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特開2024-139226電子構造体、電子構造体の製造方法および電子デバイスの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139226
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電子構造体、電子構造体の製造方法および電子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241002BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20241002BHJP
【FI】
H01L21/02 C
H01L33/48
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050073
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】川田 寛人
(72)【発明者】
【氏名】石川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】古田 裕典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴人
(72)【発明者】
【氏名】谷川 兼一
(72)【発明者】
【氏名】中井 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】北島 由隆
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142FA32
(57)【要約】
【課題】機能部の転写を含むプロセスを容易にする。
【解決手段】電子構造体(1)の製造方法は、基板(10)と、基板(10)上に形成された第1の犠牲層(11)と、第1の犠牲層(11)上に形成された機能部(12)とを有する積層基板を用い、基板(10)から機能部(12)まで延在する第2の犠牲層(13)を形成する工程と、基板(10)から第2の犠牲層(13)まで延在する被覆層(14)を形成する工程と、第1の犠牲層(11)および第2の犠牲層(13)を除去する工程とを有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板上に形成された第1の犠牲層と、前記第1の犠牲層上に形成された機能部とを有する積層基板を用い、前記基板から前記機能部まで延在する第2の犠牲層を形成する工程と、
前記基板から前記第2の犠牲層まで延在する被覆層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程と
を有する電子構造体の製造方法。
【請求項2】
前記第2の犠牲層を形成する工程の前に、
前記基板上に前記第1の犠牲層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層上に前記機能部を形成する工程と
を有する請求項1に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項3】
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程では、前記機能部と前記基板とを接触する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項4】
前記被覆層の前記機能部側の面の表面粗さを、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗くする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項5】
前記積層基板は、前記基板と前記第1の犠牲層との間に第3の犠牲層を有し、
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程は、
前記第1の犠牲層を除去する工程と、
前記第3の犠牲層の前記基板と反対側の面の表面粗さを、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗くする工程と、
前記第2の犠牲層を除去する工程とを有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項6】
前記第2の犠牲層を除去する工程では、前記機能部と前記第3の犠牲層とを接触させる
ことを特徴とする請求項4に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項7】
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程では、
前記第1の犠牲層と前記第2の犠牲層とを、同一のエッチング材料を用いて除去する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項8】
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程では、
前記第1の犠牲層を所定のエッチング材料を用いて除去したのち、前記第2の犠牲層のうちの他方を前記エッチング材料とは異なるエッチング材料を用いて除去する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項9】
前記被覆層を形成する工程では、
前記機能部の外周に沿って、複数の被覆層を形成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子構造体の製造方法。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に形成された機能部と、
前記基板上に、前記機能部を囲むように形成された被覆層と
を有し、
前記機能部と前記被覆層との間に空隙が形成されている
電子構造体。
【請求項11】
前記被覆層の前記機能部側の面の表面粗さは、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗い
ことを特徴とする請求項10に記載の電子構造体。
【請求項12】
前記基板と前記機能部との間に、犠牲層を有し、
前記犠牲層の前記基板と反対側の面の表面粗さは、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗い
ことを特徴とする請求項10または11に記載の電子構造体。
【請求項13】
前記機能部の外周に沿って、複数の前記被覆層が形成されている
ことを特徴とする請求項10または11に記載の電子構造体。
【請求項14】
基板と、基板上に形成された第1の犠牲層と、前記第1の犠牲層上に形成された機能部とを有する積層基板を用い、前記基板から前記機能部まで延在する第2の犠牲層を形成する工程と、
前記基板から前記第2の犠牲層まで延在する被覆層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去することにより、前記基板と前記機能部とを接触させる工程と、
前記機能部を前記基板から剥離する工程と、
前記機能部を前記基板とは別の基板に転写する工程と
を有する電子デバイスの製造方法。
【請求項15】
前記機能部を前記基板から剥離する工程では、
前記機能部と共に前記被覆層を前記基板から剥離する
請求項14に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項16】
前記機能部を前記基板から剥離する工程では、
前記被覆層を変形させながら、前記機能部を前記基板から剥離する
請求項14に記載の電子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子構造体、電子構造体の製造方法および電子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に支持層を介して機能部を形成し、機能部を基板から剥離して別の基板(転写基板とも称する)に転写する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-152387号公報(要約参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、機能部と共に支持層も基板から剥離され、転写基板に転写される。そのため、転写工程またはその後工程において、支持層を除去する作業が必要となる。また、剥離の際に支持層の一部が破断するため、転写基板に破断片が付着し、接合不良等の不具合を生じる可能性もある。そのため、機能部の転写を含むプロセスを容易にすることが求められている。
