(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139244
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】コア-シェル構造粒子、磁器組成物、及び、コア-シェル構造粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 23/00 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
C01G23/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050101
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(71)【出願人】
【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 健
(72)【発明者】
【氏名】土井 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】畠 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 光一
【テーマコード(参考)】
4G047
【Fターム(参考)】
4G047CA07
4G047CB05
4G047CB09
4G047CC02
4G047CD04
4G047CD08
(57)【要約】
【解決手段】100nm以下の粒子径であり、BaTiO
3からなるコア粒子と、CaTiO
3及び/又はSrTiO
3からなり、ペロブスカイト構造の1ユニット以上10ユニット以下である厚みを有し、コア粒子を被覆するシェル相と、を備えるコア-シェル構造粒子を提供する。水酸化バリウム水和物、酸化チタン、及び、第1溶媒を含む原料を高温及び/又は高圧下におき、ソルボサーマル合成を行い、コア粒子を生成するコア生成段階と、コア粒子、Ca水酸化物及びSr水酸化物の少なくとも一方、及び、第2溶媒を高温及び/又は高圧下におき、ソルボサーマル合成を行い、コア粒子を被覆するシェル相を生成するシェル生成段階と、を備えるコア-シェル構造粒子の製造方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100nm以下の粒子径であり、BaTiO3からなるコア粒子と、
CaTiO3及び/又はSrTiO3からなり、ペロブスカイト構造の1ユニット以上10ユニット以下である厚みを有し、前記コア粒子を被覆するシェル相と、
を備えるコア-シェル構造粒子。
【請求項2】
前記シェル相は、前記コア粒子の全面をほぼ均等な厚みで被覆する、
請求項1に記載のコア-シェル構造粒子。
【請求項3】
前記コア粒子は、立方体形状又は直方体形状を有する、
請求項1に記載のコア-シェル構造粒子。
【請求項4】
前記コア粒子は、角部分が丸みを帯びた立方体形状又は直方体形状を有する、
請求項3に記載のコア-シェル構造粒子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコア-シェル構造粒子を含む、
磁器組成物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコア-シェル構造粒子の製造方法であって、
水酸化バリウム水和物、酸化チタン、及び、第1溶媒を含む原料を高温及び/又は高圧下におき、ソルボサーマル合成を行い、前記コア粒子を生成するコア生成段階と、
前記コア粒子、Ca水酸化物及びSr水酸化物の少なくとも一方、及び、第2溶媒を高温及び/又は高圧下におき、ソルボサーマル合成又は水熱合成を行い、前記コア粒子を被覆する前記シェル相を生成するシェル生成段階と、
を備えるコア-シェル構造粒子の製造方法。
【請求項7】
前記シェル生成段階で得られた生成物を酸処理する酸処理段階と、
を更に備える請求項6に記載のコア-シェル構造粒子の製造方法。
【請求項8】
前記コア生成段階及び/又は前記シェル生成段階におけるソルボサーマル合成及び水熱合成は、100以上300℃以下の温度で5時間以上100時間以下、実行される、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1溶媒及び前記第2溶媒は、水又はアルコールから選択される、
請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
前記シェル生成段階における前記Ca水酸化物及びSr水酸化物の少なくとも一方の投入量は、前記コア粒子の投入量100重量部に対して、10重量部以上90重量部以下である、
