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特開2024-139195貨幣入金装置、貨幣処理システム及び貨幣処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139195
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】貨幣入金装置、貨幣処理システム及び貨幣処理方法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/18 20190101AFI20241002BHJP
   G07D 11/23 20190101ALI20241002BHJP
【FI】
G07D11/18
G07D11/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050028
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】堀田 梨紗
(72)【発明者】
【氏名】麻生 誠
【テーマコード(参考)】
3E141
【Fターム(参考)】
3E141AA01
3E141AA08
3E141BA17
3E141CA16
3E141FG11
3E141GA07
3E141HA01
3E141KA06
3E141KC03
3E141KC04
3E141KC06
3E141LA46
3E141LA62
(57)【要約】
【課題】装置間で貨幣を流用可能な貨幣処理システムを提供する。
【解決手段】貨幣処理システムを、収納部に収納している貨幣を装置外へ排出する出金処理を実行する貨幣処理装置と、貨幣の入金を受け付けて、貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を補充用容器に収納して、補充用容器の収納対象外の貨幣を通常容器に収納する入金装置と、補充用容器の貨幣を貨幣処理装置に補充する補充作業に関する情報を報知する管理装置とによって構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部に収納している貨幣を装置外へ排出する出金処理を実行する貨幣処理装置と、
貨幣の入金を受け付けて、前記貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を補充用容器に収納して、前記補充用容器の収納対象外の貨幣を通常容器に収納する入金装置と、
前記補充用容器の貨幣を前記貨幣処理装置に補充する補充作業に関する情報を報知する管理装置と
を備えることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記入金装置は、入金された貨幣を前記補充用容器と前記通常容器の両方に収納可能である場合には前記補充用容器に収納して、予め設定された1又は複数の金種の貨幣を各金種について予め設定された枚数だけ前記補充用容器に収納することを特徴とする請求項1に記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記入金装置は、第1の貨幣処理装置に補充する貨幣を収納する第1補充用容器と、第2の貨幣処理装置に補充する貨幣を収納する第2補充用容器とを有し、入金された貨幣を前記第1補充用容器と前記第2補充用容器の両方に収納可能である場合には、前記第1補充用容器及び前記第2補充用容器について予め設定された優先順位に基づいて貨幣の収納先を決定することを特徴とする請求項2に記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記貨幣処理装置が収納している貨幣の量が所定の閾値に達した場合に、前記補充作業が必要になったことを報知することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記補充用容器を前記入金装置から取り外して、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充するよう報知することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記貨幣処理装置は、出金処理に利用しない貨幣を収納可能な回収部をさらに有し、
前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充する際に前記収納部に収納されない余剰貨幣が発生する場合には、前記余剰貨幣を前記回収部に収納することを報知する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充する際に前記収納部に収納されない余剰貨幣が発生する場合には、前記余剰貨幣の金種及び金種別枚数と、前記余剰貨幣に相当する貨幣を前記貨幣処理装置から他の貨幣処理装置へ移動する必要があることとを報知することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充する際に前記収納部に収納されない余剰貨幣が発生する場合に、前記貨幣処理装置が前記収納部以外の場所に前記余剰貨幣を収納可能か否かの判定と、前記貨幣処理装置以外に前記余剰貨幣を収納可能な貨幣処理装置があるか否かの判定とを、所定の優先順位で実行して前記余剰貨幣の処理方法を決定し、決定結果を報知することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項9】
前記補充用容器は、貨幣を繰り出ししない容器であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項10】
前記補充用容器は、貨幣を収納可能な袋体であることを特徴とする請求項9に記載の貨幣処理システム。
【請求項11】
前記入金装置は、入金された貨幣の入金金額に応じたクーポンを発行することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項12】
前記貨幣処理装置は、貨幣が金種別に収納された複数の収納部を有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項13】
前記管理装置は、前記補充用容器に所定金種及び所定枚数の貨幣が収納されたときに、前記補充作業に関する情報を報知することを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の貨幣処理システム。
【請求項14】
貨幣処理システムに実行させる貨幣処理方法であって、
補充用容器及び通常容器を有する入金装置への入金を受け付けて、所定の貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を前記補充用容器に収納して、前記補充用容器の収納対象外の貨幣を前記通常容器に収納する工程と、
前記補充用容器の貨幣を前記所定の貨幣処理装置に補充する補充作業に関する情報を報知する工程と
を含むことを特徴とする貨幣処理方法。
【請求項15】
貨幣を受け付ける入金部と、
前記入金部に受け付けた貨幣を搬送する搬送部と、
前記搬送部が搬送する貨幣を識別する識別部と、
前記識別部が識別した貨幣を収納する補充用容器及び通常容器と、
所定の貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を前記補充用容器に収納して、前記補充用容器の収納対象外の貨幣を前記通常容器に収納させる制御部と
を備える
ことを特徴とする貨幣入金装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨幣の入金を受け付ける貨幣入金装置、該貨幣入金装置を含む貨幣処理システム、及び該貨幣処理システムで行われる貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗に設置した貨幣入金装置に貨幣の入金を受け付けて、店舗で利用可能なクーポン等の所定の有価媒体を発行するシステムが利用されている。特許文献1には、客から受け付けた硬貨と交換にクーポンを発行するシステムが開示されている。例えば、家で硬貨を貯めた客が、店舗に設置された硬貨交換装置に硬貨を入金すると、入金金額に応じたクーポンが発行される。客は、取得したクーポンを、店舗で購入した商品代金の支払に充てることができる。このようなシステムでは、瓶等に貯めた大量の硬貨が入金されることも多い。硬貨交換装置内で硬貨の保管エリアが満杯になると、客は硬貨を入金できなくなる。このため、硬貨交換装置は、保管エリアの硬貨の量が満杯に近付くと、インジケータを点灯して、保管エリアを空にするよう店員に報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許5564546号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来システムでは、報知を受けた店員が装置から硬貨を回収することができるが、回収した硬貨を上手く活用できなかった。
