(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139252
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】コンプレッサハウジング、コンプレッサ及び過給機
(51)【国際特許分類】
F02B 37/11 20060101AFI20241002BHJP
F02B 39/00 20060101ALI20241002BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20241002BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F02B37/11
F02B39/00 G
F04B39/12 101B
F04D29/44 W
F04D29/44 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050109
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】518131296
【氏名又は名称】三菱重工マリンマシナリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 哲也
(72)【発明者】
【氏名】白川 太陽
【テーマコード(参考)】
3G005
3H003
3H130
【Fターム(参考)】
3G005EA04
3G005EA16
3G005FA04
3G005GB85
3G005GD07
3H003AA06
3H003AC02
3H003CD03
3H130AA13
3H130AB07
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC14
3H130BA61A
3H130BA82A
3H130CA05
3H130DG01X
3H130EB02A
(57)【要約】
【課題】コンプレッサインペラの回転を効果的に支援できるコンプレッサハウジング、該コンプレッサハウジングを備えるコンプレッサ及び過給機を提供する。
【解決手段】ハブ及び該ハブの外表面に設けられた複数の翼を有するコンプレッサインペラを回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジングであって、複数の翼に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面を有するシュラウド部と、シュラウド部に設けられ、水又は水と空気の混合流体をコンプレッサインペラに向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ及び該ハブの外表面に設けられた複数の翼を有するコンプレッサインペラを回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジングであって、
前記複数の翼に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面を有するシュラウド部と、
前記シュラウド部に設けられ、水又は水と空気の混合流体を前記コンプレッサインペラに向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔と、を備える、
コンプレッサハウジング。
【請求項2】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの外周側に前記混合流体又は前記水を噴射するように構成された、
請求項1に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項3】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの回転方向に対する接線方向に沿って前記混合流体又は前記水を噴射するように構成された、
請求項1又は2に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項4】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記水又は前記混合流体のうち、前記水のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔を含む、
請求項1又は2に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項5】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記水又は前記混合流体のうち、前記混合流体のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔を含む、
請求項1又は2に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項6】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの周方向に間隔をあけて配置された複数の噴射孔を含み、
前記複数の噴射孔は、
前記水又は前記混合流体のうち、前記水のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔と、
前記水又は前記混合流体のうち、前記混合流体のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔と、を含む、
請求項1又は2に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項7】
前記少なくとも1つの水噴射孔は、
第1の水噴射孔と、
前記第1の水噴射孔に対して前記コンプレッサインペラの中心軸を挟んだ前記周方向の対向した位置に配置された第2の水噴射孔と、を含み、
前記少なくとも1つの混合流体噴射孔は、
前記周方向における前記第1の水噴射孔と前記第2の水噴射孔の間に配置された第1の混合流体噴射孔と、
前記第1の混合流体噴射孔に対して前記コンプレッサインペラの前記中心軸を挟んだ前記周方向の対向した位置に配置された第2の混合流体噴射孔と、を含む、
