(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139148
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】車載機器
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20241002BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241002BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20241002BHJP
G03B 15/00 20210101ALN20241002BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
G03B17/56 A
H04N23/57
G03B15/00 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049962
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康弘
【テーマコード(参考)】
2H105
3D020
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA03
2H105AA06
2H105AA34
3D020BA20
3D020BC10
3D020BD09
5C122DA14
5C122EA54
5C122GD01
5C122GE07
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】使い勝手のよい車載機器を提供する。
【解決手段】車載機器(91)は、第1方向を長手とする形状を有して電気信号を入力又は出力する本体部(1)と、車両側の被取り付け部材に取り付けるための台座部(2)と、本体部(1)及び台座部(2)の一方に備えられた磁石(23)及び他方に備えられた磁性体(17)と、を備え、本体部(1)は、第1方向に直交する横断面において、第1半径(R1)の少なくとも弧状となる曲面の外周面(11a)を有し、台座部(2)は、第1半径(R1)の曲面として内側に抉れた内周面(21a)を有し、磁石(23)の磁力によって外周面(11a)と内周面(21a)とが磁気吸着して本体部(1)と台座部(2)とが一体化されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向を長手とする形状を有して電気信号を入力又は出力する本体部と、
車両側の被取り付け部材に取り付けるための台座部と、
前記本体部及び前記台座部の一方に備えられた磁石及び他方に備えられた磁性体と、
を備え、
前記本体部は、前記第1方向に直交する横断面において、第1半径の少なくとも弧状となる曲面の外周面を有し、
前記台座部は、前記第1半径の曲面として内側に抉れた内周面を有し、
前記磁石の磁力によって前記外周面と前記内周面とが磁気吸着して前記本体部と前記台座部とが一体化された車載機器。
【請求項2】
前記第1半径は前記第1方向に沿って変化し、前記外周面及び前記内周面は、前記第1方向に直交する方向からみて前記第1半径よりも大きい第2半径を有する曲面とされている請求項1記載の車載機器。
【請求項3】
前記第1半径は、前記第1方向に沿って一定である請求項1記載の車載機器。
【請求項4】
前記外周面及び前記内周面は、一方において前記第1方向に延び周方向に所定の角度ピッチで形成された複数の凸部を有し、他方において前記第1方向に延び周方向に前記角度ピッチで形成された複数の凹部とを有し、前記本体部と前記台座部とは、前記凸部と前記凹部とが係合して一体化可能である請求項1記載の車載機器。
【請求項5】
前記外周面及び前記内周面は、一方において周溝を有し、他方において前記周溝に係合可能な周リブを有し、前記本体部と前記台座部とは、前記凸部と前記凹部とが係合し、かつ前記周溝と前記周リブとが係合して一体化可能である請求項4記載の車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、カメラを有する本体部,本体部から上方に突出した支持部,及び支持部の上方先端に形成された板状のベースを備えた車載機器であるドライブレコーダが記載されている。このドライブレコーダは、ベースを両面テープによって車両のフロントガラスの内面に貼り付けることでフロントガラスに取り付けられる。
