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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139213
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】撮像装置、及び検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20241002BHJP
   A41G 3/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
A41G3/00 N
A41G3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050055
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】日月 快
(72)【発明者】
【氏名】井上 健太
(72)【発明者】
【氏名】小田 晶美
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB20
2G051BA04
2G051BA10
2G051BA20
2G051BB01
2G051CA03
2G051CB01
2G051DA01
2G051DA06
2G051EA11
(57)【要約】
【課題】自動植毛装置により作成された、毛髪材が結び付けられた植毛対象物の検査を支援することが可能な撮像装置、及び検査システムを提供する。
【解決手段】撮像装置301は、毛髪材100aが結び付けられた植毛ネット200を撮像するものである。撮像装置301は、植毛ネット200から毛髪材100aが垂れ下がった状態で、植毛ネット200を保持する保持機構部330と、植毛ネット200の上方に配置されたカメラ311であって、植毛ネット200を上方から撮像するカメラ311と、を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪材が結び付けられた植毛対象物を撮像する撮像装置であって、
前記植毛対象物から前記毛髪材が垂れ下がった状態で、前記植毛対象物を保持する保持機構部と、
前記植毛対象物の上方に配置された撮像部であって、前記植毛対象物を上方から撮像する撮影部と、を備える、撮像装置。
【請求項2】
前記保持機構部は、前記植毛対象物の縁部を保持する縁部保持部を含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記保持機構部は、前記植毛対象物のうちの、前記縁部に対して中央の部分を、下方から支持する支持部材を含む、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記撮像部に撮像された画像において二値化された場合に、前記植毛対象物と異なる値となる色彩を有する、請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記植毛対象物は、4つの辺を含む矩形状を有し、
前記縁部保持部は、前記4つの辺の各々を前記植毛対象物の外側に向かって引っ張りながら保持する、請求項2~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記保持機構部は、前記縁部保持部を支持する基台であって、垂れ下がった前記毛髪材が配置される開口部を有する基台を含む、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像部は、第1の方向に線状の領域を撮像するラインカメラを含み、
前記保持機構部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記植毛対象物を移動させる移動機構部を含む、請求項2~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記毛髪材及び前記植毛対象物のうちの一方に吸収され、他方に反射される波長の光を含む照明光を発する照明を、さらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記照明は、前記撮像部と前記植毛対象物との間に配置されている、請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記照明は、前記撮像部に向かって窪むドーム形状を有する、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
毛髪材が結び付けられた植毛対象物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置により撮像された画像に基づいて、検査の合否を判定する判定装置と、を備えた検査システムであって、
前記撮像装置は、
