(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139194
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】データ更新方法、コンピュータプログラム、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20241002BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20241002BHJP
G01C 21/26 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G06T11/60 300
G01C21/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050027
(22)【出願日】2023-03-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人情報通信研究機構、Beyond 5G研究開発促進事業「スマートモビ リティプラットフォームの実現に向けたドローン・自動運転車の協調制御プラットフォームの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】593154436
【氏名又は名称】アイサンテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521545400
【氏名又は名称】株式会社マップフォー
(74)【代理人】
【識別番号】100147751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】大石 淳也
(72)【発明者】
【氏名】室山 晋也
(72)【発明者】
【氏名】根本 茂
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 修功
(72)【発明者】
【氏名】磯部 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大橋 臨
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友哉
(72)【発明者】
【氏名】橘川 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 一喜
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B050
【Fターム(参考)】
2C032HB11
2F129AA03
2F129FF02
2F129FF14
2F129FF36
2F129FF39
2F129HH02
2F129HH12
5B050BA09
5B050BA17
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA28
5B050FA02
5B050GA08
(57)【要約】
【課題】三次元点群地図データの更新に関する新規技術を提供する。
【解決手段】それぞれが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データが取得される。複数の三次元点群地図データのうちの第一の三次元点群地図データを第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データが生成される。所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、第一の三次元点群地図データにおける第一の部分点群と、第二の三次元点群地図データにおける第二の部分点群と、を比較して、差分データが生成され(S140)、差分データを用いた更新用データが生成される(S160)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の三次元点群地図データであって、それぞれが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得するように構成される取得部と、
前記複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成するように構成されるデータ生成部と、
を備え、
前記データ生成部は、前記所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、前記第一の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第一の部分点群と、前記第二の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、前記部分空間の点群に関する差分データを生成し、前記差分データを用いた前記更新用データを生成するデータ生成システム。
【請求項2】
前記データ生成部は、前記差分データとして、ボクセル単位の差分データを生成する請求項1記載のデータ生成システム。
【請求項3】
前記複数の時点は、三以上の時点であり、
前記データ生成部は、前記複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、前記二つの時点のうちの一方の時点に対応する前記第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する前記第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成する請求項1又は請求項2記載のデータ生成システム。
【請求項4】
コンピュータにより実行されるデータ生成方法であって、
複数の三次元点群地図データであって、各三次元点群地図データが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得することと、
前記複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することと、
を含み、
前記更新用データを生成することは、前記所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、前記第一の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第一の部分点群と、前記第二の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、前記部分空間の点群に関する差分データを生成し、前記差分データを用いた前記更新用データを生成することを含むデータ生成方法。