【0005】
本開示は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、他の貨幣処理装置と連携して硬貨を流用できる貨幣入金装置、貨幣処理システム及び貨幣処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る貨幣処理システムは、収納部に収納している貨幣を装置外へ排出する出金処理を実行する貨幣処理装置と、貨幣の入金を受け付けて、前記貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を補充用容器に収納して、前記補充用容器の収納対象外の貨幣を通常容器に収納する入金装置と、前記補充用容器の貨幣を前記貨幣処理装置に補充する補充作業に関する情報を報知する管理装置とを備える。前記入金装置は、店舗の客からの入金を受け付けて、前記管理装置は、店員に補充作業に関する情報を通知する。前記管理装置は、補充対象の装置及び補充容器に関する情報を報知してもよい。報知は、前記管理装置の表示部、前記入金装置の表示部、前記貨幣処理装置の表示部等に、関連する情報を表示することによって行えばよい。報知が、前記管理装置から携帯端末等の外部装置へ通知を送信することによって行われてもよい。
【0007】
上記構成において、前記入金装置は、入金された貨幣を前記補充用容器と前記通常容器の両方に収納可能である場合には前記補充用容器に収納して、予め設定された1又は複数の金種の貨幣を各金種について予め設定された枚数だけ前記補充用容器に収納してもよい。
【0008】
上記構成において、前記入金装置は、第1の貨幣処理装置に補充する貨幣を収納する第1補充用容器と、第2の貨幣処理装置に補充する貨幣を収納する第2補充用容器とを有し、入金された貨幣を前記第1補充用容器と前記第2補充用容器の両方に収納可能である場合には、前記第1補充用容器及び前記第2補充用容器について予め設定された優先順位に基づいて貨幣の収納先を決定してもよい。
【0009】
上記構成において、前記管理装置は、前記貨幣処理装置が収納している貨幣の量が所定の閾値に達した場合に、前記補充作業が必要になったことを報知してもよい。
【0010】
上記構成において、前記管理装置は、前記補充用容器を前記入金装置から取り外して、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充するよう報知してもよい。
【0011】
上記構成において、前記貨幣処理装置は、出金処理に利用しない貨幣を収納可能な回収部をさらに有し、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充する際に前記収納部に収納されない余剰貨幣が発生する場合には、前記余剰貨幣を前記回収部に収納してもよい。 前記管理装置は、前記余剰貨幣が前記回収部に収納されることを報知してもよい。
【0012】
上記構成において、前記管理装置は、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充する際に前記収納部に収納されない余剰貨幣が発生する場合には、前記余剰貨幣の金種及び金種別枚数と、前記余剰貨幣に相当する貨幣を前記貨幣処理装置から他の貨幣処理装置へ移動する必要があることとを報知してもよい。
【0013】
上記構成において、前記管理装置は、前記補充用容器に収納されている貨幣を前記貨幣処理装置に補充する際に前記収納部に収納されない余剰貨幣が発生する場合に、前記貨幣処理装置が前記収納部以外の場所に前記余剰貨幣を収納可能か否かの判定と、前記貨幣処理装置以外に前記余剰貨幣を収納可能な貨幣処理装置があるか否かの判定とを、所定の優先順位で実行して前記余剰貨幣の処理方法を決定し、決定結果を報知してもよい。
【0014】
上記構成において、前記補充用容器は、貨幣を繰り出ししない容器であってもよい。
【0015】
上記構成において、前記補充用容器は、貨幣を収納可能な袋体であってもよい。
【0016】
上記構成において、前記入金装置は、入金された貨幣の入金金額に応じたクーポンを発行してもよい。
【0017】
上記構成において、前記貨幣処理装置は、貨幣が金種別に収納された複数の収納部を有していてもよい。
【0018】
上記構成において、前記管理装置は、前記補充用容器に所定金種及び所定枚数の貨幣が収納されたときに、前記補充作業に関する情報を報知してもよい。
【0019】
本開示に係る貨幣処理方法は、貨幣処理システムに実行させる貨幣処理方法であって、補充用容器及び通常容器を有する入金装置への入金を受け付けて、所定の貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を前記補充用容器に収納して、前記補充用容器の収納対象外の貨幣を前記通常容器に収納する工程と、前記補充用容器の貨幣を前記所定の貨幣処理装置に補充する補充作業に関する情報を報知する工程とを含む。
【0020】
本開示に係る貨幣入金装置は、貨幣を受け付ける入金部と、前記入金部に受け付けた貨幣を搬送する搬送部と、前記搬送部が搬送する貨幣を識別する識別部と、前記識別部が識別した貨幣を収納する補充用容器及び通常容器と、所定の貨幣処理装置に補充する所定金種及び所定枚数の貨幣を前記補充用容器に収納して、前記補充用容器の収納対象外の貨幣を前記通常容器に収納させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示に係る貨幣入金装置、貨幣処理システム及び貨幣処理方法によれば、装置間で貨幣を移動することによって移動先の装置に貨幣を補充する補充作業を容易に行えるようになり、店員にとっての利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本実施形態に係る貨幣処理システムの概要を説明するための図である。
図2図2は、貨幣処理システムの構成例を示す模式図である。
図3図3は、バック機として利用される貨幣処理装置の構成例を説明するための模式図である。
図4図4は、貨幣処理システムの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、貨幣処理システムで管理される在高情報を説明するための図である。
図6図6は、管理装置行う処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、管理装置で決定される余剰硬貨の処理方法を説明するための図である。
図8図8は、補充時に発生する余剰硬貨の処理の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る貨幣入金装置、該貨幣入金装置を含む貨幣処理システム、及び、該貨幣処理システムで行われる貨幣処理方法の実施の形態について説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る貨幣処理システム1の概要を説明するための図である。貨幣処理システム1は、店舗に設置された、入金装置(貨幣入金装置)100と、複数の貨幣処理装置11、12とを含む。入金装置100は、貨幣を受け付けて装置内へ収納する入金処理を実行する。貨幣処理装置11、12は、少なくとも、装置内に収納している貨幣を装置外へ排出する出金処理を実行する。貨幣処理装置11、12の装置内にある貨幣が不足すると出金処理が実行できなくなる。このため、店員は、必要に応じて、入金装置100から回収した貨幣を貨幣処理装置11、12に補充する補充作業を行う。
【0025】
