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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139154
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】測量システム及び測量方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 7/02 20060101AFI20241002BHJP
   G01C 5/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G01C7/02
G01C5/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049972
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】測定対象面の基準位置に対する偏差、凹凸、傾斜、湾曲等の面性状を容易に測定可能であり、測定対象面の基準位置に対する偏差測定、面性状を視認可能とする測量システム及び測量方法を提供する。
【解決手段】測量システムは、ポール装置2と、携帯端末4とを具備する。ポール装置2は、ARマーカ13を測定対象面に投影するプロジェクタ17と、前記測定対象面を面的に測定する測距センサ16と、測距センサ16の測距結果に基づき表面性状の測定データを演算する演算制御部19と、表面性状の測定データを携帯端末4に送信する通信部とを含む。携帯端末4は、前記測定対象面を撮像する撮像部と、前記表面性状の測定データを受信する端末通信部と、端末制御部とを含む。前記端末制御部は、前記撮像部が撮像した画像からARマーカ13を認識し、前記画像のARマーカ13の位置に前記受信した表面性状の測定データを重ねて表示する様構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポール装置と、携帯端末とを具備し、前記ポール装置は、ARマーカを測定対象面に投影するプロジェクタと、前記測定対象面を面的に測定する測距センサと、該測距センサの測距結果に基づき表面性状の測定データを演算する演算制御部と、前記表面性状の測定データを前記携帯端末に送信する通信部とを含み、前記携帯端末は、前記測定対象面を撮像する撮像部と、前記表面性状の測定データを受信する端末通信部と、端末制御部とを含み、該端末制御部は、前記撮像部が撮像した画像から前記ARマーカを認識し、前記画像の前記ARマーカの位置に前記受信した表面性状の測定データを重ねて表示する様構成された測量システム。
【請求項2】
前記端末制御部は、前記ARマーカの形状認識に基づき前記携帯端末からの前記測定対象面の視線方向を演算し、演算された視線方向と一致する様前記表面性状の測定データを補正する様構成された請求項1に記載の測量システム。
【請求項3】
前記ポール装置は傾斜センサを更に具備し、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき測定対象面に投影される前記ARマーカの前記ポール装置の傾斜による変形を補正する様構成された請求項1又は請求項2に記載の測量システム。
【請求項4】
前記ポール装置は傾斜センサを更に具備し、該傾斜センサの検出結果は前記携帯端末に送信され、前記端末制御部は、前記傾斜センサの検出結果に基づき認識した前記ARマーカの前記ポール装置の傾斜による変形を補正する様構成された請求項1又は請求項2に記載の測量システム。
【請求項5】
前記ポール装置は傾斜センサを更に具備し、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき前記測距センサの測距結果を補正する様構成された請求項1又は請求項2に記載の測量システム。
【請求項6】
前記測定対象面に対して基準レベルを設定する基準レベル測定装置を更に具備し、前記表面性状の測定データは、前記基準レベルに対する不陸データである請求項1に記載の測量システム。
【請求項7】
前記演算制御部又は前記端末制御部は、前記不陸データに基づき着色した不陸マップを作成する請求項6に記載の測量システム。
【請求項8】
前記基準レベル測定装置は、前記ポール装置に設けられた受光器と前記測定対象面に対して所定の距離に基準平面を形成するレベルプレーナとで構成される請求項6に記載の測量システム。
【請求項9】
前記基準レベル測定装置は、前記ポール装置に設けられたプリズムと既知の高さに設けられたトータルステーションとで構成される請求項6に記載の測量システム。
【請求項10】
前記測定対象面は、地面に対して垂直又は略垂直な面である請求項1に記載の測量システム。
【請求項11】
前記プロジェクタによって投影されるARマーカは、複数である請求項1に記載の測量システム。
【請求項12】
前記ARマーカは、不可視光で投影される請求項1に記載の測量システム。
【請求項13】
前記測距センサは、測距カメラである請求項1に記載の測量システム。
【請求項14】
前記測距センサは、視差カメラである請求項1に記載の測量システム。
【請求項15】
前記ポール装置はハンディタイプに構成され、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき前記測距結果を補正する様構成された請求項3に記載の測量システム。
【請求項16】
前記ポール装置はハンディタイプに構成され、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき前記測距結果を補正する様構成された請求項4に記載の測量システム。
【請求項17】
前記携帯端末は、眼鏡型端末装置である請求項1又は請求項2に記載の測量システム。
【請求項18】
測距センサとプロジェクタとを含むポール装置と、表示部を有する携帯端末とを具備する測量システムに於いて、前記プロジェクタによりARマーカを測定対象面に投影する工程と、前記測距センサにより前記プロジェクタの光軸と平行又は略同軸で前記測定対象面を面的に測定する工程と、前記測距センサの測距結果に基づき表面性状の測定データを取得する工程と、前記表面性状の測定データを前記携帯端末に送信する工程と、該携帯端末により、前記ARマーカを含む様に前記測定対象面を撮像する工程と、前記ARマーカを認識し、前記ARマーカの位置に前記受信した表面性状の測定データを重ねて前記表示部に表示する工程を含む測量方法。
【請求項19】
前記測定対象面に対して基準レベルを設定する基準レベル測定装置を更に具備する測量システムに於いて、前記測定データに基づき前記基準レベルに対する不陸データを演算する工程を有する請求項18に記載の測量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象面の凹凸、湾曲、傾斜等を含む面性状を測定して面性状情報を取得し、面性状情報を測定対象面にオーバラップさせ視覚的に観察可能とした測量システム及び測量方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
面性状の1つとしてコンクリートの打設面、或は整地面の不陸状態(凹凸状態)がある。
【0003】
コンクリートの打設作業、或は整地作業に於いて、打設面或は整地面の不陸状態を解消し、設定した高さに施工することが望まれる。
【0004】
従来、例えば、コンクリートの打設作業に於いては、打設済部分に測定棒をコンクリートに当て、打設済部分のコンクリートの高さを所定間隔で実測していた。
【0005】
高さの実測後、凹凸が生じていた場合、凹部分にはコンクリートを継足し、凸部分にはコンクリートを削除する等の修正作業をしていた。
【0006】
従来の方法では、個々の高さ測定が人手作業となり、不陸測定の作業性が悪いと言う問題があり、又、コンクリートの打設作業、高さ測定作業、修正作業が別工程となることから作業能率が悪いという問題があった。
【0007】
又、整地作業に於いても、整地後所定高さに糸を張る等して、整地高さ(不陸状態)の測定を行い、設定高さに対する偏差、不陸を生じている場合は、土盛り、除去の修正を行っていた。
【0008】
