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特開2024-139246デバイス支持具、医療デバイスおよび処置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139246
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】デバイス支持具、医療デバイスおよび処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050103
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】藤曲 英紀
(72)【発明者】
【氏名】木下 康
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM36
(57)【要約】
【課題】医療デバイスの回転可能な駆動シャフトや、駆動シャフトとともに使用される他の長尺デバイスの損傷を抑制できるデバイス支持具、医療デバイスおよび処置方法を提供する。
【解決手段】先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフト111と、駆動シャフト111と接続する駆動源171を収容する操作部170と、を有する医療デバイス100を支持する、シース200に挿入可能なデバイス支持具10であって、駆動シャフト111と外管120を収容する複数の管体を有し、複数の管体のうち、最も基端側に配置される管体は、当該管体の基端部に操作部170に接続可能な基端接続部30を有し、複数の管体は、少なくとも第1の管体と、第1の管体の内径よりも外径が小さい第2の管体と、を有し、第1の管体と第2の管体が相対的に移動可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフトと、前記駆動シャフトと接続する駆動源を収容する操作部と、を有する医療デバイスを支持する、シースに挿入可能なデバイス支持具であって、
前記駆動シャフトを収容する複数の管体を有し、
前記複数の管体のうち、最も基端側に配置される前記管体は、当該管体の基端部に前記操作部に接続可能な基端接続部を有し、
前記複数の管体は、少なくとも第1の管体と、前記第1の管体の内径よりも外径が小さい第2の管体と、を有し、前記第1の管体と前記第2の管体が相対的に移動可能である、デバイス支持具。
【請求項2】
前記第1の管体は、前記第2の管体に対して同軸的に配置された入れ子状である、請求項1に記載のデバイス支持具。
【請求項3】
先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフトと、前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、前記駆動シャフトと接続する駆動源を収容する操作部と、を有する医療デバイスを支持するデバイス支持具であって、
先端から基端まで長尺に形成され、長尺な方向である軸方向へ伸縮可能な伸縮部と、
前記伸縮部の基端部に配置されて前記外管および/または前記操作部に接続可能な基端接続部と、を有し、
前記伸縮部は、前記軸方向へ貫通する支持孔が形成された少なくとも2つの支持部を有し、
少なくとも2つの前記支持部は、前記軸方向へ並んで配置されるデバイス支持具。
【請求項4】
前記支持部は、先端から基端まで延びるスリットが形成され、前記支持孔を囲む方向である周方向へ前記スリットにより非連続である請求項3に記載のデバイス支持具。
【請求項5】
前記伸縮部は、先端部に前記軸方向へ貫通する先端貫通孔が形成された筒状の先端接続部を有し、前記先端接続部の外周面の少なくとも一部は、軸心が位置する断面において凸状の曲面を形成するように外径が先端へ向かってテーパ状に減少する請求項3または4に記載のデバイス支持具。
【請求項6】
前記複数の管体のうち、最も先端側に配置される管体は、当該管体の先端部に配置されて前記シースに挿入可能な先端接続部と、前記先端接続部よりも基端側に配置されて前記管体の前記シースへの挿入を制限する挿入制限部と、を有する請求項1または2に記載のデバイス支持具。
【請求項7】
前記挿入制限部は、前記複数の管体のうちの最も先端側に配置される前記管体の外周面から径方向の外側へ突出している請求項6に記載のデバイス支持具。
【請求項8】
前記複数の管体のうち、最も先端側に配置される管体に、軸方向において部分的に曲げ剛性の低い柔軟部が形成される請求項1または2に記載のデバイス支持具。
【請求項9】
前記柔軟部は、前記最も先端側に配置される管体の周方向に延在する外周面から内周面へ貫通する開口部である請求項8に記載のデバイス支持具。
【請求項10】
前記デバイス支持具の先端部が前記シースに固定された状態で、前記駆動シャフトと、前記外管と、前記デバイス支持具とが接続された前記操作部を先端側に移動することで、前記シースに固定された前記デバイス支持具の先端部は移動せず、前記駆動シャフトおよび前記外管は先端側に移動可能である請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス支持具。
【請求項11】
先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフトと、前記駆動シャフトと接続可能な駆動源を収容する操作部と、前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、を有する医療デバイスであって、
前記操作部は、前記外管と接続可能な接続部を有する、医療デバイス。
【請求項12】
前記外管は、当該外管の内腔と連通する吸引ポートを有する請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
先端から基端まで長尺に形成され、長尺な方向である軸方向へ伸縮可能な伸縮部と、前記伸縮部の基端部に配置された基端接続部と、を有するデバイス支持具をさらに有し、
前記操作部は、前記デバイス支持具の前記基端接続部と接続可能である、請求項11または12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記操作部、前記外管および前記デバイス支持具が接続された状態において、前記外管の先端と前記デバイス支持具の先端とが相対的に軸方向に移動可能である、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
ワイヤを含むワイヤデバイスをガイディングカテーテルを介して血管の目的の位置へ搬送し、
前記ワイヤが通るルーメンが形成された回転可能な駆動シャフトおよび前記駆動シャフトの先端部に連結された拡張部を前記ガイディングカテーテルを介して血管の目的の位置へ搬送し、
前記駆動シャフトを回転可能に保持しつつ前記駆動シャフトとともに軸方向へ移動可能なハブと、前記ガイディングカテーテルとを、前記駆動シャフトを回転させる駆動源を備えた携帯型の操作部に接続し、
前記駆動シャフト、前記拡張部、前記ガイディングカテーテルおよび前記操作部を前記軸方向へ一体的に移動させて前記拡張部により血管内の物体を破砕する処置方法。
【請求項16】
前記拡張部により血管内の物体を破砕した後に、前記ハブおよび前記ガイディングカテーテルの前記操作部への接続を解除する請求項15に記載の処置方法。
【請求項17】
前記ハブおよび前記ガイディングカテーテルの前記操作部への接続を解除した後に、前記ガイディングカテーテルにより、前記拡張部により破砕された血管内の物体を吸引する請求項16に記載の処置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体管腔に挿入する医療デバイスを支持するために用いられるデバイス支持具、医療デバイスおよび処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体管腔内に血栓、プラークまたは石灰化病変等が生じた場合には、これを速やかに除去する必要がある。例えば特許文献1には、血栓を除去するデバイスが記載されている。このデバイスは、回転力を付与する駆動源が配置されるとともに術者が操作するハブと、駆動源により回転駆動される駆動シャフトと、駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、駆動シャフトの先端に固定されて血栓を削ることが可能な切削部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第2022/0240975号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のデバイスでは、中空の外管の内部を、駆動シャフトが軸方向へ移動可能である(特許文献1の図4Bを参照)。このため、駆動シャフトの先端に固定された切削部が血栓に接触する際に、駆動シャフトが先端側へ移動して外管から露出する長さが増加する。このため、駆動シャフトは、外管に支持されない範囲が増加して曲がりやすくなるため、先端方向への力を伝え難くなり、血栓を削る能力が低下する。