請求項7に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア-シェル構造粒子、磁器組成物、及び、コア-シェル構造粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な誘電体材料の研究が進められている(例えば特許文献1~5)。
【0003】
特許文献1には「少なくとも2種類の酸化物セラミックスを積層させたセラミックス超格子において、前記酸化物セラミックスが、ペロブスカイト型結晶であり、且つ互いに一定の結晶方位の関係を保って基板上に成長しており、該ペロブスカイト型結晶の層の成長厚さを、該ペロブスカイト型結晶の単位格子長を成長単位として、その整数倍となるようにしたことを特徴とする前記セラミックス超格子(請求項1)」が記載されている。
特許文献2には「少なくともチタン酸バリウムおよびチタン酸カルシウムを含有する誘電体組成物であって、これら2つの組成モル比について、チタン酸バリウムの組成モル比(X)が、0.3<X<0.5であり、チタン酸カルシウムの組成モル比(Y)が、1-Xである誘電体組成物(請求項1)」が記載されている。
特許文献3には「複数の一次微粒子(16)及び複数の一次細孔を含むコア微粒子構造体(12)と、コア微粒子構造体(12)を少なくとも部分的に囲繞するシェルとを含んでなるコアシェルセラミック微粒子(10)であって、一次微粒子(16)の各々が複数の二次微粒子(20)及び複数の二次細孔(22)を含み、シェルが複数の三次微粒子(24)及び複数の三次細孔(23)を含む、コアシェルセラミック微粒子(10)(請求項1)」が記載されている。
特許文献4には「(I)2つ以上の金属元素を含む複合酸化物前駆体アルコキシドと、コア材料と、を混合し、混合物の中に、前記コア材料の表面に複合酸化物アルコキシドが結合したコア材料-複合酸化物アルコキシドを形成する工程と、(II)前記コア材料-複合酸化物アルコキシドに水を加えて、複合酸化物アルコキシドを加水分解重縮合させ、コア材料-複合酸化物アルコキシド重縮合体を形成する工程と、(III)前記コア材料-複合酸化物アルコキシド重縮合体を焼成する工程と、を含む、コア材料の表面に、ペロブスカイト型複合酸化物からなる膜を形成する方法(請求項1)」が記載されている。
特許文献5には「25℃でペロブスカイト構造を有する第一の複合酸化物を主成分とするコア粒子と、前記コア粒子の表面上に形成され、前記第一の複合酸化物とは異なる第二の複合酸化物を主成分とするシェル相と、を有する誘電体セラミックス粒子の製造方法であって、前記コア粒子と前記第二の複合酸化物の原料化合物とを乾式混合して前記第二の複合酸化物の原料化合物を前記コア粒子に被覆させて原料混合物を得る工程と、前記原料混合物に水熱合成処理またはソルボサーマル合成処理を行う工程と、を含み、前記乾式混合は、6×103rad/s以上の角速度で回転する機構を有する機械的回転体によって行われる、誘電体セラミックス粒子の製造方法(請求項1)」が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開平5-221800号公報
[特許文献2] 特開2001-110665号公報
[特許文献3] 特開2007-320847号公報
[特許文献4] 特開2015-51913号公報
[特許文献5] 特開2019-89705号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様においては、コア粒子とシェル相とを備えるコア-シェル構造粒子を提供する。コア粒子は、100nm以下の粒子径であり、BaTiO3からなってよい。シェル相は、CaTiO3及び/又はSrTiO3からなってよい。シェル相は、ペロブスカイト構造の1ユニット以上10ユニット以下である厚みを有し、コア粒子を被覆するものであってよい。
【0005】
上記において、シェル相は、コア粒子の全面をほぼ均等な厚みで被覆してよい。
【0006】
上記において、コア粒子は、立方体形状又は直方体形状を有してよい。
【0007】
上記において、コア粒子は、角部分が丸みを帯びた立方体形状又は直方体形状を有してよい。
【0008】
本発明の第2の態様においては、上記のいずれかのコア-シェル構造粒子を含む磁器組成物を提供する。
【0009】
本発明の第3の態様においては、上記のいずれかのコア-シェル構造粒子の製造方法を提供する。製造方法は、コア生成段階と、シェル相生成段階と、を備えてよい。コア生成段階において、水酸化バリウム水和物、酸化チタン、及び、第1溶媒を含む原料を高温及び/又は高圧下におき、ソルボサーマル合成を行い、コア粒子を生成してよい。シェル生成段階において、コア粒子、Ca水酸化物及びSr水酸化物の少なくとも一方、及び、第2溶媒を高温及び/又は高圧下におき、ソルボサーマル合成又は水熱合成を行い、コア粒子を被覆するシェル相を生成してよい。
【0010】