或は、壁面での仕上げ作業に於いて、仕上り面での鉛直性、平坦性が求められる場合、仕上げ後、壁面の鉛直性、平坦性、壁面の不陸を測定し、所要の精度が得られない場合は、人手作業で修正していた。この場合も、やはり、測定作業、修正作業が別工程となることから作業能率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7-49228号公報
【特許文献2】特許第6130078号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0235053号明細書
【特許文献4】特開2005-140523号公報
【特許文献5】特開2006-84346号公報
【特許文献6】特開平9-210687号公報
【特許文献7】特開2004-45159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、測定対象面の基準位置に対する偏差、凹凸、或は傾斜、湾曲等の面性状を容易に測定可能であり、測定対象面の基準位置に対する偏差測定、或は面性状を視認可能とする測量システム及び測量方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポール装置と、携帯端末とを具備し、前記ポール装置は、ARマーカを測定対象面に投影するプロジェクタと、前記測定対象面を面的に測定する測距センサと、該測距センサの測距結果に基づき表面性状の測定データを演算する演算制御部と、前記表面性状の測定データを前記携帯端末に送信する通信部とを含み、前記携帯端末は、前記測定対象面を撮像する撮像部と、前記表面性状の測定データを受信する端末通信部と、端末制御部とを含み、該端末制御部は、前記撮像部が撮像した画像から前記ARマーカを認識し、前記画像の前記ARマーカの位置に前記受信した表面性状の測定データを重ねて表示する様構成された測量システムに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記端末制御部は、前記ARマーカの形状認識に基づき前記携帯端末からの前記測定対象面の視線方向を演算し、演算された視線方向と一致する様前記表面性状の測定データを補正する様構成された測量システムに係るものである。
【0013】
又本発明は、前記ポール装置は傾斜センサを更に具備し、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき測定対象面に投影される前記ARマーカの前記ポール装置の傾斜による変形を補正する様構成された測量システムに係るものである。
【0014】
又本発明は、前記ポール装置は傾斜センサを更に具備し、該傾斜センサの検出結果は前記携帯端末に送信され、前記端末制御部は、前記傾斜センサの検出結果に基づき認識した前記ARマーカの前記ポール装置の傾斜による変形を補正する様構成された測量システムに係るものである。
【0015】
又本発明は、前記ポール装置は傾斜センサを更に具備し、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき前記測距センサの測距結果を補正する様構成された測量システムに係るものである。
【0016】
又本発明は、前記測定対象面に対して基準レベルを設定する基準レベル測定装置を更に具備し、前記表面性状の測定データは、前記基準レベルに対する不陸データである測量システムに係るものである。
【0017】
又本発明は、前記演算制御部又は前記端末制御部は、前記不陸データに基づき着色した不陸マップを作成する測量システムに係るものである。
【0018】
又本発明は、前記基準レベル測定装置は、前記ポール装置に設けられた受光器と前記測定対象面に対して所定の距離に基準平面を形成するレベルプレーナとで構成される測量システムに係るものである。
【0019】
又本発明は、前記基準レベル測定装置は、前記ポール装置に設けられたプリズムと既知の高さに設けられたトータルステーションとで構成される測量システムに係るものである。
【0020】
又本発明は、前記測定対象面は、地面に対して垂直又は略垂直な面である測量システムに係るものである。
【0021】
又本発明は、前記プロジェクタによって投影されるARマーカは、複数である測量システムに係るものである。
【0022】
又本発明は、前記ARマーカは、不可視光で投影される測量システムに係るものである。
【0023】
又本発明は、前記測距センサは、測距カメラである測量システムに係るものである。
【0024】
又本発明は、前記測距センサは、視差カメラである測量システムに係るものである。
【0025】
又本発明は、前記ポール装置はハンディタイプに構成され、前記演算制御部は前記傾斜センサの検出結果に基づき前記測距結果を補正する様構成された測量システムに係るものである。
【0026】
又本発明は、前記携帯端末が、眼鏡型端末装置である測量システムに係るものである。
【0027】
又本発明は、測距センサとプロジェクタとを含むポール装置と、表示部を有する携帯端末とを具備する測量システムに於いて、前記プロジェクタによりARマーカを測定対象面に投影する工程と、前記測距センサにより前記プロジェクタの光軸と平行又は略同軸で前記測定対象面を面的に測定する工程と、前記測距センサの測距結果に基づき表面性状の測定データを取得する工程と、前記表面性状の測定データを前記携帯端末に送信する工程と、該携帯端末により、前記ARマーカを含む様に前記測定対象面を撮像する工程と、前記ARマーカを認識し、前記ARマーカの位置に前記受信した表面性状の測定データを重ねて前記表示部に表示する工程を含む測量方法に係るものである。
【0028】
更に又本発明は、前記測定対象面に対して基準レベルを設定する基準レベル測定装置を更に具備する測量システムに於いて、前記測定データに基づき前記基準レベルに対する不陸データを演算する工程を有する測量方法に係るものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ポール装置と、携帯端末とを具備し、前記ポール装置は、ARマーカを測定対象面に投影するプロジェクタと、前記測定対象面を面的に測定する測距センサと、該測距センサの測距結果に基づき表面性状の測定データを演算する演算制御部と、前記表面性状の測定データを前記携帯端末に送信する通信部とを含み、前記携帯端末は、前記測定対象面を撮像する撮像部と、前記表面性状の測定データを受信する端末通信部と、端末制御部とを含み、該端末制御部は、前記撮像部が撮像した画像から前記ARマーカを認識し、前記画像の前記ARマーカの位置に前記受信した表面性状の測定データを重ねて表示する様構成されたので、測定対象面の表面性状を視覚的に観察可能となるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1の実施例に係る測量システムの概略図である。
図2】レーザレベルプレーナの概略構成図である。
図3】ポール装置の概略構成図である。
図4】携帯端末の概略構成図である。
図5】不陸状態の測定についての説明図である。
図6】不陸マップの説明図である。
図7】(A)は携帯端末の端末表示部にARマーカが表示された状態を示す図、(B)はARマーカに不陸マップが重合され表示された状態の図である。
図8】測定対象面の画像に不陸マップが重合された状態を示す図である。
図9】(A)、(B)、(C)は、距離の変化、視線方向の変化に於いてARマーカの大きさが一定を示す図である。
図10】(A)、(B)、(C)は、距離の変化、視線方向の変化によるARマーカの大きさ、形状の変化を示す図である。
図11】ポール装置に於ける不陸測定のフローチャートである。
図12】携帯端末に於ける不陸測定のフローチャートである。
図13】(A)は測定対象面に複数のARマーカが投影された図であり、(B)は複数のARマーカの1つが障害物によって遮られた状態を示す図である。
図14】第1の実施例の変更例を示す概略図である。
図15】第2の実施例に係る測量システムの概略図である。
図16】(A)は視差により距離測定を行う場合のパターンの一例を示す図、(B)はパターンに不陸画像を重ね合せた状態の投影画像の図である。
図17】第3の実施例に係る測量システムの概略図である。
図18】第3の実施例に於けるトータルステーションの概略構成図である。
図19】第3の実施例に於けるポール装置の概略構成図である。
図20】第3の実施例に於ける不陸状態の測定についての説明図である。
図21】第4の実施例に係る測量システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0032】
