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特開2024-139184梁交換用治具及びそれを用いた梁交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139184
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】梁交換用治具及びそれを用いた梁交換方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/16 20060101AFI20241002BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E04G21/16
E04G23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050013
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】松山 将太朗
(72)【発明者】
【氏名】杉原 亮太
(72)【発明者】
【氏名】倉田 真志
(72)【発明者】
【氏名】泉 信也
【テーマコード(参考)】
2E174
2E176
【Fターム(参考)】
2E174AA01
2E174BA03
2E174CA03
2E174CA16
2E174DA01
2E174DA13
2E174DA31
2E174DA63
2E176AA07
2E176CC02
(57)【要約】
【課題】 鉄骨造建屋の屋根に開口を付設せずとも屋内にて簡易に梁部材を交換できる梁交換用治具及び梁交換方法を提供する。
【解決手段】 鉄骨造建屋内で吊手段10にて梁部材を交換するための梁交換用治具1であって、天板2、竪材3、横材4及び底板5を備え、前記天板は、前記梁部材と結合する手段を備え、前記竪材は、前記天板と前記底板に垂直に固定され、前記横材は、前記底板に垂直に固定され、前記吊手段と係合する手段を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨造建屋内で吊手段にて梁部材を交換するための梁交換用治具であって、
天板、竪材、横材及び底板を備え、
前記天板は、前記梁部材と結合する手段を備え、
前記竪材は、前記天板と前記底板に垂直に固定され、
前記横材は、前記底板に垂直に固定され、前記吊手段と係合する手段を備えた
ことを特徴とする梁交換用治具。
【請求項2】
前記天板の前記梁部材と結合する手段が複数のボルト孔からなり、前記横材の前記吊手段と係合する手段が左右一対の吊具係止孔からなり、あるいはさらに、前記竪材は、吊り上げ代を確保する竪材高さを有することを特徴とする請求項1に記載の梁交換用治具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梁交換用治具を用いて、鉄骨造建屋内で梁部材を交換する梁交換方法であって、
前記梁部材の両端部に前記梁交換用治具を1つずつ配置し、前記梁交換用治具を、前記梁部材の底面に固定し、前記吊手段と係合させ、前記吊手段にて前記梁部材を昇降させ、
あるいはさらに、前記吊手段は、前記梁部材と隣り合う既設の梁部材で支持することを特徴とする梁交換方法。
【請求項4】
未設の梁部材を添接板及び前記天板と結合して前記梁交換用治具と一体化し、前記吊手段を係合し、前記未設の梁部材を既設の梁部材との隣接位置に吊り上げ、前記添接板を前記既設の梁部材と結合し、前記天板と前記添接板を分離し、前記梁交換用治具を吊り下ろし、前記添接板を前記既設の梁部材と結合する設置工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の梁交換方法。
【請求項5】
前記梁交換用治具を前記吊手段と係合し、撤去対象の梁部材と結合する位置まで吊り上げ、前記撤去対象の梁部材の添接板を前記天板と結合する準備をし、前記添接板と前記天板を結合し、前記撤去対象の梁部材と隣接する梁部材との結合を解除し、前記撤去対象の梁部材を吊り下ろす撤去工程を備えることを特徴とする請求項3に記載の梁交換方法。
【請求項6】
未設の梁部材を前記添接板及び前記天板と結合して前記梁交換用治具と一体化し、前記吊手段を係合し、前記未設の梁部材を既設の梁部材との隣接位置に吊り上げ、前記添接板を前記既設の梁部材と結合し、前記天板と前記添接板を分離し、前記梁交換用治具を吊り下ろし、前記添接板を前記未設の梁部材と結合する設置工程を備えることを特徴とする請求項5に記載の梁交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨造建屋内の天井部で梁部材を交換するための梁交換用治具及びそれを用いた梁交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場にトラック等で搬入されたH形鋼等からなる梁部材は、その両端部にワイヤーロープを掛けてクレーン等で吊り上げることが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、鉄骨造建屋内にてクレーンで梁部材を吊り上げて交換する方法では、例えば図7に示すように、梁部材6を所定の設置位置に吊り上げたときのクレーンの頂部が屋根よりも高い位置となる場合がある。