(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139178
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ベビーカーの送風装置
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20241002BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20241002BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20241002BHJP
B62B 9/10 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A47D13/02
F04D25/08 304E
A47C7/74 C
B62B9/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050006
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】592071004
【氏名又は名称】瀧定名古屋株式會社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅也
(72)【発明者】
【氏名】林 健輔
【テーマコード(参考)】
3B084
3D051
3H130
【Fターム(参考)】
3B084JG02
3B084JG06
3D051CA05
3D051DD01
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA33A
3H130CA24
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DJ01X
3H130DJ06X
3H130EA04A
3H130EC08A
3H130ED02A
(57)【要約】
【課題】ベビーカーの送風装置において、赤ちゃんに直接風を当てることなく、周囲の熱や湿気を放出させて、赤ちゃんを保護できるようにする。
【解決手段】送風装置10は、ベビーカーの背凭れの背面側に配置され、ファン12の回転により外気を背凭れに向けて吹き出すためのものであり、ファンが挿入される挿入穴を有し、ファンの回転により挿入穴の一方の開口から他方の開口へと外気を排出可能となるよう、挿入穴にファンが固定される本体ケース20と、本体ケースにおいて、挿入穴周囲の複数箇所に設けられ、本体ケースを背凭れの背面側に装着するための装着部材30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカーの背凭れの背面側に配置され、ファンの回転により外気を前記背凭れに向けて吹き出す、ベビーカーの送風装置であって、
前記ファンが挿入される挿入穴を有し、前記ファンの回転により前記挿入穴の一方の開口から他方の開口へと外気を排出可能となるよう、前記挿入穴に前記ファンが固定される本体ケースと、
前記本体ケースにおいて、前記挿入穴周囲の複数箇所に設けられ、前記本体ケースを前記背凭れの背面側に装着するための装着部材と、
を備えたベビーカーの送風装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベビーカーの送風装置であって、
前記本体ケースは、
粘弾性材料にて構成され、前記本体ケースが前記背凭れに装着された際に前記背凭れから受ける圧力にて、前記本体ケースを前記背凭れに密着させる中間部材と、
前記中間部材が収納される保護カバーと、
を備え、
前記ファンは、前記本体ケースの前記挿入穴に挿入された状態で前記保護カバーに固定されている、ベビーカーの送風装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のベビーカーの送風装置であって、
前記装着部材として、
前記本体ケースにおいて前記挿入穴周囲の複数箇所から外方向に引き出され、先端に前記ベビーカーの任意の部位を挟むクリップが設けられた、複数のベルトを備えている、ベビーカーの送風装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のベビーカーの送風装置であって、
前記装着部材として、
前記本体ケースにおいて前記挿入穴周囲の複数箇所に、前記ベビーカーへ結びつけるための紐状部材を接続可能となるように設けられた、複数の接続片を備えている、ベビーカーの送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベビーカーに取り付けられて、座席に外気を送風する、ベビーカーの送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のように、日除け部に太陽電池を設け、太陽電池にて発電された電力を利用して、送風用のファン等を駆動するように構成されたベビーカーが知られている。
【0003】
また、特許文献2に記載のように、ベビーカー等に取り付けられる扇風機に対し、周囲の気温や湿度に基づき送風対象の体感温度を算出して表示する表示部を設けることが提案されている。この提案の扇風機によれば、親が、表示部に表示された体感温度に応じて、ファンの回転数や、ファンと赤ちゃんとの距離を調整することで、赤ちゃんが熱中症や脱水症状を引き起こすのを抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-283904号公報
【特許文献2】実用新案登録第3225740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に記載の送風装置は、ベビーカーの日除けや肘置き等にファンや扇風機を装着することで、ベビーカーの前面側から、赤ちゃんが着座する背凭れに向かって、送風するようになっている。このため、赤ちゃんの顔や手に直接風が当たり、送風による保護機能を良好に発揮することができない、という問題があった。