請求項6に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のコンプレッサハウジングと、
前記コンプレッサインペラと、を備える、
コンプレッサ。
【請求項9】
請求項8に記載のコンプレッサを備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンプレッサインペラを収容するコンプレッサハウジング、該コンプレッサハウジングを備えるコンプレッサ及び過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンの起動時にはエンジンから過給機に流れる排ガスが少なく、また、過給機の回転体の慣性により、過給機が行う仕事が少なく、過給機からエンジンへ送られる圧縮空気の量が少ないため、エンジンから黒煙が排出されることがある。このような黒煙排出の抑制や、エンジン起動時の過給機の負荷応答性(増速性)の改善による過給機効率の改善のために、コンプレッサケーシングの空気案内筒に設けた噴射孔からコンプレッサインペラのインペラ翼に圧縮ガスを噴射する方法がある。
【0003】
特許文献1には、エンジンの負荷を上昇させる際に、過給機におけるコンプレッサインペラの外周部全域に多数設けられた噴射孔からコンプレッサインペラのインペラ翼に向けて圧縮空気(圧縮ガス)を供給することで、目標とする過給空気圧を得ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成のように、コンプレッサインペラの出口近傍(コンプレッサインペラの外周部)に圧縮ガスを噴射する場合、エンジンの起動時等のエンジンの負荷が比較的小さい場合にはコンプレッサインペラの回転をアシストするための大きなモーメントが得られる。特許文献1に記載の構成に比べて、エンジン起動時の過給機の負荷応答性(増速性)の更なる改善が求められている。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、コンプレッサインペラの回転を効果的に支援できるコンプレッサハウジング、該コンプレッサハウジングを備えるコンプレッサ及び過給機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係るコンプレッサハウジングは、
ハブ及び該ハブの外表面に設けられた複数の翼を有するコンプレッサインペラを回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジングであって、
前記複数の翼に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面を有するシュラウド部と、
前記シュラウド部に設けられ、水又は水と空気の混合流体を前記コンプレッサインペラに向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔と、を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係るコンプレッサは、
前記コンプレッサハウジングと、前記コンプレッサインペラと、を備える。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態に係る過給機は、前記コンプレッサを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、コンプレッサインペラの回転を効果的に支援できるコンプレッサハウジング、該コンプレッサハウジングを備えるコンプレッサ及び過給機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態に係る過給機を搭載したエンジンシステムの構成を概略的に示す概略構成図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る過給機の中心軸に沿った概略断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る過給機のコンプレッサ側の中心軸に沿った概略断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態における噴射孔の配置を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
(エンジンシステム)
図1は、本開示の一実施形態に係る過給機2を搭載したエンジンシステム1の構成を概略的に示す概略構成図である。本開示の幾つかの実施形態に係る過給機(ターボチャージャ)2は、
図1に示されるような、エンジン11を備えるエンジンシステム1に搭載される。
【0014】
エンジンシステム1は、
図1に示されるように、内部で燃料を燃焼させることで動力を発生させるように構成されたエンジン(エンジン本体)11と、エンジン11の内部での燃焼に供される燃焼用気体を圧縮して供給するための燃焼用気体供給ライン12と、燃焼用気体供給ライン12に設けられたコンプレッサ(遠心圧縮機)21を含む過給機2と、燃焼用気体供給ライン12のコンプレッサ21よりも下流側に設けられた冷却器(インタークーラ)13と、を備える。コンプレッサ21は、燃焼用気体を圧縮して昇圧させるように構成されている。冷却器13は、コンプレッサ21により昇温昇圧した燃焼用気体を冷却するように構成された熱交換器からなる。エンジン11の燃料としては、例えば、液化天然ガスなどのガス燃料や燃料油などの液体燃料が挙げられる。エンジン11の燃焼用気体としては、例えば、空気が挙げられる。
【0015】
エンジン11は、少なくとも1つのシリンダ111と、少なくとも1つのシリンダ111に該シリンダ111の軸方向に沿って往復動可能に収容された少なくとも1つのピストン112と、を含む。エンジン11は、シリンダ111とピストン112により区画された燃焼室113を内部に有する。
【0016】