【0003】
特許文献1に記載された車載機器の支持部は、本体部側とベース側とに分割された腕部と支柱部とが、水平軸まわりに上下回動可能に軸係合しており、ナットによって任意の回動位置で締め付け固定できるようになっている。
これにより、使用者は、フロントガラスに対するカメラの光軸方向を上下方向に回動調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたような従来の技術は、光軸方向を上下に回動調整できるもののベースと本体部とが実質的に一体となっている。そのため、ベースをフロントガラスに取り付けた後に、車両の前方以外の光景や車室内の乗員を撮影するのは困難であって、使い勝手をよりよくする観点で改善の余地がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、使い勝手のよい車載機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
第1方向を長手とする形状を有して電気信号を入力又は出力する本体部と、車両側の被取り付け部材に取り付けるための台座部と、前記本体部及び前記台座部の一方に備えられた磁石及び他方に備えられた磁性体と、を備え、
前記本体部は、前記第1方向に直交する横断面において、第1半径の少なくとも弧状となる曲面の外周面を有し、前記台座部は、前記第1半径の曲面として内側に抉れた内周面を有し、前記磁石の磁力によって前記外周面と前記内周面とが磁気吸着して前記本体部と前記台座部とが一体化された車載機器である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、使い勝手がよい、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、本発明の一態様における実施例1の車載機器91を示す前面図である。
【
図2A】
図2Aは、車載機器91の本体部1を示す前面図である。
【
図2B】
図2Bは、本体部1における光軸CLcを通る位置での水平断面図である。
【
図3B】
図3Bは、台座部2の断面図であり、
図3B(a)は、
図3A(b)におけるS3Ba-S3Ba位置での断面図であり、
図3B(b)は
図3A(a)におけるS3Bb-S3Bb位置での断面図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の一態様における実施例2の車載機器91Aの前面図である。
【
図4D】
図4Dは、
図4Bにおけるイ部拡大図に相当し外係合部18及び内係合部24の変形例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、本発明の一態様における実施例3の車載機器91Bの前面図である。
【
図5B】
図5Bは、車載機器91Bの台座部2Bの斜視的な断面図である。
【
図6A】
図6Aは、本発明の一態様における実施例4の車載機器91Cの前面図である。
【
図7A】
図7Aは、本発明の一態様における実施例5の車載機器91Dを左前斜め上方から見た斜視的分解図である。
【
図7B】
図7Bは、車載機器91Dの左前斜め上方から見た斜視図である。
【
図7C】
図7Cは、車載機器91Dにおける台座部2D及びストッパ3と筐体11Dとの係合状態を示す模式的横断面図である。
【
図7D】
図7Dは、車載機器91Dにおけるストッパ3と筐体11Dとの係合状態を示す縦断面図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明の一態様における実施例6の車載機器91Eが備えるストッパ3Aを示す斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、ストッパ3Aが第1位置にあるときの筐体11Eとの係合状態を示す縦断面図である。
【
図8C】
図8Cは、ストッパ3Aが第2位置にあるときの筐体11Eとの係合状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様を、実施例1~実施例4の車載機器91,91A~91Cにより説明する。
【0011】
(実施例1)
実施例1の車載機器91の構成を、
図1A~
図3Bを参照して説明する。
図1Aは、本発明の一態様における実施例1の車載機器91を示す前面図であり、
