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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139176
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】接続装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20241002BHJP
   H02K 5/173 20060101ALI20241002BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20241002BHJP
   F16C 19/52 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H02K5/16 A
H02K5/173 A
F16C19/06
F16C19/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050004
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】山岸 敬登
【テーマコード(参考)】
3J701
5H605
【Fターム(参考)】
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701FA11
3J701GA24
5H605AA12
5H605CC04
5H605EB10
5H605EB30
(57)【要約】
【課題】回転軸と導電体とを電気的に容易に接続する。
【解決手段】接続装置1は、回転軸2に取り付けられる第1導電部10と、一方の端部が第1導電部10に当接するとともに、他方の端部の端面が筐体4の壁面4aに当接させられる第2導電部20と、第1導電部10に保持され、第2導電部20を支持する導電部軸受30とを備える。第2導電部20は、第2凹部21aを有するとともに、導電部軸受30によって支持されるブラシホルダ21と、第2凹部21a内に収容され、第1導電部10の鋼球12に当接するブラシ22と、ブラシホルダ21の第2凹部21aの底部とブラシ22との間に配置され、ブラシ22を第1導電部10に向けて付勢するバネ23とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受によって回転可能に支持された回転軸と、導電体と、を電気的に接続する接続装置であって、
第1凹部を有し、前記第1凹部の開口部が外側を向くように前記回転軸の端部に取り付けられるとともに導電性を有する第1導電部と、
一方の端部が前記第1凹部内に差し込まれて前記第1凹部の底部に当接するとともに、他方の端部の端面が前記導電体の壁面に当接させられ、前記第1導電部と前記導電体とを電気的に接続する第2導電部と、
前記第1凹部の内径面によって保持され、前記回転軸の回転軸線を中心に前記第1導電部と前記第2導電部とが相対回転可能となるように、前記第2導電部を支持する導電部軸受と、を備え、
前記第1導電部は、
前記第1凹部を有するとともに導電性を有する本体部と、
前記第1凹部の底部に設けられ、導電性を有する鋼球と、を有し、
前記第2導電部は、
第2凹部を有し、前記第2凹部の開口部が前記第1凹部の底部側を向くように前記導電部軸受によって支持されるとともに導電性を有するホルダと、
前記第2凹部内に少なくとも一部が収容され、前記第2凹部の底部側に対して反対側の端部が前記回転軸線上において前記鋼球に当接する、導電性を有するブラシと、
前記第2凹部の底部と前記ブラシとの間に配置され、前記ブラシを前記鋼球側に向けて付勢する付勢部と、を有する、接続装置。
【請求項2】
前記導電部軸受は、
外径面が前記第1凹部の内径面によって保持される外輪と、
前記外輪の内側に配置され、内径面によって前記ホルダを保持する内輪と、
前記外輪と前記内輪との間に配置された複数の転動体と、を有し、
前記内輪は、前記回転軸線に沿ってスライド可能に前記ホルダを支持する、請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記ホルダにおける前記第1凹部の底部側の端部は、前記内輪よりも前記第1凹部の底部側に位置し、
