IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社サイエンスエナジーの特許一覧

<>
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図1
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図2
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図3
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図4
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図5
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図6
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図7
  • 特開-鼻呼吸測定装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139175
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】鼻呼吸測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/087 20060101AFI20241002BHJP
   A61B 5/097 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A61B5/087
A61B5/097
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050003
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーグループ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520089716
【氏名又は名称】株式会社サイエンスエナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】笹原 一将
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS04
4C038SU06
4C038SX02
(57)【要約】
【課題】使用者の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置の提供。
【解決手段】鼻呼吸測定装置1は、使用者の鼻孔に流体連通する測定流路3aが貫通して形成された基材3と、少なくとも基材3における鼻孔との接触面側に配置され、測定流路3aの横断面視で基材3を覆う弾性部材4と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の鼻孔に流体連通する測定流路が貫通して形成された基材と、
少なくとも前記基材における前記鼻孔との接触面側に配置され、前記測定流路の横断面視で前記基材を覆う弾性部材と、を備える、
鼻呼吸測定装置。
【請求項2】
前記基材は、前記弾性部材よりも剛性が高い、
請求項1に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記基材に対し着脱可能に嵌合する嵌合部を備える、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項4】
前記嵌合部は、前記弾性部材の前記基材からの脱着方向において、前記基材に当接する抜け止め部を備える、
請求項3に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項5】
前記嵌合部は、前記弾性部材の前記基材に対する回転を規制する回転規制部を備える、
請求項3に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項6】
前記測定流路の内壁面は、円筒形状である、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項7】
前記弾性部材の外形は、前記鼻孔に挿入する前の状態で、前記鼻孔よりも大きい、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項8】
前記弾性部材の一部は、前記測定流路の内部にも配置されている、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項9】
前記弾性部材と前記基材との表面は、滑らかに連続している、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項10】