前記植毛対象物から前記毛髪材が垂れ下がった状態で、前記植毛対象物を保持する保持機構部と、
前記植毛対象物の上方に配置された撮像部であって、前記植毛対象物を上方から撮像する撮影部と、を含む、検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植毛対象物に毛髪材を結び付ける自動植毛装置が知られている。このような自動植毛装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の自動植毛装置は、短尺の毛髪糸が配置されたストッカと、第1鉤針と、第2鉤針と、植毛ネットが配置されたエキセンとを備える。エキセンは、第1鉤針が植毛ネットの横糸を引っ掛けた状態で、第1鉤針よりも下方となるように旋回する。そして、第2鉤針は、ストッカから毛髪糸を引き出す。そして、第1鉤針は、引き出された毛髪糸を補足し、その後、毛髪糸を植毛ネットに結び付ける(植毛する)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6533350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載されているような自動植毛装置では、第1鉤針又は第2鉤針が毛髪材を補足することを失敗し、植毛ネットに対して部分的に毛髪材の結び付けが失敗する場合がある。このため、自動植毛装置により作成される、毛髪材が結び付けられた植毛ネット(植毛対象物)における結び目の有無を検査する必要がある。しかしながら、毛髪材は、植毛対象物の結び目に対して寸法が大きい(長い)ものであり、毛髪材により結び目が隠れてしまい、結び目の有無の検査は困難である。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、自動植毛装置により作成された、毛髪材が結び付けられた植毛対象物の検査を支援することが可能な撮像装置、及び検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、以下に開示する撮像装置は、毛髪材が結び付けられた植毛対象物を撮像する撮像装置であって、前記植毛対象物から前記毛髪材が垂れ下がった状態で、前記植毛対象物を保持する保持機構部と、前記植毛対象物の上方に配置された撮像部であって、前記植毛対象物を上方から前記撮像する撮影部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、毛髪材が下方に垂れ下がった状態の植毛対象部を、上方から撮像することができる。このため、毛髪材の結び目上に毛髪材の他の部分が乗っておらず、結び目が露出した状態の画像を取得することができる。これにより、この画像を用いれば、結び目の有無を容易に検査することができる。この結果、自動植毛装置により作成された、毛髪材が結び付けられた植毛対象物の検査を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、自動植毛装置120の側面図である。
図2図2は、自動植毛装置120の正面図である。
図3図3は、自動植毛装置120の側面図である。
図4図4は、自動植毛装置120の側面図である。
図5図5は、一実施形態による検査システム300のブロック図である。
図6図6は、一実施形態による撮像装置301のブロック図である。
図7図7は、一実施形態による判定装置302のブロック図である。
図8図8は、一実施形態による保持機構部330の構成を示す斜視図である。
図9図9は、カメラ311と照明312と縁部保持部341c及び341dとの配置関係を説明するための図である。
図10図10は、一実施形態による保持機構部330の構成を示す断面図である。
図11図11は、二値化された画像P1の例を説明するための図である。
図12図12は、表示部324に表示される画面例の図(1)である。
図13図13は、表示部324に表示される画面例の図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、以下の実施形態に限定されるものではなく、例えば実施形態及び変形例として記載された各構成を任意に組み合わせるなど、適宜変更することが可能である。また、以下で参照する図面も例示であり、当該図面中において構成の簡略化や模式化がされていることもある。
【0011】
<<自動植毛装置の基本的な構成及び動作の一例>>
最初に、本開示の実施形態に係る自動植毛装置の基本的な構成及び動作の一例について説明するが、例えば特許第6533350号公報などに記載されているような公知の自動植毛装置の構成及び動作を採用してもよい。
【0012】
図1は、自動植毛装置の側面図であり、図2は、自動植毛装置の正面図である。図1及び図2に示すように、自動植毛装置120は、エキセン10、植毛鉤針20、引出鉤針30、ストッカ40、糸位置出しバー50、糸落としバー60、糸引込バー70、反転ローラー80、図示しない磁石、駆動機構、制御装置などを備える。なお、図1ないし図4に示す側面図及び正面図では、図中の左右方向が水平方向、上下方向が鉛直方向である。
