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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139205
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】防音壁ユニット
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20241002BHJP
   E04B 1/86 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
E01F8/00
E04B1/86 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050041
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】森本 裕介
【テーマコード(参考)】
2D001
2E001
【Fターム(参考)】
2D001AA01
2D001BA03
2D001BB01
2D001CA01
2D001CB02
2D001CC02
2D001CD02
2E001DF01
2E001DF04
2E001FA30
2E001GA12
2E001GA18
2E001GA81
2E001GA82
2E001HA32
2E001HD09
(57)【要約】
【課題】構成部材の数及び継ぎ目部の数を抑えた防音壁ユニットを提供する。
【解決手段】防音壁ユニット10は、吸音材を有する吸音板11と、上下方向Zに沿って延び、吸音板11を保持する壁本体21と、壁本体21の下端部に接続されたベース部材41と、を備え、壁本体21は、一枚の板材を加工することにより一体に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸音材を有する吸音板と、
上下方向に沿って延び、前記吸音板を保持する壁本体と、
前記壁本体の下端部に接続されたベース部材と、
を備え、
前記壁本体は、一枚の板材を加工することにより一体に形成されている、防音壁ユニット。
【請求項2】
前記壁本体は、
第1嵌合部と、
前記第1嵌合部と嵌め合う第2嵌合部と、
を有する、請求項1に記載の防音壁ユニット。
【請求項3】
前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部が、前記板材を加工することによりそれぞれ形成されている、請求項2に記載の防音壁ユニット。
【請求項4】
前記第1嵌合部は段部であり、
前記第2嵌合部は凸部である、請求項2又は3に記載の防音壁ユニット。
【請求項5】
前記吸音板は、前記第1嵌合部と嵌め合う吸音嵌合部を有する、請求項2又は3に記載の防音壁ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音壁ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新幹線をはじめとする鉄道の高速化に伴い、騒音防止の観点から、防音壁の新設や、既設の防音壁の防音性能を向上させる必要が生じている。また、施工性を高めるため、軽量で重機を使用せず、昼夜施工が可能な防音壁が求められている。
【0003】
従来の防音壁は、例えば特許文献1及び2に記載されるように、複数の防音壁ユニットを接続して構成される。各防音壁ユニットは、防音パネル(吸音板)と、H型鋼等の支柱と、により構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-255098号公報
【特許文献2】特開2019-085754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の防音壁ユニットでは、以下の問題がある。
すなわち、防音壁ユニットの構成部材が多く、敷設現場での施工手間がかかる。構成部材が多いと、構成部材同士を固定するために、ボルト等の固定部材が必要になる。このため、防音壁ユニット全体として重量が重く、施工時に重機が必要である。
また、車両走行中は防音壁ユニットの吊り上げ高さに制約があるため、必然的に工事費のかかる夜間の施工作業が発生する。防音壁ユニットに使用されるボルトの数が多いと、列車風圧等の繰返し荷重による固定部材の緩み、破損等の老朽劣化により、構成部材が落下するリスクが高くなる。
さらに、ボルトが軌道外側方向に面して設置されている場合、ボルトが落下した際に民地側へ落下することとなる。この場合、安全の観点からも大きな問題がある。
【0006】
