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特開2024-139177ゴルフパターの最適な打点位置を明示し、且つボールの転がりをよくする機能を有するフェース面取り付け器具および最適な打点位置を明示し、且つボールの転がりをよくする機能を有するゴルフパター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139177
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ゴルフパターの最適な打点位置を明示し、且つボールの転がりをよくする機能を有するフェース面取り付け器具および最適な打点位置を明示し、且つボールの転がりをよくする機能を有するゴルフパター
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20241002BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20241002BHJP
【FI】
A63B53/04 Z
A63B53/04 J
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050005
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】302019946
【氏名又は名称】高橋 眞彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 眞彦
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA04
2C002CH01
2C002LL04
2C002MM01
2C002MM04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一般的に販売されているパターやすでに購入して使用されているパターについて、そのフェース面にゴルフボールの転がりをよくする手段と理想的な打点位置を視認する手段を提供する。
【解決手段】既存の形状のパターのフェース面に、横長の円筒の一部をフェース面の幅に合わせて切り取った形状の曲面を持つ切片を取り付けるという簡便な方法により、ゴルフボールの転がりをよくする手段と理想的な打点位置を視認する手段をパターに付与する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフパターのフェース面に取り付けるための器具であって、フェース面に取り付けるための取り付け面を一方に持ち、その反対のゴルフボールが当たる面に横長の円筒の一部をフェース面の幅に合わせて横長に切り取った形状の曲面を持ち、曲面の中央部のゴルフボールが接する最適な打点位置にローレット加工や異なる色、異なる素材など他の曲面とは明確に区別できる曲面部分を持つことを特徴とするゴルフパターのフェース面取り付け器具。
【請求項2】
パターのフェース面の形状に合わせて設計されたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフパターのフェース面取り付け器具。
【請求項3】
請求項1および請求項2に記載のフェース面取り付け器具の特徴である曲面と曲面の中央部に施した最適な打点位置を明示する部分をフェース面に持つことを特徴とするゴルフパター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフパターについて、ボールの転がりを良くすると共に、パッティングの際にフェース面とボールが接する理想的な打点位置を明示することを目的とした器具およびパターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なゴルファーのパッティングでは、パターヘッドはゴルファーの頭部や首のあたりを中心とした円形ないしは楕円形の軌道で動いている。この時、図1-(a)に示すようなフェース面が平面であるパターでは、フェース面のロフト角によって打撃後のゴルフボールはやや浮き上がってから着地し転がり始める。
【0003】
一方、もし図1-(b)に示すようにフェース面が円筒形の曲面となっているパターの場合には、パターヘッドとゴルフボールとがあたかも2個のギアの組み合わせのように働き、打撃後のゴルフボールは図1-(a)に比べて非常に転がりの良いものとなる。
【0004】
本発明ではこの効果を「ギア効果」と仮称する。
【0005】
このような円筒形の曲面をフェース面に持つパターヘッドはかねてより知られており、特許文献1、特許文献2、特許文献3等の考案や「Tru-Roll PUTTERS」の名称ですでに商品化されたものもある(非特許文献1)。
【0006】
しかしギア効果による転がりの良さが確かめられ、この形状に関する数々の特許申請が行われているにもかかわらず、未だ一般的なパターの形状としては普及していないのが現状である。
【0007】
その要因の一つとして、一般的な認識ではパターのフェース面は平面であるとの考えが根強く、円筒形の曲面をフェース面に持つパターについては、特殊すぎて受け入れがたい思いがあるのではないかと推測する。
【0008】
これまでの発明や市販されている円筒形の曲面を持つパターは、パター本体とフェース面が一体のものとして設計されているため、個人が使用する場合にはこの特殊な形状のパターを何らかの方法で入手して、自分に適しているかどうかを確かめる必要がある。
【0009】
この場合、ギア効果だけでパター全体の性能が決まるわけではないので、入手した円筒形状のパターを実際にゴルフコースなどで試した結果が思わしいものでなければ、その後の使用には至らないものと考えられる。
【0010】
また、パターは各ゴルファーの思い入れが強く、毎年のように新製品の出るドライバーやアイアンとは異なり、殊更大きなメリットを感じ取ることができなければ使い慣れたパターをずっと使い続ける傾向があることも、特異な形状のパターが普及しない要因の一つと考えられる。
【0011】
ゴルフクラブを設計・販売している各ゴルフメーカーは、これまでの長い歴史の中で実に様々な形状のパターを世に送り出している。しかし、非特許文献1に示した例を除いては一般の人がフェース面に曲面を取り入れたパターをゴルフショップの店頭などで見かけることはほとんど無い。