前記弾性部材の外形の中心軸は、前記測定流路の中心軸と交差する方向に延びている、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項11】
前記弾性部材の外形は、真円形状、楕円形状、もしくは曲線形状を有する、
請求項1または2に記載の鼻呼吸測定装置。
【請求項12】
使用者の鼻孔に流体連通する測定流路が貫通して形成された基材と、
少なくとも前記基材における前記鼻孔との接触面側に配置され、前記測定流路の横断面視で前記基材を覆う弾性部材と、を備え、
前記弾性部材は、前記基材に対し着脱可能に嵌合する嵌合部を備え、
前記嵌合部は、前記弾性部材の前記基材からの脱着方向において、前記基材に当接する抜け止め部を備え、
前記弾性部材の外形は、前記鼻孔に挿入する前の状態で、前記鼻孔よりも大きい、
鼻呼吸測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻呼吸測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、被験者の呼吸流量を測定する呼吸流量測定装置が開示されている。この呼吸流量測定装置は、被験者の鼻腔に当接され、この鼻腔からの呼吸の流れを内部に連通する鼻腔当接体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-35441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記鼻腔当接体は、内部が中空で略切頭円錐状に形成され、外周が被験者の一対の鼻腔を気密にシールする一対の鼻腔当接部を備えている。この鼻腔当接部は、被験者の鼻腔内を傷つけないように、すべてが弾性部材で形成されている。このような鼻腔当接部は、鼻腔挿入時に変形してしまうため、内部を流通する空気の流量が変化し、鼻呼吸の測定精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、使用者の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1):本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置は、使用者の鼻孔に流体連通する測定流路が貫通して形成された基材と、少なくとも前記基材における前記鼻孔との接触面側に配置され、前記測定流路の横断面視で前記基材を覆う弾性部材と、を備える。
【0007】
本態様に係る鼻呼吸測定装置によれば、測定流路の形状を基材で保ちつつ、基材の外側を弾性部材で覆うことで、使用者の鼻孔内粘膜を保護することができる。これにより、使用者の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置が得られる。
【0008】
(2):(1)の態様の鼻呼吸測定装置において、前記基材は、前記弾性部材よりも剛性が高くてもよい。
【0009】
この場合には、鼻孔に挿入した際に、剛性が高い基材よりも、弾性部材が優先して変形するため、測定流路の形状を保ち易くなる。
【0010】
(3):(1)または(2)の態様の鼻呼吸測定装置において、前記弾性部材は、前記基材に対し着脱可能に嵌合する嵌合部を備えてもよい。
【0011】
この場合には、弾性部材を交換することにより、鼻孔の大きさの個人差を、弾性部材のサイズ差により吸収でき、基材はそのまま使い回すことができる。したがって、鼻呼吸測定装置のコストが安くなる。また、鼻孔内粘膜に触れる弾性部材のみを交換することで、衛生的に使用できる。
【0012】
(4):(3)の態様の鼻呼吸測定装置において、前記嵌合部は、前記弾性部材の前記基材からの脱着方向において、前記基材に当接する抜け止め部を備えてもよい。
【0013】
この場合には、鼻孔から基材を引き抜く際に、弾性部材が鼻孔内に残ってしまうことを防止できる。
【0014】
(5):(3)の態様の鼻呼吸測定装置において、前記嵌合部は、前記弾性部材の前記基材に対する回転を規制する回転規制部を備えてもよい。
【0015】
この場合には、基材と弾性部材とが相対回転しなくなるため、鼻孔に対する装着状態が安定する。
【0016】
(6):(1)から(5)のいずれか一つの態様の鼻呼吸測定装置において、前記測定流路の内壁面は、円筒形状であってもよい。
【0017】
この場合には、測定流路の内壁面において空気の淀みが形成され難くなり、鼻呼吸の測定精度が向上する。
【0018】
(7):(1)から(6)のいずれか一つの態様の鼻呼吸測定装置において、前記弾性部材の外形は、前記鼻孔に挿入する前の状態で、前記鼻孔よりも大きくてもよい。
【0019】
この場合には、弾性部材が圧縮状態で鼻孔に装着されるため、鼻孔内の摩擦力によって装置が落下し難くなる。また、弾性部材と鼻孔とが密着するため、使用者の呼吸のし易さに貢献できる。
【0020】
(8):(1)から(7)のいずれか一つの態様の鼻呼吸測定装置において、前記弾性部材の一部は、前記測定流路の内部にも配置されていてもよい。
【0021】