【0005】
本開示は、機能部の転写を含むプロセスを容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電子構造体の製造方法は、基板と、基板上に形成された第1の犠牲層と、第1の犠牲層上に形成された機能部とを有する積層基板を用い、基板から機能部まで延在する第2の犠牲層を形成する工程と、基板から第2の犠牲層まで延在する被覆層を形成する工程と、第1の犠牲層および第2の犠牲層を除去する工程とを有する。
【0007】
本開示の電子構造体は、基板と、基板上に形成された機能部と、基板上に、機能部を囲むように形成された被覆層とを有し、機能部と被覆層との間に空隙が形成されている。
【0008】
本開示の電子デバイスの製造方法は、基板上に第1の犠牲層を形成する工程と、第1の犠牲層上に機能部を形成する工程と、基板から機能部まで延在する第2の犠牲層を形成する工程と、基板から第2の犠牲層まで延在する被覆層を形成する工程と、第1の犠牲層および第2の犠牲層を除去することで、基板と機能部とを接触させる工程と、機能部を基板から剥離する工程と、機能部を基板とは別の基板に転写する工程とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、第1の犠牲層と第2の犠牲層が除去されて、機能部が基板上で保持されるため、機能部を基板から容易に剥離し、別の基板に転写することができる。そのため、機能部の転写を含むプロセスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の電子構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図2】実施の形態1の電子構造体の製造方法において、基板上に第1の犠牲層および機能部を形成する工程を示す断面図(A)、および第2の犠牲層を形成する工程を示す断面図(B)である。
図3】実施の形態1の電子構造体の製造方法において、第2の犠牲層の表面を粗面化する工程を示す断面図(A)、および第2の犠牲層をパターニングする工程を示す断面図(B)である。
図4】実施の形態1の電子構造体の製造方法において、保持層(被覆層)を形成する工程を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図5】実施の形態1の電子構造体の製造方法において、第1の犠牲層および第2の犠牲層を除去する工程を示す断面図(A)および底面図(B)である。
図6】実施の形態1の電子構造体と転写ツールとを示す断面図(A)および平面図(B)である。
図7】実施の形態1の電子構造体の機能部を基板から剥離する工程を段階的に示す断面図(A),(B)である。
図8】実施の形態1の電子構造体の機能部を転写基板に転写する工程を段階的に示す断面図(A),(B)である。
図9】実施の形態1の電子構造体から転写基板に転写した機能部に配線等を形成する工程を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図10】実施の形態1の電子構造体の他の構成例を示す断面図である。
図11】変形例の電子構造体の製造方法において、基板上に第1の犠牲層、機能ユニット、第2の犠牲層および保持層を形成した状態を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図12】変形例の電子構造体の製造方法において、第1の犠牲層および第2の犠牲層を除去する工程を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図13】実施の形態2の電子構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図14】実施の形態2の電子構造体の製造方法において、基板上に第1の犠牲層および機能部を形成する工程を示す断面図(A)、第2の犠牲層を形成する工程を示す断面図(B)、および第2の犠牲層をパターニングする工程を示す断面図(C)である。
図15】実施の形態2の電子構造体の製造方法において、保持層を形成する工程を示す断面図(A)、および、第1の犠牲層および第2の犠牲層を除去する工程を示す断面図(B)である。
図16】実施の形態3の電子構造体の製造方法を示すフローチャートである。
図17】実施の形態3の電子構造体の製造方法において、基板上に第3の犠牲層および第1の犠牲層を形成する工程を示す断面図(A)、第1の犠牲層上に機能ユニットを形成する工程を示す断面図(B)、および第2の犠牲層を形成する工程を示す断面図(C)である。
図18】実施の形態3の電子構造体の製造方法において、第2の犠牲層の表面を粗面化する工程を示す断面図(A)、および第2の犠牲層をパターニングする工程を示す断面図(B)である。
図19】実施の形態3の電子構造体の製造方法において、保持層を形成する工程を示す断面図(A)、および第1の犠牲層を除去する工程を示す断面図(B)である。
図20】実施の形態3の電子構造体の製造方法において、第3の犠牲層の表面を粗面化する工程を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図21】実施の形態3の電子構造体の製造方法において、第2の犠牲層を除去する工程を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図22】実施の形態3の電子構造体の機能ユニットを基板から剥離する工程を段階的に示す断面図(A),(B)である。
図23】実施の形態3の電子構造体の機能ユニットを転写基板に転写する工程を段階的に示す断面図(A),(B)である。
図24】実施の形態4の電子構造体の製造方法において、基板上に、第1の犠牲層、機能ユニット、第2の犠牲層および保持層を形成した状態を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図25】実施の形態4の電子構造体を示す断面図(A)および平面図(B)である。
図26】実施の形態4の電子構造体の機能部を基板から剥離する工程を段階的に示す断面図(A),(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態に係る電子構造体およびその製造方法について、図面を参照して説明する。電子構造体は、電子デバイスの製造工程で用いられる。
【0012】
電子デバイスは、例えば、LED(発光ダイオード)等の光電変換素(発光素子、受光素子)を有する光電変換デバイス等である。光電変換デバイスは、LEDディスプレイ、イメージセンサ等の光電変換モジュールに用いられる。
【0013】
また、電子デバイスは、圧電デバイスであってもよい。圧電デバイスは、例えば、圧電センサ、アクチュエータ、超音波センサ、超音波発生器、圧力トランスデューサ等の圧電モジュールに用いられる。また、電子デバイスは、スイッチ素子、パワーデバイス等であってもよい。
【0014】
≪実施の形態1≫
<電子構造体の製造方法>
図1は、実施の形態1の電子構造体の製造方法を示すフローチャートである。図2(A)は、基板10上に第1の犠牲層11および機能部12を形成する工程を示す断面図である。図2(B)は、第2の犠牲層13を形成する工程を示す断面図である。
【0015】
ステップS101(図1)では、図2(A)に示すように、基板10上に第1の犠牲層11を形成し、第1の犠牲層11上に機能部12を形成する。
【0016】
基板10は、半導体基板または絶縁基板である。以下で説明する機能部12が発光素子となる半導体層である場合には、基板10は、半導体層の形成に適したGaAs基板(ウエハ)であることが望ましい。
【0017】
第1の犠牲層11は、基板10の表面に形成される。第1の犠牲層11上に機能部12をエピタキシャル成長する場合には、第1の犠牲層11は、機能部12に格子定数が近く、エッチング選択比が大きいAlGaAs層であることが好ましい。第1の犠牲層11の厚さは、例えば10nm以上、1μm以下である。
【0018】
機能部12は、例えば半導体層であり、エピタキシャル層である。機能部12は、機能性薄膜とも称する。
【0019】
機能部12は、例えば、GaP/AlInGaPのヘテロ接合半導体膜である。機能部12は、また、GaAs、InGaP、GaN、AlGaN、InGaNであってもよい。機能部12は、また、圧電特性を有する結晶層であってもよい。
【0020】