【請求項5】
前記更新用データを生成することは、前記差分データとして、ボクセル単位の差分データを生成することを含む請求項4記載のデータ生成方法。
【請求項6】
前記複数の時点は、三以上の時点であり、
前記更新用データを生成することは、前記複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、前記二つの時点のうちの一方の時点に対応する前記第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する前記第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することを含む請求項4記載のデータ生成方法。
【請求項7】
請求項6記載のデータ生成方法により生成された前記組み合わせ毎の前記更新用データを、記録媒体に記録することと、
前記複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを、前記記録媒体に記録することと、
更新指令が入力されると、前記記録媒体に記録された前記三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成することと、
を含むデータ更新方法。
【請求項8】
請求項6記載のデータ生成方法により生成された前記組み合わせ毎の前記更新用データを記録媒体に記録し、更には、前記複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを前記記録媒体に記録するデータ記録部と、
更新指令が入力されると、前記記録媒体に記録された前記三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成する地図データ更新部と、
を備えるデータ更新システム。
【請求項9】
請求項4~請求項6のいずれか一項記載のデータ生成方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項7記載のデータ更新方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ生成システム、データ更新システム、及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地形や地表上のオブジェクトを、三次元点群により表す三次元点群地図データが知られている。三次元点群地図データは、例えばボクセル化されて、車両の自動運転検証用のシミュレータ、特にはレーザレーダから発射される光のトレーシングを含むLiDAR(Light Detection and Ranging)シミュレーションに使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、ストレージが記憶する三次元点群地図データを新しいバージョンの三次元点群地図データに更新する際、単に新しいバージョンの三次元点群地図データ全体を、旧バージョンの三次元点群地図データに上書きする。しかしながら、三次元点群地図データは、巨大なデータである。更新に必要なデータのダウンロードに要する時間は長く、ダウンロードに必要な通信量も多い。
【0005】
更に、新しいバージョンの三次元点群地図データとは別に、旧バージョンの三次元点群地図データを予備的にストレージに保存する場合には、ストレージの空き容量が圧迫される。三次元点群地図データを、バージョンスイッチングのために、複数バージョン分保存しておくことは、従来手法では記憶容量の関係から実用的ではない。
【0006】
そこで、本開示の一側面によれば、三次元点群地図データの更新に関する新規技術を提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面によれば、データ生成システムが提供される。データ生成システムは、取得部と、データ生成部とを備える。取得部は、複数の三次元点群地図データを取得するように構成される。各三次元点群地図データは、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す。
【0008】
データ生成部は、複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成するように構成される。
【0009】
データ生成部は、所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、第一の三次元点群地図データにおける部分空間の点群である第一の部分点群と、第二の三次元点群地図データにおける部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、部分空間の点群に関する差分データを生成するように構成される。データ生成部は、差分データを用いた更新用データを生成するように構成される。
【0010】
このように更新用データを生成することによれば、比較的狭い部分空間内での点群の比較によって効率的に差分データを生成可能であり、更には、差分表現により、三次元点群地図データの更新に必要なデータの量を抑制することができる。それにより、三次元点群地図データの更新のための更新用データの転送を効率的に行うことができる。従って、このデータ生成システムを用いれば、三次元点群地図データの更新に関する利便性を向上可能である。
【0011】
本開示の一側面によれば、データ生成部は、ボクセル単位の差分データを生成するように構成され得る。本開示の一側面によれば、データ生成部は、ボクセル単位で、対応する部分空間における第一の部分点群と第二の部分点群とを比較して差分データを生成するように構成され得る。
【0012】
本開示の一側面によれば、複数の時点は、三以上の時点であり得る。データ生成部は、複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、二つの時点のうちの一方の時点に対応する第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成するように構成され得る。
【0013】
このように更新用データを生成し蓄積することによれば、任意のバージョン(時点)への三次元点群地図データの切替を、更新用データを用いて簡単に行うことができ、三次元点群地図データの更新に関する利便性を向上可能である。
【0014】