先ず、第1の実施例として、コンクリート打設面での不陸測定について説明する。
【0033】
図1は第1の実施例に係る測量システムの概略を示しており、測量システムは主に高さ測定装置1、ポール装置2、携帯端末4を具備している。尚、図1中、13は、プロジェクタ17(後述)によって投影されるAR(Augmented Reality)マーカを示している。
【0034】
第1の実施例に於いて、前記高さ測定装置1としてレーザレベルプレーナ3が用いられている。尚、レーザレベルプレーナ3としては、例えば、特許文献4~特許文献7に示されるものがある。
【0035】
該レーザレベルプレーナ3は、レーザ光線により所定高さの水平基準面を形成するものである。水平基準面としては、レーザ光線を水平面に回転照射し、形成されるものであっても、或は、扇状のレーザ光線を水平に照射し、形成されるものであってもよい。以下の説明では、レーザ光線を水平面に回転照射して、水平基準面Oを形成した場合を説明する。
【0036】
図2を参照して、前記レーザレベルプレーナ3の概略を説明する。
【0037】
該レーザレベルプレーナ3は、三脚等の支持装置(図示せず)を介して所要の位置に設置される。該レーザレベルプレーナ3は、主に制御部5、第1傾斜センサ(チルトセンサ)6、レーザ光線照射部7、整準部8、水平回転駆動部9、操作部11、表示部12を含んでいる。
【0038】
前記第1傾斜センサ6は前記レーザレベルプレーナ3の水平に対する傾斜、即ち照射するレーザ光線の水平に対する傾斜を検出する。前記第1傾斜センサ6の検出結果は、前記制御部5に入力される。
【0039】
前記制御部5は前記第1傾斜センサ6の検出結果に基づき前記整準部8を駆動し、前記レーザレベルプレーナ3を水平に調整する。前記制御部5は、前記レーザ光線照射部7にレーザ光線を照射させ、前記水平回転駆動部9により前記レーザ光線照射部7を回転させ、水平基準面Oが形成される様にレーザ光線を回転照射する。
【0040】
前記レーザレベルプレーナ3は、水平基準面Oが既知の高さとなる様に設置される。例えば、基準となる床面からの前記水平基準面Oの高さは、実測、或は前記レーザレベルプレーナ3の仕様等から既知とされる。既知の水平基準面Oが形成されることで、測定対象面及び測定対象面の凹凸の該水平基準面Oを基準とした高さを測定することができる。
【0041】
前記操作部11から前記レーザレベルプレーナ3の動作のON/OFF指令、作動条件の設定等が入力され、前記表示部12には作動状態等が表示される。
【0042】
図3を参照して、前記ポール装置2を説明する。
【0043】
前記ポール装置2は、ポール14と、該ポール14の所要高さに設けられた測定対象物としての受光器15、前記ポール14の上端に設けられた測距センサ16、プロジェクタ17、第2傾斜センサ18、演算制御部19及び通信部20を具備している。前記受光器15の受光基準位置と前記測距センサ16の測定基準位置とは、既知の位置関係に設定されている。
【0044】
前記受光器15は上下方向に延び、所定の長さを有する受光センサ21を有し、該受光センサ21は前記レーザ光線を検知し、検知信号を発する。前記受光センサ21は前記受光基準位置(例えば、前記受光センサ21の上下方向の中心、或は前記受光センサ21の下端等)を有し、該受光基準位置は前記ポール装置2に於いて既知の位置となっている。例えば、前記受光基準位置と前記ポール14の下端との距離が既知となっている。
【0045】
前記検知信号は受光信号と共に検知位置情報を含んでいる。検知位置情報としては、前記受光基準位置に対する偏差等が含まれる。従って、前記検知信号に基づき、前記水平基準面Oに対する前記受光基準位置の高さ(基準位置のレベル)を測定することができる。前記検知信号は、前記演算制御部19に入力される。
【0046】
前記水平基準面Oを形成する前記レーザレベルプレーナ3及び前記水平基準面Oの位置を検出する前記受光センサ21は、不陸測定の基準となるレベルを測定するものであり、基準レベル測定装置として機能する。
【0047】
前記測距センサ16は下方に向けられ、地表迄の距離を測定するものであり、前記測距センサ16としては、種々のものが採用可能である。一例として、測距カメラ22が用いられる。該測距カメラ22は、多数のピクセルからなる撮像素子を有し、各ピクセル毎に測距光を発し、反射光を受光し、TOF(Time Of Flight)により測距を行うものであり、画像の様に面的に測距データを取得する。各ピクセルが出力する測距データは前記撮像素子上での位置情報を含んでいる。測距データは前記演算制御部19に入力される。尚、測距データは、測距光を高速に2次元に走査して面的に測定して取得してもよい。又、前記測距データは、前記通信部20を介して前記携帯端末4にリアルタイムで送信されてもよい。
【0048】
前記プロジェクタ17は、可視光又は不可視光によって前記ARマーカ13を測定対象面に投影する。
【0049】
前記測距カメラ22は前記測定基準位置を有し、該測距カメラ22が測定する距離は前記測定基準位置からの距離となっている。又、前記測距カメラ22の測定基準位置と前記受光センサ21の受光基準位置との関係は既知となっており、前記測定基準位置と前記受光基準位置間の鉛直距離も既知となっている。
【0050】
従って、前記受光センサ21によって前記水平基準面Oの高さを測定することで、前記水平基準面Oに対する前記測定基準位置の高さを取得できる。又、前記測距データを前記水平基準面Oを基準とした距離データに変換することができる。
【0051】
前記測定基準位置と前記プロジェクタ17の投影光学系の基準点との関係は既知となっており、更に、前記測距カメラ22の光軸と前記プロジェクタ17の光軸とは平行又は略平行であり、且つ両光軸間の距離も既知となっている。尚、前記測距カメラ22の光軸と前記プロジェクタ17の光軸とが同軸となる様に、前記測距カメラ22の光学系、前記プロジェクタ17の光学系を構成してもよい。
【0052】
前記第2傾斜センサ18は、前記測距カメラ22の水平に対する傾斜、或は前記測距カメラ22の光軸の鉛直に対する傾斜を検出する。或は、前記ポール14の鉛直に対する傾斜を検出する。前記第2傾斜センサ18の傾斜検出結果は、前記演算制御部19に入力される。又、前記第2傾斜センサ18の傾斜検出結果は、前記通信部20を介してリアルタイムで前記携帯端末4に送信されてもよい。
【0053】
前記測距カメラ22の光軸は、前記ポール14と所要の角度で傾斜している。尚、前記第2傾斜センサ18が、前記ポール14の鉛直に対する傾斜を検出する様構成された場合は、前記測距カメラ22の光軸は前記ポール14に対して既知の角度で傾斜している。
【0054】
前記第2傾斜センサ18は、前記演算制御部19に内蔵されてもよい。又、前記第2傾斜センサ18としては、加速度センサ、ジャイロセンサ等、種々のIMUセンサの使用が可能である。
【0055】
前記演算制御部19は、演算処理部23及び記憶部24を含む。前記演算処理部23は本実施例に特化されたCPU、或は汎用性CPU、埋込みCPU、マイクロプロセッサ等が用いられる。又、前記記憶部24としてはRAM、ROM、FlashROM、DRAM等の半導体メモリ、HDD等の磁気記録メモリが用いられる。
【0056】
前記通信部20は、前記携帯端末4との間でデータの送受信を行い、又前記携帯端末4からの各種コマンドの受信を行う。
【0057】
前記演算処理部23は、前記記憶部24に格納された各種プログラムを展開して所要の処理、作動を実行し、前記受光器15、前記プロジェクタ17、前記通信部20、前記測距カメラ22、前記記憶部24を所要のタイミングで、所要の作動をさせる様制御する。
【0058】
前記記憶部24には、本実施例を実行する為の種々のプログラムが格納されている。プログラムとしては、例えば、前記測距カメラ22、前記プロジェクタ17の同期等の統合制御する為の制御プログラム、前記プロジェクタ17にARマーカ13を投影させる為のプログラム、前記測距カメラ22に撮像、測距を実行させる為の測距プログラム、測距データに基づき3次元データを演算する演算プログラム、3次元データに基づきビデオ信号を演算するプログラム、測距データ、画像データ、各種コマンドを送受信する為の通信プログラム等が含まれる。
【0059】
