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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013924
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240125BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240125BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240125BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/60 301A
H01L21/60 321E
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116360
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能川 玄之
【テーマコード(参考)】
5F044
5H770
【Fターム(参考)】
5F044AA02
5F044AA18
5F044AA20
5H770AA15
5H770AA21
5H770QA01
5H770QA05
5H770QA06
5H770QA08
(57)【要約】
【課題】第1半導体素子および第2半導体素子での電流アンバランスを抑制する。
【解決手段】
半導体モジュール1は、絶縁基板21と、絶縁基板21上の導電パターン12と、第1入力電極、第1出力電極および第1制御電極を有する導電パターン12上の第1半導体素子41と、第2入力電極、第2出力電極および第2制御電極を有する導電パターン12上の第2半導体素子42と、第1出力電極に第1配線を介して電気的に接続される第1集電部と、第2出力電極に第2配線を介して電気的に接続される第2集電部と、を備え、第1半導体素子41および第2半導体素子42のそれぞれは、スイッチング素子およびダイオードの両方を含み、導電パターン12を挟んで反対側に第1集電部と第2集電部とが設けられ、第1出力電極から第1集電部までの電流経路長と、第2出力電極から第2集電部までの電流経路長とは、等しい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、
前記絶縁基板上の導電パターンと、
第1入力電極、第1出力電極および第1制御電極を有する前記導電パターン上の第1半導体素子と、
第2入力電極、第2出力電極および第2制御電極を有する前記導電パターン上の第2半導体素子と、
前記第1出力電極に第1配線を介して電気的に接続される第1集電部と、
前記第2出力電極に第2配線を介して電気的に接続される第2集電部と、を備え、
前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のそれぞれは、スイッチング素子およびダイオードの両方を含み、
前記導電パターンを挟んで反対側に前記第1集電部と前記第2集電部とが設けられ、
前記第1出力電極から前記第1集電部までの電流経路長と、前記第2出力電極から前記第2集電部までの電流経路長とは、等しい、
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記導電パターンは、入力端子に電気的に接続される入力部を有し、
前記第1入力電極は、前記第1半導体素子の前記導電パターンに対向する面に形成され、かつ、前記入力部に電気的に接続されており、
前記第2入力電極は、前記第2半導体素子の前記導電パターンに対向する面に形成され、かつ、前記入力部に電気的に接続されており、
前記入力部は、平面視で、前記第1入力電極および前記第2入力電極よりも前記導電パターンの中心に近く、
前記入力部から前記第1入力電極までの電流経路長と、前記入力部から前記第2入力電極までの電流経路長とは、等しい、
請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記導電パターンには、前記入力端子から前記入力部を経由した前記第1入力電極までの電流経路長と、前記入力端子から前記入力部を経由した前記第2入力電極までの電流経路長とが等しくなるよう、前記入力端子から前記入力部に向かう方向に沿って延びるスリットが設けられる、
請求項2に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
第3入力電極、第3出力電極および第3制御電極を有する前記導電パターン上の第3半導体素子と、
第4入力電極、第4出力電極および第4制御電極を有する前記導電パターン上の第4半導体素子と、
をさらに備え、
前記第3出力電極は、第3配線を介して前記第1集電部に電気的に接続され、
前記第4出力電極は、第4配線を介して前記第2集電部に電気的に接続され、
前記第1出力電極から前記第1集電部までの電流経路長と、前記第2出力電極から前記第2集電部までの電流経路長と、前記第3出力電極から前記第1集電部までの電流経路長と、前記第4出力電極から前記第2集電部までの電流経路長とは、等しい、
請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記導電パターンは、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子、前記第3半導体素子、および前記第4半導体素子が配置される配置部を有し、
前記第1半導体素子、前記第2半導体素子、前記第3半導体素子、および前記第4半導体素子は、前記配置部の外縁に沿った仮想的な四角形の四隅に設けられる、
請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記絶縁基板上の制御用導電パターンを、さらに備え、
前記第1制御電極および前記第2制御電極は、前記制御用導電パターンに制御用配線を介して電気的に接続され、
前記制御用導電パターンは、前記絶縁基板上の、前記第1半導体素子と前記第2半導体素子との間の領域に設けられる、
請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
第1ユニットと第2ユニットと、を備え、
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットのそれぞれは、前記絶縁基板、前記導電パターン、前記第1半導体素子、前記第2半導体素子、前記第1集電部、前記第2集電部、および前記制御用導電パターンを含み、
前記第1ユニットの前記制御用導電パターン、および前記第2ユニットの前記制御用導電パターンは、前記第1ユニットの前記導電パターンおよび前記第2ユニットの前記導電パターンよりも前記第1ユニットと前記第2ユニットとの中間点に近い、
請求項6に記載の半導体モジュール。
【請求項8】
前記第1ユニットが有する前記第1集電部および前記第2集電部と、前記第2ユニットが有する前記導電パターンとを電気的に接続するための接続配線を、さらに備え、
前記接続配線は、平面視で、前記第1ユニットの前記導電パターンおよび前記第2ユニットの前記導電パターンに重なる、
請求項7に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインバーター装置等の電力変換装置に用いられる半導体モジュールが知られている。当該半導体モジュールは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、PiNダイオード、SBD(ショットキーバリアダイオード)等を含む半導体素子を有する。かかる半導体モジュールの一例として、特許文献1に記載の半導体装置が挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置は、MOSFETである複数の半導体素子と、外部電極とを備える。各半導体素子は、下面にドレイン電極が形成され、上面にソース電極およびゲート電極が形成される。ソース電極は、外部電極に電気的に接続される。また、当該半導体装置では、複数の半導体素子が金属ブロック上に一列に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-252305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、複数の半導体素子が金属ブロック上に一列に配置されており、このため、外部電極に近い半導体素子と外部電極に遠い半導体素子とが存在する。