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特開2024-139150半潜水浮体式基礎および半潜水浮体式基礎の構築方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139150
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】半潜水浮体式基礎および半潜水浮体式基礎の構築方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/04 20060101AFI20241002BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20241002BHJP
   E02D 27/42 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E02D27/04
E02D27/32 A
E02D27/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049965
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小尾 博俊
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA05
2D046DA07
2D046DA32
(57)【要約】
【課題】PC鋼材が錯綜することを抑制して施工性の向上を図ることを可能とし、かつ、軽量化を可能とした半潜水浮体式基礎と、この半潜水浮体式基礎の構築方法を提案する。
【解決手段】風車11の支柱12を支持するセンターカラム3と、センターカラム3から間隔をあけて配設された3本のサイドカラム4,4,4と、センターカラム3とサイドカラム4とを接続するビーム5とを備える風力発電施設の半潜水浮体式基礎2である。センターカラム3は、鋼製のスラブ31と、スラブ31に立設された円筒状の本体部32とを備えている。ビーム5は、ビーム用PC鋼材51が配設されたプレストレスコンクリート製である。スラブ31は、底面に設けられたスラブ用底鋼板33と、上面に設けられたスラブ用上鋼板34と、ビーム5との接合部に設けられたビーム用PC鋼材51を定着可能な定着用鋼材35とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車の支柱を支持するセンターカラムと、
前記センターカラムから間隔をあけて配設された複数のサイドカラムと、
前記センターカラムと前記サイドカラムとを接続するビームと、を備える風力発電施設の半潜水浮体式基礎であって、
前記センターカラムは、鋼製のスラブと、前記スラブに立設された円筒状の本体部と、を備えており、
前記ビームは、ビーム用PC鋼材が配設されたプレストレスコンクリート製であり、
前記スラブは、底面に設けられたスラブ用底鋼板と、上面に設けられたスラブ用上鋼板と、前記ビームとの接合部に設けられた前記ビーム用PC鋼材を定着可能な定着用鋼材と、を備えていることを特徴とする、半潜水浮体式基礎。
【請求項2】
前記本体部は、プレストレスコンクリート製であり、かつ、前記スラブ用上鋼板を貫通し、
前記本体部の下端は、前記スラブ用底鋼板に当接しており、
前記定着用鋼材から前記本体部の外側面に至る骨部材が、前記スラブ用上鋼板の下面および前記スラブ用底鋼板の上面に沿って配設されていて、
前記本体部の内部には、前記本体部の内側面から前記骨部材の延長線に沿って延在するつなぎ材が配設されていて、前記本体部の中心部において前記つなぎ材同士が接合されていることを特徴とする、請求項1に記載の半潜水浮体式基礎。
【請求項3】
前記サイドカラムは、鋼製のサイドカラムスラブと、前記サイドカラムスラブに立設された円筒状のサイドカラム本体部と、を備えており、
前記サイドカラムスラブは、底面に設けられたサイドカラムスラブ用底鋼板と、上面に設けられたサイドカラムスラブ用上鋼板と、前記ビームとの接合部に設けられた前記ビーム用PC鋼材を定着可能なサイドカラム定着用鋼材と、を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の半潜水浮体式基礎。
【請求項4】
前記定着用鋼材には、前記ビーム用PC鋼材を挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記ビーム用PC鋼材の端部には、前記挿通孔に挿通した前記ビーム用PC鋼材を前記定着用鋼材に係止する係止部材が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の半潜水浮体式基礎。