入金装置100は、入金される複数枚の貨幣を入金部111に受け付ける。入金部111が装置内の搬送路へ1枚ずつ貨幣を繰り出すと、搬送部130が貨幣を搬送する。識別部120は、搬送部130が搬送する貨幣の金種を識別する。搬送部130は、識別結果に基づいて、各貨幣を返却部112又は収納部140へ搬送する。収納部140に収納できない貨幣、識別部120で識別できない貨幣等は返却部112から返却される。入金装置100内に収納可能な貨幣は収納部140へ搬送される。収納部140は、搬送部130が搬送してきた貨幣を収納する。
【0026】
収納部140は、貨幣を収納するための複数の容器を含む。各容器は、例えば店員の操作により、通常容器145と、他の貨幣処理装置への補充用の貨幣を収納する補充用容器150のいずれかに設定される。複数の容器の全てを通常容器145として設定することもできる。複数の容器の全てを補充用容器150として設定することもできる。図1に示すように、収納部140は、通常容器145(145a、145b)と、他の貨幣処理装置11、12への補充用の貨幣を収納する補充用容器150(150a、150b)とに貨幣を収納する。通常容器145及び補充用容器150は、収納部140に対して、すなわち入金装置100に対して着脱可能に設けられている。通常容器145及び補充用容器150は、貨幣の繰り出しは行わない。例えば、貨幣を収納する袋体から成る容器が通常容器145及び補充用容器150として利用される。同一の容器を通常容器145として利用することもできるし補充用容器150として利用することもできる。通常容器145の数及び補充用容器150の数は特に限定されない。
【0027】
通常容器145は、例えば、金種によらず貨幣を収納する。通常容器145に収納する貨幣の金種を予め設定することもできる。金種を設定した場合は、設定された金種の貨幣が収納される。通常容器145には、入金装置100が満杯とみなす所定の容量まで貨幣が収納される。
【0028】
補充用容器150は、予め設定された金種の貨幣を、予め設定された枚数だけ収納する。例えば、1つの補充用容器150に対して、1つの金種と枚数とが設定される。例えば、1つの補充用容器150に対して、複数の金種と金種別枚数とが設定される。複数の金種を設定した場合は、1つの補充用容器150に複数金種の貨幣が混合状態で収納される。
【0029】
識別部120で識別した貨幣を、通常容器145と補充用容器150との両方に収納可能である場合、入金装置100は、この貨幣を補充用容器150に収納する。この貨幣の金種について予め設定された枚数分を補充用容器150に収納し終えると、入金装置100は、これ以降、この貨幣の金種と同一金種の貨幣を通常容器145に収納する。
【0030】
補充用容器150に優先順位を設定することができる。識別部120で識別した貨幣が、複数の補充用容器150に収納可能である場合、入金装置100は、優先順位の高い補充用容器150を、この貨幣の収納先として決定し、収納先として決定された補充用容器150に貨幣を収納する。この貨幣の金種について予め設定された枚数分、優先順位の高い補充用容器150に収納し終えると、入金装置100は、これ以降、次に優先順位の高い補充用容器150を、この貨幣の金種と同一金種の貨幣の収納先として決定し、決定した補充用容器150に貨幣を収納する。
【0031】
こうして、優先順位の高い補充用容器150から順に、各補充用容器150に設定された枚数だけ貨幣が収納された後、通常容器145に貨幣が収納される。なお、補充用容器150に優先順位を設定しない場合、各補充用容器150に順に貨幣が収納される。例えば、ある金種の貨幣を第1補充用容器150aに100枚、第2補充用容器150bに200枚収納する設定である場合、第1補充用容器150aを優先する設定にすると、第1補充用容器150aに100枚を収納した後、第2補充用容器150bに200枚が収納される。優先度が設定されない場合、第1補充用容器150aに1枚収納したら、次は第2補充用容器150bに収納するというように、順に貨幣が収納される。
【0032】
入金装置100は、予め設定された金種及び金種別枚数の貨幣を補充用容器150に収納できるまで、通常容器145よりも補充用容器150に優先して貨幣を収納し、補充用容器150の収納対象外である貨幣を通常容器145に収納する。言い換えれば、入金装置100は、入金部111から入金された貨幣のうち、補充用容器150に収納可能な貨幣は全て補充用容器150に収納して、残りの貨幣を通常容器145に収納する。
【0033】
例えば、店員が、第1補充用容器150aを第1貨幣処理装置11の専用容器にして、第1貨幣処理装置11に補充する複数の金種及び金種別枚数を設定すると、設定された複数金種の貨幣が、各金種について設定された枚数だけ、混合状態で収納される。店員が、第2補充用容器150bを第2貨幣処理装置12の専用容器にして、第2貨幣処理装置12に補充する1つの金種及び枚数を設定すると、設定された金種の貨幣が設定された枚数だけ収納される。第1補充用容器150aを第2補充用容器150bより優先する設定にすると、第1補充用容器150aに優先して貨幣が収納される。
【0034】
図1に示すように、所定金種の貨幣が、所定枚数、各補充用容器150に収納される(A)。店員は、入金装置100から第1補充用容器150aを取り外して、第1補充用容器150aに収納されている貨幣を第1貨幣処理装置11に補充する(B)。店員は、入金装置100から第2補充用容器150bを取り外して、第2補充用容器150bに収納されている貨幣を第2貨幣処理装置12に補充する(B)。
【0035】
貨幣処理システム1では、補充用容器150の貨幣を貨幣処理装置11、12へ補充する補充作業が必要になった際、店員への報知処理が行われる。貨幣処理装置11、12は、装置内にある貨幣が減少して補充が必要になった場合に、これを店員に知らせる報知処理を実行する。入金装置が100は、店員が設定した金種及び金種別枚数の貨幣を補充用容器150に収納し終えた場合に、これを店員に知らせる報知処理を実行する。報知処理時に、補充作業に関する情報が店員に通知される。例えば、入金装置100の複数の補充用容器150のうちいずれを取り外し、いずれの貨幣処理装置11、12に補充するかが店員に報知される。報知処理が、入金装置100及び貨幣処理装置11、12を管理する管理装置によって行われる場合もあるが、これについては後述する。
【0036】
このように、貨幣処理システム1では、入金装置100を、貨幣処理装置11、12の補充用貨幣を準備して容器に詰める装置として利用することができる。例えば、貨幣処理装置ごとに補充する貨幣の金種及び金種別枚数が決まっている店舗では、各装置へ補充する貨幣の金種及び金種別枚数を、各装置専用の補充用容器150に設定する。店員は、入金装置100から補充用容器150を取り外して、対応する貨幣処理装置11、12まで運び、補充用容器150の貨幣を補充するだけで容易に補充作業を行うことができる。
【0037】
次に、貨幣処理システム1の具体例を説明する。図2は、貨幣処理システム1の構成例を示す模式図である。図2に示す貨幣処理システム1は、店舗内で利用される入金装置100と、バックオフィスで利用される貨幣処理装置11と、チェックアウトカウンタで利用される貨幣処理装置12と、これらの装置に関する各種情報を記憶して管理する管理装置3とを含む。入金装置100、貨幣処理装置11、12及び管理装置3は、ネットワーク2を介して通信可能に接続されている。店舗内に設置される入金装置100及び貨幣処理装置11、12の台数は特に限定されないが、入金装置100及び貨幣処理装置11が1台ずつ設置され、貨幣処理装置12が複数台設置されている場合を例に説明を続ける。
【0038】
貨幣処理装置11は、タッチパネル式の液晶表示装置から成る操作表示部260と、硬貨処理装置200と、紙幣処理装置210とを含む。貨幣処理装置11は、チェックアウトカウンタの各貨幣処理装置12へ補充する貨幣の出金処理と、貨幣処理装置12から回収された売上金の入金処理とを実行する。入金処理時には、硬貨処理装置200が、入金部211に受け付けた硬貨を識別計数して装置内に収納して、紙幣処理装置210が、入金部221に受け付けた紙幣を識別計数して装置内に収納する。出金処理時には、硬貨処理装置200が出金部212から硬貨を排出して、紙幣処理装置210が出金部222から紙幣を排出する。
【0039】