また、鋼構造物は一般的に、平板部と比較して、継ぎ目部となる孔空き部に応力が集中し、破壊の起点となりやすい傾向がある。そのため長期使用性の観点からも、構成部材同士の継ぎ目部が少ない方が望ましい。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、構成部材の数及び継ぎ目部の数を抑えた防音壁ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、吸音材を有する吸音板と、上下方向に沿って延び、前記吸音板を保持する壁本体と、前記壁本体の下端部に接続されたベース部材と、を備え、前記壁本体は、一枚の板材を加工することにより一体に形成されている、防音壁ユニットである。
【0009】
この発明では、壁本体に保持された吸音板の吸音材により、音を吸収することができる。例えば、壁本体は、ベース部材により軌道等に取付けられる。
ここで、壁本体は、一枚の板材を加工することにより一体に形成されている。このため、吸音板を保持する部分、及びベース部材に接続される部分が一体に形成され、防音壁ユニットにおける構成部材の数を抑えることができる。また、壁本体における、吸音板を保持する部分、及びベース部材に接続される部分が、一枚の板材を加工することにより一体に形成されているため、防音壁ユニットにおける継ぎ目部の数を抑えることができる。
【0010】
(2)本発明の態様2は、前記壁本体は、第1嵌合部と、前記第1嵌合部と嵌め合う第2嵌合部と、を有する、(1)に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、防音壁ユニットの第1嵌合部と、この防音壁ユニットとは別の防音壁ユニットの第2嵌合部とを嵌め合わせることにより、一対の防音壁ユニットを互いに嵌め合わせることができる。
【0011】
(3)本発明の態様3は、前記第1嵌合部及び前記第2嵌合部が、前記板材を加工することによりそれぞれ形成されている、(2)に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、形状が比較的複雑になりがちな第1嵌合部及び第2嵌合部を、板材を加工することによりそれぞれ形成することができる。
【0012】
(4)本発明の態様4は、前記第1嵌合部は段部であり、前記第2嵌合部は凸部である、(2)又は(3)に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、一枚の板材を加工することにより、段部及び凸部を比較的容易に形成することができる。
【0013】
(5)本発明の態様5は、前記吸音板は、前記第1嵌合部と嵌め合う吸音嵌合部を有する、(2)から(4)のいずれか一に記載の防音壁ユニットであってもよい。
この発明では、吸音板における吸音面積を増加させるとともに、吸音板の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の防音壁ユニットでは、構成部材の数及び継ぎ目部の数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態の防音壁ユニットを備える防音壁の斜視図である。
図2】同防音壁ユニットの吸音板の正面図である。
図3】同吸音板の背面図である。
図4】同防音壁ユニットの下部における平面視した断面図である。
図5】同防音壁ユニットの下部の斜視図である。
図6】同防音壁ユニットの上部における平面視した断面図である。
図7】同防音壁ユニットの壁本体の斜視図である。
図8】同壁本体の正面図である。
図9】同壁本体の側面図である。
図10】同壁本体の展開図である。
図11】同防音壁ユニットの組立て方法を示すフローチャートである。
図12】同防音壁が施工されるスラブ軌道の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る防音壁ユニットの一実施形態を、図1から図12を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の防音壁ユニット10は、防音壁1に用いられる。
防音壁1は、複数の防音壁ユニット10と、連結部材45と、を備える。なお、防音壁1が備える防音壁ユニット10の数は、限定されない。
防音壁ユニット10は、吸音板11と、壁本体21と、締結部材(不図示)と、ベース部材41と、を備える。図2及び図3に示すように、吸音板11は、吸音材12と、収容部13と、を有する。
【0017】
吸音材12は、グラスウール、発泡スチロール等で平板状に形成されている。