【0006】
つまり、ベビーカーにおいて、一番熱くなるのは、地面の照り返しの影響を受ける背面側になり、赤ちゃんは、背中や首の後に汗を掻き易くなることから、ベビーカーの前面側で送風しても、赤ちゃんを熱から保護することが難しい。また、ベビーカーの前面側で送風すると、赤ちゃんに直接風が当たるので、汗が出にくくなって、汗による体温調整が期待できなくなる、という問題もある。
【0007】
本開示の一局面は、ベビーカーの送風装置において、赤ちゃんに直接風を当てることなく、周囲の熱や湿気を放出させて、赤ちゃんを保護できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一局面のベビーカーの送風装置は、ベビーカーの背凭れの背面側に配置されて、ファンの回転により外気を背凭れに向けて吹き出すためのものであり、本体ケースと、装着部材とを備える。
【0009】
本体ケースは、ファンが挿入される挿入穴を有する。そして、その挿入穴には、ファンの回転により挿入穴の一方の開口から他方の開口へと外気を排出可能となるよう、ファンが固定される。また、装着部材は、本体ケースを背凭れの背面側に装着するためのものであり、本体ケースの挿入穴周囲の複数箇所に設けられている。
【0010】
このため、本開示のベビーカーの送風装置は、本体ケースの挿入穴にファンを挿入して固定した状態で、装着部材を利用して、本体ケースをベビーカーの背面側に装着することができる。
【0011】
そして、このように本体ケースをベビーカーの背凭れの背面側に装着して、ファンを回転させると、ベビーカーの背凭れの背面から内部に向かって外気が送風されて、背凭れの内部若しくは前面側が換気される。
【0012】
よって、本開示のベビーカーの送風装置によれば、ベビーカーに赤ちゃんが乗っているときに、背凭れに熱や湿気がこもるのを抑制することができる。また、赤ちゃんに対し、直接風を当てることなく、赤ちゃんの背中や首の後を冷却して、赤ちゃんを熱から保護することができる。
【0013】
ここで、本体ケースは、粘弾性材料にて構成された中間部材と、中間部材が収納される保護カバーとを備え、ファンは、本体ケースの挿入穴に挿入された状態で保護カバーに固定されてもよい。
【0014】
この場合、中間部材は粘弾性材料にて構成されているので、本外ケースを背凭れに装着する際に、背凭れから受ける圧力により中間部材を弾性変形させて、本体ケースを、背凭れの背面に密着させることができる。
【0015】
従って、本体ケースを上記中間部材を用いて構成することで、ファンの回転によって、ベビーカーの背凭れの内部に、より効率よく外気を送り込むことができるようになり、背凭れに熱や湿気がこもるのを、より良好に抑制することが可能となる。
【0016】
一方、装着部材としては、本体ケースにおいて挿入穴周囲の複数箇所から外方向に引き出され、先端にベビーカーの任意の部位を挟むクリップが設けられた、複数のベルトが備えられていてもよい。
【0017】
このようにすれば、複数のベルトの先端を、クリップを介して、ベビーカーの任意の部位、例えば、背凭れのカバーや日除けなど、に直接固定することができる。よって、本体ケースを、極めて簡単に、背凭れの背面側に装着することができるようになる。
【0018】
また、ベビーカーによっては、例えば、背凭れにカバーがないなど、クリップで挟むことのできる部位がないことも考えられる。このため、装着部材としては、本体ケースにおいて挿入穴周囲の複数箇所に、ベビーカーへ結びつけるための紐状部材を接続可能となるよう、複数の接続片が設けられてもよい。
【0019】
このようにすれば、複数の接続片に紐状部材を引っ掛け、紐状部材の他端をベビーカーのフレームなどに結びつけることで、本体ケースを、背凭れの背面側に装着することができるようになる。
【0020】
なお、この複数の接続片と、上述した複数のベルトは、何れか一方が本体ケースに備えられていてもよく、或いは、その両方が本体ケースに備えられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態の送風装置を背凭れの背面側及び上面側から見た状態を表す説明図である。
【
図2】送風装置の本体ケース及び中間部材を背凭れの前面側から見た状態を表す説明図である。
【
図3】ファンの構成及び本体ケースへの固定方法を表す説明図である。
【
図4】送風装置のベビーカーへの取り付け状態を表し、
図4Aはベビーカーを背面側から見た状態を表す説明図、
図4Bはクリップを利用した取り付け方法を表す説明図、
図4Cは紐状部材を利用した取り付け方法を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
図4Aに示すように、本実施形態の送風装置10は、ベビーカー2の背凭れ4の背面側に装着されて、外気を背凭れ4に向けて吹き出すことにより、背凭れ4内部を換気して、背凭れ4にこもった熱や湿気を排出するためのものである。
【0023】
送風装置10は、
図1に示すように、中央にファン12が固定された本体ケース20と、本体ケース20を背凭れ4の背面側に装着するための複数の装着部材30とを備える。本体ケース20は、背凭れ4の背面側から見て、横方向に長い長方形状になっており、ファン12は、その長方形の略中心位置に固定されている。
【0024】
図2に示すように、本体ケース20は、ファン12を挿入するための挿入穴22Aが設けられた中間部材22と、この中間部材22が収納される保護カバー24とを備える。中間部材22は、挿入穴22A内にファン12を収納できるように、ファン12の送風方向の厚みと同じか、その厚みよりも厚い板厚の粘弾性材料にて構成されている。なお、粘弾性材料としては、例えば、ウレタンフォームが使用される。
【0025】
保護カバー24には、中間部材22と同様、ファン12の挿入穴24Aが設けられている。保護カバー24は、防水性を有する生地、例えば、ポリエステルオックス生地にて、中間部材22を挿入可能な袋状に形成されている。