貨幣処理装置12は、タッチパネル式の液晶表示装置から成る操作表示部360と、硬貨処理装置300と、紙幣処理装置310とを含む。貨幣処理装置12は、客であるユーザとの取引金額を精算する精算装置として機能する。貨幣処理装置12は、操作表示部360に商品の情報を受け付けて取引金額を算出する。客は、取引金額を支払うため、硬貨処理装置300の入金部311に硬貨を入金して、紙幣処理装置310の入金部321に紙幣を入金する。硬貨処理装置300は入金部311に受け付けた硬貨を識別計数して装置内に収納すると共に、硬貨の入金金額を算出する入金処理を実行する。紙幣処理装置310は入金部321に受け付けた紙幣を識別計数して装置内に収納すると共に、紙幣の入金金額を算出する入金処理を実行する。客の支払金額、すなわち硬貨の入金金額と紙幣の入金金額との合計金額が、取引金額を超えている場合、貨幣処理装置12は客に返す釣銭を出金する。硬貨処理装置300は、釣銭のうち硬貨を出金部312から排出する出金処理を実行する。紙幣処理装置310は、釣銭のうち紙幣を出金部322から排出する出金処理を実行する。客が取引金額を支払い、必要に応じて釣銭を受け取って取引が終了する。
【0040】
このように、店舗で精算装置として利用される貨幣処理装置12と、貨幣処理装置12に補充する貨幣の出金及び貨幣処理装置12から回収した貨幣の入金に利用される貨幣処理装置11は従来知られているため詳細な説明は省略する。貨幣処理システム1が処理対象とする貨幣は、紙幣であってもよいし、硬貨であってもよいし、紙幣と硬貨の両方であってもよいが、硬貨を対象に説明を続ける。以下、説明を簡単にするため、店舗のバックオフィスにある貨幣処理装置11の硬貨処理装置200をバック機200、店舗のフロント領域であるチェックアウトカウンタにある貨幣処理装置12の硬貨処理装置300をフロント機300と記載する。
【0041】
管理装置3は、操作部、表示部、制御部及び記憶部を含む。例えば、コンピュータ装置が管理装置3として利用される。管理装置3が、操作部及び表示部を含まず、操作端末を利用して遠隔操作される態様であってもよいし、管理装置3が仮想サーバであってもよい。
【0042】
管理装置3は、入金装置100の各容器、すなわち通常容器145及び補充用容器150に収納されている硬貨の金種及び金種別枚数の情報を記憶して管理する。管理装置3は、バック機200及びフロント機300の各装置内にある硬貨の金種及び金種別枚数の情報を記憶して管理する。管理装置3は、入金装置100の通常容器145に所定枚数の硬貨が収納されると、通常容器145の回収が必要になったことを店員に報知する報知処理を実行する。管理装置3は、補充用容器150に、予め設定された金種及び金種別枚数の硬貨が収納されると、これを店員に知らせる報知処理を実行する。管理装置3は、バック機200で硬貨の容量が減少して所定枚数に達した金種が発生すると、バック機200で補充を要する金種が発生したことを店員に知らせる報知処理を実行する。同様に、管理装置3は、フロント機300で補充を要する金種が発生すると、これを店員に知らせる報知処理を実行する。報知処理は、例えば、管理装置3が、報知内容を含む通知を店員の所持するスマートフォン等の通信端末に送信することによって行われる。報知処理が、所定の表示装置への情報表示や報知音の再生によって行われてもよい。通常容器145及び補充用容器150に所定の硬貨を収納したことを店員に知らせる報知処理が入金装置100によって実行されてもよい。補充を要する金種が発生したことを店員に知らせる報知処理がバック機200及びフロント機300によって実行されてもよい。
【0043】
入金装置100は、客であるユーザから硬貨の入金を受け付けて、硬貨の入金金額に応じたクーポンを発行する。クーポンは、店舗で貨幣の代わりに使用可能な有価媒体である。客は、店舗で商品を購入する際、クーポンが有する金額を商品代金の支払に充てることができる。
【0044】
客は、タッチパネル式の液晶表示装置から成る操作表示部160を操作して、入金取引を開始する。図2に示すように、客は、入金装置100の入金部111から硬貨を入金する(C1)。入金装置100は、入金部111に受け付けた硬貨を識別計数して入金金額を算出する。入金装置100は、図1で説明したように、識別部120で硬貨を識別して通常容器145又は補充用容器150に収納する。入金装置100は、クーポン発行部170から、入金金額に応じたクーポン175を発行する(C2)。入金装置100は、レシート発行部180から、入金硬貨に関する情報とクーポンに関する情報とを印刷したレシート185を発行する(C3)。客がクーポン175及びレシート185を受け取って入金取引が完了する。
【0045】
図2に示すように、店員は、バック機200から硬貨を出金して、フロント機300へ補充する(D1)。店員は、バック機200用の補充用容器150を入金装置100から取り外して、補充用容器150の硬貨をバック機200に補充する(E1)。店員は、フロント機300用の補充用容器150を入金装置100から取り外して、補充用容器150の硬貨をフロント機300に補充する(E2)。店員は、収納部140から補充用容器150を取り外す際、代わりに空の容器を装着する。
【0046】
入金装置100の筐体には、収納部140から通常容器145及び補充用容器150を装置外へ取り出すための扉141が設けられている。扉141は通常ロックされているが、店員が操作表示部160で所定操作を行うことでロックが解除されて開くようになる。店員は、扉141を開いて、通常容器145及び補充用容器150を装置外へ取り出すことができる。
【0047】
入金装置100は、収納部140から通常容器145及び補充用容器150を取り外せないようにロックすることができる。バック機200への補充作業が必要になると、入金装置100は、バック機200用の補充用容器150を収納部140から取り外せるように、取り外し対象の補充用容器150のロックのみを解除する。フロント機300への補充作業が必要になった場合も、同様に、入金装置100は、取り外し対象であるフロント機300用の補充用容器150のロックのみを解除する。警送会社が入金装置100から通常容器145を回収する際には、警送会社による回収対象の通常容器145でロックが解除される。このように、入金装置100から取り出す必要がある容器145、150のみを取出可能にすることで、誤って別の容器145、150が取り出されることを防止できる。
【0048】
入金装置100は、袋体である通常容器145及び補充用容器150の口を閉じることができる。このような袋体から成る容器はパウチと呼ばれることがある。袋体の口を閉じる方法は特に限定されず、従来技術を利用して行えばよい。袋体の口を熱溶着して閉じてもよいし、袋体の口近傍に貼り付けられた粘着テープの保護シートを剥がして接着することによって口を閉じてもよい。袋体の口を閉じると、袋体を破らないと硬貨を取り出せなくなる。例えば、通常容器145及び補充用容器150から硬貨を取り出す不正を防止したい場合に、入金装置100が、通常容器145及び補充用容器150の袋体の口を閉じるように設定される。また、例えば、入金装置100が、警送会社が回収する通常容器145は袋体の口を閉じて、店舗内で補充作業に利用する補充用容器150の袋体の口は閉じないように設定される。
【0049】
次に各装置の構成及び動作について説明する。硬貨処理に関連するバック機200とフロント機300の構成及び動作は類似している。重複した説明を避けるため、以下、主にバック機200を例に説明を続ける。
【0050】
図3は、バック機200の構成例を説明するための模式図である。バック機200は、入金部211(211a、211b)、出金部212、識別部220、搬送部230、収納部240及びカセット250を含む。
【0051】
入金部211は、装置外から複数枚の硬貨を同時に受け付けることができる入金口211aと、入金口211aに受け付けた複数枚の硬貨を収納して1枚ずつ搬送路へ繰り出す繰出部211bとを含む。搬送部230は、入金部211と、出金部212と、識別部220と、各収納部240と、カセット250との間を接続する搬送路に沿って硬貨を搬送する。識別部220は、搬送部230が搬送する硬貨を識別する。識別部220は各硬貨の金種を識別することができる。識別部220が硬貨の真偽を識別してもよい。
【0052】
収納部240は、搬送部230が搬送路に沿って搬送してきた硬貨を収納する。収納部240は、収納した硬貨を搬送路に向けて繰り出すこともできる。収納部240の数は特に限定されない。