上記において、製造方法は、酸処理段階を更に備えてよい。酸処理段階において、シェル生成段階で得られた生成物を酸処理してよい。
【0011】
上記において、コア生成段階及び/又はシェル生成段階におけるソルボサーマル合成は、100℃以上300℃以下の温度で5時間以上100時間以下、実行されてよい。
【0012】
上記において、第1溶媒及び第2溶媒は、水又はアルコールから選択されてよい。
【0013】
上記において、シェル生成段階におけるCa水酸化物及びSr水酸化物の少なくとも一方の投入量は、コア粒子の投入量100重量部に対して、10重量部以上90重量部以下であってよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態におけるコア-シェル構造粒子の一例を示す。
【
図3】本実施形態に係る誘電体セラミクスの例を示す。
【
図4】本実施形態におけるコア-シェル構造粒子の製造フローの一例を示す。
【
図6A】コア粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
【
図6B】コア粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
【
図7A】コア-シェル構造粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
【
図7B】コア-シェル構造粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
【
図8A】コア-シェル構造粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
【
図8B】コア-シェル構造粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
[1]コア-シェル構造粒子:
本実施形態に係るコア-シェル構造粒子について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態におけるコア-シェル構造粒子10の一例を示す。本実施形態において、コア-シェル構造粒子10は、コア粒子20とシェル相30とからなる。
【0019】
コア粒子20は、チタン酸バリウム(BaTiO3)からなる。コア粒子20は、BaTiO3の結晶であってよい。
【0020】
コア粒子20は、立方体形状、直方体形状、多面体、円柱、球体、楕円体、不定形、又は、その他の形状であってよい。コア粒子20は、好ましくは立方体形状又は直方体形状であってよい。この場合、立方体形状及び直方体形状の角部分及び/又は辺部分が、丸みを帯びてもよい。
【0021】
特に立方体形状又は直方体形状のコア粒子20は、チタン酸バリウム粒子と混合すると、異種粒子の表面同士が接触する界面の面積が増加する。この結果、コア-シェル構造粒子10から製造した誘電体セラミクスの比誘電率を高めることができる。立方体形状又は直方体形状以外であっても、異種粒子の表面同士が接触する界面が生成されることには変わりないので、立方体形状又は直方体形状に限定されるものではない。
【0022】
コア粒子20の粒子径は、100nm以下、好ましくは60nm以下、更に好ましくは45nm以下であってよい。このような粒子径を満たす場合、コア-シェル構造粒子10を用いて製造される電気部品のサイズを小型化できる。更に、重さ当たりの界面面積が増加するので、比誘電率を高めることができる。
【0023】
コア粒子20が立方体形状又は直方体形状の場合、粒子径は、電子顕微鏡(SEM)等で観察された立方体の一辺又は直方体の長辺の長さの平均値または中央値であってよい。コア粒子20が球体、楕円体又は不定形の場合には、粒子径は、電子顕微鏡(SEM)等で観察された長辺の長さの平均値または中央値であってよい。これらに代えて、コア粒子20の粒径は、レーザー回折式粒度分布計により測定された平均粒径であってもよい。
【0024】
コア粒子20の製造方法に特に制限はなく、既知の様々な方法によりコア粒子20を製造してよい。後述するようにソルボサーマル合成を利用することで立方体形状のコア粒子20を製造することができる。
【0025】
シェル相30は、コア粒子20を被覆する。シェル相30は、コア粒子20の全面を被覆してよい。これに代えて、シェル相30は、コア粒子20の表面の一部を部分的に被覆してよい。
【0026】
シェル相30は、チタン酸バリウムのバリウムが2族元素に置換された化合物であってよい。例えば、シェル相30は、CaTiO3及び/又はSrTiO3からなる。シェル相30は、CaTiO3及びSrTiO3が混合した層であってもよい。
【0027】
