IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図1
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図2
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図3
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図4
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図5
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図6
  • 特開-電圧測定用基板および蓄電システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139210
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電圧測定用基板および蓄電システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20241002BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241002BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20241002BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20241002BHJP
   H01M 50/519 20210101ALI20241002BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20241002BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20241002BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20241002BHJP
【FI】
G01R19/165 M
H02J7/00 301E
G01R19/00 B
H01M50/569
H01M50/519
H01M50/284
H01M50/298
H01G13/00 361Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050051
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】中山 正人
【テーマコード(参考)】
2G035
5E082
5G503
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
2G035AA01
2G035AB03
2G035AC01
5E082MM35
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA03
5H040AA40
5H040AS07
5H040AT06
5H040DD07
5H040DD10
5H040DD26
5H043AA13
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA16
5H043BA19
5H043CA21
5H043FA32
(57)【要約】
【課題】汎用性の高い電圧測定用基板の提供。
【解決手段】電圧測定用基板は、予め定められたm個の電圧測定ユニットを有している。m個の電圧測定ユニットは、予め定められたセル直列数Nに対して順に配置された(N+1)個の接続ポートと、(N+1)個の接続ポートからそれぞれ延びた複数の電圧測定線と、(N+1)個の接続ポートのうち隣り合う接続ポートから延びた一対の電圧測定線に接続され、当該隣り合う接続ポート間の電圧を測定する電圧測定器とをそれぞれ備えている。m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、複数の電圧測定線のうち少なくとも1つの電圧測定線から分岐した分岐配線と、分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを備えている。mは1以上の整数であり、Nは2以上の整数である。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められたm個の電圧測定ユニットを有する電圧測定用基板であって、
前記m個の電圧測定ユニットは、
予め定められたセル直列数Nに対して順に配置された(N+1)個の接続ポートと、
前記(N+1)個の接続ポートからそれぞれ延びた複数の電圧測定線と、
前記(N+1)個の接続ポートのうち隣り合う接続ポートから延びた一対の電圧測定線に接続され、当該隣り合う接続ポート間の電圧を測定する電圧測定器と
をそれぞれ備え、
