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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013914
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】転がり軸受の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/64 20060101AFI20240125BHJP
   F16C 33/32 20060101ALI20240125BHJP
   F16C 33/34 20060101ALI20240125BHJP
   F16C 19/10 20060101ALI20240125BHJP
   B23K 26/342 20140101ALI20240125BHJP
【FI】
F16C33/64
F16C33/32
F16C33/34
F16C19/10
B23K26/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116341
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】生田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】児玉 春奈
(72)【発明者】
【氏名】小林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小俣 弘樹
【テーマコード(参考)】
3J701
4E168
【Fターム(参考)】
3J701AA02
3J701AA12
3J701AA52
3J701AA53
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA09
3J701BA10
3J701BA69
3J701BA70
3J701DA11
3J701DA20
3J701EA03
3J701EA13
3J701FA15
3J701FA44
3J701XB03
3J701XB12
3J701XB34
4E168BA32
4E168BA83
4E168CB02
4E168FB01
(57)【要約】
【課題】特殊な金属間化合物や硬質粒子を用いずに、軸受の軌道面又は転動面の高強度化を実現することができる、転がり軸受の製造方法を提供すること。
【解決手段】軌道輪と転動体を有する転がり軸受の製造方法であって、軌道輪の軌道面及び転動体の転動面の少なくとも一方に、レーザ肉盛り処理を行い、肉盛り層7aを形成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道輪と転動体を有する転がり軸受の製造方法であって、
前記軌道輪の軌道面及び前記転動体の転動面の少なくとも一方に、レーザ肉盛り処理を行い、肉盛り層を形成する、転がり軸受の製造方法。
【請求項2】
前記肉盛り層は、硬さがビッカース硬度で650以上である、請求項1に記載の転がり軸受の製造方法。
【請求項3】
前記肉盛り層が形成される前記軌道面及び前記転動面の少なくとも一方は、前記レーザ肉盛り処理による加熱によって、前記肉盛り層よりも内部側に硬化層が形成され、
前記肉盛り層の厚み、又は前記肉盛り層から前記硬化層までの厚みが、前記転動体の転動体径の2%以上である、請求項1に記載の転がり軸受の製造方法。
【請求項4】
前記肉盛り層が形成される前記軌道面及び前記転動面の少なくとも一方は、表面から前記転動体径の2%以上の深さまで、硬さがビッカース硬度で650以上である、請求項3に記載の転がり軸受の製造方法。
【請求項5】
前記レーザ肉盛り処理を行った後、前記レーザ肉盛り処理により形成された肉盛り部を研磨加工することで、表面に前記肉盛り層が形成された前記軌道面及び前記転動面の少なくとも一方とし、
研磨加工された後の前記軌道面及び前記転動面の少なくとも一方は、算術平均粗さRaが0.3μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の転がり軸受の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受は、軌道輪と転動体が点接触あるいは線接触状態で荷重を支える部品であり、表面及び表面から数百μm程度の深さまでせん断応力が生じる。そのため、表面の極めて薄い層(表面から100μm程度)のみにコーティングするような被膜では、実用に耐えることができない。また、せん断応力が作用する数百μm程度の深さの領域に欠陥が存在していると早期破損につながる。よって、軸受の軌道面表面を高強度化する場合、母材との密着性に優れ、表面から数百μm程度の深さの領域まで緻密な層が必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1には、軌道面にレーザ肉盛りを適用することで耐摩耗性や耐熱性に優れる表面を実現する技術が開示されている。