【0053】
カセット250は、バック機200に対して着脱可能に設けられたカセット式の収納部である。カセット250は、収納部240と同様に、搬送部230が搬送路に沿って搬送してきた硬貨の収納と、搬送路への硬貨の繰り出しとを行う。カセット250は、出金処理に利用されない硬貨や、収納部240から装置外へ回収される硬貨の収納に利用されるため、回収部と呼ばれることがある。カセット250は、収納部240が満杯になって硬貨を収納できなくなった場合に、この硬貨の収納に利用されるため、オーバーフロー収納部と呼ばれることがある。
【0054】
出金部212は、搬送部230が搬送路に沿って搬送してきた硬貨を装置外へ排出する。収納部240及びカセット250から繰り出した硬貨を出金部212から排出することができる。入金部211から入金された硬貨のうち、例えば識別できなかった硬貨等、装置内に収納できない硬貨が出金部212から排出される場合もある。
【0055】
バック機200は、入金処理及び出金処理を含む複数種類の硬貨処理を実行することができる。入金処理時には、図3(b)に実線矢印で示すように、入金部211の入金口211aに受けた硬貨が、繰出部211bによって装置内の搬送路へ繰り出される。搬送部230によって搬送路に沿って搬送される硬貨は、識別部220で識別された後、金種に対応する収納部240へ収納される。図3(b)に破線矢印で示すように、入金できない硬貨が出金部212から排出される場合もあるし、収納部240に収納されない金種の硬貨がカセット250に収納される場合もある。補充用容器150からバック機200に補充される硬貨も入金処理と同様に処理される。
【0056】
出金処理時には、図3(c)に実線矢印で示すように、出金対象の硬貨が収納部240から繰り出されて搬送部230によって搬送され、識別部22で識別された後、出金部212から排出される。収納部240に、出金対象の金種と出金対象外の金種とが混合状態で収納され、出金対象外の金種の硬貨が繰り出される場合もあるが、出金対象外の金種の硬貨は、図3(c)に破線矢印で示すように、元の収納部240へ戻される。
【0057】
図4は、貨幣処理システム1の構成例を示すブロック図である。入金装置100は、図1及び図2で説明した構成に加えて制御部101、通信部102及び記憶部103を有する。通信部102はネットワーク2を介して外部装置と通信するために利用される。記憶部103は、入金装置100の動作に必要な各種情報の保存に利用される不揮発性の記憶装置である。制御部101に対応するプログラムが記憶部103又は専用の記憶装置に予め保存されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部101の機能及び動作が実現される。制御部101は、操作表示部160を介して入出力される情報と、通信部102を介して送受信する情報と、記憶部103に保存された情報とに基づいて、入金装置100の各部を制御することができる。これにより、本実施形態に記載する入金装置100の機能及び動作が実現されている。
【0058】
バック機200は、図2及び図3で説明した構成に加えて制御部201、通信部202及び記憶部203を有する。通信部202はネットワーク2を介して外部装置と通信するために利用される。記憶部203は、入金装置100の動作に必要な各種情報の保存に利用される不揮発性の記憶装置である。制御部201に対応するプログラムが記憶部203又は専用の記憶装置に予め保存されており、このプログラムがCPU等のハードウェアによって実行されることにより、制御部201の機能及び動作が実現される。制御部201は、操作表示部260を介して入出力される情報と、通信部202を介して送受信する情報と、記憶部203に保存された情報とに基づいて、バック機200の各部を制御することができる。これにより、本実施形態に記載するバック機200の機能及び動作が実現されている。
【0059】
図4に示すように、フロント機300は、バック機200と同様の構成を有する。フロント機300は、制御部301、通信部302、記憶部303、入金口及び繰出部を含む入金部311、出金部312、識別部320、搬送部330、収納部340及びカセット350を含み、入金処理及び出金処理を含む硬貨処理を実行することができる。
【0060】
図5は、貨幣処理システム1で管理される在高情報を説明するための図である。図5(a)は入金装置100の在高情報の例を示し、図5(b)はバック機200及びフロント機300の在高情報の例を示している。
【0061】
入金装置100は、在高情報を記憶部103に保存して管理する。バック機200は、在高情報を記憶部203に保存して管理する。フロント機300は、在高情報を記憶部303に保存して管理する。管理装置3は、入金装置100、バック機200及びフロント機300から在高情報を取得して、管理装置3の記憶部に保存して管理する。
【0062】
入金装置100は、収納部140に対して着脱可能な複数の容器145、150に硬貨を収納する。図5(a)に示す容器番号は、収納部140に装着された容器145、150それぞれを区別するための識別情報である。容器種別は、各容器145、150を、補充用の硬貨の収納に利用するか、通常の硬貨の収納に利用するかの設定を示している。同じ容器を収納部140に装着して、通常容器145として利用することもできるし、補充用容器150として利用することもできる。
【0063】
入金装置100は、図5(a)に示す補充用硬貨設定に基づいて補充用容器150に硬貨を収納し、収納硬貨設定に基づいて通常容器145に硬貨を収納する。店員は、入金装置100の操作表示部160を操作して、補充用硬貨設定及び収納硬貨設定を変更することができる。店員は、管理装置3の操作部及び表示部、又は管理装置3と通信可能に接続したスマートフォン等の通信端末で、補充用硬貨設定及び収納硬貨設定の設定を変更することもできる。
【0064】
補充用硬貨設定には、優先順位、対象装置、金種及び枚数の項目が含まれる。対象装置の項目には、補充用容器150に収納される硬貨の補充先となる貨幣処理装置の装置番号(識別情報)が設定される。すなわち、対象装置の設定内容は、補充用容器150が、店内の複数の貨幣処理装置のうち、いずれの装置に補充する硬貨を収納するかを示している。バック機200の装置番号、各フロント機300の装置番号のうちいずれか1つが対象装置の項目に設定される。
【0065】
店員は、入金装置100の操作表示部160、又は管理装置3と接続した通信端末の画面上に、図5(a)に示す在高情報を表示して、設定内容を確認することができる。通常容器145及び補充用容器150の容器番号と対象装置との対応から、店員は、複数の補充用容器150と、複数の貨幣処理装置との対応を認識することができる。
【0066】
補充用硬貨設定にある金種の項目には、補充用容器150に収納する硬貨金種が設定され、枚数の項目には、補充用容器150に収納する各金種の硬貨枚数が設定される。図5(a)に示す例では、容器番号「01」の補充用容器150には、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨等の複数金種の硬貨が、それぞれの硬貨について設定された枚数分収納される。容器番号「02」の補充用容器150には、1円硬貨のみが設定枚数分収納される。容器番号「03」の補充用容器150には、5円硬貨のみが設定枚数分収納される。このように、店員は、1つの補充用容器150に収納する1又は複数の金種を指定して、入金装置100に、各金種について指定した枚数分の硬貨を収納させることができる。入金装置100は、設定された硬貨を補充用容器150に収納し終えると、これを店員へ知らせる報知処理を実行する。
【0067】
補充用硬貨設定にある優先順位の項目には、硬貨を収納する際の補充用容器150の優先順位が設定される。例えば、客が入金した硬貨に1円硬貨が含まれていた場合、容器番号「01」及び「02」の補充用容器150の金種の項目に1円硬貨が設定されているが、1円硬貨は、優先順位が高い容器番号「01」の補充用容器150に収納される。容器番号「01」の補充用容器150に設定枚数分の1円硬貨が収納されると、これ以降、1円硬貨は、容器番号「02」の補充用容器150の設定枚数となるまで、容器番号「02」の補充用容器150に収納される。
【0068】