シェル相30は、CaTiO3及びSrTiO3等が形成するペロブスカイト構造の1ユニット以上10ユニット以下、より好ましくは1ユニット以上5ユニット以下、更に好ましくは1ユニット以上3ユニット以下である厚みを有してよい。シェル相30の厚みが上記の範囲となることにより、コア-シェル構造粒子の大きさをコア粒子20とほぼ同程度に抑えることができる。これにより、コア-シェル構造粒子を含む誘電体セラミクスを用いた部品サイズを小さくすることができる。
【0028】
シェル相は、コア粒子の全面をほぼ均等な厚みで被覆してよい。これにより、後にチタン酸バリウム粒子等の異種粒子と混合した際に、確実に異種粒子と界面を形成することができる。シェル相30の状態は、走査透過電子顕微鏡(STEM)及びエネルギー分散型X線分光法(EDS)等により観測、分析することができる。
【0029】
シェル相30が部分的にコア粒子20を被覆している場合、被覆している部分の厚みが上記に収まるものであってよい。シェル相30が全体的にコア粒子20を被覆している場合、被覆している部分の厚みの全部、平均又は一部が上記に収まるものであってよい。シェル相30の厚みはコア粒子20の粒径と比較して非常に小さいので、コア-シェル構造粒子10の粒径はコア粒子20の粒径とほぼ同視できる。
【0030】
図2は、
図1のA部分の拡大図を示す。コア粒子20部分では、Ba原子210とTi原子220と図示されないO原子によりペロブスカイト構造の格子が形成されている。シェル相30部分においては、Ti原子222とCa原子又はSr原子230によりペロブスカイト構造が形成されている。
【0031】
図2においては、シェル相30部分にペロブスカイト構造の中心に位置するTi原子222が2個分の厚みで存在している。すなわち、シェル相30部分がペロブスカイト構造の格子の2個分の厚みで形成されている。
【0032】
[2]磁器組成物:
本実施形態に係る磁器組成物について説明する。磁器組成物は、上記で説明したコア-シェル構造粒子を含む。好ましくは、磁器組成物は、コア-シェル構造粒子と、チタン酸バリウム粒子と、バインダー樹脂とを含むものであってよい。磁器組成物は、その他、必要に応じて溶媒及びその他の添加剤を適宜含むものであってよい。
【0033】
チタン酸バリウム粒子は、立方体形状、直方体形状、球体、楕円体、不定形、又は、その他の形状であってよい。チタン酸バリウム粒子は、好ましくは立方体形状又は直方体形状であってよく、この場合、角部分及び/又は辺部分が丸みを帯びていてもよい。このような形状であるとコア-シェル構造粒子と共に集合した際に、粒子の表面同士が接触する界面の面積を増やすことができ、磁器組成物に用いた際に比誘電率を高めることができる。
【0034】
チタン酸バリウム粒子は、100nm以下であってよく、好ましくは60nm以下、更に好ましくは45nm以下の粒子径であってよい。粒子径の定義は、コア-シェル構造粒子の粒子径と同様であってよい。
【0035】
チタン酸バリウム粒子は、コア-シェル構造粒子と同一の形状を有するものであってよい。例えば、チタン酸バリウム粒子とコア-シェル構造粒子は、両者とも立方体形状又は直方体形状であってよい。チタン酸バリウム粒子は、コア-シェル構造粒子と同一又はほぼ同等の粒径を有するものであってよい。例えば、チタン酸バリウム粒子は、コア-シェル構造粒子10からシェル相30を除いたコア粒子20であってよい。
【0036】
チタン酸バリウム粒子とコア-シェル構造粒子とが、同一の形状及び/又は粒径を有することで、後の磁器組成物を焼成した際に両粒子がブロック状に三次元集積し、両粒子の界面が良好に形成され、比誘電率を高めることができる。
【0037】
バインダー樹脂は、磁器組成物に通常使用されるものであれば特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、又は、アクリル系樹脂等を用いてよい。バインダー樹脂の量は特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム粒子とコア-シェル構造粒子の合計量に対して0.01重量%以上20重量%以下、好ましくは0.5重量%以上15重量%以下であってよい。これにより、成型性を保ちつつ後に成型される誘電体セラミクスの密度を向上させることができる。
【0038】
磁器組成物を所定形状にプレス成型または、シート成型したものを積層した後、脱バインダー処理を行うことで誘電体セラミクスを生成することができる。脱バインダー処理は加熱処理であってよく、例えば、300℃以上800℃以下、好ましくは、400℃以上600℃以下で加熱する処理であってよい。
【0039】
本実施形態の誘電体セラミクスは、高い比誘電率が求められる様々な用途に用いることができる。例えば、誘電体セラミクスは、電子部品であるコンデンサの誘電体として用いることができる。特に、誘電体セラミクスは、パワーデバイス基板用コンデンサ、又は、電源基板用コンデンサとして好適に用いることができる。