【0005】
このため、駆動シャフトを覆う外管をハブに固定し、駆動シャフトと外管を軸方向へ一体的に移動するようにすることもできる。この場合、切削部が血栓に接触しても、駆動シャフトの切削部に近い先端部分までが外管に常に覆われて支持されているため、駆動シャフトは曲がり難く先端方向へ力を伝えやすい。
【0006】
しかしながら、ハブを移動させる際には、駆動シャフトと外管を同時に軸方向へ移動させることになるため、駆動シャフトや外管が湾曲しやすく、損傷しやすくなる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、医療デバイスの回転可能な駆動シャフトや、駆動シャフトとともに使用される他の長尺デバイスの損傷を抑制できるデバイス支持具、医療デバイスおよび処置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る(1)デバイス支持具は、先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフトと、前記駆動シャフトと接続する駆動源を収容する操作部と、を有する医療デバイスを支持する、シースに挿入可能なデバイス支持具であって、前記駆動シャフトを収容する複数の管体を有し、前記複数の管体のうち、最も基端側に配置される前記管体は、当該管体の基端部に前記操作部に接続可能な基端接続部を有し、前記複数の管体は、少なくとも第1の管体と、前記第1の管体の内径よりも外径が小さい第2の管体と、を有し、前記第1の管体と前記第2の管体が相対的に移動可能である。
【発明の効果】
【0009】
上記(1)に記載のデバイス支持具は、複数の管体が、医療デバイスの駆動シャフトを挿入するシースに対して医療デバイスが軸方向へ移動する間、医療デバイスの回転可能な駆動シャフトの湾曲を抑制して、駆動シャフトの回転を円滑に維持できるとともに、駆動シャフトの損傷を抑制できる。また、シース内に医療デバイスは基端部付近まで挿入する一方で、デバイス支持具はデバイス支持具の先端部分しかシース内に挿入しないよう、複数の管体が相対的に移動可能である。このため、デバイス支持具は、回転可能な駆動シャフトの湾曲を抑制して、駆動シャフトの回転を円滑に維持できるとともに、デバイス支持具がシース内に挿入しすぎてシースが変形することを抑制できる。このため、本デバイス支持具は、駆動シャフトや、シース等の駆動シャフトとともに使用される他の長尺デバイスの損傷を抑制できる。
【0010】
(2) 上記(1)に記載のデバイス支持具において、前記第1の管体は、前記第2の管体に対して同軸的に配置された入れ子状であってもよい。これにより、第1の管体および第2の管体は、軸方向へ伸縮できるとともに、第1の管体および第2の管体の内腔により医療デバイスを覆って、医療デバイスの駆動シャフトの湾曲を効果的に抑制できる。
【0011】
(3)上記目的を達成する本発明に係るデバイス支持具の他の態様は、先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフトと、前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、前記駆動シャフトと接続する駆動源を収容する操作部と、を有する医療デバイスを支持するデバイス支持具であって、先端から基端まで長尺に形成され、長尺な方向である軸方向へ伸縮可能な伸縮部と、前記伸縮部の基端部に配置されて前記外管および/または前記操作部に接続可能な基端接続部と、を有し、前記伸縮部は、前記軸方向へ貫通する支持孔が形成された少なくとも2つの支持部を有し、少なくとも2つの前記支持部は、前記軸方向へ並んで配置される。
【0012】
上記(3)に記載のデバイス支持具は、支持部を有する伸縮部が、医療デバイスの駆動シャフトおよび外管を挿入するシースに対して医療デバイスが軸方向へ移動する間、医療デバイスの回転可能な駆動シャフトおよび駆動シャフトを回転可能に収容する外管の湾曲を抑制して、駆動シャフトの回転を円滑に維持できる。また、シース内に医療デバイスは基端部付近まで挿入する一方で、デバイス支持具はデバイス支持具の先端部分しかシース内に挿入しないよう、デバイス支持具の伸縮部が伸縮可能である。このため、デバイス支持具は、医療デバイスの回転可能な駆動シャフトおよび駆動シャフトを回転可能に収容する外管の湾曲を抑制して、駆動シャフトの回転を円滑に維持できるとともに、デバイス支持具がシース内に挿入しすぎてシースが変形することを抑制できる。このため、本デバイス支持具は、駆動シャフトの損傷や、外管やシース等の駆動シャフトとともに使用される他の長尺デバイスの損傷を、抑制できる。
【0013】
(4) 上記(3)に記載のデバイス支持具において、前記支持部は、先端から基端まで延びるスリットが形成され、前記支持孔を囲む方向である周方向へ前記スリットにより非連続であってもよい。これにより、デバイス支持具は、外管および駆動シャフトを、支持部の軸方向と交差する側方から支持孔に受け入れることができる。このため、シースへ医療デバイスを挿入する前に、予めデバイス支持具を医療デバイスに被せておく必要がなく、作業性を向上できる。したがって、例えば、シースに医療デバイスの駆動シャフトおよび外管を挿入した状態であっても、外管および駆動シャフトを支持孔に収容するように、デバイス支持具を医療デバイスに取り付けることができる。
【0014】
(5) 上記(3)または(4)に記載のデバイス支持具において、前記伸縮部は、先端部に前記軸方向へ貫通する先端貫通孔が形成された筒状の先端接続部を有し、前記先端接続部の外周面の少なくとも一部は、軸心が位置する断面において凸状の曲面を形成するように外径が先端へ向かってテーパ状に減少してもよい。これにより、デバイス支持具の先端接続部をシースの基端開口に挿入して、シースの損傷させることなくデバイス支持具をシースに円滑に接続できる。
【0015】
(6) 上記(1)または(2)に記載のデバイス支持具において、前記複数の管体のうち、最も先端側に配置される管体は、当該管体の先端部に配置されて前記シースに挿入可能な先端接続部と、前記先端接続部よりも基端側に配置されて前記管体の前記シースへの挿入を制限する挿入制限部と、を有してもよい。これにより、最も先端側に配置される管体が、適切な位置よりも先端側に移動することを防止できる。
【0016】
(7) 上記(6)に記載のデバイス支持具において、前記挿入制限部は、前記複数の管体のうち最も先端側に配置される前記管体の外周面から径方向の外側へ突出してもよい。これにより、最も先端側に配置される管体の挿入制限部は、管体が適切な位置よりも先端側に移動することを防止できる。
【0017】
(8) 上記(1)または(2)に記載のデバイス支持具において、前前記複数の管体のうち、最も先端側に配置される管体に、軸方向において部分的に曲げ剛性の低い柔軟部が形成されてもよい。これにより、デバイス支持具は、柔軟部を除く部位が直線的となり、柔軟部のみが必要に応じて湾曲できる。このため、操作部を、シースの基端部から基端方向の延長線上に真っ直ぐに配置することが困難な場合であっても、デバイス支持具の大部分を直線的としつつ、柔軟部のみを湾曲させて、外管および駆動シャフトを必要以上に曲がらないように支持できる。
【0018】
(9) 上記(8)に記載のデバイス支持具において、前記柔軟部は、前記最も先端側に配置される管体の周方向に延在する外周面から内周面へ貫通する開口部であってもよい。これにより、管体に柔軟部を容易に形成できる。
【0019】
(10) 上記(1)~(9)のいずれか1つに記載のデバイス支持具において、前記デバイス支持具の先端部が前記シースに固定された状態で、前記駆動シャフトと、前記外管と、前記デバイス支持具とが接続された前記操作部を先端側に移動することで、前記シースに固定された前記デバイス支持具の先端部は移動せず、前記駆動シャフトおよび前記外管は先端側に移動可能であってもよい。これにより、デバイス支持具は、操作部の移動に伴って移動する駆動シャフトおよび外管の湾曲を抑制して、駆動シャフトの回転を円滑に維持できる。
【0020】
(11) 上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフトと、前記駆動シャフトと接続可能な駆動源を収容する操作部と、前記駆動シャフトを回転可能に収容する外管と、を有する医療デバイスであって、前記操作部は、前記外管と接続可能な接続部を有する。
【0021】
