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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139151
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241002BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 Q
H01L23/12 F
H01L23/12 301Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049969
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】南條 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 鴻生
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA42
5E316AA43
5E316BB02
5E316CC32
5E316EE01
5E316FF01
5E316GG15
5E316GG28
5E316HH06
5E316HH40
5E316JJ02
5E316JJ03
(57)【要約】
【課題】波形補正ICの搭載・非搭載の判断に応じてスムーズに設計の変更が可能な基板を提供する。
【解決手段】基板は、半導体チップと電子部品とを実装するために用いられる。基板は、第1面と、第1面とは反対側にある第2面と、基板を貫通する第1ビア及び第2ビアと、第1ビアに接続された第1パッドオンビアと、第2ビアに接続された第2パッドオンビアと、第1ビアに接続された第3パッドオンビアと、第2ビアに接続された第4パッドオンビアと、第1ビアと第2ビアとの間に位置し、第1ビアから離間して設けられた第1配線と、第1ビアと第2ビアとの間に位置し、第2ビア及び第1配線から離間して設けられた第2配線と、第2面において、第1ビアと第2ビアとの間に位置し、第1ビア及び第2ビアから離間して設けられた第3配線と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと電子部品とを実装するための基板であって、
第1面と、
前記第1面とは反対側にある第2面と、
前記基板を貫通し、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1ビアと、
前記基板を貫通し、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2ビアと、
前記第1面に設けられ、前記第1ビアに接続された第1パッドオンビアと、
前記第1面に設けられ、前記第2ビアに接続された第2パッドオンビアと、
前記第2面に設けられ、前記第1ビアに接続された第3パッドオンビアと、
前記第2面に設けられ、前記第2ビアに接続された第4パッドオンビアと、
前記第1面において、前記第1ビアと前記第2ビアとの間に位置し、前記第1ビアから離間して設けられた第1配線と、
前記第1面において、前記第1ビアと前記第2ビアとの間に位置し、前記第2ビア及び前記第1配線から離間して設けられた第2配線と、
前記第2面において、前記第1ビアと前記第2ビアとの間に位置し、前記第1ビア及び前記第2ビアから離間して設けられた第3配線と、
を有する、
基板。
【請求項2】
前記半導体チップが実装される第1実装領域と、
前記電子部品が実装される第2実装領域と、
波形補正ICが実装される第3実装領域と、
を有し、
前記第1実装領域及び前記第2実装領域は、前記第2面の一部であり、
前記第3実装領域は、前記第1面の一部であり、
前記第1実装領域には、前記第1ビアに電気的に接続された第1接続配線の一部が配置され、
前記第2実装領域には、前記第2ビアに電気的に接続された第2接続配線の一部が配置され、
前記第3実装領域には、前記第1配線の一部及び前記第2配線の一部が配置されている、
請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記基板の厚さ方向から見て、前記第1パッドオンビア及び前記第1配線に重なる第1導通領域と、
前記基板の厚さ方向から見て、前記第2パッドオンビア及び前記第2配線に重なる第2導通領域と、
前記基板の厚さ方向から見て、前記第3パッドオンビア及び前記第3配線に重なり、かつ、前記第4パッドオンビア及び前記第3配線に重なる第3導通領域と、
を有する、
請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記第1面に形成されており、かつ、前記第1パッドオンビアと前記第1配線とを導通する第1導通部と、
前記第1面に形成されており、かつ、前記第2パッドオンビアと前記第2配線とを導通する第2導通部と、
を有する、
請求項1に記載の基板。
【請求項5】