この場合には、鼻孔内粘膜が測定流路の内部に接触しても、鼻孔内粘膜を傷つけないようにすることができる。
【0022】
(9):(1)から(8)のいずれか一つの態様の鼻呼吸測定装置において、前記弾性部材と前記基材との表面は、滑らかに連続していてもよい。
【0023】
この場合には、鼻呼吸の空気の流れを乱さないようにすることができるため、鼻呼吸の測定精度が向上する。
【0024】
(10):(1)から(9)のいずれか一つの態様の鼻呼吸測定装置において、前記弾性部材の外形の中心軸は、前記測定流路の中心軸と交差する方向に延びていてもよい。
【0025】
この場合には、鼻孔の向きの個人差を、弾性部材の外形の中心軸の向きにより吸収できる。
【0026】
(11):(1)から(10)のいずれか一つの態様の鼻呼吸測定装置において、前記弾性部材の外形は、真円形状、楕円形状、もしくは曲線形状を有してもよい。
【0027】
この構成によれば、弾性部材が鼻孔内の各種形状に対応するため、弾性部材が鼻孔内にフィットし易くなる。
【0028】
(12):本発明の一態様に係る鼻呼吸測定装置は、使用者の鼻孔に流体連通する測定流路が貫通して形成された基材と、少なくとも前記基材における前記鼻孔との接触面側に配置され、前記測定流路の横断面視で前記基材を覆う弾性部材と、を備え、前記弾性部材は、前記基材に対し着脱可能に嵌合する嵌合部を備え、前記嵌合部は、前記弾性部材の前記基材からの脱着方向において、前記基材に当接する抜け止め部を備え、前記弾性部材の外形は、前記鼻孔に挿入する前の状態で、前記鼻孔よりも大きい。
【0029】
この構成によれば、使用者の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置が得られる。
【発明の効果】
【0030】
上記本発明の一態様によれば、使用者の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置が使用者の鼻に装着されている様子を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置の斜視図である。
図3】第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置の分解斜視図である。
図4図2に示す矢視IV-IV断面図である。
図5図2に示す矢視V-V断面図である。
図6図2に示す矢視VI-VI断面図である。
図7】第2実施形態に係る鼻呼吸測定装置の部分断面図である。
図8】第3実施形態に係る鼻呼吸測定装置が使用者の鼻に装着されている様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して説明する。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置1が使用者100の鼻110に装着されている様子を示す正面図である。
図1に示すように、鼻呼吸測定装置1は、使用者100の鼻110の左右の鼻孔111に装着されている。
【0034】
なお、図1中、符号100は使用者、符号110は使用者の鼻、符号120は使用者の口を示している。鼻110は、左右の鼻孔111、左右の鼻孔111を隔てる鼻中隔112、鼻110の先端である鼻尖113、及び鼻110の左右に膨らむ鼻翼114を備えている。口120は、上唇121、下唇122を備えている。
【0035】
鼻呼吸測定装置1は、鼻孔111に装着された状態において当該鼻孔111の外に露出する部分が、使用者100の人中の長さ(例えば20mm)以下の大きさとなっている。好ましくは、当該露出部分が、10mm程度で、装置の全高(上下方向の寸法)が20mm程度であるとよい。これにより、鼻呼吸測定装置1が、使用者100の口120を塞いだり、食事や発声を妨げたりすることを抑制できる。
【0036】
図2は、第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の斜視図である。図3は、第1実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の分解斜視図である。図4は、図2に示す矢視IV-IV断面図である。図5は、図2に示す矢視V-V断面図である。図6は、図2に示す矢視VI-VI断面図である。
これらの図に示すように、鼻呼吸測定装置1は、圧力センサ2と、圧力センサ2が取り付けられ、鼻孔111と流体連通する測定流路3aが形成された基材3と、測定流路3aの横断面視で基材3を覆う弾性部材4と、を備えている。
【0037】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の構成及び位置関係について説明することがある。なお、X軸方向は、測定流路3aの中心軸Oが延びる軸方向である。Y軸方向は、測定流路3aの中心軸Oが延びる軸方向と直交する径方向であって、-Y側は人体側である。Z軸方向は、測定流路3aの中心軸Oが延びる軸方向と直交する径方向であって、+Z側は鼻翼114側であり、-Z側は鼻中隔112側である。