その場合、屋根にクレーンの頂部を通す開口を付設する工事を要し、作業工数が増大する問題がある。また、屋根に開口が付設されたことで雨天時に作業現場が降雨に曝されて交換作業の休止を余儀なくされ、工期の延長も生じる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-11654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来では鉄骨造建屋内の天井部にて梁部材の交換を行う際に、屋根に開口を付設しないと交換作業が困難である場合があった。本発明は、この困難を克服し、鉄骨造建屋の屋根に開口を付設せずとも屋内にて簡易に梁部材を交換できる梁交換用治具及びそれを用いた梁交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した。その結果、梁部材の下部に専用の治具を取り付け、この治具を吊手段で吊り上げることにより、屋根に開口を設けることなく、屋内での梁部材の交換作業が簡易に実施できることに想到し、本発明をなした。すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 鉄骨造建屋内で吊手段にて梁部材を交換するための梁交換用治具であって、
天板、竪材、横材及び底板を備え、
前記天板は、前記梁部材と結合する手段を備え、
前記竪材は、前記天板と前記底板に垂直に固定され、
前記横材は、前記底板に垂直に固定され、前記吊手段と係合する手段を備えた
ことを特徴とする梁交換用治具。
[2] 前記天板の前記梁部材と結合する手段が複数のボルト孔からなり、前記横材の前記吊手段と係合する手段が左右一対の吊具係止孔からなることを特徴とする前記[1]に記載の梁交換用治具。
[3] 前記竪材は、吊り上げ代を確保する竪材高さを有することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の梁交換用治具。
[4] 前記[1]~[3]のいずれか1つに記載の梁交換用治具を用いて、鉄骨造建屋内で梁部材を交換する梁交換方法であって、
前記梁部材の両端部に前記梁交換用治具を1つずつ配置し、前記梁交換用治具を、前記梁部材の底面に固定し、前記吊手段と係合させ、前記吊手段にて前記梁部材を昇降させることを特徴とする梁交換方法。
[5] 前記[4]において、前記吊手段は、前記梁部材と隣り合う既設の梁部材で支持することを特徴とする梁交換方法。
[6] 前記[4]又は[5]において、
未設の梁部材を添接板及び前記天板と結合して前記梁交換用治具と一体化し、前記吊手段を係合し、前記未設の梁部材を既設の梁部材との隣接位置に吊り上げ、前記添接板を前記既設の梁部材と結合し、前記天板と前記添接板を分離し、前記梁交換用治具を吊り下ろし、前記添接板を前記既設の梁部材と結合する設置工程を備えることを特徴とする梁交換方法。
[7] 前記[4]又は[5]において、
前記梁交換用治具を前記吊手段と係合し、撤去対象の梁部材と結合する位置まで吊り上げ、前記撤去対象の梁部材の添接板を前記天板と結合する準備をし、前記添接板と前記天板を結合し、前記撤去対象の梁部材と隣接する梁部材との結合を解除し、前記撤去対象の梁部材を吊り下ろす撤去工程を備えることを特徴とする梁交換方法。
[8] 前記[7]において、
未設の梁部材を前記添接板及び前記天板と結合して前記梁交換用治具と一体化し、前記吊手段を係合し、前記未設の梁部材を既設の梁部材との隣接位置に吊り上げ、前記添接板を前記既設の梁部材と結合し、前記天板と前記添接板を分離し、前記梁交換用治具を吊り下ろし、前記添接板を前記未設の梁部材と結合する設置工程を備えることを特徴とする梁交換方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鉄骨造建屋内で、屋根に開口を付設することなく、簡易に梁部材を交換することができ、作業工数の削減及び工期の短縮を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る梁交換用治具の1例を示す立体図である。
図2】本発明に係る梁部材交換方法の1例を示す模式図である。
図3】本発明に係る梁交換方法における設置工程の手順1又は撤去工程の手順4を示す立体図である。
図4】本発明に係る梁交換方法における設置工程の手順2又は撤去工程の手順3を示す立体図である。
図5】本発明に係る梁交換方法における設置工程の手順3又は撤去工程の手順2を示す立体図である。
図6】本発明に係る梁交換方法における設置工程の手順4又は撤去工程の手順1を示す立体図である。
図7】従来の梁部材交換方法の1例を示す模式図である。