前記第1面に実装されており、かつ、前記第1配線及び前記第2配線に接続された波形補正ICを有する、
請求項4に記載の基板。
【請求項6】
前記第1ビアに電気的に接続された半導体チップと、
前記第2ビアに電気的に接続された電子部品と、
を有し、
前記第1ビア、前記第1パッドオンビア、前記第1導通部、前記第1配線、前記波形補正IC、前記第2配線、前記第2導通部、前記第2パッドオンビア、前記第2ビア、及び前記第4パッドオンビアを介して、前記半導体チップは、前記電子部品に電気的に接続されている、
請求項5に記載の基板。
【請求項7】
前記第2面に形成された第3導通部を有し、
前記第3導通部は、前記第3パッドオンビアと前記第3配線とを導通し、かつ、前記第4パッドオンビアと前記第3配線とを導通する、
請求項1に記載の基板。
【請求項8】
前記第1ビアに電気的に接続された半導体チップと、
前記第2ビアに電気的に接続された電子部品と、
を有し、
前記第1ビア、前記第3パッドオンビア、前記第3配線、前記第3導通部、及び前記第4パッドオンビアを介して、前記半導体チップは、前記電子部品に電気的に接続されている、
請求項7に記載の基板。
【請求項9】
前記半導体チップから前記電子部品までの線長は、前記半導体チップの仕様で規定されている線長よりも長い、
請求項6又は請求項8に記載の基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に関する。
【背景技術】
【0002】
高速デジタル伝送回路が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4616861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速デジタル伝送回路においては、CPU(Central Processing Unit)や周辺の電子部品を動作させる信号波形の品質の確保が重要である。
高速デジタル伝送回路を備える基板の設計においては、コンプライアンス試験の結果に応じて、信号波形を補正する波形補正IC(Integrated Circuit)を基板に搭載するか否かの判断が行われる。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、波形補正ICの搭載・非搭載の判断に応じてスムーズに設計の変更が可能な基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る基板は、半導体チップと電子部品とを実装するための基板である。基板は、第1面と、前記第1面とは反対側にある第2面と、前記基板を貫通し、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第1ビアと、前記基板を貫通し、前記第1面と前記第2面との間に設けられた第2ビアと、前記第1面に設けられ、前記第1ビアに接続された第1パッドオンビアと、前記第1面に設けられ、前記第2ビアに接続された第2パッドオンビアと、前記第2面に設けられ、前記第1ビアに接続された第3パッドオンビアと、前記第2面に設けられ、前記第2ビアに接続された第4パッドオンビアと、前記第1面において、前記第1ビアと前記第2ビアとの間に位置し、前記第1ビアから離間して設けられた第1配線と、前記第1面において、前記第1ビアと前記第2ビアとの間に位置し、前記第2ビア及び前記第1配線から離間して設けられた第2配線と、前記第2面において、前記第1ビアと前記第2ビアとの間に位置し、前記第1ビア及び前記第2ビアから離間して設けられた第3配線と、を有する。
【0007】
上述の態様に係る基板によれば、基板は、波形補正ICの搭載構造、又は、波形補正ICの非搭載構造を選択的するように使い分けることができる。波形補正ICの搭載・非搭載の判断に応じてスムーズに基板の設計の変更が可能となる。
【0008】
本発明の一態様に係る基板は、前記半導体チップが実装される第1実装領域と、前記電子部品が実装される第2実装領域と、波形補正ICが実装される第3実装領域と、を有してもよい。この場合、前記第1実装領域及び前記第2実装領域は、前記第2面の一部であってもよい。前記第3実装領域は、前記第1面の一部であってもよい。前記第1実装領域には、前記第1ビアに電気的に接続された第1接続配線の一部が配置されてもよい。前記第2実装領域には、前記第2ビアに電気的に接続された第2接続配線の一部が配置されてもよい。前記第3実装領域には、前記第1配線の一部及び前記第2配線の一部が配置されてもよい。
【0009】
上述の態様に係る基板によれば、半導体チップ、電子部品、及び波形補正ICが実装される予定の領域として、第1実装領域、第2実装領域、及び第3実装領域を有する基板を実現することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る基板は、前記基板の厚さ方向から見て、前記第1パッドオンビア及び前記第1配線に重なる第1導通領域と、前記基板の厚さ方向から見て、前記第2パッドオンビア及び前記第2配線に重なる第2導通領域と、前記基板の厚さ方向から見て、前記第3パッドオンビア及び前記第3配線に重なり、かつ、前記第4パッドオンビア及び前記第3配線に重なる第3導通領域と、を有してもよい。