又、前記記憶部24には、高低状態を判断する為の閾値が格納され、或は測定結果、画像データ等が格納される。更に、前記記憶部24には前記プロジェクタ17に投影させる為の少なくとも1つのARマーカ13が格納される。
【0060】
尚、該ARマーカ13は前記プロジェクタ17に1つ、或は複数内蔵させてもよく、複数のARマーカを内蔵している場合は、前記演算制御部19からの指令で選択的に投影させる様にしてもよい。
【0061】
前記高低状態とは、測定対象面の設定高さに対する偏差の状態、設定面に対する凹凸(不陸)の状態、水平面に対する傾斜の状態を含むものとする。又、高低情報とは測定対象面の設定高さに対する偏差の情報、設定面に対する不陸の情報、水平面に対する傾斜の状態を含むものとする。
【0062】
図4を参照して、前記携帯端末4について説明する。
【0063】
該携帯端末4としては、本実施例に特化して製作された端末装置、或は汎用のスマートフォン、タブレット、眼鏡型端末装置(VRゴーグル、ヘッドマウントディスプレイ)(以下、HMD)、或は携帯可能なPC等、演算部、表示部、通信機能を有するものが例示される。これら携帯端末に本実施例に適合させる為の、プログラムがインストールされたものが用いられる。
【0064】
前記携帯端末4は、主に端末制御部27、端末記憶部28、撮像部29、端末表示部30、端末通信部31、端末入力部32を有する。
【0065】
前記撮像部29は、カメラで例示され、前記カメラは少なくとも、前記プロジェクタ17の投影範囲を含む測定対象面を撮像し、画像データは前記端末制御部27に入力される。又、前記プロジェクタ17がARマーカ13を不可視光で投影する場合には、前記カメラは特定の波長(不可視光の波長)だけ選択して撮像するものが用いられてもよい。
【0066】
前記端末表示部30は、前記ポール装置2から送信されたデータを不陸情報として前記ARマーカ13に関連づけて表示し、前記端末通信部31は、前記ポール装置2と前記携帯端末4間のデータの送受信を行う。
【0067】
前記端末記憶部28には前記携帯端末4を作動させる為の種々のプログラムが格納されている。該プログラムには前記撮像部29に前記ARマーカ13を認識させ、該ARマーカ13の向き、傾斜、傾斜方向、大きさを検出する為のARマーカ認識プログラム、検出されたARマーカの向き、傾斜、傾斜方向、大きさに基づき後述する不陸情報を修正する修正プログラム、前記ポール装置2とのデータの授受を行う為の通信プログラム、前記撮像部29の前記ARマーカ13の認識結果及び前記ポール装置2からの受信データに基づき前記端末表示部30に不陸情報を表示させる為の表示プログラム等が含まれる。
【0068】
又、前記端末記憶部28には、前記ARマーカ13の認識に必要な、マーカパターンが格納されている。又、マーカパターンは、前記ARマーカ13に対応しており、該ARマーカ13が複数種類ある場合は、それぞれのARマーカ13に対応する複数種類のマーカパターンが格納されている。尚、マーカのパターンは、作成プログラムによってその場で生成されても良い。又、マーカは、白黒のコードパターンだけでなく、ARマーカとして認識できる特徴のある絵でも良い。
【0069】
前記端末制御部27は、前記端末記憶部28に格納されたプログラムを展開、実行し、前記端末記憶部28、前記撮像部29、前記端末表示部30、前記端末通信部31を所要のタイミングで、所要の作動をさせる様制御する。
【0070】
前記端末制御部27は、前記ARマーカ認識プログラムにより取得された前記測定対象面の画像から該測定対象面に投影されたARマーカ13を認識し、更に、前記カメラの光軸に対する前記ARマーカ13の向き、傾斜、傾斜方向、大きさを検出可能となっている。従って、前記撮像部29と前記端末制御部27は、ARマーカ認識部を構成する。
【0071】
又前記端末制御部27は、前記表示プログラムに基づき前記不陸情報の表示状態(前記撮像部29の撮像位置から視認した時の不陸状態)を演算し、前記端末表示部30に演算後の不陸情報を前記ARマーカ13に重合させて表示する。ここで、該ARマーカ13は、前記不陸情報が表示された状態では、作業者に認識されない様にする。
【0072】
又、前記端末表示部30は、前記撮像部29が取得した測定対象面の画像に重ねて不陸情報を表示してもよい。
【0073】
図5を参照して、測定対象面が床面である場合の、床面の不陸状態を測定する場合について説明する。
【0074】
図5中、33は基準となる床面を示し、前記レーザレベルプレーナ3は前記床面33に対して既知の高さに設置され、前記床面33に対して既知の高さの水平基準面Oを形成する。
【0075】
前記床面33から所定量下がった施工床面34にコンクリートを打設するとし、施工仕上り面を34aとする。
【0076】
測定者は、例えば前記ポール14を前記施工床面34に置き、前記ポール装置2を鉛直又は略鉛直に支持する。ポール装置2の垂直状態については、前記第2傾斜センサ18によって検出される。
【0077】
以下は、前記ポール装置2が鉛直に支持されたとして説明する。
【0078】
図5中、O1は前記測距カメラ22の測定基準位置を通過する水平線を示し、O2は前記受光センサ21の受光基準位置を通過する水平線を示している。前記施工仕上り面34aは、所定の打設高さになる様、水平基準面Oに対して高さの差Dに設定されている。
【0079】
前述した様に、測定基準位置と受光基準位置とは既知の関係にあり、水平線O1と水平線O2との間の距離は既知の値dとなっている。又、前記受光センサ21のレーザ光線受光位置と受光基準位置との偏差Δ(即ち、水平基準面Oと受光基準位置との偏差Δ)とし、前記測距カメラ22による施工面(コンクリート打設表面)34bの測距値(即ち、前記測距カメラ22の測定基準位置と施工面34b迄の距離)をSとする。
【0080】
前記施工仕上り面34aを基準とした、前記施工面34bの不陸ΔF(高低差)は以下の式で求められる。
【0081】
ΔF=D+(d-Δ)-S…(1式)
【0082】
ここで、Δは受光基準位置より上方で+、下方で-を示す。又、不陸ΔFは、+で施工仕上り面34aより凸の状態、-で施工仕上り面34aより凹の状態を示している。
【0083】
前記高さの差D、測定基準位置と受光基準位置との距離dは、予め前記演算制御部19に設定され、前記測距カメラ22の測距結果、及び前記受光センサ21の検知信号はそれぞれ前記演算制御部19に入力され、該演算制御部19は前記高さの差D、距離d、前記測距結果、検知信号に基づき前記不陸ΔFを演算する。
【0084】
又、前記測距カメラ22は、撮像素子のピクセル単位で測距が可能であり、前記演算制御部19がピクセル単位で前記不陸ΔFを演算することで、前記測距カメラ22の画角全体の不陸ΔFデータ及び不陸ΔF分布をリアルタイムで取得することができる。
【0085】
更に、前記演算制御部19は、不陸ΔFを前記記憶部24に設定されている閾値により区分することで、不陸マップ10(図6参照)を作成することができる。
【0086】
前記不陸マップ10は、前記不陸ΔFの値に応じて着色されたヒートマップとして可視化することができる。例えば、不陸ΔFが前記施工仕上り面34aに対して+の場合は暖色系とし、例えば3mmの増加毎に濃度或は色調を濃くする。更に、不陸ΔFが前記施工仕上り面34aに対して-の場合は寒色系とし、例えば3mmの減少毎に濃度或は色調を濃くする等である。
【0087】
尚、区分する閾値について、3mmに限らず、5mm、1cmとする等、適宜設定することができる。又、区分分けについては、一色で濃淡のみで表示してもよい。
【0088】
前記演算制御部19は、不陸ΔFデータ(高低の数値データ)、不陸ΔFデータ及び測距データが有する位置情報から得られる不陸ΔF分布、作成した不陸マップを含む不陸情報を前記通信部20を介して前記携帯端末4にリアルタイムで送信する。該携帯端末4は前記端末通信部31を介して前記不陸情報を受信し、前記端末記憶部28に格納する。尚、不陸マップは、受信した不陸ΔFデータに基づき前記携帯端末4の端末制御部27で作成してもよい。
【0089】
又、前記測距カメラ22による不陸測定と同期して前記プロジェクタ17は、測定対象面(施工床面34b)に前記ARマーカ13を投影する。例えば、測定中、1つのARマーカ13が前記プロジェクタ17の光軸を経て前記施工床面34bに継続して投影される。
【0090】
該施工床面34bに投影される前記ARマーカ13は、実空間で同一の大きさになる様に設定される。
【0091】