したがって、複数の半導体素子間で、外部電極への電流経路長が異なる。それゆえ、内部抵抗およびインダクタンスが不均一になり、よって、複数の半導体素子間で電流アンバランスが生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る半導体モジュールは、絶縁基板と、前記絶縁基板上の導電パターンと、第1入力電極、第1出力電極および第1制御電極を有する前記導電パターン上の第1半導体素子と、第2入力電極、第2出力電極および第2制御電極を有する前記導電パターン上の第2半導体素子と、前記第1出力電極に第1配線を介して電気的に接続される第1集電部と、前記第2出力電極に第2配線を介して電気的に接続される第2集電部と、を備え、前記第1半導体素子および前記第2半導体素子のそれぞれは、スイッチング素子およびダイオードの両方を含み、前記導電パターンを挟んで反対側に前記第1集電部と前記第2集電部とが設けられ、前記第1出力電極から前記第1集電部までの電流経路長と、前記第2出力電極から前記第2集電部までの電流経路長とは、等しい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1半導体素子および第2半導体素子での電流アンバランスを抑制することができる。このため、第1半導体素子と第2半導体素子とでの温度の偏りが抑制される。よって、半導体モジュールの信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の半導体モジュールの平面図である。
図2図1の半導体モジュール1のA―A線断面図である。
図3図1の半導体モジュール1のB―B線断面図である。
図4図1に示す第1ユニットおよび第2ユニットで構成される回路構成図である。
図5図1に示す第1ユニットおよび第2ユニットの平面図である。
図6図5に示す第1ユニットの導電パターンの平面図である。
図7図5に示す第2ユニットの導電パターンの平面図である。
図8図1に示す第1接続配線の平面図である。
図9図1に示す第2接続配線の平面図である。
図10】上アームにおける電流の流れを説明するための図である。
図11】下アームにおける電流の流れを説明するための図である。
図12】第2実施形態の半導体モジュールの平面図である。
図13図12に示す第1接続配線の平面図である。
図14図12に示す第2接続配線の平面図である。
図15】上アームにおける電流の流れを説明するための図である。
図16】下アームにおける電流の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0010】
以下の説明においては、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いる。また、以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向とは反対の方向がX2方向である。Y軸に沿う一方向がY1方向であり、Y1方向とは反対の方向がY2方向である。Z軸に沿う一方向がZ1方向であり、Z1方向とは反対の方向がZ2方向である。また、X軸およびY軸に沿った平面をX-Y平面とする。Z1方向を「上方」とし、Z2方向を「下方」とする。また、「要素α上の要素β」とは、要素βが要素αの上方に位置することを意味する。したがって、「要素α上の要素β」とは、要素βが要素αに直接的に接触している場合のみならず、要素αと要素βとが離間している場合も含む。また、要素αと要素βとの「電気的に接続」は、要素αと要素βとが直接的に接合されることで導通する構成のほか、要素αと要素βとが他の導電体を介して間接的に導通する構成も含まれる。また、本明細書に記載の「要素αと要素βとが等しい」とは、要素αと要素βとが実質的に等しいことを意味し、作用効果を逸脱しない範囲での製造誤差等を含む。
【0011】
1.半導体モジュール1
1-1.半導体モジュール1の概要
図1は、本実施形態の半導体モジュール1の平面図である。図2は、図1の半導体モジュール1のA―A線断面図である。図3は、図1の半導体モジュール1のB―B線断面図である。図1、2および3に示す半導体モジュール1は、例えばパワーモジュール等の電力変換装置として用いられる。
【0012】
図1、2および3に示す半導体モジュール1は、ケース20と、第1ユニット10aと、第2ユニット10bと、第1接続配線30aと、第2接続配線30bとを有する。第1接続配線30aは第1ユニット10aの集電部と第2ユニット10bの導電パターンを電気的に接続するための「接続配線」に相当する。第1ユニット10a、第2ユニット10b、第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、図示はしないが、樹脂等によりモールドされている。
【0013】
図1、2および3に示すように、ケース20は、放熱基板21と、側壁部22とを有する。放熱基板21は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bのベースとして機能する平板状の基板である。放熱基板21は、その主面としての上面211を有する。なお、上面211の法線方向からみることを「平面視」とする。また、放熱基板21の厚さ方向は、Z軸に沿う方向に平行である。
【0014】
放熱基板21は、熱伝導性に優れる材料で形成される。放熱基板21の材料としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属または合金等が挙げられる。また、上面211には、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bが配置される。なお、上面211には、耐食性の向上のため、ニッケル等の金属または合金をめっき処理してもよい。また、図1に示す例では、放熱基板21の平面視での形状は、X軸に沿った方向を長手方向とする四角形状であるが、これは一例であり、適宜所望の形状とすることができる。
【0015】
上面211には、側壁部22が接合される。図1に示す例では、側壁部22の平面視での形状は、放熱基板21の外縁に沿った四角形の枠状である。側壁部22は、X軸に沿った方向を長手方向とする。なお、図1に示す側壁部22の平面視での形状は一例であり、放熱基板21の形状に応じて適宜所望の形状とすることができる。また、側壁部22は、例えば樹脂等によって成形され、接着剤を介して放熱基板21に接合される。
【0016】
側壁部22の上縁には、側壁部22の外側に向かって側壁部22から突出する複数の突出片23が配置される。複数の突出片23は、側壁部22の長手方向で対向する壁部に配置される。各突出片23は、側壁部22と一体で形成される樹脂の板状部材である。また、側壁部22は、その内壁面の途中に、X-Y平面に平行な段差面221を有する。段差面221の平面視での形状は、X軸に沿った方向を長手方向とする四角形の枠状である。
【0017】
かかる側壁部22には、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに電流を入出力するための各種端子が配置される。具体的には、側壁部22には、正側電源端子P、負側電源端子N、および出力端子Oが配置される。正側電源端子Pは、直流電源の正極側に接続される。負側電源端子Nは、直流電源の負極側に接続される。正側電源端子Pおよび負側電源端子Nは、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに対してX2方向に配置される。出力端子Oは、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに対してX1方向に配置される。
【0018】
正側電源端子Pは、第1端子P1と第2端子P2とを有する。第1端子P1は、突出片23上に配置される。第2端子P2は、段差面221上に配置される。第2端子P2は、側壁部22を貫通する貫通電極P3を介して第1端子P1に電気的に接続される。また、負側電源端子Nは、第1端子N1と第2端子N2とを有する。第1端子N1は、突出片23上に配置される。第2端子N2は、段差面221上に配置される。第2端子N2は、側壁部22を貫通する貫通電極N3を介して第1端子N1に電気的に接続される。また、出力端子Oは、2つの第1端子O1と、2つの第2端子O2とを有する。各第1端子O1は、突出片23上に配置される。第2端子O2は、段差面221上に配置される。第2端子O2は、側壁部22を貫通する貫通電極O3を介して2つの第1端子O1電気的に接続される。