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、
前記複数の電圧測定線のうち少なくとも1つの電圧測定線から分岐した分岐配線と、
前記分岐配線に繋がる分岐接続ポートと
を備え、
ここで、mは1以上の整数であり、Nは2以上の整数である、
電圧測定用基板。
【請求項2】
mは、2以上の整数である、請求項1に記載された電圧測定用基板。
【請求項3】
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、前記分岐配線と、当該分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを1つずつ備える、請求項2に記載された電圧測定用基板。
【請求項4】
mは、3以上の整数であり、
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも2つの電圧測定ユニットは、前記分岐配線と、当該分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを備える、請求項2に記載された電圧測定用基板。
【請求項5】
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、前記分岐配線と、当該分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを複数備える、請求項2に記載された電圧測定用基板。
【請求項6】
L個のセルを有するセルモジュールと、
請求項1~5のいずれか一項に記載された電圧測定用基板と、
前記セルモジュールと前記電圧測定用基板を繋ぐ複数の接続線と、
基板接続線と
を備え、
前記複数の接続線は、
前記L個のセルそれぞれの正極側および負極側から延びており、かつ
それぞれ前記接続ポートのうち、いずれか1つの接続ポートに接続されており、
基板接続線は、前記接続ポートのうち前記接続線が接続されていない接続ポートと、前記分岐接続ポートとを繋いでいる、蓄電システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧測定用基板および蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2010-80135号公報には、電池ブロックと、この電池ブロックを構成する各々の電池の状態を検出する電池状態検出回路とを備える車両用のバッテリシステムが開示されている。電池状態検出回路を実現する電子部品は、片面の回路基板に固定されている。回路基板は、電池ブロックの端子平面に対向している。端子平面と対向する面の反対側の面には、電子部品が配置されている。各々の電池セルの正負の電極端子は、回路基板を介して電池状態検出回路に接続されている。かかるバッテリシステムによると、高い精度で電池の電圧を検出できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-80135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セルモジュールの構成は、使用用途、必要電力等に応じて様々である。本発明者は、汎用性の高い電圧測定用基板を提供したいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示される電圧測定用基板は、予め定められたm個の電圧測定ユニットを有している。m個の電圧測定ユニットは、予め定められたセル直列数Nに対して順に配置された(N+1)個の接続ポートと、(N+1)個の接続ポートからそれぞれ延びた複数の電圧測定線と、(N+1)個の接続ポートのうち隣り合う接続ポートから延びた一対の電圧測定線に接続され、当該隣り合う接続ポート間の電圧を測定する電圧測定器とをそれぞれ備えている。m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、複数の電圧測定線のうち少なくとも1つの電圧測定線から分岐した分岐配線と、分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを備えている。mは1以上の整数であり、Nは2以上の整数である。かかる電圧測定用基板は、種々のセルモジュールの電圧を測定することができ、汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、電圧測定用基板20Aの模式図である。
図2図2は、電圧測定用基板20Aの使用例が示された模式図である。
図3図3は、電圧測定用基板20Aの使用例が示された模式図である。
図4図4は、蓄電システム1を示す模式図である。
図5図5は、蓄電システム2を示す模式図である。
図6図6は、蓄電システム3を示す模式図である。
図7図7は、蓄電システム4を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、ここで開示される技術の一実施形態について図面を参照して説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