本開示の一側面によれば、コンピュータにより実行されるデータ生成方法が提供されてもよい。データ生成方法は、複数の三次元点群地図データであって、各三次元点群地図データが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得することを含み得る。
【0015】
データ生成方法は、複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することを含み得る。
【0016】
更新用データを生成することは、所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、第一の三次元点群地図データにおける部分空間の点群である第一の部分点群と、第二の三次元点群地図データにおける部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、部分空間の点群に関する差分データを生成することを含み得る。更新用データを生成することは、差分データを用いた更新用データを生成することを含み得る。
【0017】
このデータ生成方法を用いれば、上述したデータ生成システムと同様に、三次元点群地図データの更新に関する利便性を向上可能である。
【0018】
本開示の一側面によれば、更新用データを生成することは、ボクセル単位の差分データを生成することを含み得る。本開示の一側面によれば、更新用データを生成することは、ボクセル単位で、対応する部分空間における第一の部分点群と第二の部分点群とを比較して差分データを生成することを含み得る。
【0019】
本開示の一側面によれば、更新用データを生成することは、複数の時点としての三以上の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、二つの時点のうちの一方の時点に対応する第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することを含み得る。
【0020】
本開示の一側面によれば、データ更新方法が提供されてもよい。データ更新方法は、上述のデータ生成方法により生成された組み合わせ毎の更新用データを、記録媒体に記録することを含み得る。データ更新方法は更に、複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを、記録媒体に記録することを含み得る。
【0021】
本開示の一側面によれば、データ更新方法は、更新指令が入力されると、記録媒体に記録された三次元点群地図データ及び更新用データに基づき、複数の時点のうち、更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成することを含み得る。このデータ更新方法によれば、更新指令に基づく三次元点群地図データのバージョンスイッチングを、必要なデータのサイズを抑えて実現可能である。
【0022】
本開示の一側面によれば、データ更新システムが提供されてもよい。データ更新システムは、データ記録部と、地図データ更新部とを備え得る。データ記録部は、上述したデータ生成方法により生成された組み合わせ毎の更新用データを、記録媒体に記録するように構成され得る。データ記録部は更に、複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを、記録媒体に記録するように構成され得る。
【0023】
地図データ更新部は、更新指令が入力されると、記録媒体に記録された三次元点群地図データ及び更新用データに基づき、複数の時点のうち、更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成するように構成され得る。このデータ更新システムによれば、上述のデータ更新方法と同様の効果を得ることができる。
【0024】
本開示の一側面によれば、上述したデータ生成方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、上述したデータ更新方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが提供されてもよい。コンピュータプログラムは、一時的ではない記録媒体に記録されて提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】データ生成装置と電子機器とを備えるシステムの構成を表すブロック図である。
【
図2】三次元点群地図データの構成を表す図である。
【
図4】データ生成装置のプロセッサが実行するデータ生成処理を表すフローチャートである。
【
図5】部分空間毎の差分データの生成に関する機能ブロック図である。
【
図6】電子機器のプロセッサが実行するデータ取得処理を表すフローチャートである。
【
図7】電子機器30に蓄積される更新用データを含むバックアップデータを説明する図である。
【
図8】電子機器のプロセッサが実行するデータ更新処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す本実施形態の処理システム1は、データ生成装置10と電子機器30とを備える。電子機器30は、データ生成装置10と通信可能に構成される。
【0027】
データ生成装置10は、三次元点群地図データD1に関する更新用データD3を生成するように構成される。データ生成装置10は、プロセッサ11と、メモリ13と、ストレージ15と、表示部17と、操作部18と、データ入出力部19とを備える。
【0028】
プロセッサ11は、ストレージ15に格納されたコンピュータプログラムに従う処理を実行するように構成される。メモリ13は、RAMを含み、プロセッサ11による処理実行時に作業用メモリとして使用される。
【0029】
ストレージ15は、ハードディスクドライブ及び/又はソリッドステートドライブを含み、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムに従う処理の実行時に使用されるデータを記憶する。
【0030】
表示部17は、プロセッサ11により制御され、データ生成装置10を操作するユーザに向けて各種情報を表示するように構成される。表示部17は、例えば液晶ディスプレイを含む。操作部18は、データ生成装置10に対するユーザからの操作信号をプロセッサ11に入力するように構成される。
【0031】
データ入出力部19は、外部装置との間でデータ入出力可能に構成される。データ入出力部19は、有線又は無線により外部装置と通信する通信インタフェースを備える。データ入出力部19は更に、USBメモリに対するデータの読込及び書込が可能なUSBインタフェース、及び/又は、カード型の記録メディアに対するデータの読込及び書込が可能なメディアリーダ/ライタを備えることができる。