【請求項5】
前記係止部材は、くさび状の部材からなり、
前記定着用鋼材には、前記係止部材と係合する受材が設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の半潜水浮体式基礎。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半潜水浮体式基礎の構築方法であって、
前記ビームを構成するビーム用セグメントを製作するセグメント製作工程と、
前記ビーム用セグメントを所定の位置に配置して前記ビームを形成するビーム形成工程と、
前記ビームの基端部を前記スラブに接続するビーム接続工程と、を備えており、
前記ビーム接続工程では、前記ビーム用PC鋼材を前記定着用鋼材に固定するとともに、前記ビーム用PC鋼材に緊張力を導入することを特徴とする、半潜水浮体式基礎の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水上風力発電施設の半潜水浮体式基礎および半潜水浮体式基礎の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの排出量削減を目的として、再生可能エネルギーの需要が高まっている。再生可能エネルギーには、例えば、太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス等がある。風力発電施設は、風車による騒音や振動が生活環境に影響を及ぼす場合があり、居住空間等への影響を十分に考慮する必要があることから、居住区域から離れた山間部などに設置されることが多い。しかしながら、大型の風車を設置する用地を山間部に確保することは難しく、また、風力発電施設までの交通路の確保や、送電線等の設置等も困難であった。そのため、風力発電施設を海上(水上)に設置することが検討されている。
水上に構造物を構築する場合において、基礎構造として浮体構造物を採用する場合がある。浮体基礎構造としては、セミサブマージブル型、スパー型、パージ型、TLP型等がある。このうち、セミサブマージブル型基礎(半潜水浮体式基礎)は、センターカラムと、センターカラムの周囲に間隔をあけて配設された複数本のサイドカラムと、センターカラムとサイドカラムとを連結するビーム(ポンツーン)とを備えてなり、波や風に対して優れた安定性能を有していることから、比較的実績が多い。
【0003】
半潜水浮体式基礎は、鋼製部材を主体に構成されることが多い。一方、半潜水浮体式基礎をコンクリートにより構築すれば、コストダウンを図ることができる。例えば、特許文献1には、主な構造要素をコンクリート製とした半潜水浮体式基礎が開示されている。
コンクリート製の半潜水浮体式基礎は、筒状の鉄筋コンクリート製プレキャストブロックからなるカラムと、箱型の鉄筋コンクリート製プレキャストブロックからなるビームとをPC鋼材でポストテンションにより一体化して製作されるのが一般的である。
一方、カラムには主として上下方向にPC鋼材が配置されており、ビームには横方向に配置されていて、カラムとビームとの接合部では、上下方向のPC鋼材と横方向のPC鋼材とが錯綜し、複雑な配置になっている。そのため、PC鋼材の配置に手間がかかる。また、カラムとビームとの接合部では、錯綜するPC鋼材を配置するために、スラブや側壁の部材厚を大きくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2015-513046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、PC鋼材が錯綜することを抑制して施工性の向上を図ることを可能とし、かつ、軽量化を可能とした半潜水浮体式基礎と、この半潜水浮体式基礎の構築方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、風車の支柱を支持するセンターカラムと、前記センターカラムから間隔をあけて配設された複数のサイドカラムと、前記センターカラムと前記サイドカラムとを接続するビームとを備える風力発電施設の半潜水浮体式基礎である。前記センターカラムは、鋼製のスラブと、前記スラブに立設された円筒状の本体部とを備えている。また、前記ビームは、ビーム用PC鋼材が配設されたプレストレスコンクリート製である。そして、前記スラブは、底面に設けられたスラブ用底鋼板と、上面に設けられたスラブ用上鋼板と、前記ビームとの接合部に設けられた前記ビーム用PC鋼材を定着可能な定着用鋼材と、を備えている。
また、本発明の半潜水浮体式基礎の構築方法は、前記ビームを構成するビーム用セグメントを製作するセグメント製作工程と、前記ビーム用セグメントを所定の位置に配置して前記ビームを形成するビーム形成工程と、前記ビームの基端部を前記スラブに接続するビーム接続工程とを備えており、前記ビーム接続工程では、前記ビーム用PC鋼材を前記定着用鋼材に固定するとともに前記ビーム用PC鋼材に緊張力を導入する。