【0011】
上述の態様に係る基板によれば、半導体チップ、電子部品、及び波形補正ICと基板とを電気的に接続する導通部が配置される予定の領域として、第1導通領域、第2導通領域、及び第3導通領域を有する基板を実現することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る基板は、前記第1面に形成されており、かつ、前記第1パッドオンビアと前記第1配線とを導通する第1導通部と、前記第1面に形成されており、かつ、前記第2パッドオンビアと前記第2配線とを導通する第2導通部と、を有してもよい。
【0013】
上述の態様に係る基板によれば、前記第1パッドオンビアと前記第1配線とを導通する第1導通部と、前記第2パッドオンビアと前記第2配線とを導通する第2導通部とを有する基板を実現することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る基板は、前記第1面に実装されており、かつ、前記第1配線及び前記第2配線に接続された波形補正ICを有してもよい。
【0015】
上述の態様に係る基板によれば、波形補正ICが実装された基板を実現することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る基板は、前記第1ビアに電気的に接続された半導体チップと、前記第2ビアに電気的に接続された電子部品と、を有し、前記第1ビア、前記第1パッドオンビア、前記第1導通部、前記第1配線、前記波形補正IC、前記第2配線、前記第2導通部、前記第2パッドオンビア、前記第2ビア、及び前記第4パッドオンビアを介して、前記半導体チップは、前記電子部品に電気的に接続されてもよい。
【0017】
上述の態様に係る基板によれば、半導体チップ、電子部品、及び波形補正ICが実装された基板を実現することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る基板は、前記第2面に形成された第3導通部を有し、前記第3導通部は、前記第3パッドオンビアと前記第3配線とを導通し、かつ、前記第4パッドオンビアと前記第3配線とを導通してもよい。
【0019】
上述の態様に係る基板によれば、第3パッドオンビアと第3配線とを導通し、かつ、第4パッドオンビアと第3配線とを導通する第3導通部を有する基板を実現することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る基板は、前記第1ビアに電気的に接続された半導体チップと、前記第2ビアに電気的に接続された電子部品と、を有し、前記第1ビア、前記第3パッドオンビア、前記第3配線、前記第3導通部、及び前記第4パッドオンビアを介して、前記半導体チップは、前記電子部品に電気的に接続されてもよい。
【0021】
上述の態様に係る基板によれば、半導体チップ及び電子部品が実装された基板を実現することができる。この構成では、波形補正ICは、基板に実装されない。
【0022】
前記半導体チップから前記電子部品までの線長は、前記半導体チップの仕様で規定されている線長よりも長くてもよい。
【0023】
上述の態様に係る基板によれば、半導体チップの仕様に応じた基板を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の態様に係る基板によれば、波形補正ICの搭載・非搭載の判断に応じてスムーズに設計の変更が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施形態に係る基板を部分的に示す断面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る基板を部分的に示す断面図であって、半導体チップ及び電子部品が実装された構造において波形補正ICが基板に搭載された状態を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る基板を部分的に示す断面図であって、半導体チップ及び電子部品が実装された構造において波形補正ICが基板に搭載されない状態を示す図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る電子機器の全体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る基板について図面を参照して説明する。
実施形態の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0027】