【0012】
以上のような理由で、一般のゴルファーがギア効果を持ったパターをゴルフコースなどで目にする機会はごく希で、パターのギア効果を自身で確かめる機会もほとんど無く、ギア効果そのものの存在すら知る機会が非常に少ないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2000-510382号広報
【特許文献2】実願平01-077824号のマイクロフィルム
【特許文献3】特開2003-010374号広報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】http://www.tru-rollputter.com
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1~3や非特許文献1に見られるように、これまでのフェース面に曲面を持つパターに関する発明は、フェース面とパター本体が一体のものとして設計されている。
【0016】
また、パター本体とは分離させてフェース面のみの材質の交換や、ロフト角を変更するといった発想はこれまでにも数多くなされているが、この場合もパター本体と変更する部分とは一対一の関係に止まっている。
【0017】
以上のようにこれまでのパターのフェース面に関する考案では、複数の異なった形状のパターに同様の効果を与えるといった発想には乏しく、すでに市販されているごく一般的なパターを対象に、フェース面に器具を取り付けることによって性能を変化させると言った設計思想は見られなかった。
【0018】
本発明は、これまでのようなパターの性能を特定のパターのみを対象として改良するといった発想とは異なり、一般的に販売されたりすでに購入されたりしているフェース面が平面のパター全体を対象として、すべてのパターにギア効果をもたらすと共に、パッティングの際にフェース面とボールが接する理想的な打点位置を視認させる簡便な手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
パターにギア効果を与えるためには、そのフェース面を円筒形の曲面に変化させれば良いことはこれまでの複数の先行文献等でも示されている。
【0020】
本発明者は、既存の形状のパターのフェース面に、横長の円筒の一部をフェース面の幅に合わせて切り取った切片を取り付けるという非常に簡便な方法により、ごく一般的に市販されているパターにギア効果を付与することが可能であることに想到した。
【0021】
現在市販されているほとんどのパターのフェース面は平面で出来ている。この平面の形状はパターのデザインに合わせて千差万別であるが、ボールとフェース面が接する部分の大きさはどのパターでもほぼ同様の大きさである。
【0022】
このことから、本発明者はフェース面のすべてを覆わなくても、ボールと接する面が円筒形の曲面であればギア効果を得ることが可能であることを見いだした。
【0023】
さらにフェース面を円筒形の曲面とすることにより、これまでパター上面に施した線や模様でしか確かめられなかったパターの理想的な打点位置(いわゆるパターの芯)を、フェース面の一点として視認出来ることを見いだした。
【0024】
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するフェース面への取り付け器具およびパターを提供する。
【0025】
1.フェース面が平面であるパターに取り付けるための取り付け面を一方に持ち、その反対のゴルフボールが当たる面に横長の円筒の一部をフェース面の幅に合わせて切り取った形状の曲面を持つことを特徴とするフェース面取り付け器具。
【0026】
2.前記取り付け器具は、中央部に縦幅10ミリメートル~20ミリメートルのローレット加工や異なる色、異なる素材など他の曲面とは明確に区別できる曲面を有し、その部分がパターでゴルフボールを打つ際の理想的な打点位置であることをゴルファーに視認させる働きを持つフェース面取り付け器具。
【0027】
3.前記取り付け器具は、ネジや接着剤、両面テープなど、方法を問わない接着方法により既存のパターのフェース面に密着させてパターと一体化させることを特徴とするフェース面取り付け器具。
【0028】
4.前記取り付け器具によりパターの芯の視認のしやすさやボールの転がりの良さが確かめられたパターで、フェース面だけを平面から前記取り付け器具の形状に変更して制作されたパター。
【0029】
上記したフェース面取り付け器具においては、次のことも好ましく考慮される。
【0030】
一般にパターは、ゴルファーの技術や経験によってゴルフボールがフェース面と接する打点位置には個人差がある。本フェース面取り付け器具は両面テープなどでパターに仮止めした後、各ゴルファーが試打してフェース面取り付け器具の好ましい打点位置を特定し、その後二つを強固に密着させて新しい性能のパターを完成させることが出来る。
【0031】
打点位置の特定では、仮止めしたフェース面取り付け器具の中央部にある縦幅10ミリメートル~20ミリメートルの他の曲面とは明確に区別できる加工を施した曲面をゴルフボールと接する最適な部分として、試打によってパターのフェース面のどの位置にフェース面取り付け器具を取り付ければ良いかを左右に動かして判断する。
【0032】
また、円筒形の曲面は元の円筒の大きさによって最適な上下の打点位置が異なってくるので、フェース面取り付け器具を上下に動かすことにより、ゴルファーは求めている最適な打点位置を決めることが出来る。
【0033】
円筒の大きさによる曲面の曲がり具合の大小は、市販されているパターのフェース面の高さが略20ミリメートル~25ミリメートルであることを考慮すると、図7-(a)に示す直径が20ミリメートルから略70ミリメートルの範囲の円筒から切り出した曲面を用いることでギア効果と視認のしやすさは得ることができる。
【0034】
しかし、ギア効果に対する個人的な好みによっても異なるが、パッティングのミスに対する上下の打点位置の許容範囲や構えたときに上から見たときの打点の視認のしやすさを考慮すると図7-(b)に示す直径が30ミリメートルから50ミリメートルの範囲の円筒から切り出した曲面を用いることが好ましい。
【0035】
上述した曲面の曲がり具合等は、特許文献1の中で数式等を用いて詳しく論じられているが、そもそも人間の感性は数式によって数値化されるべきものではなく、あくまでもパターを使用するゴルファーの感性に委ねられるべきものである。