【0040】
図3は、本実施形態に係る誘電体セラミクス300の例を示す。本実施形態の誘電体セラミクス300は、チタン酸バリウム310とコア-シェル構造320とが互いの界面を形成するように集合した構造であってよい。チタン酸バリウム310は、チタン酸バリウム粒子から形成される。コア-シェル構造320は、コア-シェル構造粒子から形成される。
【0041】
例えば、図示するようにチタン酸バリウム310は、チタン酸バリウム粒子の形状に由来する立方体形状を有し、コア-シェル構造320もコア-シェル構造粒子の形状に由来する立方体形状を有してよい。これらの粒子に由来するブロックが規則的に積み重なり、三次元的に集積している。コア-シェル構造320のCaTiO3及び/又はSrTiO3からなるシェル相に相当する部分と、チタン酸バリウム310との間には界面330が形成される。
【0042】
チタン酸バリウム310とコア-シェル構造320との界面330では結晶格子がゆがみ、巨大な誘電率が発現するものと推測されている。本実施形態の誘電体セラミクス300は、微細な界面を多数有することにおり、非常に高い誘電率を発現し、DCバイアス特性にも優れる。
【0043】
なお、
図3では異種の粒子が隣接する構造の例を示した。実際には、誘電体セラミクス300は同種及び異種の粒子のランダムな集合により形成されるものであり、隣接する粒子が同種の場合も含み得る。
【0044】
[3]コア-シェル構造粒子の製造方法:
本実施形態に係るコア-シェル構造粒子の製造方法について説明する。
【0045】
図4は、本実施形態におけるコア-シェル構造粒子の製造フローの一例を示す。コア-シェル構造粒子は、S100からS300の処理により製造してよい。S100からS300の一部は省略されてもよい。S100からS300に加えて他の処理が実行されてもよい。
【0046】
まず、S100においてコア生成段階を行う。コア生成段階では、ソルボサーマル合成を行うことでコア粒子を生成してよい。例えば、水酸化バリウム水和物、酸化チタン、及び、第1溶媒を含む原料を高温及び/又は高圧下におくことで、ソルボサーマル合成を行ってよい。
【0047】
水酸化バリウム水和物は8水和物(Ba(OH)2・8H2O)であることが好ましい。これに代えて1水和物(Ba(OH)2・1H2O)等の他の水和物、または、無水和物であってもよい。
【0048】
酸化チタンには、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型が存在するが、この中でアナターゼ型が好ましい。酸化チタンは、レーザー回折式粒度分布計測定又はSEMによる長辺測定おいて、粒径が100nm以下、好ましくは50nm以下、更に好ましくは25nm以下の粒子であることが好ましい。酸化チタンは、水酸化バリウム水和物100モルに対して10モル以上100モル以下、好ましくは20モル以上50モル以下の範囲で用いてよい。
【0049】
第1溶媒は、水又はアルコールから選択されるものであってよい。アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール等から選択されるものであってよい。第1溶媒の量は、固形分量100重量部に対して10重量部以上2000重量部以下、好ましくは100重量部以上1000重量部以下であってよい。
【0050】
更に原料として、チタンアルコキシドを含んでもよい。例えば、チタンアルコキシドは、チタンテトライソプロポキシド([(CH3)2CHO]4Ti)であってよい。チタンアルコキシドは、水酸化バリウム水和物100モルに対して3モル以上30モル以下、好ましくは5モル以上20モル以下の範囲で用いてよい。
【0051】
上記の原料を試料容器に入れて、原料を混合してよい。その後、試料容器を高圧用反応分解容器に入れてよい。その後、高圧用反応分解容器を加熱装置に設置し、加熱装置で加熱を行うことで、ソルボサーマル合成を行ってよい。
【0052】
ソルボサーマル合成における加熱は、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下、更に好ましくは180℃以上220℃以下の温度で実行してよい。ソルボサーマル合成における加熱は、5時間以上100時間以下、好ましくは50時間以上90時間以下、更に好ましくは70時間以上80時間以下の時間、実行してよい。
【0053】
ソルボサーマル合成により得られた合成物に対して分離、洗浄、乾燥操作を行って、生成物を取得してよい。ソルボサーマル合成を経て得られた生成物は、立方体形状又は直方体形状のチタン酸バリウムの結晶粒子となる。コア生成段階後の生成物は、コア-シェル構造粒子におけるコア粒子部分となる。また、コア生成段階後の生成物は、磁器組成物のチタン酸バリウム粒子として用いることもできる。