【0008】
本発明者は、複数のセルモジュールのセル電圧を測定するための電圧測定用基板を介してセル電圧を監視することを考えている。
【0009】
ここで、「セル」は、繰り返し充放電可能な蓄電デバイスの最小単位となるデバイスをいう。「セルモジュール」は、複数のセルが組み合わされ、蓄電デバイスとしての纏まった機能を持たせた構成部品である。ここで、「蓄電デバイス」は、繰り返し充放電可能なデバイスをいい、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のいわゆる蓄電池(すなわち化学電池)の他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(すなわち物理電池)を包含する概念である。
【0010】
〈電圧測定用基板〉
ここで提案される電圧測定用基板は、複数のセルモジュールのセル電圧を監視するための基板である。
【0011】
図1は、電圧測定用基板20Aの模式図である。図1は、本発明者が検討を進めている電圧測定用基板の一例が示されている。なお、図1では、電圧測定用基板の構成を簡単にするため、2つのセルモジュール10,11が接続される電圧測定用基板が例示されている。図1では、2つのセルモジュール10,11は、それぞれ4個のセルc1~c4,c5~c8を有している。なお、ここでは、説明を簡単にするため、4個のセルが組み込まれたセルモジュールが例示されているが、実際には、各セルモジュールに含まれるセルの数は、4個に限定されない。各セルモジュールには、8個、10個など、より多くのセルが含まれうる。
【0012】
図1に示されているように、セルモジュール10のセルc1~c4と、セルモジュール11のセルc5~c8とは順に直列に接続されている。2つのセルモジュール10,11は、バスバ18を介して直列に接続されている。セルモジュール10には、各セルc1~c4のセル電圧が取得できるように、セルc1~c4の両端の電位およびセル間電位を取得するための5つの接続ポートap1~ap5が用意されている。セルモジュール11についても同様に、セルc5~c8の両端の電位およびセル間電位を取得するための5つの接続ポートbp1~bp5が用意されている。バスバ18の抵抗による電圧低下が測定されることを防ぐため、接続ポートap5と接続ポートbp1は、バスバ18の前後に設けられている。
【0013】
電圧測定用基板20Aは、セルモジュール10,11それぞれと対応する電圧測定ユニット30A,30Bを有している。電圧測定ユニット30Aは、セルモジュール10の5つの接続ポートap1~ap5に対応した5個の接続ポートsp1~sp5を備えている。電圧測定ユニット30Aは、セルモジュール10の各セルc1~c4のセル電圧を得るための4個の電圧測定器v1~v4を備えている。電圧測定ユニット30Bは、セルモジュール11の5つの接続ポートbp1~bp5に対応した5個の接続ポートtp1~tp5を有している。電圧測定ユニット30Bは、セルモジュール11の各セルc5~c8のセル電圧を得るための4個の電圧測定器v5~v8を備えている。
【0014】
この電圧測定用基板20Aによれば、図1に示されているように、セルモジュール10の5つの接続ポートap1~ap5と、セルモジュール11の5つの接続ポートbp1~bp5とが、電圧測定ユニット30A,30Bの10個の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5に、直列に接続される順に結線されるとよい。これにより、セルモジュール10,11の各セルc1~c8のセル電圧が得られる。
【0015】
ところで、1つのセルモジュールに組み込まれるセル数は、製品毎に異なりうる。図2は、電圧測定用基板20Aの使用例が示された模式図である。図2は、1つのセルモジュール12に8個のセルc1~c8が組み込まれている場合について、電圧測定用基板20Aの使用例が示されている。この場合、図2に示されているように、セルモジュール12は、8個のセルc1~c8が直列に接続された状態で組み込まれている。電圧測定用基板20Aには、8個の電圧測定器v1~v8が組み込まれている。このため、電圧測定用基板20Aは、かかるセルモジュール12の8個のセルc1~c8のセル電圧を測定する用途に用いることができる。この場合、セルモジュール12には、セルc1~c8の両端の電位およびセル間電位を取得するため、9つの接続ポートcp1~cp9が用意されている。これに対して、電圧測定用基板20Aには、10個の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5があるため、単純に結線できない。そこで、例えば、図2に示されているように、セルc4,c5の間のセル間電位を取得するための接続ポートcp5から接続線を分岐して、電圧測定用基板20Aのsp5,tp1に結線する方法が考えられる。この場合、接続線を分岐する分岐部分が作られるために、結線作業が複雑になる。また、分岐部分で断線が懸念されるなど、接続に問題が生じうる。