図1Bは、車載機器91の上面図であり、
図1Cは、車載機器91の右側面図である。
図2Aは、車載機器91の本体部1を示す前面図であり、
図2Bは、本体部1における光軸CLcを通る位置での水平断面図であり、
図2Cは、
図2BにおけるS2C-S2C位置の断面図である。
図3Aは、車載機器91の台座部2を示す図であり、
図3A(a)は前面図、
図3A(b)は右側面図である。
図3Bは、台座部2の断面図であり、
図3B(a)は、
図3A(b)におけるS3Ba-S3Ba位置での断面図であり、
図3B(b)は
図3A(a)におけるS3Bb-S3Bb位置での出断面図である。説明の便宜のため、上下左右の各方向を
図1Aに示される矢印の方向で規定する。また、前方は
図1Aの紙面手前方であり後方は
図1Aにおける紙面奥方である。
【0012】
車載機器91は、自動車などの車両に取り付けられる。この例において車載機器91は車載カメラであって、例えば、自動車のフロントガラスの内側に取り付けられ、フロントガラスを通して車両前方の景色を撮像する。
【0013】
車載機器91は、本体部1及び台座部2を有する。本体部1は、
図1A~
図2Aに示されるように、第1方向である左右方向に延びる軸線CL1を軸とし、左右方向を長手とする第1半径である半径R1の概ね円柱状の筐体11を有する。筐体11は、樹脂で形成されており、左部において前方に向け円環状にわずかに突出した突出部12を有する。筐体11の右側面111には、レセプタクル16(
図2B参照)が露出している。レセプタクル16には、外部機器との接続をするための、プラグ81及びコード82を有する接続ケーブル8のプラグ81が着脱自在に取り付けられる。
図2Cにも示されるように、筐体11の外周面11aは、軸線CL1を中心とする半径R1の円筒面として形成されている。
【0014】
図2Bに示されるように、本体部1は、筐体11の内部に、カメラユニット13,信号処理部14,レセプタクル16,及び磁性体17を有する。
カメラユニット13は、突出部12の軸線を光軸CLcとし、突出部12を通して前方の光景を撮像する。信号処理部14は、カメラユニット13に接続されてカメラユニット13が撮像した画像を画像信号として出力する。信号処理部14から出力された画像信号は、リード15及びレセプタクル16を通して接続ケーブル8から外部機器へ送出される。
【0015】
磁性体17は、
図2B及び
図2Cに示されるように管状部材であって、磁気吸着され得る金属で形成される。本実施例において、磁石は永久磁石及び電磁石のいずれかを意味する。また、永久磁石の材料は硬磁性体であるが、本実施例において、磁性体は磁気吸引され得る金属(軟磁性体)を意味する。磁性体17は、外周面が、筐体11の内周面に沿うように、或いは内周面に近接するように筐体11の内部に収容固定されている。
【0016】
台座部2は、
図1A及び
図1B、並びに、
図3A及び
図3Bに示されるように、上面視で矩形となる略箱状に形成された基体21を有する。基体21は樹脂で形成されている。基体21の上壁21c(
図1B参照)には、基体21を、フロントガラスなどの車両側の被取り付け部材に貼着させるための貼着部材22が取り付けられている。
【0017】
図3A及び
図3Bに示されるように、基体21の下壁21bには、凹部として上方に抉られた接触壁面21aが形成されている。
図3B(b)に示されるように、接触壁面21aは、軸線CL1を中心とする半径R2の円筒面を有する。半径R2は、本体部1の筐体11の外周面の半径R1と等しく設定される。すなわち、台座部2の接触壁面21aは、筐体11の外周面に密着可能である。
【0018】
基体21の内部には磁石23が収容固定されている。磁石23は、
図3B(b)に示されるように、横断面形状が円弧状に形成され、接触壁面21aの内側の面に沿うように、或いは内側の面に近接するように固定されている。
【0019】
車載機器91は、本体部1及び台座部2が上述の構成を有し、台座部2を本体部1に接近させると、台座部2の磁石23の磁力によって本体部1の磁性体17が台座部2に引き寄せられる。これにより、本体部1の筐体11を台座部2の基体21に磁気吸着させることができる。この磁気吸着において、筐体11の軸線CL1の方向を台座部2の内周面である接触壁面21aの軸線方向と一致させることにより、台座部2と本体部1とを面接触で密着させて一体化できる。
【0020】
本体部1と台座部2とは、台座部2が突出部12と干渉しない範囲の自由な位置に磁気吸着させることができる。本体部1