【0054】
図5は、コア生成段階後のコア粒子の一例を示す。
図5は、
図1のA部分のようにコア粒子の表面を拡大した状態を示す。コア粒子の内部部分50には、チタン酸バリウムのペロブスカイト構造が形成される。一方で、コア粒子の外側部分52では、Ba原子210が存在せず、Ti原子222が析出している。
【0055】
次に、S200においてシェル生成段階を行う。シェル生成段階では、ソルボサーマル合成または、水熱合成を行い、コア粒子を被覆するシェル相を生成してよい。例えば、S100で生成したコア粒子、2族水酸化物、及び、第2溶媒を高温及び/又は高圧下におくことで、ソルボサーマル合成または、水熱合成を行ってよい。
【0056】
2族水酸化物は、Ca水酸化物(Ca(OH)2)及びSr水酸化物(Sr(OH)2)の少なくとも一方を含むことが好ましいが、他の2族水酸化物でもよい。2族水酸化物は、コア粒子の投入量100モルに対して10モル以上1000モル以下、好ましくは50モル以上300モル以下、より好ましくは100モル以上150モル以下で含まれてよい。2族水酸化物は、コア粒子の投入量100重量部に対して、10重要部以上90重量部以下であってもよい。
【0057】
第2溶媒は、水又はアルコールから選択されるものであってよい。アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール等から選択されるものであってよい。第2溶媒の量は、固形分量100重量部に対して10重量部以上2000重量部以下、好ましくは500重量部以上1500重量部以下であってよい。
【0058】
上記の原料を試料容器に入れて、原料を混合してよい。その後、試料容器を高圧用反応分解容器に入れてよい。その後、高圧用反応分解容器を加熱装置に設置し、加熱装置で加熱を行うことで、ソルボサーマル合成または、水熱合成を行ってよい。
【0059】
ソルボサーマル合成または、水熱合成における加熱は、100℃以上300℃以下、好ましくは100℃以上200℃以下、更に好ましくは100℃以上150℃以下の温度で実行してよい。ソルボサーマル合成または、水熱合成における加熱は、5時間以上100時間以下、好ましくは7時間以上30時間以下、更に好ましくは10時間以上20時間以下の時間、実行してよい。
【0060】
ソルボサーマル合成または、水熱合成により得られた合成物に対して分離、洗浄、乾燥操作を行って、生成物を取得してよい。ソルボサーマル合成または、水熱合成を経て得られた生成物は、コア粒子の表面に2族水酸化物に由来するシェル相が形成された粒子となる。具体的には、
図5の外側部分52に2族水酸化物が反応し、シェル相のペロブスカイト構造(CaTiO
3やSrTiO
3)が形成される。
【0061】
次に、S300において酸処理段階を行う。酸処理段階では、S200のシェル生成段階で得られた生成物を酸処理してよい。例えば、S200の生成物に酸を加えて攪拌する。酸として酢酸等の弱酸水溶液を用いてよい。例えば、酢酸の1体積%以上10体積%以下の水溶液を酸処理用の酸として用いてよい。生成物に対して1重量部以上100重量部以下、好ましくは20以上70重量部以下の酸を用いてよい。酸処理後に、生成物を分離、洗浄、及び、攪拌を行ってよい。酸処理の目的は、未反応のCaやSrを洗浄するためであり、省略してもよい。酸処理段階がなくても、コア-シェル構造粒子を製造することができる。
【0062】
このように本願によればS100からS300までによりコア-シェル構造粒子を生成することができる。特に本実施形態によれば大きな費用や時間をかけることなく、コア-シェル構造粒子を生成できる。また、本実施形態によれば比較的大きなスケールでコア-シェル構造粒子を製造することができる。これにより、コア-シェル構造粒子、これを用いた磁器組成物、及び誘電体セラミクスの量産化に大きく貢献することができる。
【0063】
S100で製造したコア粒子をチタン酸バリウム粒子として、S300で製造したコア-シェル構造粒子とともに、磁器組成物に用いてもよい。この場合、S100で製造したコア粒子に対して、S300の酸処理段階を適用してもよい。
【0064】
[実施例]
本願発明の実施例を説明する。ただし本発明の技術範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0065】
[実施例1:コア粒子の製造]
以下の原料を100mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製試料容器へ入れ、かく拌(350rpm、5分間)を行った。
Ba(OH)2・8H2O:20mmol(6.3g)、
TiO2(粒径<25nm、多形、アナターゼ型):7.5mmol(0.60g)、