収納硬貨設定には、金種及び回収閾値の項目が含まれる。収納硬貨設定にある金種の項目には、通常容器145に収納する硬貨金種が設定される。例えば、金種の初期設定は「混合」となっており、店員が金種を指定しなければ、金種によらず硬貨が通常容器145に収納される。店員は、金種の項目で、通常容器145に金種を設定することもできる。図5(a)に示す例では、容器番号「10」の通常容器145には全金種の硬貨が混合収納され、容器番号「11」の通常容器145には1円硬貨が収納され、容器番号「12」の通常容器145には5円硬貨が収納される。
【0069】
収納硬貨設定にある回収閾値の項目には、通常容器145の回収要否を判定する判定基準となる硬貨枚数が設定される。入金装置100は、通常容器145の硬貨の収納枚数が回収閾値に達すると、回収を要すると判定して店員への報知処理を実行する。例えば、回収閾値の初期設定は「満杯」となっており、店員が枚数を指定しなければ、入金装置100によって満杯になったと判定されるまで、通常容器145に硬貨が収納される。店員は、回収閾値の項目に枚数を設定して、通常容器145毎に、入金装置100が回収を要すると判定する硬貨枚数を変更することもできる。
【0070】
現在枚数の項目には、通常容器145及び補充用容器150に現在収納されている硬貨の枚数が登録される。客が入金装置100で入金取引を行って硬貨を補充用容器150又は通常容器145に収納した入金装置100は、現在枚数の項目を更新する。
【0071】
図5(a)に示す例では、容器番号「10」の通常容器145の金種設定は「混合」となっているため、金種によらず全ての硬貨が収納されることになる。この他、店員が複数の金種を設定して、設定された複数金種の硬貨が混合状態で通常容器145に収納される場合もある。このように1つの通常容器145が混合収納で利用される場合、入金装置100は、容器内に収納されている各金種の硬貨枚数とは無関係に硬貨を収納する。具体的には、例えば、店員が通常容器145に1円硬貨及び5円硬貨を収納する設定とした場合、入金装置100は、この通常容器145に収納される1円硬貨の枚数及び5円硬貨の枚数が何枚になるかによらず、通常容器145が満杯になるまで1円硬貨及び5円硬貨を収納する。このため、通常容器145に1円硬貨及び5円硬貨がそれぞれ何枚収納されるかは、客が行う入金取引によって変化する。一方、店員が補充用容器150に1円硬貨及び5円硬貨を収納する設定とする場合には、同時に1円硬貨及び5円硬貨を何枚収納するかが設定される。このため、入金装置100は、1円硬貨及び5円硬貨を各金種の設定枚数分だけ補充用容器150に収納して、補充用容器150が満杯になっていなくても、これ以降、この補充用容器150に硬貨を収納しない。このように、入金装置100は、通常容器145とは異なる方法で、補充用容器150に硬貨を収納する。
【0072】
図5(b)は、バック機200の在高情報を説明するための図である。図5(b)に示す収納部番号は、バック機200が有する複数の収納部240を区別するための識別情報である。
【0073】
収納硬貨設定には、金種、回収閾値、補充閾値及び適正枚数の項目が含まれる。金種の項目には、収納部240に収納する硬貨金種が設定される。図5(b)に示す例では、収納部番号「01」の収納部240には1円硬貨が収納され、収納部番号「02」の収納部240には5円硬貨が収納され、収納部番号「03」の収納部240には10円硬貨が収納される。
【0074】
回収閾値の項目には、収納部240からの硬貨の回収要否を判定する判定基準となる硬貨枚数が設定される。バック機200は、収納部240の硬貨の収納枚数が回収閾値に達すると、回収を要すると判定して店員への報知処理を実行する。補充閾値の項目には、収納部240への硬貨の補充要否を判定する判定基準となる硬貨枚数が設定される。バック機200は、収納部240の硬貨の収納枚数が補充閾値に達すると、補充を要すると判定して店員への報知処理を実行する。
【0075】
適正枚数の項目は、収納部240に収納されていることが好ましい枚数の設定である。適正枚数は、回収閾値より少なくかつ補充閾値より多い枚数に設定される。入金処理時に硬貨を収納できるようにかつ出金処理時に硬貨を出金できるように適正枚数が設定される。例えば、店舗で営業開始前に釣銭用に準備する釣銭準備金の枚数が、適正枚数として設定される。
【0076】
補充作業時には、収納部240の硬貨枚数が適正枚数になるまで硬貨が補充される。例えば、適正枚数と補充閾値との差分が、入金装置100の補充用容器150の収納枚数に設定される。具体的には、例えば、収納部240の適正枚数が800枚、補充閾値が200枚である場合、収納部240の硬貨枚数が補充閾値に達して硬貨を補充する際に600枚(=適正枚数800枚-補充閾値200枚)の硬貨を補充できるように、補充用容器150に収納する硬貨の設定枚数が600枚に設定される。
【0077】
現在枚数の項目には、収納部240及びカセット250に現在収納されている硬貨の枚数が登録される。バック機200で入金処理及び出金処理が行われる度に、バック機200は現在枚数の項目を更新する。
【0078】
カセット250は、収納部240に収納できない硬貨、収納部240から回収する硬貨、収納部240へ補充する硬貨等の収納に利用される。このため、カセット250に収納する硬貨の金種や補充閾値は設定されないが、バック機200は、収納部240と同様に、カセット250に現在収納されている硬貨の金種及び金種別枚数を含むカセット250の在高情報を管理する。
【0079】
フロント機300も、バック機200と同様に、収納部340及びカセット350それぞれに収納されている硬貨の金種及び金種別枚数を含む在高情報を管理する。フロント機300の在高情報も、図5(b)と同様に、各収納部340の金種、回収閾値及び補充閾値の設定と、現在枚数とを含む。また、フロント機300もカセット350に現在収納されている硬貨の金種及び金種別枚数を含むカセット350の在高情報を管理する。
【0080】
管理装置3は、図5に示す、入金装置100の在高情報、バック機200の在高情報及びフロント機300の在高情報を記憶する。管理装置3は、バック機200のカセット250の在高情報及びフロント機300のカセット350の在高情報を記憶する。
【0081】
管理装置30は、入金装置100の補充用容器150に、予め設定された金種の硬貨が、予め設定された枚数分収納されると、これを店員に知らせる報知処理を実行する。管理装置30は、バック機200で補充閾値に達した収納部240が発生すると、これを店員に知らせる報知処理を実行する。管理装置30は、フロント機300で補充閾値に達した収納部340が発生すると、これを店員に知らせる報知処理を実行する。
【0082】
予め設定した金種及び枚数の硬貨が補充用容器150に収納されたとの報知を受けると、店員は、補充用容器150を入金装置100から回収して、図5(a)に示す対象装置の項目に設定されているバック機200又はフロント機300に補充用容器150内の硬貨を補充する。バック機200用の補充用容器150には、バック機200で補充が必要になった際に補充する貨幣が収納されている。フロント機300用の補充用容器150には、フロント機300で補充が必要になった際に補充する貨幣が収納されている。バック機200の収納部240に補充を要するとの報知を受けた店員は、バック機200用の補充用容器150の硬貨をバック機200に入金するだけで補充作業を終えることができる。同様に、フロント機300の収納部340に補充を要するとの報知を受けた店員は、フロント機300用の補充用容器150の硬貨をバック機200に入金するだけで補充作業を終えることができる。
【0083】
具体的には、例えば、1円硬貨を収納するバック機200の収納部240で硬貨枚数が補充閾値の200枚に達した場合に600枚を補充することが決まっている場合、店員は、入金装置100の補充用容器150の1つをバック機200に割り当てて1円硬貨600枚を収納するように設定する。補充用容器150に1円硬貨600枚が収納されたことが報知されると、店員は、入金装置100から補充用容器150を取り外して、代わりに空の補充用容器150を装着する。こうして、バック機200用の1円硬貨600枚の補充用容器150が準備される。バック機200で1円硬貨の補充が必要との報知を受けた店員は、補充用容器150の1円硬貨600枚をバック機200に補充して補充作業を終えることができる。他の金種についても同様に、補充用容器150に収納する金種及び枚数を設定するだけで、補充用の硬貨を準備することができる。金種によって補充枚数が異なる場合も、店員は、補充用容器150に設定する枚数を変更するだけでよい。フロント機300は、バック機200より小型の装置であるため、金種が同じであっても補充枚数が異なる場合があるが、このような場合でも、店員は、フロント機300用の補充用容器150に設定する収納枚数を変更するだけでよい。