【0013】
毛髪材100aとは、人工毛(ファイバー、合成繊維)のほか、人毛(ヒトから採取した毛)、動物毛(ヒト以外の動物から採取した毛)、またはこれらの混合物などであり、自動植毛装置120によって植毛可能な毛または毛様の一切の材料が含まれる。また、植毛ネット200は、例えば複数本の縦糸201と複数本の横糸202とからなる網目状である。
【0014】
図1及び図2に示すように、予め切り揃えられた複数本の毛髪材100aからなる毛髪材束100bが、ストッカ40内に配置される。以下、水平面内の方向であって、エキセン10からみて引出鉤針30がある方向を後方、その反対方向を前方といい、これらを合わせて前後方向という。また、水平面内において前後方向と垂直な方向を奥行方向といい、前方から後方を見たときに左側となる方向を奥側(図1における紙面裏側)、右側となる方向を手前側(図1における紙面表側)という。
【0015】
植毛ネット200は、エキセン10のネット掛部11に対して上方から覆い被さるようにセットされ、反転ローラー80にも接触して位置が規制されている。ストッカ40は、底部41と、一対の対向した側板43を有しており、毛髪材束100bが底部41上に配置される。なお、ストッカ40は、図2に示すように1つだけ設けられてもよいし、複数設けられていてもよい。また、ストッカ40に配置される毛髪材100aは、例えば色、太さ、硬さ(弾力)などの種類が異なるものが混合されていてもよい。
【0016】
植毛鉤針20は、先端のフック21と、フック21の針口を開閉するラッチ22とを備える。植毛鉤針20は、制御装置で制御される駆動機構によって駆動され、毛髪材100aを植毛ネット200に結び付けて植毛する。引出鉤針30は、ストッカ40から毛髪材100aを捕捉する部材であり、先端に1本(または複数本)の毛髪材100aを捕捉可能なフック31が設けられる。
【0017】
糸位置出しバー50は、引出鉤針30によってストッカ40から引き出される毛髪材100aを所定位置に誘導する部材である。糸落としバー60は、制御装置で制御される駆動機構で上下方向に振動するものであり、糸引込バー70によって引き込まれる毛髪材100aを払い落とす。糸引込バー70は、制御装置で制御される駆動機構によって前後方向に移動するものであり、植毛ネット200に植毛された毛髪材100aを引っかけて前方に引き込む。
【0018】
次に、自動植毛装置の動作について説明する。自動植毛装置は、図1に示した状態を初期状態として、以下のとおり動作する。(1)糸引込バー70が、ストッカ40の取出口42を超えた位置まで後方に向かって進む。(2)引出鉤針30が、フック31を含む先端部が取出口42からストッカ40の内部に入るまで上昇、毛髪材100aを捕捉し下降する。(3)植毛鉤針20が、後方に向かって進み、フック21が横糸202-1の下を通る。(4)軸部13が、エキセン10の逃げ部12が上方を向くように90度回転する。(5)図3に示すように、植毛鉤針20が、後方に向かって進む。(6)植毛鉤針20が、フック21の針口が上を向いた状態から毛髪材100aを向いた状態(奥側を向いた状態)になるように回転して、針口で毛髪材100aを捕捉する。(7)植毛鉤針20が、フック21の針口が上向きになるように回転した後、前方に向かって進み、横糸202-1の下方を通過する。この際、ラッチ22が横糸202-1に接触して針口が閉じられるが、その後図示しない磁石によりラッチ22が吸着されて針口が開かれる。(8)植毛鉤針20が、後方に進むとともに上昇し、回転して毛髪材100aを撚りループを形成する。(9)図4に示すように、植毛鉤針20が、後方に向かって進む。(10)植毛鉤針20が、フック21の針口が上を向いた状態から毛髪材100aを向いた状態(奥側を向いた状態)になるように回転して、針口で毛髪材100aを捕捉する。(11)植毛鉤針20が、フック21の針口が上向きになるように回転した後、前方に向かって進み毛髪材100aのループを通過する。この際、ラッチ22が毛髪材100aのループに接触して針口が閉じられる。(12)糸引込バー70が、前方に進んで毛髪材100aを前方に引き込み、初期状態に戻る。エキセン10及び植毛鉤針20が初期状態に戻る。この際、図示しない磁石によりラッチ22が吸着されて針口が開かれる。糸落としバー60が、下方に移動して毛髪材100aを下方に整髪した後、上方に移動して初期状態に戻る。
【0019】