図1A及び
図1Bは、台座部2を、その右端位置が本体部1の右端位置と一致するように磁気吸着させた状態が示されている。
【0021】
本体部1の台座部2への磁気吸着力は、台座部2を車両のフロントガラスに貼り付け、本体部1を台座部2に磁気吸着させた状態で少なくとも車両の通常の使用状態で本体部1が脱落せず、かつ人手によって本体部1を台座部2から離脱可能な程度となるようにする。磁気吸着力の強さは、磁石23の材質の選択、及び磁石23と磁性体との間の距離の設定により最適化される。後者は、筐体11内の磁性体17の固定位置、基体21内の磁石23の固定位置、並びに、筐体11及び基体21の厚さ、などが設定項目となる。
【0022】
車載機器91は、上述の構成を有しているので、台座部2を、本体部1の外周面における突出部12に干渉しない任意の位置に磁気吸着により固定できる。また、人の手によって、磁気吸着力に抗して本体部1を台座部2から離脱させることができる。そのため、台座部2をフロントガラスなどの被取り付け部材に取り付けた後に、台座部2に対する本体部1の吸着固定位置を、軸線CL1の延びる方向(
図1Aにおける矢印DR1参照)と、軸線CL1まわりの回動方向(
図1Cにおける矢印DR2参照)とに独立して自由に変更可能である。
【0023】
図1Cでは、台座部2に対する本体部1の磁気吸着位置を軸線CL1まわりに相対的に360°の範囲で任意選択できることが、突出部12の外形線が90°ピッチの二点鎖線で描かれて示されている。
【0024】
すなわち、車載機器91は、被取り付け部材に対する光軸CLcの向く方向の上下方向の回動調整と、左右方向の移動調整との両方の調整が独立に可能なので、使い勝手がより向上している。
【0025】
また、車載機器91は、台座部2をフロントガラスなどの被取り付け部材に取り付けた後に、人の手によって本体部1を台座部2に対し着脱できる。これにより、車載機器91は、台座部2が被取り付け部材に取り付けられていても、本体部1を台座部2から外して車両の前方以外の光景及び車室内の光景を自由に撮像でき、使い勝手がより向上している。
【0026】
(実施例2)
実施例2の車載機器91Aは、本体部1A及び台座部2Aを有し、実施例1の車載機器91に対し、本体部1Aと台座部2Aとの接触部位の形状が異なるものである。以下、車載機器91Aについて、この相違点を主に、
図4A~
図4Cを参照して説明する。
図4Aは、本発明の一態様における実施例2の車載機器91Aの前面図である。
図4Bは、車載機器91Aの右側面図である。
図4Cは、
図4Bにおけるイ部拡大図である。
【0027】
本体部1Aの筐体11Aは、実施例1の筐体11に対し、外周面の周方向に突出部12が含まれない範囲に外係合部18を有する点で異なり、磁性体17を備えるなどの他の構成は同じである。外係合部18は、
図4B及び
図4Cに示されるように、筐体11Aの外周部に形成され、横断面において略サイン波状となり筐体11Aの軸線CL1Aと平行に延びる凹凸形状の部位である。外係合部18は、この例において筐体11Aの左右方向の概ね右半分の全周に形成されている。
換言するならば、車載機器91Aにおいて、筐体11Aの外周面11Aa及び基体21Aの内周面21Aaは、一方において第1方向(左右方向)に延び周方向に所定の角度ピッチで形成された複数の凸部を有し、他方において第1方向に延び周方向に同じ角度ピッチで形成されて凸部と係合可能な複数の凹部を有する。そして、本体部1Aと台座部2Aとは、凸部と凹部とが磁気吸引で係合して一体化可能となっている。
【0028】
一方、磁石23を収容した台座部2Aは、基体21Aに、台座部2における接触壁面21aに対応する接触壁面21Aaを有する。接触壁面21Aaは、本体部1Aの外係合部18に凹凸係合する内係合部24を有する。詳しくは、内係合部24は、台座部2Aの横断面において外係合部18と同じ角度ピッチ及び高さ(振幅)の略サイン波状となり、
図4Bにおいて軸線CL1Aと平行に延びる凹凸形状で形成されている。従って、
図4Cに示されるように、本体部1Aと台座部2Aとが磁気吸着した状態で、本体部1Aの外係合部18と台座部2Aの内係合部24とは、面接触により密着して係合する。
【0029】