【0016】
図3は、電圧測定用基板20Aの使用例が示された模式図である。図3は、1つのセルモジュール13に6個のセルc1~c6が組み込まれている場合について、電圧測定用基板20Aの使用例が示されている。この場合、図3に示されているように、セルモジュール13は、6個のセルc1~c6が直列に接続された状態で組み込まれている。セルモジュール13には、各セルc1~c6のセル電圧が取得できるように、セルc1~c6の両端の電位およびセル間電位を取得するための7つの接続ポートdp1~dp7が用意されている。電圧測定用基板20Aには、8個の電圧測定器v1~v8が組み込まれている。このため、電圧測定器v1~v8は、セルモジュール13に含まれるセルc1~c6に対して過剰となる。ここでは、セルc1~c6の電圧の測定には、電圧測定器v1~v4,v7,v8が用いられている。電圧測定器v5,v6は、セルc1~c6の電圧の測定に用いられていない。電圧の測定に用いられない電圧測定器v5,v6に繋がる接続ポートtp1~tp3は、電圧測定用基板20Aに入力される電圧の信号を安定させる観点から、開放状態にされない。ここでは、接続ポートdp5から接続線を分岐して、接続ポートsp5,tp1~tp3に結線されている。この場合においても、接続線を分岐する分岐部分が作られるために、結線作業が複雑になる。また、分岐部分で断線が懸念されるなど、接続に問題が生じうる。
【0017】
以下、ここで開示される電圧測定用基板20について、電圧測定用基板20を含んだ蓄電システム1と合わせて説明する。
【0018】
〈蓄電システム1〉
図4は、蓄電システム1を示す模式図である。図4に示されているように、蓄電システム1は、セルモジュール12と、電圧測定用基板20と、接続線f1~f9と、基板接続線g1とを備えている。セルモジュール12では、8つのセルc1~c8が直列に接続されている。セルモジュール12は、直列に接続された複数のセルc1~c8以外に、1または複数のセルに対して並列に接続されたセルを含んでいてもよい。接続線f1~f9は、セルモジュール12と電圧測定用基板20を繋ぐ配線である。
【0019】
〈電圧測定用基板20〉
電圧測定用基板20は、2個の電圧測定ユニット30,31を有している。電圧測定用基板20は、セルモジュール12に含まれるセルc1~c8それぞれの電圧を測定する。電圧測定ユニットの数は、2つに限られず、セルモジュールの数、セルの数等に応じて予め定められてもよい。電圧測定ユニット30,31は、それぞれ4つのセルが直列に接続されたセルモジュール(例えば、図1に示されているセルモジュール10,11)のセル電圧を測定できるように構成されている。
【0020】
〈電圧測定ユニット30,31〉
電圧測定ユニット30は、接続ポートsp1~sp5と、電圧測定線s1~s5と、電圧測定器v1~v4とを備えている。同様に、電圧測定ユニット31は、接続ポートtp1~tp5と、電圧測定線t1~t5と、電圧測定器v5~v8とを備えている。電圧測定器v1~v8は、隣り合う接続ポート間の電圧を測定する。電圧測定器v1~v8は、例えば、電圧センサを含んだ電圧測定回路によって実現されていてもよい。
【0021】
電圧測定ユニット30,31では、予め定められたセル直列数(この実施形態では、4)に対して1つ多くの接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5が設けられている。接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5は、直列に接続されたセルc1~c8に対して順に配置されている。
【0022】
電圧測定線s1~s5,t1~t5は、接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5からそれぞれ延びている。電圧測定器v1~v4は、それぞれ電圧測定線s1~s5のうち、隣り合う一対の電圧測定線に接続されている。同様に、電圧測定器v5~v8は、それぞれ電圧測定線t1~t5のうち、隣り合う一対の電圧測定線に接続されている。
【0023】
この実施形態では、電圧測定ユニット30,31のうち、電圧測定ユニット30は、分岐配線x1と、分岐配線x1に繋がる分岐接続ポートxp1とを備えている。分岐配線x1は、電圧測定線s1~s5のうち、電圧測定線s5から分岐している。電圧測定ユニット30の電圧測定器v1~v4と、電圧測定ユニット31の電圧測定器v5~v8は、それぞれ1つのセル電圧を測定できるように構成されている。
【0024】
このように、2以上のセルが直列に接続されたセルモジュールの電圧を測定するためには、電圧測定用基板には、セルモジュールの数に応じた電圧測定ユニットが設けられうる。電圧測定ユニットは、セルモジュールに含まれるセルの直列数に応じた電圧測定器を含みうる。このように、電圧測定用基板は、測定対象となるセルモジュールおよび当該セルモジュールに含まれるセルの数に応じて設計されうる。