上記した様に、前記測距カメラ22の光軸と前記プロジェクタ17の光軸は、平行又は略平行であり、且つ両光軸間の距離も既知となっている。或は、前記測距カメラ22の光軸と前記プロジェクタ17の光軸とは同軸であるので、前記ARマーカ13と前記不陸情報との関係も既知となっている。
【0092】
該不陸情報は、前記携帯端末4の前記端末表示部30に表示され、リアルタイムで視覚的に確認することができる。以下、該携帯端末4による不陸情報の確認について説明する。
【0093】
前記携帯端末4の前記撮像部29は、前記ARマーカ13を含む様に前記施工床面34を撮像する。尚、取得する画像は、連続画像であっても、所定時間間隔の静止画像であってもよい。
【0094】
該撮像部29は、取得した画像から内蔵する前記マーカパターンに基づき前記ARマーカ13を認識する。投影されたARマーカ13と前記測距カメラ22により取得した不陸情報との位置関係は、前述した様に既知であるので、端末表示部30に表示されたARマーカ13によって、不陸情報の表示位置が特定される。
【0095】
前記端末制御部27は、前記ポール装置2から送信された不陸情報を前記端末表示部30に表示する。
【0096】
図7(A)は、撮像画像からARマーカ13が認識され、該ARマーカ13が前記端末表示部30に表示された状態を示しており、図7(B)は、前記ARマーカ13に重ねて不陸情報(不陸マップ10)が表示された状態を示している。
【0097】
尚、図7(B)に表示される不陸マップ10は、真上から見た状態となっている。
【0098】
ところが、作業者が前記携帯端末4を操作して、前記不陸マップ10を測定、観察する場合、通常、作業者は前記測距カメラ22が測定する測定対象面から離れており、立ち位置も定っていない。
【0099】
次に、前記撮像部29が撮像した画像上に前記不陸マップ10を重合する場合について説明する。
【0100】
前記端末制御部27は、前記撮像部29の撮像光軸に関する前記ARマーカ13のARマーカ像の画像中に於ける傾斜、傾斜方向、回転角、大きさを演算し、検出する。
【0101】
前記端末制御部27は、前記ARマーカ13の傾斜、傾斜方向、回転角、大きさに基づき、受信した不陸情報が検出した傾斜、傾斜方向、回転角、大きさとなる様、該不陸情報を補正する。補正した不陸情報を前記端末表示部30に表示させる。該不陸情報は補正されることで、前記携帯端末4(前記撮像部29)で撮像した方向から視認した状態で表示される。
【0102】
又、不陸情報は、不陸ΔFデータ(以下、不陸データ)、不陸ΔF分布、不陸マップを適宜選択して表示することができ、更に不陸情報単独に、或は前記撮像部29で撮像した測定対象面の画像に不陸情報を重ねて表示することもできる。
【0103】
不陸情報が、例えば前記不陸マップ10である場合、前記撮像部29で撮像した前記施工面34bが端末表示部30に表示されると共に、前記不陸マップ10が前記施工面34bに重ねて表示される。
【0104】
図8は、前記撮像部29の撮像画像上に前記不陸マップ10が重合された状態を示している。
【0105】
端末表示部30に表示された施工面34bと前記不陸マップ10とは、前記ARマーカ像から得られる情報に基づき、相互位置、向き、傾き等は完全に一致した状態で正確に表示される。
【0106】
従って、作業者は、投影された不陸マップ10から視覚により前記施工面34bの不陸状態をリアルタイムで確認することができる。不陸マップ10の投影は、連続的であってもよいし、間欠的でもよい。
【0107】
不陸状態をリアルタイムで確認することができるので、打設時の不陸をリアルタイムで修正することができる。従って、作業者は、コンクリート打設作業を不陸状態を修正しつつ、実行することができる。
【0108】
尚、前記撮像部29の撮像光軸に関する前記ARマーカ像の画像中に於ける傾斜、傾斜方向、回転角、大きさを前記携帯端末4の前記端末入力部32より入力可能とすれば、作業者は、前記ARマーカ像の所望の傾斜、傾斜方向、回転角を入力することができ、任意の方向からの不陸情報を視認することができる。
【0109】
或は、前記携帯端末4の前記端末表示部30を前記端末入力部32を兼ねるタッチパネルとし、該端末表示部30に表示された不陸情報を前記端末表示部30上でスクロールし、任意の方向から不陸情報を視認可能としてもよい。
【0110】
又、不陸マップ10がコンクリート打設済の前記施工面34bの画像に重ねて表示される場合は、該施工面34bの仕上り状態、仕上り精度を確認することができる。
【0111】
上記説明では、前記ポール装置2が鉛直に支持されたとして説明したが、実際には前記ポール装置2が傾斜、或は揺動することが考えられる。該ポール装置2は前記第2傾斜センサ18を具備しており、前記ポール装置2(前記ポール14或は測距カメラ22の光軸)の傾斜(傾斜角、傾斜方向)をリアルタイムで検出し、傾斜検出結果は、前記演算制御部19にリアルタイムで入力されている。又、該演算制御部19は、前記第2傾斜センサ18の検出結果(傾斜)を前記携帯端末4にリアルタイムで送信する。
【0112】
該演算制御部19は、前記施工仕上り面34aから前記測定基準位置迄の距離、及び傾斜検出結果に基づき前記測距カメラ22の測定結果(測定距離、測定位置)をリアルタイムで補正する。従って、前記演算制御部19は、前記携帯端末4に補正された正確な測定データを送信することができる。
【0113】
前記ポール装置2が傾斜、或は揺動した場合、投影距離、投影角度も変化する。従って、前記携帯端末4の前記撮像部29で認識する前記ARマーカ13の形状、向き、大きさも前記ポール装置2の傾斜、揺動に対応して変化する。
【0114】
前記演算処理部23は、前記測距センサ16の測距結果、前記第2傾斜センサ18の検出結果に基づき投影された状態でARマーカ13の大きさ、形状が一定となる様に、前記プロジェクタ17が投影する前記ARマーカ13の大きさ、形状を補正する。従って、前記ポール装置2は、前記施工面34bには形状の変化が無く、大きさが一定のARマーカ13を投影することができる。
【0115】
前記ARマーカ13が一定の大きさで投影された場合の、図9(A)は前記ポール装置2が鉛直で基準の状態での投影状態、図9(B)は投影距離が小さくなった場合の投影状態、図9(C)は投影角度が変化した場合の投影状態を示している。
【0116】
次に、前記ポール装置2が傾斜、或は揺動による、投影される前記ARマーカ13の形状、向き、大きさの変化について、前記携帯端末4側で補正することもできる。
【0117】
前記ARマーカ13が補正されないで投影された場合、図10に示される様に、投影距離、投影角度の変化に対応して前記ARマーカ13の形状、向き、大きさも変化する。図10(A)は前記ポール装置2が鉛直で基準の状態での投影状態、図10(B)は投影距離が小さくなった場合の投影状態、図10(C)は投影角度が変化した場合の投影状態を示している。
【0118】
前記測距センサ16の測距結果と前記第2傾斜センサ18の検出結果は、前記携帯端末4にリアルタイムで送信されており、前記端末制御部27は、前記測距センサ16の測距結果と前記第2傾斜センサ18の検出結果に基づき、前記撮像部29が認識したARマーカ13の大きさ、形状の変化を補正することができる。
【0119】
次に、前記携帯端末4の位置により、測定対象面を撮像する方向(視線の方向)が変化する。前記端末制御部27は、受信した不陸情報を視線の方向に合致する様に修正する。
【0120】
前記端末制御部27はARマーカ13について、更に、ARマーカ像の画像中に於ける前記ARマーカ13の見え方(該ARマーカ13のパターンの見え方)によって傾斜、傾斜方向、回転角(即ち、視線の方向)、大きさを検出(演算)する。
【0121】
該端末制御部27は、傾斜、傾斜方向、回転角の検出結果に基づき、前記携帯端末4で撮像した方向(視線方向)を演算し、更に、前記端末制御部27は不陸情報を視線方向に合致する様に補正し、前記ARマーカ13に不陸情報を重合して前記端末表示部30に表示させる。従って、作業者は、不陸情報を撮像した方向から視認した状態で確認することができる(図8参照)。
【0122】
又、複数人が同時に各人の携帯端末4に不陸情報を表示させ、確認することができる。この場合、表示内容を各自の作業に応じて変更することで、作業者別の情報を提供することができる。
【0123】
