(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139221
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050067
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】394009289
【氏名又は名称】株式会社エアテックジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】長屋 雄貴
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA03
3C064AA05
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA13
3C064BB62
3C064CA04
3C064CA08
3C064CB17
3C064CB64
3C064CB65
3C064CB69
3C064CB71
(57)【要約】
【課題】副グリップにより、加工工具を目的の加工部位に容易にかつ正確に誘導する。
【解決手段】主グリップ1には電動機1aが内蔵されている。ギアボックス2内で回転軸の方向が変換された電動機1aの駆動軸には回転シャフト3が接続され、回転シャフト3の先端には加工工具5が取り付けられている。回転シャフト3には、副グリップ4がベアリングを介して取り付けられ、副グリップ4は回転シャフト3の回転に追従することないので、副グリップ4を使って加工工具5を目的の加工部位に容易にかつ正確に誘導できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で主グリップを持ち、他手で副グリップを持って作動させる電動工具において、
前記主グリップ側に設けた電動機の駆動軸により回転し、先端に加工工具を取り付けた回転シャフトの外周に、前記副グリップを前記回転シャフトと直交する方向に向け、前記回転シャフトの回転に追従することなく取り付けたことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記副グリップは前記回転シャフトの回転方向に沿って向きを変更することができることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記副グリップは前記回転シャフトにベアリングを介して取り付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記回転シャフトは前記駆動軸に連結したことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記加工工具は前記回転シャフトにねじ結合したことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に刃物等の加工工具を付設して使用する電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動工具において、作業の安定性のために、例えば特許文献1~3に開示されるように、主グリップの他に補助的に副グリップを備え、右手で主グリップを握り、左手を副グリップに添えて切削等の作業を行う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-205285号公報
【特許文献2】特開2004-122279号公報
【特許文献3】特開2013-233636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに、このような副グリップを備えた電動工具によれば、両手で扱うために作業も安定し、事故も少なくなるという利点がある。
【0005】
しかし、これらの副グリップは、主グリップと一体の電動部側に固定されており、それぞれ別個の存在理由も有しているものの、共通して、主グリップによる電動部側の荷重負担を補助し、電動部による電動工具の揺れを防止するために使われている。
【0006】
これらの既設の副グリップを使っても、加工工具を加工部位に誘導できないわけではないが、副グリップは主に荷重を負担するという役割を持っているので、加工工具を加工部位に誘導するには適していない。
【0007】
本発明の目的は、回転シャフトに副グリップを取り付け、回転シャフトの先端に取り付けた加工工具を、目的の加工部位に容易にかつ正確に誘導し得る電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る電動工具は、片手で主グリップを持ち、他手で副グリップを持って作動させる電動工具において、前記主グリップ側に設けた電動機の駆動軸により回転し、先端に加工工具を取り付けた回転シャフトの外周に、前記副グリップを前記回転シャフトと直交する方向に向け、前記回転シャフトの回転に追従することなく取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電動工具によれば、加工工具を取り付けた回転シャフトに、副グリップを回転シャフトの回転に追従しないように取り付け、この副グリップにより加工工具を加工部位に容易にかつ正確に誘導できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例の手動電動工具の側面図であり、主グリップ1の上部にはギアボックス2が設けられている。主グリップ1内には電動機1aが内蔵され、主グリップ1の内表面に操作スイッチ1bが設けられている。また、電動機1aには電源コード1cを介して、商用電源が接続されている。なお、電動機1aには商用電源の代りに、主グリップ1内にバッテリを設けて駆動してもよい。