燃焼用気体供給ライン12は、燃焼用気体をコンプレッサ21に導くための流路12Aと、コンプレッサ21から排出された燃焼用気体を冷却器13に導くための流路12Bと、冷却器13から排出された燃焼用気体を燃焼室113に導くための流路12Cと、を含む。流路12A、12B、12Cの各々は、例えば、配管によって形成される。燃焼室113は、燃焼用気体供給ライン12の冷却器13よりも下流側において流路12Cに接続され、燃焼用気体供給ライン12から燃焼用気体が流入するようになっている。
【0017】
エンジンシステム1は、
図1に示されるように、エンジン11から排出された排ガスを導くための排ガスライン14と、エンジン11の内部に燃料を噴射するように構成された燃料噴射弁15と、をさらに備える。上述した過給機2は、排ガスライン14に設けられたタービン22をさらに含む。排ガスライン14は、燃焼室113から排出された排ガスをタービン22に導くための流路14Aを含む。流路14Aは、例えば、配管によって形成される。燃焼室113は、排ガスライン14の流路14Aに接続され、燃焼室113における燃焼により生じた排ガスを排ガスライン14に排出するようになっている。
【0018】
燃料噴射弁15は、燃焼室113又はエンジン11の内部に形成された流路12Cの何れかに燃焼を噴射するようになっている。燃料噴射弁15から燃焼室113又は流路12Cに噴射された燃料は、流路12Cを通じて燃焼室113に送られる燃焼用気体に混合された後に、燃焼室113において燃焼する。燃焼室113における燃焼後の排ガスは、排ガスライン14を通り、エンジンシステム1の外部に排出される。
【0019】
(過給機)
図2は、本開示の一実施形態に係る過給機2の中心軸CAに沿った概略断面図である。
図3は、本開示の一実施形態に係る過給機2のコンプレッサ21側の中心軸CAに沿った概略断面図である。過給機2は、
図1及び
図2に示されるように、エンジン11に供給される燃焼用気体(例えば、空気)を圧縮する上述したコンプレッサ21と、エンジン11から排出された排ガスのエネルギにより駆動する上述したタービン22と、回転シャフト23とを含む。
【0020】
コンプレッサ21は、上述した燃焼用気体供給ライン12に設けられたコンプレッサインペラ3と、コンプレッサインペラ3を回転可能に収容するコンプレッサハウジング4と、を含む。タービン22は、上述した排ガスライン14に設けられたタービンホイール24と、タービンホイール24を回転可能に収容するタービンハウジング25と、を含む。コンプレッサインペラ3は、回転シャフト23の一方側に機械的に接続されており、タービンホイール24は、回転シャフト23の他方側に機械的に接続されている。
【0021】
コンプレッサインペラ3を通過した燃焼用気体は、燃焼用気体供給ライン12を通じてエンジン11の燃焼室113に導かれ、燃料噴射弁15から噴射された燃料とともに燃焼室113における燃焼に供される。燃焼室113における燃焼により生じた排ガスは、排ガスライン14を通じてタービンホイール24に導かれる。過給機2は、エンジン11から排出された排ガスのエネルギにより、タービンホイール24を回転させるように構成されている。コンプレッサインペラ3は、回転シャフト23を介してタービンホイール24に機械的に連結されているため、タービンホイール24の回転に連動して回転する。過給機2は、コンプレッサインペラ3の回転により、コンプレッサインペラ3を通過する燃焼用気体を圧縮し、上記燃焼用気体の密度を高めてエンジン11に送るように構成されている。
【0022】
過給機2は、
図2に示されるように、コンプレッサインペラ3とタービンホイール24との間において回転シャフト23を回転可能に支持する軸受26と、コンプレッサハウジング4とタービンハウジング25との間に配置され、軸受26を支持する軸受台27と、をさらに含む。
【0023】
コンプレッサハウジング4は、回転シャフト23の軸方向に沿って延在し、コンプレッサハウジング4に燃焼用気体を導くための気体導入流路41を形成する気体導入流路形成部42と、コンプレッサインペラ3の外周側に設けられ、回転シャフト23の周方向に沿って延在する渦巻状のスクロール流路43を形成するスクロール流路形成部44と、を有する。タービンハウジング25は、タービンホイール24の外周側に設けられ、回転シャフト23の周方向に沿って延在する渦巻状のスクロール流路251を形成するスクロール流路形成部252と、回転シャフト23の軸方向に沿って延在し、タービンホイール24を通過した排ガスを排出するための排ガス排出流路253を形成する排ガス排出流路形成部254と、を有する。
【0024】
(コンプレッサ)
図3は、本開示の一実施形態に係る過給機2のコンプレッサ21側の中心軸CAに沿った概略断面図である。コンプレッサインペラ3は、
図3に示されるように、回転シャフト23の上記一方側に取り付けられたハブ31と、ハブ31の外表面32に突出して設けられた複数の翼33と、を有する。ハブ31は、回転シャフト23の上記一方側に機械的に固定されているため、ハブ31や複数の翼33は、回転シャフト23と一体的に回転可能である。コンプレッサインペラ3は、コンプレッサインペラ3(過給機2)の中心軸CAが延在する方向である軸方向の一方側(
図3中左側)から導入される燃焼用気体を過給機2の径方向における外側に導くように構成された遠心式のインペラからなる。図示される実施形態では、ハブ31の外表面32は、過給機2の軸方向における上記一方側から他方側(
図3中右側)に向かうにつれて過給機2(回転シャフト23)の中心軸CAからの距離が大きくなる凹湾曲状に形成されている。
【0025】
コンプレッサハウジング4は、
図3に示されるように、複数の翼33に隙間を介して対向するように凸状に湾曲するシュラウド面45を有するシュラウド部(空気案内筒)46をさらに有する。複数の翼33の各々は、翼33の前縁331の外周端から後縁の外周端までに亘り延在し、シュラウド面45に隙間を介して対向するチップ側縁34を有する。シュラウド面45及びチップ側縁34の各々は、過給機2の軸方向における上記一方側から上記他方側に向かうにつれて過給機2の中心軸CAからの距離が大きくなる湾曲状に形成されている。
【0026】
図示される実施形態では、シュラウド部46は、コンプレッサインペラ3を囲繞するように筒状に構成されている。シュラウド部46の内径及び外径は、コンプレッサインペラ3の前縁331よりも過給機2の軸方向における上記他方側では、上記他方側に向かうにつれて拡大する。