機能部12は、上記の通り、第1の犠牲層11上にエピタキシャル成長により形成される。但し、機能部12は、基板10とは別の基板上にエピタキシャル成長させ、当該基板から剥離して第1の犠牲層11上に転写してもよい。この場合、第1の犠牲層11は、CVD(化学蒸着)により成膜されるAl、SiO等の無機膜、または感光レジスト等の有機膜で形成することができる。基板10は、例えばSi基板であってもよい。
【0021】
機能部12の底面すなわち基板10側の面は、表面粗さ(最大高さRy)が10nm以下の平滑面である。
【0022】
ステップS102(図1)では、図2(B)に示すように、第1の犠牲層11および機能部12をエッチング等によりパターニングし、基板10の表面を露出させる分離溝61を形成する。なお、基板10と、第1の犠牲層11と、機能部12とを合わせて、積層基板と称する。
【0023】
ステップS103(図1)では、図2(B)に示すように、基板10の表面から機能部12まで延在する第2の犠牲層13を形成する。第2の犠牲層13は、例えば、Al、SiO等の無機膜、または、感光性レジスト等の有機膜である。第2の犠牲層13の厚さは、例えば100nmである。
【0024】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の材質を、同じエッチング液で除去されるように選定すれば、後述するステップS107において、第1の犠牲層11と第2の犠牲層13とを同時に除去することができる。
【0025】
第2の犠牲層13は、分離溝61によって露出した基板10の表面から、機能部12の表面(すなわち基板10と反対側の面)に達するように形成される。
【0026】
図3(A)は、第2の犠牲層13の表面を粗面化する工程を示す断面図である。図3(B)は、第2の犠牲層13をパターニングする工程を示す断面図である。
【0027】
ステップS104(図1)では、図3(A)に示すように、第2の犠牲層13の表面13eを粗面化する。粗面化は、表面粗さを粗くする処理であり、例えばアッシング等のプラズマ処理により行われる。
【0028】
また、プラズマ処理に限らず、第2の犠牲層13の表面13eに粒子を付着させてもよい。例えば金属材料を真空蒸着すると、自己組織化により粒状化された金属材料が第2の犠牲層13の表面13eに付着し、表面粗さを粗くすることができる。いずれの粗面化方法を用いた場合も、第2の犠牲層13の表面13eに加え、第2の犠牲層13の側面も粗面化される。
【0029】
第2の犠牲層13の表面13eの粗面化後の表面粗さは、機能部12の底面(すなわち基板10側の面)の表面粗さよりも粗い。一例としては、第2の犠牲層13の表面13eの表面粗さ(最大高さRy)は、10nmよりも粗い。
【0030】
ステップS105(図1)では、図3(B)に示すように、第2の犠牲層13をパターニングし、開口部62を形成する。開口部62は、後述する犠牲層11,13の除去工程(ステップS107)において、エッチング液が第1の犠牲層11に到達し易くするために形成される。
【0031】
図4(A),(B)は、保持層14を形成する工程を示す断面図および平面図である。なお、図4(A)は、図4(B)に示す線分4A-4Aにおける断面図に相当する。
【0032】
ステップS106(図1)では、図4(A)に示すように、基板10の表面から第2の犠牲層13まで延在する被覆層としての保持層14を形成する。保持層14の材質は、後述する第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の除去工程(ステップS107)においてエッチング液で浸食されない材質が望ましく、一例としては、有機レジストが用いられる。
【0033】
保持層14において第2の犠牲層13の表面13eに接する面14eは、第2の犠牲層13の表面13eと同様に粗面化される。保持層14の面14eの表面粗さは、例えば、機能部12の底面(すなわち基板10側の面)の表面粗さよりも粗い。一例としては、保持層14の面14eの表面粗さ(最大高さRy)は、10nmよりも粗い。
【0034】
保持層14は、図4(A)に示すように、第2の犠牲層13の表面上に形成される頂部14aと、基板10の表面上に形成される基部14bと、頂部14aと基部14bとの間で延在する柱部14cとを有する。
【0035】
また、保持層14は、図4(B)に示すようにパターニングすることが望ましい。ここで、基板10の表面に沿って、互いに直交するX方向およびY方向を定義する。機能部12の平面形状は、X方向に延在する2辺とY方向に延在する2辺とを有する矩形状である。
【0036】
保持層14は、上面視で、機能部12をX方向に跨ぐ第1の延在部141と、機能部12をY方向に跨ぐ第2の延在部142とを有する。第1の延在部141と第2の延在部142とは、機能部12の表面の中央で交差している。
【0037】
保持層14がこのようにパターニングされるため、機能部12の4つの角部に対応する位置に、開口部63が形成される。なお、上記ステップS105で形成された第2の犠牲層13の開口部62は、開口部63に対応する位置に形成される。
【0038】
図5(A),(B)は、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程を示す断面図および平面図である。なお、図5(A)は、図5(B)に示す線分5A-5Aにおける断面図に相当する。
【0039】
ステップS107(図1)では、図5(A)に示すように、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13をウエットエッチングにより除去する。エッチング液としては、例えば、リン酸と過酸化水素の混合液を用いることができる。
【0040】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13が除去されることにより、機能部12は、エッチング液中で浮遊する。このとき、機能部12が保持層14に囲まれているため、機能部12の位置ずれは抑制される。
【0041】
特に、保持層14が機能部12をX方向およびY方向に跨ぐように設けられているため、基板10の表面と平行な面内における機能部12の位置ずれが防止され、また、基板10の表面に直交する方向における機能部12の位置も規制される。
【0042】
なお、犠牲層の除去とは、犠牲層の大部分が除去されていればよく、僅かに残存部分が残っていても良い。例えば、第1の犠牲層11の一部が基板10上に僅かに残っていてもよい(後述する図10参照)。
【0043】
基板10をエッチング液から取り出すと、自重により、機能部12が基板10の表面に付着して保持される。機能部12と基板10の表面との間の付着力は、自重によるものであり、弱い付着力である。また、機能部12と保持層14との間には、空隙Aが形成される。
【0044】
機能部12の側面と保持層14と隙間Wは、第2の犠牲層13の厚さに相当する。第2の犠牲層13の厚さが薄いほど、隙間Wを小さくすることができ、機能部12がエッチング液中で浮遊している間の位置ずれを抑制することができる。すなわち、基板10上での機能部12の位置精度を高めることができる。
【0045】
第2の犠牲層13の厚さは、ここでは100nmとしたが、100nmには限定されない。後述する転写基板20(図8(A))上での機能部12の位置精度が1μmオーダーで要求されるため、第2の犠牲層13の厚さは1μm以下であることが望ましい。
【0046】
なお、ステップS107では第1の犠牲層11と第2の犠牲層13とを同時に除去しているが、いずれか一方を先に除去してもよい。この場合は、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の材質は、別々のエッチング液で除去されるように選定する。
【0047】
例えば、第1の犠牲層11を第2の犠牲層13よりも先に除去した場合には、第1の犠牲層11を除去する間、第2の犠牲層13によって機能部12が基板10から離れた位置で保持される。そのため、機能部12の周縁部の垂れ下がり等を防止することができ、エッチング液を第1の犠牲層11の全体に十分に浸透させることができる。これにより、エッチング残りを無くし、第1の犠牲層11を効率よく除去することができる。
【0048】
以上のように第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去することにより、図5(A)に示すように、基板10と機能部12と保持層14とを有し、機能部12と保持層14との間に空隙Aが設けられた電子構造体1が得られる。ステップS101~S107は、電子構造体1の製造工程に相当する。
【0049】
これらのステップS101~S107と、以下で説明するステップS108~S110とにより、電子デバイス2が製造される。
【0050】