【0012】
ギアボックス2には、電動機1aの回転軸の方向を変換し、回転比を調整して、回転を駆動軸2aに出力するギア機構が内蔵され、駆動軸2aには
図2に示す棒状の回転シャフト3がねじ部により軸線を合わせて連結されている。なお実施例では、回転シャフト3は主グリップ1に対して直交する方向に向けられているが、回転シャフト3は主グリップ1と直線状に位置するようにしてもよい。
【0013】
回転シャフト3は大径部3aと小径部3bから成る段付きの棒状体とされ、大径部3aの端部には駆動軸2aがねじ込まれるねじ穴3cが穿孔され、先端側の小径部3bの端部には、後述する加工工具のボルトがねじ込まれるねじ穴3dが形成されている。また、小径部3bの中間にはリング溝3eが周設されている。
【0014】
駆動軸2aにねじ結合により固定される回転シャフト3の中間部の外周には、副グリップ4が主グリップ1と平行に取り付けられている。副グリップ4は軸受部4aを介して回転シャフト3の小径部3bの周囲に連結されている。軸受部4a内には複数個の鋼球から成るベアリング4bが収納され、軸受部4aは小径部3bにベアリング4bを圧入することにより、軸受部4aは回転シャフト3の大径部3aとリング溝3eの間に取り付けられている。また、副グリップ4の本体4cは、軸受部4aの一部にねじ軸をねじ込むことにより固定されている。そして、リング溝3eにはC字状のリングストッパ3fが嵌合されている。
【0015】
この構造のため、加工のために回転シャフト3が回転しても、副グリップ4は軸受部4a内のベアリング4bの存在により、副グリップ4は回転シャフト3の回転から切り離され、回転シャフト3の回転に追従して回転することはなく、作業者は副グリップ4を持って回転シャフト3を任意の方向に向けることができる。また、軸受部4aは大径部3aとリングストッパ3fとの間に挟まれているので、副グリップ4が回転シャフト3に対して軸方向に移動することもない。
【0016】
回転シャフト3の先端には、1例として、
図3に示すような、加工面を粗面に加工する加工工具5が取り付けられている。この加工工具5は、径がそれぞれ異なる複数枚の円板状のカッタ刃5a、5b、5cを有し、これらのカッタ刃5a、5b、5cの裏面には、それぞれ所定の厚みの一体又は別個の段部5dが付設されており、段部5dを含む中心部に挿通孔5fが形成されている。
【0017】
カッタ刃5a、5b、5cは先端側を小径とする径の順に並べられ、頭部付きのボルト5eが各挿通孔5fに挿通され、ボルト5eの先端は回転シャフト3のねじ穴3dにねじ込まれて固定されており、加工工具5は
図1に示すように組み付けられる。
【0018】
加工工具5において、カッタ刃5a、5b、5cは段部5dの厚みにより等間隔で平行に積層され、3枚のカッタ刃5a、5b、5cは大略的に先端が小さい円錐形状に並設され、カッタ刃5a、5b、5cの周縁は円錐形の斜面に沿って、ほぼ直線上に位置している。各カッタ刃5a、5b、5cには、その周縁に例えばダイヤモンドの砥粒5gが着設され、カッタ刃5a、5b、5cの周縁は砥粒5gによる切削性を有している。
【0019】
この電動工具の使用に際しては、作業者は加工工具5を回転シャフト3に組み付けてから、例えば主グリップ1を右手で持ち、左手を副グリップ4に添え、主グリップ1の操作スイッチ1bを押して電動機1aを回転駆動し、回転シャフト3を介して加工工具5を回転する。駆動軸2aは回転シャフト3にねじ込まれ、加工工具5は回転シャフト3にねじ込まれて固定されているが、これらのねじ込み方向は電動機1aの回転方向に対して緩むことのない方向とされている。
【0020】
図4に示すように、例えば粗面として加工すべきコンクリート面Sに、加工工具5の3枚のカッタ刃5a、5b、5cが共に接触するようにあてがい、カッタ刃5a、5b、5cをコンクリート面Sに押し付けながら、副グリップ4により加工工具5を所望の加工部位に誘導する。加工工具5の切削によって、コンクリート面S上の所望部位に3条1組の加工溝による筋目が同時に形成される。
【0021】
この作業において、作業者は左手で握った副グリップ4により、加工工具5の近傍の回転シャフト3を支持しているので、回転シャフト3が振れることなく、加工面の目的部位に正確に加工工具5を誘導して加工することが可能となる。また、副グリップ4は回転シャフト3の回転に関係なく取り付けられており、副グリップ4を回転シャフト3の回転方向に沿って任意の方向に向けることができるので、作業がし易い方向から回転シャフト3を保持することができる。
【0022】
このように、この電動工具によれば、例えばタイルTが脱落したコンクリート面Sの小面積に対する加工において、副グリップ4による加工工具5の容易かつ正確な誘導により、既存のタイルTを損傷することなく、既存のタイルの近傍まで加工が可能となる。
【0023】
なお実施例においては、粗面加工用の加工工具5を回転シャフト3に取り付けたが、加工工具は他の切断工具、研磨工具、ドリル等であってもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 主グリップ
1a 電動機
1b 操作スイッチ
2 ギアボックス
2a 駆動軸
3 回転シャフト
3a 大径部
3b 小径部
3e リング溝
4 副グリップ
4a 軸受部
4b ベアリング
5 加工工具