【0019】
また、段差面221のうちX軸に沿った部分には、補助エミッタ端子E1およびE2と、制御端子G1およびG2が配置される。補助エミッタ端子E1、および制御端子G1は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに対してY1方向に配置される。また、補助エミッタ端子E2、および制御端子G2は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに対してY2方向に配置される。
【0020】
第1ユニット10aおよび第2ユニット10bは、ケース20内に収容される。第1ユニット10aおよび第2ユニット10bは、X1方向に一例に並ぶ。なお、図1、2および3に示す第1ユニット10aおよび第2ユニット10bの個数は、一例であり、必要に応じた個数を設置することができる。
【0021】
図2および図3に示すように、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bの各下面には、金属板19が接合される。金属板19は、図示しない接合材を介して放熱基板21の上面211に接合される。
【0022】
本実施形態では、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bのそれぞれは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とFWD(Free Wheeling Di ode)の機能を一体化したRC(Reverse Conducting)-IGBTを含む。RC-IGBTによれば、IGBTとFWDとが別体である場合に比べ、ユニットの面積が縮小されるため、より高密度な実装が可能である。よって、電流定格を拡大することが可能である。
【0023】
なお、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bは例えばIGBT以外の、ボディーダイオードがIGBTとダイオードが一体に形成されたRC-IGBTのダイオードと同様FWDとして機能する、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のスイッチング素子を含んでもよい。
【0024】
図1、2および3に示す第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bのZ1方向に配置される。第1接続配線30aおよび第2接続配線30bのそれぞれは、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに電気的に接続される。第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bとの接続部分以外は、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bに対して離間している。第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、例えば、板状のリードフレームで構成される。ただし、帯状に形成された可撓性のリボンケーブルにより、第1接続配線30aおよび第2接続配線30bが構成されてもよい。
【0025】
1-2.回路構成
図4は、図1に示す第1ユニット10aおよび第2ユニット10bで構成される回路構成図である。図4に示すように、第1ユニット10aは、インバーターの上アームAを構成し、第2ユニット10bは、インバーターの下アームBを構成する。第1ユニット10aと第2ユニット10bとは直列に接続される。
【0026】
第1ユニット10aは、トランジスターT1とダイオードD1とを含む。第2ユニット10bは、トランジスターT2とダイオードD2とを含む。本例では、トランジスターT1、およびトランジスターT1と逆並列に接続されたダイオードD1と、トランジスターT2、およびトランジスターT2と逆並列に接続されたダイオードD2とのそれぞれは、一体化されたRC-IGBTである。
【0027】
トランジスターT1およびT2のそれぞれは、コレクタ、エミッタおよびゲートを有する。トランジスターT1のコレクタは、正側電源端子Pに接続されている。トランジスターT2のエミッタは、負側電源端子Nに接続されている。トランジスターT1のエミッタとトランジスターT2のコレクタとの接続点は、交流の出力端子Oに接続されている。また、トランジスターT1のエミッタは、補助エミッタ端子E1に接続される。トランジスターT2のエミッタは、補助エミッタ端子E2に接続される。また、トランジスターT1のゲートは、制御端子G1に接続される。トランジスターT2のゲートは、制御端子G2に接続される。
【0028】
1-3.第1ユニット10aおよび第2ユニット10b
図5は、図1に示す第1ユニット10aおよび第2ユニット10bの平面図である。図5に示すように、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bは、中心C0を挟んで配置される。中心C0は、半導体モジュール1の平面視での中心である。また、中心C0は、第1ユニット10aと第2ユニット10bとの間の中間点でもある。さらには、中心C0は、ケース20の平面視での中心でもある。第1ユニット10aは、中心C0に対してX2方向に配置され、第2ユニット10bは、中心C0に対してX1方向に配置される。第1ユニット10aと第2ユニット10bとは、Y軸に沿った半導体モジュール1の中心線に対してほぼ線対称な構造である。
【0029】
図5に示すように、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bのそれぞれは、絶縁基板11の上面に、導電パターン12と、第1出力用導電パターン13と、第2出力用導電パターン14と、制御用導電パターン16と、第1補助エミッタ用導電パターン15と、第2補助エミッタ用導電パターン17と、を有する。さらに、第1ユニット10aおよび第2ユニット10bのそれぞれは、第1半導体素子41と、第2半導体素子42と、第3半導体素子43と、第4半導体素子44と、を有する。また、第1ユニット10aは、負側端子用導電パターン18を有する。
【0030】
第1ユニット10aおよび第2ユニット10bの各絶縁基板11の平面視での形状は、図示の例では四角形である。図2および図3に示すように、各絶縁基板11は、前述の金属板19上に配置される。各絶縁基板11は、絶縁性を有する。各絶縁基板11の材料としては、例えば、酸化アルミニウム等のセラミックス、およびエポキシ樹脂等の樹脂等が挙げられる。
【0031】
各ユニット上のパターンは導電性を有し、例えば、銅、アルミニウム等の金属または合金等で形成される。これらパターンは、互いに、電気的に離間している。これらパターンの各厚さは、特に限定されないが、例えば0.1mm以上2.0mm以下である。これらパターンの厚さは、一様である。
【0032】
図6は、図5に示す第1ユニット10aの導電パターン12の平面図である。図6に示すように、第1ユニット10aの導電パターン12は、配置部121と第1接続部122とを有する。配置部121上には、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44が配置される。具体的には、配置部121の外縁に沿った仮想的な四角形S1の四隅に、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44が配置される。配置部121は、平面視で絶縁基板11の中央に位置する。配置部121は、第1出力用導電パターン13と第2出力用導電パターン14との間に配置される。また、第1接続部122は、配置部121の中央付近からX2方向に延びた後、Y1方向に延びる。図5に示すように、第1接続部122は、複数のワイヤー551を介して正側電源端子Pに電気的に接続される。
【0033】
また、図6に示すように、第1ユニット10aの導電パターン12は、入力部C1を有する。入力部C1は、配置部121の平面視での中心である。入力部C1は、ワイヤー551および第1接続部122を介して正側電源端子Pに電気的に接続される。また、第1ユニット10aの導電パターン12は、2つのスリット125を有する。このため、第1接続部122は、配置部121と離間してX2方向に延びる部分を有する。
【0034】