[(CH3)2CHO]4Ti:2.5mmol(0.71g)、
1-Butanol:40mL
【0066】
次にPTFE製試料容器を高圧用反応分解容器(三愛科学株式会社製:HUT-100)内に配置した。更に高圧用反応分解容器を乾燥器の中に配置し、加熱を行った。加熱条件は、温度:200℃、時間:72時間とした。
【0067】
次に、加熱後の合成物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。
【0068】
酢酸2mlを50mlのメスフラスコに入れ、水でメスアップして酢酸水溶液50mlを調整した。乾燥された生成物(1.0g)をビーカーに入れ、酢酸水溶液50mlでかく拌(350rpm、5分間)を行った。
【0069】
攪拌された対象物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。
【0070】
乾燥した生成物を電子顕微鏡で観察すると、BaTiO3の立方体の表面にTiカラムによる表面再構成が形成されていた。立方体の一辺の長さは約80nm程度であった。立方体の角部はやや丸みを帯びていた。
【0071】
[実施例2:Srを含むコア-シェル構造粒子の製造]
以下の原料を100mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製試料容器へ入れ、かく拌(350rpm、5分間)を行った。
Ba(OH)2・8H2O:20mmol(6.3g)、
TiO2(粒径<25nm、多形、アナターゼ型):7.5mmol(0.60g)、
[(CH3)2CHO]4Ti:2.5mmol(0.71g)、
1-ブタノール:40mL
【0072】
次にPTFE製試料容器を高圧用反応分解容器(三愛科学株式会社製:HUT-100)内に配置した。更に高圧用反応分解容器を乾燥器の中に配置し、加熱を行った。加熱条件は、温度:200℃、時間:72時間とした。
【0073】
次に、加熱後の合成物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。これにより、BaTiO3ナノキューブであるコア粒子を得た。
【0074】
次に、以下の原料を100mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製試料容器へ入れ、かく拌(350rpm、5分間)を行った。
コア粒子:8.6mmol(2.0g)、
Sr(OH)2:10mmol(1.2g)、
水:40ml
【0075】
次にPTFE製試料容器を高圧用反応分解容器(三愛科学株式会社製:HUT-100)内に配置した。更に高圧用反応分解容器を乾燥器の中に配置し、加熱を行った。加熱条件は、温度:100℃、時間:12時間とした。
【0076】
次に、加熱後の合成物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。
【0077】
酢酸2mlを50mlのメスフラスコに入れ、水でメスアップして酢酸水溶液50mlを調整した。乾燥された生成物(1.0g)をビーカーに入れ、酢酸水溶液50mlでかく拌(350rpm、5分間)を行った。
【0078】
攪拌された対象物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。
【0079】
乾燥した生成物を電子顕微鏡で観察すると、コア粒子がBaTiO3の立方体で、シェルがSrTiO3であるコア-シェル構造粒子が確認された。コア-シェル構造粒子は、一辺が約80nmの立方体で、シェル相はペロブスカイト構造の2ユニット分の厚みを有していた。立方体の角部はやや丸みを帯びていた。
【0080】
[実施例3:Caを含むコア-シェル構造粒子の製造]
以下の原料を100mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製試料容器へ入れ、かく拌(350rpm、5分間)を行った。
Ba(OH)2・8H2O:20mmol(6.3g)、
TiO2(粒径<25nm、多形、アナターゼ型):7.5mmol(0.60g)、
[(CH3)2CHO]4Ti:2.5mmol(0.71g)、
1-ブタノール:40mL
【0081】
次にPTFE製試料容器を高圧用反応分解容器(三愛科学株式会社製:HUT-100)内に配置した。更に高圧用反応分解容器を乾燥器の中に配置し、加熱を行った。加熱条件は、温度:200℃、時間:72時間とした。
【0082】
次に、加熱後の合成物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。これにより、BaTiO3ナノキューブであるコア粒子を得た。
【0083】