【0027】
コンプレッサハウジング4は、
図3に示されるように、上述したシュラウド部46に設けられ、水W又は水と空気の混合流体MFをコンプレッサインペラ3に向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔5を備える。上記少なくとも1つの噴射孔5の各々は、水W又は水と空気の混合流体MFをコンプレッサインペラ3の翼33の負圧面(翼面)330に向けて噴射するようになっている。上記少なくとも1つの噴射孔5の各々の中心軸線LAの延長線上に負圧面330が位置するようになっている。上記少なくとも1つの噴射孔5から噴射される水Wや混合流体MFが負圧面330に衝突することで、コンプレッサインペラ3の回転が支援されるようになっている。
【0028】
図示される実施形態では、シュラウド部46の外周面から内周面(シュラウド面45)に貫通する貫通孔461に筒状のノズル50が嵌入されている。筒状のノズル50の内面に上述した噴射孔5が形成されている。
図3に示される実施形態では、貫通孔461は、シュラウド部46を直線状に貫通している。噴射孔5は、コンプレッサハウジング4の内部に形成されたコンプレッサインペラ3を収容する空間に連通している。
【0029】
図示される実施形態では、シュラウド部46の外周面とスクロール流路形成部44との間に環状の空間47が形成されており、環状の空間47を流体導入ライン51が通るようになっている。ノズル50のコンプレッサインペラ3を収容する空間から離れた側の端部は、噴射孔5に噴射対象である水Wや混合流体MFを導くための流体導入ライン51の一端に接続され、流体導入ライン51から水Wや混合流体MFが噴射孔5に導かれるようになっている。なお、流体導入ライン51は、噴射孔5に水Wや混合流体MFを導くことができるようになっていればよく、上述した構成や後述した構成に限定されるものではない。
【0030】
上記の構成によれば、水は、非圧縮性流体であり、チョーク流れが生じないため、該チョーク流れを防止するための流量制限を要しない。このため、上記少なくとも1つの噴射孔5から噴射される水Wや混合流体MFの流量を、空気を噴射する場合に比べて増量させることができる。コンプレッサインペラ3に向けて水Wや混合流体MFを噴射することで、空気を噴射する場合に比べて、コンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援でき、ひいてはエンジン11の回転に対するコンプレッサインペラ3の回転の追従性の向上が図れる。
【0031】
また、上記の構成によれば、上記少なくとも1つの噴射孔5から噴射される水により、コンプレッサインペラ3を通過する給気である燃焼用気体を冷却できるため、コンプレッサ21や該コンプレッサ21を備えるエンジンシステム1の効率向上が図れる。
【0032】
なお、本開示は、エンジン11が液体燃料により運転する場合やガス燃料により運転する場合の何れにも適用可能であるが、エンジン11の負荷変動が比較的大きいガス燃料により運転する場合に特に好適である。ガス燃料により運転するエンジン11としては、例えば、舶用の主機エンジンや陸上に設置される発電用のエンジン等が挙げられる。
【0033】
幾つかの実施形態では、
図3に示されるように、上述した複数の噴射孔5の各々は、コンプレッサインペラ3の外周側に混合流体MF又は水Wを噴射するように構成されている。
図3に示される実施形態では、コンプレッサインペラ3の径方向位置において、コンプレッサインペラ3の中心軸CAの位置を0%と定義し、ハブ31の最大外径の位置35を100%と定義する。上述した複数の噴射孔5の各々は、コンプレッサインペラ3の外周側、すなわち、コンプレッサインペラ3の50%以上100%以下の径方向位置において、中心軸線LAを延長した直線が負圧面(翼面)330と交わるようになっている。なお、中心軸線LAを延長した直線は、コンプレッサインペラ3の60%以上100%以下の径方向位置において負圧面330と交わるようになっていることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、コンプレッサインペラ3の外周側に混合流体MF又は水Wを噴射することで、コンプレッサインペラ3の内周側に混合流体MF又は水Wを噴射する場合に比べて、混合流体MF又は水Wの衝突によりコンプレッサインペラ3に作用するトルクを大きくでき、コンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援できる。
【0035】
図4は、本開示の一実施形態における噴射孔5の配置を説明するための説明図である。
図4には、コンプレッサインペラ3の軸方向における一方側から視た状態が概略的に示されている。
図4における符号Rは、コンプレッサインペラ3の回転方向を示すものである。
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した複数の噴射孔5の各々は、コンプレッサインペラ3の回転方向Rに対する接線方向Tに沿って混合流体MF又は水Wを噴射するように構成されている。複数の噴射孔5の各々は、コンプレッサインペラ3の回転方向Rに対する接線方向Tのうち、コンプレッサインペラ3の回転方向Rの下流側に向かう方向に沿って混合流体MF又は水Wを噴射する。
【0036】
上記の構成によれば、コンプレッサインペラ3の回転方向Rに対する接線方向Tに沿って混合流体MF又は水Wを噴射することで、混合流体MF又は水Wの衝突力がコンプレッサインペラ3に効果的に作用するため、コンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援できる。
【0037】
幾つかの実施形態では、上述した複数の噴射孔5は、
図1及び
図4に示されるように、水W又は混合流体MFのうち、水Wのみをコンプレッサインペラ3に噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔6を含む。或る実施形態では、複数の噴射孔5の全てが水噴射孔6であってもよい。
【0038】