上記(11)に記載の医療デバイスは、操作部に外管を接続可能であるため、駆動シャフトを回転させる際に、外管を操作部に接続して駆動シャフトと外管とを一体的に移動させることができる。このため、回転する駆動シャフトおよび/または駆動シャフトによって回転させられる部材が、外管と干渉して外管が損傷することを抑制できる。
【0022】
(12) 上記(11)に記載の医療デバイスにおいて、前記外管は、当該外管の内腔と連通する吸引ポートを有してもよい。これにより、吸引ポートから受ける吸引力を外管の内腔に作用させて、体内の物体を外管により吸引して除去できる。
【0023】
(13) 上記(11)または(12)に記載の医療デバイスは、先端から基端まで長尺に形成され、長尺な方向である軸方向へ伸縮可能な伸縮部と、前記伸縮部の基端部に配置された基端接続部と、を有するデバイス支持具をさらに有し、前記操作部は、前記デバイス支持具の前記基端接続部を接続可能であってもよい。これにより、前記操作部とともに、デバイス支持具の基端接続部を移動させることができるため、操作性が向上する。
【0024】
(14) 上記(13)に記載の医療デバイスは、前記操作部、前記外管および前記デバイス支持具が接続された状態において、前記外管の先端と前記デバイス支持具の先端とが相対的に軸方向に移動可能であってもよい。これにより、駆動シャフトおよび外管をシース内に挿入する一方で、デバイス支持具はデバイス支持具の先端部分しかシース内に挿入しないように、デバイス支持具の伸縮部を伸縮させることができる。
【0025】
(15) 上記目的を達成する本発明に係る処置方法は、ワイヤを含むワイヤデバイスをガイディングカテーテルを介して血管の目的の位置へ搬送し、前記ワイヤが通るルーメンが形成された回転可能な駆動シャフトおよび前記駆動シャフトの先端部に連結された拡張部を前記ガイディングカテーテルを介して血管の目的の位置へ搬送し、前記駆動シャフトを回転可能に保持しつつ前記駆動シャフトとともに軸方向へ移動可能なハブと、前記ガイディングカテーテルとを、前記駆動シャフトを回転させる駆動源を備えた携帯型の操作部に接続し、前記駆動シャフト、前記拡張部、前記ガイディングカテーテルおよび前記操作部を前記軸方向へ一体的に移動させて前記拡張部により血管内の物体を破砕する。
【0026】
上記(15)に記載の処置方法は、駆動シャフト、拡張部、ガイディングカテーテルおよび操作部を一体的に移動させて拡張部により血管内の物体を破砕するため、回転する駆動シャフトおよび/または拡張部がガイディングカテーテルと干渉して、ガイディングカテーテルが損傷することを抑制できる。
【0027】
(16) 上記(15)に記載の処置方法において、前記拡張部により血管内の物体を破砕した後に、前記ガイディングカテーテルの前記操作部への接続を解除してもよい。これにより、拡張部により血管内の物体を破砕した後に、ガイディングカテーテルを、操作部、ハブ、駆動シャフトおよび拡張部から独立して操作可能である。
【0028】
(17) 上記(16)に記載の処置方法において、前記ハブおよび前記ガイディングカテーテルの前記操作部への接続を解除した後に、前記ガイディングカテーテルにより、前記拡張部によって破砕された血管内の物体を吸引してもよい。これにより、拡張部により血管内の物体を破砕した後に、ガイディングカテーテルを吸引に望ましい位置へ配置できるため、破砕された血管内の物体を効果的に吸引して除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施形態に係るデバイス支持具、医療デバイスおよびイントロデューサシースを示す平面図である。
図2】伸長した状態のデバイス支持具を示す図であり、(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
図3】収縮した状態のデバイス支持具を示す図であり、(A)は平面図、(B)は縦断面図である。
図4】デバイス支持具の変形例を示す平面図であり、(A)は第1変形例、(B)は第2変形例を示す。
図5】デバイス支持具の操作状態を示す平面図であり、(A)は医療デバイスにデバイス支持具を取り付けている途中の状態、(B)は収縮した状態のデバイス支持具を取り付けた医療デバイスをシースに挿入した状態、(C)はデバイス支持具を伸長させてシースハブとハブとの間の外管および駆動シャフトをデバイス支持具により覆った状態、(D)は医療デバイスを先端方向へ移動させてデバイス支持具を収縮させた状態を示す。
図6】シースハブに対してハブおよび操作部を軸方向へ進退移動している状態を示す平面図である。
図7】デバイス支持具の第3変形例を示す縦断面図である。
図8】デバイス支持具の第4変形例を示す横断面図である。
図9】デバイス支持具の第5変形例を示す横断面図であり、(A)は蓋部により支持部のスリットを閉じた状態、(B)は支持部のスリットを開いた状態を示す。
図10】デバイス支持具の第6変形例を示す平面図であり、(A)は伸縮部を収縮させた状態、(B)は伸縮部を伸長させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法比率とは異なる場合がある。
【0031】
本実施形態に係るデバイス支持具10は、血管内に挿入されて血栓、プラークまたは石灰化病変等を破砕する処置を行う医療デバイス100を体外で支持し、医療デバイス100が体外で急峻に曲がって破損することを抑制するために用いられる。本明細書では、デバイス支持具10の血管に向かう側を「先端側」、血管から離れる側を「基端側」と称することとする。また、デバイス支持具10の長尺に延在する方向を軸方向Xと称することとする。また、医療デバイス100、デバイス支持具10および後述するワイヤデバイス300は、1つの医療デバイスを形成する。本明細書において、破砕とは、構造体により物体を壊すことを意味し、構造体の形状、壊す方法、壊す程度、壊す範囲、壊された物体の形状等は限定されない。
【0032】
まず、医療デバイス100について説明する。医療デバイス100は、図1に示すように、シャフト部110と、外管120と、拡張部130と、固定部140と、スライド部150と、ハブ160と、操作部170とを備えている。
【0033】
シャフト部110は、拡張部130へ回転力を伝達する部位である。シャフト部110は、駆動シャフト111とを備えている。
【0034】
駆動シャフト111は、回転力を基端部から先端部へ伝達する長尺な管体である。駆動シャフト111の基端部は、ハブ160を貫通している。駆動シャフト111の基端部は、ハブ160に回転可能に配置される。
【0035】
駆動シャフト111は、血管内を移動できるように、可撓性を有している。さらに、駆動シャフト111は、回転力を基端部から先端部へ伝達できるように、捩じり剛性が高いことが好ましい。駆動シャフト111は、例えば、螺旋状のスリットが形成される金属製の管体である。駆動シャフト111の構成材料は、例えばステンレス鋼などが好適である。
【0036】
固定部140は、拡張部130をシャフト部110に固定するリング状の部材である。固定部140は、駆動シャフト111の先端の外周面に固定される。さらに、固定部140は、拡張部130の先端に固定される。
【0037】
スライド部150は、固定部140よりも基端側で、駆動シャフト111の外周面に軸方向Xへスライド可能に設けられるリング状の部材である。スライド部150は、拡張部130の基端に固定されている。
【0038】
拡張部130は、生体管腔内で拡張して、回転することで血栓等の物体を破砕する部材である。拡張部130は、シャフト部110の先端部に設けられている。拡張部130および駆動シャフト111は、後述するワイヤデバイス300のワイヤ320やガイドワイヤを挿入可能なルーメンを有している。拡張部130は、複数の線材131を備えている。各々の線材131は、3次元的に湾曲している。各線材131の先端は、固定部140に固定されている。各線材131の基端は、スライド部150に固定されている。固定部140およびスライド部150に対する各線材131の固定位置は、周方向に並んでいる。また、各線材131の湾曲する略中央部は、シャフト部110から径方向の外側に離れた位置で、周方向に並んでいる。これにより、拡張部130は、全体としては周方向に均一な膨らみを有している。拡張部130は、外力が作用しない自然状態において、径方向へ拡張した状態となる。シャフト部110が回転すると、それに伴い拡張部130も回転し、血管内の血栓を破砕したり、あるいは破砕した血栓を撹拌したりすることができる。拡張部130は、軸方向Xの両端が離れるように力を受けることで、径方向へ収縮した状態となる。または、拡張部130は、径方向の外側から内側へ向かう力を受けることで、径方向へ収縮した状態となる。
【0039】
線材131は、弾性的に大きく変形できるように、形状記憶性を有した材料で構成されることが望ましい。線材131の構成材料は、例えば、熱処理により形状記憶効果や超弾性が付与される形状記憶合金、ステンレス鋼、などが好適である。形状記憶合金としては、Ni-Ti系、Cu-Al-Ni系、Cu-Zn-Al系またはこれらの組み合わせなどが好適である。