【0032】
電子機器30は、三次元点群地図データD1を活用した処理を実行するように構成される。電子機器30は、例えば三次元点群地図データD1を用いた自動運転又はLiDAR(Light Detection and Ranging)シミュレーションを実行する電子機器であり得る。
【0033】
電子機器30は、プロセッサ31と、メモリ33と、ストレージ35と、表示部37と、操作部38と、通信部39とを備える。プロセッサ31は、ストレージ35に格納されたコンピュータプログラムに従う処理を実行するように構成される。
【0034】
メモリ33は、プロセッサ31による処理実行時に作業用メモリとして使用される。ストレージ35は、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムに従う処理の実行時に使用されるデータを記憶する。
【0035】
表示部37は、プロセッサ31により制御され、電子機器30を操作するユーザに向けて各種情報を表示するように構成される。操作部38は、電子機器30に対するユーザからの操作信号をプロセッサ31に入力するように構成される。通信部39は、データ生成装置10と通信可能に構成される。通信部39は、データ生成装置10との通信を通じて、データ生成装置10が生成したデータを取得する。
【0036】
上述したようにデータ生成装置10は、電子機器30が保持する三次元点群地図データD1を更新するための更新用データD3を生成するように構成される。三次元点群地図データD1は、
図2に示すように、メタデータと、点群データとを備える。
【0037】
メタデータは、三次元点群地図データD1のバージョン情報を有する。点群データは、所定地域の三次元形状、具体的には、路面を含む地表の三次元形状及び地表上のオブジェクトの三次元形状を、三次元点群で表す。オブジェクトには、建造物等の人工物、及び、草木等の自然物が含まれる。三次元点群地図データD1は、例えば、車両に搭載されたレーザレーダ等の計測機器を用いて生成される。
【0038】
点群データは、所定地域の三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、対応する部分空間の地表及び地表上のオブジェクトの三次元形状を点群により表す部分点群データを有することができる。例えば、点群データは、三次元空間を格子状に分割して定義される部分空間毎に、部分空間の識別コードに関連付けて、対応する部分空間内の点群を表す部分点群データを有することができる。
【0039】
三次元点群地図データD1は、例えば、PCD(Point Cloud Data)形式の点群データとして用意され得る。PCD形式の点群データは、三次元点群を構成する各点の位置を、三次元座標(x,y,z)で記述する。
【0040】
三次元点群地図データD1は、ボクセル化されたデータとして用意され得る。三次元点群地図データD1において、各ボクセルは、ボクセル内の点群の情報を有することができる。ボクセルは、三次元空間を格子状に分割して定義される部分空間毎に定義され得る。点群データは、部分空間毎の部分点群データとして、ボクセル単位の部分点群データを有することができる。
【0041】
メタデータがバージョン情報を有することから理解できるように、本実施形態では、バージョンの異なる複数の三次元点群地図データD1が生成される。所定地域の三次元形状は、時間経過とともに変化する。
【0042】
所定地域の三次元形状は、計測機器を用いて定期的に又は不定期に繰返し計測される。当該計測により、定期的に又は不定期に新しいバージョンの三次元点群地図データD1が生成される。
【0043】
各バージョンの三次元点群地図データD1は、バージョンに対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す。すなわち、互いにバージョンの異なる複数の三次元点群地図データD1のそれぞれは、互いに異なる時点で計測機器を用いて計測された所定地域の三次元形状を表す。
【0044】
以下では、正の整数のバージョン番号を用いて三次元点群地図データD1のバージョンを表す。ここでは、バージョン番号が大きい三次元点群地図データD1ほど、新しい時点における所定地域の三次元形状を表す三次元点群地図データD1であると理解されたい。
【0045】
データ生成装置10により生成される更新用データD3は、電子機器30が保持する三次元点群地図データD1のバージョンスイッチングに使用される。
図3に示すように更新用データD3は、メタデータと、主データとを備える。
【0046】
メタデータは、更新用データD3のバージョン情報として、更新用データD3が、どのバージョンからどのバージョンへの三次元点群地図データD1の更新のためのデータであるかを表す情報を有する。すなわち、メタデータは、更新用データD3を適用可能な三次元点群地図データD1のバージョンである第一のバージョン、及び、更新用データD3を適用した後の三次元点群地図データD1のバージョンである第二のバージョンを表す。
【0047】
主データは、所定地域の点群データに関する第一のバージョンと第二のバージョンとの間の差分を表す。主データは、三次元点群地図データD1と同様に定義される部分空間毎に、第二のバージョンの三次元点群地図データD1が表す、対応する部分空間における点群の第一のバージョンの三次元点群地図データD1が表す、点群からの差分を表す差分データを有することができる。主データは、ボクセル単位の差分データを有することができる。
【0048】
各部分空間の差分データは、三次元点群地図データD1における、対応する部分空間の点群を、第一のバージョンの点群から第二のバージョンの点群に更新するためのデータとも理解できる。各部分空間の差分データは、対応する部分空間の識別コードと関連付けられて、更新用データD3に格納され得る。
【0049】
データ生成装置10のプロセッサ11は、操作部18を通じてユーザから更新用データD3の生成指令が入力されると、
図4に示すデータ生成処理を開始する。データ生成処理を開始すると、プロセッサ11は、生成指令と共にユーザから指定された最新バージョンの三次元点群地図データD1を取得する(S110)。
【0050】
プロセッサ11は、例えばストレージ15から最新バージョンの三次元点群地図データD1を読み出すことにより取得することができる。別例によれば、プロセッサ11は、データ入出力部19を通じて外部装置から最新バージョンの三次元点群地図データD1を取得することができる。
【0051】