図6(A)は、電子構造体1と転写ツール17とを示す断面図である。図6(B)は、転写ツール17を示す下面図である。
【0051】
ステップS108(図1)では、電子構造体1の基板10から、機能部12および保持層14を剥離する。剥離には、図6(A)に示す転写ツール17を用いる。転写ツール17は、保持体18と、これを支持する支持基板19とを有する。
【0052】
保持体18は、粘着性(タック性)および弾性を有することが望ましく、ここでは有機構造体である。例えば、硬質の材料で形成された支持基板19の表面に、エラストマーまたは厚膜レジストによって保持体18を形成することができる。
【0053】
保持体18は、機能部12の表面に接する第1の接触部18aと、保持層14の表面(すなわち頂部14aの表面)に接する第2の接触部18bとを有する。第1の接触部18aは、第2の接触部18bよりも電子構造体1側に突出した位置にある。
【0054】
保持層14がX方向およびY方向に十字状に延在している場合には(図5(B)参照)、第1の接触部18aは、X方向とY方向に2行2列に配置されている。第2の接触部18bは、保持層14と同様の十字状に延在する溝として形成される。
【0055】
図7(A),(B)は、機能部12および保持層14を基板10から剥離する工程を段階的に示す断面図である。
【0056】
まず、図7(A)に示すように、転写ツール17の保持体18の接触部18a,18bを機能部12および保持層14に押し当てる。保持層14は、保持体18に上方から押圧されることにより変形し、機能部12の表面に接触する。但し、保持層14の機能部12側の面14eは粗面化されているため、保持層14と機能部12との付着力は極めて弱いものとなる。
【0057】
次に、図7(B)に示すように、転写ツール17を基板10から離間する方向に移動させる。転写ツール17の保持体18と機能部12との付着力は、機能部12と基板10の表面との付着力よりも強いため、機能部12は保持層14と共に基板10から剥離される。
【0058】
図8(A),(B)は、機能部12および保持層14を、基板10とは別の基板(転写基板と称する)20に転写する工程を段階的に示す断面図である。転写基板20は、機能部12の実装領域に平滑面を有し、その平滑面の表面粗さ(最大高さRy)は10nm以下である。転写基板20は、第2の基板とも称する。
【0059】
ステップS109(図1)では、図8(A)に示すように、転写ツール17を転写基板20上に移動し、転写ツール17で保持した機能部12を転写基板20の表面に押し当てる。
【0060】
機能部12の底面および転写基板20の表面は、いずれも表面粗さが10nm以下の平滑面であるため、所定の加圧および加熱を行うことにより、機能部12の底面と転写基板20の表面とが、分子間力すなわち強い接合力で接合される。
【0061】
その後、図8(B)に示すように、転写ツール17を転写基板20から離間する方向に移動させる。
【0062】
機能部12の底面と転写基板20の表面との接合力は、転写ツール17の保持体18と機能部12および保持層14との付着力よりも強い。また、保持層14の機能部12側の面14eは粗面化されているため、保持層14と機能部12との付着力は非常に弱い。
【0063】
そのため、機能部12は転写基板20上に接合されたまま残り、保持層14が転写ツール17と共に転写基板20から離間する。転写基板20上に機能部12だけが残るため、転写基板20上から不要な部材を取り除く必要がない。
【0064】
図9(A),(B)は、転写基板20に転写した機能部12に配線等を形成する工程を示す断面図および平面図である。なお、図9(A)は、図9(B)に示した線分9A-9Aにおける断面図に相当する。
【0065】
ステップS110(図1)では、図9(A),(B)に示すように、機能部12に配線等を形成する。機能部12は、パターニングによってメサ構造を形成し、配線等を形成することにより、例えばLEDとなる。
【0066】
例えば、半導体プロセスにより、機能部12のアノード層12aおよびカソード層12bと転写基板20上の配線21,22とを接続するように、配線層23,24を形成する。半導体プロセスに限らず、例えばワイヤボンディングあるいは印刷プロセスを用いても良い。
【0067】
これにより、電子デバイス2が完成する。駆動回路から配線21,22を介して配線層23,24に電圧を印加することにより、LEDである機能部12から光が照射される。
【0068】
<作用>
この実施の形態1の電子構造体1は、図5(A)に示したように、基板10に第1の犠牲層11、機能部12、第2の犠牲層13および保持層14を形成したのち、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去することによって製造される。そのため、機能部12は、基板10の表面に弱い力で付着して保持される。
【0069】
従って、図7(B)に示したように機能部12を基板10から容易に剥離し、転写基板20に転写することができる。これにより、機能部12の転写を含むプロセスを容易にすることができる。
【0070】
また、機能部12を転写基板20に転写したのち、図8(B)に示したように、保持層14が転写ツール17に付着したまま除去されるため、転写基板20からの保持層14の除去工程が不要である。そのため、転写基板20として、予め電子部品等が実装されたプリント基板、フレキシブル基板等を用いることができる。
【0071】
また、図5(A)に示したように、保持層14が基板10から第2の犠牲層13まで延在しているため、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程では、保持層14によって機能部12の位置ずれを抑制することができる。そのため、基板10上での機能部12の位置精度を高めることができる。
【0072】
また、図3(A)で示したように、第2の犠牲層13の表面13eを粗面化することにより、第2の犠牲層13上に形成される保持層14の機能部12側の面14eも粗面化される。これにより、機能部12と保持層14との付着力を弱くすることができ、図8(B)に示した工程で保持層14を機能部12から容易に離間させることができる。
【0073】
<実施の形態1の効果>
以上説明したように、実施の形態1の電子構造体1の製造方法は、基板10と、基板10上に設けられた第1の犠牲層11と、第1の犠牲層11上に形成された機能部12とを有する積層基板を用い、基板10から機能部12まで延在する第2の犠牲層13を形成する工程と、基板10から第2の犠牲層13まで延在する保持層(被覆層)14を形成する工程と、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程とを有する。
【0074】
この電子構造体1では、機能部12が基板10に弱い付着力で付着した状態で保持されるため、機能部12を基板10から容易に剥離し、転写基板20に転写することができる。これにより、機能部12の転写を含むプロセスを容易にすることができる。
【0075】
また、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程では、保持層14が機能部12の位置ずれを抑制する作用を奏する。そのため、基板10上での機能部12の位置精度を高めることができる。
【0076】
また、保持層14の機能部12側の面14eの表面粗さを、機能部12の底面(すなわち基板10側の面)の表面粗さよりも粗くすることにより、機能部12を転写基板20に転写した後に、保持層14を機能部12から容易に離間させることができる。
【0077】
また、第1の犠牲層11と第2の犠牲層13とが同一のエッチング材料で除去されるため、単一の工程(ステップS107)で第1の犠牲層11と第2の犠牲層13を除去することができ、生産効率をさらに高めることができる。
【0078】
図10は、電子構造体1の他の構成例を示す図である。図10に示す電子構造体1は、実施の形態1と同様の製造方法で製造されるが、ステップS107(図1)において第1の犠牲層11の一部(残存部11aと称する)を残している。
【0079】
この構成例では、基板10と機能部12とが残存部11aを介して接合されるため、基板10上での機能部12の位置ずれを抑制する効果が高い。また、第1の犠牲層11の残存部11aの面積を微小面積とすれば、ステップS108(図1)の剥離工程において機能部12を基板10から容易に剥離することができる。
【0080】
但し、機能部12を転写基板20に転写する転写工程(図8(A))の前に、基板10の底面から残存部11aを除去するための洗浄工程が必要である。
【0081】
変形例.