図8】チェーンブロックの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、鉄骨造建屋内で梁部材を交換するための発明である。
[鉄骨造]
鉄骨造とは、梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いた建物のことである。鉄骨造は、工場や倉庫に多用され、また、マンションやアパート、ビルといった比較的大きな居住用建物にも採用されている。
【0010】
[梁部材]
梁部材とは、屋内の天井部に設置された梁を構成する部材のことであり、「大梁」や「小梁」とも呼ばれる。
【0011】
[梁部材の交換]
梁部材の交換とは、未設の梁部材を所定の設置場所に設置すること及び既設の梁部材を所定の設置場所から撤去することのいずれか一方又は両方を意味する。
梁部材の撤去は、既設の梁部材を有する設置場所に対して行われる。撤去の時機は、既設の梁部材の損傷や腐食等による劣化の程度から判断される。一方、梁部材の設置は、既設の梁部材が撤去された後の設置場所に対してだけでなく、撤去される梁部材がない新たな設置場所に対して未設の梁部材を設置する場合もある。
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
[梁交換用治具]
本発明の梁交換用治具(以下、「本発明治具」ともいう)の1例を図1に示す。図示のとおり、本発明治具1は、チェーンブロック10などの吊手段で吊り上げ及び吊り下ろしが可能な治具であって、天板2、竪材3、横材4、底板5を備え、これら各部材は、溶接によって接合されていることが好ましい。吊手段は、本発明治具1を吊った状態で昇降させることが可能な手段であり、ホイストやウインチ等が挙げられる。チェーンブロック10は前記ホイストの1種である。以下、吊手段としてチェーンブロック10を用いる例について説明する。
本発明治具1は、吊具として用いられ、強度確保の点から鋼材からなることが好ましい。
【0014】
[チェーンブロック]
チェーンブロック10は、一般的に、図8に示すように、吊り下がった状態で、上から順に上フック20、滑車部21、チェーン22及び下フック23を備えた構造を有する。用法は、上フック20を建屋内の鉄骨等の固定材等で直接又は間接的に支持し、下フック23を吊り荷に直接又は間接的に係合させ、人手でチェーン22を操作して吊り荷を昇降させる。
なお、図8以外の図(例えば図1)では簡略のため、チェーンブロック10の全体を1本の線で表し、チェーンブロック10の上フックを支持する支持手段は、図1に示すように1つの支点で代表し、上フック支点30という。
【0015】
[天板]
天板2は、好ましくは添接板7を介して、梁部材6の下面と結合する手段として、好ましくは複数のボルト孔8を備える。設置状態の梁部材6は、一般的に複数の梁部材が剛接合されており、この剛接合とは、長手方向に連なる複数の梁部材6同士を添接板7を介して複数個所でボルト締結する方法である。したがって、添接板7と同型の複数のボルト孔8を天板2に設けておくと、剛接合用のボルトを、添接板7を介した本発明治具1と梁部材6との結合に兼用できて好ましい。図1の例では、梁部材6は各端部の下側に左右各3個のボルト孔8を有するので、天板2のボルト孔8もこれに合わせて左右各3個としている。なお、添接板は省略することも可能である。
【0016】
[竪材]
竪材3は、天板2と底板5に垂直に固定される。竪材3の役目は、梁部材を吊り上げる際の支点(以下、「吊り支点」ともいう)の位置を梁部材下端よりも某高さ方向距離Δhだけ低位置とすることである。これにより、梁部材上端を同じ高さ位置に吊り上げる際の垂直移動距離がΔhだけ減少する分、吊り上げが容易となる。
前記Δhは「吊り上げ代」ともいう。吊り上げ代を確保する(すなわちΔh≧0とする)には、竪材3の高さ(竪材高さ)は、竪材高さ≧Δh-(添接板の板厚+天板の板厚)とするのが好ましい。
【0017】
[横材]
横材4は、底板5に垂直に固定され、チェーンブロック10と係合する手段として、好ましくは左右一対の吊具係止孔9を備える。吊具係止孔9の最上部が、梁部材6の吊り支点になる役目を担う。
吊具係止孔9を左右一対とすることで、左右方向(梁部材の幅方向)の水平を保って吊り上げることが容易となる。吊具係止孔9に、チェーンブロック10を係合させる形態は、下フックを直接係合させる形態、シャックル等の連結金具(図示せず)を介して下フックと係合させる形態のいずれでもよい。
なお、一対の吊具係止孔9は、これと係合したチェーンブロック10が天板2と干渉しないよう、天板2との相対位置が設定される。
【0018】
[底板]
底板5は、作業床面に直立させた梁交換用治具1の転倒を防止する役目を担う。
【0019】
[梁交換方法]
次に、本発明に係る梁交換方法(以下、「本発明方法」ともいう)の実施形態について説明する。なお、以下では、天板2がボルト孔8を備え、横材4が左右一対の吊具係止孔9を備える場合(図1参照)を例に挙げて説明する。