その後、プロセッサ11は、取得した三次元点群地図データD1が有する点群データを、部分空間毎に分割することにより、部分点群データの一群に変換する(S115)。取得した三次元点群地図データD1が、既に部分点群データの一群に分割されたデータである場合には、S115の処理を省略することができる。
【0052】
続くS120において、プロセッサ11は、前バージョンの三次元点群地図データD1、すなわち、最新バージョンの一つ前のバージョンの三次元点群地図データD1を取得する。プロセッサ11は、例えばストレージ15から前バージョンの三次元点群地図データD1を読み出すことにより取得することができる。
【0053】
その後、プロセッサ11は、S115での処理と同様に、取得した前バージョンの三次元点群地図データD1が有する点群データを、必要に応じて、部分点群データの一群に分割する(S125)。
【0054】
続くS130において、プロセッサ11は、対象部分空間として、差分データの生成対象の部分空間を選択する。対象部分空間は、一つのボクセルであり得る。続くS140において、プロセッサ11は、前バージョンの三次元点群地図データD1における対象部分空間の部分点群データと、最新バージョンの三次元点群地図データD1における対象部分空間の部分点群データとを比較して、対象部分空間の差分データを生成する。
【0055】
プロセッサ11は、対象部分空間に関して、前バージョンの部分点群データが表す点群である第一の部分点群と、最新バージョンの部分点群データが表す点群である第二の部分点群とを比較して、部分空間の点群に関する差分データを生成する。
【0056】
第一例によれば、プロセッサ11は、第二の部分点群のうち、第一の部分点群には存在しない点群である追加対象の点群、及び、第一の部分点群のうち、第二の部分点群には存在しない削除対象の点群を判別し、判別した追加対象の点群及び削除対象の点群の情報を含む差分データを生成することができる。差分データは、これらの点群の位置座標の情報を有することができる。
【0057】
プロセッサ11は、第二の部分点群を構成する点のそれぞれに関して、対応する点から所定の微小距離内に位置する点が、第一の部分点群に存在するとき、対応する点が、第一の部分点群に存在すると判定することができる。微小距離は、点群の計測誤差を考慮して、設計者により定められ得る。
【0058】
プロセッサ11は、第一の部分点群を構成する点のそれぞれに関して、対応する点の位置座標から上記微小距離内に位置する点が、第二の部分点群に存在しないとき、対応する点が、第二の部分点群に存在しないと判定することができる。
【0059】
第二例によれば、プロセッサ11は、第二の部分点群と第一の部分点群とが同一の点群であるとき、差分がないことを表すコードを記述した差分データを生成し、第二の部分点群と第一の部分点群とが同一の点群でないとき、第二の部分点群の情報を記述した差分データを生成することができる。ここでは、上記微小距離内に位置する、第一の部分点群内の点と、第二の部分点群内の点を、同一の点と判別することができる。
【0060】
続くS150において、プロセッサ11は、所定地域に対応する三次元空間を構成する全ての部分空間について差分データを生成したか否かを判断する。全ての部分空間について差分データを生成していないと判断した場合(S150でNo)、プロセッサ11は、S130において、次の対象部分空間を選択し、選択した新たな対象部分空間の差分データを、S140の処理を実行することにより生成する。
【0061】
プロセッサ11は、
図5に示すように、部分空間毎に、対応する部分空間の第一の部分点群と、第二の部分点群とを比較して、前バージョンの三次元点群地図データD1における対応する部分空間の点群を、最新バージョンの三次元点群地図データD1における同部分空間の点群に更新するための差分データを生成する。
【0062】
プロセッサ11は、すべての部分空間について差分データを生成したと判断すると(S150でYes)、差分データをまとめた更新用データD3を生成する(S160)。更新用データD3は、
図3に示すように部分空間毎の差分データを有することができる。更新用データD3は、各差分データを、対応する部分空間の識別コードに関連付けて備えることができる。
【0063】
その後、プロセッサ11は、生成した更新用データD3を出力する(S170)。S170において、プロセッサ11は、更新用データD3を、ストレージ15に保存することができる。プロセッサ11は、更新用データD3の電子機器30への提供のために、インターネット等の広域ネットワーク上の所定サイトに、更新用データD3を登録することができる。その後、プロセッサ11は、データ生成処理を終了する。
【0064】
プロセッサ11は、このようなデータ生成処理を、ユーザからの指令に従って繰返し実行することにより、三以上の複数のバージョンに関して、隣り合う二つのバージョンの組み合わせ毎に、二つのバージョンのうち第一のバージョンの三次元点群地図データD1を、第二のバージョンの三次元点群地図データD1に更新するための更新用データD3を生成し、サイト上に登録する。
【0065】
電子機器30のプロセッサ31は、定期的に
図6に示すデータ取得処理を実行する。このデータ取得処理の実行により、プロセッサ31は、データ生成装置10により生成された更新用データD3であって、未取得の更新用データD3を、所定サイトを通じて、データ生成装置10から取得する。未取得の更新用データD3は、通常、データ生成装置10により生成された最新の更新用データD3である。
【0066】
プロセッサ31は、定期的に、未取得の更新用データD3が存在するか否かを判断し(S210)、未取得の更新用データD3が存在すると判断した場合(S210でYes)、対応する更新用データD3を所定サイトから取得する(S220)。
【0067】
S220において、プロセッサ31は、取得した更新用データD3を、ストレージ35に保存することができる。このような更新用データD3の取得及び保存により、電子機器30のストレージ35には、更新用データD3が蓄積される。
【0068】
図7に示すように、電子機器30のストレージ35には、バックアップデータとして、三次元点群地図データD1を、初期バージョンから最新バージョンまでの各バージョンの三次元点群地図データD1に切り替えるために必要な更新用データD3が記憶保持される。
【0069】
電子機器30は、ストレージ35が記憶するバックアップデータに基づき、ストレージ35が記憶する参照用の三次元点群地図データD1を、ユーザから指定されたバージョンに更新する。
【0070】