上記(2)の動作において、引出鉤針30の先端部が取出口42に挿入された後、僅かに手前側(フック31の針口32が開口した側)に移動して、フック31に毛は毛髪材100aが捕捉され易くしてもよい。上記(6)及び(10)の動作において、毛髪材100aをフック21の針口に導入し易くするために、引出鉤針30を手前側に移動させてもよいし、引出鉤針30及び植毛鉤針20の両方が互いに近づくように移動してもよい。また、図3及び図4では、植毛鉤針20が、上記(6)の動作で2つ折りになった毛髪材100aの前方を捕捉し、上記(10)の動作で後方を捕捉するように図示したが、それぞれの動作において前方、後方のいずれを捕捉してもよい。上記(7)の動作において、植毛鉤針20は上昇しなくてもよい。また、当該動作において、植毛鉤針は1回転またはそれ以上回転してもよいし、半回転でもよい。上記(11)の動作において、植毛鉤針20が毛髪材100aのループを通過する際に、引出鉤針30が上下に小刻みに動いてもよい。これにより、フック31が毛髪材100aから外れ、毛髪材100aが摩擦によって縮れるピーリングが防止される。
【0020】
[検査システムの構成]
以下、上記の自動植毛装置により毛髪材が結び付けられた植毛対象物(植毛完成品)を検査する検査システムの構成について説明する。
【0021】
図5は、本実施形態による検査システム300のブロック図である。図5に示すように、検査システム300は、撮像装置301と、判定装置302とを含む。撮像装置301は、自動植毛装置120により毛髪材100aが結び付けられた植毛ネット200を撮像する装置である。判定装置302は、撮像装置301により撮像された画像に基づいて、植毛完成品の良否(不良の有無)を判定するための装置である。
【0022】
図6は、本実施形態による撮像装置301のブロック図である。図6に示すように、撮像装置301は、カメラ311と、照明312と、制御部313と、保持機構駆動回路314と、通信部315とを含む。カメラ311は、制御部313からの指令により光を電気信号に変換する撮像素子を含む。照明312は、例えば、発光ダイオード、有機EL、又はレーザー素子を含み、植毛ネット200に向かって光を照射する。照明312は、複数の点発光素子から構成されてもよいし、面発光素子により構成されてもよい。制御部313は、撮像装置301の各制御処理を実行するプロセッサ(制御回路)を含む。保持機構駆動回路314は、制御部313からの指令に応じて、後述する保持機構部330(基台駆動機構334)に電力を供給することにより、保持機構部330(基台駆動機構334)を駆動(動作)させる回路である。通信部315は、判定装置302と有線又は無線により、情報を送受信するための通信インターフェースである。
【0023】
図7は、本実施形態による判定装置302のブロック図である。図7に示すように、判定装置302は、画像処理部321と、制御部322と、通信部323と、表示部324とを含む。画像処理部321は、GPU等の画像処理回路(集積回路)を含み、撮像装置301から取得した画像に処理を加える回路である。制御部322は、判定装置302の各制御処理を実行するプロセッサ(制御回路)を含む。通信部323は、撮像装置301と有線又は無線により、情報を送受信するための通信インターフェースである。表示部324は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを含む。なお、撮像装置301と判定装置302とを別個の装置として記載しているが、本開示はこれに限られない。すなわち、撮像装置301と判定装置302とを一体的な装置(制御部が共通)として構成してもよい。
【0024】
本実施形態では、カメラ311は、ライン状(長尺状)の撮像範囲を撮像するラインカメラ(ラインスキャンカメラ)である。これにより、検査ごとに、上記ラインと直交する方向に植毛ネット200の寸法が異なる場合、又は、当該方向に植毛ネット200の寸法が大きい場合でも、カメラ311と植毛ネット200との相対位置を動かすことで、植毛ネット200の全体を容易に撮像することができる。
【0025】
図8は、本実施形態による保持機構部330の構成を示す斜視図である。図8に示すように、撮像装置301は、保持機構部330を備える。保持機構部330は、植毛ネット200から毛髪材100aが垂れ下がった状態で、植毛ネット200を保持するための構造物である。保持機構部330は、枠体331と、基台332と、レール333と、基台駆動機構334とを含む。枠体331は、例えば、複数の柱及び複数の梁が組み合わされ、直方体の形状を有する。枠体331には、カメラ311、照明312、及びレール333が固定されている。基台332の上面には、縁部保持部341a~341d(図9参照)と、縁部引張機構部342a~342d(図9参照)と、が固定されている。ここで、レール333が延びる方向(基台332が移動する方向)を、X1方向又はX2方向(X軸)とし、水平面において、X軸と直交する方向をY1方向又はY2方向(Y軸)とし、垂直面において、X軸と直交する方向をZ1方向(上方向)又はZ2方向(下方向)(Z軸)とする。
【0026】