【0040】
外管120は、医療デバイス100やワイヤデバイス300を収容して目的の位置までガイドするために使用されるガイディング機能を備えたカテーテル(ガイディングカテーテル)である。外管120は、汎用のガイディングカテーテルであってもよい。外管120は、駆動シャフト111を回転可能に収容する管状の外管本体121と、外管本体121の基端部に連結された外管ハブ122とを有している。外管本体121は、血管内を移動できるように、可撓性を有している。外管ハブ122は、操作部170に接続可能であるとともに、操作部170から離脱可能である。外管ハブ122は、ハブ160に接続可能であってもよい。外管120は、基端側から吸引力を付与されてもよい。この場合、外管本体121の内腔は、外管ハブ122に設けられる吸引ポート123に連通する。吸引ポート123は、吸引力を発生させるシリンジやポンプ等を接続可能である。これにより、外管120は、先端側の開口から外管120と駆動シャフト111との間の隙間を介して、拡張部130により破砕した血栓を吸引し、吸引ポート123を介して外部へ放出できる。外管ハブ122が操作部170に接続された状態において、外管本体121の先端は、拡張部130よりも基端側に位置する。外管ハブ122が操作部170から離脱した状態において、外管120は駆動シャフト11に対して先端方向へ移動して、外管本体121により拡張部130を収縮させて収容可能である。
【0041】
ハブ160は、術者が把持して操作する部材である。ハブ160は、ハウジング161と、駆動シャフト111に固定される第1ギヤ162とを備えている。ハブ160は、駆動シャフト111の基端部を回転可能に保持し、駆動シャフト111とともに軸方向Xへ移動可能である。
【0042】
ハウジング161は、シャフト部110に貫通され、かつ外管120の基端が固定される。第1ギヤ162は、一部がハウジング161の内部に配置され、一部が、ハウジング161から外部へ露出している。
【0043】
操作部170は、シャフト部110を回転駆動する部位である。操作部170は、術者(使用者)が持ち上げて操作可能な携帯型(ポータブル)である。操作部170は、モーター等の駆動源171と、駆動源171により回転する第2ギヤ172と、ハブ160を接続可能な第1接続部173と、外管ハブ122を接続可能な第2接続部174とを備えている。第1接続部173は、ハブ160の形状に適合する凹部を有する。このため、第1接続部173に篏合して接続されたハブ160は、操作部170に対する軸方向Xへの移動を制限される。第2接続部174は、外管ハブ122の形状に適合する凹部を有する。このため、第2接続部174に篏合して接続された外管ハブ122は、操作部170に対する軸方向Xへの移動を制限される。第1接続部173がハブ160に接続されると、第2ギヤ172が第1ギヤ162と噛み合う。これにより、駆動源171を回転させることで、シャフト部110を回転させることができる。駆動源171は、回転方向へ往復動可能である。なお、駆動源171は、往復動するものに限られず、一方向に回転してもよい。操作部170は、デバイス支持具10の基端部(例えば、後述する基端接続部30)が篏合するような第3接続部175を有してもよい。第3接続部175は、基端接続部30の形状に適合する凹部を有する。このため、第3接続部175に篏合して接続された基端接続部30は、操作部170に対する軸方向Xへの移動を制限される。
【0044】
医療デバイス100は、シース200を通って血管内に導入される。シース200は、例えば、経皮的に血管へ挿入して血管へのアクセス経路を形成するイントロデューサシースであり、止血弁を備えている。イントロデューサシースであるシース200は、公知の構造を備えており、長尺な管体であるシースチューブ201と、シースチューブ201の基端部に固定されたシースハブ202と、シースハブ202内に配置される弁体203と、シースハブ202の内腔に連通するサイドポート204とを有する。また、医療デバイス100を挿入するシースは、ガイディングカテーテルであってもよい。
【0045】
次に、ワイヤデバイス300について説明する。ワイヤデバイス300は、長尺なワイヤ320を有するデバイスである。本実施形態では、血管に留置されるフィルタとしての留置部310と、留置部310から体外まで延びるワイヤ320とを備えている。ワイヤ320は、生体管腔に留置された留置部310を回収可能とするとともに、他のデバイス(例えば処置デバイス100)を目的の位置まで導くガイドワイヤとしての機能も有している。ワイヤデバイス300は、例えばガイドワイヤのように、ワイヤのみによって構成されてもよい。
【0046】
留置部310は、処置デバイス100により破砕されて血液とともに流れる血栓等の物体を捕集するフィルタである。留置部310は、筒体を構成するように網状に編組される柔軟に変形可能な複数の線状体311と、先端側連結部312と、ワイヤ320に連結される基端側連結部313とを備えている。なお、留置部310は、生体管腔内に留置可能であればフィルタに限定されず、例えばバルーンやステント状の部材であってもよい。
【0047】
先端側連結部312は、複数の線状体311の先端を固定している。基端側連結部313は、複数の線状体311の基端およびワイヤ320の先端を固定している。
【0048】
留置部310は、外力が作用しない自然状態において、線状体311の自己の弾性力(復元力)により、軸方向に折り返された折り返し状態となる。留置部310が折り返し状態となる際には、基端側連結部313と先端側連結部312が近づく。折り返し状態において、留置部310は、基端側に開く凹形状となることで、血栓等を捕集する空間を形成する。
【0049】
留置部310は、外管120に収容されることで、弾性的に変形して外径が小さい収縮状態となる。なお、留置部の形態は、特に限定されない。
【0050】
次に、本実施形態に係るデバイス支持具10について説明する。
【0051】
デバイス支持具10は、図2および3に示すように、先端から基端まで長尺に延びて軸方向Xへ伸縮可能な伸縮部20と、伸縮部20の基端部に配置されて外管120または操作部170に接続可能な基端接続部30とを有する。
【0052】
伸縮部20は、軸方向Xへ貫通する支持孔28が形成された複数の支持部21を有する。複数の支持部21は、本実施形態では、第1支持部40(第1の管体)、第2支持部50(第2の管体)および第3支持部60(第3の管体)である。なお、本実施形態では、支持部21の数は3つであるが、2つであってもよく、または4つ以上であってもよい。第1支持部40は、基端接続部30に連結される管状の部材である。第1支持部40は、一定の内径で形成される第1支持孔41と、第1支持孔41の先端側に配置されて径方向の内側へ突出する第1規制部42とが形成される。第1規制部42は、第1支持部40に対する第2支持部50の先端方向への所定長さを超える移動を規制して、第1支持部40から第2支持部50が脱落することを防止する。
【0053】
第2支持部50は、第1支持部40の内部に第1支持部40の内周面に対して摺動可能な外周面を有する管状の部材である。第2支持部50は、一定の内径で形成される第2支持孔51と、第2支持孔51の先端側に配置されて径方向の内側へ突出する第2規制部52と、外周面の基端側に配置されて径方向の外側へ突出する第2凸部53とが形成される。第2支持部50が第1支持部40に対して先端方向へ移動すると、第2凸部53が第1支持部40の第1規制部42に当接し、第2支持部50の先端方向への移動が規制される。第2規制部52は、第2支持部50に対する第3支持部60の先端方向への所定長さを超える移動を規制して、第2支持部50から第3支持部60が脱落することを防止する。
【0054】
第3支持部60は、第2支持部50の内部に第2支持部50の内周面に対して摺動可能な外周面を有する管状の部材である。第3支持部60は、一定の内径で形成される第3支持孔61と、外周面の基端側に配置されて径方向の外側へ突出する第3凸部63とが形成される。第3支持部60が第2支持部50に対して先端方向へ移動すると、第3凸部63が第2支持部50の第2規制部52に当接し、第3支持部60の先端方向への移動が規制される。また、最も先端側の支持部21である第3支持部60は、最先端に配置される先端接続部64と、先端接続部64の基端側に配置される柔軟部65と、先端接続部64よりも基端側であって柔軟部65よりも先端側に配置される挿入制限部68とを有する。
【0055】