【0084】
入金装置100の全ての補充用容器150に、設定された金種及び枚数の硬貨が収納されて、補充用容器150に硬貨を収納できなくなった場合でも、入金装置100は通常容器145に硬貨を収納することができる。このため、店員は、通常容器145が満杯になる前に、補充用容器150を空の容器と取り替えればよい。
【0085】
補充用容器150に、バック機200に収納する複数金種と金種別枚数とを設定した場合、バック機200で、ある金種の硬貨の補充が必要になったときに、補充用容器150に収納されている全ての硬貨をバック機200に補充できない可能性がある。
【0086】
例えば、バック機200用の補充用容器150に、1円硬貨600枚、5円硬貨600枚を収納するよう設定されており、補充用容器150に1円硬貨600枚、5円硬貨600枚を収納済みであるとする。
【0087】
バック機200で1円硬貨の枚数が補充閾値に達して600枚を補充する必要が生じた際に、バック機200内に5円硬貨が多く残っており、5円硬貨を適正枚数にするための硬貨の収納枚数が200枚であるとする。この場合、補充用容器150に収納されている硬貨のうち5円硬貨400枚(=補充容器内の600枚-バック機の収納可能枚数200枚)は、余剰硬貨となって、バック機200に収納できない。
【0088】
このように、補充用容器150の硬貨全てをバック機200に補充できない場合、管理装置3は、補充できない余剰硬貨の処理方法を決定することができる。図6は、管理装置3が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0089】
管理装置3は、貨幣処理装置、すなわちバック機200への貨幣の補充が必要か否かを在高情報に基づいて監視している(ステップS1;No)。管理装置3は、バック機200で図5(b)に示す現在枚数が更新される度に、現在枚数が補充閾値以下となった収納部240があるか否かを判定する。
【0090】
現在枚数が補充閾値以下となった収納部240が発生すると、管理装置3は、バック機200への硬貨の補充が必要であると判定する(ステップS1;Yes)。管理装置3は、入金装置100の在高情報に基づいて、バック機200用の補充用容器150に収納されている硬貨の金種及び金種別枚数を特定する。管理装置3は、バック機200の在高情報に基づいて、補充用容器150に収納されている硬貨全てをバック機200に補充できるか否か、すなわち収納部240に収納できるか否かを判定する(ステップS2)。
【0091】
補充用容器150の硬貨全てをバック機200に収納できる場合(ステップS2;Yes)、管理装置3は、報知処理を実行する(ステップS4)。例えば、バック機200への貨幣の補充が必要であることと、入金装置100から取り外す補充用容器150の容器番号とが店員に報知される。店員は、報知された容器番号の補充用容器150を入金装置100から取り外して、バック機200へ補充する補充作業を行う。
【0092】
補充用容器150の硬貨全てをバック機200に収納できない場合(ステップS2;No)、管理装置3は、バック機200に収納できない余剰硬貨の処理方法を決定する(ステップS3)。余剰硬貨の処理方法が決まると、管理装置3は報知処理を実行する(ステップS4)。バック機200への貨幣の補充が必要であることと、入金装置100から取り外す補充用容器150の容器番号とが店員に報知される。また、余剰硬貨の処理方法が店員に報知される。店員は、報知された容器番号の補充用容器150を入金装置100から取り外して、バック機200へ補充する補充作業時に、報知された方法で余剰硬貨の処理を行う。
【0093】
図7は、管理装置3で決定される余剰硬貨の処理方法を説明するための図である。図7に示すように、管理装置3には、バック機200及びフロント機300の装置種別に応じて、余剰硬貨の処理方法が複数種類準備されている。複数の処理方法に優先順位が設定されており、管理装置3は、優先順位の高い処理方法から順に、余剰硬貨を処理可能か否かを判定する。なお、店員は、管理装置3の操作部及び表示部、又は管理装置3と通信可能に接続したスマートフォン等の通信端末で、余剰硬貨の処理方法及び優先順位の設定を変更することができる。
【0094】
管理装置3は、図7に示す優先順位「1」のバック機200の処理方法で余剰硬貨を処理できるか否かを判定する。上述の例でバック機200への補充時に5円硬貨400枚が余剰硬貨となる場合、管理装置3は、各フロント機300の在高情報に基づいて、5円硬貨400枚を収納可能な1台のフロント機300を探索する。管理装置3は、各フロント機300について、適正枚数から現在枚数を差し引いた5円硬貨の補充可能枚数を算出し、補充可能枚数が400枚以上のフロント機300を探索する。フロント機300が見つかった場合、管理装置3は店員への報知処理を実行する。
【0095】
例えば、店員が所持する通信端末の画面上に、入金装置100から取り外すバック機200用の補充用容器150の容器番号に加えて、余剰硬貨が発生するためバック機200に余剰硬貨分の収納スペースを確保する作業が必要であることを示す情報が表示される。また、余剰硬貨の金種及び金種別枚数と、余剰硬貨相当分の硬貨をバック機200からフロント機300へ補充する補充作業の実行を指示する情報と、管理装置3が探索したフロント機300の装置番号とが表示される。
【0096】
報知を受けた店員は、報知内容に従い、5円硬貨400枚をバック機200から、指示された装置番号のフロント機300へ補充した後、入金装置100から取り外した補充用容器150の硬貨をバック機200に補充する。店員は、補充用容器150に収納されている硬貨をバック機200の入金部211に投入して、全ての硬貨をバック機200に補充することができる。
【0097】
図7に示す優先順位「1」の処理方法で余剰硬貨を処理できない場合、管理装置3は、優先順位「2」の処理方法で余剰硬貨を処理できるか否かを判定する。このように、管理装置3は、図7の優先順位で設定された順に余剰硬貨の処理方法を実行可能であるか否かを判定して、実行可能な余剰硬貨の処理方法を店員に報知する。
【0098】
図7に示す優先順位「2」のバック機200の処理方法は、余剰硬貨を分けて、複数台のフロント機300へ収納する処理である。例えば、5円硬貨400枚の余剰硬貨を、収納可能なフロント機300はないが、200枚ずつに分けて収納可能な2台のフロント機300があれば、管理装置3は、この処理方法を実行可能であると判定する。この場合、管理装置3は、2台のフロント機の300の装置番号と、バック機200からこれら2台のフロント機300へ5円硬貨を200枚ずつ補充してから、補充用容器150の硬貨をバック機200に補充するよう店員に指示する報知処理を実行する。
【0099】
図7に示す優先順位「3」のバック機200の処理方法は、バック機200のカセット250に余剰硬貨を収納する処理である。例えば、バック機200が、補充作業時に補充できない硬貨をカセット250に収納するよう設定されており、かつ、カセット250に余剰硬貨を収納可能である場合に、管理装置3は、この処理方法を実行可能であると判定する。この場合、管理装置3は、補充作業時に発生する余剰硬貨がバック機200のカセット250に収納されることを店員に知らせる報知処理を実行する。
【0100】
図8は、余剰硬貨の処理の例を説明するための図である。補充用容器150の硬貨をバック機200の入金口211aから投入すると、図8(a)に実線矢印で示すように、繰出部211bから繰り出された硬貨が識別部220で識別されて収納部240へ収納される。収納部240に収納できない余剰硬貨は、図8(a)に破線矢印で示すようにカセット250へ収納される。
【0101】