かかる半潜水浮体式基礎および半潜水浮体式基礎の構築方法によれば、センターカラムのスラブを鋼製にすることで、コンクリート製にする場合比べて軽量化が可能になるとともに、コンクリート数量の低減も可能となる。また、ビームのPC鋼材を、スラブの定着用鋼材に定着するので、センターカラムにおいて上下方向のPC鋼材と横方向のPC鋼材が錯綜することを抑制できる。そのため、施工時の手間を低減できる。
【0007】
前記本体部が、プレストレスコンクリート製であり、かつ、前記スラブ用上鋼板を貫通し、前記本体部の下端が前記スラブ用底鋼板に当接している場合には、前記定着用鋼材から前記本体部の外側面に至る骨部材が前記スラブ用上鋼板の下面および前記スラブ用底鋼板の上面に沿って配設されていて、さらに、前記本体部の内部には、前記本体部の内側面から前記骨部材の延長線に沿って延在するつなぎ材が配設されていて、前記本体部の中心部において前記つなぎ材同士が接合されているのが望ましい。こうすることで、センターカラムの本体部がコンクリート製であっても、本体部とスラブ(底鋼板および上鋼板)との連続化(一体化)が図られるため、終局限界状態や疲労限界状態において所要の強度が得られる。
【0008】
前記サイドカラムは、鋼製のサイドカラムスラブと、前記サイドカラムスラブに立設された円筒状のサイドカラム本体部とを備えており、前記サイドカラムスラブは、底面に設けられたサイドカラムスラブ用底鋼板と、上面に設けられたサイドカラムスラブ用上鋼板と、前記ビームとの接合部に設けられた前記ビーム用PC鋼材を定着可能なサイドカラム定着用鋼材とを備えているのが望ましい。こうすることで、サイドカラムにおいても、スラブを鋼製にすることで軽量化を図ることができるとともに、ビーム用PC鋼材をサイドカラム定着用鋼材に定着することでPC鋼材が錯綜することを抑制できる。
【0009】
前記定着用鋼材には、前記ビーム用PC鋼材を挿通可能な挿通孔が形成されており、前記ビーム用PC鋼材の端部には、前記挿通孔に挿通した前記ビーム用PC鋼材を前記定着用鋼材に形成する係止部材が設けられていることが好ましい。この場合の前記係止部材は、ビーム用PC鋼材に螺着された部材であってもよいし、くさび状の部材であってもよい。なお、係止部材がくさび状の部材の場合には、定着用鋼材に前記係止部材と係合する受材を設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明の半潜水浮体式基礎とこの半潜水浮体式基礎の構築方法によれば、PC鋼材が錯綜することを抑制して施工性の向上を図ることを可能とし、かつ、軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る洋上風力発電施設を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る半潜水浮体式基礎を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図3】ビーム用PC鋼材の定着部を示す断面図である。
図4】半潜水浮体式基礎の構築方法を示すフローチャートである。
図5】ビーム形成工程を示す斜視図である。
図6】ビーム接続工程を示す斜視図である。
図7】本体部形成工程を示す斜視図である。
図8】ビーム用PC鋼材の定着部の他の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態では、洋上風力発電施設(水上施設)1の基礎構造(半潜水浮体式基礎2)について説明する。図1は、洋上風力発電施設1の斜視図である。図1に示すように、洋上風力発電施設1は、風車11と、風車11を支持する支柱12とを有していて、半潜水浮体式基礎2を介して水面よりも高い位置に設けられている。風車11は、支柱12の上端部に回転可能に設けられている。支柱12は、半潜水浮体式基礎2上に立設されている。
半潜水浮体式基礎2は、風車11の支柱12を支持するセンターカラム3と、センターカラム3から間隔をあけて配設された3本のサイドカラム4,4,4と、センターカラム3とサイドカラム4とを接続するビーム5,5,5とを備えている。
【0013】