【0025】
この実施形態では、セルモジュール12は、直列に接続された8つのセルc1~c8を有している。接続線f1~f9は、セルc1~c8それぞれの正極側および負極側から延びている。接続線f1~f9は、セルモジュール12の9つの接続ポートcp1~cp9にそれぞれ接続されている。
【0026】
電圧測定用基板20の電圧測定ユニット30,31には、10個の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5が設けられている。このため、電圧測定用基板20の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5は、セルモジュール12の接続ポートcp1~cp9に対して1つ余る。
【0027】
この実施形態では、接続線f1~f9は、電圧測定用基板20の接続ポートsp1~sp5,tp2~tp5に接続されている。電圧測定器v1~v4では、セルc1~c4のセル電圧が測定される。電圧測定器v6~v8では、セルc6~c8のセル電圧が測定される。接続ポートtp1は、基板接続線g1を介して分岐接続ポートxp1に接続されている。このように、基板接続線g1は、接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5のうち接続線f1~f9が接続されていない接続ポートtp1と、分岐接続ポートxp1とを繋いでいる。このため、電圧測定器v5の負極側の接続ポートtp1の電位は、電圧測定器v4の正極側の接続ポートsp5の電位と同じになる。これによって、電圧測定器v5では、セルc5の電圧が測定される。
【0028】
上述した実施形態では、図4に示されているように、電圧測定用基板20は、2つの電圧測定ユニット30,31を有している。2つの電圧測定ユニット30,31は、5つの接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5と、5本の電圧測定線s1~s5,t1~t5と、電圧測定器v1~v4,v5~v8とをそれぞれ備えている。5つの接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5は、それぞれセル直列数4に対して順に配置されている。5本の電圧測定線s1~s5,t1~t5は、5つの接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5からそれぞれ延びている。電圧測定器v1~v4,v5~v8は、5つの接続ポートのうち隣り合う接続ポートから延びた一対の電圧測定線に接続されている。電圧測定器v1~v4,v5~v8は、それぞれ当該隣り合う接続ポート間の電圧を測定する。2つの電圧測定ユニット30,31のうち、1つの電圧測定ユニット30は、5本の電圧測定線s1~s5のうち1つの電圧測定線s5から分岐した分岐配線x1と、分岐配線x1に繋がる分岐接続ポートxp1とを備えている。
【0029】
かかる電圧測定用基板20は、図1に示されている実施形態と同様の配線によって、4個のセルc1~c4,c5~c8をそれぞれ有する2個のセルモジュール10,11(図1参照)のセルそれぞれの電圧を測定できる。また、電圧測定用基板20は、異なる構成のセルモジュールに対しても適用可能である。図4に示されているように、セルモジュール12は、8個のセルc1~c8が直列に接続されている。かかるセルモジュール12についても、接続線上で結線加工することなく、セルそれぞれの電圧を測定できる。このように、電圧測定用基板20は、例えば、セルモジュール10,11(図1参照)とセルモジュール12(図4参照)のような複数のセルモジュールの構成に対応することができ、汎用性が高い。また、接続ポートtp1と分岐接続ポートxp1に対して、容易に基板接続線g1を着脱できるため、加工にかかる手間を省くことができる。さらに、電圧測定用基板内で分岐配線が分岐していることによって、接続線上で結線加工されている場合と比較して接続の信頼性が高く、電圧測定器v1~v8によって安定的にセル電圧が検出されやすい。
【0030】
また、上述した蓄電システム1は、それぞれ8個のセルc1~c8を有するセルモジュール12と、電圧測定用基板20と、セルモジュール12と電圧測定用基板20を繋ぐ複数の接続線f1~f9と、基板接続線g1とを備えている。複数の接続線f1~f9は、8個のセルそれぞれの正極側および負極側から延びている。複数の接続線f1~f9は、それぞれ接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5のうち、接続ポートsp1~sp5,tp2~tp5に接続されている。基板接続線g1は、接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5のうち接続線f1~f9が接続されていない接続ポートtp1と、分岐接続ポートxp1とを繋いでいる。かかる蓄電システム1は、上述した電圧測定用基板20内において基板接続線g1が分岐している。このため、接続線f1~f9上の結線加工の必要がなく、蓄電システム1の長期信頼性が向上しうる。