そのため、車載機器91Aは、台座部2に対する本体部1Aの軸線CL1Aまわりの回動位置が、内係合部24及び外係合部18の凹凸(山谷)の角度ピッチで決まるようになっている。これにより、本体部1Aを台座部2から外した後、再び磁気吸着させたときの回動位置の再現性が高く、本体部1Aを台座部2Aに対し繰り返して磁気吸着させる場合に好適である。
【0030】
また、台座部2Aに本体部1Aが磁気吸着した状態で、本体部1Aに予期せぬ外力が付与された際にも本体部1に少なくとも回動方向のずれは生じない。このように、車載機器91は、外力による撮像範囲のずれが生じにくくカメラとして高い信頼性が得られる。
【0031】
外係合部18及び内係合部24の形状は、
図4Cに示される略サイン波状でなくてもよい。例えば、
図4Dに示されるように、外係合部18が凹部18bを有する略方形波状であって、内係合部24が外係合部18の凹部18bに進入するなだらかな山部24bを有するものであってもよい。山部24bの突出高さは凹部18bの深さよりも十分小さく設定される。この場合、山部24bは、その高さが小さくなだらかな山として形成されているので、台座部2Aに磁気吸着した本体部1Aを、その磁気吸着された状態で回動させる外力が小さくて済む。そのため、車載機器91Aを車両などに取り付けるときに、手によって光軸CLcの上下方向の回動調整が容易となる。
【0032】
外係合部18と内係合部24との凹凸関係は、内外の形状が逆であってもよい。すなわち、内係合部24が略方形波状で外係合部18が内係合部24の略方形波形状の凹部に進入する山部を有するものであってよい。
【0033】
(実施例3)
実施例3の車載機器91Bは、本体部1B及び台座部2Bを有し、実施例2の車載機器91Aに対し、外係合部18及び内係合部24とは形状が異なる外係合部18B及び内係合部24Bを有するものである。以下、車載機器91Bについて、この相違点を主に、
図5A及び
図5Bを参照して説明する。
図5Aは、本発明の一態様における実施例3の車載機器91Bの前面図であり、
図5Bは、車載機器91Bの台座部2Bの斜視的な断面図である。
【0034】
図5A及び
図5Bに示されるように、車載機器91Bにおける本体部1Bの外係合部18Bは、本体部1Aの外係合部18の形状に、さらに周方向に形成された周溝18cを加えた形状を有する。この例では、周溝18cは複数本(3本)であって、本体部1Bの筐体11Bの軸線CL1B方向に所定のピッチで形成されている。
【0035】
これに対応して、車載機器91Bにおける台座部2Bは、基体21Bの内係合部24Bが、台座部2Aの内係合部24の形状に対し周溝18cに係合する周リブ24cを加えた形状で形成されている。この例では、周リブ24cは周溝18cと同数(3本)が周溝18cと同じピッチで形成されている。
【0036】
これにより、車載機器91Bは、台座部2Bに対する本体部1Bの軸線CL1B方向の位置が周溝18cのピッチ毎に正確に決められる。
図5A及び
図5Bに示される3本の周溝18cを有する場合、台座部2Bは、本体部1Bに対する左右方向で、
図5Aに示される最も左の位置と、右方向にずれた2つの位置の合計3つの位置で位置決めできる。
【0037】
このように、車載機器91Bは、台座部2Bに対する本体部1Bの軸線CL1B方向(左右方向)の位置が、予め決められた所定の位置で決まるようになっている。そのため、本体部1Bを台座部2Bから外した後、再び磁気吸着させた際の軸線CL1B方向の位置の再現性が高く、繰り返して磁気吸着させる用途に好適である。
【0038】
(実施例4)
次に実施例4の車載機器91Cについて説明する。
上述の車載機器91は、台座部2に対し、本体部1が、磁気吸着力によって、本体部1の軸線CL1に直交する断面(横断面)において一定の半径R1(
図2C参照)を有し、その半径R1を有する周面である外当接面と内当接面とが当接して保持されるようになっている。
【0039】
これに対し、実施例4の車載機器91Cは、台座部2Cにおける基体21Cの内当接面25及び本体部1Cにおける筐体11Cの外当接面19が、
図6Bで示される筐体11Cの横断面における半径Rbで形成され、その半径Rbが軸線CL1C方向に変化する曲面とされている。そして、内当接面25と外当接面19とが、台座部2Cに収容固定された磁石と筐体11C内に収容固定された磁性体との間の磁気吸着力によって面接触で当接するようになっている。以下、半径Raを軸方向半径、半径Rbを周方向半径Rbとも称する。また、周方向半径Rbは、実施例1における半径R1に対応するので第1半径とすると軸方向半径Raは第2半径となる。
【0040】