先端接続部64は、軸方向Xへ貫通する先端貫通孔66が形成された筒状の部位である。先端接続部64の外周面は、テーパ状に形成される。先端接続部64の外周面のうちの少なくとも一部(例えば先端部)は、軸心が位置する断面において凸状の曲面を形成するように外径が先端へ向かってテーパ状に減少する。このため、先端接続部64は、シース200のシースハブ202および弁体203へ円滑に挿入可能であり、シースハブ202および弁体203の損傷を抑制できる。先端接続部64が弁体203に挿入された状態の先端接続部64と弁体203との間の摩擦抵抗は、第1支持部40と第2支持部50との間の摩擦抵抗よりも大きく、かつ第2支持部50と第3支持部60との間の摩擦抵抗よりも大きい。
【0056】
柔軟部65は、第3支持部60の軸方向Xにおいて部分的に曲げ剛性の低い部位である。柔軟部65は、先端接続部64よりも基端側であって、第2支持部50に収容可能な範囲よりも先端側に形成される。柔軟部65の構造は、特に限定されないが、例えば、第3支持部60の周方向へ長く形成される複数の開口部67を有して形成される。開口部67は、第2支持部60の外周面から内周面へ貫通している。第3支持部60の周方向へ少なくとも1つの開口部67が並び、かつ第3支持部60の軸方向Xへ少なくとも1つの開口部67が並んでいる。複数の開口部67が、周方向に均等に並ぶ場合、柔軟部65は、略全ての方向へ曲がりやすくなる。また、図4(A)に示す第1変形例のように、第3支持部60の周方向の一部にのみ開口部67が配置される場合には、柔軟部65は、所定の方向のみに曲がりやすくなる。この構造は、第3支持部60の曲がる方向が決まっており、他の方向へは曲がらない方が望ましい場合に有効である。
【0057】
また、柔軟部65の開口部67は、図4(B)に示す第2変形例のように、螺旋状であってもよい。
【0058】
挿入制限部68は、第3支持部60の先端部が、シース200のシースハブ202や弁体203に入り込む先端接続部64の位置が、医療デバイス100の先端方向への移動によって、適切な位置よりも先端側に移動してしまうことを抑制する部材である。挿入制限部68は、第3支持部60の外周面から径方向の外側へ突出して形成される。挿入制限部68は、例えば第3支持部60の外周面に360度にわたって形成されるリング形状の突出部であるが、360度未満の突出部であってもよい。挿入制限部68は、シース200の弁体203または弁体203を保持している蓋の基端側の外表面205と当接することで、先端接続部64の位置が、適切な位置よりも先端側に移動することを防止する。または、挿入制限部68は、突出した形状ではなく、第3支持部60の外周面に摩擦係数が高くなるようにブラスト加工等が施された領域であってもよい。
【0059】
基端接続部30は、図2および3に示すように、第1支持部40の基端が固定された筒状の部材であり、第1支持孔41と連通するように軸方向Xへ貫通する基端貫通孔31が形成される。基端接続部30の基端貫通孔31には、第2支持部50の基端および第3支持部60の基端が突き当たる当接部32が形成される。当接部32は、第2支持部50および第3支持部60が基端接続部30よりも基端側へ移動することを防止する。また、基端接続部30は、外管ハブ122の接続用凸部124に着脱可能に接続できる接続用凹部33が形成される。なお、基端接続部30と外管ハブ122との接続構造は、着脱可能に接続できれば特に限定されない。本実施形態において、基端接続部130は、外管ハブ122の先端部に接続されるが、軸方向Xにおいて外管ハブ122と略同じ位置となるように接続されてもよい。また、基端接続部30は、外管ハブ122の近傍の外管本体121に接続されてもよい。また、基端接続部30は、操作部170の第3接続部175に接続されてもよい。
【0060】
支持部21(第1支持部40、第2支持部50および第3支持部60)は、医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120の曲がりを抑制できるように、高い剛性を有する材料により形成されることが好ましく、例えばステンレス等の金属や、エンジニアリング・プラスチックに分類されるような剛性の高い樹脂により形成される。特に、支持部21は、金属製であることで、高い剛性を有しつつ薄く形成することができるため、好ましい。支持部21の材料は、支持する対象である外管120よりも剛性(ヤング率)の高い材料により形成されることが好ましい。
【0061】
基端接続部30は、ある程度の剛性を有する材料により形成されることが好ましく、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂により形成される。
【0062】
次に、実施形態に係るデバイス支持具10の作用を、医療デバイス100に適用する場合を例として説明する。
【0063】
まず、図3に示すように、軸方向Xへ収縮した状態のデバイス支持具10を準備する。収縮状態のデバイス支持具10において、第2支持部50の基端および第3支持部60の基端は、基端接続部30の当接部32に当接している。このとき、軸方向Xにおいて、第2支持部50の先端の位置は、第1支持部40の先端の位置と略一致する。また、第3支持部60の先端の位置は、第1支持部40の先端の位置および第2支持部50の先端の位置よりも先端側に位置する。さらに、軸方向Xにおいて、第3支持部60の先端接続部64および柔軟部65の位置は、第1支持部40の先端の位置および第2支持部50の先端の位置よりも先端側に位置する。
【0064】
次に、術者は、図3(B)および図5(A)に示すように、医療デバイス100の外管120をデバイス支持具10の基端接続部30の基端貫通孔31に挿入し、外管120を、デバイス支持具10の基端貫通孔31、第3支持孔61および先端貫通孔66に通す。
【0065】
次に、術者は、図5(B)に示すように、デバイス支持具10の基端接続部30の接続用凹部33を、医療デバイス100の外管ハブ122の接続用凸部124に係合させる。これにより、デバイス支持具10の基端接続部30は、医療デバイス100の外管120に接続される。
【0066】
次に、術者は、外管120によりワイヤデバイス300を血管内の目的の位置へ搬送する。術者は、血管に挿入されたシース200のシースハブ202の基端開口に、留置部310を収縮させて外管120に収容したワイヤデバイス300を、経皮的に静脈に挿入する。次に、術者は、血栓等の病変を超えた位置(病変よりも下流側の位置)で、留置部310を外管120から放出する。留置部310は、外管120から放出されると、自己の拡張力により血管壁に対して押圧力を生じさせるように拡張して、血管壁に留置される。
【0067】
次に、術者は、外管120により医療デバイス100を血管内の目的の位置へ搬送する。術者は、拡張部130を収縮させて外管本体121に収容した医療デバイス100を、留置部310から体外まで延びるワイヤ320に沿って血管に挿入し、病変部の付近まで到達させる。ワイヤ320は、医療デバイス100のルーメンを摺動する。次に、術者は、外管本体121を駆動シャフト111に対して基端側へ移動させて、駆動シャフト111の先端部に固定されている拡張部130を外管本体121から放出する。拡張部130は、外管本体121から放出されると、自己の弾性力により元の形状に復元する。
【0068】
次に、術者は、ハブ160を操作部170の第1接続部173に接続するとともに、外管ハブ122を第2接続部174に接続する。医療デバイス100を操作部170の第1接続部173に接続すると、操作部170の第2ギヤ172が、医療デバイス100の第1ギヤ162に噛み合う。これにより、駆動源171を回転させることで、駆動シャフト111を回転させることができる。駆動源171は、回転方向へ往復動可能である。なお、駆動源171は、往復動するものに限られず、一方向に回転してもよい。次に、術者は、図5(C)に示すように、デバイス支持具10の第3支持部60を把持して、基端接続部30に対して先端方向へ移動させる。デバイス支持具10は、第3支持部60と第2支持部50との間の摩擦抵抗が、第2支持部50と第1支持部40との間の摩擦抵抗よりも大きいため、第2支持部50が、第1支持部40に対して先端方向へ引き出される。図2(B)に示すように、第2支持部50の第2凸部53が第1支持部40の第1規制部42に突き当たると、第2支持部50は、第1支持部40に対するこれ以上の先端方向への移動を防止される。第2支持部50が第1支持部40に対して先端方向へ移動する際には、第3支持部60は、第2支持部50とともに先端方向へ移動する。
【0069】
第2支持部50の第2凸部53が第1支持部40の第1規制部42に突き当たった後に、術者は、さらに第3支持部60を基端接続部30に対して先端方向へ移動させる。このとき、第2支持部50は、これ以上の先端方向への移動を防止されているため、第3支持部60が、第2支持部50に対して先端方向へ引き出される。このように、複数の支持部21は、伸張させる長さに応じて適宜移動する。これにより、デバイス支持具10は、所望の長さまで伸張することができる。