【0031】
なお、ここで開示される電圧測定用基板は、上述した電圧測定用基板20に限られず、種々の変更が可能である。電圧測定用基板の構成は、測定対象となるセルモジュール数、当該セルモジュールに含まれるセル直列数等に応じて適宜設定される。ここで開示される電圧測定用基板は、測定対象となるセルモジュール数(電圧測定ユニット数)が1以上の場合に適用可能である。ここで開示される電圧測定用基板は、セル直列数は2以上の場合に適用可能である。分岐配線および分岐接続ポートの数および分岐の仕方は、上述した実施形態に限られない。以下、他の実施形態にかかる電圧測定用基板21,22,23について説明する。
【0032】
図5は、蓄電システム2を示す模式図である。図5に示されているように、蓄電システム2は、セルモジュール13と、電圧測定用基板21とを備えている。電圧測定用基板21は、電圧測定ユニット31,32を有している。電圧測定ユニット31は、図4に示されている電圧測定ユニット31と同様の構成である。電圧測定ユニット32は、電圧測定ユニット30(図4参照)と同様、5つの接続ポートsp1~sp5と、5本の電圧測定線s1~s5と、5つの電圧測定器v1~v4とを備えている。電圧測定ユニット32は、分岐配線x2~x4と、分岐配線x2~x4に繋がる分岐接続ポートxp2~xp4とを備えている。分岐配線x2~x4は、電圧測定線s5から分岐している。電圧測定用基板21と、セルモジュール13とは、接続線f11~f17を介して接続されている。
【0033】
この実施形態では、セルモジュール13は、直列に接続された6つのセルc1~c6を有している。接続線f11~f17は、セルc1~c6それぞれの正極側および負極側から延びている。接続線f11~f17は、セルモジュール13の7つの接続ポートdp1~dp7にそれぞれ接続されている。電圧測定器v1~v4では、セルc1~c4のセル電圧が測定される。電圧測定器v8では、セルc6のセル電圧が測定される。
【0034】
電圧測定用基板21の電圧測定ユニット31,32には、10個の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5が設けられている。このため、電圧測定用基板21の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5は、セルモジュール13の接続ポートdp1~dp7に対して3つ余る。
【0035】
この実施形態では、接続線f11~f17は、電圧測定用基板21の接続ポートsp1~sp5,tp4,tp5に接続されている。接続ポートtp1は、基板接続線g4を介して分岐接続ポートxp4に接続されている。接続ポートtp2は、基板接続線g3を介して分岐接続ポートxp3に接続されている。接続ポートtp3は、基板接続線g2を介して分岐接続ポートxp2に接続されている。このように、基板接続線g2~g4は、接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5のうち接続線f11~f17が接続されていない接続ポートtp1~tp3と、分岐接続ポートxp2~xp4とを繋いでいる。電圧測定器v5の負極側の接続ポートtp1から電圧測定器v6の正極側の接続ポートtp3の電位は、電圧測定器v4の正極側の接続ポートsp5の電位と同じになる。このため、電圧測定器v7では、セルc5の電圧が測定される。電圧測定器v5,v6は、セル電圧の測定に使用されない。セル電圧の測定に使用されない電圧測定器v5,v6に繋がる接続ポートtp1~tp3は、開放状態にされていない。これによって、電圧測定用基板21に入力される信号が安定する。
【0036】
上述した実施形態では、2つの電圧測定ユニット31,32のうち、電圧測定ユニット32は、分岐配線x2~x4と、当該分岐配線x2~x4に繋がる分岐接続ポートxp2~xp4とを備えている。このように、電圧測定ユニットが複数の分岐配線および分岐接続ポートを備えることによって、測定対象となるセルモジュールの構成の自由度が高くなる。例えば、電圧測定用基板21は、図5に示されているような6つのセルc1~c6を有するセルモジュール13以外にも、7つまたは8つのセルを有するセルモジュールのセル電圧測定が可能である。測定するセルが1つ増えるごとに分岐配線x2~x4を1本外し、当該分岐配線が外された接続ポートと、セルの接続ポートとを接続線で繋げばよい。このように、電圧測定用基板21によると、測定対象となるセルの数が変わる場合にも、結線加工したり、結線加工された接続線を切ったりすることなく、分岐接続ポートxp2~xp4の配線の繋ぎ変えによって容易に接続先を変更することができる。
【0037】