図7は、図5に示す第2ユニット10bの導電パターン12の平面図である。図7に示すように、第2ユニット10bの導電パターン12は、配置部121と第2接続部123とを有する。配置部121上には、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44が配置される。具体的には、配置部121の外縁に沿った仮想的な四角形S1の四隅に、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44が配置される。配置部121は、平面視で絶縁基板11の中央に位置する。配置部121は、第1出力用導電パターン13と第2出力用導電パターン14との間に配置される。また、第2接続部123は、配置部121の中央付近からX1方向に延びた後、Y1方向およびY2方向の双方に延びる。図5に示すように、第2接続部123は、複数のワイヤー552を介して出力端子Oに電気的に接続される。
【0035】
また、図7に示すように、第2ユニット10bの導電パターン12は、入力部C1を有する。入力部C1は、配置部121の平面視での中心である。入力部C1は、ワイヤー552および第2接続部123を介して出力端子Oに電気的に接続される。また、第2ユニット10bの導電パターン12は、2つのスリット125を有する。このため、第2接続部123は、配置部121と離間してX1方向に延びる部分を有する。また、第2ユニット10bの導電パターン12には、導電パターン12と図1に示す第1接続配線30aとの接続のための端子接合部120が設けられる。
【0036】
図6および7に示すように、第1出力用導電パターン13および第2出力用導電パターン14は、平面視で導電パターン12を挟んで反対側に配置される。第1出力用導電パターン13は、導電パターン12に対してY1方向に配置される。第2出力用導電パターン14は、導電パターン12に対してY2方向に配置される。第1出力用導電パターン13および第2出力用導電パターン14のそれぞれは、X軸に沿った長尺なパターンである。
【0037】
図5に示すように、第1出力用導電パターン13の長手方向の両端には、2つの第1集電部130aおよび130bが配置される。また図5に示す第2出力用導電パターン14の長手方向の両端には、2つの第2集電部140aおよび140bが配置される。第1ユニット10aの第1集電部130aおよび130b、第2集電部140aおよび140bは図1に示す第1接続配線30aに接続される。第2ユニット10bの第1集電部130aおよび130b、第2集電部140aおよび140bは図1に示す第2接続配線30bに接続される。
【0038】
2つの第1集電部130aおよび130bと、2つの第2集電部140aおよび140とは、平面視で導電パターン12を挟んで反対側に配置される。2つの第1集電部130aおよび130bは、導電パターン12に対してY1方向に配置される。2つの第2集電部140aおよび140bは、導電パターン12に対してY2方向に配置される。
【0039】
第1集電部130aは、第1半導体素子41に近い位置に設けられる。第1集電部130aには、主に、第1半導体素子41からの電流が集電する。第1集電部130bは、第3半導体素子43に近い位置に設けられる。第1集電部130bには、主に、第3半導体素子43からの電流が集電する。第2集電部140aは、第2半導体素子42に近い位置に設けられる。第2集電部140aには、主に、第2半導体素子42からの電流が集電する。第2集電部140bは、第4半導体素子44に近い位置に設けられる。第2集電部140bには、主に、第4半導体素子44からの電流が集電する。
【0040】
図5に示すように、第1補助エミッタ用導電パターン15、制御用導電パターン16および第2補助エミッタ用導電パターン17は、各ユニットにおいて、導電パターン12よりも中心C0に近い。第1ユニット10aの第1補助エミッタ用導電パターン15、制御用導電パターン16および第2補助エミッタ用導電パターン17は、第1ユニット10aの導電パターン12よりもX1方向に配置される。第2ユニット10bの第1補助エミッタ用導電パターン15、制御用導電パターン16および第2補助エミッタ用導電パターン17は、第2ユニット10bの導電パターン12よりもX2方向に配置される。
【0041】
第1補助エミッタ用導電パターン15は、X軸に沿った長尺なパターンである。第1補助エミッタ用導電パターン15は、X軸に沿った半導体モジュール1の中心線上に配置される。
【0042】
制御用導電パターン16は、平面視でF字状である。制御用導電パターン16は、Y軸に沿って延びる長尺な部分と、当該部分からX軸に沿って延びる2つの長尺な部分とを有する。当該2つの長尺な部分は、第1補助エミッタ用導電パターン15を挟むように配置される。第1ユニット10aの制御用導電パターン16は、ワイヤー56を介して制御端子G1に電気的に接続される。第2ユニット10bの制御用導電パターン16は、ワイヤー56を介して制御端子G2に電気的に接続される。
【0043】
第2補助エミッタ用導電パターン17は、Y軸に沿った長尺なパターンである。第1ユニット10aの第2補助エミッタ用導電パターン17は、第1ユニット10aの制御用導電パターン16よりもY2方向に配置される。第2ユニット10bの第2補助エミッタ用導電パターン17は、第2ユニット10bの制御用導電パターン16よりもY1方向に配置される。
【0044】
第1ユニット10aの第2補助エミッタ用導電パターン17はワイヤー57を介して第2ユニット10bの第1補助エミッタ用導電パターン15に電気的に接続される。第2ユニット10bの第2補助エミッタ用導電パターン17はワイヤー57を介して第1ユニット10aの第1補助エミッタ用導電パターン15に電気的に接続される。
【0045】
また、第1ユニット10aの第2補助エミッタ用導電パターン17は、ワイヤー58を介して補助エミッタ端子E2に電気的に接続される。第2ユニット10bの第2補助エミッタ用導電パターン17は、ワイヤー58を介して補助エミッタ端子E1に電気的に接続される。
【0046】
第1ユニット10aの負側端子用導電パターン18は、導電パターン12に対してX2方向に配置される。負側端子用導電パターン18は、複数のワイヤー553を介して負側電源端子Nに電気的に接続されている。また、負側端子用導電パターン18には、負側端子用導電パターン18と図1に示す第2接続配線30bとの接続のための端子接合部180が設けられる。
【0047】
第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44は、導電パターン12に電気的に接続される。第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44は、各ユニット内において分散配置される。具体的には、入力部C1から各半導体素子の距離が等しくなるよう各半導体素子は分散配置される。
【0048】
第1半導体素子41および第3半導体素子43は、X軸に沿った半導体モジュール1の中心線に対してY1方向に配置される。第2半導体素子42および第4半導体素子44は、X軸に沿った半導体モジュール1の中心線に対してY2方向に配置される。第1半導体素子41は、第3半導体素子43よりも中心C0に近い。第2半導体素子42は、第4半導体素子44よりも中心C0に近い。
【0049】
第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44のそれぞれは、例えば、RC-IGBTを含む。4個の第1~第4半導体素子41~44におけるIGBTが相互に並列に接続されることで、図4の上アームAにおける1個のトランジスターT1が構成され、FWDが相互に並列に接続されることで、図4の上アームAにおける1個のダイオードD1が構成される。
【0050】
図3に示すように、第1半導体素子41は、「第1入力電極」としてのコレクタ電極411と、「第1制御電極」としてのゲート電極412と、「第1出力電極」としてのエミッタ電極413とを有する。コレクタ電極411は、半導体層の下面に形成された電極であり、例えばはんだまたは焼結材を介して導電パターン12に接合される。当該下面は、第1半導体素子41の導電パターン12に対向する面である。ゲート電極412、およびエミッタ電極413のそれぞれは、半導体層の上面に形成された電極である。ゲート電極412は、エミッタ電極413よりも第3半導体素子43に近いと良い。図5に示すように、ゲート電極412は、「制御用配線」としてのワイヤー511を介して制御用導電パターン16に電気的に接続される。エミッタ電極413は、「第1配線」としてのワイヤー512を介して第1出力用導電パターン13に電気的に接続される。なお、図5ではエミッタ電極413の図示を省略する。また、エミッタ電極413は、ワイヤー513を介して、第1補助エミッタ用導電パターン15に電気的に接続される。