【0070】
術者は、図5(C)に示すように、先端接続部64がシースハブ202の弁体203に挿入されるまで、デバイス支持具10を伸長させる。先端接続部64の外周面は、テーパ状であるため、弁体203に対して滑らかに挿入されて、弁体203の損傷を抑制できる。先端接続部64がシースハブ202の弁体203まで挿入されることで、デバイス伸縮部20の先端部は、シースハブ202に対して平行となりやすい。
【0071】
先端接続部64がシースハブ202の基端開口に入り込むと、シース200の基端よりも基端側に露出していた医療デバイス100の長尺な外管120が、デバイス支持具10により覆われて支持される。
【0072】
デバイス支持具10は、基端側の支持部21同士の摩擦抵抗ほど、先端側の支持部21同士の摩擦抵抗よりも小さいため、図5(D)に示すように、摺動可能な最も基端側の支持部21同士が先に摺動し、その支持部21同士がそれ以上摺動できない場合に、摺動可能な最も基端側の他の支持部21同士が摺動する。このため、デバイス支持具10が伸縮する際に、最も先端側の支持部21同士(本実施形態では、第3支持部60および第2支持部50)が、最後に摺動する。したがって、最も先端側の支持部21である第3支持部60に配置される先端接続部64および柔軟部65が、基端側の第2支持部50や第1支持部40の内部に収容されることを防止できる。
【0073】
デバイス支持具10は、柔軟部65を除き曲げ剛性が高く曲がり難い。このため、シースハブ202と外管ハブ122の間のデバイス支持具10は、柔軟部65を除く部位が直線的となり、柔軟部65のみが必要に応じて湾曲する。このため、ハブ160および操作部170を、シース200の基端部から基端方向の延長線上に真っ直ぐに配置することが困難であっても、デバイス支持具10の大部分を直線的としつつ、柔軟部65のみを湾曲させて、デバイス支持具10により外管120および駆動シャフト111をできるだけ曲がらないように支持できる。特に、血管から体外へ導出されているシース200の基端部は、皮膚に対して傾斜して導出されるため、シース200の基端部から基端方向の延長線上に外管ハブ122、ハブ160および操作部170を配置すると、外管ハブ122、ハブ160および操作部170の位置が手術台から高くなりやすい。したがって、デバイス支持具10に柔軟部65が設けられることで、外管ハブ122、ハブ160および操作部170を、手術台等の手技を行いやすい適切な位置に配置できる。
【0074】
次に、図6に示すように、術者が駆動源171を作動させると、駆動源171により回転する第2ギヤ172に噛み合っている第1ギヤ162が回転し、駆動シャフト111および拡張部130が回転する。駆動源171は、回転方向へ往復動可能である。なお、駆動源171は、往復動するものに限られず、一方向に回転してもよい。
【0075】
術者は、外管ハブ122、ハブ160および操作部170を、シースハブ202に対して先端方向および基端方向へ交互に移動させて、外管120および駆動シャフト111の押し込み量を変化させることで、回転する拡張部130を血管内で先端方向および基端方向へ交互に移動させることができる。これにより、拡張部130は、血栓を効果的に切削できる。このとき、外管ハブ122、ハブ160および操作部170が、軸方向Xへ一体的に移動することにより、外管120と駆動シャフト111は、軸方向Xへ一体的に移動するため、外管120の先端開口から先端側へ露出する駆動シャフト111の長さは変化しない。このため、拡張部130が血栓に接触しても、駆動シャフト111は、外管120に支持されない範囲が変化せずに曲がり難いため、先端方向への力を伝え難くなり、血栓を削る能力の低下を抑制できる。また、拡張部130と、外管本体121の先端開口との位置は変化しないため、回転する拡張部130と外管本体121が干渉せず(接触せず)、外管本体121の損傷を抑制できる。切削された血栓は、血液とともに流れて、フィルタである留置部310に濾し取られるように捕集される。
【0076】
術者が、拡張部130を軸方向Xへ交互に進退移動させるために、外管ハブ122、ハブ160および操作部170をシースハブ202に対して先端方向および基端方向へ交互に移動させると、シースハブ202と外管ハブ122との間の距離が変化する。シースハブ202と外管ハブ122との間の外管本体121および駆動シャフト111は、細いために曲がりやすいが、シースハブ202と外管ハブ122との間の距離が変化するため、一定の長さの剛性の高い金属管等を事前に被せておくことは困難である。仮に、一定の長さの剛性の高い金属管を、シースハブ202と外管ハブ122との間の外管本体121および駆動シャフト111に被せると、金属管が邪魔となり、外管本体121および駆動シャフト111をシース200に対して先端方向へ押し込むことが困難となる。しかしながら、本実施形態では、シースハブ202と外管ハブ122との間の外管本体121および駆動シャフト111を、曲がり難く軸方向Xに伸縮可能なデバイス支持具10が支持している。曲がり難いデバイス支持具10は、シースハブ202と外管ハブ122との間の外管本体121および駆動シャフト111が曲がることを抑制できる。このため、術者が操作部170、外管ハブ122またはハブ160を操作して先端方向および基端方向へ移動させる際に、シースハブ202と外管ハブ122との間の外管本体121および駆動シャフト111の曲がりを抑制しつつ、外管本体121および駆動シャフト111を軸方向Xへ移動させることができる。このため、デバイス支持具10は、駆動シャフト111の回転を円滑に維持できるとともに、外管本体121および駆動シャフト111の損傷を抑制できる。
【0077】
また、先端接続部64が弁体203に挿入された状態の先端接続部64と弁体203との間の摩擦抵抗は、第1支持部40と第2支持部50との間の摩擦抵抗よりも大きく、かつ第2支持部50と第3支持部60との間の摩擦抵抗よりも大きい。このため、ハブ160および操作部170をシースハブ202に対して先端方向および基端方向へ交互に移動させると、先端接続部64が弁体203から引き抜かれることなく弁体203とともに移動するため、デバイス支持具10は追従して自動的に伸縮することができる。
【0078】
術者は、血栓を拡張部130で破砕した後に、駆動源171を停止し、シャフト部110の回転を停止する。次に、術者は、ハブ160を操作部170の第1接続部173から取り外すとともに、外管ハブ122を第2接続部174から取り外す。次に、術者は、ハブ160を外管ハブ122に対して相対的に基端側へ移動させて、拡張部130を外管本体121に収容して収縮させる。この後、術者は、外管120に対して医療デバイス100を基端側へ移動させて、医療デバイス100を外管120から抜去する。次に、術者は、デバイス支持具10の先端接続部64をシースハブ202から引き抜き、デバイス支持具10を軸方向Xへ収縮させる。なお、術者は、デバイス支持具10の先端接続部64をシースハブ202に接続した状態を維持してもよい。
【0079】
次に、術者は外管本体121の先端を、留置部310の血栓を捕集している位置の近くに配置する。このとき、外管120の吸引ポート123にシリンジ等を接続し、吸引力を作用させる。これにより、外管本体121の先端の開口から、留置部310に捕集された血栓を吸引して除去できる。このとき、外管120は、操作部170から取り外されて独立して移動できるため、血栓の吸引に望ましい位置へ配置できる。このため、外管120は、破砕された血管内の血栓を効果的に吸引して除去できる。
【0080】
術者は、外管120による血栓の吸引を完了した後に、ワイヤ320を基端方向へ牽引しつつ外管120を先端方向へ押し込み、留置部310を収縮させつつ外管本体121に収容する。この後、術者は、外管120、デバイス支持具10およびワイヤデバイス300をイントロデューサシース200から抜去し、さらにイントロデューサシース200を血管から抜去する。このとき、デバイス支持具10は、軸方向Xへ伸張した状態であっても、収縮させた状態であってもよい。
【0081】