肉盛り層は、Ni基金属間化合物であり、硬質粒子を分散させることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-190274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように金属間化合物や硬質粒子を分散させると、レーザ肉盛り後の加工性が悪くなり、軸受軌道面として必要な良好な表面状態を得ることが難しくなる。さらに、特許文献1の技術は、使用中に相手材となる転動体が摩耗しやすくなるといった課題がある。軸受には、摩耗粉を排出するための溝を設けられているが、摩耗することで軌道輪と転動体とのすき間が大きくなり、精度が悪化し、軸受として機能しなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、特殊な金属間化合物や硬質粒子を用いずに、軸受の軌道面又は転動面の高強度化を実現することができる、転がり軸受の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、軌道輪と転動体を有する転がり軸受の製造方法であって、上記軌道輪の軌道面及び上記転動体の転動面の少なくとも一方に、レーザ肉盛り処理を行い、肉盛り層を形成する、転がり軸受の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、特殊な金属間化合物や硬質粒子を用いずに、軸受の軌道面又は転動面の高強度化を実現することができる、転がり軸受の製造方法を提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態における転がり軸受であるスラスト玉軸受を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る転がり軸受の製造方法を示す模式図であり、(A)はレーザ肉盛り処理を施す様子を示し、(B)は肉盛り部が形成された状態を示し、(C)は研磨加工が施された状態を示す。
図3】レーザ肉盛り処理を示す説明図である。
図4】研磨加工後の軌道輪の断面を示す模式図である。
図5】実施例における、軌道面の硬さの測定結果を示すグラフである。
図6】実施例における、転がり疲労寿命の評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明では、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0011】
<転がり軸受の製造方法>
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る転がり軸受の製造方法について説明する。図1に示すように、本実施形態では一例として、転がり軸受1がスラスト玉軸受である場合について説明する。転がり軸受1は、軌道輪2と、複数の転動体3と、保持器4とを備える。軌道輪2は、上レース21と下レース22の2つのレースからなる。上レース21及び下レース22には、軌道面2aとなる軌道溝21a,22aが形成されている。転動体3は玉であり、転動体3の表面を転動面ともいう。
【0012】
本実施形態では、複数の転動体3及び保持器4については、通常の方法で製造される。この際、複数の転動体3は、JISG4805に規定されるSUJ2又はSUJ3などの高炭素クロム軸受鋼を材料として製造されることが好ましい。
【0013】
軌道輪2は、SUJ2又はSUJ3などの軸受用鋼で製造されてもよいが、コスト低下の観点からは低価格な低グレード材を用いることが好ましい。低グレード材とは、SUJ2やSUJ3などの規格の範疇でも特段の介在物対策が施されていない材料や、JISG4051に規定されるS35C~S55Cなどの構造用炭素鋼材などである。
【0014】
軌道輪2は、以下のようにして製造される。まず、熱処理が施されていない材料(生材ともいう。)を軌道輪2となる所定の形状に加工する。生材は、材料メーカや製鋼メーカから仕入れた状態の材料であり、軸受に一般的に施される熱処理が施されなくてもよい。また、軌道面2a以外の部分は、最終的な軌道輪2の形状となるように加工が行われる。一方、軌道面2aについては、後述するレーザ肉盛り処理が施されるため、最終的な軌道輪2の形状よりも深く溝が形成されてもよい。
【0015】