収容部13は、外形が直方体の箱状に形成されている。収容部13には、吸音材12が収容されている。例えば、収容部13は、枠体15と、第1側壁16と、第2側壁17と、を有する。
【0018】
枠体15は、吸音材12の外周縁を保持している。図4に示すように、枠体15における上下方向Zに沿って延びる一辺には、吸音嵌合部15bが形成されている。ここで、甲が乙に沿って延びるとは、甲と乙とのなす角度が、30度以下であることを意味する。このなす角度は、15度以下であることが、より好ましい。例えば、甲が上下方向Zに該当し、乙が一辺に該当する。
吸音嵌合部15bは、後述する第1支柱22Aの第1嵌合部26Aの形状に対応して、収容部13の内側に向かって凹む段部である。吸音板11は、吸音嵌合部15bを有する。吸音材12は、枠体15の吸音嵌合部15bの形状に対応して凹んでいる。
【0019】
図2に示すように、例えば、第1側壁16は、パンチングメタルで形成されている。第1側壁16には、複数の貫通孔16aが形成されている。
図3に示すように、第2側壁17は、第1側壁16に対向するように配置されている(図4も参照)。例えば、第2側壁17は、複数の連結片18を有している。複数の連結片18は、枠体15に架け渡され、互いに間隔を空けて配置されている。枠体15及び複数の連結片18により、開口18aが形成されている。すなわち、第2側壁17には、開口18aが形成されている。
なお、収容部13が有する連結片18の数は、限定されない。
【0020】
なお、枠体15は、後述する第2支柱22Bの第2嵌合部26Bの形状に対応して、収容部13の外側に向かって突出する凸部である吸音嵌合部を有してもよい。この場合、吸音材12は、枠体15の吸音嵌合部の形状に対応して突出している。
【0021】
図1図4、及び図5に示すように、壁本体21内に吸音板11が配置される。壁本体21は、上下方向Zに沿って延び、吸音板11を保持する。
壁本体21は、第1支柱22Aと、第2支柱22Bと、連結板35と、規制板37と、を有する。なお、図5では、吸音板11を示していない。
支柱22A,22Bは、上下方向Zに沿って延びている。支柱22A,22Bは、吸音板11を、上下方向Zに交差する第1交差方向Xに挟んでいる。なお、第1交差方向Xは、上下方向Zに直交する方向としてもよい。
ここで、上下方向Z及び第1交差方向Xにそれぞれ交差する方向を、第2交差方向Yと規定する。なお、第2交差方向Yは、上下方向Z及び第1交差方向Xにそれぞれ直交する方向としてもよい。
【0022】
図4に示すように、吸音板11における第2交差方向Yの第1側Y1(以下では、単に第1側Y1とも言う)を向く第1面16bは、収容部13の第1側壁16の外側の外面である。吸音板11において、第2交差方向Yにおける第1側Y1とは反対側の第2側Y2(以下では、単に第2側Y2とも言う)を向く第2面18bは、連結片18の外側の外面である。吸音板11における第1交差方向Xを向く第3面15aは、枠体15の外側の外面である。
第2側壁17は、収容部13の第2側Y2に位置する。開口18aは、第2側壁17を第2交差方向Yに貫通している。
【0023】
第1支柱22Aは、第2支柱22Bよりも第1交差方向Xの第1側X1(以下では、単に第1側X1とも言う)に配置されている。第1支柱22Aは、第1片23Aと、第2片24Aと、第3片25Aと、第1嵌合部26Aと、を有する。第1片23A、第2片24A、及び第3片25Aは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状(帯状)に形成されている。
第1片23Aは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第1片23Aの、第1交差方向Xにおける第1側X1とは反対側の第2側X2(以下では、単に第2側X2とも言う)の端部は、ヘミング曲げされていることが好ましい。第1片23Aは、吸音板11の第1面16bを支持する。
第2片24Aは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第2片24Aは、第1片23Aよりも第2側Y2に配置され、第1片23Aと第2交差方向Yに対向している。第2片24Aは、吸音板11の第2面18bを支持する。
第3片25Aは、第1片23Aの第1側X1の端部から第2側Y2に向かって延びている。第3片25Aは、吸音板11の第3面15aを支持する。
【0024】
第1嵌合部26Aは、第2片24Aと第3片25Aとの接続部分から、壁本体21の内側に向かって凹んでいる。すなわち、第1嵌合部26Aは、この接続部分から壁本体21の内側に向かって凹む段部である。吸音板11の吸音嵌合部15bは、第1嵌合部26Aと嵌め合う(図4参照)。