次に、実施の形態1の変形例について説明する。変形例では、実施の形態1の機能部12の代わりに、複数の素子および配線層を含む機能ユニット30を用いる。機能ユニット30は、例えば、他の成長基板上で形成し、成長基板から剥離して、基板10に転写したものである。
【0082】
図11(A),(B)は、実施の形態1の変形例の電子構造体1Aの製造方法において、基板10上に第1の犠牲層11、機能ユニット30、第2の犠牲層13および保持層14を形成した状態を示す断面図および平面図である。
【0083】
機能部としての機能ユニット30は、ベース層31と、機能層32と、第1の配線層33と、第2の配線層34と、これらを覆うカプセル層35とを有する。
【0084】
ベース層31は第1の犠牲層11上に配置され、SiO等の絶縁体で形成されている。ベース層31には、第1の犠牲層11に達する貫通孔(スルーホール)31a,31bが形成されている。ベース層31の底面すなわち基板10側の面は、表面粗さ(最大高さRy)が10nm以下の平滑面である。
【0085】
機能層32は、例えば半導体層であり、エピタキシャル層である。機能層32は、アノード層32aとカソード層32bとを有する。機能層32は、機能性薄膜とも称する。
【0086】
配線層33,34は、例えば金(Au)またはその合金で形成されている。第1の配線層33は、機能層32のアノード層32aからベース層31の貫通孔31aまで延在している。第1の配線層33は、貫通孔31aを介してベース層31の下面に露出し、電極パッド33aを形成している。電極パッド33aの表面粗さは、例えば10nmである。
【0087】
第2の配線層34は、機能層32のカソード層32bからベース層31の貫通孔31bまで延在している。第2の配線層34は、貫通孔31bを介してベース層31の下面に露出し、電極パッド34aを形成している。電極パッド34aの表面粗さは、例えば10nmである。
【0088】
カプセル層35は、ベース層31、機能層32および配線層33,34を覆うように形成され、SiO等の絶縁体で形成される。機能層32がLED等の半導体素子である場合には、カプセル層35は光を透過する材質で形成される。
【0089】
機能層32と第1の配線層33と第2の配線層34とにより、所定の機能(例えば発光機能)を有する素子が構成される。後述する図12(B)に示すように、機能ユニット30内には、機能の異なる複数の素子が設けられている。ここでは、機能ユニット30内に、赤色、緑色および青色の光を発する3組の素子(機能層32および配線層33,34)が設けられている。
【0090】
機能ユニット30は、第1の犠牲層11上に設けられている。また、機能ユニット30上には第2の犠牲層13が設けられ、第2の犠牲層13上には保持層14が設けられている。なお、基板10と、第1の犠牲層11と、機能ユニット30とを合わせて、積層基板と称する。
【0091】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13は、例えば、無機膜または有機膜である。より具体的には、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13は、機能ユニット30のベース層31およびカプセル層35を浸食しないエッチング液で除去される材質で形成される。
【0092】
保持層14は、例えば、有機レジストで形成される。保持層14は、実施の形態1で説明したように、頂部14aと基部14bと柱部14cとを有する。
【0093】
実施の形態1で説明したように、第2の犠牲層13の表面13eは粗面化され、これに接する保持層14の面14eも粗面化される。
【0094】
なお、ここでは第2の犠牲層13の表面13eを粗面化することによって保持層14の当該面14eを粗面化しているが、他の方法で保持層14の当該面14eを粗面化してもよい。例えば、機能ユニット30のカプセル層35の表面を粗面化すれば、これに追従して第2の犠牲層13の表面13eが粗面化され、保持層14の当該面14eを粗面化することができる。
【0095】
図12(A),(B)は、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程を示す断面図および平面図である。なお、図12(A)は、図12(B)に示した線分12A-12Aにおける断面図に相当する。
【0096】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の除去は、実施の形態1のステップS107と同様に、ウエットエッチングにより行われる。エッチング液としては、機能ユニット30のベース層31およびカプセル層35が浸食されない材料が選択される。
【0097】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13は同一工程で除去してもよく、第1の犠牲層11を先に除去しても良い。
【0098】
機能ユニット30はエッチング液中で浮遊するが、保持層14によって機能ユニット30の位置ずれが抑制される。なお、機能ユニット30の底面には、配線層33,34の一部である電極パッド33a,34aが露出しており、エッチング液に接するため、配線層33,34はエッチング液に浸食されない材質(上述した金等)で形成されている。
【0099】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の除去後は、機能ユニット30が基板10の表面に弱い付着力により付着して保持される。また、機能ユニット30と保持層14との間には、空隙Aが形成される。これにより、電子構造体1Aが形成される。
【0100】
電子構造体1Aの機能ユニット30は、図6(A)~図8(B)を参照して説明した方法と同様の方法で、転写ツール17により基板10から剥離され、転写基板20に転写される。
【0101】
機能ユニット30が基板10の表面に弱い付着力で付着しているため、機能ユニット30を基板10から容易に剥離することができる。
【0102】
機能ユニット30の底面の電極パッド33a,34aと、転写基板20上の配線21,22(図9(B))との位置合わせ精度を確保するため、第2の犠牲層13の厚さは、電極パッド33a,34aのそれぞれの短手方向の幅の半分以上であることが望ましい。
【0103】
この変形例では、複数の素子および配線等を有する機能ユニット30を、基板10から容易に剥離し、転写基板20に転写することができる。そのため、機能ユニット30の転写を含むプロセスを容易にすることができる。
【0104】
また、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程では、保持層14によって機能ユニット30の位置ずれが抑制されるため、基板10上での機能ユニット30の位置精度を高めることができる。
【0105】
実施の形態2.
図13は、実施の形態2の電子構造体1Bの製造方法を示すフローチャートである。実施の形態2では、粗面化(図1のステップS104)を行わない点で、実施の形態1と相違する。
【0106】
図14(A)は、基板10上に第1の犠牲層11および機能部12を形成する工程を示す断面図である。図14(B)は、第1の犠牲層11および機能部12をパターニングし、第2の犠牲層13を形成する工程を示す断面図である。図14(C)は、第2の犠牲層13をパターニングする工程である。
【0107】
ステップS101(図13)では、図14(A)に示すように、基板10上に第1の犠牲層11を形成し、第1の犠牲層11上に機能部12を形成する。
【0108】
ステップS102(図13)では、図14(B)に示すように、第1の犠牲層11および機能部12をエッチング等によりパターニングし、基板10の表面を露出させる分離溝61を形成する。なお、基板10と、第1の犠牲層11と、機能部12とを合わせて、積層基板と称する。
【0109】
ステップS103(図13)では、図14(B)に示すように、基板10の表面から機能部12まで延在する第2の犠牲層13を形成する。
【0110】
実施の形態1では、ステップS104で第2の犠牲層13の表面の粗面化を行ったが、実施の形態2では粗面化を行わない。
【0111】