以上のように、本実施形態に係るデバイス支持具10は、先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフト111と、駆動シャフト111と接続する駆動源171を収容する操作部170と、を有する医療デバイス100を支持する、シース200に挿入可能なデバイス支持具10であって、駆動シャフト111を収容する複数の管体を有し、複数の管体のうち、最も基端側に配置される管体は、当該管体の基端部に操作部170に接続可能な基端接続部30を有し、複数の管体は、少なくとも第1の管体(第1支持部40)と、第1の管体の内径よりも外径が小さい第2の管体(第2支持部50)と、を有し、第1の管体と第2の管体が相対的に移動可能である。これにより、デバイス支持具10は、複数の管体が、医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120を挿入するシース200に対して医療デバイス100が軸方向Xへ移動する間、医療デバイス100の回転可能な駆動シャフト111の湾曲を抑制して、駆動シャフト111の回転を円滑に維持できるとともに、駆動シャフト111の損傷を抑制できる。また、シース200内に医療デバイス100は基端部付近まで挿入する一方で、デバイス支持具10はデバイス支持具10の先端部分しかシース200内に挿入しないよう、複数の管体が相対的に移動可能である。このため、デバイス支持具10は、医療デバイス100の回転可能な駆動シャフト111の湾曲を抑制して、駆動シャフト111の回転を円滑に維持できるとともに、デバイス支持具10がシース200内に挿入しすぎてシース200が変形することを抑制できる。このため、本デバイス支持具10は、駆動シャフト111や、シース200等の駆動シャフト111とともに使用される他の長尺デバイスの損傷を、抑制できる。
【0082】
第1の管体(第1支持部40)は、第2の管体(第2支持部50)に対して同軸的に配置された入れ子状である。これにより、第1の管体および第2の管体は、軸方向へ伸縮できるとともに、第1の管体および第2の管体の内腔により医療デバイス100を覆って、医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120の湾曲を効果的に抑制できる。
【0083】
また、本実施形態に係るデバイス支持具10は、先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフト111と、ハブ160から先端方向へ延びて駆動シャフト111を回転可能に収容する外管120と、駆動シャフト111と接続する駆動源171を収容する操作部170と、を有する医療デバイス100を支持するデバイス支持具10であって、先端から基端まで長尺に形成され、長尺な方向である軸方向Xへ伸縮可能な伸縮部20と、伸縮部20の基端部に配置されて外管120および/または操作部170に接続可能な基端接続部30と、を有し、伸縮部20は、軸方向Xへ貫通する支持孔28が形成された少なくとも2つの支持部21を有し、少なくとも2つの支持部21は、軸方向Xへ並んで配置される。これにより、デバイス支持具10は、支持部21を有する伸縮部20が、医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120を挿入するシース200に対して医療デバイス100が軸方向Xへ移動する間、医療デバイス100の回転可能な駆動シャフト111および駆動シャフト111を回転可能に収容する外管120の湾曲を抑制して、駆動シャフト111の回転を円滑に維持できる。また、シース200内に医療デバイス100は基端部付近まで挿入する一方で、デバイス支持具10はデバイス支持具10の先端部分しかシース200内に挿入しないよう、デバイス支持具10の伸縮部20が伸縮可能である。このため、デバイス支持具10は、医療デバイス100の回転可能な駆動シャフト111および駆動シャフト111を回転可能に収容する外管120の湾曲を抑制して、駆動シャフト111の回転を円滑に維持できるとともに、デバイス支持具10がシース200内に挿入しすぎてシース200が変形することを抑制できる。このため、本デバイス支持具10は、駆動シャフト111の損傷や、シース200や外管120等の駆動シャフト111とともに使用される他の長尺デバイスの損傷を、抑制できる。
【0084】
少なくとも2つの支持部21は、同軸的に配置された入れ子状の複数の管体であり、支持孔28は、管体の内腔に形成される。これにより、支持部21は、軸方向Xへ伸縮できるとともに、内腔の支持孔28により医療デバイス100を確実に覆って、医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120の湾曲を効果的に抑制できる。
【0085】
伸縮部20は、先端部に軸方向Xへ貫通する先端貫通孔66が形成された筒状の先端接続部64を有し、先端接続部64の外周面は、軸心が位置する断面において凸状の曲面を形成するように外径が先端へ向かってテーパ状に減少する。これにより、デバイス支持具10の先端接続部64をシース200の基端開口に挿入して、シース200の損傷させることなくデバイス支持具10をシース200に円滑に接続できる。
【0086】
複数の管体のうち、最も先端側に配置される管体(第3支持部60)は、当該管体の先端部に配置されてシース200に挿入可能な先端接続部64と、先端接続部64よりも基端側に配置されて管体のシース200への挿入を制限する挿入制限部68と、を有してもよい。これにより、最も先端側に配置される管体が、適切な位置よりも先端側に移動することを防止できる。
【0087】
挿入制限部68は、複数の管体のうち最も先端側に配置される管体の外周面から径方向の外側へ突出してもよい。これにより、最も先端側に配置される管体の挿入制限部68は、管体が適切な位置よりも先端側に移動することを防止できる。
【0088】
伸縮部20は、軸方向Xにおいて部分的に曲げ剛性の低い柔軟部65が形成されてもよい。これにより、デバイス支持具10は、柔軟部65を除く部位が直線的となり、柔軟部65のみが必要に応じて湾曲できる。このため、操作部170を、シース200の基端部から基端方向の延長線上に真っ直ぐに配置することが困難な場合であっても、デバイス支持具10の大部分を直線的としつつ、柔軟部65のみを湾曲させて、外管120および駆動シャフト111を必要以上に曲がらないように支持できる。
【0089】
複数の管体のうち、最も先端側に配置される管体(第3支持部60)に、軸方向Xにおいて部分的に曲げ剛性の低い柔軟部65が形成される。これにより、デバイス支持具10は、柔軟部65を除く部位が直線的となり、柔軟部65のみが必要に応じて湾曲できる。このため、操作部170を、シース200の基端部から基端方向の延長線上に真っ直ぐに配置することが困難な場合であっても、デバイス支持具10の大部分を直線的としつつ、柔軟部65のみを湾曲させて、外管120および駆動シャフト111を必要以上に曲がらないように支持できる。
【0090】
柔軟部65は、最も先端側に配置される管体(第3支持部60)の周方向に延在する外周面から内周面へ貫通する開口部67であってもよい。これにより、管体に柔軟部67を容易に形成できる。
【0091】
デバイス支持具10の先端部がシース200に固定された状態で、駆動シャフト111と、外管120と、デバイス支持具10とが接続された操作部170を先端側に移動することで、シース200に固定されたデバイス支持具10の先端部は移動せず、駆動シャフト111および外管120は先端側に移動してもよい。これにより、デバイス支持具10は、操作部170の移動に伴って移動する駆動シャフト111および外管120の湾曲を抑制して、駆動シャフト111の回転を円滑に維持できる。
【0092】
また、本実施形態における医療デバイス100は、先端から基端へ延びる回転可能な駆動シャフト111と、駆動シャフト111と接続可能な駆動源171を収容する操作部170と、駆動シャフト111を回転可能に収容する外管120と、を有する医療デバイス100であって、操作部170は、外管120と接続可能な第3接続部175(接続部)を有する。これにより、医療デバイス100は、操作部170に外管120を接続可能であるため、駆動シャフト111を回転させる際に、外管120を操作部170に接続して駆動シャフト111と外管120とを一体的に移動させることができる。このため、回転する駆動シャフト111および/または駆動シャフト111によって回転させられる拡張部130が、外管120と干渉(例えば、拡張部130と外管120の先端との接触)して外管120が損傷することを抑制できる。
【0093】
外管120は、当該外管120の内腔と連通する吸引ポート123を有する。これにより、吸引ポート123から受ける吸引力を外管120の内腔に作用させて、体内の物体を外管120により吸引して除去できる。
【0094】
医療デバイスは、先端から基端まで長尺に形成され、長尺な方向である軸方向へ伸縮可能な伸縮部20と、伸縮部20の基端部に配置された基端接続部30と、を有するデバイス支持具10をさらに有し、操作部170は、デバイス支持具10の基端接続部30を接続可能である。これにより、操作部170とともに、デバイス支持具10の基端接続部30を移動させることができるため、操作性が向上する。
【0095】
操作部170、外管120およびデバイス支持具10が接続された状態において、外管120の先端とデバイス支持具10の先端とが相対的に軸方向Xに移動可能である。これにより、駆動シャフト111および外管120をシース200内に挿入する一方で、デバイス支持具10はデバイス支持具10の先端部分しかシース200内に挿入しないように、デバイス支持具10の伸縮部20を伸縮させることができる。