上記の構成によれば、水Wは、非圧縮性流体であり、チョーク流れが生じないため、該チョーク流れを防止するための流量制限を要しない。コンプレッサインペラ3に向けて水Wを噴射することで、混合流体MFを噴射する場合に比べて、コンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援できる。
【0039】
幾つかの実施形態では、上述した複数の噴射孔5は、
図1及び
図4に示されるように、水W又は混合流体MFのうち、混合流体MFのみをコンプレッサインペラ3に噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔7を含む。或る実施形態では、複数の噴射孔5の全てが混合流体噴射孔7であってもよい。
【0040】
上記の構成によれば、コンプレッサインペラ3に向けて混合流体MFを噴射することで、該混合流体MFに含まれる水Wを比較的広範囲に拡散させることができるため、コンプレッサインペラ3を通過する給気を効果的に冷却できる。また、コンプレッサインペラ3に向けて混合流体MFを噴射する場合には、水Wを噴射する場合に比べて、ドレン量を低減できる。
【0041】
幾つかの実施形態では、上述した少なくとも1つの噴射孔5は、
図1及び
図4に示されるように、コンプレッサインペラ3の周方向に間隔をあけて配置された複数の噴射孔5を含む。複数の噴射孔5は、水W又は混合流体MFのうち、水Wのみをコンプレッサインペラ3に噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔6と、水W又は混合流体MFのうち、混合流体MFのみをコンプレッサインペラ3に噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔7と、を含む。
【0042】
上記の構成によれば、水噴射孔6からコンプレッサインペラ3に向けて水Wを噴射することで、コンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援できる。また、混合流体噴射孔7からコンプレッサインペラ3に向けて混合流体MFを噴射することで、コンプレッサインペラ3を通過する給気を効果的に冷却できる。
【0043】
幾つかの実施形態では、
図4に示されるように、上述した少なくとも1つの水噴射孔6は、第1の水噴射孔6Aと、第1の水噴射孔6Aに対してコンプレッサインペラ3の中心軸CAを挟んだ周方向の対向した位置に配置された第2の水噴射孔6Bと、を含む。上述した少なくとも1つの混合流体噴射孔7は、コンプレッサインペラ3の周方向における第1の水噴射孔6Aと第2の水噴射孔6Bの間に配置された第1の混合流体噴射孔7Aと、第1の混合流体噴射孔7Aに対してコンプレッサインペラ3の中心軸CAを挟んだ周方向の対向した位置に配置された第2の混合流体噴射孔7Bと、を含む。なお、
図4に示される実施形態では、コンプレッサハウジング4は、2つの水噴射孔6A、6Bと2つの混合流体噴射孔7A、7Bを備えているが、コンプレッサハウジング4が備える水噴射孔6や混合流体噴射孔7の数はこれに限定されない。
【0044】
図4に示されるように、コンプレッサインペラ3の軸方向における一方側から視た場合において、或る噴射孔5の中心軸線LAの周方向位置を0°と定義した場合において、上記中心軸CAを挟んだ周方向の対向した位置に配置されるとは、90°以上270°以下の周方向範囲内に配置されることを意味する。
【0045】
図4に示される実施形態では、コンプレッサインペラ3の軸方向における一方側から視た場合において、第1の水噴射孔6Aの中心軸線LAの周方向位置を0°と定義し、コンプレッサインペラ3の回転方向Rを正方向として周方向角度θを定義している。第2の水噴射孔6Bは、90°以上270°以下の周方向範囲内に配置される。第2の水噴射孔6Bは、120°以上240°以下の周方向範囲内に配置されることが好ましく、150°以上210°以下の周方向範囲内に配置されることがさらに好ましい。
【0046】
第1の混合流体噴射孔7Aは、30°以上150°以下の周方向範囲内に配置されることが好ましく、60°以上120°以下の周方向範囲内に配置されることがさらに好ましい。第2の混合流体噴射孔7Bは、210°以上330°以下の周方向範囲内に配置されることが好ましく、240°以上300°以下の周方向範囲内に配置されることがさらに好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、水噴射孔6A、6B及び混合流体噴射孔7A、7Bの夫々を周方向において比較的均等に配置することで、混合流体や水の衝突力がコンプレッサインペラ3の周方向における一部に偏って作用することを抑制できるため、上記衝突力によりコンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援できる。
【0048】
(水や混合流体の供給系統)
図1に示される実施形態では、流体導入ライン51の他端は、水Wの供給源としての水貯留タンク52に接続されている。水貯留タンク52は、例えば、常温(0℃~40℃)の水を貯留するようになっている。流体導入ライン51には、流体導入ライン51を流れる水Wを昇圧するためのポンプ53が設けられている。噴射孔5から噴射される水Wは、ポンプ53により昇圧されている。流体導入ライン51には、水貯留タンク52からの水Wの供給を制御するためのバルブを設けてもよい。
【0049】
流体導入ライン51は、ポンプ53よりも他端側に位置する分岐部P1において複数のライン51A、51Bに分岐している。分岐した複数のライン51A、51Bのうち、水噴射孔6に接続されたラインを水導入ライン51Aとし、混合流体噴射孔7に接続されたラインを混合流体導入ライン51Bとする。混合流体導入ライン51Bは、合流部P2において圧縮空気Aが流れる圧縮空気導入ライン54に合流するようになっている。
【0050】
水噴射孔6には、流体導入ライン51の分岐部P1よりもポンプ53側及び水導入ライン51Aを介して水Wが導入されるようになっている。混合流体噴射孔7には、流体導入ライン51の分岐部P1よりもポンプ53側、混合流体導入ライン51B及び圧縮空気導入ライン54を介して水W及び圧縮空気Aが混合した混合流体MFが導入されるようになっている。