ステップS105(図13)では、図14(C)に示すように、第2の犠牲層13をパターニングし、開口部62を形成する。
【0112】
図15(A)は、保持層14を形成する工程を示す断面図である。図15(B)は、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13を除去する工程を示す断面図である。
【0113】
ステップS106(図13)では、図15(A)に示すように、基板10の表面から第2の犠牲層13まで延在する保持層14を形成する。第2の犠牲層13の表面が粗面化されていないため、保持層14の第2の犠牲層13に接触する面も粗面化されない。
【0114】
ステップS107(図13)では、図15(B)に示すように、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13をエッチングにより除去する。犠牲層11,13の除去により、機能部12が基板10の表面に弱い付着力で付着して保持される。また、機能部12と保持層14との間には、空隙Aが形成される。これにより、電子構造体1Bが得られる。
【0115】
電子構造体1Bの機能部12は、図6(A)~図8(B)を参照して説明した方法と同様の方法で、転写ツール17により基板10から剥離され、転写基板20に転写される。
【0116】
上記の通り、機能部12は基板10の表面に弱い付着力で付着しているため、基板10からの剥離工程では、機能部12を基板10から容易に剥離することができる。
【0117】
実施の形態2では、保持層14の機能部12側の面が粗面化されていない。しかしながら、保持層14の材質の選択により、保持層14と機能部12との付着力が機能部12と転写基板20の表面との接合力よりも十分小さくなるようにすれば、転写基板20上に機能部12を残し、保持層14を転写基板20から剥離することができる。
【0118】
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明する。図16は、実施の形態3の電子構造体1Cの製造方法を示すフローチャートである。図17(A)は、基板10上に第3の犠牲層15および第1の犠牲層11を形成する工程を示す断面図である。図17(B)は、第1の犠牲層11上に機能ユニット30を形成する工程を示す断面図である。図17(C)は、第2の犠牲層13を形成する工程を示す断面図である。
【0119】
ステップS201(図16)では、図17(A)に示すように、基板10上に、第3の犠牲層としての第3の犠牲層15を形成し、第3の犠牲層15上に第1の犠牲層11を形成する。
【0120】
第3の犠牲層15は、例えば、無機膜または有機膜である。第1の犠牲層11は、例えば、無機膜または有機膜である。より具体的には、第1の犠牲層11は、第3の犠牲層15および後述する第2の犠牲層13を浸食しないエッチング液によって除去可能な材質で形成される。
【0121】
ステップS202(図16)では、図17(A)に示すように、第3の犠牲層15および第1の犠牲層11をドライエッチング等によりパターニングし、基板10の表面を露出させる分離溝61を形成する。
【0122】
ステップS203(図16)では、図17(B)に示すように、第1の犠牲層11上に機能ユニット30を形成する。機能ユニット30は、実施の形態1の変形例で説明したように、複数の素子および配線層を含む複合体である。機能ユニット30は、例えば、他の成長基板上で形成し、成長基板から剥離して基板10に転写したものである。
【0123】
機能ユニット30は、ベース層31と、機能層32と、第1の配線層33と、第2の配線層34と、これらを覆うカプセル層35とを有する。これらは第1の実施の形態の変形例(図11(A)~図12(B))と同様であるため、説明を省略する。なお、基板10と、第3の犠牲層15と、第1の犠牲層11と、機能ユニット30とを合わせて、積層基板と称する。
【0124】
ステップS204(図16)では、図17(C)に示すように、基板10の表面から機能ユニット30まで延在する第2の犠牲層13を形成する。第2の犠牲層13は、例えば、Al、SiO等の無機膜である。第2の犠牲層13の厚さは、例えば100nmである。
【0125】
図18(A)は、第2の犠牲層13の表面を粗面化する工程を示す断面図である。図18(B)は、第2の犠牲層13をパターニングする工程を示す断面図である。
【0126】
ステップS205(図16)では、図18(A)に示すように、第2の犠牲層13の表面13eを粗面化する。粗面化の方法としては、アッシング等のプラズマ処理を行ってもよく、金属等の粒子を付着させてもよい。
【0127】
ステップS206(図16)では、図18(B)に示すように、第2の犠牲層13をパターニングし、開口部62を形成する。
【0128】
図19(A)は、保持層14を形成する工程を示す断面図である。図19(B)は、第1の犠牲層11を除去する工程を示す断面図である。
【0129】
ステップS207(図16)では、図19(A)に示すように、基板10の表面から第2の犠牲層13まで延在する被覆層としての保持層14を形成する。保持層14は、後述する第1の犠牲層11の除去工程(ステップS208)でエッチング液に浸食されない材質、例えば有機レジストで形成される。保持層14において第2の犠牲層13の表面13eに接する面14eは、第2の犠牲層13の表面13eと同様に粗面化される。
【0130】
保持層14は、図19(A)に示すように、第2の犠牲層13の表面上に形成される頂部14aと、基板10の表面上に形成される基部14bと、頂部14aと基部14bとの間で延在する柱部14cとを有する。また、保持層14は、例えば、実施の形態1の図4(B)に示した平面形状にパターニングすることが望ましい。
【0131】
ステップS208(図16)では、図19(B)に示すように、第1の犠牲層11をウエットエッチングにより除去する。エッチング液としては、希釈塩酸などを用いることができる。
【0132】
第1の犠牲層11は除去されるが、第2の犠牲層13は除去されないため、機能ユニット30は第2の犠牲層13を介して保持層14に保持される。そのため、基板10上の第3の犠牲層15と機能ユニット30との間には、空隙Cが形成される。
【0133】
図20(A),(B)は、第3の犠牲層15の表面を粗面化する工程を示す断面図および平面図である。なお、図20(A)は、図20(B)に示す線分20A-20Aにおける断面図に相当する。
【0134】
ステップS209(図16)では、図20(A),(B)に示すように、第3の犠牲層15の表面を粗面化する。第3の犠牲層15の表面は狭い空隙C内にあるが、アッシング等のプラズマ処理による粗面化は可能である。また、第3の犠牲層15が金属で形成されている場合には、加熱によって第3の犠牲層15の表面を粗面化することもできる。
【0135】
プラズマ処理の場合、機能ユニット30の底面(電極パッド33a,34aを含む)を粗面化しない材料(例えば不活性ガス)を用いることが望ましい。
【0136】
粗面化は、第3の犠牲層15の表面粗さが、機能ユニット30のベース層31の底面よりも粗くなるように行う。一例としては、第3の犠牲層15の表面粗さ(最大高さRy)が10nmよりも荒くなるように粗面化を行う。
【0137】
図21(A),(B)は、第2の犠牲層13を除去する工程を示す断面図および平面図である。なお、図21(A)は、図21(B)に示した線分21A-21Aにおける断面図に相当する。また、図21(B)では、保持層14を破線で示している。
【0138】
ステップS210(図16)では、図21(B)に示すように、第2の犠牲層13をウエットエッチングにより除去する。エッチング液としては、リン酸などを用いることができる。
【0139】
第2の犠牲層13の除去に伴い、機能ユニット30はエッチング液中で浮遊するが、機能ユニット30を囲むように保持層14が設けられているため(図21(B))、機能ユニット30の位置ずれは抑制される。
【0140】
基板10をエッチング液から取り出すと、自重により、機能ユニット30が第3の犠牲層15の表面上で保持される。第3の犠牲層15の表面が粗面化されているため、第3の犠牲層15と機能ユニット30との付着力は極めて弱い。また、機能ユニット30と保持層14との間には、空隙Aが形成される。