図2に半潜水浮体式基礎2を示す。ビーム5は、ビーム用PC鋼材51が配設されたプレストレスコンクリート製である。図2(a)に示すように、ビーム5の一端は、センターカラム3のスラブ31に連結されており、ビーム5の他端は、サイドカラム4に連結されている。ビーム5は、角筒状を呈している。ビーム5は、複数のビーム用セグメント53,53,…を横方向に連結することにより形成されている。ビーム用セグメント53は、コンクリート製のプレキャスト部材である。また、ビーム5には、ビーム用PC鋼材51が配設されている。ビーム用PC鋼材51は、ビーム5の長手方向に沿って配設されていて、複数のビーム用セグメント53,53,…を貫通している。ビーム用PC鋼材51の一端はサイドカラム4に定着されており、ビーム用PC鋼材51の他端はセンターカラム3(定着用鋼材35)に定着されている。
【0014】
センターカラム3は、図2(b)に示すように、鋼製のスラブ31と、スラブ31に立設された円筒状の本体部32とを備えている。
スラブ31は、底面に設けられたスラブ用底鋼板33と、上面に設けられたスラブ用上鋼板34と、ビーム5との接合部に設けられた定着用鋼材35と、定着用鋼材35同士を連結する側壁鋼鈑36とを備えている。スラブ31は、平面視六角形状に形成されていて、本体部32の外形よりも十分に大きな外形を有している。なお、スラブ31の平面形状は限定されるものではなく、例えば、円形であってもよい。スラブ用上鋼板34の中央部には、本体部32を挿通可能な孔が形成されている。定着用鋼材35は、ビーム5と同等の外形(本実施形態では四角形)を呈した鋼材により構成されている。定着用鋼材35は、ビーム5に挿通されたビーム用PC鋼材51(図2(a)参照)を定着可能な強度を有している。
【0015】
本体部32は、スラブ用上鋼板34の中央部を貫通し、下端がスラブ用底鋼板33に当接している。本体部32は、プレストレスコンクリート製であり、側壁部分の厚さ方向中央部にPC鋼材(図示せず)が設けられている。PC鋼材は、本体部32の上下方向に配置されている。
図2(a)および(b)に示すように、スラブ31の内部には、定着用鋼材35から本体部32の外側面に至る骨部材37が配設されている。骨部材37は、スラブ用上鋼板34の下面とスラブ用底鋼板33の上面との間に配置されている。上側の骨部材37は、スラブ用上鋼板34の下面に沿って配設された板材(リブ)であり、スラブ用上鋼板34の下面に接合されている。下側の骨部材37は、スラブ用底鋼板33の上面に沿って配設された板材(リブ)であり、スラブ用底鋼板33の上面に接合されている。また、本体部32の内部には、本体部32の内側面から骨部材37の延長線に沿って延在するつなぎ材38が配設されている。上側のつなぎ材38は、スラブ用上鋼板34の下面に沿って配設された板材(リブ)であり、スラブ用上鋼板34の下面に接合されている。下側のつなぎ材38は、スラブ用底鋼板33の上面に沿って配設された板材(リブ)であり、スラブ用底鋼板33の上面に接合されている。つなぎ材38は、本体部32の中心部において他のつなぎ材38と接合されている。
【0016】
定着用鋼材35には、ビーム用PC鋼材51を挿通可能な挿通孔35aが形成されている。図3にビーム用PC鋼材51の定着部を示す。図3に示すように、ビーム用PC鋼材51の端部には、定着用鋼材35の挿通孔35aに挿通したビーム用PC鋼材51を定着用鋼材35に係止する係止部材52が設けられている。本実施形態の係止部材52は、くさび状の部材からなる。定着用鋼材35には、係止部材52と係合する受材35bが設けられている。
【0017】
サイドカラム4は、図1および図2(a)に示すように、センターカラム3の周囲に3本配設されている。隣り合うサイドカラム4同士の間隔は同一である。サイドカラム4は、ビーム5を介してセンターカラム3に連結されている。
サイドカラム4は、鋼製のサイドカラムスラブ41と、サイドカラムスラブ41に立設された円筒状のサイドカラム本体部42と備えている。
【0018】
サイドカラムスラブ41は、図2(a)および(b)に示すように、平面視馬蹄形状を呈しており、底面に設けられたサイドカラムスラブ用底鋼板43と、上面に設けられたサイドカラムスラブ用上鋼板44と、ビーム5との接合部に設けられたサイドカラム定着用鋼材45と、サイドカラムスラブ用底鋼板43の上面とサイドカラムスラブ用上鋼板44の下面の設けられたサイドカラム骨部材46と、サイドカラムスラブ41の側面を覆うサイドカラム側壁47とを備えている。サイドカラム定着用鋼材45は、ビーム5に挿通されたビーム用PC鋼材51を定着可能な強度を有している。なお、サイドカラム定着用鋼材45の詳細は、定着用鋼材35と同様である。
サイドカラム本体部42は、円筒状を呈している。サイドカラム本体部42は、プレストレスコンクリート製であり、円筒状の側壁の厚さ方向中央部にPC鋼材(図示せず)が設けられている。PC鋼材は、サイドカラム本体部42の上下方向に配置されていて、上側または下側のサイドカラム骨部材46に定着されている。
【0019】