参照用の三次元点群地図データD1は、電子機器30において、自動運転やLiDAR(Light Detection and Ranging)シミュレーションなどの主な処理で使用される三次元点群地図データD1のことである。
【0071】
電子機器30は、バックアップデータとして、初期バージョンの三次元点群地図データD1と、三次元点群地図データD1を初期バージョンから最新バージョンまでの各バージョンの三次元点群地図データD1に切り替えるために必要な更新用データD3の一群とを記憶していてもよい。電子機器30は、初期バージョンの三次元点群地図データD1に更新用データD3の一群を適用することにより、ユーザから指定された任意のバージョンの三次元点群地図データD1を構築するように構成されてもよい。
【0072】
しかしながら、初期バージョンの三次元点群地図データD1を、参照用の三次元点群地図データD1と共にストレージ35に記憶する場合には、ストレージ35として、記憶容量の大きいストレージを用意する必要がある。
【0073】
このため、本実施形態の電子機器30は、バックアップデータとして初期バージョンの三次元点群地図データD1を保持することを必須とせずに、更新用データD3の一群を用いて、参照用の三次元点群地図データD1のバージョンを切り替える。このようにして電子機器30は、三次元点群地図データD1のバージョンスイッチングを実現する。
【0074】
電子機器30のプロセッサ31は、操作部38を通じてユーザから三次元点群地図データD1の更新指令が入力されると、
図8に示すデータ更新処理を実行し、更新指令と共に更新先のバージョンとして指定されたバージョンに、参照用の三次元点群地図データD1を更新する。
【0075】
データ更新処理を開始すると、プロセッサ31は、ストレージが記憶する参照用の三次元点群地図データD1の現在のバージョンを判別する(S310)。
【0076】
その後、プロセッサ31は、参照用の三次元点群地図データD1を、S310で判別した現在のバージョンから、更新指令と共に指定された更新先のバージョンまで、バージョンアップ又はバージョンダウンさせるために必要な、更新用データD3を、ストレージ35のバックアップデータから取得する(S320)。
【0077】
例えば、現在のバージョンがバージョンMであり、更新先バージョンが、バージョン(M+2)であるとき、バージョンMからバージョン(M+1)に三次元点群地図データD1を更新するための更新用データD3、及び、バージョン(M+1)からバージョン(M+2)に三次元点群地図データD1を更新するための更新用データD3が、バックアップデータから取得される。
【0078】
例えば、差分データが上記第一例のように構成される場合であって、現在のバージョンがバージョンMであり、更新先バージョンが、バージョン(M-2)であるときには、バージョン(M-2)からバージョン(M-1)に三次元点群地図データD1を更新するための更新データ、バージョン(M-1)からバージョンMに三次元点群地図データD1を更新するための更新データが、バックアップデータから取得される。
【0079】
差分データが上記第一例のように構成される場合には、追加対象の点群及び削除対象の点群を逆に理解することにより、更新用データD3を、バージョンダウンのための更新用データD3として理解することが可能である。
【0080】
S330において、プロセッサ31は、上記取得した更新用データD3を用いて、ストレージ35が記憶する参照用の三次元点群地図データD1を、更新先のバージョンまで段階的にバージョンアップ又はバージョンダウンさせるように更新することにより、ストレージ35が記憶する参照用の三次元点群地図データD1を上書き更新する。
【0081】
プロセッサ31は、三次元点群地図データD1における各部分空間の点群を、更新用データD3に含まれる対応する部分空間の差分データを参照して更新することができる。本実施形態では、部分空間毎の差分データが用意されている。このため、プロセッサ31は、各部分空間の点群の更新を、他の部分空間の差分データを参照することなく、更には、他の部分空間の点群の影響を受けることなく、実行することができる。従って、プロセッサ31は、三次元点群地図データD1の更新を、効率的に実現することができる。
【0082】
以上に、本実施形態の処理システム1の構成を説明した。本実施形態では、上述した通り、三次元点群地図データD1の更新用データD3が、隣接するバージョン間での三次元点群地図データD1の差分を表すデータとして構成されるため、電子機器30は、更新用データD3の蓄積により、ユーザから指定された任意のバージョンへの三次元点群地図データD1の更新を、必要なストレージ35の容量を抑えて実現することができる。
【0083】
特に本実施形態では、更新用データD3に、部分空間毎の差分データ、換言すれば、ボクセル単位の差分データが格納される。地域内の三次元形状は、多くの部分が静的であり、異なるバージョン間でも変化がない。このため、部分空間毎の差分データを用意することによれば、更新用データD3内において、差分を、データサイズを抑えて効率的に記述できる。更に言えば、部分空間/ボクセル単位で、三次元点群地図データD1を効率的に更新することができる。
【0084】
三次元点群地図データD1は、データサイズの大きい種類の地図データであることから、このように差分データを用意して、三次元点群地図データD1のバージョンスイッチングを効率的に行うことができるように、電子機器30を構成することは大変有意義である。このようなバージョンスイッチングを実現可能な更新用データD3として、データサイズの小さい更新用データD3を生成可能なデータ生成装置10もまた大変役立つ。
【0085】
[その他の実施形態]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。電子機器30には、上述したように、初期バージョンの三次元点群地図データD1がバックアップデータとして保存されていてもよい。
【0086】
参照用の三次元点群地図データD1のバージョンスイッチングは、初期バージョンの三次元点群地図データD1と、更新用データD3の一群とを用いて更新先のバージョンの三次元点群地図データD1を生成し、参照用の三次元点群地図データD1を、生成した三次元点群地図データD1で上書きすることによって実現されてもよい。
【0087】
差分データは、ボクセル単位で用意されなくてもよく、例えばボクセルの整数倍のサイズなどの、ボクセルサイズより大きいサイズで区切られる部分空間毎に用意されてもよい。差分データにおける差分の記述方式も、上述した第一例及び第二例に限定されない。