第1嵌合部26Aは、第1嵌合片29Aと、第2嵌合片30Aと、を有する。第1嵌合片29A及び第2嵌合片30Aは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状に形成されている。
第1嵌合片29Aは、第3片25Aの第2側Y2の端部から第2側X2に向かって突出している。
第2嵌合片30Aは、第1嵌合片29Aにおける第2側X2の端部から第2側Y2に向かって突出している。第2嵌合片30Aの第2側Y2の端部は、第2片24Aの第1側X1の端部に接続されている。
【0025】
図1に示すように、第1支柱22Aでは、第2片24A及び第3片25Aは、第1片23Aよりも上方にそれぞれ延びている。第2片24Aの上端、及び第3片25Aの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
第1片23Aの下端、第2片24Aの下端、及び第3片25Aの下端は、規制板37よりも下方までそれぞれ延びている。
すなわち、支柱22A,22Bの下部(以下では、下部支柱構造31Lと言う)における上下方向Zに直交する断面形状は、図4に示すようになる。下部支柱構造31Lは、第1片23Aを有する。
一方で、支柱22A,22Bの上部(以下では、上部支柱構造31Uと言う)における上下方向Zに直交する断面形状は、図6に示すようになる。上部支柱構造31Uは、第1片23Aを有さない。
以下では、図1に示すように、下部支柱構造31Lと上部支柱構造31Uとの上下方向Zにおける境界を、境界位置P1と言う。
【0026】
図4に示すように、第2支柱22Bは、第1片23Bと、第2片24Bと、第3片25Bと、第2嵌合部26Bと、を有する。第1片23B、第2片24B、及び第3片25Bは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状に形成されている。
第1片23Bは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第1片23Bは、吸音板11の第1面16bを支持する。第1片23Bは、第1片23Aよりも第2側X2に、第1片23Aとの間で間隔を空けて配置されている。
第2片24Bは、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。第2片24Bは、第1片23Bよりも第2側Y2に配置され、第1片23Bと第2交差方向Yに対向している。第2片24Bは、吸音板11の第2面18bを支持する。第2片24Bは、第2片24Aよりも第2側X2に、第2片24Aとの間で間隔を空けて配置されている。
【0027】
第3片25Bは、第1片23Bの第2側X2の端部から第2側Y2に向かって延びている。第3片25Bは、吸音板11の第3面15aを支持する。第3片25Bは、第3片25Aよりも第2側X2に、第3片25Aとの間で間隔を空けて配置されている。
【0028】
第2嵌合部26Bは、第2片24Bと第3片25Bとの接続部分から、壁本体21の外側に向かって突出している。すなわち、第2嵌合部26Bは、この接続部分から壁本体21の外側に向かって突出する凸部である。
第2嵌合部26Bは、第1嵌合片29Bと、第2嵌合片30Bと、を有する。第1嵌合片29B及び第2嵌合片30Bは、それぞれ上下方向Zに延びる平板状に形成されている。
【0029】
第1嵌合片29Bは、第3片25Bの第2側Y2の端部から第2側X2に向かって突出している。
第2嵌合片30Bは、第1嵌合片29Bにおける第2側X2の端部から第2側Y2に向かって突出している。第2嵌合片30Bの第2側Y2の端部は、第2片24Bの第2側X2の端部に接続されている。
この例では、第1嵌合部26A、第2嵌合部26Bは、第1支柱22A、第2支柱22Bにおける第2側Y2の部分(後述する一対のレール103とは反対側の部分)に配置されている。なお、支柱22A,22Bに対する嵌合部の第2交差方向Yの配置位置は、限定されない。
ある防音壁ユニット10の第2嵌合部26Bは、他の防音壁ユニット10の第1嵌合部26Aと嵌め合う。
吸音板11は、第1支柱22Aの第1嵌合部26Aと第2支柱22Bの第2嵌合部26Bとの間に配置されている。
【0030】
図1に示すように、第2支柱22Bでは、第2片24B及び第3片25Bは、第1片23Bよりも上方にそれぞれ延びている。第2片24Bの上端、及び第3片25Bの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
第1片23Bの下端、第2片24Bの下端、及び第3片25Bの下端は、規制板37よりも下方までそれぞれ延びている。