【0051】
図2に示すように、第2半導体素子42は、「第2入力電極」としてのコレクタ電極421と、「第2制御電極」としてのゲート電極422と、「第2出力電極」としてのエミッタ電極423とを有する。コレクタ電極421は、半導体層の下面に形成された電極であり、例えばはんだまたは焼結材を介して導電パターン12に接続される。当該下面は、第2半導体素子42の導電パターン12に対向する面である。ゲート電極422、およびエミッタ電極423のそれぞれは、半導体層の上面に形成された電極である。ゲート電極422は、エミッタ電極423より第4半導体素子44に近いと良い。図5に示すように、ゲート電極422は、「制御用配線」としてのワイヤー521を介して制御用導電パターン16に電気的に接続される。エミッタ電極423は、「第2配線」としてのワイヤー522を介して第2出力用導電パターン14に電気的に接続される。なお、図5ではエミッタ電極423の図示を省略する。また、エミッタ電極423は、ワイヤー523を介して、第1補助エミッタ用導電パターン15に電気的に接続される。
【0052】
図3に示すように、第3半導体素子43は、「第3入力電極」としてのコレクタ電極431と、「第3制御電極」としてのゲート電極432と、「第3出力電極」としてのエミッタ電極433とを有する。コレクタ電極431は、半導体層の下面に形成された電極であり、例えばはんだまたは焼結材を介して導電パターン12に接続される。当該下面は、第3半導体素子43の導電パターン12に対向する面である。ゲート電極432、およびエミッタ電極433のそれぞれは、半導体層の上面に形成された電極である。ゲート電極432は、エミッタ電極433よりも第1半導体素子41に近いと良い。図5に示すように、ゲート電極432は、「制御用配線」としてのワイヤー531を介して制御用導電パターン16に電気的に接続される。エミッタ電極433は、「第3配線」としてのワイヤー532を介して第1出力用導電パターン13に電気的に接続される。なお、図5ではエミッタ電極433の図示を省略する。また、エミッタ電極433は、ワイヤー533を介して、第1補助エミッタ用導電パターン15に電気的に接続される。
【0053】
図2に示すように、第4半導体素子44は、「第4入力電極」としてのコレクタ電極441と、「第4制御電極」としてのゲート電極442と、「第4出力電極」としてのエミッタ電極443とを有する。コレクタ電極441は、半導体層の下面に形成された電極であり、例えばはんだまたは焼結材を介して導電パターン12に接続される。当該下面は、第4半導体素子44の導電パターン12に対向する面である。ゲート電極442、およびエミッタ電極443のそれぞれは、半導体層の上面に形成された電極である。当該下面は、第4半導体素子44の導電パターン12に対向する面である。ゲート電極442は、エミッタ電極443よりも第2半導体素子42に近いと良い。図5に示すように、ゲート電極442は、「制御用配線」としてのワイヤー541を介して制御用導電パターン16に電気的に接続される。エミッタ電極443は、「第4配線」としてのワイヤー542を介して第2出力用導電パターン14に電気的に接続される。なお、図5ではエミッタ電極443の図示を省略する。また、エミッタ電極443は、ワイヤー543を介して、第1補助エミッタ用導電パターン15に電気的に接続される。
【0054】
なお、前述の説明の各種ワイヤーのそれぞれは、リボンケーブルまたはリードフレームに置換されてもよい。
【0055】
図8は、図1に示す第1接続配線30aの平面図である。図8に示すように、第1接続配線30aは、第1部分31aと、第2部分32aと、第3部分33aと、第4部分34aとを有する。第1部分31aおよび第2部分32aは、X軸に沿って延びる。第3部分33aは、第1部分31aと第2部分32aとを接続する。第4部分34aは、第3部分33aからX1方向に延びる。
【0056】
第1部分31aは、図5に示す第1ユニット10aの第1出力用導電パターン13に沿って延びる。第1部分31aは、平面視で第1出力用導電パターン13に重なる。図8に示す第2部分32aは、図5に示す第1ユニット10aの第2出力用導電パターン14に沿って延びる。第2部分32aは、平面視で第2出力用導電パターン14に重なる。また、図示はしないが、第1部分31aおよび第2部分32aは、その両端からZ2方向に延在する部分があり、その部分の先端がそれぞれ第1出力用導電パターン13の第1集電部130aおよび130bと第2出力用導電パターン14の第2集電部140aおよび140bに接合される。図8に示す第3部分33aは、第1部分31aおよび第2部分32aのそれぞれからY軸に沿って延びて、X1方向に延びた後、Y軸に沿って延びて結合する。当該結合する部分に、第4部分34aが接続される。第4部分34aの第3部分33aとは反対の端部は、図示しないZ2方向に延在する部分を介し、図5に示す端子接合部120に電気的に接続される。
【0057】
図9は、図1に示す第2接続配線30bの平面図である。図9に示すように、第2接続配線30bは、第1部分31bと、第2部分32bと、第3部分33bと、第4部分34bとを有する。第1部分31bおよび第2部分32bは、X軸に沿って延びる。第3部分33bは、第1部分31bと第2部分32bとを接続する。第4部分34bは、第3部分33bからX2方向に延びる部分を有する。
【0058】
第1部分31bは、図5に示す第2ユニット10bの第1出力用導電パターン13に沿って延びる。第1部分31bは、平面視で第1出力用導電パターン13に重なる。図9に示す第2部分32bは、図5に示す第2ユニット10bの第2出力用導電パターン14に沿って延びる。第2部分32bは、平面視で第2出力用導電パターン14に重なる。また、図示はしないが、第1部分31b及び第2部分32bは、その両端からZ2方向に延在する部分があり、その部分の先端がそれぞれ第1出力用導電パターン13の第1集電部130aおよび130bと第2出力用導電パターン14の第2集電部140aおよび140bに接合される。図9に示す第3部分33bは、第1部分31bおよび第2部分32bのそれぞれからY軸に沿って延びて、X2方向に延びた後、Y軸に沿って延びて結合する。当該結合する部分に、第4部分34bが接続される。第4部分34bは、第3部分33bからX2方向に延びた後、Y2方向に延びる。第4部分34bの第3部分33bとは反対の端部は、図示しないZ2方向に延在する部分を介し、図5に示す端子接合部180に電気的に接続される
【0059】
図10は、上アームにおける電流の流れを説明するための図である。図11は、下アームにおける電流の流れを説明するための図である。図10および図11を参照しつつ、主回路の電流経路、すなわち主電流経路を説明する。
【0060】
正側電源端子Pから出力端子Oに電流が流れる場合、図10中の矢印A1、A2およびA3の順に電流が流れた後、図1および8に示す第1接続配線30aを経由して、図10中の矢印A4およびA5の順に電流が流れる。具体的には、正側電源端子P→複数のワイヤー551→第1接続部122→入力部C1→第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44→複数のワイヤー512、522、532および542→第1出力用導電パターン13および第2出力用導電パターン14→第1集電部130aおよび130bおよび第2集電部140aおよび140bの順に電流が流れる。そして、図1および8に示す第1接続配線30a→図10に示す端子接合部120→複数のワイヤー552→図1に示す出力端子Oの順に電流が流れる。この正側電源端子Pから出力端子Oに電流が流れる場合、正側電源端子Pは「入力端子」として機能する。
【0061】