前記ホルダにおける前記第1凹部の底部側の端部の外径面には、外側に向って張り出す張出部が設けられている、請求項2に記載の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸と導電体とを電気的に接続する接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータによって駆動される回転軸は帯電することがある。この回転軸に帯電した電荷が回転軸を支持する軸受に電流となって流れることにより、軸受に電食が生じることがある。軸受に電流が流れることを防止するため、例えば、特許文献1には、回転軸の端部に除電部材を当接させ、回転軸に帯電した電荷を除電部材を介してアース線に流すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6242566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成のように、回転軸の端部に除電部材を当接させる場合、回転軸の回転軸線上に除電部材を設置し、回転軸線上において回転軸と除電部材とを当接させる必要がある。このため、回転軸に当接させる除電部材を筐体等に取り付ける際に、除電部材の取り付け位置に高い精度が求められる。
【0005】
そこで、本発明は、回転軸と導電体とを電気的に容易に接続することが可能な接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、軸受によって回転可能に支持された回転軸と、導電体と、を電気的に接続する接続装置であって、第1凹部を有し、第1凹部の開口部が外側を向くように回転軸の端部に取り付けられるとともに導電性を有する第1導電部と、一方の端部が第1凹部内に差し込まれて第1凹部の底部に当接するとともに、他方の端部の端面が導電体の壁面に当接させられ、第1導電部と導電体とを電気的に接続する第2導電部と、第1凹部の内径面によって保持され、回転軸の回転軸線を中心に第1導電部と第2導電部とが相対回転可能となるように、第2導電部を支持する導電部軸受と、を備え、第1導電部は、第1凹部を有するとともに導電性を有する本体部と、第1凹部の底部に設けられ、導電性を有する鋼球と、を有し、第2導電部は、第2凹部を有し、第2凹部の開口部が第1凹部の底部側を向くように導電部軸受によって支持されるとともに導電性を有するホルダと、第2凹部内に少なくとも一部が収容され、第2凹部の底部側に対して反対側の端部が回転軸線上において鋼球に当接する、導電性を有するブラシと、第2凹部の底部とブラシとの間に配置され、ブラシを鋼球側に向けて付勢する付勢部と、を有する。
【0007】
この接続装置では、回転軸に取り付けられた第1導電部の鋼球に、第2導電部のブラシが当接する。第2導電部は、導電部軸受によって、相対回転可能に第1導電部に保持されている。つまり、第2導電部を保持するための構成を筐体等の導電体に設ける必要がない。また、第2導電部は、他方の端部の端面が導電体の壁面に当接させられることにより、導電体に電気的に接続される。このように、接続装置は、第2導電部の他方の端部の端面を導電体の壁面に当接させるだけで、第2導電部を導電部に電気的に接続することができる。これにより、接続装置は、回転軸と導電体とを電気的に容易に接続することができる。また、この接続装置は、鋼球を用いることによって、第1導電部と第2導電部とを容易に点接触させることができる。
【0008】
上記の接続装置において、導電部軸受は、外径面が第1凹部の内径面によって保持される外輪と、外輪の内側に配置され、内径面によってホルダを保持する内輪と、外輪と内輪との間に配置された複数の転動体と、を有し、内輪は、回転軸線に沿ってスライド可能にホルダを支持してもよい。例えば、回転軸の端部と導電体の壁面との間隔にばらつきが生じていることがある。この場合であっても、接続装置は、第2導電部のホルダをスライドさせることによって、ホルダを導電体の壁面に当接させることができる。なお、接続装置は、このホルダのスライドを、付勢部の付勢力によって行わせることができる。このように、接続装置は、ホルダをスライドさせることにより、ホルダと導電体の壁面とをより適切に当接させることができる。
【0009】
上記の接続装置において、ホルダにおける第1凹部の底部側の端部は、内輪よりも第1凹部の底部側に位置し、ホルダにおける第1凹部の底部側の端部の外径面には、外側に向って張り出す張出部が設けられていてもよい。ここで、導電部軸受の内輪にスライド可能に保持されたホルダは、内部に収容する付勢部によって、第1導電部の第1凹部の底部から離れる方向に付勢されている。つまり、ホルダは、付勢部の付勢力によって、内輪から抜け出ようとする。しかしながら、ホルダの外径面に張出部が設けられていることにより、付勢部の付勢力によってホルダがスライドした際に、張出部が内輪に引っ掛かる。このように、接続装置は、接続装置が回転軸に取り付けられていない場合であっても、付勢部の付勢力によってホルダが脱落することを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回転軸と導電体とを電気的に容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、接続装置が取付られた回転軸周りの断面図である。