【0026】
また、挿入穴24Aは、袋状の保護カバー24において、中間部材22の挿入穴22Aとの対応位置に穴を開け、中間部材22の挿入穴22Aの内周に沿ってカバー材を配置して、保護カバー24の前面側及び背面側を縫い付けることで形成されている。そして、その縫い付け部分は、所定幅のバインダ26として縫製処理され、ファン12は、保護カバー24の背面側のバインダ26に固定されている。
【0027】
すなわち、ファン12は、
図3に例示するように、モータ14と、モータ14の回転軸に設けられた送風用のプロペラ16と、モータ14が固定されてプロペラ16の周囲を囲むファンケース18とを備える。ファンケース18は、プロペラ16の回転により外気を吸入・排出可能な網目形状になっており、風を吸入する背面側が開口された第1ケース18Aと、第1ケース18Aの背面側の開口を覆う第2ケース18Bとを備える。
【0028】
そして、ファン12は、本体ケース20の前面側から第1ケース18Aを挿入穴24Aに挿入し、保護カバー24の背面側のバインダ26部分を挟み込んで、第1ケース18Aの開口と第2ケース18Bとを嵌合させることで、保護カバー24に固定されている。なお、この固定方法は一例であり、例えば、ファン12とは別体の固定部材を使って保護カバー24に固定する方法など、ファン12を本体ケース20に固定できればよい。
【0029】
また、
図1、
図2に示すように、保護カバー24の上面の前面側には、ファスナー28が設けられている。このため、ファスナー28を開くことで、保護カバー24内に、後述の紐状部材40やモータ14への給電を行う給電部材を収納することができる。なお、給電部材としては、例えば、使用者が所持するバッテリからモータ14への給電経路をオン・オフさせるスイッチを備えた給電線が挙げられる。
【0030】
次に、複数の装着部材30は、本体ケース20を背凭れ4の背面側に装着するためのものであり、保護カバー24の挿入穴24A周囲の複数箇所に分散して設けられている。本実施形態では、本体ケース20は横方向に長い長方形状になっているため、装着部材30は、本体ケース20を背凭れ4に装着した際に、背凭れ4の背面に対向して配置される本体ケース20の前面側で、その前面の4隅の角部に設けられている。
【0031】
また、本実施形態では、複数の装着部材30として、一端が保護カバー24の角部に縫い付けられ、他端にクリップ32が設けられた4つのベルト34と、保護カバー24において各角部を挟む2辺に両端が縫い付けられた4つの接続片36と、が備えられている。
【0032】
また、4つのベルト34のうち、上方の2つのベルト34には、先端にDカン38が設けられている。Dカン38は、ベルト34にクリップ32を挿通した状態で、Dカン38をベルト34に装着することで、ベルト34のクリップ32までの長さを調整できるようにする、周知のものである。なお、Dカン38は、4つのベルト34の全てに設けられていてもよい。
【0033】
このように構成された本実施形態の送風装置10は、
図4Bに示すように、クリップ32を使って、ベビーカー2の背面側に装着することもできるし、
図4Cに示すように、紐状部材40を使って、ベビーカー2の背面側に装着することもできる。
【0034】
図4Bに示すように、クリップ32を使って、送風装置10をベビーカー2の背面側に装着する際には、送風装置10がベビーカー2の背凭れ4に当接されるように、ベルト34を引っ張り、クリップ32を背凭れ4の表面のカバーや日除け6に固定する。この場合、ベルト34に設けられたDカン38を利用して、ベルト34の長さを調整できるので、送風装置10をベビーカー2の背凭れ4にしっかりと固定することができる。
【0035】
また、
図4Cに示すように、紐状部材40を使って、送風装置10をベビーカー2の背面側に装着する際には、紐状部材40を接続片36に引っかけ、紐状部材40の両端を、ベビーカー2のフレーム8などに結びつける。また、紐状部材40の両端をベビーカー2のフレーム8などに結びつけるときには、紐状部材40を引っ張り、送風装置10の前面側をベビーカー2の背凭れ4の背面にしっかりと当接させる。
【0036】
なお、
図4Cにおいて、紐状部材40は、一本の紐として記載されているが、紐状部材40はベビーカー2のフレーム8などに結びつけることができればよく、例えば、複数本の紐を撚り合わせたロープであってもよく、リボン或いはベルトであってもよい。
【0037】
そして、上記のように送風装置10をベビーカー2の背凭れ4の背面側に装着すれば、背凭れ4から本体ケース20に加わる圧力によって、本体ケース20を背凭れ4の背面に密着させることができる。
【0038】
また、このようにベビーカー2に送風装置10を装着した後、電池や充放電可能なバッテリから、上述した給電線を使ってファン12のモータ14に電力供給し、モータ14を、送風装置10の背面側の外気を前面側に排出させる方向に回転させる。すると、プロペラ16が回転して、ベビーカー2の背凭れ4の背面に外気が吹き付けられ、背凭れ4内に外気が流入して、背凭れ4内部若しくは前面側が換気されることになる。
【0039】
よって、本実施形態の送風装置10によれば、ベビーカー2に赤ちゃんが乗っているときに、背凭れに熱や湿気がこもるのを抑制することができる。また、赤ちゃんに対し、直接風を当てることなく、赤ちゃんの背中や首の後を冷却して、赤ちゃんを熱から保護することができる。
【0040】
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
つまり、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0041】
2…ベビーカー、10…送風装置、12…ファン、20…本体ケース、22…中間部材、22A…挿入穴、24…保護カバー、24A…挿入穴、30…装着部材、32…クリップ、34…ベルト、36…接続片、40…紐状部材。