【0038】
以下、説明の便宜上、基材3に対して圧力センサ2側を上側(+Y側)と称し、基材3に対して圧力センサ2と反対側を下側(-Y側)と称する場合がある。なお、+Y側が重力方向における上側でなくてもよい。
【0039】
圧力センサ2は、図3に示すように、測定部10と、基板部11と、を備えている。基板部11は、例えば、プリント回路基板である。基板部11の下面側には、測定部10として、第1測定部10Aと第2測定部10BとがX軸方向に離間して設けられている。なお、基板部11には、測定部10の他に、図示しない電源部や、図示しない通信部が設けられている。
【0040】
電源部は、測定部10や通信部に電力を供給する。電源部は、例えば、空気電池である。空気電池は、正極活物質として空気中の酸素、負極活物質として金属を用いる電池であり、正極側の活物質が酸素なので、電池容器内に正極活物質を充填する必要が無く、小型且つ長時間の使用に適している。なお、電源部は、電池容器内に正極活物質を充填した通常の一次電池や、充電可能な二次電池であっても構わない。
【0041】
通信部は、図示しない外部装置と無線通信する無線通信モジュールである。外部装置は、例えば、測定部10の測定結果を受信し、使用者100の鼻呼吸の状態(流量など)を演算するデータ処理装置である。鼻呼吸測定装置1は、通信部の代わりに、または、通信部と共に、測定部10の測定結果を記憶する記憶部を備えてもよい。記憶部は、例えば、不揮発性メモリであり、デバイスを使用者100から取り外したときに、当該メモリに記憶された測定結果を取り出すようにしても構わない。
【0042】
測定部10は、使用者100の鼻呼吸に伴う測定流路3aの空気の流れによる圧力変化を測定する。測定部10の方式としては、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、圧電素子方式、光学方式、MEMS(Micro Electro-Mechanical System)方式等を採用できる。測定部10は、その他のセンサ、例えば、湿度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、脈波センサ、あるいは流量センサ等と併用しても構わない。
【0043】
基材3は、図3に示すように、圧力センサ2が取り付けられるベース部20と、ベース部20から延び、鼻孔111内に挿入される挿入部30と、を備えている。ベース部20の上面21には、基板部11を収容する収容溝22が形成されている。収容溝22は、基板部11と同じく、Y軸方向から視た平面視で矩形状に形成されている。
【0044】
収容溝22には、測定部10を収容するチャンバー23が形成されている。収容溝22の底面には、チャンバー23として、第1測定部10Aを収容する第1チャンバー23Aと、第2測定部10Bを収容する第2チャンバー23Bとが、X軸方向に離間して形成されている。チャンバー23は、Y軸方向から視た平面視で矩形状に形成されている。
【0045】
チャンバー23の開口周縁部には、溝部24が形成されている。溝部24には、図5に示すように、シール部材26が配置される。シール部材26は、基板部11の下面に密着し、チャンバー23内を気密に保持する。シール部材26としては、弾性変形可能なゴム部材を例示できる。なお、シール部材26としては、接着剤や粘着性ゲル等であっても構わない。
【0046】
チャンバー23は、測定部10よりも一回り大きな容積を有している。測定流路3aの内壁面には、測定部10が配置される空間(チャンバー23)と連通する連通口25が形成されている。測定流路3aの内壁面には、連通口25として、第1チャンバー23Aに連通する第1連通口25Aと、第2チャンバー23Bに連通する第2連通口25Bとが、X軸方向に離間して形成されている。
【0047】
挿入部30は、円筒状に形成され、ベース部20から+X側に延びている。挿入部30の内側には、測定流路3aが形成されている。測定流路3aは、挿入部30及びベース部20をX軸方向に貫通している。測定流路3aの内壁面は、X軸方向に延びる円筒状に形成されている。
【0048】
挿入部30の外周面には、図3に示すように、突起部31が形成されている。突起部31は、挿入部30の外周面における-Z側(鼻中隔112側)に配置されている。突起部31は、径方向において一定の高さで、軸方向に延びるリブ状に形成されている。
【0049】
上記構成の基材3は、測定流路3aが変形しないように、後述する弾性部材4よりも剛性が高い材料から形成されている。基材3としては、例えば、軽量のプラスチック材が好ましく、硬質プラスチック材がより好ましい。
【0050】