次に、前記ポール装置2が前記ARマーカ13の大きさ、形状が一定となる様に投影する場合の、不陸測定作業について図11図12を参照して説明する。尚、不陸測定作業で得られる不陸情報を視認可能な前記不陸マップ10(図6参照)とした場合について説明する。
【0124】
図11のSTEP:01~STEP:12は、ポール装置2に於ける不陸測定作業を示している。
【0125】
STEP:01 高さ測定装置1(本実施例ではレーザレベルプレーナ3)を所定の位置に設置し、整準後、射出されるレーザ光線の基準位置からの高さ(本実施例では前記床面33の位置)を実測する等し、既知化する。
【0126】
STEP:02 前記高さ測定装置1がレーザ光線を回転照射し、水平基準面Oが形成される。
【0127】
STEP:03 前記ポール装置2は、受光器15により水平基準面Oを検出する。前記受光センサ21の受光位置から前記水平基準面Oに対する前記測距センサ16(本実施例では測距カメラ22)の測定基準位置の高さを求める。
【0128】
STEP:04 前記ポール装置2は、前記測距センサ16により、施工面を測定する。
【0129】
STEP:05 前記ポール装置2は、前記第2傾斜センサ18により、前記測距センサ16の光軸の傾斜を検出する。
【0130】
STEP:06 前記ポール装置2は、傾斜検出結果に基づき前記測距センサ16の測定結果を補正する。
【0131】
STEP:07 前記ポール装置2は、補正された測定結果(以下、補正測定結果)と、前記水平基準面Oに対する測定基準位置の高さに基づき前記水平基準面Oに対する施工面34bとの高さを求める。
【0132】
STEP:08 前記ポール装置2は、予め設定してある施工仕上り面34aと前記施工面34bとの高さの差を演算し、高低情報(不陸データ)をリアルタイムで取得する。
【0133】
STEP:09 前記ポール装置2は、前記第2傾斜センサ18の検出結果、前記測距カメラ22の測定結果に基づきARマーカ13の形状、大きさを補正する。
【0134】
STEP:10 前記ポール装置2は、前記プロジェクタ17より補正後のARマーカ13を施工面に投影する。
【0135】
STEP:11 前記ポール装置2は、不陸データと予め設定した閾値に基づき不陸マップデータを作成する。
【0136】
STEP:12 前記ポール装置2は、不陸データと不陸マップデータを含む不陸情報を前記携帯端末4にリアルタイムで送信する。
【0137】
測定位置を変更して、測定を継続する場合は、STEP:02~STEP:12を繰返して実行する。
【0138】
次に、図12のSTEP:21~STEP:27は、前記携帯端末4に於ける不陸測定作業を示している。
【0139】
STEP:21 先ず、前記携帯端末4を起動する。その後、前記撮像部29により施工面を撮像する。
【0140】
STEP:22 前記携帯端末4は、施工面の画像からARマーカ13を認識する。
【0141】
STEP:23 前記携帯端末4は、ARマーカ13の向き、大きさの変化を検出する。
【0142】
STEP:24 前記携帯端末4は、ARマーカ13の検出結果に基づき前記撮像部29の視線方向を検出する。
【0143】
STEP:25 前記携帯端末4は、前記ポール装置2から不陸データ、不陸マップデータを含む不陸情報を受信する。
【0144】
STEP:26 前記携帯端末4は、視線方向の検出結果に基づき不陸情報を修正する。
【0145】
STEP:27 前記携帯端末4は、施工面の画像に不陸情報(例えば、不陸マップ)を重ねて前記端末表示部30に表示する。又、該端末表示部30に表示する不陸情報として、不陸マップに不陸データを更に重ねて表示してもよい。尚、不陸情報の表示の態様については、前記携帯端末4の端末入力部32から選択可能とする。
【0146】
STEP:21~STEP:27迄の工程を不陸測定と並行してリアルタイムで実行する。
【0147】
前記ポール装置2の傾斜によっても前記ARマーカ13の形状は変化するが、ポール装置2の傾斜による前記ARマーカ13の形状変化を、前記ポール装置2側で補正してもよく、或は前記携帯端末4の前記端末制御部27に於いて前記第2傾斜センサ18が検出した傾斜に基づき、ARマーカ13の形状を修正してもよい。
【0148】
前記携帯端末4側でARマーカ13の形状を修正する場合、図11のARマーカ13の補正(STEP:09)は行わない。前記ポール装置2が、傾斜検出結果、測距結果を前記携帯端末4に送信することで、該前記携帯端末4でのARマーカ13の形状修正が可能となる。
【0149】
図12のARマーカ13の認識(STEP:22)の後、前記携帯端末4がARマーカ13の形状の変化を検出し(STEP:22A)、前記携帯端末4が前記ポール装置2からの傾斜検出結果、測距結果を受信し、傾斜検出結果、測距結果に基づきARマーカ13の形状の変化を補正する(STEP:22B)。
【0150】
更に、前記携帯端末4がSTEP:22Bで補正した後の前記ARマーカ13と形状変化前のARマーカ13との比較での該ARマーカ13の形状変化を検出し、この形状変化の検出結果に基づき携帯端末4(撮像部29)の視線方向を検出する(STEP:22C)。その後、図12の不陸情報の受信(STEP:25)に進むようにすればよい。
【0151】
又、上記実施例では、前記ARマーカ13を前記プロジェクタ17の光軸上に投影したが、前記プロジェクタ17の光軸に対して前記ARマーカ13の位置が特定できれば、光軸から外れた位置であってもよい。
【0152】
更に、図13(A)、図13(B)に示される様に、複数のARマーカ13を同時に投影してもよい。
【0153】
図13(A)では、前記プロジェクタ17の投影範囲の4隅に4つのARマーカ13a,13b,13c,13dが投影される場合を示している。尚、投影するARマーカ13は2つでも3つでも5つ以上でもよい。
【0154】
前記4つのARマーカ13a,13b,13c,13dは、識別できる様にパターンが異なっている。又、前記4つのARマーカ13a,13b,13c,13dのそれぞれで個別にARマーカの向き、傾斜、傾斜方向、大きさを検出可能となっている。
【0155】
又、複数のARマーカ13a,13b,13c,13dが投影されることで、投影範囲を視認する方向32a,32b,32cにより、画像上での配置、ARマーカ13a,13b,13c,13d間の距離、見え方が変化するので、より正確に視線方向を検出することができる。
【0156】
更に、図13(B)に示される様に、前記ARマーカ13a,13b,13c,13dのいずれかが、例えばARマーカ13bが障害物57によって遮られ、認識できない状態となった場合、残りの前記ARマーカ13a,13c,13dのいずれか1つが認識できれば、測定を続行することができる。
【0157】
又、前記ARマーカ13a,13c,13dのうち、全て或は複数が認識できた場合、各ARマーカ13についてそれぞれ情報(位置、傾斜、方向)を取得し、平均化してもよい。平均化することで、検出する情報の精度が向上する。
【0158】
尚、上記実施例では、不陸の測定について説明したが、測定対象面の湾曲、傾斜等の面性状についても同様に測定可能であることは言う迄もない。
【0159】
上記実施例に於ける携帯端末4は、主にスマートフォン、タブレットの例を説明したが、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)でもよい。HMDに端末制御部27、端末記憶部28等を付加し、図4に示される構成とすることで、HMDを表示装置としての機能だけでなく前記携帯端末4として機能させることができる。
【0160】
携帯端末4をHMD型とした場合、両手が自由になるので、施工状態、不陸状態の変化をリアルタイムで認識しつつ、作業を行うことができる。
【0161】
図14は、第1の実施例の変更例を示している。
【0162】
図14中、図1中で示したものと同等のものには同符号を付しその説明を省略する。又、レーザレベルプレーナ3、携帯端末4については、同一であるので図示を省略している。
【0163】
ポール14の所要位置に、距離キャリブレーション用のターゲット板35を設ける。該ターゲット板35と測距カメラ22の基準位置との距離を実測して既知とし、或は製図から既知とし、既知化した距離を実測値とする。
【0164】