図2図2は、図1の接続装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1に示されるように、接続装置1は、軸受3によって回転可能に支持された回転軸2と、筐体(導電体)4とを電気的に接続する。回転軸2は、電動モータの軸であってもよく、電動モータの軸にギヤを介して連結された軸であってもよい。本実施形態において、回転軸2は、回転軸2の回転中心となる回転軸線Lに沿って延在する孔2bが内部に形成された、中空の回転軸(中空構造)となっている。なお、回転軸2の内部に形成される孔2bは、回転軸2の長手方向の全域にわたって設けられていることに限定されない。回転軸2は、接続装置1を取り付けるために、回転軸2の端部2aにのみ孔2b(凹部)が設けられている構成であってもよい。
【0014】
軸受3は、回転軸線Lを中心に回転可能に回転軸2を支持する。軸受3は、回転軸2を回転可能に支持することができれば、種類は特に限定されない。筐体4は、回転軸2及び軸受3等を収容する。筐体4は導電性を有している。本実施形態において、接続装置1は、回転軸2と筐体4とを電気的に接続することにより、回転軸2から軸受3を介して筐体4へ至る導電経路よりも抵抗値の低い導電経路を形成する。
【0015】
図1及び図2に示されるように、接続装置1は、第1導電部10、第2導電部20、及び導電部軸受30を備えている。第1導電部10は、導電性を有している。また、第1導電部10は、凹状の第1凹部10aを有する形状を呈している。第1導電部10は、第1凹部10aの開口部が外側(図1の左側)を向くように回転軸2の端部2aに取り付けられる。
【0016】
より詳細には、第1導電部10は、ボールホルダ(本体部)11、及び鋼球12を備えている。ボールホルダ11及び鋼球12は、それぞれ導電性を有している。ボールホルダ11は、第1凹部10aを有する形状を呈している。ボールホルダ11は、一例として、鋼板をプレス加工することによって形成されている。
【0017】
鋼球12は、例えば、軸受に用いられる玉であってもよい。鋼球12は、ボールホルダ11の第1凹部10aの底部10bに取り付けられる。このように、鋼球12は、第1導電部10における第1凹部10aの底部10bに設けられ、第2導電部20(ブラシ22の端面22a)に当接する。鋼球12は、鋼球12の中心が回転軸2の回転中心である回転軸線L上に位置するようにボールホルダ11に取り付けられている。
【0018】
本実施形態において、ボールホルダ11は、互いに径の異なる第1ホルダ部11a、第2ホルダ部11b、及び第3ホルダ部11cを有している。第2ホルダ部11bの径は、第1ホルダ部11aの径よりも大きい。第3ホルダ部11cの径は、第2ホルダ部11bの径よりも大きい。第3ホルダ部11c、第2ホルダ部11b、及び第1ホルダ部11aは、第1凹部10aの開口部から底部10bに向って、この並び順で設けられている。つまり、ボールホルダ11は、底部10bに向って段々と径が小さくなる形状を呈している。
【0019】
第1ホルダ部11aの内側には、鋼球12が配置される。第1ホルダ部11aは、鋼球12を保持する。第1ホルダ部11aと鋼球12とは、互いに接合されている。第1ホルダ部11aと鋼球12とは、加締め等、種々の方法によって互いに接合されている。第3ホルダ部11cは、回転軸2の孔2bに嵌め込まれ、回転軸2の端部に取り付けられる。これにより、第1導電部10は、回転軸2と電気的に接続される。また、第1導電部10は、回転軸2と一体的に回転する。一例として、第3ホルダ部11cの外径面が回転軸2の孔2bの内径面に圧入されることにより、ボールホルダ11(第1導電部10)が回転軸2に取り付けられる。
【0020】
なお、第3ホルダ部11cの外径面には、外側に向って広がるフランジ11dが設けられている。フランジ11dは、第3ホルダ部11cにおいて第2ホルダ部11bとは反対側の端部に設けられている。つまり、フランジ11dは、第1導電部10の第1凹部10aの開口部から外側に向って張り出している。フランジ11dは、回転軸2の端部2aに当接し、回転軸2に対するボールホルダ11の差し込み深さを規定する。
【0021】
第3ホルダ部11cの内径面には、導電部軸受30が取り付けられている。導電部軸受30は、第1導電部10の第1凹部10aの内径面(第3ホルダ部11cの内径面)によって保持される。一例として、第3ホルダ部11cの内径面に導電部軸受30の外径面が圧入されることにより、導電部軸受30が第3ホルダ部11cに取り付けられる。
【0022】