【0031】
図4に示すように、下部支柱構造31Lは第1片23Bを有する。一方で、図6に示すように、上部支柱構造31Uは第1片23Bを有さない。
図1に示すように、第1支柱22Aの第1片23Aの上端、及び第2支柱22Bの第1片23Bの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。上下方向Zに直交する断面形状は、図4に示す下部支柱構造31Lの支柱22A,22Bでは、それぞれコ字状(C字状)であり、図6に示す上部支柱構造31Uの支柱22A,22Bでは、それぞれL字状である。
図4に示す下部支柱構造31Lにおいて、第1支柱22Aの開口、及び第2支柱22Bの開口は、第1交差方向Xに対向している。
図1に示すように、第1支柱22Aの上端、及び第2支柱22Bの上端は、上下方向Zにおいて同等の位置に配置されている。
【0032】
連結板35は、上下方向Z及び第1交差方向Xにそれぞれ延びる平板状に形成され、自身の厚さ方向が第2交差方向Yに沿うように配置されている。連結板35は、第1支柱22Aの第2片24A、及び第2支柱22Bの第2片24Bにそれぞれ接続されている。
図5に示すように、規制板37は、平板状に形成され、連結板35における下方の部分に設けられている。規制板37は、自身の厚さ方向が、上下方向Zに沿うように配置されている。この例では、規制板37は、連結板35の一部を切り欠いて折り曲げることにより形成されている。
このように、規制板37は、連結板35を介して支柱22A,22Bに設けられている。規制板37は、吸音板11を、吸音板11の下方から支持する。
なお、規制板37は、支柱22A,22Bの一方に設けられてもよい。規制部材の形状は、平板状に限定されない。
【0033】
以上のように構成された壁本体21の第1支柱22A、第2支柱22B、連結板35、及び規制板37は、例えば、図7から図10に示すように、継ぎ目の無い一枚の板材を加工することにより一体に形成されている(一体に形成されてなる)。より詳しくは、第1嵌合部26A及び第2嵌合部26Bが、前記板材を加工することによりそれぞれ形成されている。
例えば、板材には鋼板が用いられる。加工は、曲げ加工、折り加工、及び折り曲げ加工のいずれであってもよい。
例えば、ロール状の鋼板を、図10に示す壁本体21の展開形状に打ち抜き、プレス機等で順次、図7から図9に示す壁本体21の形状に加工していく。
図1に示す、規制板37の上面と境界位置P1との上下方向Zの距離L1は、吸音板11の上下方向Zの長さの0.4倍以上0.6倍以下であることが好ましい。
【0034】
例えば、締結部材には、ボルト及びナットが用いられる。ナットは、施工性の観点よりブラインドナットであることが好ましい。また、長期間使用の際の堅牢性の点から、ゆるみ止め機能を有するナットであることが望ましい。締結部材は、吸音板11と一対の支柱22A,22Bとを固定する。
なお、締結部材は、ボルト及びナットに限定されない。
ベース部材41の構成は、限定されない。ベース部材41は、支柱22A,22B(壁本体21)の下端部にそれぞれ接続されている。ベース部材41には、後述するアンカーボルト105を通すための貫通孔42が形成されている(図5参照)。
【0035】
図1及び図4に示すように、複数の防音壁ユニット10は、第1交差方向Xに並べて配置されている。このとき、図4に示すように、第1交差方向Xに隣り合う一対の防音壁ユニット10のうち、第1側X1に配置された防音壁ユニット10の第2嵌合部26Bと、第2側X2に配置された防音壁ユニット10の第1嵌合部26Aとが嵌め合う。
図1に示すように、例えば、連結部材45には、リップ溝形鋼等が用いられる。連結部材45は、複数の防音壁ユニット10を連結する。
ここで、第1支柱22Aにおける、第1片23Aよりも上方、かつ、第2片24A及び第3片25Aの上端の高さよりもそれぞれ下方の部分を、第1切欠き部分P6と言う。第2支柱22Bにおける、第1片23Bよりも上方、かつ、第2片24B及び第3片25Bの上端の高さよりもそれぞれ下方の部分を、第2切欠き部分P7と言う。
【0036】
次に、以上のように構成された防音壁ユニット10を組立てる防音壁ユニットの組立て方法(以下では、単に組立て方法とも言う)について説明する。
図11は、組立て方法S1を示すフローチャートである。
防音壁ユニット10は、図12に示すように、例えばスラブ軌道100に施工される。
スラブ軌道100は、路盤鉄筋コンクリート101と、軌道スラブ102と、一対のレール(軌道)103と、を有する。
路盤鉄筋コンクリート101には、後述するアンカーボルト105用の穴101aが形成されている。