【0051】
なお、圧縮空気導入ライン54は、上流側が流路12Cに接続され、流路12Cを流れる空気の一部が圧縮空気導入ライン54に抜き出されるようになっていてもよい。この場合には、流路12Cを流れる空気は、コンプレッサ21において昇圧されているため、圧縮空気Aを混合流体噴射孔7に送るためのポンプが不要となる。また、水貯留タンク52は、エンジン11を冷却するためのエンジン冷却水を貯留するようになっていてもよく、流体導入ライン51は、水貯留タンク52からエンジン11にエンジン冷却水を導くための冷却水導入ライン55との間で、水貯留タンク52から分岐部P3までに亘りラインを共通するようになっていてもよい。
【0052】
(ドレン水の排出系統)
冷却器13には、燃焼用気体の凝縮により生じたドレン水を排出する機構が備えられており、噴射孔5から噴出された水Wが、コンプレッサインペラ3よりも下流側(エンジン11側)に流れた場合には、冷却器13において回収されるようになっている。
【0053】
コンプレッサハウジング4は、
図3に示されるように、シュラウド部46の鉛直方向における下方側に、鉛直下方に向かって凹み水Wを貯留可能な凹部48が形成されていてもよい。凹部48には、凹部48から鉛直方向における下方側に向かってコンプレッサハウジング4の外面までに亘り延びる水排出孔49が形成されていてもよい。噴射孔5から噴出された水Wは、コンプレッサインペラ3から落下して凹部48に溜まる。凹部48に溜まった水Wは、水排出孔49を介してコンプレッサハウジング4の外部に排出される。
【0054】
幾つかの実施形態に係る過給機2は、
図1に示されるように、上述したコンプレッサインペラ3及びコンプレッサハウジング4を備えるコンプレッサ21を備える。
【0055】
上記の構成によれば、コンプレッサインペラ3に向けて水Wや混合流体MFを噴射することで、コンプレッサインペラ3の回転を効果的に支援できるため、コンプレッサ21の効率向上が図れる。また、コンプレッサインペラ3に向けて噴射される水Wにより、コンプレッサインペラ3を通過する給気を冷却できるため、コンプレッサ21の効率向上が図れる。コンプレッサ21の効率向上を図ることで、過給機2の効率向上が図れる。
【0056】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0057】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0058】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0059】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係るコンプレッサハウジング(4)は、
ハブ(31)及び該ハブ(31)の外表面(32)に設けられた複数の翼(33)を有するコンプレッサインペラ(3)を回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジング(4)であって、
前記複数の翼(4)に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面(45)を有するシュラウド部(46)と、
前記シュラウド部(46)に設けられ、水又は水と空気の混合流体を前記コンプレッサインペラ(3)に向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔(5)と、を備える。
【0060】
上記1)の構成によれば、水は空気よりも密度が大きいため、コンプレッサインペラ(3)を回転させるために要するエネルギが空気よりも小さくなる。また、水は、非圧縮性流体であり、チョーク流れが生じないため、該チョーク流れを防止するための流量制限を要しない。このため、上記少なくとも1つの噴射孔(5)から噴射される水や混合流体の流量を、空気を噴射する場合に比べて増量させることができる。コンプレッサインペラ(3)に向けて水や混合流体を噴射することで、空気を噴射する場合に比べて、コンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援でき、ひいてはエンジン(11)の回転に対するコンプレッサインペラ(3)の回転の追従性の向上が図れる。
【0061】
また、上記1)の構成によれば、上記少なくとも1つの噴射孔(5)から噴射される水により、コンプレッサインペラ(3)を通過する給気を冷却できるため、コンプレッサ(21)や該コンプレッサ(21)を備えるエンジンシステム(1)の効率向上が図れる¥きる。
【0062】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載のコンプレッサハウジング(4)であって、
前記少なくとも1つの噴射孔(5)は、前記コンプレッサインペラ(3)の外周側に前記混合流体又は前記水を噴射するように構成された。
【0063】
上記2)の構成によれば、コンプレッサインペラ(3)の外周側に混合流体又は水を噴射することで、コンプレッサインペラ(3)の内周側に混合流体又は水を噴射する場合に比べて、混合流体又は水の衝突によりコンプレッサインペラ(3)に作用するトルクを大きくでき、コンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援できる。
【0064】
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は2)に記載のコンプレッサハウジング(4)であって、
前記少なくとも1つの噴射孔(5)は、前記コンプレッサインペラ(3)の回転方向(R)に対する接線方向(T)に沿って前記混合流体又は前記水を噴射するように構成された。
【0065】
上記3)の構成によれば、コンプレッサインペラ(3)の回転方向(R)に対する接線方向(T)に沿って混合流体又は水を噴射することで、混合流体又は水の衝突力がコンプレッサインペラ(3)に効果的に作用するため、コンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援できる。