実施形態の説明に参照される図面においては、3次元直交座標系に相当するX方向、Y方向、及びZ方向が示されている(符号X、Y、Z)。X方向は、基板の幅方向(長手方向)に対応している。Y方向は、基板の奥行方向(短手方向)に対応している。Z方向は、基板の厚さ方向に対応している。基板をZ方向から見た図面を「平面視」と称してもよい。なお、X方向、Y方向、及びZ方向は、基板を構成する複数の部材の相対的な位置を説明するために用いる文言であり、基板の姿勢を限定しない。
【0028】
<第1実施形態>
<基板>
図1に示すように、基板10Aは、第1面Fと、第1面Fとは反対側にある第2面Sとを有する。第1面F及び第2面Sの各々は、X方向及びY方向に平行である。
【0029】
基板10Aは、第1ビア11Fと、第2ビア11Sと、第1パッドオンビア12Aと、第2パッドオンビア12Bと、第3パッドオンビア12Cと、第4パッドオンビア12Dと、第1配線13Aと、第2配線13Bと、第3配線13Cと、第1接続配線14と、第2接続配線15とを有する。
【0030】
基板10Aは、後述する半導体チップと電子部品とを実装するために用いられる。さらに、基板10Aは、必要に応じて、波形補正ICを実装するために用いられる。
このため、基板10Aは、半導体チップ、電子部品、及び波形補正ICを実装するための領域を予め備えている。基板10Aは、第1実装領域17Aと、第2実装領域17Bと、第3実装領域17Cとを有する。
【0031】
基板10Aは、半導体チップ、電子部品、及び波形補正ICの実装構造に応じて、配線13A、13B、13Cとパッドオンビア12A、12B、12C、12Dとを電気的に接続する導通部が配置される領域を有する。基板10Aは、第1導通領域18A、第2導通領域18B、及び第3導通領域18Cを有する。
【0032】
基板10Aは、複数の絶縁層と複数の導電層と互いに積み重ねて構成された積層基板である。上述した複数の配線13A、13B、14、15は、基板10Aの導電層を形成する。導電層は、例えば、銅の回路配線で構成される。このような積層基板においては、必要に応じて、インピーダンスの調整が行われている。基板10Aとしては、例えば、HDI(High-Density Interconnector)基板が用いられる。
【0033】
<第1、第2ビア>
第1ビア11Fは、基板10Aを貫通する。第1ビア11Fは、第1面Fと第2面Sとの間に設けられている。第1ビア11Fは、Z方向に延在する導通配線である。
第2ビア11Sは、基板10Aを貫通する。第2ビア11Sは、第1面Fと第2面Sとの間に設けられている。第2ビア11Sは、Z方向に延在する導通配線である。
第1ビア11F及び第2ビア11Sの材料としては、公知の材料が用いられ、例えば、銅が用いられる。
【0034】
<第1~第4パッドオンビア>
第1パッドオンビア12Aは、第1面Fに設けられ、第1ビア11Fに接続されている。言い換えると、第1パッドオンビア12Aは、Z方向に延在する第1ビア11Fの2つの端部のうち一方の端部に接続されている。
第2パッドオンビア12Bは、第1面Fに設けられ、第2ビア11Sに接続されている。言い換えると、第2パッドオンビア12Bは、Z方向に延在する第2ビア11Sの2つの端部のうち一方の端部に接続されている。
【0035】
第3パッドオンビア12Cは、第2面Sに設けられ、第1ビア11Fに接続されている。言い換えると、第3パッドオンビア12Cは、Z方向に延在する第1ビア11Fの2つの端部のうち他方の端部に接続されている。
第4パッドオンビア12Dは、第2面Sに設けられ、第2ビア11Sに接続されている。言い換えると、第4パッドオンビア12Dは、Z方向に延在する第2ビア11Sの2つの端部のうち他方の端部に接続されている。
パッドオンビア12A~12Dの材料としては、公知の材料が用いられ、例えば、銅が用いられる。
【0036】
<第1~第3配線>
第1配線13Aは、第1面Fに設けられている。第1配線13Aは、X方向に延在する導通配線である。第1配線13Aは、X方向において、第1ビア11Fと第2ビア11Sとの間に位置している。X方向において、第1配線13Aは、第1ビア11Fから離間して設けられている。つまり、第1配線13Aは、第1ビア11Fと導通していない。
【0037】
第2配線13Bは、第1面Fに設けられている。第2配線13Bは、X方向に延在する導通配線である。第2配線13Bは、X方向において、第1ビア11Fと第2ビア11Sとの間に位置している。X方向において、第2配線13Bは、第2ビア11S及び第1配線13Aから離間して設けられている。つまり、第2配線13Bは、第2ビア11Sと導通していない。
【0038】
第3配線13Cは、第2面Sに設けられている。第3配線13Cは、X方向に延在する導通配線である。第3配線13Cは、X方向において、第1ビア11Fと第2ビア11Sとの間に位置している。X方向において、第3配線13Cは、第1ビア11F及び第2ビア11Sから離間して設けられている。つまり、第3配線13Cは、第1ビア11F及び第2ビア11Sと導通していない。