【0141】
これにより、図21(B)に示すように、基板10と機能ユニット30と保持層14とを有し、機能ユニット30と保持層14との間に空隙Aが設けられた電子構造体1Cが得られる。ステップS201~S210は、電子構造体1Cの製造工程に相当する。
【0142】
これらのステップS201~S210と、以下で説明するステップS211~S213とにより、電子デバイス2Cが得られる。
【0143】
図22(A),(B)は、機能ユニット30および保持層14を基板10から剥離する工程を段階的に示す断面図である。
【0144】
ステップS211(図16)では、電子構造体1Cの基板10から、機能ユニット30および保持層14を剥離する。剥離には、図22(A)に示す転写ツール17を用いる。転写ツール17の構成は、実施の形態1で説明した通りである。
【0145】
まず、図22(A)に示すように、転写ツール17の保持体18を機能ユニット30および保持層14に押し当てる。保持層14は、保持体18に上方から押圧されることにより変形し、機能ユニット30の表面に接触する。但し、保持層14の機能ユニット30側の面14eは粗面化されているため、保持層14と機能ユニット30との付着力は極めて弱い。
【0146】
次に、図22(B)に示すように、転写ツール17を基板10から離間する方向に移動させる。転写ツール17の保持体18と機能ユニット30との付着力は、機能ユニット30と第3の犠牲層15との付着力よりも強い。そのため、機能ユニット30は保持層14と共に基板10から剥離される。
【0147】
なお、図22(B)では、機能ユニット30の剥離時に保持層14が破断して、基部14bが基板10に残っているが、保持層14を完全に基板10から離間させてもよい。
【0148】
図23(A),(B)は、機能ユニット30を基板10とは別の転写基板40に転写する工程を段階的に示す断面図である。転写基板40は、実施の形態1で説明した転写基板20と同様に構成されているが、予め配線41,42が形成されている。
【0149】
ステップS212(図16)では、図23(A)に示すように、転写ツール17を転写基板20上に移動し、転写ツール17で保持した機能ユニット30を転写基板20に押し当てる。
【0150】
機能ユニット30の底面および転写基板20の表面は、表面粗さ(最大高さRy)が10nm以下の平滑面である。そのため、所定の加圧および加熱を行うことにより、機能ユニット30の底面と転写基板20の表面とが、分子間力すなわち強い接合力で互いに接合される。
【0151】
転写基板40上の配線41,42の延在方向をY方向とすると、機能ユニット30は、3つの素子(機能層32および配線層33,34)がY方向に並ぶように、転写基板40に転写される。
【0152】
上述した第2の犠牲層13の除去工程(ステップS210)において、保持層14により機能ユニット30の位置ずれが抑制されるため、機能ユニット30の電極パッド33a,34aと、転写基板40の配線41,42との位置ずれを最小限に抑えることができる。
【0153】
その後、図23(B)に示すように、転写ツール17を転写基板20から離間する方向に移動させる。
【0154】
機能ユニット30の底面と転写基板20の表面との接合力は、転写ツール17の保持体18と機能ユニット30および保持層14との付着力よりも強い。また、保持層14の機能ユニット30側の面14eは粗面化されているため、保持層14と機能ユニット30との付着力は弱い。
【0155】
そのため、機能ユニット30は転写基板20上に接合されたまま残り、保持層14が転写ツール17と共に転写基板20から離間する。
【0156】
これにより、転写基板20に機能ユニット30が配置された電子デバイス2Cが得られる。図示しない駆動回路から配線41,42を介して配線層33,34に電圧を印加することにより、機能ユニット30の3つの素子から赤色、緑色および青色の光が照射される。
【0157】
以上説明したように、実施の形態3では、第1の犠牲層11を除去したのち、基板10上の第3の犠牲層15の表面を粗面化する。第2の犠牲層13を除去すると、機能ユニット30が第3の犠牲層15の粗面化された表面で保持されるため、機能ユニット30と第3の犠牲層15との付着力が弱い。そのため、剥離工程では、機能ユニット30を第3の犠牲層15から容易に剥離することができる。
【0158】
なお、ここでは機能ユニット30を用いた例について説明したが、機能ユニット30の代わりに、実施の形態1で説明した機能部12を用いてもよい。また、実施の形態1の実施の形態2で説明したように、第2の犠牲層13の粗面化を行わなくてもよい。
【0159】
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明する。図24(A),(B)は、実施の形態4の電子構造体1Dの製造方法において、基板10上に第1の犠牲層11、機能ユニット30、第2の犠牲層13および保持層14を形成した状態を示す断面図および平面図である。
【0160】
実施の形態4では、実施の形態1の保持層14の代わりに、機能ユニット30の外周に沿って配置された被覆層としての複数の保持層51を用いる。ここでは、図24(B)に示すように、4つの保持層51が、機能ユニット30の四辺にそれぞれ配置されている。
【0161】
言い換えると、機能ユニット30をX方向両側およびY方向両側から挟み込む位置に、保持層51がそれぞれ配置されている。なお、保持層51は、機能ユニット30の四辺に限らず、例えば4つの角部に配置してもよい。各保持層51は、例えば、有機レジストによって形成される。
【0162】
保持層51は、上面視で、機能ユニット30の中央領域には到達していないことが望ましい。このようにすれば、機能ユニット30の剥離工程(図26(A))において、転写ツール17の保持体18を、保持層51に接触させずに機能ユニット30のみに接触させることができる。
【0163】
図24(A)に示すように、各保持層51は、第2の犠牲層13の表面に位置する頂部51aと、基板10上に形成された基部51bと、頂部51aと基部51bとの間で延在する柱部51cとを有する。頂部51aと柱部51cとの間の角部51dは、機能ユニット30のカプセル層35の角部30aの湾曲形状に追従して、同様の湾曲形状となる。
【0164】
図24(B)に示すように、X方向に対向する2つの保持層51の頂部51aの最短距離Dxは、機能ユニット30のX方向の幅よりも短い。同様に、Y方向に対向する保持層51の頂部51aの最短距離Dyは、機能ユニット30のY方向の幅よりも短い。
【0165】
図25(A),(B)は、第1の犠牲層11および第2の犠牲層13をウエットエッチングにより除去する工程を示す断面図および平面図である。なお、図25(A)は、図25(B)に示す線分25A-25Aにおける断面図に相当する。
【0166】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の除去工程では、機能ユニット30がエッチング液中で浮遊する。しかしながら、図25(A)に示すように、機能ユニット30が複数の保持層51で囲まれているため、基板10の表面と平行な面内における機能ユニット30の位置ずれが抑制され、また、基板10の表面に直交する方向における機能ユニット30の位置ずれも規制される。
【0167】
第1の犠牲層11および第2の犠牲層13の除去により、機能ユニット30は基板10の表面に弱い付着力で付着した状態で保持される。また、機能ユニット30と保持層51との間には、空隙Aが形成される。これにより、電子構造体1Dが得られる。
【0168】
図26(A),(B)は、電子構造体1Dの機能ユニット30を基板10から剥離する工程を段階的に示す断面図である。機能ユニット30の剥離には、実施の形態1で説明した転写ツール17を用いる。
【0169】
転写ツール17の保持体18は、機能ユニット30の上面に押し当てられる。保持層51の頂部51aは機能ユニット30の中央領域まで達していないため、保持体18を保持層51に接触させずに、機能ユニット30のみに接触させることができる。
【0170】