【0088】
この他、三次元点群地図データD1は、ボクセル化された三次元点群地図データD1でなくてもよい。ボクセル化されていない三次元点群地図データD1についての更新に、本実施形態の技術思想が適用されてもよい。
【0089】
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0090】
[本明細書が開示する技術思想]
本明細書には、次の技術思想が開示されていると理解することができる。
[項目1]
複数の三次元点群地図データであって、それぞれが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得するように構成される取得部と、
前記複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成するように構成されるデータ生成部と、
を備え、
前記データ生成部は、前記所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、前記第一の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第一の部分点群と、前記第二の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、前記部分空間の点群に関する差分データを生成し、前記差分データを用いた前記更新用データを生成するデータ生成システム。
[項目2]
前記データ生成部は、前記差分データとして、ボクセル単位の差分データを生成する項目1記載のデータ生成システム。
[項目3]
前記複数の時点は、三以上の時点であり、
前記データ生成部は、前記複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、前記二つの時点のうちの一方の時点に対応する前記第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する前記第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成する項目1又は項目2記載のデータ生成システム。
[項目4]
コンピュータにより実行されるデータ生成方法であって、
複数の三次元点群地図データであって、各三次元点群地図データが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得することと、
前記複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することと、
を含み、
前記更新用データを生成することは、前記所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、前記第一の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第一の部分点群と、前記第二の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、前記部分空間の点群に関する差分データを生成し、前記差分データを用いた前記更新用データを生成することを含むデータ生成方法。
[項目5]
前記更新用データを生成することは、前記差分データとして、ボクセル単位の差分データを生成することを含む項目4記載のデータ生成方法。
[項目6]
前記複数の時点は、三以上の時点であり、
前記更新用データを生成することは、前記複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、前記二つの時点のうちの一方の時点に対応する前記第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する前記第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することを含む項目4又は項目5記載のデータ生成方法。
[項目7]
項目6記載のデータ生成方法により生成された前記組み合わせ毎の前記更新用データを、記録媒体に記録することと、
前記複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを、前記記録媒体に記録することと、
更新指令が入力されると、前記記録媒体に記録された前記三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成することと、
を含むデータ更新方法。
[項目8]
項目6記載のデータ生成方法により生成された前記組み合わせ毎の前記更新用データを記録媒体に記録し、更には、前記複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを前記記録媒体に記録するデータ記録部と、
更新指令が入力されると、前記記録媒体に記録された前記三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成する地図データ更新部と、
を備えるデータ更新システム。
[項目9]
項目4~項目6のいずれか一項記載のデータ生成方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
[項目10]
項目7記載のデータ更新方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0091】
1…処理システム、10…データ生成装置、11…プロセッサ、13…メモリ、15…ストレージ、17…表示部、18…操作部、19…データ入出力部、30…電子機器、31…プロセッサ、33…メモリ、35…ストレージ、37…表示部、38…操作部、39…通信部、D1…三次元点群地図データ、D3…更新用データ。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元点群地図データを活用した処理を実行するように構成される電子機器において、前記電子機器が備えるコンピュータにより実行されるデータ更新方法であって、
前記データ更新方法によって更新されるデータは、前記電子機器とは別のデータ生成装置において、前記データ生成装置が備えるコンピュータにより実行されるデータ生成方法によって生成されるデータであり、
前記データ生成方法は、
複数の三次元点群地図データであって、各三次元点群地図データが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得することと、
前記複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することと、