【0039】
<第1、第2接続配線>
第1接続配線14は、水平配線14Aと、垂直配線14Bと、露出配線14Cとを有する。
水平配線14Aは、X方向に延在する導通配線である。水平配線14Aは、基板10Aの内部に設けられている。基板10Aの内部において、第1接続配線14の端部は、第1ビア11Fに接続されている。
【0040】
垂直配線14Bは、Z方向に延在する導通配線である。垂直配線14Bは、基板10Aの内部に設けられている。基板10Aの内部において、垂直配線14Bは、第1接続配線14の端部と露出配線14Cの端部とに接続されている。
露出配線14Cは、X方向に延在する導通配線である。露出配線14Cは、第2面Sに設けられている。露出配線14Cは、第2面Sに露出する配線である。露出配線14Cは、垂直配線14Bに接続されている。
【0041】
第2接続配線15は、X方向に延在する導通配線である。第2接続配線15は、第2面Sに設けられている。第2接続配線15は、第2面Sに露出する配線である。第2接続配線15は、第4パッドオンビア12Dを介して、第2ビア11Sに接続されている。
【0042】
本実施形態においては、上述した複数の配線13A、13B、13C、14A、14B、14C、15の全てがX方向に延在している。複数の配線の各々が延在する方向は、X方向に限定されない。複数の配線のうち少なくとも一つの配線がY方向に延在してもよいし、X方向に傾斜する方向に延在してもよい。
【0043】
<第1~第3実装領域>
第1実装領域17Aは、第2面Sの一部である。第1実装領域17Aには、露出配線14Cが配置されている。すなわち、第1実装領域17Aには、第1接続配線14の一部が配置されている。言い換えると、第1実装領域17Aは、Z方向から見て、第2面Sにおいて第1接続配線14の露出配線14Cに重なっている。第1実装領域17Aは、後述する半導体チップが実装される予定の領域である。
【0044】
第2実装領域17Bは、第2面Sの一部である。第2実装領域17Bには、第2接続配線15の一部が配置されている。言い換えると、第2実装領域17Bは、Z方向から見て、第2面Sにおいて第2接続配線15に重なっている。第2実装領域17Bは、後述する電子部品が実装される予定の領域である。
【0045】
第3実装領域17Cは、第1面Fの一部である。第3実装領域17Cには、第1配線13Aの一部及び第2配線13Bの一部が配置されている。言い換えると、第3実装領域17Cは、Z方向から見て、第1面Fにおいて、第1配線13A及び第2配線13Bに重なっている。第3実装領域17Cにおいては、第1配線13Aが第1パッドオンビア12Aから離間して設けられており、かつ、第2配線13Bが第2パッドオンビア12Bから離間して設けられている。さらに、第3実装領域17Cにおいては、第1配線13Aが第2配線13Bから離間して設けられている。第3実装領域17Cは、後述する波形補正ICが実装される予定の領域である。
【0046】
<第1~第3導通領域>
第1導通領域18Aは、Z方向から見て、第1面Fにおいて第1パッドオンビア12A及び第1配線13Aに重なっている。第1導通領域18Aは、第1パッドオンビア12Aと第1配線13Aとを導通する第1導通部が配置される予定の領域である。
第2導通領域18Bは、Z方向から見て、第1面Fにおいて第2パッドオンビア12B及び第2配線13Bに重なっている。第2導通領域18Bは、第2パッドオンビア12Bと第2配線13Bとを導通する第2導通部が配置される予定の領域である。
【0047】
第3導通領域18Cは、Z方向から見て、第2面Sにおいて第3パッドオンビア12C及び第3配線13Cに重なっており、かつ、第2面Sにおいて第4パッドオンビア12D及び第3配線13Cに重なっている。
つまり、2つの第3導通領域18Cが第2面Sに設けられている。2つの第3導通領域18Cのうち一方は、2つの第3配線13Cのうち一方と第3パッドオンビア12Cとを導通する第3導通部が配置される予定の領域である。2つの第3導通領域18Cのうち他方は、2つの第3配線13Cのうち他方と第4パッドオンビア12Dとを導通する第3導通部が配置される予定の領域である。
【0048】
導通領域18A、18B、18Cにおける導通構造は、後述する図2に示す基板10B及び図3に示す基板10Cの実装構造の各々に応じて選択される。
【0049】
<基板における実装構造の選択>
後述するコンプライアンス試験の結果に応じて、波形補正ICが基板10Aに搭載された搭載構造と、波形補正ICが基板10Aに搭載されない非搭載構造とを選択することが可能である。
言い換えると、基板10Aは、「波形補正ICの搭載構造」又は「波形補正ICの非搭載構造」となるように選択的に用いられる。
次に、波形補正ICの搭載構造及び波形補正ICの非搭載構造の各々について説明する。以下の説明では、「波形補正ICの搭載構造」を単に「搭載構造」と称する場合があり、「波形補正ICの非搭載構造」を単に「非搭載構造」と称する場合がある。