レール333上には、基台駆動機構334が配置されている。基台駆動機構334上には、基台332が固定されている。そして、基台駆動機構334は、例えば、エアシリンダを含む。基台駆動機構334は、保持機構駆動回路314から供給される電力により、基台332を、X軸に平行な方向に移動させる。制御部313は、カメラ311により撮像するごとに、保持機構駆動回路314に制御信号を出力して、基台332をX2方向に移動させる。例えば、制御部313は、基台332を、カメラ311による後述する撮像領域のうちのX軸に平行な方向の幅分、移動させる。
【0027】
図9は、カメラ311と照明312と縁部保持部341c及び341dとの配置関係を説明するための図である。図9に示すように、カメラ311は、照明312及び縁部保持部341c及び341dよりも上方に配置されている。照明312は、上下方向において、カメラ311と縁部保持部341c及び341dとの間に配置されている。これにより、照明と植毛ネットとの間にカメラが配置される場合と異なり、カメラの影が植毛ネット上に生じるのを防止することができる。
【0028】
照明312は、カメラ311(上方)に向かって窪むドーム形状(椀状)を有する。これにより、様々な方向から、植毛ネット200に光が照射されるので、植毛ネット200上の結び目101の凹凸による影が生じるのを低減することができる。また、照明312の上端部には、開口312aが設けられている。カメラ311は、開口312aを介して、植毛ネット200を撮像する。また、カメラ311の撮像領域は、Y軸に平行な方向に延びる、線状の領域である。「撮像領域」とは、カメラ311の一回当たりに撮像する領域を意味する。本実施形態では、基台332(撮像領域)をX軸に平行な方向に移動させながら、繰り返しカメラ311により植毛ネット200(上の結び目101)を撮像する(スキャンする)。
【0029】
ここで、植毛ネット200は、4つの辺を含む矩形状を有する。そして、縁部保持部341a~341dは、植毛ネット200の4つの辺(縁部200a)の各々を植毛ネット200の水平方向の外側に向かって引っ張りながら保持する。例えば、図9に示すように、縁部200aが、縁部保持部341cの上方部材341caと下方部材341cbとに挟まれることにより保持される。また、縁部200aが、縁部保持部341dの上方部材341daと下方部材341dbとに挟まれることにより保持される。縁部保持部341a~341dは、植毛ネット200の縁部200aを保持するので、縁部保持部341a~341dが撮像された画像に映り込むことを防止することができる。
【0030】
そして、図10に示すように、縁部保持部341aは、縁部引張機構部342aによりX2方向に力F1により引っ張られている。縁部保持部341bは、縁部引張機構部342bによりX1方向に力F1により引っ張られている。縁部保持部341dは、縁部引張機構部342dによりY2方向に力F2により引っ張られている。図8に示すように、縁部保持部341cは、縁部引張機構部342cによりY1方向に力F2により引っ張られている。
【0031】
ここで、力F1は、力F2と異なる大きさである。例えば、図11に示すように、植毛ネット200は、六角形が組み合わされた形状を有する。この場合、植毛ネット200は、Y軸に平行に延びる縦糸201と、X軸に沿って屈曲しながら延びる横糸202とを有する。この場合、植毛ネット200の形状を保つため、X軸に平行な方向に引っ張る力F1は、Y軸に平行な方向に引っ張る力F2よりも大きくする。なお、植毛ネット200の形状に応じて、力F1と力F2との大小関係は、この例に限られず、力F2が力F1以上であってもよい。これにより、植毛ネット200の撓みを防いだ状態で、カメラ311により植毛ネット200を撮像することができる。
【0032】
図10に示すように、基台332には、植毛ネット200から垂れ下がった毛髪材100aが配置される開口部332aを有する。すなわち、開口部332aは、基台332のうちの、植毛ネット200の下方(直下)の位置に設けられている。これにより、植毛ネット200から延びる毛髪材100aが、撮像された画像に映り込み、結び目の有無を判別しにくくなること(検査を阻害すること)を防止することができる。
【0033】
また、図10に示すように、保持機構部330は、植毛ネット200のうちの、縁部200aに対して中央の部分200bを、下方から支持する複数の支持部材343を含む。支持部材343は、例えば、Y軸に平行な方向に延びる棒状(円柱状)を有する。複数の支持部材343は、例えば、等間隔で、X軸に平行な方向に並んで配置されている。支持部材343は、植毛ネット200の中央の部分200bを支持するので、植毛ネット200の撓みを防止することができる。
【0034】