【0020】
本発明方法は、例えば図2に示すように、梁交換用治具1を用いて、鉄骨造建屋内の天井部で梁部材6を交換する梁交換方法である。本発明方法では、まず、梁部材6の両端部に梁交換用治具1を1つずつ配置する。これにより、梁部材6は、長手方向の両端で支持されて吊られるから、長手方向の水平保持が容易となる。
【0021】
次いで、梁交換用治具1を、梁部材6の底面に添接板7を介して固定する。
次いで、チェーンブロック10と係合させ、チェーンブロック10にて梁部材6を昇降させる。
かくして本発明方法により、屋根に開口を設けることなく、梁部材の交換が可能である。
【0022】
[チェーンブロックの使用個数]
チェーンブロック10は、梁交換用治具1の1つ当たり1個又は2個使用することができる。1個使用の場合は、左右の吊具係止孔9に1つずつ係合させる連結用吊具(フック付きワイヤロープ等、図示せず)の双方を1個のチェーンブロック10の下フック23と係合させる。2個使用の場合は、左右の吊具係止孔9に1つずつ係合させる連結用吊具(フック付きワイヤロープ等、図示せず)の一方を1個、他方をもう1個のチェーンブロック10の下フック23と係合させる。この2個使用の場合の方が、1個使用の場合よりも左右の吊り上げ高さをより容易に揃えることができて好ましい。
【0023】
[チェーンブロックを支持する固定材]
チェーンブロック10を支持する固定材、すなわち上フック支点30を係止する固定材としては、その固定材に係止具等(図示せず)を取り付ける準備作業の作業性の観点から、梁部材6と隣り合う既設の梁部材13が好ましい(図2参照)。
【0024】
チェーンブロック10を、梁交換治具1の1つ当たり2個使用する場合の、上フック支点30の係止位置としては、既設の梁部材13の上端面側の幅方向両側位置を上フック支点30の係止位置として選定するのが好ましい(図1参照)。これによれば、梁部材6の垂直移動距離を節減できる。
【0025】
なお、チェーンブロック10を、梁交換用治具1の1つ当たり1個使用する場合の、上フック支点30の係止位置としては、既設の梁部材13の下端面側の幅方向中央位置が挙げられる。
【0026】
[設置工程]
本発明方法において、梁部材6を設置する場合の工程(設置工程)の好適な実施形態について、図3~6を参照し、説明する。
(手順1)未設の梁部材6を添接板7及び前記天板と結合(ボルトで仮止め)して梁交換用治具1と一体化し、吊具係止孔9にチェーンブロック10を係合する(図3)。
(手順2)未設の梁部材6を既設の梁部材13との隣接位置に吊り上げ、添接板7を既設の梁部材13とボルト締結する(図4)。
(手順3)天板2と添接板7を分離し、梁交換用治具1を吊り下ろす(図5)。
(手順4)添接板7と未設の梁部材6をボルト締結する(図5)。これで、隣接する梁部材同士の剛接合が完了する。
【0027】
[撤去工程]
本発明方法において、梁部材6を撤去する場合の工程(撤去工程)の好適な実施形態について、図3~6を参照し、説明する。
(手順1)梁交換用治具1をチェーンブロック10と係合し、撤去対象の梁部材6と結合する位置まで吊り上げる(図6)。
(手順2)撤去対象の梁部材6の添接板7を天板2と結合する準備をする(図5)。すなわち、添接板7と天板2のボルト孔を合わせる。
(手順3)添接板7と天板2を結合する(図4)。この結合は仮止めでよい。
(手順4)添接板7と隣接する梁部材13との結合を解除し、撤去対象の梁部材6を吊り下ろす(図3)。
【0028】
以上の設置工程及び撤去工程において添接板7を用いると、既設の梁部材13と未設または撤去対象の梁部材6の位置合わせや梁部材の確実な固定が容易となり、さらに添接板7自体を梁部材同士の接合に用いることができるという点で好適であるが、添接板7を用いずに例えば梁部材6と天板2を直接結合させて設置工程と撤去工程を実施することも可能である。
【実施例0029】
鉄骨造の工場建屋内で、H形鋼(H-250×125×6×9:単位はmm、断面積:37cm2、長さ:7.5m、重量:0.22ton)製の梁部材を24本交換した。この交換作業にあたり、撤去対象の梁部材は、既に撤去済みであったので、未設の梁部材を設置する際に本発明方法の前記設置工程の手順1~4に沿って設置作業を実施した。梁交換用治具1の板厚は5.5~9.0mmを使用し、各部材は溶接により固定した。底板下面から天板下面までの高さは400mmとした。その結果、従来(図7の形態で同じ本数を設置した場合)と比べ、作業工期が33%短縮した。
【符号の説明】
【0030】
1 本発明治具(本発明に係る梁交換用治具)
2 天板
3 竪材
4 横材
5 底板
6 梁部材(設置又は撤去対象)
7 添接板
8 ボルト孔
9 吊具係止孔
10 チェーンブロック(吊手段)
13 隣接する既設の梁部材
20 上フック
21 滑車部
22 チェーン
23 下フック
30 上フック支点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8