図6は、蓄電システム3を示す模式図である。図6に示されているように、蓄電システム3は、セルモジュール14と、電圧測定用基板22とを備えている。電圧測定用基板22は、電圧測定ユニット30,33,34を有している。電圧測定ユニット30は、図4に示されている電圧測定ユニット30と同様の構成である。電圧測定ユニット33,34は、電圧測定ユニット30と同様、5つの接続ポートtp1~tp5,up1~up5と、電圧測定線t1~t5,u1~u5と、電圧測定器v5~v8,v9~v12とを備えている。電圧測定ユニット30は、分岐配線x1と、分岐配線x1に繋がる分岐接続ポートxp1とを備えている。分岐配線x1は、電圧測定線s5から分岐している。電圧測定ユニット33は、分岐配線x5と、分岐配線x5に繋がる分岐接続ポートxp5とを備えている。分岐配線x5は、電圧測定線t5から分岐している。電圧測定用基板22と、セルモジュール14とは、接続線f21~f33を介して接続されている。
【0038】
この実施形態では、セルモジュール14は、直列に接続された12個のセルc1~c12を有している。接続線f21~f33は、セルc1~c12それぞれの正極側および負極側から延びている。接続線f21~f33は、セルモジュール14の13個の接続ポートep1~ep13にそれぞれ接続されている。電圧測定器v1~v4では、セルc1~c4のセル電圧が測定される。電圧測定器v6~v8では、セルc6~c8のセル電圧が測定される。電圧測定器v10~v12では、セルc10~c12のセル電圧が測定される。
【0039】
電圧測定用基板22の電圧測定ユニット30,33,34には、15個の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5,up1~up5が設けられている。このため、電圧測定用基板22の接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5,up1~up5は、セルモジュール14の接続ポートep1~ep13に対して2つ余る。
【0040】
この実施形態では、接続線f21~f33は、電圧測定用基板21の接続ポートsp1~sp5,tp2~tp5,up2~up5に接続されている。接続ポートtp1は、基板接続線g1を介して分岐接続ポートxp1に接続されている。接続ポートup1は、基板接続線g5を介して分岐接続ポートxp5に接続されている。このように、基板接続線g1,g5は、接続ポートsp1~sp5,tp1~tp5,up1~up5のうち接続線f21~f33が接続されていない接続ポートtp1,up1と、分岐接続ポートxp1,xp5とを繋いでいる。このため、電圧測定器v5の負極側の接続ポートtp1の電位は、電圧測定器v4の正極側の接続ポートsp5の電位と同じになる。これによって、電圧測定器v5では、セルc5の電圧が測定される。電圧測定器v9の負極側の接続ポートup1の電位は、電圧測定器v8の正極側の接続ポートtp5の電位と同じになる。これによって、電圧測定器v9では、セルc9の電圧が測定される。
【0041】
上述した実施形態では、3つの電圧測定ユニット30,33,34のうち、2つの電圧測定ユニット30,33は、分岐配線x1,x5と、当該分岐配線x1,x5に繋がる分岐接続ポートxp1,xp5とを備えている。複数の電圧測定ユニットが分岐配線と、分岐接続ポートとを備えていることによって、分岐配線を配線する自由度が上がる。その結果、種々のセルモジュールの構成に対応することができ、電圧測定用基板の汎用性が向上しうる。
【0042】
ここで開示される電圧測定用基板は、電圧測定ユニットを複数有する形態に限定されない。図7は、蓄電システム4を示す模式図である。図7に示されているように、蓄電システム4は、セルモジュール13と、電圧測定用基板23とを備えている。電圧測定用基板23は、電圧測定ユニット35を有している。電圧測定ユニット35は、9つの接続ポートrp1~rp9と、電圧測定線r1~r9と、電圧測定器v1~v8とを備えている。電圧測定ユニット35は、分岐配線x6,x7と、分岐配線x6,x7に繋がる分岐接続ポートxp6,xp7とを備えている。分岐配線x6は、電圧測定線r5から分岐している。分岐配線x7は、電圧測定線r6から分岐している。電圧測定用基板23と、セルモジュール13とは、接続線f41~f47を介して接続されている。
【0043】
セルモジュール13は、図5に示されているセルモジュール13と同様の構成である。セルモジュール13は、直列に接続された6個のセルc1~c6を有している。接続線f41~f47は、セルc1~c6それぞれの正極側および負極側から延びている。接続線f41~f47は、セルモジュール13の7個の接続ポートdp1~dp7にそれぞれ接続されている。電圧測定器v1~v4では、セルc1~c4のセル電圧が測定される。電圧測定器v8では、セルc6のセル電圧が測定される。
【0044】
電圧測定用基板23の電圧測定ユニット35には、9個の接続ポートrp1~rp9が設けられている。このため、電圧測定用基板23の接続ポートrp1~rp9は、セルモジュール13の接続ポートdp1~dp7に対して2つ余る。