図26(A)に示すように、転写ツール17を基板10から離間する方向に移動させると、機能ユニット30が基板10から剥離する。
【0171】
図26(B)に示すように、転写ツール17を基板10から離間する方向にさらに移動させると、機能ユニット30のカプセル層35の角部の湾曲面35aが保持層51の頂部51aに当接し、保持層51を外側に押し広げる。
【0172】
保持層51は有機レジストで形成され、ある程度の弾性および可撓性を有するため、機能ユニット30に付勢されることによる弾性変形が可能である。そのため、保持層51を破断することなく、機能ユニット30を基板10から離間することができる。
【0173】
機能ユニット30の転写基板40への転写は、実施の形態3で図23(A),(B)を参照して説明した通りである。但し、転写ツール17に保持層51が付着していないため、機能ユニット30を転写基板20に簡単に転写することができる。
【0174】
実施の形態4では、転写ツール17に保持層51が残らないため、転写ツール17を再利用することができる。
【0175】
ここでは、機能ユニット30の周囲に4つの保持層51を配置した例について説明したが、保持層51の数は4つに限らず、2つ以上であればよい。例えば、機能ユニット30の3辺に保持層51を設けてもよい。
【0176】
また、機能ユニット30に代えて、実施の形態1の機能部12を用いてもよい。また、実施の形態3で説明した第3の犠牲層15を設けてもよい。基板10と、第3の犠牲層15と、第1の犠牲層11と、機能ユニット30(または機能部12)とを合わせて、積層基板と称する。
【0177】
以上説明したように、実施の形態4では、互いに離間して配置された複数の保持層(被覆層)51を用いるため、犠牲層11,13の除去時の機能ユニット30の位置ずれを防止することができると共に、転写ツール17を機能ユニット30のみに接触させることができ、転写を含むプロセスを容易にすることができる。また、転写ツール17に保持層51が残らず、転写ツール17の再利用が可能になる。
【0178】
なお、機能ユニット30の代わりに、実施の形態1で説明した機能部12を用いてもよい。また、実施の形態2で説明したように、第2の犠牲層13の粗面化を行わなくてもよい。また、実施の形態3で説明したように、第3の犠牲層15を設けて、その粗面化を行っても良い。
【0179】
以上、望ましい実施の形態について具体的に説明したが、本開示は上記の実施の形態に限定されるものではなく、各種の改良または変形を行なうことができる。
【0180】
本開示は、圧電デバイス、光電変換デバイス、スイッチ素子、パワーデバイス等の電子デバイスの製造方法に適用することができる。
【0181】
以下に、本開示の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
(付記1)
基板と、基板上に形成された第1の犠牲層と、前記第1の犠牲層上に形成された機能部とを有する積層基板を用い、前記基板から前記機能部まで延在する第2の犠牲層を形成する工程と、
前記基板から前記第2の犠牲層まで延在する被覆層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程と
を有する電子構造体の製造方法。
(付記2)
前記第2の犠牲層を形成する工程の前に、
前記基板上に前記第1の犠牲層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層上に前記機能部を形成する工程と
を有する付記1に記載の電子構造体の製造方法。
(付記3)
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程では、前記機能部と前記基板とを接触する
ことを特徴とする付記1または2に記載の電子構造体の製造方法。
(付記4)
前記被覆層の前記機能部側の面の表面粗さを、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗くする
ことを特徴とする付記1から3までの何れか1項に記載の電子構造体の製造方法。
(付記5)
前記積層基板は、前記基板と前記第1の犠牲層との間に第3の犠牲層を有し、
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程は、
前記第1の犠牲層を除去する工程と、
前記第3の犠牲層の前記基板と反対側の面の表面粗さを、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗くする工程と、
前記第2の犠牲層を除去する工程とを有する
ことを特徴とする付記1から4までの何れか1項に記載の電子構造体の製造方法。
(付記6)
前記第2の犠牲層を除去する工程では、前記機能部と前記第3の犠牲層とを接触させる
ことを特徴とする付記5に記載の電子構造体の製造方法。
(付記7)
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程では、
前記第1の犠牲層と前記第2の犠牲層とを、同一のエッチング材料を用いて除去する
ことを特徴とする付記1から4までの何れか1項に記載の電子構造体の製造方法。
(付記8)
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去する工程では、
前記第1の犠牲層を所定のエッチング材料を用いて除去したのち、前記第2の犠牲層のうちの他方を前記エッチング材料とは異なるエッチング材料を用いて除去する
ことを特徴とする付記1から4までの何れか1項に記載の電子構造体の製造方法。
(付記9)
前記被覆層を形成する工程では、
前記機能部の外周に沿って、複数の被覆層を形成する
ことを特徴とする付記1から8までの何れか1項に記載の電子構造体の製造方法。
(付記10)
基板と、
前記基板上に形成された機能部と、
前記基板上に、前記機能部を囲むように形成された被覆層と
を有し、
前記機能部と前記被覆層との間に空隙が形成されている
電子構造体。
(付記11)
前記被覆層の前記機能部側の面の表面粗さは、前記機能部の前記被覆層側の面の表面粗さよりも粗い
ことを特徴とする付記10に記載の電子構造体。
(付記12)
前記基板と前記機能部との間に、犠牲層を有し、
前記犠牲層の前記基板と反対側の面の表面粗さは、前記機能部の前記基板側の面の表面粗さよりも粗い
ことを特徴とする付記10または11に記載の電子構造体。
(付記13)
前記機能部の外周に沿って、複数の前記被覆層が形成されている
ことを特徴とする付記10から12までの何れか1項に記載の電子構造体。
(付記14)
基板と、基板上に形成された第1の犠牲層と、前記第1の犠牲層上に形成された機能部とを有する積層基板を用い、前記基板から前記第2の犠牲層まで延在する被覆層を形成する工程と、
前記第1の犠牲層および前記第2の犠牲層を除去することにより、前記基板と前記機能部とを接触させる工程と、
前記機能部を前記基板から剥離する工程と、
前記機能部を前記基板とは別の基板に転写する工程と
を有する電子デバイスの製造方法。
(付記15)
前記機能部を前記基板から剥離する工程では、
前記機能部と共に前記被覆層を前記基板から剥離する
付記14に記載の電子デバイスの製造方法。
(付記16)
前記機能部を前記基板から剥離する工程では、
前記被覆層を変形させながら、前記機能部を前記基板から剥離する
付記14に記載の電子デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0182】
1,1A,1B,1C,1D 電子構造体、 2,2C 電子デバイス、 10 基板(第1の基板)、 11 第1の犠牲層、 12 機能部、 13 第2の犠牲層、 13e 表面、 14 保持層(被覆層)、 14e 面、 15 第3の犠牲層(犠牲層、第3の犠牲層)、 17 転写ツール、 18 保持器、 19 支持体、 20,40 転写基板(第2の基板)、 30 機能ユニット(機能部)、 31 ベース層、 32 機能部、 33 第1の配線層、 33a,34a 電極パッド、 34 第2の配線層、 35 カプセル層(カバー層)、 51 保持層(被覆層)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図26