【0096】
デバイス支持具10の伸縮部20は、軸方向Xへ貫通する支持孔28が形成された少なくとも2つの支持部21を有し、少なくとも2つの支持部21は、軸方向Xへ並んで配置される。これにより、伸縮部20は、伸縮可能でありつつ、長尺な駆動シャフト111および外管120を支持孔28に収容して確実に支持することができる。
【0097】
また、本実施形態における処置方法は、使用者(術者)がワイヤ320を含むワイヤデバイス300をガイディングカテーテル(外管120)を介して血管の目的の位置へ搬送する。次に、使用者がワイヤ320が通るルーメンが形成された回転可能な駆動シャフト111および駆動シャフト111の先端部に連結された拡張部130をガイディングカテーテルを介して血管の目的の位置へ搬送する。その後、使用者が駆動シャフト111を回転可能に保持しつつ、駆動シャフト111とともに軸方向Xへ移動可能なハブ160と、ガイディングカテーテルとを、駆動シャフト111を回転させる駆動源171を備えた携帯型の操作部171にそれぞれ接続し、駆動シャフト111、拡張部130、ガイディングカテーテルおよび操作部171を軸方向Xへ一体的に移動させて拡張部130により血管内の物体を破砕する。これにより、本処置方法は、駆動シャフト111、拡張部130、ガイディングカテーテルおよび操作部171を一体的に移動させて拡張部130により血管内の物体を破砕するため、回転する駆動シャフト111および/または拡張部130がガイディングカテーテルと干渉して、ガイディングカテーテルが損傷することを抑制できる。なお、ワイヤデバイス300は、留置部310を有しても、留置部310を有さなくてもよい。ワイヤデバイス300は、例えばガイドワイヤのようにワイヤのみによって形成されてもよい。
【0098】
上記の処置方法において、拡張部130により血管内の物体を破砕した後に、ガイディングカテーテル(外管120)の操作部171への接続を解除してもよい。これにより、拡張部130により血管内の物体を破砕した後に、ガイディングカテーテルを、操作部171、ハブ160、駆動シャフト111および拡張部130から独立して操作可能である。
【0099】
上記の処置方法において、ハブ160およびガイディングカテーテル(外管120)の操作部171への接続を解除した後に、ガイディングカテーテルにより、拡張部130によって破砕された血管内の物体を吸引してもよい。これにより、拡張部130により血管内の物体を破砕した後に、ガイディングカテーテルを吸引に望ましい位置へ配置できるため、破砕された血管内の物体を効果的に吸引して除去できる。このとき、使用者はガイディングカテーテルから駆動シャフト111を抜去した後、使用者が血栓を吸引する。使用者はガイディングカテーテルから駆動シャフト111を抜去せずに、血栓を吸引することもできる。
【0100】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、支持デバイス10により支持する医療デバイスは、回転するシャフトを有するデバイスであれば、血栓を除去するデバイスに限定されない。したがって、支持デバイス10を適用できる治療デバイスは、病変を除去するアテレクトミーデバイスや、血管内超音波診断法(IVUS:Intra Vascular Ultra Sound)、光干渉断層診断法(OCT:Optical Coherence Tomography)または光周波数領域画像化法(OFDI:Optical Frequency Domain Imaging)の機能を備える画像診断用カテーテルであってもよい。
【0101】
また、図7に示す第3変形例のように、最も先端側の支持部21である第3支持部60は、基端側の曲げ剛性の高い高剛性部材70と、先端側の曲げ剛性の低い低剛性部材71と、高剛性部材および低剛性部材の接合部を覆ってキンクを抑制する耐キンクプロテクタ73とを有してもよい。低剛性部材71は、柔軟部65および先端接続部64を形成する。高剛性部材70は、例えば金属材料により形成され、低剛性部材71は、例えば樹脂材料により形成される。耐キンクプロテクタ73は、第2支持部50に収容可能な範囲よりも先端側に配置される。耐キンクプロテクタ73は、例えば合成ゴムや天然ゴム等により形成される。この場合、柔軟部65は、材料の特性により柔軟性を得ることができるため、柔軟性を高めるための開口部67や溝は形成されなくてよい。また、先端接続部64が柔軟であるため、接続対象であるシースハブ202や弁体203の損傷を抑制できる。
【0102】
また、図8に示す第4変形例のように、全ての支持部21(第1支持部40、第2支持部50および第3支持部60)および基端接続部30は、先端から基端まで延びるスリット22が形成されてもよい。スリット22の縁部23は、シース200や医療デバイス100の損傷を抑制するために、樹脂等の柔軟な材料により形成される。各々の支持部21は、支持孔28を囲む方向である周方向へ、スリット22により非連続である。また、基端接続部30は、基端貫通孔31を囲む方向である周方向へ、スリット22により非連続である。これにより、デバイス支持具10は、外管120および駆動シャフト111を、支持部21の軸方向Xと交差する側方からスリット22を介して支持孔28に受け入れることができる。このため、シース200へ医療デバイス100を挿入する前に、予めデバイス支持具10を医療デバイス100に被せておく必要がなく、作業性を向上できる。したがって、例えば、シース200に医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120を挿入した状態であっても、外管120および駆動シャフト111が支持孔28に収容されるように、デバイス支持具10を医療デバイス100に取り付けることができる。
【0103】
また、図9に示す第5変形例のように、全ての支持部21(第1支持部40、第2支持部50および第3支持部60)および基端接続部30は、先端から基端まで延びるスリット22が形成されて、支持部21(第1支持部40、第2支持部50および第3支持部60)は、スリット22を開閉可能な蓋部24を有してもよい。すなわち、支持部21は、管体を半割りした形状で形成される。蓋部24は、スリット22が形成される支持部21のスリット22の近傍にヒンジ25により回転可能に接続され、係合部26により閉じた状態を維持可能である。係合部26の構造は、特に限定されないが、例えば係合および離脱可能な2つのフックにより形成される。これにより、デバイス支持具10は、外管120および駆動シャフト111を、スリット22から支持孔28に受け入れた後に、蓋部24によりスリット22を閉鎖できる。このため、デバイス支持具10は、スリット22を介して支持孔28から外管120および駆動シャフト111が脱落することを抑制できる。
【0104】
また、図10に示す第6変形例のように、伸縮部20は、軸方向Xへ摺動可能に並ぶ複数の梁部27を有し、外管120および駆動シャフト111をガイドする支持部21は、梁部27に固定されてリング状に形成されてもよい。梁部27は、入れ子状の複数の管体により形成されてもよいが、内腔を備えなくてもよいため、例えばスライドレールのような直動機構であってもよい。これにより、デバイス支持具10は、リング状の複数の支持部21に形成される複数の支持孔28により、医療デバイス100を軸方向Xの複数の位置で支持できる。このため、医療デバイス100の駆動シャフト111および外管120の体外での湾曲を効果的に抑制できる。また、リング状の支持部21に、図8に示すスリット22や、図9に示す蓋部24が形成されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10 デバイス支持具
20 伸縮部
21 支持部
22 スリット
23 縁部
24 蓋部
27 梁部
28 支持孔
30 基端接続部
31 基端貫通孔
40 第1支持部(第1の管体)
41 第1支持孔
42 第1規制部
50 第2支持部(第2の管体)
51 第2支持孔
52 第2規制部
53 第2凸部
60 第3支持部(第3の管体)
61 第3支持孔
63 第3凸部
64 先端接続部
65 柔軟部
66 先端貫通孔
67 開口部
68 挿入制限部
100 医療デバイス
111 駆動シャフト
120 外管(ガイディングカテーテル)
121 外管本体
122 外管ハブ
123 吸引ポート
130 拡張部
160 ハブ
170 操作部
171 駆動源
173 第1接続部
174 第2接続部
175 第3接続部(接続部)
200 シース
203 弁体
300 ワイヤデバイス
310 留置部
320 ワイヤ
X 軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10