軌道スラブ102は、路盤鉄筋コンクリート101上に配置されている。一対のレール103は、軌道スラブ102上に、軌道スラブ102の幅方向に互いに間隔を空けて配置されている。一対のレール103上を、電車110が走行する。
【0037】
まず、配置ステップ(図11に示すステップS6)において、図12に示すように、防音壁ユニット10のベース部材41を、スラブ軌道100の路盤鉄筋コンクリート101上に配置する。この防音壁ユニット10には、吸音板11は取付けられていない。
このとき、第1側Y1がレール103側を向くように、防音壁ユニット10を配置する。
配置ステップS6が終了すると、ステップS7に移行する。
次に、挿入ステップS7において、第1切欠き部分P6及び第2切欠き部分P7を通して、支柱22A,22Bの間に吸音板11を挿入する。
【0038】
吸音板11の挿入は、防音壁ユニット10に対する、第1側Y1と上方との間の向きから行う。
挿入ステップS7が終了すると、ステップS8に移行する。
次に、固定ステップS8において、路盤鉄筋コンクリート101にベース部材41を、アンカーボルト105で固定する。
固定ステップS8が終了すると、組立て方法S1の全ステップが終了し、防音壁ユニット10が組立てられる。
【0039】
防音壁ユニット10の組立てを必要な数繰り返し、複数の防音壁ユニット10を、第1交差方向Xに並べる。複数の防音壁ユニット10を連結部材45で接続し、防音壁1を組立てる。
連結部材45により、複数の防音壁ユニット10の施工時の水平出しと位置決め作業が簡便になり、作業性が向上する。
なお、設置場所は、スラブ軌道100に限定されない。
【0040】
以上説明したように、本実施形態の防音壁ユニット10では、壁本体21に保持された吸音板11の吸音材12により、音を吸収することができる。例えば、壁本体21は、ベース部材41により軌道等に取付けられる。
ここで、壁本体21は、一枚の板材を加工することにより一体に形成されている。このため、吸音板を保持する部分、及びベース部材41に接続される部分が一体に形成され、防音壁ユニット10における構成部材の数を抑えることができる。また、壁本体21における、吸音板11を保持する部分、及びベース部材41に接続される部分が、一枚の板材を加工することにより一体にされているため、防音壁ユニット10における継ぎ目部の数を抑えることができる。
そして、防音壁ユニット10の施工性を向上させるとともに、防音壁ユニット10の軽量化を図ることができる。防音壁ユニットの構成部材が落下するリスクを低減させることができる。
【0041】
壁本体21は、第1嵌合部26Aと、第2嵌合部26Bと、を有する。このため、防音壁ユニット10の第1嵌合部26Aと、この防音壁ユニット10とは別の防音壁ユニット10の第2嵌合部26Bとを嵌め合わせることにより、一対の防音壁ユニット10を互いに嵌め合わせることができる。
壁本体21の断面二次モーメントが向上し、暴風、電車110の風により発生する応力に耐えることができる。壁本体21の厚さを薄くすることができ、壁本体21の低コスト化及び軽量化が図れる。一対の防音壁ユニット10の間から、音が漏れるのを防止することができる。防音壁ユニット10の交換が容易になる。
【0042】
第1嵌合部26A及び第2嵌合部26Bが、前記板材を加工することによりそれぞれ形成されている。これにより、形状が比較的複雑になりがちな第1嵌合部26A及び第2嵌合部26Bを、前記板材を加工することによりそれぞれ形成することができる。
第1嵌合部26Aは段部であり、第2嵌合部26Bは凸部である。従って、一枚の板材を加工することにより、段部及び凸部を比較的容易に形成することができる。
【0043】
吸音板11は、第1嵌合部26Aと嵌め合う吸音嵌合部15bを有する。このため、吸音板11における吸音面積を増加させるとともに、吸音板11の剛性を高めることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、第1嵌合部及び第2嵌合部は、互いに嵌め合い可能であれば、形状は限定されない。
防音壁ユニット10は、第1嵌合部26A及び第2嵌合部26Bを有さなくてもよい。
吸音板11は、吸音嵌合部15bを有さなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
10 防音壁ユニット
11 吸音板
12 吸音材
15b 吸音嵌合部
21 壁本体
26A 第1嵌合部
26B 第2嵌合部
41 ベース部材
Z 上下方向
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