ここで、支持部材343は、カメラ311に撮像された画像において二値化された場合に、毛髪材100aと同一の値となる色彩を有する。また、支持部材343は、カメラ311に撮像された画像において二値化された場合に、植毛ネット200と異なる値となる色彩を有する。例えば、毛髪材100aが黒色であり、かつ、植毛ネット200が橙色の場合、カメラ311に撮像された画像において二値化された場合に、二値化された画像P1において、毛髪材100aが黒色となり、植毛ネット200が白色となる。この場合、支持部材343は、黒色となる色彩を有する。言い換えると、照明312は、毛髪材100a及び支持部材343に吸収され、植毛ネット200に反射される波長の光を含む照明光を発するように構成されている。これにより、支持部材343が撮影領域内に存在する場合でも、画像P1上に表示されないか、または、支持部材343が撮像された画像に映り込んだ場合でも、植毛ネット200と画像P1上で区別することができる。これにより、支持部材343が検査を阻害するのを防止することができる。なお、図11では、図を分かりやすくするために、上記の白色を黒色で表現し、黒色を白色で表現している。
【0035】
画像処理部321は、通信部323を介して、撮像装置301から取得した画像を二値化し、画像P1を作成する。画像処理部321は、画像P1から植毛ネット200の形状を除く処理を行い、結び目101を抽出し、図12に示すように、結び目101(図12では黒色の部分の箇所)が抽出された画像P2を作成する。植毛ネット200の形状を除く処理及び結び目101を抽出する処理は、例えば、画像認識処理を用いることができる。画像処理部321は、画像P2において、結び目101が形成されていない所定の寸法以上の領域(ボルディングスポットR)を検出する。制御部322は、ボルディングスポットRの位置(検査結果)を表示部324に表示する。また、制御部322は、ボルディングスポットRが画像処理部321により検出されなかった場合、例えば、図13に示すように、表示部324に検査の合格を示すメッセージ(例えば、「ボルディングスポットは発見されませんでした。」)を表示させる。これにより、植毛ネット200上で結び目101が形成されていない広い領域(植毛が失敗している領域)の有無を検査することができる。
【0036】
[変形例]
以上、上述した実施形態は本開示を実施するための例示に過ぎない。よって、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0037】
(1)上記実施形態では、判定装置を設ける例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、撮像装置により撮像された画像を、人が目視して、結び目の有無を確認し、人が検査の良否判定を行ってもよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、ラインカメラを用いる例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、エリアカメラにより、毛髪材が結び付けられた植毛ネットを撮像してもよいし、立体カメラ(3Dカメラ)により、毛髪材が結び付けられた植毛ネットを撮像してもよい。
【0039】
(3)上記実施形態では、撮像された画像を二値化する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、撮像された画像を二値化せずに、パターンマッチング等の画像処理を行うことにより、結び目を検出してもよい。
【0040】
(4)上記実施形態では、矩形状の植毛ネットを撮像する例(検査対象とする例)を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、円形状、楕円形状、又は多角形状を有する植毛ネットを撮像してもよい(検査対象としてもよい)。
【0041】
(5)上記実施形態では、照明をカメラと植毛ネットとの間に配置する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、カメラの影が、植毛ネット上に生じなければ、照明をカメラ以上の高さ位置に配置してもよい。
【0042】
(6)上記実施形態では、照明をドーム状に形成する例を示したが、本開示はこれに限られない。例えば、照明を、点光源、線光源、または平板状の光源により構成してもよい。
【0043】
また、上述した構成は、以下のように説明することができる。
【0044】
第1の構成に係る撮像装置は、毛髪材が結び付けられた植毛対象物を撮像する撮像装置であって、前記植毛対象物から前記毛髪材が垂れ下がった状態で、前記植毛対象物を保持する保持機構部と、前記植毛対象物の上方に配置された撮像部であって、前記植毛対象物を上方から撮像する撮影部と、を備える(第1の構成)。
【0045】
上記第1の構成によれば、毛髪材が下方に垂れ下がった状態の植毛対象部を、上方から撮像することができる。このため、毛髪材の結び目上に毛髪材の他の部分が乗っておらず、結び目が露出した状態の画像を取得することができる。これにより、この画像を用いれば、結び目の有無を容易に検査することができる。この結果、自動植毛装置により作成された、毛髪材が結び付けられた植毛対象物の検査を支援することができる。