【0045】
この実施形態では、接続線f41~f47は、電圧測定用基板23の接続ポートrp1~rp5,rp8,rp9に接続されている。接続ポートrp6は、基板接続線g6を介して分岐接続ポートxp6に接続されている。接続ポートrp7は、基板接続線g7を介して分岐接続ポートxp7に接続されている。このように、基板接続線g6,g7は、接続ポートrp1~rp9のうち接続線f41~f47が接続されていない接続ポートrp6,rp7と、分岐接続ポートxp6,xp7とを繋いでいる。このため、電圧測定器v5,v6の正極側の接続ポートrp6,rp7の電位は、電圧測定器v4の正極側の接続ポートrp5の電位と同じになる。電圧測定器v5,v6は、セル電圧の測定に使用されない。セル電圧の測定に使用されない電圧測定器v5,v6に繋がる接続ポートrp5~rp7は、開放状態にされていない。これによって、電圧測定用基板23に入力される信号が安定する。
【0046】
以上、ここで開示される技術について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。例えば、電圧測定用基板は、4つ以上の電圧測定ユニットを備えていてもよい。電圧測定用基板が複数の電圧測定ユニットを備えている場合、電圧測定器の数は、必ずしも同じでなくてもよい。分岐ポートおよび分岐線が設けられるパターンは、上述した形態に限定されない。分岐ポートおよび分岐線の数、分岐する電圧測定線は、測定対象となるセルモジュールの構成に応じて選択されてもよい。また、ここで開示される技術は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。また、本明細書は、以下の各項に記載の開示を含んでいる。
【0047】
項1:
予め定められたm個の電圧測定ユニットを有する電圧測定用基板であって、
前記m個の電圧測定ユニットは、
予め定められたセル直列数Nに対して順に配置された(N+1)個の接続ポートと、
前記(N+1)個の接続ポートからそれぞれ延びた複数の電圧測定線と、
前記(N+1)個の接続ポートのうち隣り合う接続ポートから延びた一対の電圧測定線に接続され、当該隣り合う接続ポート間の電圧を測定する電圧測定器と
をそれぞれ備え、
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、
前記複数の電圧測定線のうち少なくとも1つの電圧測定線から分岐した分岐配線と、
前記分岐配線に繋がる分岐接続ポートと
を備え、
ここで、mは1以上の整数であり、Nは2以上の整数である、
電圧測定用基板。
【0048】
項2:
mは、2以上の整数である、項1に記載された電圧測定用基板。
【0049】
項3:
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、前記分岐配線と、当該分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを1つずつ備える、項2に記載された電圧測定用基板。
【0050】
項4:
mは、3以上の整数であり、
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも2つの電圧測定ユニットは、前記分岐配線と、当該分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを備える、項2に記載された電圧測定用基板。
【0051】
項5:
前記m個の電圧測定ユニットのうち、少なくとも1つの電圧測定ユニットは、前記分岐配線と、当該分岐配線に繋がる分岐接続ポートとを複数備える、項2に記載された電圧測定用基板。
【0052】
項6:
L個のセルを有するセルモジュールと、
項1~5のいずれか一項に記載された電圧測定用基板と、
前記セルモジュールと前記電圧測定用基板を繋ぐ複数の接続線と、
基板接続線と
を備え、
前記複数の接続線は、
前記L個のセルそれぞれの正極側および負極側から延びており、かつ
それぞれ前記接続ポートのうち、いずれか1つの接続ポートに接続されており、
基板接続線は、前記接続ポートのうち前記接続線が接続されていない接続ポートと、前記分岐接続ポートとを繋いでいる、蓄電システム。
【符号の説明】
【0053】
1~4 蓄電システム
10~14 セルモジュール
18 バスバ
20~23 電圧測定用基板
20A 電圧測定用基板
30~35 電圧測定ユニット
30A,30B 電圧測定ユニット
c1~c12 セル
ap1~ap5,bp1~bp5,cp1~cp9,dp1~dp7,ep1~ep13 接続ポート
f1~f47 接続線
g1~g7 基板接続線
r1~r9,s1~s5,t1~t5,u1~u5 電圧測定線
rp1~rp9,sp1~sp5,tp1~tp5,up1~up5 接続ポート
v1~v12 電圧測定器
x1~x7 分岐配線
xp1~xp7 分岐接続ポート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7