余剰硬貨がカセット250に収納されると、バック機200は、所定のタイミングで、余剰硬貨を収納部240に補充する。例えば、出金処理等により収納部240の硬貨が減少すると、バック機200は、図8(b)に実線矢印で示すように、カセット250から余剰硬貨を繰り出して識別部220で識別して収納部240へ補充する。カセット250が、収納部240に収納されない硬貨を収納している場合もあるが、この硬貨は識別部220で識別された後カセット250へ戻される。
【0102】
図7に示す優先順位「4」のバック機200の処理方法は、補充開始前に、バック機200から装置外へ硬貨を回収して、収納部240に、余剰硬貨の収納スペースを確保する処理方法である。この場合、管理装置3は、余剰硬貨相当分の硬貨を予めバック機200から装置外へ回収する回収作業を実行してから、補充用容器150の硬貨をバック機200に補充するよう店員に指示する報知処理を実行する。報知を受けた店員は、余剰硬貨と同一金種の硬貨を余剰硬貨の枚数分、バック機200の収納部240から装置外へ排出させて回収してから、補充用容器150の硬貨をバック機200に補充する。これにより、補充用容器150の硬貨全てがバック機200の収納部240に収納されて補充作業が完了する。このときバック機200から装置外へ回収された硬貨は、例えば、警送会社が回収にくるまでバックオフィスで管理される。
【0103】
図7に示す優先順位の「5」のバック機200の処理方法は、補充時に余剰硬貨をバック機200の出金部212から排出させて回収する処理である。この場合、管理装置3は、バック機200への補充時に余剰硬貨が出金部212から排出されることを店員に知らせる報知処理を実行する。報知を受けた店員は、補充作業時に出金部212から排出された余剰硬貨を、例えば、警送会社が回収にくるまでバックオフィスで管理する。なお、優先順位「4」の処理が実行不能と判定されることはないため、図7に示す設定で優先順位「5」の処理が実行されることはない。例えば、事前回収よりも補充時回収の方が好ましい場合は、優先順位の「4」と「5」とを入れ換えて設定すればよい。
【0104】
図6に示す処理はフロント機300についても行われ、余剰硬貨が発生する場合、管理装置3は、図7に示す優先順位で余剰硬貨の処理方法を決定する。優先順位の「-」のマークは、この処理は判定対象外であること、すなわちフロント機300で実行されないことを示している。このように、店員は、実行する処理と実行しない処理とを設定することも可能となっている。
【0105】
例えば、補充用容器150の硬貨をフロント機300の入金部311から補充した際に、収納部340に収納できない余剰硬貨を、別の1台のフロント機300に収納できる場合、管理装置3は、このフロント機300の装置番号と、補充作業時に発生する余剰硬貨を別のフロント機300へ補充する必要があることとを、店員に報知する。店員は、補充用容器150の硬貨を、補充対象のフロント機300の入金部311から補充する。余剰硬貨は、フロント機300の出金部312から排出される。店員は、出金部312から排出された硬貨を、管理装置3から通知された別のフロント機300へ補充する。
【0106】
管理装置3が、余剰硬貨をフロント機300のカセット350へ収納することを決定した場合、店員は、補充用容器150の硬貨を、補充対象のフロント機300の入金部311から補充する。余剰硬貨は、図8(a)に示すバック機200での処理と同様に、フロント機300のカセット350に収納される。その後、フロント機300で出金処理等が実行されて、カセット350の余剰硬貨を収納部340に収納できるようになると、図8(b)に示すバック機200での処理と同様に、カセット350から繰り出された余剰硬貨が識別部320で識別されて収納部340へ補充される。
【0107】
本実施形態では、入金装置100の補充用容器150に収納する硬貨の金種及び金種別枚数が、予め店員によって手動で設定される例を示したが、バック機200及びフロント機300の在高情報に基づいて自動的に設定される態様であってもよい。管理装置3が、バック機200の在高情報に基づいて、バック機200に補充する硬貨の金種及び金種別枚数を決定して、バック機200用の補充用容器150に設定する態様であってもよい。
【0108】
例えば、図5(b)に示す在高情報に基づいて、管理装置3が、バック機200の各収納部240における適正枚数から補充閾値を差し引いた補充枚数を算出して、各収納部240の金種と補充枚数とを、補充用容器150の金種及び枚数として設定すればよい。フロント機300についても同様に、管理装置3が、フロント機300の在高情報に基づいて、フロント機300用の補充用容器150に収納する硬貨の金種及び金種別枚数を、自動設定する態様であってもよい。
【0109】
管理装置3が、図5(b)に示す適正枚数から現在枚数を差し引いた枚数を補充用容器150の枚数の項目に設定する態様であってもよい。補充用容器150に収納する硬貨の設定枚数を、硬貨の補充先である装置200、300の在高情報に応じた枚数にリアルタイムに変更すれば、補充作業時に収納部240、340に収納できない余剰硬貨の枚数を抑えることができる。
【0110】
管理装置3が、バック機200の在高情報の履歴を記録して、過去の在高の推移に基づいて、バック機200に補充が必要となる硬貨の金種及び金種別枚数を予測し、予測結果に基づいて補充用容器150の設定を行う態様であってもよい。例えば、過去の履歴から、バック機200で1円硬貨300枚が不足することが予測される場合、管理装置3が、バック機200用の補充用容器150に1円硬貨300枚を収納するように設定すればよい。例えば、過去1週間、1ヶ月というように所定期間の履歴に基づく予測を実行すればよい。フロント機300についても同様に、管理装置3が、フロント機300の過去の在高の推移に基づいて、フロント機300用の補充用容器150の設定を自動変更する態様であってもよい。
【0111】
本実施形態では、入金装置100の通常容器145及び補充用容器150が袋体である例を説明したが、通常容器145と補充用容器150の少なくともいずれか一方がカセット式容器であってもよい。例えば、入金装置100、バック機200及びフロント機300に着脱可能なカセット式容器を補充用容器150として利用する場合でも、上述したように補充作業を行うことができる。
【0112】
カセット式容器である補充用容器150が記憶装置を有し、入金装置100、バック機200及びフロント機300が記憶装置の情報を読み書きする読取装置を備える態様であってもよい。在高情報等を補充用容器150の記憶部を介してやり取りして、バック機200が管理装置3として機能するようにすれば、ネットワーク2及び管理装置3を利用できない環境下でも、上述したように補充作業を行うことができる。
【0113】
本実施形態では、貨幣処理システム1が、管理装置3と、入金装置100と、複数の貨幣処理装置11、12とによって構成される例を示したが、該構成は機能概略的なものであり、貨幣処理システム1の構成が物理的に該構成に限定されるものではない。例えば、図2に示した例において、貨幣処理装置11が、上述した管理装置3の機能及び動作の一部又は全部を実現する態様であってもよい。各装置の分散・統合の形態は上述した例に限定されず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0114】
上述したように、本実施形態に係る貨幣入金装置、貨幣処理システム及び貨幣処理方法によれば、客が入金装置に入金した貨幣を、別の貨幣処理装置の補充に利用することができる。入金装置が、貨幣処理装置で必要になる貨幣の金種及び金種別枚数を補充用容器に収納するよう設定することができるので、店員は、入金装置から取り外した補充用容器の貨幣を貨幣処理装置の入金部へ投入するだけでよい。補充作業時に、貨幣処理装置に収納できない余剰硬貨が発生する場合でも、余剰硬貨の処理方法が決定されて報知されるので、店員は、報知内容に従って作業するだけでよい。これにより、店員は、補充作業を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0115】
1 貨幣処理システム
2 ネットワーク
3 管理装置
11、12 貨幣処理装置
14 収納部
22 識別部
30 管理装置
100 入金装置
145 通常容器
150 補充用容器
200、300 硬貨処理装置
210、310 紙幣処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8