次に、以下の原料を100mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製試料容器へ入れ、かく拌(350rpm、5分間)を行った。
コア粒子:8.6mmol(2.0g)、
Ca(OH)2:10mmol(0.74g)、
水:40ml
【0084】
次にPTFE製試料容器を高圧用反応分解容器(三愛科学株式会社製:HUT-100)内に配置した。更に高圧用反応分解容器を乾燥器の中に配置し、加熱を行った。加熱条件は、温度:100℃、時間:12時間とした。
【0085】
次に、加熱後の合成物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。
【0086】
酢酸2mlを50mlのメスフラスコに入れ、水でメスアップして酢酸水溶液50mlを調整した。乾燥された生成物(1.0g)をビーカーに入れ、酢酸水溶液50mlでかく拌(350rpm、5分間)を行った。
【0087】
攪拌された対象物に対し、水を溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を3回繰り返した。その後、メタノールを溶媒として用い、10000rpmで5分間の遠心分離を2回繰り返した。分離した固形分に対し、80℃で一晩、乾燥を行った。
【0088】
乾燥した生成物を電子顕微鏡で観察すると、コア粒子がBaTiO3の立方体で、シェルがCaTiO3であるコア-シェル構造粒子が確認された。コア-シェル構造粒子は、一辺が約80nmの立方体で、シェル相はペロブスカイト構造の2ユニット分の厚みを有していた。立方体の角部はやや丸みを帯びていた。
【0089】
図6A及び
図6Bは、コア粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
図6Aは、実施例1で製造したコア粒子の全体のHAADF-STEM(High-Angle Annular Dark Field Scanning Transmission Electron Microscopy)による観察結果である。
図6Bは、
図6Aの粒子の左側の一部を拡大したものである。図示するように外側(図左側)にペロブスカイト構造2ユニット分のTi原子(写真の小さな白点)の層が形成されている。
【0090】
図7A及び
図7Bは、コア-シェル構造粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
図7Aは、実施例2で製造したシェル相がSrTiO
3であるコア-シェル構造粒子の全体のHAADF-STEMによる観察結果である。
図7Bは、
図7Aの粒子の左上角側の一部を拡大したものである。図示するように外側(図左側)にペロブスカイト構造2ユニット分のシェル相が形成されている。
【0091】
図8A及び
図8Bは、コア-シェル構造粒子のHAADF-STEMによる観察写真を示す。
図8Aは、実施例3で製造したシェル相がCaTiO
3であるコア-シェル構造粒子の全体のHAADF-STEMによる観察結果である。
図8Bは、
図8Aの粒子の右側の一部を拡大したものである。図示するように外側(図右側)にペロブスカイト構造2ユニット分のシェル相が形成されている。
【0092】
図9は、コア-シェル構造粒子の観察写真を示す。
図9は、実施例3で製造したシェル相がCaTiO
3であるコア-シェル構造粒子の電子顕微鏡写真(EDX Elemental Mapping)である。
図10は、
図9の一部を拡大したものである。図示するようにキューブ形のコア粒子の外側に薄いCaのシェル相が形成されている。
【0093】
図11は、コア-シェル構造粒子の観察写真を示す。
図11は、実施例2で製造したシェル相がSrTiO
3であるコア-シェル構造粒子の電子顕微鏡写真(EDX Elemental Mapping)である。
図12は、
図11の一部を拡大したものである。図示するようにキューブ形のコア粒子の外側に薄いSrのシェル相が形成されている。
【0094】
上記では、ソルボサーマル合成を利用して立方体形状のコア粒子を製造し、これにシェル相を被覆する例を説明したが、コア-シェル構造粒子の製法はこれに限られない。例えば、既存のチタン酸バリウム粒子にシェル相を被覆してコア-シェル構造粒子を製造してもよい。
【0095】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0096】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0097】
10 コア-シェル構造粒子
20 コア粒子
30 シェル相
50 内部部分
52 外側部分
210 Ba原子
220 Ti原子
222 Ti原子
230 Ca原子又はSr原子
300 誘電体セラミクス
310 チタン酸バリウム
320 コア-シェル構造
330 界面