前記測距カメラ22により床面(施工仕上り面34a、施工面34b)を測定する際に、前記ターゲット板35を事前又は事後に、或は同時に測定する。更に、前記測距カメラ22による前記ターゲット板35の測距結果と前記実測値とを比較し、前記測距カメラ22のキャリブレーションを行う。キャリブレーションにより、前記測距カメラ22の有する誤差が補正され、測定精度が向上する。
【0165】
図15は、第2の実施例に係る測量システムの概略を示しており、該測量システムは、主に高さ測定装置1、ポール装置2、携帯端末4によって構成されている。尚、図15中、13は投影されたARマーカを示す。
【0166】
図15中、図1中で示したものと同等のものには同符号を付しその説明を省略する。又、図15に於いて、レーザレベルプレーナ3及び携帯端末4の図示を省略している。
【0167】
第2の実施例では、測距センサ16がプロジェクタ17及びカメラ36によって構成されている。尚、第2の実施例に於いても、前記プロジェクタ17のARマーカ13を投影する機能は変らない。第2の実施例では、前記ARマーカ13を投影する光の波長と後述する測距用のパターン37を投影する光の波長を異ならせており、波長の選択で、前記カメラ36は前記パターン37のみを認識し、携帯端末4の撮像部29(図示せず)はARマーカ13のみを認識する様構成されている。
【0168】
尚、前記パターン37と前記ARマーカ13を交互に施工床面34に投影し、前記測距用のパターン37が投影される状態で以下の距離測定が行われ、前記ARマーカ13が投影された状態で前記撮像部29による前記ARマーカ13の認識が行われる様にしてもよい。
【0169】
前記プロジェクタ17の光軸と前記カメラ36の光軸は平行であり、両光軸は所定の距離離間しており、離間距離は既知であり、又床面を測定するに充分な視差が得られる距離pとなっている。従って、前記プロジェクタ17と前記カメラ36は、視差により距離測定を行う測距センサ16となっている。
【0170】
床面の距離測定時、前記プロジェクタ17は、測距用のパターン37が入った画像を投影する(図16(A))。尚、図16(A)では格子状のパターンを示しているが、視差による変位が確認できるパターンであればよく、例えば、縦横、所定間隔で分布させた点状のパターンであってもよい。
【0171】
前記カメラ36は、床面に投影された前記パターン37を撮像する。
【0172】
前記カメラ36で取得された画像では、前記パターン37の交点(黒○)が白○の位置に変位している。この変位量は、不陸の大きさに対応しているので、前記パターン37全体で各交点の変位量を求めれば、変位量に基づき不陸状態を測定できる。
【0173】
第2の実施例の測量システムは、この不陸状態に基づき、上記実施例と同様、不陸マップ10を作成することができる。この不陸マップ10は前記パターン37に重ねて表示してもよいし(図16(B)参照)、或は不陸マップ10のみを表示してもよい。
【0174】
又、第2の実施例の変形例として、前記測距センサ16が所定の視差を有する2つのカメラ(視差カメラ)で構成されてもよい。
【0175】
図17図20を参照して第3の実施例を説明する。
【0176】
図17は、第3の実施例に係る測量システムの概略を示しており、第1の実施例と同様、この測量システムは、主に高さ測定装置1、ポール装置2′、携帯端末4によって構成されている。尚、該携帯端末4については、第1の実施例と同様であるので説明を省略している。
【0177】
第3の実施例では、高さ測定装置1として追尾機能を有する光波距離装置、例えば、トータルステーション40が用いられている。尚、追尾機能を有する測定装置としては、イメージセンサを用いた画像による追尾やレーザスキャナによる形状追尾等が挙げられる。
【0178】
尚、図17中、図1中で示したものと同等のものには同符号を付しその説明を省略する。
【0179】
前記トータルステーション40は、所要の位置に水平に整準されて設置される。前記トータルステーション40は既知の高さに設置される。即ち、前記トータルステーション40は測量基準点を有し、該測量基準点の3次元座標、少なくとも高さの座標(高さ位置)が既知とされる様設置される。例えば、図20を参照して、床面33に前記トータルステーション40が設置されるものとして、床面33を測量基準高さとすると、該床面33から前記測量基準点迄の高さDが既知とされる。
【0180】
ポール装置2′は、高さを測定する為の測定対象物として再帰反射特性を有するプリズム39を有する。該プリズム39の光学中心と測距カメラ22の測定基準位置とは既知の関係となっている。尚、測定対象物として反射シートを用いてもよい。
【0181】
前記トータルステーション40は、測定対象としての前記プリズム39を視準する望遠鏡部(図示せず)を有し、該望遠鏡部を介して追尾光を射出し、前記プリズム39を追尾し、又望遠鏡部を介して測距光を射出し、前記プリズム39からの反射光を受光し、前記プリズム39について光波距離測定を行う。
【0182】
図18を参照して、トータルステーション40の概略の構成を説明する。
【0183】
該トータルステーション40は、主に演算制御部41、TS通信部42、記憶部43、測距部44、追尾部45、水平角検出器47、鉛直角検出器48、水平回転駆動部49、鉛直回転駆動部50、表示部51、操作部52を有している。
【0184】
前記演算制御部41は、TS通信部42、測距部44、追尾部45、水平回転駆動部49、鉛直回転駆動部50、表示部51の駆動制御、同期制御等、個々の制御と共に統合制御を行う。
【0185】
前記TS通信部42は前記ポール装置2との間でデータ通信を行い、前記追尾部45は追尾光を射出し、前記プリズム39からの反射光を受光して追尾を行う。又、前記追尾部45による追尾と並行して、前記測距部44は測距光を射出し、前記プリズム39からの反射光を受光し、該プリズム39を測定対象として測距を行う。
【0186】
又、前記水平角検出器47は、基準点を有し、この基準点に対する望遠鏡の光軸の水平角を検出する様になっている。又、前記鉛直角検出器48は、水平に対する高低角を検出する様になっている。
【0187】
前記水平回転駆動部49と前記鉛直回転駆動部50は、前記プリズム39を追尾する様、望遠鏡を鉛直回転及び水平回転する。又、前記水平角検出器47と前記鉛直角検出器48は、測距時の水平角、鉛直角を検出する。従って、前記トータルステーション40は、測定対象を測距すると共に測定対象の3次元座標を測定する。
【0188】
前記TS通信部42は測定された3次元座標をリアルタイムで、前記ポール装置2に送信する。
【0189】
前記操作部52から前記トータルステーション40の動作のON/OFF、作動条件の設定等が入力され、前記表示部12にはトータルステーション40の作動状態等が表示される。
【0190】
図19は、第3の実施例のポール装置2′の概略を示している。第3の実施例に於けるポール装置2′と第1の実施例に於けるポール装置2とは略同様な構成を有しており、前記ポール装置2′は前記受光器15の代りに前記プリズム39を有し、前記トータルステーション40とのデータ通信の為の通信部20を備えている。
【0191】
尚、図19中、測距センサ16として測距カメラ22を示しているが、第2の実施例で示した様に、測距センサ16がプロジェクタ17及びカメラ36或は視差カメラによって構成されてもよい。
【0192】
第3の実施例に於ける不陸測定について、図20を参照して説明する。尚、図20中、図5中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0193】
前記トータルステーション40は前記プリズム39を測定し、測定データとして前記プリズム39の3次元座標を前記TS通信部42から前記ポール装置2′の前記通信部20に送信する。該通信部20は受信した3次元データを演算制御部19に入力する。
【0194】
3次元データは更に演算処理部23に入力され、該演算処理部23は、3次元データから前記プリズム39の高さ、即ちトータルステーション40の測距光の照射位置の高さを取得する。
【0195】
取得した測距光の照射位置の高さは、前記床面33(図4参照)を基準とした前記プリズム39の高さ(プリズム39の光学中心の高さ)となっている。
【0196】
更に、前記演算処理部23は、前記プリズム39の光学中心と前記測距カメラ22の測定基準位置との既知の関係と前記プリズム39の高さから、前記床面33を基準とした前記測距カメラ22の高さを取得することができる。
【0197】