弾性部材4は、挿入部30の外周面に装着可能な装着孔4aを備えている。装着孔4aは、弾性部材4をX軸方向に貫通している。弾性部材4は、例えば、シリコーンゴム等の鼻孔内粘膜を傷つけない柔らかい材料から形成されている。弾性部材4の外形は、鼻孔111に挿入する前の状態で、鼻孔111よりも大きいとよい。これにより、弾性部材4の圧縮変形による摩擦力で、鼻孔111に装着できる。なお、鼻孔111の大きさは、個人差があるため、弾性部材4の外形は、例えば、成人男性の平均的な鼻孔111の大きさより大きくてもよい。例えば、成人男性が東洋人である場合、鼻孔111の縦径は10.4±1.5mm、鼻孔111の横幅は10.6±2.0mmほどである。
【0051】
弾性部材4の外形は、挿入部30の外周面に対応する部分が円筒状であり、突起部31に対応する部分が径方向に突出している。つまり、弾性部材4の外形は、X軸方向から視て凸部41を有する水滴状の曲線形状を有している。この形状により、弾性部材4は、鼻孔111内にフィットし易くなっている。なお、鼻孔111の形状は個人差があるため、弾性部材4の外形は、真円形状や楕円形状等であってもよい。
【0052】
装着孔4aには、挿入部30(突起部31)に対し着脱可能に嵌合する嵌合部42が形成されている。嵌合部42は、径方向に窪む溝状に形成されている。嵌合部42は、図4に示すように、突起部31の+X側の端面と当接する位置決め部43と、突起部31の-X側の端面と当接する抜け止め部44と、を備えている。位置決め部43は、嵌合部42の+X側の壁部を形成している。抜け止め部44は、嵌合部42の-X側の壁部を形成している。なお、抜け止め部44の-X側の外面は、装着時に突起部31が挿入し易いように、曲面形状となっている。
【0053】
また、嵌合部42は、図6に示すように、突起部31のY軸方向両側の側面と当接する回転規制部45を備えている。回転規制部45は、嵌合部42のY軸方向両側の壁部を形成している。上記構成の弾性部材4は、図6に示す測定流路3aの横断面視で、挿入部30を一定の厚みで覆っている。なお、弾性部材4は、凸部41を備え、凸部41の内側に嵌合部42が形成されているため、突起部31においても弾性部材4の厚みを充分に確保できる。
【0054】
上記構成の鼻呼吸測定装置1によれば、使用者100が鼻呼吸すると、空気が測定流路3aを流れる。測定流路3aの内壁面には、図5に示すように、チャンバー23に連通する連通口25が形成されており、測定部10は、鼻呼吸の主流から離れた位置で、鼻呼吸に伴う測定流路3aの圧力変化(例えば静圧の変化)を測定することができる。
【0055】
この鼻呼吸測定装置1は、測定流路3aの形状を基材3で保ちつつ、基材3の外側を弾性部材4で覆うことで、使用者100の鼻孔内粘膜を保護している。これにより、使用者100の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させないで、鼻呼吸を測定することができる。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る鼻呼吸測定装置1は、使用者100の鼻孔111に流体連通する測定流路3aが貫通して形成された基材3と、少なくとも基材3における鼻孔111との接触面側に配置され、測定流路3aの横断面視で基材3を覆う弾性部材4と、を備える。この構成によれば、使用者100の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置1が得られる。
【0057】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1において、基材3は、弾性部材4よりも剛性が高い。この構成によれば、鼻孔111に挿入した際に、剛性が高い基材3よりも、弾性部材4が優先して変形するため、測定流路3aの形状を保ち易くなる。
【0058】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1において、弾性部材4は、基材3に対し着脱可能に嵌合する嵌合部42を備える。この構成によれば、弾性部材4を交換することにより、鼻孔111の大きさの個人差を、弾性部材4のサイズ差により吸収でき、基材3はそのまま使い回すことができる。したがって、鼻呼吸測定装置1のコストが安くなる。また、鼻孔内粘膜に触れる弾性部材4のみを交換することで、衛生的に使用できる。
【0059】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1において、嵌合部42は、弾性部材4の基材3からの脱着方向において、基材3に当接する抜け止め部44を備える。この構成によれば、鼻孔111から基材3を引き抜く際に、弾性部材4が鼻孔111内に残ってしまうことを防止できる。
【0060】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1において、嵌合部42は、弾性部材4の基材3に対する回転を規制する回転規制部45を備える。この構成によれば、基材3と弾性部材4とが相対回転しなくなるため、鼻孔111に対する装着状態が安定する。
【0061】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1において、測定流路3aの内壁面は、円筒形状である。この構成によれば、測定流路3aの内壁面において空気の淀みが形成され難くなり、鼻呼吸の測定精度が向上する。