本実施形態の半潜水浮体式基礎の構築方法について説明する。図4に半潜水浮体式基礎の構築方法の手順を示す。図4に示すように、半潜水浮体式基礎の構築方法は、セグメント製作工程S1と、ビーム形成工程S2と、ビーム接続工程S3と、本体部形成工程S4とを備えている。
セグメント製作工程S1では、ビーム5を構成するビーム用セグメント53を製作する。
図5にビーム形成工程S2を示す。ビーム形成工程S2では、図5に示すように、ビーム用セグメント53を所定の位置に配置してビーム5を形成する。ビーム用セグメント53同士の間には、止水材(図示せず)を介設する。このとき、ビーム用セグメント53同士は、PC鋼材により圧縮力を導入して仮接合する。
【0020】
図6にビーム接続工程S3を示す。図6に示すように、ビーム接続工程S3では、ビーム5の基端部をセンターカラム3に接続するともに、先端部をサイドカラム4に接続する。このとき、ビーム用PC鋼材51を定着用鋼材35およびサイドカラム定着用鋼材45に固定するとともに、ポストテンション方式によりビーム5(ビーム用PC鋼材51)に緊張力を導入する。すなわち、ビーム5を挿通させたビーム用PC鋼材51(マルチストランドあるいはシングルストランド)の一端をセンターカラム3に固定する(定着させる)とともに、他端をサイドカラム4に固定する(定着させる)。
図7に本体部形成工程S4を示す。図7示すように、本体部形成工程S4では、センターカラム3の本体部32およびサイドカラム本体部42を完成させる。
【0021】
本実施形態の半潜水浮体式基礎2および半潜水浮体式基礎の構築方法によれば、センターカラム3のスラブ31を鋼製にすることで、センターカラム3の全てをコンクリート製にする場合に比べて軽量化が可能になるとともに、コンクリート数量の低減も可能となる。また、ビーム5のPC鋼材を、スラブ31の定着用鋼材35に定着するので、センターカラム3において上下方向のPC鋼材と横方向のPC鋼材が錯綜することを抑制できる。そのため、施工時の手間を低減できる。
【0022】
また、スラブ31内に骨部材37設けられているため、センターカラム3のスラブ31としての強度が確保されている。
ビーム5のビーム用PC鋼材51を定着用鋼材35に定着させるため、センターカラム3にビーム用PC鋼材51を定着させる場合に比べて、施工性に優れている。すなわち、複数のビーム5が接続されるセンターカラム3にビーム5のビーム用PC鋼材51を定着させると、センターカラム3内において、ビーム用PC鋼材51を3重に交差させる必要があり、ビーム用PC鋼材51が錯綜する。一方、ビーム用PC鋼材51をこれに隣接する定着用鋼材35に定着させることで、ビーム用PC鋼材51が錯綜することを抑制できる。
また、センターカラム3の本体部32では、風荷重やビーム5の動揺による慣性力などにより大きな断面力が生じるため、鉛直方向の鉄筋も一般に多くなる。そのため、ビーム用PC鋼材51を本体部32に定着させる場合には、本体部32に各ビーム5から延設されるビーム用PC鋼材51と鉛直鉄筋とが配設されるため、配筋及びビーム用PC鋼材51の配置が複雑になる。その結果施工効率が悪い。一方、本実施形態の半潜水浮体式基礎2では、ビーム用PC鋼材51をこれに隣接する定着用鋼材に定着させるため、本体部32の鉄筋とビーム用PC鋼材51とが干渉することがない。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、センターカラム3の本体部32がコンクリート製の場合について説明したが、センターカラム3の本体部32は鋼製であってもよい。
また、前記実施形態では、ビーム5を複数のビーム用セグメント53,53,…を組み合わせることにより形成する場合について説明したが、ビーム5は場所打ちコンクリートにより形成してもよい。
前記実施形態では、サイドカラム4が3本の場合について説明したが、サイドカラム4の本数は限定されるものではなく、例えば、4本以上であってもよい。
前記実施形態では、係止部材52がくさび状の部材の場合について説明したが、係止部材52の構成は限定されるものではなく、例えば、図8に示すように、ビーム用PC鋼材51に螺着された部材(ナット等)であってもよい。この場合には、ビーム用PC鋼材51の端部にネジ加工を施しておく。
【符号の説明】
【0024】
1 洋上風力発電施設
11 風車
12 支柱
2 半潜水浮体式基礎
3 センターカラム
31 スラブ
32 本体部
33 スラブ用底鋼板
34 スラブ用上鋼板
35 定着用鋼材
36 側壁鋼鈑
37 骨部材
38 つなぎ材
4 サイドカラム
41 サイドカラムスラブ
42 サイドカラム本体部
5 ビーム
51 ビーム用PC鋼材
52 係止部材
53 ビーム用セグメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8