【0066】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)までの何れかに記載のコンプレッサハウジング(4)であって、
前記少なくとも1つの噴射孔(5)は、前記水又は前記混合流体のうち、前記水のみを前記コンプレッサインペラ(3)に噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔(6)を含む。
【0067】
上記4)の構成によれば、水は混合流体よりも密度が大きいため、コンプレッサインペラ(3)を回転させるために要するエネルギが小さくなる。コンプレッサインペラ(3)に向けて水を噴射することで、混合流体を噴射する場合に比べて、コンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援できる。
【0068】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から3)までの何れかに記載のコンプレッサハウジング(4)であって、
前記少なくとも1つの噴射孔(5)は、前記水又は前記混合流体のうち、前記混合流体のみを前記コンプレッサインペラ(3)に噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔(7)を含む。
【0069】
上記5)の構成によれば、コンプレッサインペラ(3)に向けて混合流体を噴射することで、該混合流体に含まれる水を比較的広範囲に拡散させることができるため、コンプレッサインペラ(3)を通過する給気を効果的に冷却できる。また、コンプレッサインペラ(3)に向けて混合流体を噴射する場合には、水を噴射する場合に比べて、ドレン量を低減できる。
【0070】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から3)までの何れかに記載のコンプレッサハウジング(4)であって、
前記少なくとも1つの噴射孔(5)は、前記コンプレッサインペラ(3)の周方向に間隔をあけて配置された複数の噴射孔(5)を含み、
前記複数の噴射孔(5)は、
前記水又は前記混合流体のうち、前記水のみを前記コンプレッサインペラ(3)に噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔(6)と、
前記水又は前記混合流体のうち、前記混合流体のみを前記コンプレッサインペラ(3)に噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔(7)と、を含む。
【0071】
上記6)の構成によれば、水噴射孔(6)からコンプレッサインペラ(3)に向けて水を噴射することで、コンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援できる。また、混合流体噴射孔(7)からコンプレッサインペラ(3)に向けて混合流体を噴射することで、コンプレッサインペラ(3)を通過する給気を効果的に冷却できる。
【0072】
7)幾つかの実施形態では、上記6)に記載のコンプレッサハウジング(4)であって、
前記少なくとも1つの水噴射孔(6)は、
第1の水噴射孔(6A)と、
前記第1の水噴射孔(6A)に対して前記コンプレッサインペラ(3)の中心軸(CA)を挟んだ前記周方向の対向した位置に配置された第2の水噴射孔(6B)と、を含み、
前記少なくとも1つの混合流体噴射孔(7)は、
前記周方向における前記第1の水噴射孔(6A)と前記第2の水噴射孔(6B)の間に配置された第1の混合流体噴射孔(7A)と、
前記第1の混合流体噴射孔(7A)に対して前記コンプレッサインペラ(3)の前記中心軸(CA)を挟んだ前記周方向の対向した位置に配置された第2の混合流体噴射孔(7B)と、を含む。
【0073】
上記7)の構成によれば、水噴射孔(6A、6B)及び混合流体噴射孔(7A、7B)の夫々を周方向において比較的均等に配置することで、混合流体や水の衝突力がコンプレッサインペラ(3)の周方向における一部に偏って作用することを抑制できるため、上記衝突力によりコンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援できる。
【0074】
8)本開示の少なくとも一実施形態に係るコンプレッサ(21)は、
上記1)から7)までの何れかに記載のコンプレッサハウジング(4)と、
前記コンプレッサインペラ(3)と、を備える。
【0075】
上記8)の構成によれば、コンプレッサインペラ(3)に向けて水や混合流体を噴射することで、コンプレッサインペラ(3)の回転を効果的に支援できるため、コンプレッサ(21)の効率向上が図れる。また、コンプレッサインペラ(3)に向けて噴射される水により、コンプレッサインペラ(3)を通過する給気を冷却できるため、コンプレッサ(21)の効率向上が図れる。
【0076】
9)本開示の少なくとも一実施形態に係る過給機(2)は、
上記8)に記載のコンプレッサ(21)を備える。
【0077】
上記9)の構成によれば、コンプレッサ(21)の効率向上を図ることで、過給機(2)の効率向上が図れる。
【符号の説明】
【0078】
1 エンジンシステム
2 過給機
3 コンプレッサインペラ
4 コンプレッサハウジング
5 噴射孔
6,6A,6B 水噴射孔
7,7A,7B 混合流体噴射孔
11 エンジン
12 燃焼用気体供給ライン
13 冷却器
14 排ガスライン
15 燃料噴射弁
21 コンプレッサ
22 タービン
23 回転シャフト
24 タービンホイール
25 タービンハウジング
26 軸受
27 軸受台
31 ハブ
32 外表面
33 翼
34 チップ側縁
45 シュラウド面
46 シュラウド部
50 ノズル
51 流体導入ライン
51A 水導入ライン
51B 混合流体導入ライン
52 水貯留タンク
53 ポンプ
54 圧縮空気導入ライン
55 冷却水導入ライン
A 圧縮空気
CA 中心軸
LA 中心軸線
MF 混合流体
R 回転方向
W 水
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ及び該ハブの外表面に設けられた複数の翼を有するコンプレッサインペラを回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジングであって、