【0036】
本発明で示した曲面の大きさは、常識の範囲内で考えられるおおよその数値を示したものであり、どの曲面の大きさを取るかはゴルファーが複数のフェース面取り付け器具を用いて試打を繰り返しながら決定できるのが本発明の特徴の一つである。
【0037】
本フェース面取り付け器具はパター本体の部材には関係なく、金属類やゴム、プラスチックなど素材は特に指定しない材質により制作できるので、転がりの良さに加えて材質による打感の違いも選択できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は市販されている新品のパターのみならず、すでに使用中のパターに対してもギア効果による転がりの良さと芯の位置の視認のしやすさを提供することが可能である。
【0039】
本発明により、これまで転がりの良いパターを求めて試行錯誤してきたゴルファーが、自分のパターを簡単に加工することにより、転がりの良いパッティングを自身の競技に取り入れることが可能となる。
【0040】
さらに本発明による効果として、フェース面が立体的であることによる打点位置の視認のしやすさがある。
【0041】
一般的なパターは、設計段階でいわゆるパターの芯でボールを捉えたときが最も理想的なパッティグとなるように設計されている。このパターの芯の位置はフェース面の一点にあると考えられるが、平面的なフェース面ではパターを構えたときにフェース面にある芯の位置を上から見ることは出来ない。
【0042】
パターの芯の位置を示すためにパターの上面に線や模様を施している例が多く見られるが、実際のパッティングではフェース面の芯の位置でゴルフボールを正確に捉えているかどうかは、上述したように上からは芯の位置を見ることが出来ないため明確ではない。
【0043】
本フェース面取り付け器具は中央部に打点位置を示す縦型のローレット加工などが施されており、フェース面が曲面であるためにボールと接する点が上から見下ろして構えた際にも明確に見ることが出来る。
【0044】
このボールと接する点を試打による微調整によって設計段階で意図したパターの理想的な打点位置に近づけることにより、いわゆる「芯でボールを捉えた理想的なパッティング」とすることが可能となる。
【0045】
本発明により、ギア効果によるゴルフボールの転がりの良さとフェース面にボールが接する打点位置の視認のしやすさがゴルファーに認知されるようになれば、今後のパターの設計にも大きな影響を与えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】パターのギア効果を説明するための図面である。
図2】本発明によるフェース面取り付け器具の(a)側面、(b)上面、(c)下面、(d)左側面、(e)右側面を示す図である
図3】既存のパターにフェース面取り付け器具を取り付ける状況を示す図で、(a)は取り付け前、(b)は取り付け後を示す図である。
図4図3の取り付け前、取り付け後を示す図で、既存のパターを正面から見た場合の取り付け状態を示すための図である。
図5図3の取り付け前、取り付け後を示す図で、既存のパターを上面から見た場合の取り付け状態を示すための図である。
図6図3の取り付け前、取り付け後を示す図で、既存のパターを右側面から見た場合の取り付け状態を示すための図である。
図7】円筒の大きさによる曲面の曲がり具合を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を用いて本発明を説明する。
図2に示すとおり本発明によるフェース面取り付け器具は、ゴルフボールが接する円筒形の曲面と既存のパターのフェース面に取り付けるための平面を持っている。
【0048】
また、図2図3図4図5に示すようにフェース面取り付け器具の中央部にはローレット加工などによる縦型の模様を例示してある。なおこの模様は一例であってこれに限定するものではない。この模様の中心と既存のパターの上面に施された理想的な打点位置を示す模様とをほぼ一致させてパターにフェース面取り付け器具を両面テープなどで仮止めする。
【0049】
フェース面取り付け器具の取り付け位置の調整では、仮止めしたフェース面取り付け器具を試打しながら上下左右に微調整し、ゴルファーの技術や感性にあった取り付け位置を特定する。
【0050】
取り付け位置の特定が完了したら、図3図6に示すように方法を問わない接着方法によりフェース面取り付け器具をパターのフェース面に強固に取り付けることにより、本発明による効果を有するパターを完成させることが出来る。
【0051】
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲の記載において、種々の変更を加えることができる。
【0052】
種々の変更の中には、図7に示した円筒形の曲面の大きさ(フェース面取り付け器具の曲面の曲がり具合)や、個々のパターのフェース面の形状に合わせたフェース面取り付け器具の形状の加工も含まれる。
【0053】
また、部材の材質についてはプラスチック材料、硬質ゴム材料、金属材料など特に材質の指定はしないが、十分な強度があれば軽いものが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、ゴルファーはパターのフェース面取り付け器具を販売店等において購入し、自分のパターに装着するという簡単な方法によりパターの性能を変化させることが可能となる。
【0055】
パターにおけるギア効果と打点位置の視認のしやすさがこのフェース面取り付け器具の普及によって一般化すれば、パターの形状そのものにも大きな変化をもたらす可能性がある。
【0056】
このように従来のパターの性能を使用者の要求に会わせて簡便かつ低コストで改良できる点で、産業上有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 フェース面取り付け器具
2 フェース面取り付け器具中央のローレット加工などによる縦型模様
3 既存のパター
4 既存のパターの設計上の打点位置を示す線

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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7