次いで、加工された材料である基材にレーザクラッディングによって肉盛り層を形成するレーザ肉盛り処理を行う。レーザ肉盛り処理では、図2(A)に示すように、基材6の軌道面2aとなる溝状の領域にレーザクラッディング装置5を用いたレーザクラッディングを行い、図2(B)に示すように、肉盛り部7を形成する。レーザクラッディング装置5によるレーザクラッディングでは、図3に示すように、図示しないレーザ光源から発射されたレーザ51を、基材6の表面に照射し、かつ、ノズル52から肉盛り部7を形成する材料である粉末溶材53を、シールドガスとともに吹き付けることにより供給する。レーザ51を基材6の表面に照射しつつ、粉末溶材53を吹き付けると、図2(B)に示すように、基材6の溝に、肉盛り部7が形成される。この際、基材6のうち、レーザ51が照射された表層部分に存在する金属材料と、肉盛り部7を構成する金属材料である粉末溶材53とが一緒に溶融されて、これらが混合した溶融池(モルテンプール)71が形成される。そして、レーザ51の照射及び粉末溶材53の供給を停止すると、溶融池71を構成する金属材料が冷却されて凝固する。この結果、図4に示すように、レーザ肉盛り処理が施された基材6の表面には、肉盛り部7(肉盛り層7a)が形成されると同時に、基材6と肉盛り部7との境界部分に、基材6を構成する金属材料と粉末溶材53(肉盛り部7を構成する金属材料)との混合層72が形成される。なお、図4に示す断面図は、後述する研磨工程が行われた後の、軌道輪2の表面の断面を示している。
【0016】
レーザクラッディングを行うために、レーザ51を、基材6の表面に照射すると、基材6の表層部分よりも下側に存在する部分の金属材料も加熱される。混合層72の直下(つまり、肉盛り層7aの内部側)に位置する部分は、焼入れ温度以上、融点未満の温度に加熱される。この結果、混合層72の直下に位置する部分には、硬化層61が形成される。
【0017】
さらに、硬化層61の直下に位置する部分は、焼戻し温度以上、焼入れ温度未満の温度に加熱される。この結果、硬化層61の直下に位置する部分には、熱影響層62が形成される。なお、熱影響層62よりも下側に位置する部分は、加熱されたとしても、焼戻し温度未満であるため、組織変化はほとんど生じない。
【0018】
粉末溶材53は、Fe基合金、Cu基合金、Ni基合金、Co基合金、炭素合金などの金属粉末により構成される。なお、粉末溶材53に代えて、ワイヤ溶材を使用することもできる。
【0019】
レーザ肉盛り処理では、レーザ光源と基材6の軌道面2aに相当する表面とを相対回転させる。これにより、軌道面2aに相当する溝上の全周にわたって肉盛り部7が形成される。
【0020】
また、レーザ肉盛り処理では、加熱による寸法精度や真円度へ影響を考慮し、生材を予め予熱しておくことが好ましい。この際、200℃程度に生材を予熱してから、レーザ肉盛り処理をすることが好ましい。
【0021】
レーザクラッディングによるレーザ肉盛り処理の後、肉盛り部7を研磨加工することで、図2(C)に示すように、表面に肉盛り層7aが形成された軌道面2aとなる。
【0022】
以上の工程を経ることで、軌道輪2を製造することができる。なお、製造される軌道輪2の肉盛り層7aの硬さはビッカース硬さで650以上とすることが好ましい。また、転動体3の転動体径(直径)の2%以上の深さまで、肉盛り層7aが単層で形成されるか、肉盛り層7aから硬化層61までが形成されることが好ましい。つまり、深さ方向における肉盛り層7aの厚み、又は肉盛り層7aから硬化層61までの厚みは、転動体径の2%以上となることが好ましい。この場合において、転動体3の転動体径の2%以上の深さまでの硬さは、ビッカース硬さで650以上とすることが好ましい。さらに、研磨加工の後、軌道面2aは算術平均粗さRaが0.3μm以下となることが好ましい。このようにすることで、肉盛り層7aが形成された軌道面2aについて、軸受に必要な性能を満足することができる。なお、ビッカース硬さが650以上となる深さに上限は特にないが、転動体径の20%超だと効果に大きな違いはないため、製造コストの観点からは20%以下とすることが好ましい。本実施形態では、肉盛り層7aの深さが目標とするものとなるように、材料(基材6)の加工及び研磨加工が行われる。
【0023】
本実施形態では、レーザクラッディングによるレーザ肉盛り処理により肉盛り層7aを形成する。このようにすることで、緻密で密着性に優れた高強度層を実現できる。また、特殊な金属間化合物や硬質粒子を用いずに、軸受の軌道面表面の高強度化を図ることができる。さらに、肉盛り層7aは、肉盛り用の粉末溶材53からなるため、基本的に介在物となる酸化物などがない。また、適切に肉盛りすることで、欠陥や空洞も発生しない。
【0024】