【0050】
<波形補正ICの搭載構造>
図2に示すように、基板10Bは、第1導通部16A、第2導通部16B、半導体チップ20、電子部品30、及び波形補正IC40を有する。基板10Bは、半導体チップ20、電子部品30、及び波形補正IC40を有する点で、基板10Aとは異なる。
図2において、図1と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
【0051】
<半導体チップ>
半導体チップ20は、プロセッサやコントローラの機能を含むチップである。半導体チップ20は、例えば、SoC(System-on-a-chip)である。
半導体チップ20は、第2面Sにおいて第1実装領域17Aに配置されている。半導体チップ20は、露出配線14Cに接続されている。これにより、半導体チップ20は、第1ビア11Fに電気的に接続されている。
【0052】
<電子部品>
電子部品30は、基板10Bの回路構成や基板10Bに実装される部品に応じて適宜選択される。電子部品30は、例えば、コネクタ、LANコントローラIC、SDコントローラIC等である。コネクタには、各種モジュールが接続可能である。
電子部品30は、第2面Sにおいて第2実装領域17Bに配置されている。電子部品30は、第2接続配線15に接続されている。これにより、電子部品30は、第2ビア11Sに電気的に接続されている。
【0053】
<波形補正IC>
波形補正IC40は、波形補正回路を有する。波形補正IC40は、半導体チップ20から出力される信号波形を補正する機能を有する。波形補正IC40としては、公知のICが採用される。
波形補正IC40は、第1面Fに実装されている。具体的に、波形補正IC40は、第3実装領域17Cに配置されている。波形補正IC40は、第1配線13A及び第2配線13Bに接続されている。
【0054】
<第1、第2導通部>
基板10Bは、第1導通部16Aと、第2導通部16Bとを有する。
第1導通部16Aは、第1面Fに形成されており、第1パッドオンビア12Aと第1配線13Aとを導通する。第1導通部16Aは、第1導通領域18Aに配置されている。
第2導通部16Bは、第1面Fに形成されており、第2パッドオンビア12Bと第2配線13Bとを導通する。第2導通部16Bは、第2導通領域18Bに配置されている。
第1導通部16A及び第2導通部16Bの材料としては、公知の材料が用いられ、例えば、銅が用いられる。
【0055】
図2に示す構造においては、第1ビア11F、第1パッドオンビア12A、第1導通部16A、第1配線13A、波形補正IC40、第2配線13B、第2導通部16B、第2パッドオンビア12B、第2ビア11S、及び第4パッドオンビア12Dを介して、半導体チップ20は、電子部品30に電気的に接続されている。
【0056】
半導体チップ20から電子部品30までの線長は、半導体チップ20の仕様(デザインガイド)で規定されている線長よりも長い。ここで、半導体チップ20から電子部品30までの線長とは、半導体チップ20と露出配線14Cとが接続される接続端20Tから、電子部品30と第2接続配線15とが接続される接続端30Tまでの距離である。具体的に、図2に示す波形補正ICの搭載構造において、線長は、第1接続配線14、第1ビア11F、第1パッドオンビア12A、第1導通部16A、第1配線13A、波形補正IC40、第2配線13B、第2導通部16B、第2パッドオンビア12B、第2ビア11S、及び第4パッドオンビア12D、及び第2接続配線15を経由する、接続端20Tから接続端30Tまでの距離である。これにより、半導体チップ20の仕様に応じた基板10Bを実現することができる。
【0057】
<波形補正ICの非搭載構造>
図3に示すように、基板10Cは、半導体チップ20及び電子部品30を有する。波形補正IC40が実装されていない点、及び、第1導通部16A及び第2導通部16Bに代えて第3導通部16Cを有する点で、基板10Cは、基板10Bとは異なる。
図3において、図2と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
【0058】
<第3導通部>
基板10Cは、2つの第3導通部16Cを有する。2つの第3導通部16Cは、第2面Sに形成されており、第3導通領域18Cに配置されている。2つの第3導通部16Cのうち一方は、第3パッドオンビア12Cと第3配線13Cとを導通する。2つの第3導通部16Cのうち他方は、第4パッドオンビア12Dと第3配線13Cとを導通する。
第3導通部16Cの材料としては、公知の材料が用いられ、例えば、銅が用いられる。
【0059】
図3に示す構造においては、第1ビア11F、第3パッドオンビア12C、2つの第3導通部16C、第3配線13C、及び第4パッドオンビア12Dを介して、半導体チップ20は、電子部品30に電気的に接続されている。言い換えると、半導体チップ20と電子部品30との間には、波形補正IC40は配置されていない。
【0060】
