンツの作成者は、訓練コンテンツの作成時に、部品との干渉確認機能を都度実装する手間が必要なくなる。また訓練コンテンツの作成者は、プログラミングの専門的知識がなくても、周辺部品の干渉がなくなったら対象部品を動かせる、という機能を、訓練コンテンツに簡単に実装できるという効果を奏する。
【0062】
また上述の実施形態では、訓練コンテンツの作成者が干渉部品の過不足を修正しうるようにGUIを提供するので、干渉部品の抽出精度を高めることができる。
【0063】
また上述の実施形態では、訓練コンテンツの作成者によって選択された対象部品が固有の部品である場合に干渉部品を特定し、共通部品である場合に干渉部品を特定しないことで、重要な干渉のみを抽出することができる。
【0064】
また上述の実施形態では、訓練コンテンツのシナリオ毎に、特定された干渉部品名を、対象部品の部品配置ファイル142に登録することで、シナリオが異なれば干渉部品が異なる状況に対応することができる。
【0065】
また上述の実施形態では、訓練コンテンツ動作定義ファイル141で動作が定義されている全ての部品について部品同士の干渉を判定することで、干渉部品の抽出漏れを防止することができる。
【0066】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、添付した特許請求の範囲の趣旨内における様々な変形例及び同等の構成が含まれる。例えば、前述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに本発明は限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えてもよい。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えてもよい。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、又は置換をしてもよい。
【0067】
また、前述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等により、ハードウェアで実現してもよい。あるいは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。
【0068】
各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、又は、IC(Integrated Circuit)カード、SDカード、DVD(Digital Versatile Disc)の非一時的記録媒体に格納することができる。
【0069】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、実装上必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0070】
1:訓練コンテンツ作成システム、14:ストレージ、141:訓練コンテンツ動作定義ファイル、142:部品配置ファイル、15:プロセッサ、16:メモリ、161:コンテンツ生成プログラム、162:シナリオ分析プログラム、163:干渉判定プログラム、164:ユーザ入出力プログラム。