出力端子Oから負側電源端子Nに電流が流れる場合、図11中の矢印A6、A7およびA8の順に電流が流れた後、図1および9に示す第2接続配線30bを経由して、図11中の矢印A9に示す方向に電流が流れる。具体的には、出力端子O→複数のワイヤー552→第2接続部123→入力部C1→第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44→複数のワイヤー512、522、532および542→第1出力用導電パターン13および第2出力用導電パターン14→第1集電部130aおよび130bおよび第2集電部140aおよび140bの順に電流が流れる。そして、図1に示す第2接続配線30b→図11に示す端子接合部180→複数のワイヤー553→負側電源端子Nの順に電流が流れる。この出力端子Oから負側電源端子Nに電流が流れる場合、出力端子Oは「入力端子」として機能する。
【0062】
前述のように、第1集電部130aと第2集電部140aとは、導電パターン12を挟んで反対側に設けられる。同様に、第1集電部130bと第2集電部140bとは、導電パターン12を挟んで反対側に設けられる。
【0063】
エミッタ電極413から第1出力用導電パターン13にまでの電流経路長と、エミッタ電極423から第2出力用導電パターン14までの電流経路長と、エミッタ電極433から第1出力用導電パターン13までの電流経路長と、エミッタ電極443から第2出力用導電パターン14までの電流経路長とは、互いに等しい。
【0064】
そのため、図5および図6に示すように、エミッタ電極413から第1集電部130aにまでの電流経路長L1と、エミッタ電極423から第2集電部140aまでの電流経路長L2と、エミッタ電極433から第1集電部130bまでの電流経路長L3と、エミッタ電極443から第2集電部140bまでの電流経路長L4とは、互いに等しい。このため、第1半導体素子41から第1集電部130a、第2半導体素子42から第2集電部140a、第3半導体素子43から第1集電部130b、および第4半導体素子44から第2集電部140bに至る間の内部抵抗およびインダクタンスを均一にすることができる。よって、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44での電流アンバランスを抑制することができる。よって、半導体モジュール1の温度を低減することができる。なお、電流経路長L1は、第1半導体素子41から第1集電部130aまでの電流の経路である。他の電流経路長L2~L4についても同様である。
【0065】
このように主電流経路の各半導体素子からの出力におけるインダクタンスを揃えることで、複数の半導体素子間の電流分担を均一化することができる。このため、複数の半導体素子間のうちのいずれかの半導体素子の温度が他の半導体素子よりも上昇することを抑制することができる。よって、半導体モジュール1の信頼性を向上させることができる。
【0066】
また、第1ユニット10aにおいて、第1集電部130a、130bから第1接続配線30aを介して出力端子Оに至る電流経路長と、第2集電部140a、140bから第1接続配線30aを介して出力端子Оに至る電流経路長が等しい。同様に第2ユニット10bにおいて、第1集電部130a、130bから第2接続配線30bを介して負側電源端子Nまでの電流経路長と、第2集電部140a、140bから第2接続配線30bを介して負側電源端子Nに至る電流経路長が等しい。
【0067】
そのため、第1ユニット10aにおいて、エミッタ電極413から出力端子Oにまでの電流経路長と、エミッタ電極423から出力端子Oまでの電流経路長と、エミッタ電極433から出力端子Oまでの電流経路長と、エミッタ電極443から出力端子Oまでの電流経路長とは、互いに等しい。また、第2ユニット10bにおいて、エミッタ電極413から負側電源端子Nにまでの電流経路長と、エミッタ電極423から負側電源端子Nまでの電流経路長と、エミッタ電極433から負側電源端子Nまでの電流経路長と、エミッタ電極444から負側電源端子Nまでの電流経路長とは、互いに等しい。
【0068】
以上のことから、各半導体素子から出力端子、及び負側電極端子までの電流経路で見てもインダクタンスを揃えており、半導体素子間の電流分担を均一化し、半導体モジュール1の信頼性を向上させることができる。
【0069】
また、前述のように、導電パターン12を挟んで反対側に第1集電部130aと第2集電部140aとが設けられる。同様に、導電パターン12を挟んで反対側に第1集電部130bと第2集電部140bとが設けられる。すなわち、導電パターン12の外側に第1集電部130aおよび130bと、第2集電部140aおよび140bとが設けられる。このため、ワイヤー512、522、523および524が導電パターン12の中心付近に集まることが回避される。よって、各ワイヤーの熱干渉を抑制することができる。また、各ワイヤーが導電パターン12の中心付近に集まることによる各種ワイヤーおよび各種端子の配置効率の低下を抑制することができる。
【0070】
また、半導体モジュール1は、ユニットごとに、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44の4つの半導体素子を有する。このため、2つの半導体素子を有する場合に比べ、大電流に対応することができる。
【0071】
さらに、前述のように、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44は、分散配置される。具体的には、第1半導体素子41、前記第2半導体素子、前記第3半導体素子、および第4半導体素子は、導電パターン12の配置部121の外縁に沿った仮想的な四角形の四隅に設けられる。このため、4つの半導体素子間の距離を離すことができる。半導体モジュール1内において、各半導体素子は、発熱源である。よって、4つの半導体素子間の距離を離すことで、4つ発熱源の間隔を広げることができる。それゆえ、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44が導電パターン12の4隅に設けられることで、各半導体素子間での熱干渉を抑制することができる。
【0072】
なお、本実施形態のように第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44のそれぞれトランジスターとダイオードとの機能が一体化した構成を含む場合、これら半導体素子を4隅に配置することは有効である。例えば、トランジスターとダイオードとが別体である比較例の場合、トランジスターとダイオードとを千鳥配置することで半導体モジュール1の温度上昇を抑制することができる。これに対し、本実施形態のようにトランジスターおよびダイオードが1つの半導体素子内に存在する場合、各半導体素子の温度は上昇し易い。したがって、本実施形態のようにトランジスターおよびダイオードが1つの半導体素子内に存在する構成の場合、複数の半導体素子を分散配置させることが好ましい。加えて、前述のように、主電流経路の各半導体素子からの出力におけるインダクタンスを揃えることで、半導体モジュール1の温度を低減することができる。具体的には、半導体モジュール1の温度を、トランジスターとダイオードとが別体である場合と同等まで低減することができる。
【0073】
また、前述のように、導電パターン12は、出力端子Oに電気的に接続される入力部C1を有する。コレクタ電極411、421、431、および441は、導電パターン12に接合されているため、入力部C1に電気的に接続される。また、入力部C1は、コレクタ電極411、421、431および441よりも導電パターン12の平面視での中心に近い。そして、入力部C1からコレクタ電極411までの電流経路長と、入力部C1からコレクタ電極421までの電流経路長と、入力部C1からコレクタ電極431までの電流経路長と、入力部C1からコレクタ電極441までの電流経路長とは、互いに等しい。このため、入力部C1から各半導体素子に至る間の内部抵抗およびインダクタンスを均一にすることができる。それゆえ、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44での電流アンバランスを抑制することができる。よって、半導体モジュール1の温度を低減することができる。
【0074】
このように、主電流経路の各半導体素子への入力におけるインダクタンスを揃えることで、複数の半導体素子間の電流分担を均一化することができる。このため、複数の半導体素子間のうちのいずれかの半導体素子の温度が他の半導体素子よりも上昇することを抑制することができる。よって、半導体モジュール1の信頼性を向上させることができる。特に、各半導体素子からの出力におけるインダクタンスに加え、各半導体素子への入力におけるインダクタンスを揃えることで、複数の半導体素子間の電流分担の均一化を特に効果的に図ることができる。