導電部軸受30は、回転軸2の回転軸線Lを中心に第1導電部10と第2導電部20とが相対回転可能となるように、第2導電部20を支持する。導電部軸受30は、外輪31、内輪32、及び複数の転動体33を備えている。外輪31の外径面は、第3ホルダ部11cの内径面(第1導電部10の第1凹部10aの内径面)に保持される。内輪32は、外輪31の内側に配置されている。内輪32は、内輪32の内径面によって第2導電部20(ブラシホルダ21)を保持する。転動体33は、外輪31と内輪32との間に配置されている。導電部軸受30は、転動体33を保持する保持器34を備えていてもよい。なお、導電部軸受30は、滑り軸受であってもよい。
【0023】
第2導電部20における一方の端部は、第1導電部10の第1凹部10a内に差し込まれて第1凹部10aの底部10bに当接する。ここでは、第2導電部20の一方の端部は、第1凹部10aの底部10bに設けられた鋼球12に当接する。第2導電部20の他方の端部の端面20aは、筐体4の内側の壁面4aに当接させられる。これにより、第2導電部20は、第1導電部10と筐体4とを電気的に接続する。
【0024】
より詳細には、第2導電部20は、ブラシホルダ(ホルダ)21、ブラシ22、及びバネ(付勢部)23を備えている。ブラシホルダ21は、第2凹部21aを有する形状を呈している。第2凹部21aは、回転軸線Lに沿って窪む凹状を呈している。ブラシホルダ21は、導電性を有している。ブラシホルダ21は、一例として、鋼板をプレス加工することによって形成されている。
【0025】
ブラシホルダ21は、第2凹部21aの開口部が、第1導電部10の第1凹部10aの底部10b側を向くように配置されている。ブラシホルダ21の外径面は、導電部軸受30の内輪32の内径面によって支持されている。本実施形態において、導電部軸受30の内輪32は、回転軸線Lに沿ってスライド可能にブラシホルダ21を保持している。つまり、ブラシホルダ21がスライド可能なように、ブラシホルダ21の外径面と内輪32の内径面との間には所定の隙間が設けられている。
【0026】
ブラシホルダ21における第1導電部10の第1凹部10aの底部10b側の端部は、導電部軸受30の内輪32よりも第1凹部10aの底部10b側に位置している。つまり、ブラシホルダ21は、内輪32に保持された状態において、内輪32よりも鋼球12側(底部10b側)に突出した部分を有している。ブラシホルダ21における第1導電部10の第1凹部10aの底部10b側の端部の外径面には、径方向の外側に向って張り出す張出部21bが設けられている。内輪32と張出部21bとは、回転軸線Lに沿った方向において互いに対向している。張出部21bは、内輪32に引っ掛かることにより、鋼球12から離れる方向におけるブラシホルダ21の移動を規制する。
【0027】
ブラシ22は、ブラシホルダ21の第2凹部21a内に収容されている。なお、ブラシ22は、一部が第2凹部21a内から突出していてもよい。つまり、ブラシ22は、少なくとも一部が第2凹部21a内に収容されていればよい。ブラシ22において、第2凹部21aの底部側に対して反対側の端部の端面22aは、第1導電部10の第1凹部10aの底部10bに当接する。ここでは、ブラシ22の端面22aは、第1凹部10aの底部10bに設けられた鋼球12に当接する。
【0028】
ブラシ22は、ブラシホルダ21の第2凹部21a内において、回転軸線Lに沿ってスライドすることができる。ブラシ22は導電性を有している。ブラシ22としては、一例として、カーボンブラシを用いることができる。鋼球12に当接するブラシ22の端面22aの形状は、平坦状であってもよく、凹状(一例として、円弧状に窪む形状)であってもよく、凸状(一例として、円弧状に突出する形状)であってもよい。本実施形態において、端面22aは、鋼球12と点接触できればよい。
【0029】
なお、上述したように、鋼球12は、鋼球12の中心が回転軸線L上に位置するように設けられている。このため、ブラシ22の端面22aと鋼球12とは、回転軸線L上において互いに点接触する。これにより、回転軸2と共に第1導電部10が回転しても、ブラシ22の端面22aと鋼球12との接触点は、位置がズレない。つまり、端面22aと鋼球12との接続部分において、両者の周速の差がゼロとなり、ブラシ22の摩耗が抑えられる。
【0030】
バネ23は、ブラシホルダ21の第2凹部21a内において、第2凹部21aの底部とブラシ22との間に配置されている。バネ23は、圧縮バネである。バネ23は、ブラシ22を第1導電部10の第1凹部10aの底部10b側(鋼球12側)に向けて付勢する。バネ23は、導電性を有している。これにより、ブラシ22は、接続装置1が取り付けられた状態において、鋼球12と点接触する。つまり、ブラシ22と鋼球12とは、電気的に接続される。
【0031】
バネ23は、第2導電部20及び導電部軸受30が第1導電部10に取り付けられた状態において、ブラシ22を鋼球12側に向けて付勢する。また、バネ23は、ブラシホルダ21を鋼球12から離間する方向に付勢する。つまり、バネ23は、ブラシホルダ21を筐体4の壁面4aに押し付ける。これにより、ブラシホルダ21(第2導電部20の他方の端部の端面20a)と筐体4の壁面4aとが当接するとともに、ブラシホルダ21と筐体4の壁面4aとが互いに電気的に接続される。