【0046】
第1の構成において、前記保持機構部は、前記植毛対象物の縁部を保持する縁部保持部を含んでもよい(第2の構成)。
【0047】
上記第2の構成によれば、植毛対象物の縁部を保持するので、保持機構部が撮像された画像に映り込むことを防止することができる。
【0048】
第2の構成において、前記保持機構部は、前記植毛対象物のうちの、前記縁部に対して中央の部分を、下方から支持する支持部材を含んでもよい(第3の構成)。
【0049】
ここで、植毛対象物の縁部のみが保持されている場合、毛髪材の重みにより植毛対象物の中央の部分が下方に撓んでしまう。これに対して、上記第3の構成によれば、支持部材により、中央の部分を支持することができるので、植毛対象物の撓みを防止することができる。
【0050】
第3の構成において、前記支持部材は、前記撮像部に撮像された画像において二値化された場合に、前記植毛対象物と異なる値となる色彩を有するように構成されてもよい(第4の構成)。
【0051】
上記第4の構成によれば、支持部材が撮像された画像に映り込んだ場合でも、植毛対象物と画像上で区別することができる。これにより、支持部材が検査を阻害するのを防止することができる。
【0052】
第2~第4の構成のいずれか1つにおいて、前記植毛対象物は、4つの辺を含む矩形状を有するように構成されてもよい。前記縁部保持部は、前記4つの辺の各々を前記植毛対象物の外側に向かって引っ張りながら保持するように構成されてもよい(第5の構成)。
【0053】
上記第5の構成によれば、植毛対象物の撓みを防止することができる。
【0054】
第5の構成において、前記保持機構部は、前記縁部保持部を支持する基台であって、垂れ下がった前記毛髪材が配置される開口部を有する基台を含む(第6の構成)。
【0055】
上記第6の構成によれば、基台を設ける場合でも、植毛対象物から垂れ下がった毛髪材を開口部内に配置することができる。
【0056】
第2~第6の構成のいずれか1つにおいて、前記撮像部は、第1の方向に線状の領域を撮像するラインカメラを含んでもよい。前記保持機構部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に前記植毛対象物を移動させる移動機構部を含んでもよい(第7の構成)。
【0057】
上記第7の構成によれば、植毛対象物の寸法が第2の方向に大きい場合でも、第2の方向に植毛対象物を移動させることにより、植毛対象物を撮像することができる。
【0058】
第1~第7の構成のいずれか1つにおいて、撮像装置は、前記毛髪材及び前記植毛対象物のうちの一方に吸収され、他方に反射される波長の光を含む照明光を発する照明を、さらに備えてもよい(第8の構成)。
【0059】
上記第8の構成によれば、撮像された画像上で、毛髪材と植毛対象物とを容易に区別することができるので、検査を容易にすることができる。
【0060】
第8の構成において、前記照明は、前記撮像部と前記植毛対象物との間に配置されてもよい(第9の構成)。
【0061】
上記第9の構成によれば、照明と植毛対象物との間に撮像部が配置される場合と異なり、撮像部の影が植毛対象物上に生じるのを防止することができる。
【0062】
第9の構成において、前記照明は、前記撮像部に向かって窪むドーム形状を有するように構成されてもよい(第10の構成)。
【0063】
上記第10の構成によれば、様々な方向から、植毛対象物に光が照射されるので、植毛対象物上の結び目の凹凸による影が生じるのを低減することができる。
【0064】
第11の構成に係る検査システムは、毛髪材が結び付けられた植毛対象物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置により撮像された画像に基づいて、検査の合否を判定する判定装置と、を備えた検査システムであって、前記撮像装置は、前記植毛対象物から前記毛髪材が垂れ下がった状態で、前記植毛対象物を保持する保持機構部と、前記植毛対象物の上方に配置された撮像部であって、前記植毛対象物を上方から撮像する撮影部と、を含む(第11の構成)。
【0065】
上記第11の構成によれば、自動植毛装置により作成された、毛髪材が結び付けられた植毛対象物の検査を支援することが可能な検査システムを提供するすることができる。
【符号の説明】
【0066】
100a:毛髪材、101:結び目、120:自動植毛装置、200:植毛ネット、200a:縁部、200b:中央の部分、300:検査システム、301:撮像装置、302:判定装置、311:カメラ、312:照明、313:制御部、314:保持機構駆動回路、341a~341d:縁部保持部、321:画像処理部、322:制御部、330:保持機構部、332:基台、332a:開口部、333:レール、334:基台駆動機構、342a~342d:縁部引張機構部、343:支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13