前記複数の翼に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面を有するシュラウド部と、
前記シュラウド部に設けられ、水又は水と空気の混合流体を前記コンプレッサインペラに向けて噴射し、噴射された前記水又は前記混合流体が前記翼の負圧面に衝突することで、前記コンプレッサインペラの回転を支援するための少なくとも1つの噴射孔と、を備える、
コンプレッサハウジング。
【請求項2】
ハブ及び該ハブの外表面に設けられた複数の翼を有するコンプレッサインペラを回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジングであって、
前記複数の翼に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面を有するシュラウド部と、
前記シュラウド部に設けられ、水又は水と空気の混合流体を前記コンプレッサインペラの外周側に向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔と、を備え、
前記コンプレッサインペラの径方向位置において、前記コンプレッサインペラの中心軸の位置を0%と定義し、前記ハブの最大外径の位置を100%と定義したときに、
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの50%以上100%以下の径方向位置において、前記少なくとも1つの噴射孔の中心軸線の延長線と前記コンプレッサインペラの前記翼の負圧面とが交わるように構成された、
コンプレッサハウジング。
【請求項3】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの外周側に前記混合流体又は前記水を噴射するように構成された、
請求項1に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項4】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの回転方向に対する接線方向に沿って前記混合流体又は前記水を噴射するように構成された、
請求項1から3の何れか1項に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項5】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記水又は前記混合流体のうち、前記水のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔を含む、
請求項1から3の何れか1項に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項6】
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記水又は前記混合流体のうち、前記混合流体のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔を含む、
請求項1から3の何れか1項に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項7】
ハブ及び該ハブの外表面に設けられた複数の翼を有するコンプレッサインペラを回転可能に収容するように構成されたコンプレッサハウジングであって、
前記複数の翼に対向するように凸状に湾曲するシュラウド面を有するシュラウド部と、
前記シュラウド部に設けられ、水又は水と空気の混合流体を前記コンプレッサインペラに向けて噴射するための少なくとも1つの噴射孔と、を備え、
前記少なくとも1つの噴射孔は、前記コンプレッサインペラの周方向に間隔をあけて配置された複数の噴射孔を含み、
前記複数の噴射孔は、
前記水又は前記混合流体のうち、前記水のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの水噴射孔と、
前記水又は前記混合流体のうち、前記混合流体のみを前記コンプレッサインペラに噴射するように構成された少なくとも1つの混合流体噴射孔と、を含む、
コンプレッサハウジング。
【請求項8】
前記少なくとも1つの水噴射孔は、
第1の水噴射孔と、
前記第1の水噴射孔に対して前記コンプレッサインペラの中心軸を挟んだ前記周方向の対向した位置に配置された第2の水噴射孔と、を含み、
前記少なくとも1つの混合流体噴射孔は、
前記周方向における前記第1の水噴射孔と前記第2の水噴射孔の間に配置された第1の混合流体噴射孔と、
前記第1の混合流体噴射孔に対して前記コンプレッサインペラの前記中心軸を挟んだ前記周方向の対向した位置に配置された第2の混合流体噴射孔と、を含む、
請求項7に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項9】
前記シュラウド部の鉛直方向における下方側に、鉛直下方に向かって凹む凹部を備え、
前記凹部には、前記凹部から前記鉛直方向における前記下方側に向かって前記コンプレッサハウジングの外面までに亘り延びる水排出孔が形成される、
請求項1から3の何れか1項に記載のコンプレッサハウジング。
【請求項10】
請求項1から3の何れか1項に記載のコンプレッサハウジングと、
前記コンプレッサインペラと、を備える、
コンプレッサ。
【請求項11】
請求項10に記載のコンプレッサを備える過給機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
(過給機)
図2は、本開示の一実施形態に係る過給機2の中心軸CAに沿った概略断面図であ
る。過給機2は、
図1及び
図2に示されるように、エンジン11に供給される燃焼用気体(例えば、空気)を圧縮する上述したコンプレッサ21と、エンジン11から排出された排ガスのエネルギにより駆動する上述したタービン22と、回転シャフト23とを含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】