例えば、
図6Bに示される内当接面25及び外当接面19は、その周方向半径Rbが軸線CL1C方向で一定ではなく、
図6Aに示される軸方向半径Raで変化する樽状の曲面となっている。
【0041】
車載機器91Cは、この軸方向半径Raと周方向半径Rbとの関係において、軸方向半径Raが周方向半径Rbよりも大きくなっている。また、周方向半径Rbの中心は軸線CL1C上にあり、軸方向半径Raの中心は
図6Aに示されるように軸線CL1C上になくてもよい。
この構造により、本体部1Cは、台座部2Cに対し、軸線CL1Cまわりの任意の回動姿勢で磁気吸着され得るので、光軸CLcの方向を上下方向に回動調整して取り付けできる。また、車載機器91Cは、本体部1Cを、台座部2Cに対し磁気吸着力に抗して人の手によって着脱できるので、外した本体部1Cによって車両の前方以外の光景及び車室内の光景を自由に撮像でき、使い勝手がより向上している。
【0042】
(実施例5)
次に実施例5の車載機器91Dについて
図7A~
図7Dを参照して説明する。
図7Aは、本発明の一態様における実施例5の車載機器91Dを左前斜め上方から見た斜視的分解図である。
図7Bは、車載機器91Dの左前斜め上方から見た斜視図である。
図7Cは、車載機器91Dにおける台座部2D及びストッパ3と筐体11Dとの係合状態を示す模式的横断面図である。
図7Dは、車載機器91Dにおけるストッパ3と筐体11Dとの係合状態を示す縦断面図である。
【0043】
車載機器91Dは、実施例2の車載機器91Aに対し、ストッパ3をさらに備えた点などが異なる。
図7Aに示されるように、車載機器91Dは、本体部1D,台座部2D,及びストッパ3を有する。台座部2Dは車載機器91Aの台座部2Aと同じである。本体部1Dは、筐体11Dを備える。筐体11Dは、車載機器91Aの筐体11Aに対し、外係合部18と同じ断面形状(凹凸リブ形状)の外係合部18Dの右端位置が左方に寄っており、これにより右端部に外係合部18Dが形成されていない筒端部11Dcを有する点で異なる。筒端部11Dcの外周面には、径方向に突出した周リブ11Dbが形成されている。
【0044】
ストッパ3は、基体31とリング部32とを有する。基体31は、横断面形状がC字状に延在する部分である。リング部32は、基体31の右端部に形成された周方向に閉じた環状の部分である。すなわち、基体31は、リング部32と反対側の端部から自らの軸線CL3方向に切り込まれた切り欠き部31aを有する。切り欠き部31aの開口幅は、台座部2Dの基体21Dが、ほぼ隙間なく進入可能となるように設定されている。
【0045】
基体31の内周面における軸方向全範囲には、筐体11Dの外係合部18Dに係合可能な凹凸リブ形状の内係合部311が形成されている。リング部32には、軸線CL3を中心とする貫通孔である開口部32aが形成されている。
開口部32aの内面には、周リブ321及び周溝322が形成されている。周リブ321は、径方向の内向きに突出して(小径化して)全周にわたり形成されている。周溝322は周リブ321に対し筐体11Dとは反対側に隣接して形成され、径方向に抉れて(大径化して)全周にわたり形成されている。
【0046】
ストッパ3は、軸線CL3が本体部1Dの軸線CL1Dと一致する位置で、内係合部311を筐体11Dの外係合部18Dに係合及び離脱させることで、筐体11Dに対し装脱可能となっている(
図7Aにおける矢印DR3参照)。
筐体11Dに台座部2Dが取り付けられている場合には、ストッパ3は、切り欠き部31aを台座部2Dの位置に合わせるように周方向位置を調整することで、筐体11Dに対して装脱できる。
【0047】
筐体11Dにストッパ3を装着した状態の外観が
図7Bに示され、台座部2D及びストッパ3と筐体11Dとの係合状態が
図7Cに示されている。
図7Cに示されるように、台座部2Dの内係合部24Dの山の高さは、
図4Dを参照して説明した例と同様に、筐体11Dの外係合部18Dの凹部の深さよりも充分に浅く、少ない力で台座部2D2の筐体11Dにおける周方向位置を変更して調整できるようになっている。一方、ストッパ3の内係合部311の山の高さは、外係合部18Dの凹部の深さとほぼ同じ程度とされている。そのため、ストッパ3は、筐体11Dに装着した状態で、その周方向位置を手で変更調整することは実質的に難しい。
これにより、台座部2Dの筐体11Dに対して装着する周方向位置を決めたら(光軸CLcの向きを決めたら)、