【0062】
また、本実施形態の態様の鼻呼吸測定装置1において、弾性部材4の外形は、鼻孔111に挿入する前の状態で、鼻孔111よりも大きい。この構成によれば、弾性部材4が圧縮状態で鼻孔111に装着されるため、鼻孔111内の摩擦力によって装置が落下し難くなる。また、弾性部材4と鼻孔111とが密着するため、使用者100の呼吸のし易さに貢献できる。
【0063】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1において、弾性部材4の外形は、真円形状、楕円形状、もしくは曲線形状を有する。この構成によれば、弾性部材4が鼻孔内の各種形状に対応するため、弾性部材4が鼻孔内にフィットし易くなる。
【0064】
また、本実施形態の鼻呼吸測定装置1は、使用者100の鼻孔111に流体連通する測定流路3aが貫通して形成された基材3と、少なくとも基材3における鼻孔111との接触面側に配置され、測定流路3aの横断面視で基材3を覆う弾性部材4と、を備え、弾性部材4は、基材3に対し着脱可能に嵌合する嵌合部42を備え、嵌合部42は、弾性部材4の基材3からの脱着方向において、基材3に当接する抜け止め部44を備え、弾性部材4の外形は、鼻孔111に挿入する前の状態で、鼻孔111よりも大きい。この構成によれば、使用者100の鼻孔内粘膜を傷つけず、且つ、鼻呼吸の測定精度を低下させない鼻呼吸測定装置1が得られる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0066】
図7は、第2実施形態に係る鼻呼吸測定装置1の部分断面図である。なお、図7(a)~図7(c)においては、第2実施形態に係る挿入部30の先端及び弾性部材4の半断面を図示している。
【0067】
図7(a)に示す弾性部材4は、基材3との表面(挿入部30の端面30a)と滑らかに連続する連続面46を備えている。この構成によれば、基材3と弾性部材4との継ぎ目において、鼻呼吸の空気の流れを乱さないようにすることができるため、鼻呼吸の測定精度を向上させることができる。
【0068】
図7(b)に示す弾性部材4は、その一部が測定流路3aの内部にも配置されている。この構成によれば、鼻孔内粘膜が測定流路3aの内部に接触しても、鼻孔内粘膜を傷つけないようにすることができる。なお、この弾性部材4は、例えば、基材3との二色成形やインサート成形などにより形成することができる。
【0069】
図7(c)に示す挿入部30は、曲面状の端面30bを有している。当該端面30bと連続する弾性部材4の連続面47は、断面視でS字状に滑らかに連続している。この構成によれば、挿入部30の曲面状の端面30bによって、鼻呼吸の空気を測定流路3aに導入し易くすることができる。
【0070】
その他、鼻孔111内の体液が、測定流路3a内に浸入しないように、基材3及び弾性部材4の少なくとも一方に、体液を捕捉する溝部を形成してもよい。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0072】
図8は、第3実施形態に係る鼻呼吸測定装置1が使用者100の鼻110に装着されている様子を示す正面図である。
図8に示すように、第3実施形態の鼻呼吸測定装置1では、弾性部材4の外形の中心軸O2が、測定流路3a(図8において不図示)の中心軸O1と交差する方向に延びている。具体的に、図8に示す弾性部材4の外形は、鼻孔111の奥に向かうに従って、鼻中隔112側に拡張された、中心軸O1に対し非対称の円筒形状を有している。
【0073】
このような第3実施形態によれば、鼻孔111の向きの個人差を、弾性部材4の外形の中心軸O2の向きにより吸収できる。また、鼻呼吸測定装置1の鼻孔111から露出する部分の向きを調整できるため、図8に示すように、左右の鼻孔111に装着された鼻呼吸測定装置1同士を連結部50で連結することも容易に可能となる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0075】
1…鼻呼吸測定装置、2…圧力センサ、3…基材、3a…測定流路、4…弾性部材、4a…装着孔、10…測定部、10A…第1測定部、10B…第2測定部、11…基板部、20…ベース部、21…上面、22…収容溝、23…チャンバー、23A…第1チャンバー、23B…第2チャンバー、24…溝部、25…連通口、25A…第1連通口、25B…第2連通口、26…シール部材、30…挿入部、30a…端面、30b…端面、31…突起部、41…凸部、42…嵌合部、43…位置決め部、44…抜け止め部、45…回転規制部、46…連続面、47…連続面、50…連結部、100…使用者、110…鼻、111…鼻孔、112…鼻中隔、113…鼻尖、114…鼻翼、120…口、121…上唇、122…下唇、O…中心軸、O1…中心軸、O2…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8