而して、前記ポール装置2′は、前記測距カメラ22の測定結果から施工面34bの不陸状態を測定することができる。
【0198】
第3の実施例では、前記トータルステーション40によって測定される前記プリズム39の高さが、不陸測定の基準となるものであり、前記トータルステーション40及び前記プリズム39は、不陸測定の基準となるレベルを測定する基準レベル測定装置として機能する。
【0199】
不陸マップ10の作成、不陸マップの前記携帯端末4の端末表示部30への表示については、第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0200】
高さ測定装置1としてトータルステーション40を用い、ポール装置2′を追尾測定する様にした場合、前記ポール装置2′を施工床面34に設置するのではなく、ハンディタイプとすることができる。
【0201】
前記ポール装置2′の高さ(即ち、プリズム39の高さ)は、トータルステーション40によってリアルタイムで測定され、更に前記ポール装置2の傾斜(測距センサ16の傾斜)は第2傾斜センサ18によりリアルタイムで検出されるので、前記ポール装置2の測定高さを検出された傾斜で補正することで、前記測距センサ16の正確な高さが求められる。従って、前記測距センサ16の測定値から正確な不陸量が測定される。
【0202】
尚、ハンディタイプとしては、前記ポール装置2のポール14の代りに、測距センサ16、プロジェクタ17、演算制御部19を一体に支持できる構成であればよく、例えば、ポールを短い棒状の把手としたもの、測距センサ16、プロジェクタ17、演算制御部19を一体化して把手を取付けたもの、ヘルメットに取付けたもの、リュックタイプとしたもの、更にポール14の代りドローンとしたもの等、種々の形態が考えられる。
【0203】
尚、作成される不陸マップについても、リアルタイムで補正されたものが投影されることは言う迄もない。
【0204】
図21を参照して、第4の実施例を説明する。
【0205】
第4の実施例は、測定対象面が壁面等の垂直面である場合に関し、垂直面での不陸(凹凸)を測定する。
【0206】
図21は第4の実施例の概略構成図であり、図21中、60は測定対象面であり、地面に対して垂直な壁面を示している。又、図1中で示したものと同等のものには、同符号を付してある。尚、壁面は、地面に対して略垂直であってもよい。
【0207】
第4の実施例に係る測量システムは、主にポール装置2″、レーザレベルプレーナ3′、携帯端末4によって構成されている。
【0208】
尚、該携帯端末4は第1の実施例に於いて用いられるものと同様であり、その内部構成は図4に於いて示される。又、第4の実施例で示されるレーザレベルプレーナ3′としては、鉛直基準面を形成する、例えば、特許文献4~特許文献6に示されるものが使用されてもよい。
【0209】
第4の実施例に於けるポール装置2″では、測距センサ16′、プロジェクタ17′の光軸がポール14の軸心に対して直交する様に取付けられている。更に、前記測距センサ16′の光軸と前記プロジェクタ17′の光軸は平行で、光軸間の距離は既知となっている。或は、前記測距センサ16′の光軸と前記プロジェクタ17′の光軸とは、同軸に構成されている。
【0210】
又、受光器15′は前記測距センサ16′の光軸と平行な方向に延び、受光センサ21は前記測距センサ16′の光軸と平行な方向に所定の長さを有している。
【0211】
前記測距センサ16′自体の構成は、第1の実施例で示した測距センサ16と同一の構成、或は同一のものが使用可能であるので、説明を省略する。又、前記プロジェクタ17′と前記受光器15′についても第1の実施例で示したものと同一の構成、或は同一のものが使用可能であるので、説明を省略する。
【0212】
レーザレベルプレーナ3′は、水平軸心を中心にレーザ光線を回転照射し、或は扇状のレーザ光線を照射して、鉛直基準面O′を形成する。前記レーザレベルプレーナ3′は、前記壁面60に対して既知の水平距離の位置に設けられる。既知の位置としては、例えば、製作図面、施工図面等から得られる位置がある。
【0213】
前記レーザレベルプレーナ3′が既知の位置に設けられることから、該レーザレベルプレーナ3′が形成する鉛直基準面O′は、施工仕上り壁面60aに対してD′の水平距離を有する。
【0214】
前記施工仕上り壁面60aを基準とした、前記施工壁面60bの不陸ΔFは以下の式で求められる。尚、前記ポール装置2″は鉛直状態に支持されていると仮定する。
【0215】
ΔF=D′-(S+d)…(2式)
【0216】
ここで、測距センサ16′の測定基準位置は前記ポール14の軸心上にあり、dは鉛直基準面と前記ポール装置2″の軸心間の水平距離、Sは前記測距センサ16′の測距距離を示している。
【0217】
尚、前記ポール装置2″が傾斜している場合は、傾斜は第1傾斜センサ6(図2参照)で検出することができるので、測定結果を検出した傾斜に基づき第1の実施例と同様、補正することができる。
【0218】
ここで、前記レーザレベルプレーナ3′及び前記受光器15は、不陸測定の基準となる水平基準面O′のレベルを測定する基準レベル測定装置として機能する。
【0219】
前記プロジェクタ17′からは前記壁面60に対してARマーカ13が投影される(図1参照)。
【0220】
前記測距センサ16′による測距結果(不陸データ)は、前記携帯端末4にリアルタイムで送信される。
【0221】
前記携帯端末4により前記ARマーカ13を含む様に、前記施工壁面60bが撮像される。
【0222】
前記携帯端末4は、不陸データに基づき不陸マップを作成し、前記携帯端末4の端末表示部30上で前記施工壁面60bの前記ARマーカ13の位置に不陸マップを表示することができる。
【0223】
尚、不陸マップの作成、前記端末表示部30上に不陸マップを表示すること等は、第1の実施例と同様であるので説明を省略する。
【0224】
次に、前記壁面60が湾曲、或は傾斜している場合の不陸測定について説明する。
【0225】
前記壁面60が湾曲、或は傾斜している場合は、図21に於いて、前記施工仕上り壁面60aと前記鉛直基準面O′との水平距離D′が変化する。
【0226】
この水平距離D′の変化については、予め演算制御部19或は携帯端末4に前記施工仕上り壁面60aの製作図面、施工図面等から得られる湾曲のデータ、傾斜のデータを入力しておくことで、前記壁面60の湾曲、傾斜に拘らず、不陸状態(凹凸のデータ)を測定することができる。又、不陸状態の測定と共に、湾曲、傾斜の精度についても併せて測定することができる。
【0227】
更に、測定対象面の凹凸のみ測定すればよい場合、例えば測定対象面の平坦度を測定すればよい場合は、測定時に水平基準面、鉛直基準面等の基準レベルは必要はなく、前記測距センサ16、前記測距センサ16′等の測定対象面を2次元に(平面的に)距離測定する距離測定機で、測定対象面全体の距離を測定すればよい。
【0228】
更に、取得した測距値間の偏差を求めることで、測定対象面の凹凸が分る。更に、測定対象面全体の測距値の平均値又は平均値に近い平面を基準面、或は測距値の平均値から所定距離離れた位置の平面を基準面とすると、該基準面に対する不陸が測定でき、不陸マップを生成することができ上記実施例同様、不陸マップを携帯端末4の端末表示部30に表示することができる。
【0229】
この場合、前記測距センサ16′及び該測距センサ16′の測距結果に基づき基準面を測定、設定する演算制御部19が基準レベル測定装置としての機能を有する。従って、上記実施例に於けるレーザレベルプレーナ3、トータルステーション40、レーザレベルプレーナ3′等の基準レベル測定装置は省略することができる。
【0230】
尚、上記実施例は、施工時の不陸状態の測定だけではなく、既存の平面の不陸(凹凸)、湾曲等の面性状一般の測定に実施可能であることは言う迄もない。
【符号の説明】
【0231】
1 高さ測定装置
2 ポール装置
3 レーザレベルプレーナ
4 携帯端末
5 制御部
6 第1傾斜センサ
13 ARマーカ
15 受光器
16 測距センサ
17 プロジェクタ
18 第2傾斜センサ
19 演算制御部
20 通信部
21 受光センサ
22 測距カメラ
29 撮像部
30 端末表示部
31 端末通信部
39 プリズム
40 トータルステーション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21