図7Bに示されるようにストッパ3を装着することで、車両への装着後に予期せぬ外力によって台座部2Dが周方向にずれる、すなわち光軸CLcの向きが変わってしまうことを防止できる。
【0048】
ストッパ3を筐体11Dに最も押し込んだ第1の位置にあるとき、
図7Dに示されるように、ストッパ3の周リブ321は、筐体11Dの筒端部11Dcに形成された周リブ11Dbを乗り越え、周リブ11Dbはストッパ3の周溝322に係合した状態にある。そのため、ストッパ3は、第1の位置から意図した抜去力を付与することなく、筐体11Dから離脱することはない。
【0049】
(実施例6)
次に実施例6の車載機器91Eについて
図8A及び
図8Bを参照して説明する。
図8Aは、本発明の一態様における実施例6の車載機器91Eが備えるストッパ3Aを示す斜視図である。
図8Bは、ストッパ3Aが第1の位置にあるときの筐体11Eとの係合状態を示す縦断面図である。
図8Cは、ストッパ3Aが第2の位置にあるときの筐体11Eとの係合状態を示す縦断面図である。
【0050】
図8Bに示されるように、車載機器91Eは、本体部1E,台座部2E,ストッパ3A,及びキャップ5を有する。
【0051】
本体部1Eは、車載機器91Dに対し、
図8Bに示されるように、筐体11Dに相当する筐体11Eの右端にキャップ5が装着される点で異なり、他は同じである。キャップ5は、筐体11Eに対し着脱可能となっており、装着された状態で径方向外方に張り出すフランジ部51を有する。台座部2Eは台座部2Dと同じである。
【0052】
ストッパ3Aは、
図8A及び
図8Bに示されるように、ストッパ3に対し、内係合部311が基体31Aの奥側の一部分のみに形成され、周リブ321が断続的に形成された複数の突起321Aとされている点が異なる。
ストッパ3Aは、キャップ5が取り付けられていない状態で筐体11Eに対し右側から装着され、その後、キャップ5が筐体11Eに取り付けられる。
ストッパ3Aは、筐体11Eに取り付けられた状態で、最も左方の第1位置(
図8B参照)と、最も右方の第2位置(
図8C参照)の間を左右方向に移動可能である。
【0053】
第1位置において、ストッパ3Aの突起321Aは筐体11Eの周リブ11Ebを乗り越えてその左側に位置している。そのため、意図的にストッパ3Aに対し右方側に抜去する力を付与して突起321Aが周リブ11Ebを乗り越えるようにしない限り、ストッパ3Aは第1位置を維持する。ストッパ3Aが第1位置にあるときに、内係合部311は外係合部18Eと係合しているので、ストッパ3Aは周方向の移動が規制されている。すなわち、台座部2Eの周方向の位置変更が規制されている。
【0054】
ストッパ3Aは、右方側に抜去する力を付与して突起321Aが周リブ11Ebを乗り越えさらに右方に移動すると、突起321Aがキャップ5のフランジ部51に当接した第2位置となる。このように、ストッパ3Aは、第2位置において右方移動が規制される。一方で、ストッパ3Aが第2位置近傍に位置しているときに、内係合部311と外係合部18Eとの係合が解除されるようになっている。そのため、ストッパ3Aは、第2位置近傍で筐体11Eの軸線CL1Eまわりに自由に回動させることができる。これにより、ストッパ3Aは、筐体11Eに係合する周方向位置を第2位置で選択でき、決定した周方向位置で第1位置に軸方向移動させることで筐体11Eに係合させることができる。
【0055】
上述のように、車載機器91Dは、ストッパ3を装着することで、筐体11Dに対する台座部2Dの周方向の取り付け位置がずれることを防止できる。これにより、車載機器91Dを車両などに取り付けた後に光軸CLcの向きが意図せず変わってしまうことがなく、取り付け信頼性が高い。
また、車載機器91Eは、ストッパ3Aを装着することで、筐体11Eに対する台座部2Eの周方向の取り付け位置がずれることを防止できるのみならず、ストッパ3Aの軸方向位置を、通常の第1位置から第2位置へ軸方向移動させるだけで周方向の取り付け位置を容易に変更できる。これにより、車載機器91Eは、取り付け信頼性が高く、かつ利便性が向上している。
【0056】
以上詳述した一態様は、その構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形した変形例としてもよい。
【0057】