さらに、本実施形態では、基材6として安価な低グレード材を用いることができるため、製造コストを低廉化することができる。転がり軸受の転がり疲れ寿命について、転がり軸受のフレーキングは、転がり接触表面に比較的近い材料内部に発する疲れクラックから進行する場合が多いことが知られている。そして、接触部の応力は、深さ方向のある程度までしか及ばないことが知られている(例えば、転がり軸受工学編集委員会編:転がり軸受工学、1975、養賢堂)。そして、本発明者らが鋭意検討した結果、転動体径の2%以上の深さにおける硬度を制御することで、軸受として十分使用可能であることを知見した。つまり、中心部の物性は寿命などへの影響が少ないものであることから、表面のみを硬質な肉盛り層7aとすることで、中心部を形成する基材6として低グレード材を用いることができるようになり、製造コストを低廉化することができる。また、生材にレーザ肉盛り処理をすればよいため、予備処理として生材の表面の汚れや錆を除去するだけでよく、通常の軸受の製造で行われる熱処理を行う必要もない。このため、製造コストの低廉化に加えて、エネルギーの節約やCO排出削減にもなる。
【0025】
<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態とともに種々の変形例を含む本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲に記載された発明の実施形態には、本明細書に記載したこれらの変形例を単独または組み合わせて含む実施形態も網羅すると解すべきである。
【0026】
例えば、上記実施形態では、レーザ肉盛り処理を軌道輪2に施すとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、転動体3の転動面にレーザ肉盛り処理を施してもよい。この場合、転動体3は、上記実施形態の軌道輪2と同様に低グレード材を材料として、上記実施形態と同様に転動面に肉盛り層を形成し、研磨加工することで製造される。なお、本発明では、肉盛り層は、軌道輪2の軌道面2a及び転動体3の転動面の少なくとも一方に形成されればよい。軌道輪2又は転動体3のどちらか一方に肉盛り層が形成される場合には、他方については、上記実施形態の転動体3と同様に通常の軸受と同様な素材からなり、製造方法によって製造される。
【0027】
また、上記実施形態では、転がり軸受1がスラスト玉軸受であるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。転がり軸受1は、深溝玉軸受やアンギュラ玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受、スラストニードル軸受などの他の形態の転がり軸受であってもよい。この場合においても、軌道面及び転動面の少なくとも一方に肉盛り層が形成されることで、高強度化を実現することができる。
【実施例0028】
次に、本発明者らが行った実施例について説明する。実施例では、SUJ2を素材として熱処理を施していない生材でスラスト玉軸受(51305)の軌道輪2を作成した。この際、生材を所定形状に加工した後、上記実施形態と同様にレーザ肉盛り処理し、研磨することで、最終的な軸受としての形状を得た。製造した転がり軸受の緒元を表1に示す。また、レーザ肉盛り処理の条件を表2に示す。
【0029】
【表1】
【表2】
【0030】
レーザ肉盛り処理及び研磨加工後の材質の状態は、図4に示すような断面構造となった。つまり、レーザ肉盛処理が施された軌道面2aの全周にわたって、表面から、肉盛り層7a、混合層72、硬化層61、熱影響層62が順に形成されることを確認した。
【0031】
そして、製造した転がり軸受1について、転がり疲労試験により破損までの寿命を評価した。上記の製造方法で製造した実施品を4個、従来の方法であるSUJ2を用いてずぶ焼きで作成した比較品を5個、それぞれ評価した。具体的には、実施品及び比較品を運転し、軸受の振動加速度が一定割合上昇した段階で試験を停止し、軌道面にはく離が生じているのを確認した時間を転がり疲労寿命とした。なお、試験時間300hr経過してもはく離しない場合には打ち切りとした。評価条件の詳細については、表3に示す。
【0032】
【表3】
【0033】
実施品について、研磨後の軌道面の算術表面粗さRaを測定したところ、いずれも0.3μm以下であった。また、軌道面表面から内部深さ方向のビッカース硬さを測定したところ、図5に示すように、軌道面表面から転動体径の2%より深い位置まで650以上であった。
【0034】
転がり疲労寿命の評価結果を図6に示す。図6において、横軸は転がり疲れ寿命(時間)を、縦軸は累積破損確率(%)をそれぞれ表している。実施品は4個全てにおいて、打ち切りとなった。一方、比較品は4個が破損、1個が打切りであった。よって、実施品の転がり疲労寿命は比較品よりも明らかに長寿命であることを確認できた。
【符号の説明】
【0035】
1 転がり軸受
2 軌道輪
2a 軌道面
21 上レース
21a 軌道溝
22 下レース
22a 軌道溝
3 転動体
4 保持器
5 レーザクラッディング装置
51 レーザ
52 ノズル
53 粉末溶材
6 基材
61 硬化層
62 熱影響層
7 肉盛り部
7a 肉盛り層
71 溶融池
72 混合層
図1
図2
図3
図4
図5
図6