【0075】
また、複数の半導体素子を挟んで反対側に第1出力用導電パターン13と第2出力用導電パターン14とが設けられていることに対し、入力部C1は、各半導体素子よりも導電パターン12の中心に近い。このため、各半導体素子への電流の入力経路と、各半導体素子からの電流の出力経路とを離すことができる。このため、各種ワイヤーの熱干渉を抑制することができる。よって、半導体モジュール1の温度を低減することができる。
【0076】
また、前述のように、導電パターン12には、2つのスリット125が設けられる。第1ユニット10aでは、2つのスリット125は、「入力端子」として機能する正側電源端子Pから入力部C1に向かう方向に沿って延びる。第2ユニット10bでは、2つのスリット125は、「入力端子」として機能する出力端子Oから入力部C1に向かう方向に沿って延びる。
【0077】
第1ユニット10aでは、2つのスリット125を有することで、正側電源端子Pから第1接続部122、および入力部C1を経由して、各第半導体素子に電流が流れる。かかる2つのスリット125は、正側電源端子Pから入力部C1を経由したコレクタ電極411までの電流経路長と、正側電源端子Pから入力部C1を経由したコレクタ電極421までの電流経路長と、正側電源端子Pから入力部C1を経由したコレクタ電極431までの電流経路長と、正側電源端子Pから入力部C1を経由したコレクタ電極441までの電流経路長と、が等しくなるよう設けられる。このため、正側電源端子Pから各半導体素子に至る間の内部抵抗およびインダクタンスを均一にすることができる。
【0078】
第2ユニット10bでは、2つのスリット125を有することで、出力端子Oから第2接続部123、および入力部C1を経由して、各半導体素子に電流が流れる。かかる2つのスリット125は、出力端子Oから入力部C1を経由したコレクタ電極411までの電流経路長と、出力端子Oから入力部C1を経由したコレクタ電極421までの電流経路長と、出力端子Oから入力部C1を経由したコレクタ電極431までの電流経路長と、出力端子Oから入力部C1を経由したコレクタ電極441までの電流経路長と、が等しくなるよう設けられる。このため、出力端子Oから各半導体素子に至る間の内部抵抗およびインダクタンスを均一にすることができる。
【0079】
また、図5に示すように、制御用導電パターン16は、第1半導体素子41と第2半導体素子42との間の領域に設けられる。このため、制御用導電パターン16からゲート電極412までの電流経路長と、制御用導電パターン16からゲート電極422までの電流経路長とを等しくし易い。さらに、ゲート電極412および423は近接しており、ゲート電極432および442は、近接している。このため、制御用導電パターン16からゲート電極412までの電流経路長と、制御用導電パターン16からゲート電極422までの電流経路長と、制御用導電パターン16からゲート電極432までの電流経路長と、制御用導電パターン16からゲート電極442までの電流経路長と、を等しくしやすい。また、制御用導電パターン16は、各電流経路長がほぼ等しくなるよう構成されている。したがって、ワイヤー511、521、531および541の各長さは、ほぼ等しい。
【0080】
また同様に第1補助エミッタ用導電パターン15は、第1半導体素子41と第2半導体素子42との間の領域に設けられる。このため、第1補助エミッタ用導電パターン15からエミッタ電極413までの電流経路長と、第1補助エミッタ用導電パターン15からエミッタ電極423までの電流経路長とを等しくし易い。さらに、エミッタ電極413および433は近接しており、エミッタ電極423および443は、近接している。このため、第1補助エミッタ用導電パターン15からエミッタ電極413までの電流経路長と、第1補助エミッタ用導電パターン15からエミッタ電極423までの電流経路長と、制御用導電パターン16からエミッタ電極433までの電流経路長と、第1補助エミッタ用導電パターン15からエミッタ電極443までの電流経路長と、を等しくしやすい。したがって、ワイヤー513、523、533および543の各長さは、ほぼ等しい。
【0081】
ワイヤー511、521、531および541の各長さは、ほぼ等しいことで、当該各ワイヤーのインダクタンスを揃えることができる。このため、スイッチングのタイミング、およびON時の電圧を揃えることができる。よって、複数の半導体素子間のうちのいずれかの半導体素子の温度が他の半導体素子よりも上昇することをさらに効果的に抑制することができる。
また同様にワイヤー513、523、533および543の各長さも、ほぼ等しいことで、当該各ワイヤーのインダクタンスを揃えることができる。このため、スイッチングのタイミング、およびON時の電圧を揃えることができる。よって、複数の半導体素子間のうちのいずれかの半導体素子の温度が他の半導体素子よりも上昇することをさらに効果的に抑制することができる。
【0082】
また、図5に示すように、第1ユニット10aの制御用導電パターン16、第2ユニット10bの制御用導電パターン16、第1ユニット10aの第2補助エミッタ用導電パターン17、及び第2ユニット10bの第2補助エミッタ用導電パターン17は、第1ユニット10aの導電パターン12および第2ユニット10bの導電パターン12よりも中心C0に近い。制御用導電パターン16及び第2補助エミッタ用導電パターン17は、各半導体素子に比べ発熱し難い。このため、中心C0に近い位置に、発熱し難い制御用導電パターン16と第2補助エミッタ用導電パターン17が配置されることで、半導体モジュール1の温度の上昇を抑制することができる。
【0083】
また、図1および8に示す第1接続配線30aは、第1ユニット10aが有する第1集電部130a、第1集電部130b、第2集電部140aおよび第2集電部140bと、第2ユニット10bが有する導電パターン12とを電気的に接続する。また、図1および9に示す第2接続配線30bは、第2ユニット10bが有する第1集電部130a、第1集電部130b、第2集電部140aおよび第2集電部140bと、第1ユニット10aが有する負側端子用導電パターン18とを電気的に接続する。そして、第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、平面視で、第1ユニット10aの導電パターン12および第2ユニット10bの導電パターン12に重なる。
【0084】
第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、平面視で、各導電パターン12と平面性で重なっていることで、第1接続配線30aおよび第2接続配線30bは、各導電パターン12に対して3次元的に配置される。3次元的に配置されることで、例えばワイヤーを用いて第1ユニット10aと第2ユニット10bとを電気的に接続する場合に比べ、発熱源を分散させることができ、温度の上昇を抑制することができる。さらに第1接続配線30aおよび第2接続配線30bを銅等で形成された抵抗の低いリードフレームとすることで、熱の発生をより低減することができ、半導体モジュール1の温度の上昇をより効果的に抑制することができる。
【0085】
2.第2実施形態
以下、本開示の第2実施形態について説明する。以下に例示する形態において作用や機能が前述の第1実施形態と同様である要素については、前述の第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0086】
第2実施形態では、第3半導体素子43および第4半導体素子44が省略されている、および第1接続配線30aAおよび第2接続配線30bAの構成が異なること以外、第1実施形態と同様である。
【0087】
図12は、第2実施形態の半導体モジュールの平面図である。図12に示すように、半導体モジュール1Aは、第1半導体素子41および第2半導体素子42を有する。第1半導体素子41および第2半導体素子42は、各ユニット内において分散配置される。具体的には、入力部C1から第1半導体素子41への距離と、入力部C1から第2半導体素子42への距離とが等しくなるよう、第1半導体素子41および第2半導体素子42は分散配置される。また、第1半導体素子41と第2半導体素子42との間に、入力部C1が配置される。
【0088】
図13は、図12に示す第1接続配線30aAの平面図である。図13に示す第1接続配線30aAでは、第1実施形態の第1部分31aおよび第2部分32aが省略される。したがって、第1接続配線30aAは、第3部分33aおよび第4部分34aを有する。第3部分33aは、第1出力用導電パターン13の第1集電部130と、第2出力用導電パターン14の第2集電部140と、に電気的に接続される。