本体部1,1A~1Eに収容固定される磁性体17の形状は管状に限定されない。スリットを有して横断面がC字状となるものであってよい。また、磁性体17を、軸線CL1に沿って延びる細長形状の磁性金属を周方向に離隔して複数配置した複数の磁性体の群として構成してもよい。
【0058】
台座部2,2A~2Eに収容固定される磁石23の形状は横断面形状が円弧状になるものに限定されない。複数の磁石23を、接触壁面21aに沿うように分散させて配置した複数の磁石の群として構成してもよい。
【0059】
実施例1の車載機器91として、本体部1側に磁性体17を有し台座部2側に磁石23を有するものを説明したが、逆であってもよい。すなわち、本体部1側に磁石23を有し台座部2側に磁性体17を有していてもよい。実施例2~4の車載機器91A~91Eも同様である。
【0060】
車載機器91において、台座部2の軸方向長さは上述の例に限定されない。例えば、突出部12と干渉しない範囲で本体部1と同じ長さであってもよい。これは、車載機器91A~91Eについても同じである。
本体部1において、突出部12に対応するカメラユニット13の軸方向位置は、上述のように左側に偏っている態様に限定されない。例えば、右側に偏った位置にあり台座部2が本体部1の左側に取り付けられていてもよい。これは車載機器91A~91Eについても同じである。すなわち、本体部1におけるカメラユニット13の軸方向の位置、及び本体部1に対する台座部2の取り付け位置及び軸方向長さは、何ら限定されるものではなく、突出部12と台座部2とが干渉しない範囲で自由である。これは、本体部1A~1E及び台座部2A~2Eにおいても同じである。
【0061】
車載機器91において、磁石23は、電磁石であってもよい。この場合、本体部1から台座部2を取り外すときに電磁石である磁石23の電力をOFFにして磁力をなくし、本体部1に台座部2を取り付けるとき及び取り付け状態を維持するときに、電力をONにして磁力を生じさせるようにする。これは、車載機器91A~91Eにおいても同じである。
【0062】
ここまで磁性体17は磁気吸着され得る金属(軟磁性体)として説明したが、磁性体17は磁石(永久磁石又は電磁石)であってもよい。換言するならば、上述の磁石23と磁性体17との間に作用させる磁気吸着力は、磁石同士で生じさせる磁気吸着力であってもよい。すなわち、車載機器91は、磁性体17を第2磁石に置き換え、第1磁石である磁石23と第2磁石17との間で生じる磁気吸着力によって、台座部2を本体部1に磁気吸着させるものであってもよい。これは、車載機器91A~91Eについても同じである。このように、磁石同士で磁気吸着させることによって、より強い吸着が可能となるので、磁石23及び磁石とした磁性体17を小さくすることができ省スペース化が図れる。また、同じ吸着力を筐体11及び基体21の肉厚を厚くしても得られるので、本体部1及び台座部2により高い強度が必要な場合に好適である。
【0063】
車載機器91,91A~91Eは、上述の車載カメラに限定されない。例えば、ドライブレコーダ,通信機器,画像表示装置,各種センサ,音声再生装置,情報端末などであってよい。従って、車載機器91,91A~91Eは、本体部1,1A~1Cが、電気信号を入力又は出力する機器である。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B,1C,1D,1E 本体部
11,11A,11B,11C,11D,11E 筐体
11a 外周面
11Db,11Eb 周リブ
11Dc 筒端部
111,111D 右側面
12 突出部
13 カメラユニット
14 信号処理部
15 リード
16 レセプタクル
17 磁性体
18,18B,18D,18E 外係合部
18b 凹部
18c 周溝
19 外当接面
2,2A,2B,2C,2D,2E 台座部
21,21A,21B,21C,21D,21E 基体
21a,21Aa 接触壁面
21b 下壁
21c 上壁
22 貼着部材
23 磁石
24,24B,24D 内係合部
24b 山部
24c 周リブ
25 内当接面
3,3A ストッパ
31,31A 基体
31a 切り欠き部
311 内係合部
32,32A リング部
32a,32Aa 開口部
321 周リブ
321A 突起
322 周溝
5 キャップ
51 フランジ部
8 接続ケーブル
81 プラグ
82 コード
91,91A,91B,91C,91D,91E 車載機器
CL1,CL1A,CL1B,CL1D,CL1E 軸線
CLc 光軸
Ra 半径(軸方向半径)
Rb 半径(周方向半径)
R1,R2 半径