【0032】
次に、接続装置1を用いた場合における回転軸2と筐体4との導電経路について説明する。本実施形態では、ボールホルダ11、鋼球12、ブラシホルダ21、ブラシ22、及びバネ23が導電性を有している。このため、回転軸2は、ボールホルダ11、鋼球12、ブラシ22、及びブラシホルダ21を介して筐体4の壁面4aに電気的に接続される。また、回転軸2は、ボールホルダ11、鋼球12、ブラシ22、バネ23、及びブラシホルダ21を介して筐体4の壁面4aに電気的に接続される。つまり、ボールホルダ11、鋼球12、ブラシホルダ21、ブラシ22、及びバネ23は、回転軸2と筐体4とを電気的に接続する導電経路となる。これにより、回転軸2が回転状態であったとしても、回転軸2と筐体4とが電気的に接続される。更に、筐体4が接地されていることにより、回転軸2に電荷が蓄積することなく上記導電経路を通って放電される。
【0033】
以上のように、接続装置1では、回転軸2に取り付けられた第1導電部10の鋼球12に、第2導電部20の一方の端部(ブラシ22)が当接する。第2導電部20は、導電部軸受30によって、相対回転可能に第1導電部10に保持されている。つまり、第2導電部20を保持するための構成を筐体4に設ける必要がない。また、第2導電部20は、他方の端部の端面20aが筐体4の壁面4aに当接させられることにより、筐体4に電気的に接続される。このように、接続装置1は、第2導電部20の他方の端部の端面20aを筐体4の壁面4aに当接させるだけで、第2導電部20を筐体4に電気的に接続することができる。これにより、接続装置1は、回転軸2と筐体4とを電気的に容易に接続することができる。
【0034】
導電部軸受30の内輪32は、回転軸線Lに沿ってスライド可能に、ブラシホルダ21を支持する。例えば、回転軸2の端部2aと筐体4の壁面4aとの間隔にばらつきが生じていることがある。この場合であっても、接続装置1は、第2導電部20のブラシホルダ21をスライドさせることによって、ブラシホルダ21を筐体4の壁面4aにより確実に当接させることができる。なお、接続装置1は、このブラシホルダ21のスライドを、バネ23の付勢力によって行わせることができる。このように、接続装置1は、ブラシホルダ21をスライドさせることにより、ブラシホルダ21と筐体4の壁面4aとをより適切に当接させることができる。
【0035】
ブラシホルダ21の外径面には、外側に向って張り出す張出部21bが設けられている。ここで、導電部軸受30の内輪32にスライド可能に保持されたブラシホルダ21は、内部に収容するバネ23によって、第1導電部10の第1凹部10aの底部10bから離れる方向に付勢されている。つまり、ブラシホルダ21は、バネ23の付勢力によって、内輪32から抜け出ようとする。しかしながら、ブラシホルダ21の外径面に張出部21bが設けられていることにより、バネ23の付勢力によってブラシホルダ21がスライドした際に張出部21bが内輪32に引っ掛かる。このように、接続装置1は、接続装置1が回転軸2に取り付けられていない場合であっても、バネ23の付勢力によってブラシホルダ21が導電部軸受30から脱落することを防止できる。
【0036】
また、第1導電部10には、鋼球12が設けられている。これにより、接続装置1は、鋼球12を用いることによって、第1導電部10と第2導電部20とを容易に点接触させることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1導電部10に鋼球12を設けたが、ブラシ22の先端部に鋼球が取り付けられ、この鋼球が第1導電部10の第1凹部10aの底部10bに当接していてもよい。
【0038】
接続装置1は、回転軸2と筐体4とを電気的に接続したが、筐体4以外の導電体と回転軸2とを電気的に接続してもよい。
【0039】
上記実施形態では、ボールホルダ11の第3ホルダ部11cが回転軸2の孔2bに嵌め込まれる(圧入される)ことによって、第1導電部10が回転軸2に取り付けられていた。この取付方法に限定されず、例えば、ボールホルダ11の第3ホルダ部11cに設けられたフランジ11dが、回転軸2の端部2aにボルト等によって固定されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…接続装置、2…回転軸、3…軸受、4…筐体(導電体)、4a…壁面、10…第1導電部、10a…第1凹部、10b…底部、11…ボールホルダ(本体部)、12…鋼球、20…第2導電部、20a…端面、21…ブラシホルダ(ホルダ)、21a…第2凹部、21b…張出部、22…ブラシ、23…バネ(付勢部)、30…導電部軸受、31…外輪、32…内輪、33…転動体、L…回転軸線。
図1
図2