を含み、
前記更新用データを生成することは、前記所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、前記第一の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第一の部分点群と、前記第二の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、前記部分空間の点群に関する差分データを生成し、前記差分データを用いた前記更新用データを生成することを含み、
前記複数の時点は、三以上の時点であり、
前記更新用データを生成することは、前記複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、前記二つの時点のうちの一方の時点に対応する前記第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する前記第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することを含み、
前記データ更新方法は、
前記データ生成方法により生成された前記組み合わせ毎の前記更新用データを、記録媒体に記録することと、
前記複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを、前記記録媒体に記録することと、
更新指令が入力されると、前記記録媒体に記録された前記三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成することと、
を含み、
前記記録媒体には、前記電子機器において前記三次元点群地図データを活用した処理を実行する際に参照される参照用の前記三次元点群地図データを記憶する参照用三次元点群地図データ記録領域と、前記組み合わせ毎の前記更新用データそれぞれをバックアップデータとして蓄積するための複数の更新用データ記録領域と、前記一つの時点に対応する三次元点群地図データをバックアップデータとして蓄積するためのバックアップ用三次元点群地図データ記録領域とが、それぞれ確保され、
前記更新指令が入力された際には、前記バックアップデータとして前記記録媒体に蓄積されている前記バックアップ用三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成して、前記参照用三次元点群地図データ記録領域に記録することにより、前記参照用三次元点群地図データを前記更新指令によって指定された任意のバージョンへバージョンアップ又はバージョンダウンさせるバージョンスイッチングを実現する、
データ更新方法。
【請求項2】
前記更新用データは、ボクセル単位の前記差分データである請求項1記載のデータ更新方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のデータ更新方法を電子機器が備えるコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項4】
三次元点群地図データを活用した処理を実行するように構成される電子機器であって、
前記電子機器が備えるコンピュータは、データ更新方法を実行可能に構成され、
前記データ更新方法によって更新されるデータは、前記電子機器とは別のデータ生成装置において、前記データ生成装置が備えるコンピュータにより実行されるデータ生成方法によって生成されるデータであり、
前記データ生成方法は、
複数の三次元点群地図データであって、各三次元点群地図データが、複数の時点のうちの、対応する一時点における所定地域の三次元形状を表す複数の三次元点群地図データを取得することと、
前記複数の三次元点群地図データのうちの、第一の時点に対応する三次元点群地図データである第一の三次元点群地図データを、第二の時点に対応する第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することと、
を含み、
前記更新用データを生成することは、前記所定地域に対応する三次元空間を分割して定義される複数の部分空間に関し、部分空間毎に、前記第一の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第一の部分点群と、前記第二の三次元点群地図データにおける前記部分空間の点群である第二の部分点群と、を比較して、前記部分空間の点群に関する差分データを生成し、前記差分データを用いた前記更新用データを生成することを含み、
前記複数の時点は、三以上の時点であり、
前記更新用データを生成することは、前記複数の時点に関して、隣り合う二つの時点の組み合わせ毎に、前記二つの時点のうちの一方の時点に対応する前記第一の三次元点群地図データを、他方の時点に対応する前記第二の三次元点群地図データに更新するための更新用データを生成することを含み、
前記データ更新方法は、
前記データ生成方法により生成された前記組み合わせ毎の前記更新用データを、記録媒体に記録することと、
前記複数の時点のうちの一つの時点に対応する三次元点群地図データを、前記記録媒体に記録することと、
更新指令が入力されると、前記記録媒体に記録された前記三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成することと、
を含み、
前記記録媒体には、前記電子機器において前記三次元点群地図データを活用した処理を実行する際に参照される参照用の前記三次元点群地図データを記憶する参照用三次元点群地図データ記録領域と、前記組み合わせ毎の前記更新用データそれぞれをバックアップデータとして蓄積するための複数の更新用データ記録領域と、前記一つの時点に対応する三次元点群地図データをバックアップデータとして蓄積するためのバックアップ用三次元点群地図データ記録領域とが、それぞれ確保され、
前記更新指令が入力された際には、前記バックアップデータとして前記記録媒体に蓄積されている前記バックアップ用三次元点群地図データ及び前記更新用データに基づき、前記複数の時点のうち、前記更新指令にて指定された時点に対応する三次元点群地図データを、新たな三次元点群地図データとして生成して、前記参照用三次元点群地図データ記録領域に記録することにより、前記参照用三次元点群地図データを前記更新指令によって指定された任意のバージョンへバージョンアップ又はバージョンダウンさせるバージョンスイッチングを実現する、
電子機器。
【請求項5】
前記更新用データは、ボクセル単位の前記差分データである請求項4記載の電子機器。