【0089】
図14は、図12に示す第2接続配線30bAの平面図である。図14に示す第2接続配線30bAでは、第1実施形態の第1部分31bおよび第2部分32bが省略される。したがって、第2接続配線30bAは、第3部分33bおよび第4部分34bを有する。第3部分33bは、第1出力用導電パターン13の第1集電部130および第2出力用導電パターン14の第2集電部140に電気的に接続される。
【0090】
図15は、上アームにおける電流の流れを説明するための図である。第1実施形態と同様に、正側電源端子Pから出力端子Oに電流が流れる場合、図15中の矢印A1、A2およびA3の順に電流が流れた後、図12および13に示す第1接続配線30aAを経由して、図15中の矢印A4およびA5の順に電流が流れる。
【0091】
図16は、下アームにおける電流の流れを説明するための図である。第1実施形態と同様に、出力端子Oから負側電源端子Nに電流が流れる場合、図16中の矢印A6、A7およびA8の順に電流が流れた後、図12および14に示す第2接続配線30bAを経由して、図16中の矢印A9に示す方向に電流が流れる。
【0092】
本実施形態においても前述の実施形態と同様に、第1出力用導電パターン13と第2出力用導電パターンとは、導電パターン12を挟んで反対側に設けられる。そして、エミッタ電極413から第1出力用導電パターン13上の第1集電部130までの電流経路長と、エミッタ電極423から第2出力用導電パターン14上の第2集電部140までの電流経路長と、互いに等しい。このため、第1半導体素子41から第1出力用導電パターン13上の第1集電部130、および第2半導体素子42から第2出力用導電パターン14上の第2集電部140に至る間の内部抵抗およびインダクタンスを均一にすることができる。よって、第1半導体素子41および第2半導体素子42での電流アンバランスを抑制することができる。よって、半導体モジュール1Aの温度を低減することができる。
【0093】
このように主電流経路の各半導体素子からの出力におけるインダクタンスを揃えることで、複数の半導体素子間の電流分担を均一化することができる。このため、半導体素子の温度が上昇することを抑制することができる。よって、半導体モジュール1Aの信頼性を向上させることができる。
【0094】
また、導電パターン12の外側に第1出力用導電パターン13および第2出力用導電パターン14が設けられるため、ワイヤー512および522が導電パターン12の中心付近に集まることが回避される。よって、各ワイヤーの熱干渉を抑制することができる。
【0095】
また、前述のように、入力部C1は、コレクタ電極411および421よりも導電パターン12の平面視での中心に近い。そして、入力部C1からコレクタ電極411までの電流経路長と、入力部C1からコレクタ電極421までの電流経路長とは、互いに等しい。このため、入力部C1から各半導体素子2に至る間の内部抵抗およびインダクタンスを均一にすることができる。それゆえ、第1半導体素子41および第2半導体素子42での電流アンバランスを抑制することができる。よって、半導体モジュール1Aの温度を低減することができる。
【0096】
このように、主電流経路の各半導体素子への入力におけるインダクタンスを揃えることで、複数の半導体素子間の電流分担を均一化することができる。特に、各半導体素子からの出力におけるインダクタンスに加え、各半導体素子への入力におけるインダクタンスを揃えることで、複数の半導体素子間の電流分担の均一化を特に効果的に図ることができる。
【0097】
また、前述のように複数の半導体素子を挟んで反対側に第1集電部130と第2集電部140とが設けられていることに対し、入力部C1は、各半導体素子よりも導電パターン12の中心に近い。このため、各半導体素子への電流の入力経路と、各半導体素子からの電流の出力経路とを離すことができる。このため、各種ワイヤーの熱干渉を抑制することができる。よって、半導体モジュール1Aの温度を低減することができる。
【0098】
以上の第2実施形態によっても、第1実施形態と同様に、各半導体素子での電流アンバランスを抑制することができるので、半導体モジュール1の温度の上昇を抑制することができる。よって、半導体モジュール1Aの信頼性を向上させることができる。
【0099】
3.変形例
前述の各実施形態は、例えば、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0100】
前述の説明では、第1半導体素子41、第2半導体素子42、第3半導体素子43および第4半導体素子44のそれぞれは、RC-IGBTを含むが、例えばMOSFETを含んでもよい。MOSFETのボディダイオードが、IGBTとダイオードが一体に形成されたRC-IGBTのダイオードと同様FWDとして機能すると良い。MOSFETである場合、各半導体素子は、コレクタ電極の代わりにドレイン電極を含み、エミッタ電極の代わりにソース電極を含む。この場合、第1半導体素子41のドレイン電極が「第1入力電極」に相当し、第2半導体素子42のドレイン電極が「第2入力電極」に相当し、第3半導体素子43のドレイン電極が「第3入力電極」に相当し、第4半導体素子44のドレイン電極が「第4入力電極」に相当する。また、第1半導体素子41のソース電極が「第1出力電極」に相当し、第2半導体素子42のソース電極が「第2出力電極」に相当し、第3半導体素子43のソース電極が「第3出力電極」に相当し、第4半導体素子44のソース電極が「第4出力電極」に相当する。
【0101】
前述の説明では、各ユニットが有する半導体素子の数は、2個または4個であるが、半導体素子の数は、3個または5個以上でもよい。また、第2実施形態では、第1半導体素子41および第2半導体素子42がY軸に沿って並ぶが、第1半導体素子41および第2半導体素子42はX軸に沿って並んでもよい。
【0102】
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【符号の説明】
【0103】
1…半導体モジュール、1A…半導体モジュール、10a…第1ユニット、10b…第2ユニット、11…絶縁基板、12…導電パターン、13…第1出力用導電パターン、14…第2出力用導電パターン、15…第1補助エミッタ用導電パターン、16…制御用導電パターン、17…第2補助エミッタ用導電パターン、18…負側端子用導電パターン、19…金属板、20…ケース、21…放熱基板、22…側壁部、23…突出片、30a…第1接続配線、30aA…第1接続配線、30b…第2接続配線、30bA…第2接続配線、31a…第1部分、31b…第1部分、32a…第2部分、32b…第2部分、33a…第3部分、33b…第3部分、34a…第4部分、34b…第4部分、41…第1半導体素子、42…第2半導体素子、43…第3半導体素子、44…第4半導体素子、120…端子接合部、121…配置部、122…第1接続部、123…第2接続部、125…スリット、130…第1集電部、140…第2集電部、130a…第1集電部、140a…第2集電部、130b…第1集電部、140b…第2集電部、180…端子接合部、211…上面、221…段差面、411…コレクタ電極、412…ゲート電極、413…エミッタ電極、421…コレクタ電極、422…ゲート電極、423…エミッタ電極、431…コレクタ電極、432…ゲート電極、433…エミッタ電極、441…コレクタ電極、442…ゲート電極、443…エミッタ電極、511…ワイヤー、512…ワイヤー、513…ワイヤー、521…ワイヤー、522…ワイヤー、523…ワイヤー、531…ワイヤー、532…ワイヤー、533…ワイヤー、541…ワイヤー、542…ワイヤー、543…ワイヤー、551…ワイヤー、552…ワイヤー、553…ワイヤー、56…ワイヤー、57…ワイヤー、58…ワイヤー、A…上アーム、B…下アーム、C1…入力部、D1…ダイオード、D2…ダイオード、E1…補助エミッタ端子、E2…補助エミッタ端子、G1…制御端子、G2…制御端子、N…負側電源端子、N1…第1端子、N2…第2端子、O…出力端子、O1…第1端子、O2…第2端子、P…正側電源端子、P1…第1端子、P2…第2端子、T1…トランジスター、T2…トランジスター、S1…仮想的な四角形。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16