半導体チップ20から電子部品30までの線長は、半導体チップ20の仕様で規定されている線長よりも長い。ここで、半導体チップ20から電子部品30までの線長とは、半導体チップ20と露出配線14Cとが接続される接続端20Tから、電子部品30と第2接続配線15とが接続される接続端30Tまでの距離である。具体的に、図3に示す波形補正ICの非搭載構造において、線長は、第1接続配線14、第1ビア11F、第3パッドオンビア12C、2つの第3導通部16C、第3配線13C、及び第4パッドオンビア12D、及び第2接続配線15を経由する、接続端20Tから接続端30Tまでの距離である。これにより、半導体チップ20の仕様に応じた基板10Cを実現することができる。
【0061】
<コンプライアンス試験に基づく判断>
次に、コンプライアンス試験の結果に基づいて、図2に示す搭載構造を選択するか、又は、図3に示す非搭載構造を選択するか、を判断する手順を説明する。
【0062】
まず、最初に、図3に示す基板10Cを準備する。
この基板10Cに対して、公知の方法によりコンプライアンス試験が行われる。
コンプライアンス試験においては、信号品質の適否が判断される。具体的に、半導体チップから電子部品に供給される信号波形に変形が生じているか否か、信号波形の変形が許容されるか否かの判断が行われる。
【0063】
<判断1>
コンプライアンス試験の結果、信号波形を補正する必要がないと判断された場合、波形補正ICを基板10Aに搭載しないと判断される。この場合、図3に示すように、基板10Cを備えた非搭載構造が維持される。
【0064】
<判断2>
一方、コンプライアンス試験の結果、信号波形を補正する必要があると判断された場合、波形補正ICを基板10Aに搭載すると判断される。この場合、図2に示す基板10Bを有する搭載構造を準備する。搭載構造に対してコンプライアンス試験を行い、信号品質が適していることが確認される。
【0065】
<効果>
上述したように、基板10Aは、波形補正ICの搭載構造を有する基板10B、又は、波形補正ICの非搭載構造を有する基板10Cを選択的するように使い分けることができる。波形補正IC40の搭載・非搭載の判断に応じてスムーズに基板の設計の変更が可能となる。
【0066】
また、従来の高速デジタル伝送回路を備える基板の設計においては、波形補正ICが搭載される配線パターンと、波形補正ICが搭載されない配線パターンとが共に考慮された回路設計がされている。このような回路設計においては、波形補正ICの搭載・非搭載に関わらず、波形補正ICの端子が接続されるスタブが必要であった。しかしながら、波形補正ICが非搭載の場合、スタブの端部には波形補正ICが実装されず、未使用のスタブが基板に残る。未使用のスタブは、信号の乱れが発生する原因となる。例えば、スタブの端部においては、信号の反射が生じる。反射信号に起因して、信号に乱れが発生する。
【0067】
これに対し、本実施形態によれば、基板10Aにおいては、スタブが用いられていない。したがって、従来のような、スタブの端部における信号の反射が生じることがない。
【0068】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子機器を説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る電子機器100は、クラムシェル型(ノート型)のPC(Personal Computer)である。なお、電子機器100は、タブレット型のPCや、スマートフォン等であってもよい。電子機器100には、基板10B又は基板10Cが内蔵されている。
【0069】
なお、図4に示す構造では、クラムシェル型PCを構成する公知の装置、例えば、記憶装置(ハードディスクやソリッドステートドライブ)、バッテリ、キーボード、外部接続端子等が省略されている。
【0070】
本実施形態によれば、波形補正ICが搭載された基板10Bを備えた電子機器100、又は、波形補正ICが搭載されていない基板10Cを備えた電子機器100、を実現することができる。
【0071】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0072】
10A、10B、10C 基板、11F 第1ビア、11S 第2ビア、12A 第1パッドオンビア、12B 第2パッドオンビア、12C 第3パッドオンビア、12D 第4パッドオンビア、13A 第1配線、13B 第2配線、13C 第3配線、14 第1接続配線、14A 水平配線、14B 垂直配線、14C 露出配線、15 第2接続配線、16A 第1導通部、16B 第2導通部、16C 第3導通部、17A 第1実装領域、17B 第2実装領域、17C 第3実装領域、18A 第1導通領域、18B 第2導通領域、18C 第3導通領域、20 半導体チップ、20T 接続端、30 電子部品、30T 接続端、40 波形補正IC、100 電子機器、F 第1面、S 第2面
図1
図2
図3
図4